JP2000235737A - 光ディスクおよびその製造方法 - Google Patents

光ディスクおよびその製造方法

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JP2000235737A
JP2000235737A JP11035679A JP3567999A JP2000235737A JP 2000235737 A JP2000235737 A JP 2000235737A JP 11035679 A JP11035679 A JP 11035679A JP 3567999 A JP3567999 A JP 3567999A JP 2000235737 A JP2000235737 A JP 2000235737A
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stamper
substrate
recording
disk
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Takashi Tomie
崇 冨江
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明基板を通さずに情報面からレーザ光を照
射して情報の読み取り、および/または、記録を行う光
ディスク(膜面入射タイプ)の開発中に明らかになっ
た、ディスクの機械特性(面ぶれ)の劣化を改善する。 【解決手段】 スタンパを用いて成形した基板上に記録
層を設け、基板を通さず記録層に光を照射して、情報の
記録および/または再生を行う光ディスクにおいて、情
報の記録および/または再生を行う装置内で光ディスク
がクランプされるために光ディスク上に設けるクランプ
用領域は、基板成形の際にスタンパが基板と接する面内
に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に記録層を
設け、基板を通さず記録層に光を照射して、情報の記録
および/または再生を行う光ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクには再生専用(Read O
nly)のCD−ROMディスクやDVD−ROMディ
スク、1回だけ記録可能(RecordableやWr
itable)なCD−RディスクやDVD−Rディス
ク、そして、記録消去可能(Rewritable)な
光磁気記録媒体(MOディスクやMDディスク)や相変
化記録媒体(PDディスクやDVD−RAMディスク)
がある。これらのディスクは、いずれもポリカーボネー
トなどの熱可塑性樹脂を射出成形して得られる基板に記
録膜を形成して作製される。射出成形する時には、可動
側金型か固定側金型のどちらか一方にスタンパが設置さ
れる。スタンパには、情報を再生する為のピット
(穴)、又は/及び、記録、再生レーザ光のトラッキン
グのための溝(Groove)やピット(穴)、および
/まはた、トラック番号やセクター番号などのアドレス
信号のためのピット(穴)や溝(Groove)を基板
に転写させる為の微細加工が施されている。
【0003】図2は金型を取り付けた射出成形機の断面
図、図3は射出成形機内で基板が成形される箇所の拡大
断面図である。図中の1は可動側金型、2は固定側金
型、3はスタンパ、4はスタンパ3の内周側を可動側金
型1に固定するインナー押え、5は樹脂を投入するホッ
パー、6はシリンダー、7はヒーター、8は溶融樹脂を
押し出すためのスクリュー、9は射出シリンダー、10
はスクリューモータである。さらに11は樹脂が冷却さ
れた後に可動側金型から離型させるための離型空気の出
口、12はフローティングパンチ(エジェクター)、1
3はカッター、14は樹脂が冷却された後に固定側金型
から離型させるための離型空気の出口、15は溶融樹脂
が射出投入されるスプルー部、16は射出成形させた基
板である。D1はインナー押えの外径であり、スタンパ
の内径より1〜2mm大きいサイズである。D2は成形
完了した基板の内径であり、D3は基板の外径である。
前記のようにスタンパ3に設けられたピットや溝の情報
は樹脂基板16に転写されて、光ディスクの基板とな
る。
【0004】このようにして作製された基板上に、再生
専用ディスクではアルミニウム薄膜が、記録層としてレ
ーザ光を反射させる為に情報面側にスパッタ法で形成さ
れる。1回だけ記録可能(RecordableやWr
itable)なCD−RディスクやDVD−Rディス
クでは、記録層として色素膜を塗布(スピンコート)形
成した後に金(Au)や銀(Ag)の薄膜がスパッタ製
膜される。記録消去可能(Rewritable)な光
磁気記録媒体(MOディスクやMDディスク)や相変化
記録媒体(PDディスクやDVD−RAMディスク)で
は,誘電体薄膜と記録薄膜と反射薄膜を組み合わせて用
いることができる。
【0005】光磁気記録媒体の記録膜は希土類と遷移金
属との合金薄膜が記録膜として用いられる。書き換え回
数は100万回以上可能であり、高い信頼性がある。相
変化記録媒体は、光照射、主にレーザー光の照射によっ
て生じた物質の非晶質状態と結晶状態の間の可逆的な構
造変化(原子配列変化)を、情報の記録・消去に利用し
ている。こうした相変化記録媒体は、情報の高速処理能
力に加えて記録容量が大きい。また、ドライブの構造が
光磁気記録ドライブより簡単なことより、廉価にできる
メリットもある。記録膜にはGeSbTe薄膜やAgI
nSbTe薄膜などのカルコゲン合金薄膜が用いられ
る。
【0006】現在、普通に用いられている光ディスクは
透明基板を通してレーザ光を情報面(記録膜)に照射す
る基板入射タイプの光ディスクである。そして図5に
は、情報の記録および/または再生を行う装置内で、こ
うした光ディスクがクランプされている様子を示す。図
中で、21は光ディスク、22はクランプ手段、23は
対物レンズ、24はレーザ光、25はインナー押えによ
り光ディスク21に生じた窪みを示す。
【0007】さらにAは、光ディスク21が情報の記録
および/または再生を行う装置内でクランプされる際の
基準となる基準面を示す。そしてE1はクランプ手段2
2における光ディスクと円環状に接触する部分の内径、
E2はクランプ手段22における光ディスクと円環状に
接触する部分の外径、Fは光ディスクにおける光の入射
する側の面である。特に図5におけるFは、図2では固
定側金型2に接していた面であり、さらにこれは光ディ
スク21がクランプされる際の基準面Aでもある。そし
てGは光ディスクにおける記録層を設けた側の面であ
り、かつスタンパ3に接していた面でもある。図5にお
いて、レーザ光24は光ヘッドの対物レンズ23により
集光され、光ディスクの光入射面Fを経由し、情報面
(記録膜を設けた面G)に到達する。そして情報を含ん
で反射された再生光は光ヘッドへと戻る。
【0008】光ディスクの基準面Aは、クランプにより
水平に保持(すなわち、スピンドルの回転軸に直交する
平面として保持)されるべき面である。この基準面が揺
れると、いわゆる面ぶれ(Run−out)が大きくな
り、光ヘッドの焦点が情報面からはずれる不都合が発生
する。ゆえに、光ディスクの規格では、面ぶれ(Run
−out)の上限を厳しく規定している。またそのため
に、光ディスクの基準面におけるクランプ領域は、規格
により平面を保つ(凹凸のない)ように規定されてい
る。なお、光ディスクの基準面に設定される円環状クラ
ンプ用領域は、クランプ22の内径E1と外径E2との
間の幅よりも、クランプの結合位置ずれ等を考慮して広
く設定される。
【0009】なお、図5にも示した従来からの光ディス
クに対して、近年、基板を通さずに情報面(記録膜面)
側からレーザ光を照射する膜面入射タイプの光ディスク
が注目されている。すなわち、将来のビデオテープに代
替する光記録方式として、書き換え可能(Rewrit
able)な光磁気記録薄膜か相変化記録薄膜を用い
た、記録膜面から光を照射して情報を記録・消去・再生
する光ディスクと、SIL(Solid Immers
ion Lens)や2枚レンズを用いたピックアップ
との組み合わせの高密度光記録の実用化が望まれてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ディスクカートリッジ
当たりの記録容量を倍にするには、ディスクの両面が使
用される。従来のISO規格の130mm光磁気記録デ
ィスクや、最近に開発が進展したDVD媒体(Digi
tal Versatile Disk : 120m
mDVD−ROMやDVD−VideoやDVD−RA
Mディスク)では、両面使用をするためには、片面ディ
スクを作製後に2枚の単板ディスクを貼り合わす必要が
あった。しかし、この貼り合わせ作業は容易ではなく、
貼り合わせ面間に混入した異物や気泡のためディスクの
機械特性が劣化して製品歩留まりが低下するという課題
がある。さらに、本発明者は前記の膜面入射タイプ媒体
の開発において、予想外の大きい面ぶれ(Run−ou
t)がディスクに発生する課題に遭遇した。
【0011】本発明は、かかる面ぶれ(Run−ou
t)の改良と、同時に両面使用可能な光ディスクの容易
な製造方法をも提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の光ディスクは、
スタンパを用いて成形した基板上に記録層を設け、基板
を通さず記録層に光を照射して、情報の記録および/ま
たは再生を行う光ディスクにおいて、情報の記録および
/または再生を行う装置内で光ディスクがクランプされ
るために光ディスク上に設けるクランプ用領域は、基板
成形の際にスタンパが基板と接する面内に設けられてい
ることを特徴とする。
【0013】また本発明の光ディスクの製造方法は、こ
うした本発明の光ディスクを製造する際に、光ディスク
上に設けるクランプ用領域は円環状であり、さらにスタ
ンパは中央に円形穴を有する円板形状をしており、かつ
スタンパの内径すなわち円形穴の外径は、光ディスク上
に設けた円環状クランプ用領域の内径より小さいことを
特徴とする。ここで、スタンパを金型に固定する際に、
スタンパの内周側では円環状のインナー押えを用いて、
スタンパと金型を固定し、かつインナー押えの外径は光
ディスク上に設けた円環状クランプ用領域の内径より小
さいことが好ましい。さらにまた、基板はプラスチック
材料を射出成形して製造することがより好ましい。その
際、射出成形機には可動側金型と固定側金型とを設け、
両方の金型にスタンパを設置して、情報の読み取りおよ
び/または記録が両面で可能な光ディスクを製造するこ
とがより好ましい。
【0014】図1は、本発明の一実施形態としての膜面
入射タイプの光ディスクを、情報の記録および/または
再生を行う装置内でクランプした様子を示す。図1にお
いて、記録層を設けた側の面Gと光の入射する側の面F
は、同じ側の面となる。そして、膜面入射タイプ光ディ
スクでは、情報の記録および/または再生を行う装置内
でクランプされるべき面、すなわち基準面Aは、記録層
を設けた側の面Gである。この面は、図3から判るよう
に、基板の射出成形時に可動金型(図3の1)に接して
いた面である。
【0015】成形される基板16には、固定金型2に接
した面とスタンパ3に接した面がある(図3参照)。固
定金型2に接した面の平面度は固定金型2の表面加工精
度で保証され、ディスク基板の内径D2から外径D3に
至るまで精度よくコントロールすることが可能であ
る。。従来の基板入射タイプの光ディスクが、情報の記
録および/または再生を行う装置内でクランプされる際
(図5参照)は、固定金型2に接した面(図5ではF)
を基準面Aとしていたので、特に課題は発生しなかっ
た。
【0016】しかしながら膜面入射タイプの光ディスク
においてクランプされる際の基準面は、基板16が成形
される際にスタンパ3に接する側の面である。そして基
板16においてスタンパ3に接した側の面には、スタン
パに接した部分(図3における径D1からD3の間)と
インナー押さえ4に接した部分(径D2からD1の部
分)とがある。
【0017】一方図4には、本発明の比較例としての光
ディスクを示す。この図4に示す光ディスクも、膜面入
射タイプの光ディスクである。すなわちクランプされる
際の基準面Aは、記録膜を設けた面Gでもあり、光の入
射する面Fでもある。ただし図4においては本発明とは
異なり、基板射出成形時のインナー押さえに接していた
領域内で、光ディスクがクランプされる。すなわち図4
でE2やE1は、D1よりも内側である。
【0018】そして基板成形の際に、基板と接する側の
スタンパ面と、基板と接するインナー押え面との平行度
を確保するには困難を伴う。すなわち図4の例では、ク
ランプされる際の光ディスクの基準面と記録膜を設けた
面との平行度を確保するには困難を伴う。そしてこの平
行度のずれは、光ディスクを回転させた時の面振れ(R
un−out)劣化の原因でとなる。さらに、図4のイ
ンナー押さえに接していた部分は、図3から判るよう
に、離型空気の出口などがあり、段差やバリが発生する
場合があり、これも面振れ(Run−out)の劣化原
因となる。
【0019】図1は、かかる不都合を解消した例であ
り、クランプされる部分も情報面も共にスタンパに接し
ていた面とすることにより、両者の平面度(平行度)の
違いを根本的に解消し、もって面振れ(Run−ou
t)を抑えることができた。そしてこうした光ディスク
は、光ディスク上に設けるクランプ用領域は円環状と
し、さらにスタンパは中央に円形穴を有する円板形状
で、かつスタンパの内径すなわち円形穴の外径は、光デ
ィスク上に設けた円環状クランプ用領域の内径より小さ
くすることにより製造することができる。
【0020】なお図1においては、クランプされる領域
は直径E1からE2に相当する範囲であり、スタンパの
内径はE1より小さい。なお、クランプ領域がインナー
押さえで発生するディスクの溝(図中の25)にかかっ
てはいけないことは言うまでもない。膜面入射タイプ媒
体の開発開始当初はディスクのaxial run−o
utの最大値は100μm程度であったが、以上述べた
本発明により、膜面入射タイプの光ディスクでも面振れ
(Run−out)を20μm以下の良好な値に抑える
ことができた。
【0021】本発明の情報面は、再生専用光ディスクで
は、射出成形でスタンパから転写された情報を含んだピ
ット上にAl膜などの反射膜をスパッタ法で形成した面
であり、書換え可能型の相変化型光記録媒体では、基板
から順に、断熱層、反射層、透明誘電体層、記録層、透
明誘電体層、高硬度保護層を積層した膜構造を有する媒
体を例示することができる。特に、面振れ条件の厳しい
書換え可能型の相変化型光記録媒体では本発明の効果が
発揮される。
【0022】さらに本発明では、前記の本発明の条件の
スタンパ2枚をそれぞれ可動側金型と固定側金型に取り
付けて成形することにより、基板の両面に同時に情報面
を成形することができる。この場合は基板の両面共が基
準面(クランプされる面)となるので、該2枚のスタン
パ共にその内径はクランプ領域より小さい必要がある。
このようにすれば、単板ディスクを2枚貼り合わせるこ
となく両面媒体を作製することが可能になり、貼り合わ
せ工程を省略することによる歩留まりの向上効果が大き
い。
【0023】なお、該2枚のスタンパは略同じ仕様のス
タンパであることが望ましい。すなわち、所望の溝関連
信号とプレピット関連信号を得る為に、信号仕様値が許
容する範囲内で略等しい溝幅、溝深さ、ピットサイズを
持つスタンパであり、両面に異なる情報が予めROMと
して入っていても再生される信号振幅が略同じであれば
同じ仕様と考える。その成形条件は基板の反り、面ぶれ
などの機械特性とピット、溝などの転写性を考慮して決
定されるが、略同じ仕様のスタンパが可動側金型と固定
側金型に設置されるので、同じ転写性とするには可動側
金型と固定側金型の温度が略等しいこと、すなわち温度
差が5℃以内であることが望ましい。
【0024】該基板上にスパッタ法で反射膜や記録膜が
形成されるが、片面ずつ順にスパッタすることも可能で
はあるが、できれば基板の両面に同時にスパッタ製膜す
る方がスパッタ装置価格と生産量のバランスより(大量
生産の必要上)好ましい。片面ずつ別々にスパッタ製膜
する時は、両面の基板の状態(温度や吸湿量)を同じ、
または一定にコントロールすることが困難であり、思わ
ぬディスクの反りが発生し易い。両面同時にスパッタ製
膜する方が、生産スピード、装置価格、ディスク反りの
コントロールの観点より好ましい。
【0025】
【実施例】膜面入射タイプの相変化型光記録媒体の開発
用のスタンパを用いて1.2mm厚さ、120mm直径
のポリカーボネート製プラスチック基板を成形して、面
ぶれ(axial run−out)を測定した。スタ
ンパは内径22.0mm、外径138mm、厚さ285
μmのNi(ニッケル)製で、半径25mmから58m
mの範囲にトラックピッチ0.7μm、グルーブ幅0.
25μm、グルーブ深さ95nmの螺旋溝が形成されて
いる。なお、該スタンパのグルーブとは、成形された基
板においてグルーブ(溝)が形成される状態を定義して
いる。すなわち、スタンパで言うところのグルーブは、
スタンパ平面より凸になっている。
【0026】用いた成形機は、住友重機械工業(株)の
成形機DISK3型で、可動側金型にスタンパを取り付
けた。帝人化成(株)製ポリカーボネートAD5503
を使い、可動側金型温度114℃、固定側金型温度11
6℃、冷却時間8.2秒、樹脂温度(ノズル先端温度)
295℃で、基板を1500枚連続成形した。1500
枚からランダムに30枚抜きとって、(株)小野測器製
の光ディスク用機械特性測定装置LM−1200型を用
いて面ぶれ(axial run−out)を測定し
た。測定は半径方向(内周27mmから外周57mm)
に7ヶ所を測定し、一周の面ぶれ(7点の内)の最大値
をそのディスクの面ぶれ値とした。
【0027】30枚の平均の面ぶれ値は12.4μm
で、最小値は8.2μm、最大値は18.8μmであっ
た。なお、機械特性測定装置LM−1200型の通常仕
様では、基板のフラット面側をクランプして基板を通し
たグルーブ面に焦点を合わせて測定するものであるが、
ここでは光ヘッドの対物レンズ上に薄いカバーガラスを
設置して収差補正を行って膜面入射タイプの光ディスク
の機械特性の測定ができるようになっている。この場合
はグルーブ面が基準面であり、この面をクランプする
(クランプに乗せて吸引してスピンドルに固定する)こ
とになる。クランプした状態は図1に示してある。この
機械特性評価機LM−1200のクランプ(図1の2
2)の外径(図1のE2)は30mm、内径(図1のE
1)は25mmであった。用いたスタンパの内径22.
0mmは、クランプ領域(直径25〜30mm)より小
さい。膜面入射タイプの光ディスクでは従来のフォーカ
スアクチュエータを用いたフォーカスサーボにかえてハ
ードディスクと同じ浮上ヘッドの利用が考えられるの
で、面ぶれの要求は非常に厳しい。要求値は20μm以
下と推定され、本例は要求値を満足した。
【0028】こうして得られた基板を用いて、膜面入射
タイプの相変化型光記録媒体を作製した。すなわち、ス
パッタ法により、基板から順に、断熱層(100nmの
ZnS・SiO2膜)、反射層(150nmのAlCr
膜)、透明誘電体層(16nmのZnS・SiO2
膜)、記録層(20nmのGeSbTe膜)、透明誘電
体層(20nmのZnS・SiO2膜)、高硬度保護層
(100nmのSiN膜)を積層した膜構造を有する媒
体を作製して、前記の機械特性測定装置で、同様に面ぶ
れを測定した。実施例の基板を用いたディスク16枚の
平均の面ぶれは11.5μmであった。記録可能な媒体
構成でも、本発明の効果が実証された。
【0029】
【比較例】膜面入射タイプの相変化型光記録媒体の開発
用のスタンパを用いて1.2mm厚さ、120mm直径
のポリカーボネート製プラスチック基板を成形して、面
ぶれ(axial run−out)を測定した。スタ
ンパは内径37.4mm、外径138mm、厚さ285
μmのNi(ニッケル)製で、半径25mmから58m
mの範囲にトラックピッチ0.7μm、グルーブ幅0.
25μm、グルーブ深さ95nmの螺旋溝が形成されて
いる(溝の形状は実施例と同じである)。
【0030】用いた成形機は、(株)名機製作所の成形
機M−35B−D−DM Dynametorで、可動
側金型にスタンパをインナー押えで取り付けた。帝人化
成(株)製ポリカーボネートAD5503を使い、可動
側金型温度117℃、固定側金型温度114℃、冷却時
間7.8秒、樹脂温度(ノズル先端温度)300℃で、
基板を1500枚連続成形した。1500枚からランダ
ムに30枚抜きとって、実施例と同様に機械特性を測定
した。ほとんどの場合、最大の面ぶれは最外周(半径5
7mm)の所だった。30枚の平均の面ぶれ値は85μ
mで、最小値は52μm、最大値は164μmであっ
た。クランプした状態は図4に示してある。この機械特
性評価機LM−1200のクランプ(図4の22)の外
径(図4のE2)は30mm、内径(図4のE1)は2
5mmであった。用いたスタンパの内径37.4mm
は、クランプ領域(直径25〜30mm)より大きい。
この構成では、基板のクランプ領域は成形時にインナー
押えに接していた部分であり、情報面との平行度が悪
い、又は/及び、可動側離型空気の出口に対応するバリ
(数十μmの凸部)がクランプに接触して、面ぶれを劣
化させたと推定された。膜面入射タイプの光ディスクで
は、前記のように、面ぶれの要求は非常に厳しい。要求
値は20μm以下と推定され、本比較例の面ぶれは許容
されない。
【0031】また実施例と同様にこの比較例でも得られ
た基板を用いて、膜面入射タイプの相変化型光記録媒体
を作製した。その結果、比較例の基板を用いたディスク
10枚の平均は88μmだった。
【0032】
【発明の効果】以上、本発明によれば、従来の光ディス
クより厳しい面ぶれ(axial run−out)限
界値が要求される、透明基板を通さずに情報面からレー
ザ光を照射して情報の読み取り、および/または、記録
を行う膜面入射タイプの光ディスクにおいて、良好な面
ぶれ値を有する光ディスクを得ることができた。特に、
相変化型などの書換え可能型光記録媒体に好適に使用で
きる。さらに、両面同時に情報面を形成する射出成形法
に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クランプ領域がスタンパと接する面内にある膜
面入射タイプの光ディスク
【図2】射出成形機
【図3】射出成形機内での基板成形部の拡大
【図4】クランプ領域がスタンパと接する面外にある膜
面入射タイプの光ディスク
【図5】基板入射タイプの光ディスク
【符号の説明】
1 可動側金型 2 固定側金型 3 スタンパ 4 スタンパ3の内周側を可動側金型1に固定するイ
ンナー押え 5 樹脂を投入するホッパー 6 シリンダー 7 ヒーター 8 溶融樹脂を押し出すためのスクリュー 9 射出シリンダー 10 スクリューモータ 11 離型空気の出口 12 フローティングパンチ(エジェクター) 13 カッター 14 離型空気の出口 15 溶融樹脂が射出投入されるスプルー部 16 射出成形させた基板 21 光ディスク 22 クランプ手段 23 対物レンズ 24 レーザ光 25 インナー押えにより光ディスク21に生じた窪み A 光ディスク21がクランプされる際の基準面 D1 インナー押えの外径 D2 基板の内径 D3 基板の外径 E1 クランプ手段22における光ディスクと円環状に
接触する部分の内径 E2 クランプ手段22における光ディスクと円環状に
接触する部分の外径 F 光ディスクにおける光の入射する側の面 G 光ディスクにおける記録層を設けた側の面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スタンパを用いて成形した基板上に記録
    層を設け、基板を通さず記録層に光を照射して、情報の
    記録および/または再生を行う光ディスクにおいて、情
    報の記録および/または再生を行う装置内で光ディスク
    がクランプされるために、光ディスク上に設けるクラン
    プ用領域は、基板成形の際にスタンパが基板と接する面
    内に設けることを特徴とする光ディスク。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光ディスクを製造する際
    に、光ディスク上に設けるクランプ用領域は円環状であ
    り、さらにスタンパは中央に円形穴を有する円板形状を
    しており、かつスタンパの内径すなわち円形穴の外径
    は、光ディスク上に設けた円環状クランプ用領域の内径
    より小さいことを特徴とする光ディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】 スタンパを金型に固定する際に、スタン
    パの内周側では円環状のインナー押えを用いて、スタン
    パと金型を固定し、かつインナー押えの外径は光ディス
    ク上に設けた円環状クランプ用領域の内径より小さいこ
    とを特徴とする請求項2記載の光ディスクの製造方法。
  4. 【請求項4】 基板はプラスチック材料を射出成形して
    製造することを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記
    載の光ディスクの製造方法。
  5. 【請求項5】 射出成形機には可動側金型と固定側金型
    とを設け、両方の金型にスタンパを設置して、情報の読
    み取りおよび/または記録が両面で可能な光ディスクを
    製造することを特徴とする請求項4記載の光ディスクの
    製造方法。
JP11035679A 1999-02-15 1999-02-15 光ディスクおよびその製造方法 Pending JP2000235737A (ja)

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