JPH11243717A - 発芽用シート及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 発芽させる育苗過程において、種の芽や根を
順調に成長させる。 【解決手段】 所定寸法の水溶性のメッシュ状紙基材の
上面に水溶性接着剤を塗布して接着シートを形成する接
着シート形成工程Ａと、接着シートの接着層に種子を置
いて種子シートを形成する種子シート形成工程Ｂと、種
子シートに水溶性のメッシュ状紙カバーを被せてサンド
イッチ状の不完全発芽用シートを形成する不完全発芽用
シート形成工程Ｃと、不完全発芽用シートを平均的に圧
着した後に乾燥させ、完全発芽用シートを形成する完全
発芽用シート形成工程Ｄとから成る発芽用シートの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、泥状の土壌上に敷
設される発芽用シート及びその製造方法に関する。本発
明の発芽用シートは、育苗過程に於いて、種を所望状態
に発芽させるために育苗箱に入れて使用される。

【０００２】

【従来の技術】従来、育苗箱に収納された土壌上に敷設
される発芽用シートの一例は、例えば特開平４−１８３
３０６号公報に記載されている。

【０００３】この公報記載の発芽用シートは、保水性の
紙基材と、この紙基材の上面に所定間隔を有して列状に
形成された封気域（種を収納する空間）と、これらの封
気域内にそれぞれ収納された種と、前記紙基材の上面に
設けられた肥料域と、この肥料域及び前記種をカバーす
るように紙基材の上面に貼着された保水性の紙カバーと
から成る。

【０００４】しかして、上記発芽用シートは、種をサン
ドイッチ状に挟む上下２枚の保水性の紙（紙基材と紙カ
バー）を用いているので、育苗上水分の供給に関しては
問題はないものの、これらの保水性の紙は、非水溶性な
ので、封気域内の種が、その芽や根を上下方向に伸ばす
場合には、材質自体の抵抗を受けながら、上下の紙をそ
れぞれ破って成長しなければならない。したがって、芽
や根の順調な成長を妨げる要因となっていた。また上記
発芽用シートは、各封気域を形成する環状部分のみに接
着手段（のり）が設けられているに過ぎないので、運搬
時の不注意により上面側の紙カバーが離れ易いと言う欠
点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本考案は以上のような
従来の欠点鑑み、第１の目的は、発芽させる育苗過程に
於いて、種の芽や根の順調に成長させることができるこ
とである。第２の目的は運搬時の不注意により上面側紙
カバーが容易に剥離しないことである。第３の目的は、
種を接着シートに簡単に固着させることができることで
ある。第４の目的は効率的に発芽用シートを製造するこ
とができることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の発芽用シート
は、水溶性のメッシュ状紙基材と、この紙基材の上面に
設けられた水溶性接着層と、この水溶性接着層に固定さ
れた複数の種子と、これらの種子をカバーするように前
記水溶性接着層に接着された水溶性のメッシュ状紙カバ
ーとから成る。

【０００７】また本発明の発芽用シートの製造方法は、
まず所定寸法の水溶性のメッシュ状紙基材の上面に水溶
性接着剤を塗布して接着シートを形成する接着シート形
成工程Ａと、次に接着シートの接着層に種子を置いて種
子シートを形成する種子シート形成工程Ｂと、次に種子
シートに水溶性のメッシュ状紙カバーを被せてサンドイ
ッチ状の不完全発芽用シートを形成する不完全発芽用シ
ート形成工程Ｃと、最後に不完全発芽用シートを平均的
に圧着した後に乾燥させ、完全発芽用シートを形成する
完全発芽用シート形成工程Ｄとから成る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１乃至図４に示す発芽用シート
の製造方法の一例で、本発明の実施の形態を説明する。
なお、製造方法を説明するに当って、説明の便宜上、図
５及び図６で示す発芽用シート１０の符号をそのまま援
用する。

【０００９】まずＡは所定寸法の水溶性のメッシュ状紙
基材１の上面に水溶性接着剤２を塗布して接着シート３
を形成する接着シート形成工程である。メッシュ状紙基
材１は、図示しないロール状のメッシュ状素紙をカッタ
ーで所定寸法に切断することにより得られる。シート状
の紙基材１の大きさは、泥状の土壌を収納した育苗箱の
上部開口を考慮して任意に決定される。この紙基材１
は、水溶性であるから、育苗箱内の泥状土壌に発芽用シ
ート１０を敷設した場合には容易に溶ける。

【００１０】水溶性接着剤２は、容器（例えばバケツ）
４に収納され、刷毛５を介してメッシュ状紙基材１の上
面に全面的に塗布される。この場合紙基材１は、後述す
る支持板１１の上面に置かれている。

【００１１】次にＢは接着シート３の面状接着層２ａに
種子６を列状に置いて種子シート７を形成する種子シー
ト形成工程である。

【００１２】接着層２ａに種子６を列状に置く場合に
は、主に人の手で行われる。例えば種子６が稲の種子
（コシヒカリ、ササニシキ等の種）である場合には、２
〜３粒程度の種子６を指で摘んで接着層２ａに落とす。
この場合落とされた各種子６の間に多少の間隔を設ける
のが望ましい。そして、各種子６は前記接着層２ａに多
少浮かんだ或いは沈殿した状態に載る。なお、種子６如
何によっては、面状接着層２ａにバラバラに置いても良
い。

【００１３】次にＣは種子シート７に水溶性のメッシュ
状紙カバー８を被せてサンドイッチ状の不完全発芽用シ
ート９を形成する不完全発芽用シート形成工程である。

【００１４】不完全発芽用シート９も前述した紙基材１
と同様に図示しないロール状のメッシュ状カバー素紙を
カッターで所定寸法に切断することにより得られる。ま
た不完全発芽用シート９の大きさも、育苗箱の上部開口
を考慮して任意に決定される。本実施例では、不完全発
芽用シート９の大きと紙基材１のそれとは略同一であ
る。さらに、不完全発芽用シート９は、水溶性であるか
ら、育苗箱内の泥状土壌に発芽用シート１０を敷設した
場合には紙基材１と同様に容易に溶ける。

【００１５】Ｄは不完全発芽用シート９を平均的に圧着
した後に乾燥させ、完全発芽用シート１０を形成する完
全発芽用シート形成工程である。

【００１６】不完全発芽用シート９を圧着する場合に
は、図４で示すように支持板１１と押圧用ローラ１２を
用いる。前述したように、まずメッシュ状紙基材１が接
着シート３に変わり、次いで接着シート３から種子シー
ト７に変わり、次いで種子シート７から不完全発芽用シ
ート９に変わる間、つまり、本発明のＡ乃至Ｃの各工程
で得られる各シート３、７、９は、常に支持板１１の上
面に載置されている。

【００１７】そこで、支持板１１の上面に出来上がった
不完全発芽用シート９を手動式の押圧用ローラ１２で適
宜に押圧し、メッシュ状紙基材１とメッシュ状紙カバー
８とを接着層２ａを介して一体的に接着させる。、普通
一般のローラと同様であり、軸部を有する把手１２ａ
と、この把手１２ａの軸部に支承されたローラ本体１２
ｂとから成る。

【００１８】しかして、不完全発芽用シート９を押圧用
ローラ１２で平均的に押圧した後、電気式の乾燥板１３
上に不完全発芽用シート９を移し替えて所要時間乾燥さ
せる。この場合、不完全発芽用シート９の下面側に現れ
た接着層２ａの一部が乾燥板１３に接着しない頃を見計
らってから不完全発芽用シート９を乾燥板１３に載せる
のが望ましい。乾燥板１３は、差込み部１３ａ及び電気
コード部１３ｂを有すると共に、内部に所要温度を発熱
する発熱部材（発熱板、発熱線等）１３ｃを有する。そ
して、不完全発芽用シート９が乾燥すると、最終的に完
全発芽用シート（発芽用シート）１０が出来上がる。

【００１９】次に図５及び図６で示す発芽用シー育苗箱
に収納された土壌上に敷設される発芽用シートト１０
は、上記Ａ乃至Ｄの各工程により製造された物である。

【００２０】したがって、この発芽用シート１０は、水
溶性のメッシュ状紙基材１と、この紙基材１の上面に設
けられた水溶性接着層２ａと、この水溶性接着層２ａに
列状に固定された複数の種子６と、これらの種子６をカ
バーするように前記水溶性接着層２ａに接着された水溶
性のメッシュ状紙カバー８とから成る。

【００２１】上記構成に於いては、図示しない育苗箱に
収納された泥状の土壌上に発芽用シートを敷設する。

【００２２】

【実施例】発明の実施の形態で説明した一実施例に於い
て、完全発芽用シート形成工程Ｄで使用される押圧手段
１２の他の例としては、矩形状の押圧板（金属板、合成
板、ゴム板等）でも良い。また完全発芽用シート形成工
程Ｄで不完全発芽用シート９を圧着する場合に、支持板
１１と不完全発芽用シート９との間に可撓性剥離シート
を介在させても良い。また完全発芽用シート形成工程の
電気式乾燥板１３の形状は、カーペット状であっても良
い。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にあっては次に列挙するような効果がある。 （１）育苗過程に於いて、種が芽や根を上下方向に伸ば
す場合には、基材等の抵抗を受けない。すなわち、育苗
箱に収納された泥状の土壌上に発芽用シートを敷設する
と、メッシュ状紙基材並びに紙カバーは、泥水により時
間の経過と共に溶け始めると共に、種の芽及び根は、そ
れぞれ基材や紙カバーメッシュの目の部分を突き抜ける
ように成長するので、基材並びに紙カバーの抵抗を受け
ない。したがって、種の芽や根の順調に成長させること
ができる。 （２）完全発芽用シート形成工程を採用しているので、
運搬時の不注意により上面側紙カバーが容易に剥離しな
いと共に、発芽用シートの軽量化を図ることができる。 （３）接着シート形成工程を採用しているので、種を接
着シートに簡単に列置、又はバラバラに固定させること
ができる。 （４）完全発芽用シート形成工程に於いて、電気式乾燥
板を用いているので、発芽用シートを効率的に製造する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例を示す工程図。

【図２】接着シート形成工程及び種子シート形成工程の
説明図。

【図３】不完全発芽用シート形成工程の説明図。

【図４】完全発芽用シート形成工程の説明図。

【図５】完全発芽シート（発芽用シート）の説明図。

【図６】図５に於いて、主要部の概略断面説明図。

【符号の説明】

Ａ…接着シート形成工程、Ｂ…種子シート形成工程、Ｃ
…不完全発芽用シート形成工程、Ｄ…完全発芽用シート
形成工程、１…紙基材、２…水溶性接着剤、３…接着シ
ート、７…種子シート、８…紙カバー、９…不完全発芽
シート、１０…完全発芽シート（発芽用シート）、１１
…支持板、１２…押圧手段、１６…乾燥板。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成１０年４月１５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図５】

【図６】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水溶性のメッシュ状紙基材と、この紙基
   材の上面に設けられた水溶性接着層と、この水溶性接着
   層に固定された複数の種子と、これらの種子をカバーす
   るように前記水溶性接着層に接着された水溶性のメッシ
   ュ状紙カバーとから成る発芽用シート。
2. 【請求項２】 まず所定寸法の水溶性のメッシュ状紙基
   材の上面に水溶性接着剤を塗布して接着シートを形成す
   る接着シート形成工程Ａと、次に接着シートの接着層に
   種子を置いて種子シートを形成する種子シート形成工程
   Ｂと、次に種子シートに水溶性のメッシュ状紙カバーを
   被せてサンドイッチ状の不完全発芽用シートを形成する
   不完全発芽用シート形成工程Ｃと、最後に不完全発芽用
   シートを平均的に圧着した後に乾燥させ、完全発芽用シ
   ートを形成する完全発芽用シート形成工程Ｄとから成る
   発芽用シートの製造方法。