JPH11244668A - 原油処理装置およびこれを用いた原油処理方法 - Google Patents

原油処理装置およびこれを用いた原油処理方法

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JPH11244668A
JPH11244668A JP4830698A JP4830698A JPH11244668A JP H11244668 A JPH11244668 A JP H11244668A JP 4830698 A JP4830698 A JP 4830698A JP 4830698 A JP4830698 A JP 4830698A JP H11244668 A JPH11244668 A JP H11244668A
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Japan
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crude oil
membrane
oil
hollow fiber
fiber membrane
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Withdrawn
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JP4830698A
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English (en)
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Michio Sugano
道夫 菅野
Manabu Yanou
学 矢能
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 原油の性状によらず原油中の水分を高度に分
離除去できるようにして、水分率が低く、泥質をも含ま
ない脱水油が得られるようにする。処理効率を向上させ
て、小型の設備でも処理量を多くできるようにする。 【解決手段】 下部に排水口5を有する処理槽7内に原
油を供給するとともに、この原油中に油分のみを選択的
に透過する中空糸膜ユニット11を浸漬させる。この中
空糸膜ユニット11の中空糸膜を透過した脱水油の流路
に取出管23の一端を連通させ、この取出管23の他端
を処理槽7内における原油液面L1より下方位置で開口
させる(開口端23a)。処理槽7内の液面と脱水油槽
25の液面との差による圧力差を駆動圧として中空糸膜
ユニット11により原油を重力濾過する。原油から分離
された水分(分離水層10)は排水口5から排出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜を用いて原油中
の水分を分離する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球上の油層から生産される液状炭化水
素は原油と呼ばれている。これらの液状炭化水素は、パ
ラフィン系、ナフテン系、芳香族などの炭化水素を主成
分としている。原油の物理学的、化学的性質は、それに
含まれる各種化合物の組成比によって決定され、また、
原油の性状は、油田ごとおよび層準ごとにかなり異なる
のが実状である。従来、石油を生産するには、まず地球
上の油層の各部分から生産井を通して、自噴、ポンプ採
油、水またはガス圧入法などの方法により原油を回収す
る。回収された原油は、各井戸元にあるクリスマスツリ
ーと呼ばれる分岐管から地中に埋められたパイプライン
を通して集油所に送られる。集油所に集められた原油
は、セパレータ(分離器)に送られ、ここで、原油から
ガスおよび水分が分離される。
【0003】図7は、セパレータの一例を示したもので
ある。セパレータは、その形状から横型、縦型、球型に
大別され、この例は横型のものである。この例のセパレ
ータ201は密閉されたタンクからなり、一端側の側壁
の中央よりやや上方に原油入口202を備え、他端側の
側壁の中央よりやや下方に分離油出口213を備え、他
端側の底部に分離水出口212を備え、上部にガス出口
214を備えている。またセパレータ201内には、原
油入口202の近傍に、流入された原油の波立ちを抑え
るための堰板203が設けられ、他端側には、原油層2
04の上澄み(分離油)のみが分離油出口213側の分
離油層206へ流出するように、仕切板215が設けら
れている。
【0004】このような構成のセパレータ201を用い
て原油から水分を除去する処理を行うには、まず、生産
井から送られた原油が原油入口202からセパレータ2
01内に急激に流入され、原油入口202付近で波立ち
が抑えられた後、堰板203を越えて次の区画である原
油層204へ流れる。原油層204から発生するガスは
セパレータ201内部上方のガス層205に貯められ、
ガス出口214から適宜排出される。また原油層204
は、時間の経過に伴い、比重差によって油分と水分とに
分離し、水分は下部の分離水層207に貯められる。こ
のとき原油を40〜60℃に加熱することにより、原油
の粘性を低下させ、分離性能を向上させる。分離水層2
07の水は、水面制御装置208により制御され、水面
制御バルブ210の開閉によって、分離水出口212か
ら適宜送り出される。このようにして原油層204から
ガスと水分とが分離された分離油は、仕切板215を乗
り越えて分離油層206へと流れ込む。この分離油層2
06の分離油は、油面制御装置209により制御され、
油面制御バルブ211の開閉によって、分離油出口21
3から適宜送り出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなセパレータ(分離器)201を用い、油分と水
分との比重差を利用して原油から水分を分離除去する方
法では、処理される原油の量を多くしようとすると設備
を大型化しなければならず、設備の設置場所の問題や、
設備投資費用、および加熱ボイラーのエネルギーコスト
等の問題が生じる。またそれだけれなく、処理速度や処
理能力の限界、水分率低下の限界といった問題もあり、
設備を大型化して原油の処理量を多くすることは容易で
はない。
【0006】ところで、このようにしてガスと水分が分
離除去された分離油であっても、原油の性状によって
は、微細な水滴や泥質が一様に分散されて含まれてお
り、依然として水分率が高い場合が多い。このような分
散状態はエマルジョンと呼ばれている。そして通常放置
しておくだけでは、このような微細水滴どうしが集合し
て分離可能な水分となることは期待できない。これは、
原油中の水滴の界面張力が大きくなっており、水滴どう
しが合体しにくいためである。また泥質を含んでいるた
めに分離後の処理設備における腐食等のおそれがあるう
えに、精製や生産に不向きな組成である場合もあり、そ
の場合には収率が低下するという問題があった。
【0007】そこで分離油の水分率を低下させるための
方法として、人工的に界面活性剤などを用いて水滴の
吸着膜を破壊し、エマルジョン状態の水滴を合体させて
分離可能な水分とする方法が採用されている。あるい
は、水滴エマルジョンに1万から2万ボルトの高電圧
の交流電流を印加すると、水滴の吸着膜が電場の影響を
受けてその配列を変え、衝突の頻度が高くなると同時に
互いに引き合うので、これによりエマルジョン状態の水
滴を合体させて分離可能な水分とする方法も採用されて
いる。しかしながら、界面活性剤を投入する場合に
は、油の温度、油の処理速度、油の成分、油中の塩分濃
度に対応した最適な界面活性剤を選定し、かつ投入条件
を検討する必要がある。また界面活性剤は、油中または
水中の塩分濃度に強い制限を受けるために、場所ごと、
層準ごとに使用条件を検討しなければならないという不
都合があった。また高電圧交流電流を印加する場合
は、設備設置場所、設備投資費用、高電圧に伴う引火、
火災の防止対策、電源供給方法などの問題があった。
【0008】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、原油の性状によらず原油中の水分を高度に分離除去
できるようにして、界面活性剤の添加や高圧電流の印加
等を行わなくても水分率が低い脱水油が得られるように
すること、処理効率を向上させて、小型の設備でも処理
量を多くできるようにすること、泥質を含まない脱水油
が得られるようにすることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明の原油処理装置は、原油中の水分を分離除去す
る装置であって、下部に排水口を有する処理槽内に原油
中の油分を選択的に透過する膜が配され、一端が前記膜
を透過した脱水油の流路に連通し、他端が該処理槽内に
おける原油液面より下方位置で開口する取出管を備えて
いることを特徴とするものである。前記膜は疎水性膜で
あることが好ましい。前記膜として、中空糸膜、平膜、
または管状膜をからなる群から選ばれる少なくとも1種
が好ましく用いられる。前記膜として、複数本の中空糸
膜を概略平行に並べ、該中空糸膜の少なくとも一方の端
部に該中空糸膜内部と連通する集油管を液密に固定して
なる中空糸膜モジュールが好ましい。前記膜は、前記処
理槽内に着脱自在に取り付けられていることが好まし
い。前記処理槽内の前記膜の下方に泡流発生装置を設け
ることが好ましい。前記処理槽内を加熱および保温する
手段を設けることが好ましい。前記膜を前記処理槽内に
可動に取り付け、該膜を動かす駆動手段を設けることが
好ましい。
【0010】また本発明の原油の処理方法は、本発明の
原油処理装置を用い、前記処理槽内に原油を供給すると
ともに、該原油中に前記膜を浸漬させ、該膜により原油
を重力濾過することを特徴とするものである。前記膜に
よる重力濾過を間欠的に行うことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の原油処理装置の第1の実施例を示したも
のである。本実施例において処理槽7は下部に排水口5
を有するもので、その内部には原油が貯められており、
この原油中に中空糸膜ユニット11が浸漬されている。
中空糸膜ユニット11は、複数の中空糸膜モジュール1
をユニット化したものであり、この中空糸膜ユニット1
1には中空糸膜モジュール1を透過した脱水油を処理槽
7外へ取り出すための取出管23が接続されている。取
出管23は一端が中空糸膜ユニット11の脱水油流路に
連通するとともに、他端が流量調整弁24を介して処理
槽7の外部に連通しており、その先端23aは処理槽7
内における原油の液面L1より下方位置で開口してい
る。また、この取出管23の先端23aは脱水油槽25
内に位置しており、この脱水油槽25には、その液面を
一定に維持するための越流管26が設けられている。
尚、取出管23は図1中に二点鎖線(図中符号23b)
で示すように、管の中途部分が処理槽7内における原油
の液面L1より上方に位置するサイホン管で構成しても
よい。
【0012】処理槽7内の中空糸膜ユニット11の下方
には、泡流発生装置4が設けられており、これにはブロ
ワー9が接続されている。また処理槽7に隣接して原油
槽32が設けられており、これらはオーバーフロー管3
3を介して連通している。オーバーフロー管33は集液
口33aが処理槽7内の中空糸膜ユニット11より上方
位置で開口しており、排出口33bが原油槽32内で開
口している。またオーバーフロー管33の中途部分に
は、上下方向に伸縮自在な蛇腹部33cが形成されると
ともに、集液口33aを上下に駆動させるためのシリン
ダ装置34が設けられている。原油槽32は、これに原
油を供給するための原油供給管35を備えている。また
原油槽32の底部には、循環ポンプ36を介装した循環
管37がの基端が開口しており、この循環管37の先端
は処理槽7内で開口している。尚、原油槽32と処理槽
7とはオーバーフロー管33を介して連通していればよ
く、これらは必ずしも隣接していなくてもよい。
【0013】図3および図4は中空糸膜ユニット11の
例を示したもので、図3は正面図、図4は図3中IV−IV
線に沿う断面図である。この例の中空糸膜ユニット11
は、平行に配された2枚の板状のサイドプレート15,
15の四隅部分に、互いに平行な2本の大集油管12,
12および2本の支持管14,14の両端がそれぞれ固
定されて箱形の枠体が構成されており、この枠体に8本
の中空糸膜モジュール1,1…が取り付けられて概略構
成されている。個々の中空糸膜モジュール1は、図2に
示すように、複数本の中空糸膜2が概略平行に並べられ
たスクリーン部2aと、その両端に固定された集油管
3,3とからなっている。
【0014】中空糸膜2は、多孔質の中空繊維であり、
その表面特性が疎水性であることが好ましい。例えば、
疎水性高分子からなる中空糸膜や、親水性高分子からな
る中空糸膜であればその表面に疎水機能を付与したもの
が好ましく用いられる。中空糸膜2の表面が疎水性であ
ると、原油中の油分は疎水性であるため中空糸膜2を容
易に通過し、原油中の水分は膜表面で撥水して中空糸膜
2を通過することができないため、原油中の油水分離を
効率良く行うことができる。中空糸膜2の素材として
は、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ
スルホン系、ポリ四フッ化エチレン(テフロン)系、ポ
リカーボネート系、ポリエステル系、セルロース系、ポ
リアミド系、芳香族ポリアミド系、ポリアクリロニトリ
ル系、ポリメチルメタクリル系、ポリビニルアルコール
系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテ
ル系などを用いることができる。また中空糸膜2の表面
特性が撥水性であれば、中空糸膜2を透過した油分(本
明細書では「脱水油」と称する)の水分率をさらに低下
させることができるので好ましい。例えば中空糸膜2の
表面にフッ素樹脂をコーティングすることによって、中
空糸膜2の表面を撥水性とすることができる。
【0015】中空糸膜2の好ましい内外径および膜厚
は、外径2000μm以下、内径1800μm以下、膜
厚200μm以下であり、より好ましくは外径600μ
m以下、内径400μm以下、膜厚100μm以下であ
る。また多孔質膜である中空糸膜2の孔径を選定するこ
とによって脱水油の水分率を制御することができ、孔径
が小さいほど脱水油の水分率は低下する。一般に、脱水
油の水分率は、2.0%以下とすることが好ましいとさ
れている。好ましくは中空糸膜2の孔径を1.0μm以
下とすれば、原油中の水分のみならず水滴エマルジョン
をも分離除去できるので、カールフィッシャー法により
測定される脱水油の水分率を2.0%以下にすることが
できるが、より好ましい孔径は0.2μm以下である。
また中空糸膜2の空孔率は20〜90%であることが望
ましい。また中空糸膜モジュール1を構成する中空糸膜
2の長さは長いほどスクリーン部2aの面積を大きくで
きるが、長すぎると処理効率が悪くなるので、100m
m〜2000mm程度の範囲内で、処理される原油の性
状に応じて設定するのが好ましい。中空糸膜モジュール
1を構成する中空糸膜2の数は、スクリーン部2aの面
積および中空糸膜2の総表面積によって装置の処理能力
が変わるので、処理される原油の性状や要求される処理
能力等に応じて設計される。
【0016】中空糸膜モジュール1の集油管3,3は、
その内部を脱水油が流れる管状のもので、端部には脱水
油取り出し口3aが形成されている。集油管3,3の材
質としては、機械的強度および耐久性に優れ、脱水油に
対する耐腐食性を有するものが好ましく用いられ、例え
ばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタ
ール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、PBT樹
脂等が挙げられる。なお、本実施形態では集油管3,3
は断面円形に形成されているが、これに限らず任意の形
状の管体を用いることができる。そしてスクリーン状に
並べられた多数の中空糸膜2の両側の端部が、集油管
3,3の側面に形成されたスリット(図示略)に挿入さ
れ、そこに固定部材が充填されることにより、中空糸膜
2と集油管3,3とが液密に固定されている。この状態
で、集油管3,3内部は中空糸膜2の内部と連通してい
る。また上記固定部材は、多数の中空糸膜2の各端部を
その開口状態を保ったまま集油管3に固定するもので、
例えば、エポキシ樹脂、不飽和エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂などの液状樹脂を硬化させたものや、ポリオレ
フィン等を溶融、冷却固化させたものなどを使用するこ
とができる。中空糸膜2の固定は、両端部に限らず、片
端部のみとしてもよい。そして一端部のみを集油管3に
固定する場合には、集油管3に固定しない他端部は、中
空糸膜2の開口端から未処理の原油が流入しないように
封止しておく必要がある。あるいは中空糸膜2をU字状
にして片端部のみで固定してもよい
【0017】この例の中空糸膜ユニット11は、8本の
中空糸膜モジュール1,1…を、集油管3,3…および
スクリーン面2a,2a…が互いに平行となるように並
べ、一端側の8本の集油管3,3…の上端を一方の大集
油管12に連結し、他端側の8本の集油管の上端を他方
の大集油管12に連結したもので、これにより大集油管
12と集油管3が連通した状態となっている。また集油
管3の下端は大集油管12と平行に設けられた支持管1
4に固定されている。そして大集油管12には脱水油の
取出管23が連通されている。集油管3の下端は封止状
態とし、支持管14にはただ挿入穴を設けて、ここに集
油管3の下端をさし込むガイド状態の支持管14として
もよい。個々の中空糸膜モジュール1は、大集油管12
および支持管14に着脱自在に取り付けることが好まし
く、特に、カプラを用いて取り付ければ、メンテナンス
が非常に簡単である。
【0018】本実施例において、中空糸膜ユニット11
は、スクリーン部2aの面に沿う方向および集油管3の
長さ方向が、鉛直方向(液面に対して垂直方向)とな
り、大集油管12に接続された取出管23が下側となる
ように処理槽7内に配置されているが、これに限らず、
処理される原油の性状、処理槽7内での原油の流れ方
向、要求される処理速度、流量、処理槽7の構造などを
考慮して、水平方向または鉛直方向に対して、縦方向、
横方向、あるいは斜め方向に配設することができる。
尚、中空糸膜ユニット11を構成する中空糸膜モジュー
ル1の数は任意とすることができ、またユニット化せず
に、1本の中空糸膜モジュール1を単独で用いてもよ
い。
【0019】泡流発生装置4は、中空糸膜ユニット11
の下方で気体をバブリングさせるもので、気体を供給す
るブロワー9に接続されている。泡流発生装置4の任意
の方向から気泡が発生し、これによって処理槽7内の原
油には、図1中矢印で示すように、中空糸膜モジュール
1のスクリーン部2aの面に沿って下方から上方へ、そ
して中空糸膜ユニット11と処理槽7内壁との間を上方
から下方へと流れる旋回流が生じる。したがって、原油
の性状によらず、中空糸膜2表面での分離処理効率をよ
り向上させることができると同時に、中空糸膜2の膜孔
の目詰まりを軽減させることができる。そして上記の旋
回流が効率よく生じるように、装置の設計に際しては、
中空糸膜ユニット11の上下左右に下向流が形成される
ための十分な空間を形成して、各中空糸膜モジュール1
のスクリーン部2a付近は確実に上向流となるようにす
ることが好ましい。また図示していないが、泡流発生装
置4から発生した気泡が外方、すなわち中空糸膜モジュ
ール1と処理層7内壁との間に逃げて原油の流れを乱さ
ないように、泡流発生装置4と中空糸膜モジュール1と
の間の外方に筒状の遮蔽板を設けても良い。泡流発生装
置4は、中空糸膜モジュール1のスクリーン部2aの面
に均等に、効率良く気泡が当たるように、気泡が発生す
る穴の位置、泡流発生装置4と中空糸膜モジュール1と
の位置関係、および気泡の発生量等を、処理される原油
の性状に応じて選択するのが好ましい。また使用される
気体としては、処理される原油に対して影響が少ないも
のが好ましく、例えば空気、炭酸ガス、窒素ガス、液化
石油ガス(LPG)等を一般的に用いることができる。
【0020】また、処理槽7内で中空糸膜ユニット11
を駆動させることも好ましく、原油の性状によらず中空
糸膜2表面での分離処理効率をより向上させると同時
に、中空糸膜2の膜孔の目詰まりを軽減させるのに有効
である。特に、上記のようにして原油に流れを発生させ
ると同時に中空糸膜ユニット11を駆動させればより好
ましい。例えば中空糸膜ユニット11を上下左右など適
宜の方向に移動、回転させることができるように、中空
糸膜ユニット11を処理槽7内に可動に取り付けるとと
もに、適宜の駆動手段を設けてもよい。あるいは中空糸
膜ユニット1を揺動あるいは振動させるために、偏心カ
ム、超音波振動装置、またはバイブレータなどの駆動手
段を適宜設けてもよい。
【0021】循環ポンプ36としては、防爆処理が施さ
れたポンプが使用され、大きく分けて往復動ポンプ(定
量ポンプ)と回転ポンプ(ロータリーポンプ)が挙げら
れる。往復動ポンプとしては、ピストンポンプ、ダイヤ
フラムポンプ、ウイングポンプ等が挙げられ、回転ポン
プとしては、ギアポンプ、偏心ポンプ、ネジポンプ等が
挙げられる。また材質としては、金属製ポンプ、ライニ
ングポンプ、樹脂製ポンプ、磁器ポンプ等の公知のもの
が使用できる。これらのポンプは、種類に応じて作用原
理、構造、特性などが異なるので、処理の対象となる原
油の性状や処理量等に応じて選択するのが好ましい。
【0022】また図示していないが、処理槽7の外側に
処理槽7内の原油を加熱あるいは保温するための加熱装
置を設けることが好ましい。このようにして処理槽7内
の原油を適切な温度に加熱し保温することによって原油
の粘性が低下するので、原油の性状によらず中空糸膜2
による分離効率が向上するとともに、熱による水滴エマ
ルジョンの破壊促進、および原油からの水分分離も生じ
るので好ましい。好ましい加熱装置の例としてはスチー
ムパイプライン、オイルジャケット、温水循環装置、電
気ヒーターコイル等の加熱装置が挙げられる。また加熱
温度は高すぎると気化物(ガス)の発生が多くなり、低
すぎると原油の粘度が高くなり分離効率が低くなるた
め、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは40℃
〜60℃の範囲で設定される。
【0023】このような原油処理装置を用いて原油の水
分分離処理を行うには、まず原油供給管35から原油槽
32内に原油を供給して、ここに一端貯留する。そし
て、循環ポンプ36を駆動させて、原油を循環管37を
通して処理槽7内へ供給する。処理槽7内においては、
余剰な原油がオーバーフロー管33を通って原油槽32
へ戻るので、原油の液面L1は、オーバーフロー管33
の集液口33aの位置に維持される。一方、ブロワー9
から泡流発生装置4へ気体を供給して、中空糸膜ユニッ
ト11の下方でバブリングを行う。また好ましくは、加
熱装置(図示せず)により処理槽7内の原油を適切な温
度に加熱、保温する。
【0024】この状態において、処理槽7内の中空糸膜
ユニット11には、原油の液面L1と取出管23の先端
23aとの間に高低差があるので重力による圧力差が生
じ、このために中空糸膜ユニット11に作用する液圧を
駆動圧力として、処理槽7内の原油が重力濾過されて油
水分離される。すなわち、処理槽7内の原油のうち、中
空糸膜2を透過できる油分(脱水油)が、中空糸膜2、
集油管3、大集油管12、および取出管23を経て処理
槽7外へ取り出され、脱水油槽25に貯留される。一
方、原油中の水分は中空糸膜2を透過できず、時間の経
過に伴って比重差により沈降し、処理槽7の下部に分離
水層10を形成するので、これを排水口5から適宜排水
すればよい。また原油中の泥質も中空糸膜2を透過でき
ず、重力によって沈降するので分離水層10の水と共に
排水口5から排出することができる。また原油に溶存し
ている天然ガスは大部分が中空糸膜2を透過して脱水油
とともに取り出されるので、脱水油槽25にて脱ガス処
理を施すことが好ましい。そして脱ガス処理により取り
出された天然ガスを泡流発生装置4へ供給してバブリン
グガスとして再利用することも可能であり、このように
すれば運転コストを低減させる点で有利である。
【0025】また、シリンダ装置34によって集液口3
3aを昇降させることにより、処理槽7内の原油の液面
1の高さを変化させ、中空糸膜ユニット11に作用さ
せる圧力を制御することができる。したがって、例えば
初期設定時や駆動圧力の不足時など、必要に応じて中空
糸膜ユニット11における透過流束を調整することがで
きる。あるいは、取出管23に介装されている流量調整
弁24を操作することによって、中空糸膜ユニット11
に与える背圧を調整し、中空糸膜ユニット11における
透過流速を制御することもできる。
【0026】さらに、取出管23に介装されている流量
調整弁24を操作して、中空糸膜ユニット11での重力
濾過を間欠的に行うこともでき、連続して濾過を行った
場合には中空糸膜2の表面の微細孔付近に濾過濁質が過
剰に堆積するおそれがあるので、これを防ぐのに好まし
い。すなわち、流量調整弁24を閉じて濾過を停止させ
ると、泡流発生装置4から発生する気泡が中空糸膜2の
表面を洗浄する役割を果たし、堆積固形物が拡散して膜
表面が清浄な状態に戻る。したがって、逆流洗浄を必要
とせずに、中空糸膜2表面を清浄な状態に保つことがで
きるので、メンテナンスのための設備や作業を削減でき
る利点がある。また図示していないが、流量調整弁24
と中空糸膜ユニット11との間の取出管23に給気管を
接続し、流量調整弁24を閉じて濾過を停止させている
間に給気を行えば、中空糸膜ユニット11へ空気が流れ
て中空糸膜2の逆流洗浄を行うことができる。また、空
気の代わりに炭酸ガス、窒素ガス、液化石油ガス(LP
G)等を用いてもよく、あるいは気体でなく、油水分離
処理済みの脱水油を逆流させて逆流洗浄を行うこともで
きる。
【0027】このように本実施例の装置を用いた原油の
処理方法によれば、処理槽7内における原油の液面L1
を所定の位置に維持することができ、この液面L1と脱
水油槽25における脱水油の液面との差に応じた液圧を
中空糸膜ユニット11に作用させることができる。すな
わち重力による圧力差を駆動圧力として原油の重力濾過
を行うので、外部から別途動力を加えることなく、中空
糸膜2による原油の油水分離処理を行うことができる。
したがって、処理槽7を開放系とすることができ、処理
槽7において原油から発生するガスの処理を行う必要が
ない。また重力濾過は、膜を透過する際の原油の圧力変
化が緩やかであるので、膜間差圧による原油中の溶存ガ
スの発生、放出量が非常に少なくて済む。また従来のよ
うに比重差による水分の沈降を待たずに、効率よく油水
分離処理を行うことができるので、小型の装置で大量の
原油の処理を行うことが可能である。さらに中空糸膜2
を用いて原油を濾過するので、原油の性状によらず原油
から水分を高度に分離除去できるとともに、泥質をも分
離除去することができ、水分率が低く、泥質も含まない
脱水油が得られる。また本実施例では、中空糸膜2が用
いられているので、原油の濾過に有効な単位容積当たり
の膜面積が大きく、処理効率が良い。また複数の中空糸
膜2がモジュール化され、さらにユニット化されて用い
られているので、中空糸膜2の取り扱い性に優れてい
る。
【0028】図5は本発明の原油処理装置の第2の実施
例を示したものである。この図において図1〜4と同じ
構成要素には同じ符号を付して説明を省略することがあ
る。本実施例において、処理槽47は下部に排水口5を
有するとともに、上部に隔壁によって分離された液面制
御室41が設けられている。処理槽47の内部には原油
が貯められており、この原油中に中空糸膜ユニット11
が浸漬されている。中空糸膜ユニット11は、スクリー
ン部2aの面に沿う方向および集油管3の長さ方向が、
鉛直方向(液面に対して垂直方向)となり、大集油管1
2が上側となるように配されており、この大集油管12
には取出管40の一端が接続されている。そして取出管
40の他端は、中空糸膜ユニット11の上端より上方の
接続位置Pで、液面制御室41に連通するヘッダー42
に接続されている。すなわち、処理槽47と液面制御室
41とが、中空糸膜ユニット11を介して、上記接続位
置Pで連通されており、液面制御室41には中空糸膜ユ
ニット11で濾過された脱水油が貯められるようになっ
ている。また処理槽47内の中空糸膜ユニット11の下
方には、泡流発生装置4が設けられており、これにはブ
ロワー9が接続されている。さらに泡流発生装置4およ
び中空糸膜ユニット11の周囲には筒状の遮蔽板48が
設けられ、泡流発生装置4から発生した気泡が中空糸膜
ユニット11の外方に逃げないように構成されている。
【0029】液面制御室41には、室内の底部で開口す
る揚液管43を備えたポンプ44が設けられており、こ
れにより液面制御室41内の脱水油を脱水油槽49へ排
出できるようになっている。また液面制御室41には液
面計46が設けられており、この液面計46とポンプ4
4が制御装置45に接続されており、ポンプ44による
揚液を制御することによって液面制御室41内の液面位
置を制御できるように構成されている。ポンプ44とし
ては、防爆処理が施されたポンプが使用され、上記第1
の実施例における循環ポンプ36と同様の種類のものを
用いることができる。ここで、液面制御室41の液面
は、前記取出管40とヘッダー42との接続位置Pより
上方に設定された揚液停止位置L2と、この揚液停止位
置L2の上方の適宜の位置に設定された揚液起動位置L3
との間に維持されるように制御されている。また上記第
1の実施例と同様に、処理槽47内で中空糸膜ユニット
11を駆動させるように構成してもよく、さらに処理槽
47内の原油を加熱および保温するための加熱装置を設
けることが好ましい。尚、本実施例では処理槽47に隣
接して液面制御室41を設けたが、処理槽47および液
面制御室41を互いに離れた位置に独立して設けてもよ
い。
【0030】このような原油処理装置を用いて原油の水
分分離処理を行うには、まず処理槽47内に原油を供給
し、その中に中空糸膜ユニット11を浸漬させるととも
に、泡流発生装置4から気泡を発生させる。このとき、
処理槽47内の液面が液面制御室41内の液面より上方
位置にあれば、両液面における重力による圧力差を駆動
圧力として、処理槽47内の原油が中空糸膜ユニット1
1により重力濾過されて油水分離される。すなわち、処
理槽47内の原油のうち中空糸膜2を透過できる油分
(脱水油)が、中空糸膜2、集油管3、大集油管12、
取出管40、ヘッダー42を経て、液面制御室41へと
流入する。一方、原油中の水分は中空糸膜2を透過でき
ず、時間の経過に伴って比重差により沈降し、処理槽4
7の下部に分離水層10を形成するので、これを排水口
5から適宜排水すればよい。また原油中の泥質も中空糸
膜2を透過できず、重力によって沈降するので分離水層
10の水と共に排水口5から排出することができる。ま
た原油に溶存している天然ガスは大部分が中空糸膜2を
透過して脱水油とともに取り出されるので、例えば脱水
油槽49にて脱ガス処理を施すことが好ましい。そして
脱ガス処理により取り出された天然ガスを泡流発生装置
4へ供給してバブリングガスとして再利用することも可
能であり、このようにすれば運転コストを低減させる点
で有利である。
【0031】そして、液面制御室41内の脱水油はポン
プ44によって脱水油槽49へと排出されるとともに、
ポンプ44の制御によって液面制御室41内の液面は揚
液停止位置L2と揚液起動位置L3との間に維持される。
またポンプ44を停止させて液面制御室41からの脱水
油の排出を停止させると同時に、処理槽47への原油の
供給を停止すれば、やがて液面制御室41と処理槽47
の液面が等しくなり、中空糸膜ユニット11に液面差に
よる圧力が作用しなくなって中空糸膜2による重力濾過
は停止する。したがって、このようにして濾過を間欠的
に行えば、その間に中空糸膜2の膜面が泡流発生装置4
から発生する気泡によって洗浄されるので、目詰まりを
防ぐうえで好ましい。
【0032】このように本実施例の装置を用いた原油の
処理方法によれば、液面制御室41内の脱水油の液面が
一定の範囲に維持されるようになっているので、処理槽
47内の原油の液面と液面制御室41内の脱水油の液面
との差に応じた液圧を中空糸膜ユニット11に作用させ
ることができる。したがって、外部から別途動力を加え
ることなく、中空糸膜2による原油の油水分離処理を行
うことができる。また、処理槽47を開放系とすること
ができるので、処理槽47において原油から発生するガ
スの処理を行う必要がない。また重力濾過は、膜を透過
する際の原油の圧力変化が緩やかであるので、膜間差圧
による原油中の溶存ガスの発生、放出量が非常に少なく
て済む。また従来のように比重差による水分の沈降を待
たずに、効率よく油水分離処理を行うことができるの
で、小型の装置で大量の原油の処理を行うことが可能で
ある。さらに、中空糸膜2の目詰まりなどトラブルが生
じて中空糸膜2による濾過量が減少した場合には、液面
制御室41からの脱水油の排出が停止されるので、中空
糸膜ユニット11が大気中に露出されるおそれがない。
また本実施例においても、中空糸膜2を用いて原油の重
力濾過を行うので、水分率が低く、泥質も含まない脱水
油を効率よく得ることができるなど、上記第1の実施例
と同様の効果が得られる。
【0033】なお上記第1および第2の実施例では中空
糸膜2を用いたが、原油中の油分のみを選択的に透過す
る膜であればよく、中空糸膜2以外の多孔質膜体を用い
ることもできる。用いられる多孔質膜体は、表面特性が
疎水性または撥水性であるものが好ましい。中空糸膜2
以外の多孔質膜体としては、例えば、SiC、カーボ
ン、アルミナ、活性アルミナ、ガラス、コージェライ
ト、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート、チタ
ン酸アルミニウム等の多孔質セラミックス、またはN
i、Cu、Al、Ti、Fe、Coおよびその合金等の
多孔質粉末焼結体などがある。またこれらの多孔質体に
撥水処理を施すことが好ましく、例えば、シリコーン樹
脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂、種
々のカップリング剤等の撥水剤を用い、これら撥水剤の
溶剤希釈液、エマルジョン液、あるいは液化ガス分散液
中に多孔質体を浸漬させ、乾燥させればよい。あるい
は、多孔質膜体として、フッ素樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂の粉体等の焼結
成形体を用いることもできる。この焼結成形体は、目的
とする形状の空間を有する金型に粉末を充填し、その金
型を樹脂の溶融温度以上に加熱することによって、ある
いは粉末を一定厚さのシート状に供給し加熱炉を通すこ
とによって、粉末粒子相互の接触部を融着し、その後、
冷却することにより得られる。
【0034】多孔質膜体の形態としては、例えば平膜で
もよく、図6に示すような平膜エレメント52およびこ
れを複数個積層させた平膜ユニット51を用いることが
できる。この例の平膜エレメント52は、2枚の平膜5
3を平行に配し、これらの間の中空部の一辺部分を集油
管55に連通させ、これ以外の三辺部を封止して構成さ
れている。集油管55には脱水油取り出し口54が設け
られており、この脱水油取り出し口54に取出管23
(または40)を接続すればよい。あるいはこれ以外に
も、管状膜を用い、その中空部を取出管と連通させる構
成とすることも可能である。このように平膜53あるい
は管状膜を用いた場合も、中空糸膜モジュール1を用い
た場合と同様に原油の水分分離処理を高度にかつ効率よ
く行うことができる。特に平膜の場合には、膜面の洗浄
が容易であり、またモジュール量産化に適しているとい
う利点がある。
【0035】尚、原油の液面および脱水油の液面制御す
る方法は、上記の実施例の方法に限らず、既知の手法を
適宜応用することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明の原油処理装
置は、原油中の水分を分離除去する装置であって、下部
に排水口を有する処理槽内に原油中の油分を選択的に透
過する膜が配され、一端が前記膜を透過した脱水油の流
路に連通し、他端が該処理槽内における原油液面より下
方位置で開口する取出管を備えていることを特徴とする
ものである。また本発明の原油の処理方法は、本発明の
原油処理装置を用い、前記処理槽内に原油を供給し、該
原油中に前記膜を浸漬させ、該膜により原油を重力濾過
することを特徴とするものである。
【0037】本発明によれば、処理槽内における原油の
液面と脱水油の取出管の開口位置とに差を設け、重力に
よる圧力差を利用して前記膜で重力濾過を行うので、外
部から膜に対して動力を加えることなく、膜による原油
の油水分離処理を行うことができる。そして、原油の性
状によらず原油から水分を高度に分離除去できるととも
に泥質をも分離除去することができ、界面活性剤の使用
や高電圧の印加を行わなくても、水分率が低く、泥質も
含まない脱水油が得られる。また、処理槽を開放系とす
ることができるので、処理槽において原油から発生する
ガスの処理を行う必要がない。また重力濾過は、膜を透
過する際の原油の圧力変化が非常に緩やかであるので、
膜間差圧による原油中の溶存ガスの発生、放出量が非常
に少なくて済む。さらに、重力濾過は膜を透過する際の
流れが緩やかであるので、濾過される原油の性状(AP
I度、比重、粘度、流動点等)が大きく異なっても安定
して濾過することができる。また従来のように比重差に
よる水分の沈降を待たずに、効率よく油水分離処理を行
うことができるので、小型の装置で大量の原油の処理を
行うことが可能である。
【0038】前記膜として疎水性膜を用いれば、原油中
の油分は疎水性であるため膜を容易に通過し、原油中の
水分は膜表面で撥水するので、原油中の油水分離を効率
良く行うことができる。前記膜としては中空糸膜、平
膜、および管状膜からなる群から選ばれる少なくとも1
種を好ましく用いることができる。中空糸膜を用いる
と、原油の濾過に有効な、単位容積当たりの膜面積が大
きく、処理効率が良い。また平膜を用いると膜面の洗浄
を行い易く、またモジュール量産化に適している。前記
膜として、複数本の中空糸膜を概略平行に並べ、該中空
糸膜の少なくとも一方の端部に該中空糸膜内部と連通す
る集油管を液密に固定してなる中空糸膜モジュールを用
いれば、中空糸膜の取り扱いが容易である。また、前記
膜を前記処理槽内に着脱自在に取り付けることによっ
て、膜の交換やメンテナンスが容易になる。
【0039】前記処理槽内の前記膜の下方に泡流発生装
置を設けることにより、膜の表面付近で上方から下方へ
と流れる旋回流を発生させることができるので、原油の
性状によらず、膜表面での分離処理効率をより向上させ
ることができると同時に、膜の膜孔の目詰まりを軽減さ
せることができる。前記処理槽内を加熱および保温する
手段を設けることにより、処理槽内の原油の粘性を低下
させて膜による分離効率を向上できるとともに、熱によ
る水滴エマルジョンの破壊促進、および原油からの水分
分離も生じるので好ましい。前記膜を前記処理槽内に可
動に取り付け、該膜を動かす駆動手段を設けることによ
り、濾過処理中に膜を駆動させて、膜表面での分離処理
効率をより向上させることができると同時に、膜の膜孔
の目詰まりを軽減させる点で有利である。前記膜による
重力濾過を間欠的に行えば、連続して濾過を行った場合
に膜の表面の微細孔付近に濾過濁質が過剰に堆積するの
を防ぐのに好ましく、メンテナンスのための設備や作業
を削減できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原油処理装置の第1の実施例を示し
た概略構成図である。
【図2】 図1の装置に用いられている中空糸膜モジュ
ールの斜視図である。
【図3】 中空糸膜ユニットの例を示した正面図であ
る。
【図4】 図3の中空糸膜ユニットの断面図である。
【図5】 本発明の原油処理装置の第2の実施例を示し
た概略構成図である。
【図6】 平膜ユニットの例を示した斜視図である。
【図7】 従来の原油処理に用いられるセパレータを示
す概略構成図である。
【符号の説明】
1…中空糸膜モジュール、2…中空糸膜、4…泡流発生
装置、5…排水口、7,47…処理槽、11…中空糸膜
ユニット、23,40…取出管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 17/022 502 B01D 17/022 502D 502B 63/02 63/02 63/04 63/04 65/00 65/00 65/02 520 65/02 520 C10G 33/06 C10G 33/06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原油中の水分を分離除去する装置であっ
    て、下部に排水口を有する処理槽内に原油中の油分を選
    択的に透過する膜が配され、一端が前記膜を透過した脱
    水油の流路に連通し、他端が該処理槽内における原油液
    面より下方位置で開口する取出管を備えていることを特
    徴とする原油処理装置。
  2. 【請求項2】 前記膜が疎水性膜であることを特徴とす
    る請求項1記載の原油処理装置。
  3. 【請求項3】 前記膜が中空糸膜、平膜、および管状膜
    からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項1記載の原油処理装置。
  4. 【請求項4】 前記膜として、複数本の中空糸膜を概略
    平行に並べ、該中空糸膜の少なくとも一方の端部に該中
    空糸膜内部と連通する集油管を液密に固定してなる中空
    糸膜モジュールを用いてなることを特徴とする請求項1
    記載の原油処理装置。
  5. 【請求項5】 前記膜が前記処理槽内に着脱自在に取り
    付けられていることを特徴とする請求項1記載の原油処
    理装置。
  6. 【請求項6】 前記処理槽内の前記膜の下方に泡流発生
    装置を備えてなることを特徴とする請求項1記載の原油
    処理装置。
  7. 【請求項7】 前記処理槽内を加熱および保温する手段
    を備えてなることを特徴とする請求項1記載の原油処理
    装置。
  8. 【請求項8】 前記膜が前記処理槽内に可動に取り付け
    られており、該膜を動かす駆動手段を備えてなることを
    特徴とする請求項1記載の原油処理装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の装置を
    用い、前記処理槽内に原油を供給し、該原油中に前記膜
    を浸漬させ、該膜により原油を重力濾過することを特徴
    とする原油の処理方法。
  10. 【請求項10】 前記膜による重力濾過を間欠的に行う
    ことを特徴とする請求項9記載の原油の処理方法。
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