JPH11242829A - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光記録媒体及びその製造方法

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JPH11242829A
JPH11242829A JP10122333A JP12233398A JPH11242829A JP H11242829 A JPH11242829 A JP H11242829A JP 10122333 A JP10122333 A JP 10122333A JP 12233398 A JP12233398 A JP 12233398A JP H11242829 A JPH11242829 A JP H11242829A
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JP
Japan
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layer
resin
substrate
mold
resin layer
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10122333A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Arakawa
宣之 荒川
Yuji Akiyama
雄治 秋山
Toshiyuki Kashiwagi
俊行 柏木
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な強度が確保されて反り等の変形がなく
優れた耐久性を有し、かつ高密度記録化に十分対応可能
な光記録媒体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 光ディスク1は、基板2上に少なくとも
記録層4と光透過層5とが順次形成されており、当該光
透過層5側から光が入射されて情報信号の記録及び/又
は再生が行われる。基板2は、記録層4が形成される側
の面を形成する第1の樹脂層7と、第1の樹脂層7に積
層され第1の樹脂層7を形成する樹脂材料よりも曲げ弾
性率の大きい樹脂材料からなる第2の樹脂層6とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に少なくと
も記録層と光透過層とが形成されてなる光記録媒体及び
その製造方法に関する。詳しくは、基板を多層構造とす
ることにより強度が向上されて耐久性に優れ、しかも高
密度記録化に十分対応可能となされた光記録媒体及びそ
の製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】オーディオ用、ビデオ用、その他各種情
報を記録する媒体として光記録媒体や磁気記録媒体が知
られている。具体的には、エンボスピットによって情報
信号が予め書き込まれる光ディスクや、記録膜の相変化
を利用して情報信号が書き込まれる相変化型光ディスク
や、記録膜の磁気光学効果を利用して情報信号が書き込
まれる光磁気ディスクや、磁気的に情報信号が書き込ま
れる磁気ディスク等がある。
【0003】これらディスク状の記録媒体では、データ
やトラッキング信号等の記録がなされる位相ピットやプ
リグルーブ等の微細な凹凸が形成された樹脂製のディス
ク基板が用いられている。
【0004】従来、このような樹脂製のディスク基板
は、図13に示すような射出成形装置金型部を用いて射
出成形により成形される。図13は、射出成形装置金型
部を示す断面図である。
【0005】射出成形装置金型部100は、ディスク基
板の一方の主面を形成する固定金型1011aと、この
固定金型101aと相対向して配置されてディスク基板
の他方の主面を形成する可動金型101bと、ディスク
基板の外周側面を形成する外周金型112とを主に備え
る。ここで、固定金型101a及び/又は可動金型10
1bには、情報信号等の所望の凹凸パターンに応じた凹
凸が形成されたスタンパが取り付けられている。
【0006】可動金型101bは、図示しない駆動機構
によって固定金型101aに対して接離動作する。そし
て、これら固定金型101a、可動金型101b及び外
周金型112は、型締め状態においてキャビティ111
を形成する。
【0007】固定金型101a側には、このキャビティ
111の中心に位置して、溶融された合成樹脂材料をキ
ャビティ111内に射出充填させるノズル114が設け
られている。
【0008】以上のように構成された射出成形装置金型
部100では、先ず、図示しない駆動機構により固定金
型101aに対して可動金型101bが接近動作して型
締め状態とされてキャビティ111が構成される。次
に、このキャビティ111内にノズル114から溶融さ
れた合成樹脂材料が射出充填される。
【0009】そして、図示しない温度調節機構により合
成樹脂材料が半溶融状態に冷却されて、可動金型101
bに配された第1のイジェクト部材116の中心穴から
パンチ117が固定金型101a方向へと突出動作さ
れ、ディスク基板にセンタ穴を形成する。この後、射出
成形装置金型部100において、射出充填された合成樹
脂材料が図示しない温度調節機構により冷却、硬化され
る。
【0010】そして、この射出成形装置金型部100で
は、図示しない駆動機構により可動金型101bが固定
金型101aに対して離間動作されて型開き動作が行わ
れる。最終的に、キャビティ111内で成形された状態
のディスク基板は、図示しないディスク基板取り出し機
構によって取り出されて、ディスク基板が成形される。
【0011】また、このように成形された樹脂製のディ
スク基板を用いた光ディスクは、例えば、このような樹
脂製のディスク基板上に記録層、光反射層、保護層等が
形成されてなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
射出成形では、射出成形装置内に溶融樹脂が射出充填さ
れた段階で、溶融樹脂を射出充填する際の圧力変化及び
温度変化や溶融樹脂と金型との摩擦等の影響により、キ
ャビティ内の溶融樹脂に応力が発生する。
【0013】このような応力は、具体的には、以下に示
すような段階で発生する。先ず、溶融樹脂を射出成形装
置金型部100内へ射出する際には、キャビティー11
1内を溶融樹脂が流動してせん断応力が発生する。次
に、溶融樹脂の充填が完了した際には、充填手段である
図示しないスクリューの運動が急激に停止するとともに
溶融樹脂の流動が急激に停止するため、溶融樹脂及びス
クリューのそれぞれの慣性力が応力として発生する。ま
た、射出時の溶融樹脂がゲートシールされるまでの過程
では、溶融樹脂の逆流防止や体積収縮によるヒケ等の防
止のために溶融樹脂に圧力をかけるため、ディスク基板
全体に不均一な圧力分布が発生することにより、応力が
発生する。また、特に、溶融樹脂を冷却硬化する際に
は、固定金型101aや可動金型101bに接している
溶融樹脂の外部部分120aと、接していない内部部分
120bでは、不均一な温度分布が発生してしまい、応
力が発生する。
【0014】そして、このような応力の一部は溶融樹脂
が金型内で冷却硬化されるまでの過程で緩和されるが、
応力の大部分は、緩和されずに残留応力として成形され
る基板内に残ってしまう。
【0015】その結果、図14に示すように、成形後の
ディスク基板120に部分的に反り121やヒケ122
等の変形や不均一な複屈折分布等が生じてしまう。
【0016】また、射出成形により成形された樹脂製の
ディスク基板は、成形工程中の特に冷却工程で基板収縮
が避けられず、特に、この収縮がディスク基板の外周部
と内周部とで異なる場合が多いため、図15に示すよう
に、ディスク基板130の外周縁部が反ってしまい、椀
型状の変形が生じてしまう場合がある。
【0017】そのため、従来の射出成形では、このよう
なディスク基板120,130の変形を極力抑えるため
に、型締め圧を弱めたり、射出速度を遅くしたりして溶
融樹脂の充填量を減らすことにより樹脂内圧を少なくす
るといった複雑な手間が必要であり、実用上、ディスク
基板120,130の変形を完全に抑えることができな
かった。
【0018】しかも、このような変形がディスク基板1
20,130に生じているために、ディスク基板12
0,130には、所定の凹凸パターンが精度良く形成さ
れず、図16に示すような転写不良部分123が生じて
しまった。その結果、このようなディスク基板120,
130を用いて作製された光ディスクは、信号特性が悪
いといった問題点もあった。
【0019】ところで、従来の光ディスクでは、光ディ
スクの記録密度が記録層上に集光されたレーザ光のスポ
ット径によって決まる。つまり、このレーザスポット径
が小さい程、高密度記録が可能となる。このレーザスポ
ット径は、記録再生光学系のλ/NA(λ:レーザ光の
波長、NA:対物レンズの開口数)に比例する。よっ
て、光ディスクの高密度記録化を図るためには、レーザ
光の波長λを短くし、対物レンズの開口数NAを上げる
ことが必要となる。
【0020】しかし、対物レンズの開口数NAを上げる
とコマ収差が問題になってくる。コマ収差は、[光ディ
スクの光軸に対する傾き角であるスキュー角]×NA3
×[レーザ光が通過する光ディスクの厚さ]に比例する
ためである。そこで、このようなコマ収差の問題に対し
ては、ディスク基板である透明基板の厚みを薄くする方
法が検討されている。
【0021】ところが、通常、光ディスクの強度は厚さ
の3乗に比例する関係があり記録密度の増大に伴ってデ
ィスク基板の厚みを薄くすると、従来の光ディスクで
は、その曲げ強度等の機械特性が劣化し、成膜時の熱、
上述の応力及び吸湿等によりバイメタル変形が非常に生
じやすいといった問題があった。
【0022】そこで、本発明は、従来の実情に鑑みて提
案されたものであり、十分な強度が確保されて反りやヒ
ケ等の変形がなく優れた耐久性を有し、かつ高密度記録
化に十分対応可能な光記録媒体及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために完成された本発明に係る光記録媒体は、基板上に
少なくとも記録層と光透過層とが順次形成されており、
当該光透過層側から光が入射されて記録及び/又は再生
が行われる光記録媒体であって、上記基板が、上記記録
層が形成される側の面を形成する第1の樹脂層と、上記
第1の樹脂層に積層され上記第1の樹脂層を形成する樹
脂材料よりも曲げ弾性率の大きい樹脂材料からなる第2
の樹脂層とを備えることを特徴とするものである。
【0024】以上のように構成された本発明に係る光記
録媒体では、基板が、上記記録層が形成される側の面を
形成する第1の樹脂層と、この第1の樹脂層の樹脂材料
よりも曲げ弾性率の大きい、つまり剛性の大きい樹脂材
料からなる第2の樹脂層とを備えるため、基板の強度が
増強されて基板の変形が極力抑えられる。その結果、本
発明に係る光記録媒体は、強度が増強され反りやヒケ等
の変形が抑えられ、優れた耐久性を備えたものとなる。
なお、この本発明に係る光記録媒体は、光透過層側から
光が入射されるため、上記基板を上述したような第1の
樹脂層及び第2の樹脂層からなる構造としても、光学的
な記録及び/又は再生特性に影響を与えずに済む。
【0025】さらに、本発明に係る光記録媒体は、基板
の記録層が形成される側の面を形成する第1の樹脂層
が、上記第2の樹脂層よりも剛性が小さい材料、すなわ
ち流動性に優れた材料からなるため、上記第1の樹脂層
が転写性に優れたものとなり、結果的に基板が転写性に
優れたものとなる。
【0026】また、上述した目的を達成するために完成
された本発明に係る光記録媒体の製造方法は、基板上に
少なくとも記録層と光透過層とが順次形成されてなり、
当該光透過層側から光が入射されて記録及び/又は再生
が行われる光記録媒体における上記基板を射出成形する
際に用いられる方法である。
【0027】特に、本発明に係る光記録媒体の製造方法
は、2色成形により、少なくとも上記記録層が形成され
る側に第1の樹脂層を形成するとともに、この第1の樹
脂層の樹脂材料よりも曲げ弾性率が大きい樹脂材料を用
いて第2の樹脂層を形成することにより、上記基板を形
成することを特徴とするものである。
【0028】以上のように構成された本発明に係る光記
録媒体の製造方法では、2色成形により、記録層が形成
される側の面に第1の樹脂層を形成するとともに、この
第1の樹脂層の樹脂材料よりも曲げ弾性率が大きい、つ
まり剛性の大きい樹脂材料を用いて第2の樹脂層を形成
することにより、上記基板を形成するため、基板の強度
が増強されて基板の変形が極力抑えられる。その結果、
本発明に係る光記録媒体の製造方法によれば、強度が増
強されて反りやヒケ等の変形が極力抑えられ、しかも優
れた耐久性を備えた光記録媒体が製造される。
【0029】さらに、本発明に係る光記録媒体の製造方
法では、基板の記録層が形成される側に、上記第2の樹
脂層よりも剛性が小さい材料、すなわち流動性に優れた
材料を用いて第1の樹脂層を形成するため、この第1の
樹脂層を転写性に優れたものとすることができ、結果的
に基板が転写性に優れたものとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について、図面を参照しながら詳細に説明する。な
お、本発明を適用した光ディスクとしては、情報信号に
対応したピットが形成された基板上に金属反射膜が形成
され、このピットと金属反射膜が信号記録部となる、再
生専用の光ディスクでも構わない。図1は、本発明を適
用した光記録媒体として、光ディスクの一例を示す断面
図である。
【0031】本発明を適用した光ディスク1は、図1に
示すように、案内溝2aを有する基板2上に光反射層
3、記録層4、光透過層5が順次積層形成されてなるも
のである。
【0032】基板2は、曲げ弾性率が互いに異なる樹脂
材料から形成されるコア層6とスキン層7とからなる。
【0033】スキン層7は、基板2の記録層4が形成さ
れる側の面、つまり信号記録面側となされており、コア
層6上に形成されている。このスキン層7には、表面に
データ情報やトラッキングサーボ信号等の記録がなされ
る位相ピットや、プリグルーブ等の微細な凹凸等の所定
の凹凸パターンからなる案内溝2aが形成されている。
また、このスキン層7の厚みは、100μm以上が好ま
しい。
【0034】このスキン層7は、流動性の良好な材料か
らなる。そのため、スキン層7は、転写性に優れたもの
となり、所定の凹凸パターンが精度良く成形される。具
体的には、このスキン層7の材料としては、ポリカーボ
ネートや、熱可塑性環状オレフィン系樹脂である日本ゼ
オン社製の商品名:ゼオネックス等の合成樹脂が挙げら
れる。
【0035】コア層6は、基板2の信号記録面とは反対
側となされており、その表面上にスキン層7が形成され
ている。このコア層6を形成する樹脂材料は、スキン層
7を形成する樹脂材料よりも曲げ弾性率が大きくなされ
ている。よって、コア層6は、スキン層7よりも、硬度
が大きくなされており、つまり剛性が高い。
【0036】このコア層6の材料としては、高剛性な樹
脂材料であり、通常用いられる樹脂材料中に異質樹脂や
繊維やフィラー等を添加させて硬度を高くしたものであ
っても良い。具体的には、このようなコア層6の材料と
しては、曲げ弾性率が29000kgf/cm2以上の
樹脂材料が良く、好ましくは34000kgf/cm2
以上の樹脂材料が良く、例えば、ポリカーボネート中に
タルク粉末やマイカ粉末や炭素繊維等を添加させたもの
が挙げられる。また、このコア層6の厚みは、基板全体
の厚さの50%以上、好ましくは70%以上が良い。
【0037】このように、本発明を適用した光ディスク
1では、基板2がスキン層7と硬度の高いコア層6とに
より形成されているため、基板2の強度が増強されて基
板2の反りやヒケ等の変形が極力抑えられる。よって、
本発明を適用した光ディスク1は、強度が増強されて光
ディスク1の反りやヒケ等の変形が回避されるととも
に、製造工程や環境変化等に対して耐久性に優れ、高信
頼性を得ることができる。
【0038】しかも、光ディスク1は、基板2に用いら
れるスキン層7として転写性に優れたものを用いること
により、情報信号等の信号に応じた所定の凹凸パターン
が高精度に成形されて転写性に優れたものとなり、結果
的に更なる高密度記録化にも十分対応可能となり、記録
再生特性に優れたものとなる。
【0039】さらに、光ディスク1は、上述したように
耐久性に優れるため、製造工程や環境変化による変形が
少なく、従来のように信号面以外の読み取り面に光が透
過する半透明膜や防湿シート等を形成する工程を施して
変形を防ぐ必要がない。よって、本発明を適用した光デ
ィスク1では、従来の光ディスクよりも容易かつ効率良
く製造することができて、製造工程の簡略化や歩留まり
の向上を図ることができる。
【0040】また、本発明を適用した光ディスク1は、
光透過層5側から光を入射させて情報信号の記録及び/
又は再生が行われるため、このように、基板2がスキン
層7とコア層6とからなる2層構造となされていても、
光学的な記録及び/再生特性に影響を与えずに済む。一
方、従来のコンパクトディスク(CD)やDVD(Di
gital VersatileDisc)等の光ディ
スクでは、透明基板であるディスク基板側から光を入射
させて情報信号の記録及び/又は再生を行うため、ディ
スク基板の特性を光学的に均一とする必要があり、本発
明を適用した光ディスク1のように基板2を複数の層か
らなる多層構造とすることができなかった。
【0041】これにより、例えば、本発明を適用した光
ディスク1では、異なる材質の樹脂材料をそれぞれスキ
ン層7及びコア層6用の樹脂として用いることにより、
後述するような2色成形により基板2を作製することに
よって、マーブル模様やまだら模様の基板2を作製する
ことができる。
【0042】なお、光反射層3は、このような基板2の
案内溝6aが形成される一主面2a上に形成されてい
る。この光反射層3は、記録層4を透過した光を反射す
る反射層として機能するとともに記録層4に過度に熱が
籠もるのを防止するヒートシンク層としても作用する。
【0043】この光反射層3の材料としては、金属元
素、半金属元素、半導体元素及びそれらの化合物を単独
あるいは複合させて用いるのが望ましい。
【0044】中でも、好ましくは、Alを主成分とし、
Siを0.4〜0.8重量%、Feを0.7重量%以
下、Cuを0.15〜0.40重量%、Mnを0.15
重量%以下、Mgを0.8〜1.2重量%、Crを0.
04〜0.35重量%、Znを0.25重量%以下、T
iを0.15重量%以下の割合で含有する材料が挙げら
れる。また、このときの光反射層3は、厚さ50〜20
0nmの薄膜として形成されている。
【0045】これは、この光反射層3上に、例えば、相
変化型の記録層4を積層形成した場合に、相変化型の記
録層4が光反射層3の結晶性や光反射層3の材料の粒径
により形成される界面形状の影響を受けにくくなり、そ
の結果、記録層4が、基板2の表面形状を正確に反映す
るようになるからである。
【0046】さらに、上記材料により基板2上に光反射
層3を形成する方法としては、イオンビームスパッタ
法、DCスパッタ法、RFスパッタ法といった手法が挙
げられるが、イオンビームスパッタ法が好ましく例示さ
れる。
【0047】記録層4は、例えば、レーザ光の照射によ
って情報信号の書き込み、消去が可能な光記録層であ
る。この記録層には、結晶と非晶質の間で可逆的な相変
化する相変化材料層や、キュリー温度を越えた温度上昇
によって保磁力がなくなり外部磁界の方向に磁化反転す
る光磁気記録層等が設けられる。
【0048】相変化材料層には、単体のカルコゲンやカ
ルコゲン化合物が用いられる。具体的には、Te,Se
の各単体、Ge−Sb−Te,Ge−Te,In−Sb
−Te,In−Se−Te−Ag,In−Se,In−
Se−Tl−Co,In−Sb−Se,Bi2Te3,B
iSe,Sb2Se3,Sb2Te3等のカルコゲナイト系
材料が使用される。
【0049】また、光磁気記録層には、Tb−Fe−C
o等の非晶質合金薄膜等の、カー効果やファラデー効果
等の磁気光学特性を有する垂直磁化膜等が用いられる。
【0050】光透過層5は、記録層4上に形成される。
この光透過層5には、情報信号等の信号を記録再生する
際に、レーザ光が入射される。そして、当該光透過層5
を通過したレーザ光が記録層4に入射して記録再生が行
われる。また、光透過層5は、光反射層3や記録層4を
外部の衝撃から保護するとともに、これら各層3,4が
湿気等の腐食因子と接触するのを防止する保護層として
も機能する。
【0051】この光透過層5は、レーザ光を透過する材
料によって構成される。例えば、光透過層5は、記録層
4上に紫外線硬化樹脂をスピンコート等の手法によって
塗布し、紫外線照射することによって形成する。なお、
この光透過層5は、例えば、アクリル系樹脂,ポリオレ
フィン系樹脂等の樹脂材料よりなるシートやガラス板等
の透明板を、紫外線硬化樹脂等の透明接着剤によって記
録層4上に接着することにより形成しても良い。
【0052】この光透過層5は、厚さが0.3mm以下
に規制される。これは、記録再生用光学系の対物レンズ
の開口数NAを0.8にまで上げたとしても、光ディス
ク1の傾きによって生じるコマ収差はかなり小さく抑え
られるからである。
【0053】なお、以上が光ディスクの基本的な構成で
あるが、この構成に加えて誘電体層を設けて、光学的特
性や熱的特性を制御しても良い。この場合、基板2上に
光反射層3、第1の誘電体層、記録層4、第2の誘電体
層、光透過層5をこの順に積層形成する。このような光
ディスクでは、記録層4、光反射層3、誘電体層の多重
干渉効果によって反射率等の光学的特性が制御され、ま
た、特に光反射層3及び第2の誘電体層によって熱的特
性が制御される。
【0054】以上、本発明を適用した光ディスクの一例
として2層構造の基板2を有するディスク(以下、2層
型光ディスクと称する。)をとり挙げたが、以下の図2
に示すように、両面がスキン層により形成されるととも
に内部がコア層により形成された基板を有する光ディス
クも挙げられる。図2は、本発明を適用した光ディスク
の他の一例を示す断面図である。
【0055】本発明を適用した光ディスク10は、図2
に示すように、基板11上に光反射層12、記録層1
3、光透過層14が順次積層形成されてなるものであ
る。
【0056】この基板11は、上述した材料からなるコ
ア層15と、そのコア層15の両面に形成されたスキン
層16,17とからなるものである。
【0057】なお、この光ディスク10では、光反射層
12,記録層13,光透過層14については図1に示し
た各層と同様な構成となっている。
【0058】このように、硬度の高いコア層15の両面
を転写特性の優れたスキン層16,17によって挟持さ
れてなる基板11を備えた光ディスク10(以下、サン
ドイッチ型光ディスクと称する。)は、基板11の強度
が補強されるとともに、基板11の両面が同一の性質か
らなるスキン層16,17により形成されているため、
より効果的に基板11の反りやヒケ等の変形を抑えるこ
とができて、高信頼性が得られる。
【0059】つぎに、図1に示した2層型光ディスクの
製造方法について以下に詳細を説明する。なお、本発明
を適用した光ディスクの基板は、以下に示すような2色
成形により成形される。ここで、図1に示した2層型光
ディスクの基板2を製造する際に用いられる射出成形装
置について説明する。図3は、基板2を射出成形する射
出成形装置20を示す断面図である。
【0060】射出成形装置20は、型締め状態で溶融樹
脂が注入され当該溶融樹脂を成形する金型部21と、こ
の金型部21に設けられた注入口に接続されて溶融樹脂
を金型部21に射出充填させる円柱状の加熱シリンダ2
2と、この加熱シリンダ22と連結し原料となる樹脂が
導入されるホッパ23と、スクリュー25を駆動する油
圧モータ部24と、金型部21の開閉動作を行う型締シ
リンダ26とを備える。
【0061】ホッパ23は、略円柱状を呈しており、加
熱シリンダ22と連結する材料導入口23aが設けられ
ている。
【0062】加熱シリンダ22は、その内部に油圧モー
タ部24と接合されたスクリュー25が設けられてい
る。このスクリュー25は、油圧モータ部24により回
転駆動される。そして、この加熱シリンダ22は、ホッ
パ23から導入された樹脂を加熱シリンダ22の外周部
に設けられた図示しないヒータにより加熱しながら、ス
クリュー25により樹脂を混練して当該樹脂をスクリュ
ー25の溝に沿って加熱シリンダ22の先端部に送る。
【0063】油圧モータ部24は、油圧シリンダ24a
を介してスクリュー25に接続されている。この油圧モ
ータ部24は、スクリュー25の駆動源となっている。
【0064】本発明に用いられる金型部21は、詳しく
は、図4に示すように、樹脂が射出注入される注入口や
ノズルを有する固定金型27と、この固定金型27に相
対向して設けられ接離動作する第1の可動金型28と、
型締め状態で固定金型27と第1の可動金型28とによ
り閉塞されてなるキャビティ29の内部に設けられて固
定金型27に相対向して接離動作する第2の可動金型3
0と、第2の可動金型30と連動する外周リング31と
を備える。
【0065】第1の可動金型28は、型締シリンダ26
によって固定金型27に対して接離動作される。
【0066】固定金型27は、加熱シリンダ22と連結
して溶融樹脂が注入される注入口27aが設けられてお
り、この注入口27aから固定金型27を貫通するノズ
ル27bが設けられている。そして、この注入口27a
からノズル27bを介して、溶融樹脂がキャビティ29
内に射出充填される。また、この固定金型27は固定設
置されている。
【0067】第1の可動金型28と固定金型27とが型
締め状態とされると、その閉塞された内部がキャビティ
29となる。このキャビティ29の内部には、固定金型
27に相対向して接離自在となされた第2の可動金型3
0が設けられている。この第2の可動金型30は、図示
しない油圧機構により図中矢印A方向に第1の可動金型
28とは独立して接離自在となされており、このとき、
外周リング31が連動して移動する。また、第2の可動
金型30には、固定金型27と対向する面に情報信号等
の信号に対応する所定の凹凸パターンが形成されたスタ
ンパ32が取り付けられている。
【0068】なお、第1の可動金型28及び第2の可動
金型30の中央部には、ゲートカットを行ってディスク
基板に中心孔を形成する図示しない穴開け手段が設けれ
ている。
【0069】外周リング31は、凹部が形成されてお
り、第2の可動金型30と嵌合するようになされてい
る。そして、この外周リング31は、固定金型27に接
触した状態の際に、固定金型27、第2の可動金型30
及び外周リング31によって、基板2のスキン層7を成
形するためのキャビティを構成する。
【0070】以上のように構成された射出成形装置20
を用いて、本発明を適用した2層型光ディスクに用いら
れる基板2を製造するには、先ず、ホッパ23から樹脂
材料がその自重により加熱シリンダ22内に落下し、ス
クリュー25の回転に混練されながらスクリュー25の
溝に沿って加熱シリンダ22の先端部に送られる。この
とき、樹脂材料は、加熱シリンダ22の外周部に設けら
れた図示しないヒータから加熱されるとともに、混練作
用によって発生する摩擦熱が加わって内部からも温度が
上昇し、溶融状態となる。
【0071】ここで、第2の可動金型30は、図5に示
すように、図示しない油圧ピストンにより、第2の可動
金型30と連動する外周リング31が固定金型27と接
触する位置まで図中矢印B方向に移動される。そして、
この第2の可動金型30と固定金型27と外周リング3
1とによって、スキン層7を成形するためのキャビティ
34が構成される。なお、このとき第2の可動金型30
と第1の可動金型28とにより閉塞される領域は空間と
なっている。
【0072】次に、油圧シリンダ24aによりスクリュ
ー25に射出力が加えられ、このスクリュー25によ
り、加熱シリンダ22の先端部にある樹脂材料が、高圧
の下で加熱シリンダ22から固定金型27のノズル27
bを介してキャビティ34内に射出充填される。
【0073】そして、金型部21に設けられた図示しな
い温度調節手段によって固定金型27、第1の可動金型
28、第2の可動金型30、及び外周リング31が冷却
されることにより、キャビティ34内の樹脂材料が冷却
硬化されて所定パターンの凹凸が表面に形成されたスキ
ン層7が成形される。
【0074】次に、充填された樹脂材料がガラス転移温
度以下に固化されてスキン層7が成形された後、図6に
示すように、図示しない油圧ピストンにより第2の可動
金型30を図中矢印C方向に移動させ、第2の可動金型
30の底面30aを第1の可動金型28の内側底面部2
8a上に載置させる。このとき、成形されたスキン層7
を確実に第2の可動金型30と連動して移動させるため
に、固定金型27側からのみエアーによる離型を行う。
【0075】そして、ここで、図6に示すように、成形
されたスキン層7の上面7aと固定金型27と外周リン
グ31とによってコア層成形用のキャビティ35が構成
される。
【0076】次に、同様にして、スキン層7を形成した
樹脂よりも曲げ弾性率が大きい樹脂をノズル27bから
このキャビティ35内に射出充填する。
【0077】そして、図7に示すように、金型部21に
設けられた図示しない温度調節手段によって固定金型2
7、第1の可動金型28、第2の可動金型30、及び外
周リング31を冷却することにより、キャビティ34内
の樹脂材料が冷却硬化されてコア層6が成形される。
【0078】次に、図示しない穴開け手段によって、成
形されたスキン層7及びコア層6の中心部に中心孔を穿
設する。
【0079】そして、型締シリンダ26の駆動により第
2の可動金型30と第1の可動金型28とを連動させな
がら移動させて型開き動作がなされ、図示しないディス
ク基板取り出し機構によって、図8に示す2層構造の基
板2が成形される。
【0080】次に、このように成形された基板2上に、
Al合金よりなる光反射層3、Ge−Sb−Te合金等
の相変化材料からなる記録層4をスパッタリングにより
順次積層形成する。
【0081】最終的に、この記録層4上に紫外線硬化樹
脂をスピンコート法によって塗布し、紫外線照射するこ
とによって光透過層5を形成して、図1に示した2層型
光ディスク1が製造される。
【0082】なお、3層以上の多層型光ディスク基板を
成形するには、以上のような樹脂注入工程と冷却硬化工
程とを繰り返し行えば良い。
【0083】以上示したように、本発明を適用した光デ
ィスク1の製造方法では、2色成形により、信号記録面
側にスキン7層を形成するとともに、このスキン7層を
形成する樹脂材料よりも曲げ弾性率が大きい樹脂材料を
用いてスキン層7上にコア層6を形成することにより、
上記基板2を形成する。そのため、本発明を適用した光
ディスクの製造方法によれば、コア層6により基板2の
強度が補強されて、結果的に強度が向上して反りやヒケ
等の変形が抑えられ、優れた耐久性を備えた光ディスク
1を製造することができる。
【0084】なお、この基板2を成形する際は、通常の
2色成形であれば何れでも構わないが、上述したよう
に、スキン層7及びコア層6を同一の金型部21内で製
造することにより、非常に効率良く基板2を製造するこ
とができる。
【0085】つぎに、図2に示したサンドイッチ型光デ
ィスクの製造方法について以下に説明する。
【0086】図2に示したサンドイッチ型光ディスクの
基板11を製造する際に用いられる射出成形装置は、溶
融樹脂を金型部に注入する加熱シリンダ部分が図9に示
すような一対のシリンダから構成されており、この加熱
シリンダ以外の他の部分については従来の射出成形装置
と同様な構成である。
【0087】詳しくは、この射出成形装置では、図9に
示すように、異なる2種類の樹脂がそれぞれ注入される
一対の加熱シリンダ41,42が備わっている。この一
対の加熱シリンダ41,42は、ホッパからの樹脂の通
路として一対の樹脂通路部41a,42aを備えてい
る。そして、これら樹脂通路部41a,42aの先端部
に樹脂の注入量を制御する注入口制御部46,47が設
けられている。さらに、注入口制御部46,47の先端
には、それぞれの樹脂通路部41a,42aを連結する
連結部43が設けられている。そして、この連結部43
は、従来の射出成形装置における金型部50のノズル部
51に連結されている。
【0088】このように構成された射出成形装置を用い
てサンドイッチ型光ディスク用の基板11を製造する際
には、例えば、異なる2種類の樹脂を同時に射出される
とともにそれぞれの射出速度を異ならせる第1の方法
と、異なる2種類の樹脂を射出速度は互いに同じだが時
間差をもたせて射出させる第2の方法が挙げられる。
【0089】第1の方法では、コア層用の樹脂材料を加
熱シリンダ41に図示しないホッパから注入して、加熱
シリンダ41に内蔵されるスクリュー44により加熱シ
リンダ41の注入制御部46まで送り込む。また、同様
にして、スキン層用の樹脂材料を加熱シリンダ42に図
示しないホッパから注入して、加熱シリンダ42に内蔵
されるスクリュー45により加熱シリンダ45の注入制
御部47まで送り込む。
【0090】そして、スクリュー44,45により、加
熱シリンダ41,42からコア層用の樹脂材料、スキン
層用の樹脂材料をそれぞれ同時に金型部50内へ射出注
入させる。このとき、注入制御部46,47により、加
熱シリンダ42から射出されるスキン層用の樹脂材料の
射出速度を、加熱シリンダ41から射出されるコア層用
の樹脂材料の射出速度よりも遅くする。
【0091】すると、スキン層用の樹脂材料52をコア
層用の樹脂材料53が押し出すように、スキン層用の樹
脂材料52及びコア層用樹脂材料53が金型部50内に
射出充填されて、結果的に、図10に示すように、金型
部50に接する側にスキン層用の樹脂材料52が分布
し、コア層用の樹脂材料53が内部に分布するようにな
る。
【0092】そして、金型部50に内蔵された図示しな
い温度調節手段により金型部50が冷却されて、金型部
50内に射出充填されたスキン層用の樹脂材料52及び
コア層用の樹脂材料53が冷却されて硬化される。最終
的に、金型部50が型開き動作をした後、図示しないデ
ィスク基板取り出し手段により図11に示すディスク基
板11が取り出される。
【0093】第2の方法では、加熱シリンダ41,42
によりそれぞれコア層用の樹脂材料とスキン層用の樹脂
材料が注入制御部46,47まで送り込まれる工程まで
は第1の方法と同様である。
【0094】その後、注入制御部47を用いて射出時間
及び射出量を制御することにより、スキン層用の樹脂材
料を金型部50内に所定の短時間射出、いわゆるショー
トショットする。
【0095】その後、スキン層用の樹脂材料がまだ半溶
融状態であるときに、注入制御部46を用いて射出量等
を制御することによりコア層用の樹脂材料を射出充填す
る。このとき、スキン層用の樹脂材料は、内部側の部分
が冷却されにくく半溶融状態であるため、コア層用の樹
脂材料は、スキン層用の樹脂材料の内部部分を押し出す
ように充填されることになる。そのため、第2の方法に
おいても、第1の方法と同様に、図10に示すような状
態となる。
【0096】最終的に、冷却工程を経て、この第2の方
法においても、図11に示すようなサンドイッチ型の基
板11が成形されることになる。
【0097】この第2の方法では、スキン層用の樹脂材
料をショートショットするため、ヒケや転写不良等が生
じる可能性があるが、コア層用の樹脂材料が内部を占め
て内圧を高めるため、スキン層上の転写状態も良好とな
る。
【0098】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0099】基板を2層型にした2層型光ディスクや基
板をサンドイッチ型にしたサンドイッチ型光ディスク
が、単層の基板からなる従来の光ディスクと比較して強
度や耐久性の向上が図れたか否かを調べるために、以下
に示す光ディスクを作製して、以下のような物性評価を
行った。
【0100】実施例1 サンドイッチ型光ディスクを以下に示すように作製し
た。先ず、スキン層用の材料及びコア層用の材料とし
て、以下に示すものを用意した。
【0101】<スキン層用の材料> 樹脂材料;ポリカーボネート(帝人KK社製) グレード AD−9000TG ガラス転移温度 145℃ 曲げ弾性率 24000kgf/cm2 吸水率 0.3% <コア層用の材料> 樹脂材料;ポリカーボネート(帝人KK社製)(グレードAD−5503) フィラー;タルク粉 20重量%添加 このときのコア層単体の曲げ弾性率は、40000kg
f/cm2となった。すなわち、上記コア層用の材料
は、フィラーを添加することにことにより、曲げ弾性率
が大きくなり、強度が増したといえる。
【0102】そして、これらの材料を図9に示すような
一対の加熱シリンダを備える射出成形装置を用いて、ス
キン層用材料とコア層用材料とを射出速度を異ならせて
同時に射出充填する上述の第1の方法により、以下に示
す条件の下で、厚み0.6mmのサンドイッチ型の基板
を成形した。
【0103】この成形時における各種条件は、以下の通
りである。
【0104】 固定金型及び可動金型の温度; 120℃〜135℃ スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の温度 350℃ 射出速度; スキン層用の樹脂材料の射出速度 平均140mm/sec コア層用の樹脂材料の射出速度 平均160mm/sec 金型の冷却時間; 8秒 スタンパ;深さ 80nm トラックピッチ 0.7〜0.85μm
【0105】実施例2 コア層用の材料のうち、フィラーをタルク粉の代わりに
マイカ粉とし、このマイカ粉を20重量%添加してコア
層用材料とした以外は、実施例1と同様にしてサンドイ
ッチ型ディスク基板を成形した。なお、このときのコア
層単体の曲げ弾性率は、61000kgf/cm2とな
った。
【0106】実施例3 コア層用の材料のうちのフィラーを、タルク粉の代わり
に板状ガラス粉とし、この板状ガラス粉を10重量%添
加してコア層用材料とした以外は、実施例1と同様にし
てサンドイッチ型ディスク基板を成形した。なお、この
ときのコア層単体の曲げ弾性率は、34000kgf/
cm2となった。
【0107】実施例4 スキン層用の材料として以下に示す材料を用いた以外
は、実施例1と同様にしてサンドイッチ型ディスク基板
を成形した。なお、このときのコア層単体の曲げ弾性率
は、40000kgf/cm2となった。
【0108】<スキン層用の材料> 樹脂材料;ゼオネックス(日本ゼオン社製) グレード E48R ガラス転移温度 140℃ 曲げ弾性率 25000kgf/cm2 吸水率 <0.01%
【0109】実施例5 実施例1と同様なスキン層用の材料及びコア層用の材料
を用いて、射出成形方法として、スキン層用の材料を金
型部内に射出した後にコア層用の材料を射出充填させ、
つまり時間差をもたせて成形する上述の第2の方法によ
り、以下の条件の下で、厚みが0.6mmのサンドイッ
チ型の基板を成形した。
【0110】具体的には、先ず、スキン層用の材料を金
型部内にショートショットさせ射出する。そして、スキ
ン層用の材料の外周側が硬化するまで0.2〜2.0秒
放置する。次に、コア層用の材料を射出充填して、最終
的にサンドイッチ型の基板を成形した。
【0111】 固定金型及び可動金型の温度 120℃〜135℃ スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の温度 350℃ 射出速度; スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の射出速度 平均140mm/sec 金型の冷却時間; 14秒(スキン層用の樹脂のみ充 填した後における放置時間も含む) なお、このときのコア層単体の曲げ弾性率は、4000
0kgf/cm2となった。
【0112】実施例6 コア層用の材料のうちのフィラーをタルク粉の代わりに
マイカ粉とし、このマイカ粉を20重量%添加してコア
層用材料とした以外は、実施例5と同様にしてサンドイ
ッチ型の基板を成形した。なお、このときのコア層単体
の曲げ弾性率は、61000kgf/cm2となった。
【0113】実施例7 コア層用の材料のうちのフィラーを、タルク粉の代わり
に板状ガラス粉とし、この板状ガラス粉を10重量%添
加してコア層用材料とした以外は、実施例5と同様にし
てサンドイッチ型の基板を成形した。なお、このときの
コア層単体の曲げ弾性率は、34000kgf/cm2
となった。
【0114】実施例8 スキン層用の材料としてポリカーボネートの代わりに実
施例4と同様なゼオネックスを用いた以外は、実施例5
と同様にしてサンドイッチ型の基板を成形した。なお、
このときのコア層単体の曲げ弾性率は、40000kg
f/cm2となった。
【0115】比較例1 従来の射出成形装置を用いて、ポリカーボネートを材料
として、厚み0.6mmのディスク基板を成形した。
【0116】以上のように作製されたディスク基板につ
いて曲げ弾性率を測定した。この結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】以上の表1の結果から明らかなように、信
号記録面側に形成されるスキン層とこのスキン層の材料
よりも曲げ弾性率が大きい材料を用いて形成されるコア
層とから基板を形成した実施例1〜実施例8は、従来の
単層基板である比較例1よりも、曲げ弾性率が高く、す
なわち、剛性や強度が高いことがわかった。
【0119】具体的には、実施例1及び実施例4のディ
スク基板は、比較例1のディスク基板よりも曲げ弾性率
が1.3倍となされており、強度が1.3倍となってい
る。
【0120】また、実施例3、実施例5〜実施例8のデ
ィスク基板は、比較例1のディスク基板よりも曲げ弾性
率が1.75倍となされており、強度が1.75倍とな
っている。この実施例3の結果から、少なくとも曲げ弾
性率が29000kgf/cm2以上であれば、従来の
ポリカーボネートのみからなるディスク基板よりも強度
が増強されることがわかる。
【0121】さらに、実施例2のディスク基板は、比較
例1のディスク基板よりも曲げ弾性率が2.1倍となさ
れており、強度が2.1倍となっている。
【0122】このように、基板を、信号記録面側に形成
されるスキン層と、このスキン層の材料よりも曲げ弾性
率が大きい材料からなるコア層とから形成することによ
り、基板の強度を増強させることができると判明した。
【0123】実施例9 実施例5と同様にして厚みが1.2mmのサンドイッチ
型の基板を成形した。
【0124】実施例10 次に、2層型光ディスクを以下に示すように作製した。
スキン層用の材料及びコア層用の材料は、実施例2と同
様なものを用いた。射出成形方法としては、可動金型と
して第1及び第2の可動金型を備える射出成形装置を用
いて、1層毎に射出充填工程及び冷却硬化工程を行う方
法によって、射出成形した。
【0125】具体的には、先ず、図5に示すように、固
定金型と第2の可動金型と外周リングとにより厚み0.
6mmのキャビティを形成し、そのキャビティ内にスキ
ン層用の樹脂材料を射出充填し、約4秒間冷却硬化させ
る。
【0126】そして、図6に示すように、第2の可動金
型を図示しない油圧シリンダーにより約0.6mm程移
動させる。このとき、成形後のスキン層が可動金型と確
実に連動するように固定金型側のみからエアーによる離
型を行う。
【0127】次に、図7に示すように、コア層用の樹脂
材料を射出充填して冷却硬化させて、最終的に厚みが
1.2mmの2層型の基板を成形する。なお、この成形
時における各種条件は以下に示す通りである。
【0128】 固定金型、第1及び第2の可動金型の温度 110℃〜130℃ スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の温度 350℃ 射出速度; スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の射出速度 平均160mm/cm2 冷却時間;コア層及びスキン層成形の所要冷却時間合計 8秒
【0129】実施例11 実施例2と同様なスキン層用樹脂材料及びコア層用樹脂
材料を用いて、以下に示す条件の下で、実施例9と同様
な射出成形装置及び成形方法を用いて射出成形を繰り返
し、第1のスキン層、コア層、第2のスキン層を順次形
成して、厚みが1.2mmの3層型の基板を成形した。
ここで、第1のスキン層の厚みを0.3〜0.4mmと
し、コア層の厚みを0.6〜0.4mmとし、第2のス
キン層の厚みを0.3〜0.4mmとする。
【0130】 固定金型、第1及び第2の可動金型の温度 110℃〜130℃ スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の温度 350℃ 射出速度; スキン層用の樹脂材料及びコア層用の樹脂材料の射出速度 平均160mm/cm2 冷却時間; 第1及び第2のスキン層、並びにコア層成形の所要冷却時間合計 12秒
【0131】比較例2 比較例1と同様にして、厚みが1.2mmのポリカーボ
ネートからなる基板を成形した。
【0132】以上のようにして成形された実施例9〜実
施例11及び比較例2の基板を用いて作製されたディス
クについて、その耐久性を調べるために以下に示す評価
を行った。
【0133】先ず、実施例9〜実施例11及び比較例2
の基板上にAl膜及び保護膜を順次積層して作製したそ
れぞれ光ディスクを作製した。
【0134】次に、これらの光ディスクの半径方向にお
ける反りの状態を調べた。その後、これらの光ディスク
を温度60℃、湿度90%の下で96時間放置した後
に、再び半径方向の反りの状態を調べた。
【0135】この結果を図12に示す。横軸には、光デ
ィスクの半径位置を示す。また、縦軸には、光ディスク
のスキュー角度を示す。
【0136】なお、図12中の◎印は、作製直後の実施
例9〜実施例11の光ディスクの状態を平均化して示し
たものである。図12中の○印は、上記の高温高湿下で
96時間放置後の実施例9〜実施例11の光ディスクの
状態を平均化して示したものである。また、図12中の
△印は、作製直後の比較例2の光ディスクの状態を示す
ものである。図12中の×印は、上記の高温高湿下で9
6時間放置後の比較例2の光ディスクの状態を示すもの
である。
【0137】したがって、図12の結果から、信号記録
面側に形成されるスキン層とこのスキン層の材料よりも
曲げ弾性率が大きい材料からなるコア層とにより基板が
形成された実施例9〜実施例11は、従来の射出成形方
法によりポリカーボネートを用いて単層型の基板を成形
した比較例2よりも、強度が増強され、ディスク基板の
反りやヒケ等の変形が抑えられていることがわかった。
【0138】しかも、実施例9〜実施例11は、高温高
湿下に長時間保存した後でもほとんどディスク基板の変
形が変わらずに抑えられており、耐久性に優れているこ
とがわかった。一方、従来のディスク基板を用いた比較
例では、高温高湿下で長時間保存後にはディスク基板の
変形が著しくなり、表面性が劣化している。
【0139】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る光記録媒体は、基板が、記録層が形成される側の面を
形成する第1の樹脂層と、この第1の樹脂層に積層され
上記第1の樹脂層を形成する樹脂材料よりも曲げ弾性率
が大きい、つまり剛性の大きい樹脂材料から形成される
第2の樹脂層とを備えるため、基板の強度が増強されて
基板の変形を極力抑えることができる。その結果、本発
明に係る光記録媒体は、強度が増強されて変形が極力抑
えられ、耐久性の向上が図られた信頼性の高いものとな
る。
【0140】さらに、本発明に係る光記録媒体は、基板
の記録層が形成される側の面、つまり信号記録面を形成
する第1の樹脂層が、上記第2の樹脂層よりも剛性が小
さい材料、すなわち流動性に優れた材料からなるため、
この第1の樹脂層が転写性に優れたものとなり、結果的
に基板を転写性に優れたものとすることができる。よっ
て、本発明に係る光記録媒体は、更なる高密度記録化に
対応可能なものとなる。
【0141】また、以上詳細に説明したように、本発明
に係る光記録媒体の製造方法では、2色成形により、記
録層が形成される側に第1の樹脂層を形成するととも
に、この第1の樹脂層を形成する樹脂材料よりも曲げ弾
性率が大きい、つまり剛性の大きい樹脂材料を用いて第
2の樹脂層を形成することにより、上記基板を形成する
ため、上記基板の強度が増強されて基板の変形を極力抑
えることができる。その結果、本発明に係る光記録媒体
の製造方法によれば、強度が増強され反りやヒケ等の変
形が抑えられ、優れた耐久性を備えた信頼性の高い光記
録媒体を製造することができる。
【0142】さらに、本発明に係る光記録媒体の製造方
法では、基板の記録層が形成される側の面、つまり信号
記録面を形成する第1の樹脂層が、上記第2の樹脂層よ
りも剛性が小さい材料、すなわち流動性に優れた材料を
用いて形成されるため、この第1の樹脂層を転写性に優
れたものとすることができ、結果的に基板が転写性に優
れたものとすることができる。よって、本発明に係る光
記録媒体の製造方法によれば、更なる高密度記録化に対
応可能な光記録媒体を製造することが可能となる。
【0143】また、本発明に係る光記録媒体の製造方法
は、基板における上記第1の樹脂層と第2の樹脂層を同
一の金型内で形成することにより、基板を効率良く製造
することができて、結果的に光記録媒体をより効率良く
且つ簡単に製造することができる。よって、本発明に係
る光記録媒体の製造方法によれば、光記録媒体の製造工
程の簡略化や生産効率の向上やコストダウンを図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ディスクの一例を示す模式
図である。
【図2】本発明を適用した光ディスクの他の例を示す模
式図である。
【図3】射出成形装置の一例を示す断面図である。
【図4】図1に示す光ディスクの基板を製造する際に用
いられる金型部を示す断面図である。
【図5】図1に示す光ディスクの基板を製造する工程に
おいて、スキン層を成形する工程を示す断面図である。
【図6】図1に示す光ディスクの基板を製造する工程に
おいて、成形したスキン層を第2の可動金型とともに移
動させてコア層用のキャビティを構成する工程を示す断
面図である。
【図7】図1に示す光ディスクの基板を製造する工程に
おいて、コア層を成形する工程を示す断面図である。
【図8】図5〜図7の工程後に成形される基板を示す断
面図である。
【図9】図2に示す光ディスクの基板を成形する際に射
出成形装置に用いられる加熱シリンダ部分を拡大して示
す断面図である。
【図10】図2に示す光ディスクの基板が金型部内で成
形される様子を拡大して示す断面図である。
【図11】図2に示す光ディスクの基板を示す断面図で
ある。
【図12】実施例1〜実施例10及び比較例1を用いて
行った物性評価の結果を示す図である。
【図13】従来のディスク基板を成形する際に用いられ
る射出成形装置金型部を示す断面図である。
【図14】従来のディスク基板の一例を拡大して示す断
面図である。
【図15】従来のディスク基板の他の例を拡大して示す
断面図である。
【図16】従来のディスク基板の他の例を拡大して示す
断面図である。
【符号の説明】
1,10 光ディスク、 2,11 基板、 3,12
光反射層、 4,13 記録層、5,14 光透過
層、 6,15 コア層、 7,16,17 スキン
層、21 金型部、 27 固定金型、 28 第1の
可動金型、 30第2の可動金型

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも記録層と光透過層と
    が順次形成されており、当該光透過層側から光が入射さ
    れて情報信号の記録及び/又は再生が行われる光記録媒
    体であって、 上記基板は、上記記録層が形成される側の面を形成する
    第1の樹脂層と、 上記第1の樹脂層に積層され、上記第1の樹脂層を形成
    する樹脂材料よりも曲げ弾性率の大きい樹脂材料からな
    る第2の樹脂層とを備えることを特徴とする光記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 上記基板は、上記第2の樹脂層の上記第
    1の樹脂層が積層された面とは反対側の面に、上記第1
    の樹脂層を形成する樹脂材料からなる第3の樹脂層が積
    層されてなることを特徴とする請求項1記載の光記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 上記第2の樹脂層を形成する樹脂材料の
    曲げ弾性率が29000kgf/cm2以上であること
    を特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 基板上に少なくとも記録層と光透過層と
    が順次形成されてなり、当該光透過層側から光が入射さ
    れて情報信号の記録及び/又は再生が行われる光記録媒
    体の上記基板を射出成形する際に、 2色成形により、少なくとも上記記録層が形成される側
    に第1の樹脂層を形成するとともに、上記第1の樹脂層
    の樹脂材料よりも曲げ弾性率が大きい樹脂材料を用いて
    第2の樹脂層を形成することにより、上記基板を形成す
    ることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記2色成形を同一金型内で行うことを
    特徴とする請求項4記載の光記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記第1の樹脂層を形成した後に、当該
    第1の樹脂層上に上記第2の樹脂層を形成することを特
    徴とする請求項4記載の光記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記第1の樹脂層の樹脂材料を金型内に
    射出する速度を上記第2の樹脂層の樹脂材料を金型内に
    射出する速度よりも遅くして、上記第1の樹脂層の樹脂
    材料と上記第2の樹脂層の樹脂材料とを、同一の金型内
    に同時に射出充填させることを特徴とする請求項4記載
    の光記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記第1の樹脂層の樹脂材料を金型内に
    射出充填した後で且つ当該樹脂材料の少なくとも一部が
    溶融状態のときに、当該金型内に第2の樹脂層の樹脂材
    料を射出充填させることを特徴とする請求項4記載の光
    記録媒体の製造方法。
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