JPH11238145A - 三次元立体構造体の二次元表示方法 - Google Patents

三次元立体構造体の二次元表示方法

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JPH11238145A
JPH11238145A JP5576298A JP5576298A JPH11238145A JP H11238145 A JPH11238145 A JP H11238145A JP 5576298 A JP5576298 A JP 5576298A JP 5576298 A JP5576298 A JP 5576298A JP H11238145 A JPH11238145 A JP H11238145A
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政行 島田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写実的な陰影表現を実現しつつ、バーチャル
リアリティとしての対話性を確保できるように高速なデ
ィスプレイ表示を行う。 【解決手段】 仮想空間内に三次元立体構造体を定義し
(S11)、この構造体の各面にマッピングする絵柄画
像を用意する(S12)。光源設定(S13)を行った
後、各面を多数の多角形に分割し(S14)、光源から
の直接光および各面からの相互拡散反射光を考慮して各
頂点についての照度演算を行い(S15)、陰影パター
ンを示す照度画像を作成する(S16)。この照度画像
を絵柄画像に合成し、陰影付絵柄画像を作成する(S1
7)。画像表示段階で、プレーヤが観察条件を入力する
と(S21)、視野領域が決定され(S22)、必要な
領域内に陰影付絵柄画像がマッピングされ(S23)、
二次元画像が迅速に表示される(S24)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三次元立体構造体
の二次元表示方法に関し、特に、コンピュータを利用し
て、三次元立体構造体を所定の観察条件に基いて観察し
た状態を二次元画像として表示する三次元立体構造体の
二次元表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータハードウエアの急速
な性能向上に伴い、コンピュータグラフィックス技術も
格段の進歩を遂げ、いわゆる「3D」と呼ばれているグ
ラフィックス分野において、仮想の三次元立体構造体を
ディスプレイ画面などに二次元表示する手法が確立され
てきている。特に、光による陰影をもった高品位の画像
を表示するための手法として、ラジオシティ法が注目を
集めている。このラジオシティ法を利用すれば、三次元
立体構造体に、写実的な陰影情報を付加することが可能
になる。この方法では、まず、三次元立体構造体を構成
する各面が多数の微小な多角形に分割され、個々の多角
形の頂点について、それぞれ照度が演算される。すなわ
ち、特定の位置に光源を設定し、この光源からの直接光
および他の面からの反射や拡散による間接光を考慮した
照度演算がなされる。こうして、個々の多角形の各頂点
について、それぞれ固有の照度が得られれば、個々の多
角形の内部の照度は、各頂点の照度に基く補間演算を行
うことにより求めることができるので、三次元立体構造
体全体に対して、高品位な陰影情報を付加することがで
きる。このように、ラジオシティ法によれば、三次元立
体構造体の全体についての相互の反射や拡散を考慮した
照度演算を行うことにより各部の照度情報を求めて陰影
づけが行われるため、やわらかな影独特の表現が可能に
なり、非常に写実的な画像生成が可能になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近、種々のデモンス
トレーションやエンターテイメントとして、いわゆるバ
ーチャルリアリティを採り入れた表現が行われることが
少なくない。このバーチャルリアリティを採り入れた表
現では、仮想空間内に仮想の三次元立体構造体が構築さ
れ、この三次元立体構造体を所定の観察条件(視点位
置、視線方向、視野倍率など)に基いて観察した状態
が、ディスプレイ画面上に二次元的に表現される。しか
も、観察条件がオペレータとの対話によって時事刻々と
変化してゆくことになる。たとえば、オペレータが仮想
空間内を前進する指示をコンピュータに与えた場合、視
点位置が前方へと修正されるように観察条件を変化させ
ながら、ディスプレイ画面上に表現すべき二次元画像が
次々と生成される。また、オペレータが仮想空間内で右
を振り向く指示をコンピュータに与えれば、視線方向が
右方へと修正されるように観察条件を変化させながら、
やはり新たな二次元画像が生成される。
【0004】このように、バーチャルリアリティを採り
入れた表現では、オペレータとコンピュータとの間の対
話性が重要になるが、ディスプレイ画面上に表示すべき
二次元画像を得るための演算に時間がかかると、対話性
は低下せざるを得ない。すなわち、オペレータが所定の
指示を与えてから、これに応じた画像表示が行われるま
でに、あまりに長い時間がかかると、対話性は失われ、
バーチャルリアリティとしての実感はもはや期待できな
くなる。
【0005】上述したように、写実的な陰影表現を行う
上で、ラジオシティ法は非常に有用な手法である。しか
しながら、バーチャルリアリティを採り入れた表現に、
従来のラジオシティ法をそのまま適用すると、対話性が
低下するという問題が生じることになる。これは、ラジ
オシティ法では、多数の微小な多角形についての照度演
算が必要になるためである。もちろん、大型の高速なコ
ンピュータを用いて画像表示を行うのであれば、多数の
多角形についての照度演算も高速に行うことができ、対
話性を十分に確保した形で、写実的な陰影表現を行うこ
とは可能である。しかし、商業的な利用形態を考慮する
と、汎用のパーソナルコンピュータ程度の装置を用いて
画像表示を行うのが一般的であり、従来の手法では、ラ
ジオシティ法を利用したバーチャルリアリティ表示を行
うことは困難である。もっとも、多角形への分割数を減
らすようにすれば、演算負担は軽減され、汎用のパーソ
ナルコンピュータを用いて陰影演算を行っても、ある程
度の対話性を確保することは可能である。しかしなが
ら、分割数を減らせば減らすほど、陰影画像の品質は低
下してしまうため、ラジオシティ法に本来そなわってい
る写実的な陰影表現が実現できなくなる。
【0006】そこで本発明は、ラジオシティ法のもつ写
実的な陰影表現を実現することができ、しかも十分な対
話性を確保することができる三次元立体構造体の二次元
表現方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明の第1の態
様は、コンピュータを利用して、三次元立体構造体に対
して所定の観察条件を設定し、この観察条件に基いて三
次元立体構造体を観察した状態を二次元画像として表示
する三次元立体構造体の二次元表示方法において、複数
の平面を組み合わせてなる三次元立体構造体を定義する
ステップと、個々の平面にマッピングすべき絵柄画像を
用意するステップと、三次元立体構造体に対して照明と
なる光源を設定するステップと、個々の平面を複数の多
角形に分割するステップと、これら多数の多角形の各頂
点位置について、光源からの直接光および三次元立体構
造体からの反射もしくは拡散による間接光に基いて照度
を求めるステップと、個々の多角形の内部に所望の解像
度で多数の演算点を定義し、各頂点位置の照度に基く補
間演算により各演算点についての照度を求め、三次元立
体構造体を構成する個々の平面について、照度の分布を
示す照度画像を得るステップと、絵柄画像と照度画像と
を合成することにより陰影付絵柄画像を作成するステッ
プと、を有する画像準備段階と、三次元立体構造体に対
する観察条件を入力するステップと、観察条件における
視野領域を求めるステップと、三次元立体構造体の各平
面のうち少なくとも視野領域に相当する部分に、陰影付
絵柄画像をマッピングするステップと、この陰影付絵柄
画像がマッピングされた視野領域に相当する二次元画像
を表示するステップと、を有する画像表示段階と、の2
つの段階により、三次元立体構造体を二次元表示するよ
うにしたものである。
【0008】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る三次元立体構造体の二次元表現方法におい
て、多角形の各頂点位置についての照度を求める際に、
三次元立体構造体の各平面に絵柄画像をマッピングした
状態での反射もしくは拡散を考慮した演算を行うように
したものである。
【0009】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る三次元立体構造体の二次元表現
方法において、凸多角形からなる平面を組み合わせて三
次元立体構造体を定義するようにし、照度画像を得るス
テップにおいて、凹多角形からなる輪郭をもった照度画
像が得られた場合には、当該照度画像を複数の凸多角形
からなる輪郭をもった照度画像に分割する処理を行うよ
うにしたものである。
【0010】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
の態様に係る三次元立体構造体の二次元表現方法におけ
る画像準備段階によって用意された三次元立体構造体お
よび陰影付絵柄画像を示すデータを、コンピュータ読み
取り可能な記録媒体に記録するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る
三次元立体構造体の二次元表現方法の手順を示す流れ図
である。この方法は、図のステップS11〜S17まで
の画像準備段階と、ステップS21〜S25までの画像
表示段階と、の2つの段階から構成される。画像準備段
階は、三次元立体構造体を二次元画像として提示するた
めに必要なデータを準備するための段階であり、画像表
示段階は、準備されたデータに基いて実際に二次元画像
を提示する段階である。
【0012】ここでは、ソフトウエアの制作会社が、デ
モンストレーションやエンターテイメント(いわゆるゲ
ームなど)の分野に属するバーチャルリアリティの手法
を採り入れたデジタルコンテンツを制作し、一般のユー
ザがこのデジタルコンテンツをパーソナルコンピュータ
を用いてプレイする、という事例に基いて、この手順を
説明する。したがって、ステップS11〜S17の画像
準備段階は、制作会社側のコンピュータによって行わ
れ、ステップS21〜S25の画像表示段階は、一般の
ユーザ側の汎用パーソナルコンピュータによって行われ
ることになる(もちろん、テストプレイとして、制作会
社側のコンピュータによって画像表示段階が行われるこ
とはある)。
【0013】まず、ステップS11において、複数の平
面を組み合わせてなる三次元立体構造体100が定義さ
れる。ここでは、図2に示すような具体例を考えること
にする。この図2に示す三次元立体構造体100は、立
方体の部屋10と、この部屋10内に浮かんでいる直方
体の物体20とによって構成されている。ここで、プレ
ーヤ(後述する画像表示段階におけるパーソナルコンピ
ュータのオペレータ)は、部屋10内の仮想空間内を自
由に移動しながら、部屋10内部の天井、壁、床や物体
20の外面を観察する仮想現実を経験することになる。
三次元立体構造体100は、複数の平面を組み合わせる
ことにより構成されており、この例では、部屋10は、
天井面11、前方壁面12、右方壁面13、後方壁面1
4、左方壁面15、床面16の6つの平面から構成され
ており、物体20は、上面21、前方面22、右方面2
3、後方面24、左方面25、下面26の6つの平面
(後方面24、左方面25、下面26については図示省
略)から構成されている。このステップS11で定義さ
れる三次元立体構造体100は、このように複数の平面
の集合であるが、各平面は幾何学的な面としての情報
(位置を示す座標値)を有しているだけであり、面内の
模様や陰影の情報は一切有していない。
【0014】続いて、ステップS12において、ステッ
プS11で定義された個々の平面にマッピングすべき絵
柄画像が用意される。たとえば、図3(a) には、前方壁
面12にマッピングすべき絵柄画像P12の一例が示さ
れており、図3(b) には、前方面22にマッピングすべ
き絵柄画像P22の一例が示されている。通常、このよ
うな絵柄画像は、マトリックス状に配された多数の画素
の集合からなるビットマップデータの形式で用意され
る。ここに示す実施形態では、プレーヤは部屋10の内
部のみを移動でき、部屋10の外部には決して出ること
はなく、また、プレーヤは物体20の内部に侵入するこ
とはできない、という前提での仮想現実を提供すること
にする。したがって、ステップS12では、部屋10を
構成する6つの平面11〜16のそれぞれ内側にマッピ
ングすべき絵柄画像P11〜P16と、物体20を構成
する6つの平面21〜26のそれぞれ外側にマッピング
すべき絵柄画像P21〜P26とを用意すれば足りる。
もちろん、1枚の絵柄画像を複数の平面に共通してマッ
ピングするようにしてもかまわない。また、マッピング
時には、必要に応じて絵柄画像を拡大縮小することがで
き、たとえば、図3(b) に示す長方形状の絵柄画像P2
2を、縦横変倍して正方形状の平面12にマッピングす
ることも可能である。このような絵柄画像のマッピング
技術は既に公知の技術であるため、ここでは詳しい説明
は省略する。なお、ステップS12では、図3に示すよ
うな絵柄画像を用意するだけであり、マッピングの演算
はまだ行われない。
【0015】続くステップS13〜S16は、ラジオシ
ティ法を用いて陰影情報を得るための手順である。ま
ず、ステップS13において、光源設定が行われる。こ
こで、光源は、三次元立体構造体100に対して照明と
して機能するものであり、たとえば、図2に示す例にお
いて、天井面11の内側中心位置に点光源を設定すれ
ば、部屋10内部の照明環境を、天井に電球が1つだけ
存在する状態に設定することができる。このような光源
設定の手法も、既に公知の技術であるため、ここでは詳
しい説明は行わないが、通常、光源の種類(点光源/線
光源/面光源)、配置位置、光源各部の輝度、などの条
件が仮想空間内で定義されることになる。
【0016】次に、ステップS14において、三次元立
体構造体100を構成する個々の平面が、複数の多角形
に分割される。たとえば、図4には、前方壁面12を3
2個の直角三角形に分割した状態が示されている。この
例では、三次元立体構造体100を構成する12枚の平
面すべてが、それぞれ複数の三角形に分割されることに
なる。各面をどの程度の細かさに分割するかは、陰影の
変動量(照度分布の変動量)を考慮して各面ごとに適宜
設定する。上述したように、部屋10内には所定の光源
が設定されているため、各部に陰影が生じることになる
が、その変動量は個々の面ごとに異なってくる。たとえ
ば、全面が光源からの直接照明を受けるような面は、全
体的に照度が高くなり、照度分布の変動量は少なくな
る。このような面については、比較的大きな分割(生じ
る多角形の数を少なくする)を行っても、品質が低下す
ることはない。一方、明るい部分から暗い部分まで照度
分布が大きく変化する面については、比較的細かな分割
(生じる多角形の数を多くする)を行い、次のステップ
においてきめの細かい照度演算が行われるようにし、品
質を維持するようにするのが好ましい。
【0017】ステップS15では、こうして得られた多
数の多角形の各頂点位置について、それぞれ照度を求め
る演算が行われる。図5は、図4に示されている多数の
三角形の1つを抜き出して示した図である。この三角形
については、3つの頂点V1,V2,V3のそれぞれに
ついて、所定の照度が演算によって求められることにな
る。ある1つの頂点についての照度は、三次元立体構造
体100の全体についての相互の反射や拡散を考慮した
演算によって決定される。たとえば、前方壁面12上の
1頂点V1には、光源からの直接光が照射されるであろ
う。また、光源からの光は他の面にも照射されるので、
そこからの反射や拡散による間接光も頂点V1に照射さ
れるであろう。このように、1つの点V1についての照
度を求めるために、光源からの直接光だけでなく、関係
する他の面から得られるすべての間接光までも考慮した
演算を行う点がラジオシティ法の特徴である。このよう
な手法を採ることにより、やわらかな影独特の表現が可
能になり、非常に写実的な陰影表現が可能になる。この
ラジオシティ法に基く照度演算の方法も既に公知の技術
であるため、ここでは具体的な演算方法についての説明
は省略する。
【0018】こうして、各三角形の頂点についての照度
が求まったら、続くステップS16において、各三角形
の内部についての照度を決定する演算を行って照度画像
を作成する。いま、図5において、3つの頂点V1,V
2,V3のそれぞれについての照度が求まっていたとす
ると、この三角形内の任意の点Qについての照度を、3
つの頂点V1,V2,V3の照度に基く補間演算により
求めることができる。このような補間演算としては、た
とえば、点Qと各頂点V1,V2,V3との距離を求
め、この距離の逆数に応じたおもみをつけて、各頂点の
照度の加重平均を求めればよい。このように、三角形内
の任意の点Qについての照度は、補間演算によって決定
することができるので、たとえば、図4に示す前方壁面
12を構成する多数の三角形の内部に多数の演算点を定
義し、各演算点について照度を演算して求めれば、図6
(a) に示すように、前方壁面12上に照度分布に基く陰
影パターンを形成することができる。図6(b) は、この
陰影パターンのみを抽出したものである。ここでは、こ
のように照度分布に基く陰影パターンを照度画像と呼ぶ
ことにする。
【0019】図6(b) に示すような照度画像L12を得
るためのより具体的な方法は、次のとおりである。ま
ず、前方壁面12を図4に示すように分割して多数の三
角形を形成し、各三角形の頂点の照度を前述した手法に
より演算する。続いて、この前方壁面12を、たとえ
ば、二次元XY座標系上に平行投影する。一般に、三次
元立体構造体100を構成する各平面には、それぞれ仮
想の実寸が定義されているが、平面を二次元XY座標系
上に平行投影する際には、縦および横の寸法に対して拡
大もしくは縮小処理を施し、X軸上の0〜1.0の区間
およびY軸上の0〜1.0の区間に投影像が得られるよ
うな変倍処理を施すようにするのが好ましい。このよう
な変倍処理を行っておけば、いずれの面の投影像も1.
0×1.0の大きさをもった正方形に規格化されること
になり、取扱いが容易になる。図6(a) は、このような
規格化を行って二次元XY座標系上に投影した前方壁面
12に対応する三角形について、その内部を塗りつぶす
処理(すなわち、内部に多数の演算点を定義して、各演
算点について照度を補間演算する処理)を行った状態を
示している。
【0020】かくして、前方壁面12については、図6
(b) に示すような照度画像L12が定義されることにな
る。この照度画像L12の解像度は、三角形の内部に定
義された演算点の解像度になるので、三角形の内部に
は、必要十分な解像度で演算点を定義すればよい。この
ようにして、個々の三角形の内部に所望の解像度で多数
の演算点を定義し、各頂点位置の照度に基く補間演算に
より各演算点についての照度を求めれば、三次元立体構
造体100を構成する個々の平面11〜16,21〜2
6について、それぞれ照度の分布を示す照度画像L11
〜L16,L21〜L26が得られることになる。
【0021】なお、ステップS15において各三角形の
頂点位置についての照度を求める際に、三次元立体構造
体100の各平面に、ステップS12で用意した絵柄画
像をマッピングし、その状態での反射もしくは拡散を考
慮した演算を行うようにすれば、より正確な照度画像を
得ることが可能になる。また、光源の色をRGBなどの
三原色の成分で定義し、各絵柄画像として、RGBの各
色成分ごとの反射や拡散係数をもった画像を用意すれ
ば、三角形の各頂点位置において、RGBの各色成分ご
との照度を求めることができ、RGBの各色成分ごとの
照度画像を得ることができる。
【0022】こうして得られた照度画像は、ステップS
13で設定した光源に基く照明環境において、各面上に
得られる陰影パターンである。本発明では、続くステッ
プS17において、各照度画像を各絵柄画像に合成し、
陰影付絵柄画像を作成する処理が行われる。たとえば、
図3(a) には、前方壁面12にマッピングするために用
意された絵柄画像P12が示されているが、この絵柄画
像P12は、いわば壁紙自身の絵柄の情報というべきも
のであり、照明環境によって生じる陰影の情報は一切含
んでいない。これに対して、図6(b) に示す照度画像L
12は、いわば陰影のみの情報であり、ステップS13
において設定した光源の条件下において、前方壁面12
という固有の平面についてのみ意味をもつ情報である。
ステップS17では、この絵柄画像P12と照度画像L
12とを合成し、図7に示すような陰影付絵柄画像LP
12を作成する処理が行われる。両画像の合成は、それ
ぞれ画素を対応させ、対応画素の画素値を掛け合わせる
ような演算を行えばよい。たとえば、絵柄画像P12
を、0〜255の画素値をもつ画素の集合として用意し
ておき、照度画像L12を、0〜1の画素値をもつ画素
の集合として用意しておけば、両画像の対応画素のもつ
画素値を乗ずる演算を行うことにより、絵柄画像に陰影
情報を付加することができる。
【0023】こうして、三次元立体構造体100を構成
する個々の平面11〜16,21〜26にマッピングす
べき絵柄画像P11〜P16,P21〜P26につい
て、それぞれ照度画像L11〜L16,L21〜L26
を合成する処理を行えば、陰影付絵柄画像LP11〜L
P16,LP21〜LP26が得られることになる。こ
の陰影付絵柄画像は、いわば、「マッピングしたときに
現れる影のパターン」を、マッピングする前から既に絵
柄上に描き込んだ壁紙、というべきものになる。結局、
本実施形態における画像準備段階では、図8に示すよう
に、三次元立体構造体100を示すデータD(100)
と、部屋10の各平面にマッピングすべき陰影付絵柄画
像のデータD(LP11)〜D(LP16)と、物体2
0の各平面にマッピングすべき陰影付絵柄画像のデータ
D(LP21)〜D(LP26)と、が作成されること
になる。これらのデータは、たとえば、CD−ROMな
どの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能な形態で記
録されることになる。
【0024】続いて、ステップS21〜S25の画像表
示段階の手順を説明する。この手順は、前述したよう
に、一般のユーザ側の汎用パーソナルコンピュータによ
って行われることになる。このステップS21〜S25
の手順を実行するプログラムを、上述のCD−ROMに
付加して制作会社から提供するようにすれば、ユーザ
(プレーヤ)が、提供された上述のCD−ROMをパー
ソナルコンピュータにセットすれば、以下の手順が実行
されることになる。
【0025】まず、ステップS21において、プレーヤ
が、三次元立体構造体100に対する観察条件を入力す
る。この例では、視点位置、視線方向、視野倍率を観察
条件として入力するようにしている。たとえば、図9
は、三次元立体構造体100を構成する部屋10内にプ
レーヤPが位置している仮想的な状態における観察条件
の一例を示している。図示のような観察条件を入力する
のであれば、プレーヤは、視点Eの座標値と、図に一点
鎖線で示す視線の方向と、視野倍率(視線の広がり角
度)とを設定する入力を行えばよい。もちろん、通常の
バーチャルリアリティのプログラムを実行する上では、
プレーヤはこのような条件設定を直接的に行うのではな
く、マウス、ジョイスティック、キーボードなどを操作
して、前進、右を向く、近付くなどの指示をコンピュー
タに対して与えることにより、間接的に観察条件を設定
する入力を行うことになる。
【0026】こうして、観察条件が入力されると、続く
ステップS22において、視野領域が決定される。図9
の例では、視野領域Wがハッチング領域として示されて
いる。そして、次のステップS23において、陰影付絵
柄画像のマッピングが行われる。この場合、三次元立体
構造体100を構成する各平面のうち、少なくとも視野
領域Wに相当する部分に、陰影付絵柄画像のマッピング
が行われればよい。マッピングした画像には、既に陰影
の情報が含まれているので、この時点でラジオシティの
手法による陰影計算を行う必要はない。次に、ステップ
S24において、陰影付絵柄画像がマッピングされた視
野領域Wに相当する二次元画像の表示が行われる。別言
すれば、ディスプレイ画面上に、視野領域W内の二次元
投影画像が表示されることになる。
【0027】通常、バーチャルリアリティの手法を用い
たプログラムでは、プレーヤPは仮想空間内を移動した
り、向きを変えたりすることができる。そこで、所定の
観察条件に対応する画像表示が行われたら、ステップS
25から、再びステップS21へと戻り、新たな観察条
件の入力が行われる。こうして、プレーヤは時事刻々と
観察条件を変化させる入力を行うことができ、その都
度、ステップS21〜S24までの手順が実行され、各
時点の観察条件に応じた視野領域内の二次元投影画像が
ディスプレイ画面上に表示されることになる。
【0028】この画像表示段階の特徴は、汎用のパーソ
ナルコンピュータを用いた場合であっても、十分な品質
をもった画像を、十分な対話性をもって提示することが
できる点にある。すなわち、提示される画像には、ラジ
オシティ法を利用して得られた陰影パターンが含まれて
いるため、非常に写実的で高品位な表示が可能になる。
一方、ステップS21〜ステップS24で行われる処理
は、単なる画像のマッピング処理や二次元投影の処理で
あるため、一般的なパーソナルコンピュータを用いて行
っても、かなり短い演算時間で処理が完了し、対話性が
損なわれることはない。
【0029】このように本発明では、演算負担の重いラ
ジオシティ法特有の照度演算(ステップS15やステッ
プS16)を画像準備段階で行ってしまうようにしたた
め、画像表示段階の演算負担は著しく軽減される。そも
そも、ラジオシティ法は、高品位の静止画像を作成する
ために利用されていた技術であり、このような高品位の
静止画像を作成する場合、本発明にいう画像準備段階と
画像表示段階とは一連の手順として同じオペレータによ
って実行されるのが普通である。したがって、画像表示
段階の演算負担のみを軽減しても、あまり意味がなかっ
たのである。ところが、バーチャルリアリティの分野で
は、画像表示段階における対話性が求められることにな
るため、本発明の手法を適用することは大いに意味のあ
ることになる。
【0030】すなわち、画像準備段階は、ソフトウエア
の制作段階に相当し、制作会社のクリエータが操作を行
う段階である。もちろん、この制作段階においても演算
時間は短いに越したことはないが、たとえ演算時間が長
くかかったとしても、大きな障害は生じない。これに対
して、画像表示段階は、この制作会社が制作したCD−
ROMなどのタイトルを購入したユーザが、プレーヤと
してバーチャルリアリティの世界を体験する段階に相当
するため、演算時間が長くかかると、対話性が失われ、
バーチャルリアリティとしての実感が損なわれ、大きな
障害となるのである。
【0031】本願発明者は、この点に着目し、画像準備
段階において、演算負担の重い照度演算をすべての面に
ついて実行してしまい、マッピング前の絵柄画像に陰影
情報を付加してしまう方法を着想したのである。既に画
像準備段階において、陰影を求める演算が完了してしま
っているので、画像表示段階では、表示に必要な箇所に
陰影付絵柄画像をマッピングする処理を行うだけで済む
ことになる。画像表示段階では、観察条件を時々刻々と
変化させながら、ディスプレイ画面上への画像表示を連
続して行う必要があるが、上述したマッピング処理だけ
を行うようにすれば、演算時間は大幅に短縮され、十分
な対話性が確保できるようになる。
【0032】なお、最後に、本発明を実施する上で凹多
角形が生じた場合の取扱いについて述べておく。コンピ
ュータグラフィックスの分野では、一般的に、凸多角形
と凹多角形とが混在した状態で処理を行うよりも、多角
形をすべて凸多角形として取り扱う処理を行った方が演
算効率がよくなる。これは、凸多角形に関する演算に比
べて、凹多角形に関する演算は、演算負担が重く、時間
がかかるためである。そこで、たとえば、図10(a) に
示すような凹多角形からなる平面30のような図形を取
り扱う場合、この図形を1つの凹多角形として取り扱う
ことはせずに、図10(b) に示すように、複数の凸多角
形31,32,33の集合体として取り扱うのが一般的
である。ところが、本発明の手順を実施すると、凹多角
形からなる平面30が、複数の凸多角形31,32,3
3の集合からなる、という情報が失われてしまう事態が
生じる。たとえば、図10(a) に示す平面30に対し
て、ラジオシティ法を適用するために、図11(a) に示
すような分割が行われ、多数の三角形が定義されたもの
とする。既に述べたように、これら多数の三角形の頂点
について、それぞれ照度が演算され、更に、三角形内部
の演算点についても補間演算が行われ、最終的に、図1
1(b) に示すような照度画像L30が求まることにな
る。ところが、既に三角形への分割が行われた時点で、
平面30が複数の凸多角形31,32,33の集合から
なる、という情報は失われてしまっているため、照度画
像L30は、そのまま凹多角形からなる1つの図形とし
て取り扱われることになってしまう。
【0033】このような場合、照度画像を得るステップ
において、凹多角形からなる輪郭をもった照度画像L3
0が得られた場合には、この照度画像を複数の凸多角形
からなる輪郭をもった照度画像に分割する処理を行うよ
うにすればよい。具体的には、各平面ごとの照度画像が
得られた段階で、これら照度画像から輪郭線の情報のみ
を抽出し、この輪郭線の情報に基いて、当該照度画像の
形状が凹多角形か否かを判断する処理を行えばよい。た
とえば、図11(b) に示す照度画像L30については、
図12(a) に示すような輪郭線35が抽出される。この
輪郭線35を図示の矢印のようにベクトル軌跡としてト
レースする手法を用いれば、この図形が凹多角形か否か
を判断することができる(このような手法は公知である
ため、詳細な説明は省略する)。そして、凹多角形であ
ると判断された場合には、図11(b) に示す照度画像L
30を複数の凸多角形に分割する処理を行い、たとえ
ば、図12(b) に示すように、複数の照度画像L31,
L32,L33に置換する処理を行えばよい。
【0034】以上、本発明を図示する実施形態に基いて
説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるもので
はなく、この他にも種々の形態で実施可能である。たと
えば、上述の実施形態では、ラジオシティ法を適用する
ために平面を多数の三角形に分割しているが、分割形状
は必ずしも三角形にする必要はなく、四角形や他の多角
形にしてもかまわない。
【0035】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る三次元立体構
造体の二次元表現方法によれば、ラジオシティ法のもつ
写実的な陰影表現を実現することができ、しかも十分な
対話性を確保することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る三次元立体
構造体の二次元表現方法の手順を示す流れ図である。
【図2】複数の平面を組み合わせてなる三次元立体構造
体100の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示す三次元立体構造体100を構成する
平面にマッピングすべき絵柄画像の例を示す平面図であ
る。
【図4】図1に示す三次元立体構造体100を構成する
前方壁面12を複数の三角形に分割した状態を示す平面
図である。
【図5】図4に示す多数の三角形の1つを抜き出して示
す拡大図である。
【図6】図4に示す各三角形にラジオシティ法を適用し
て照度画像を求めた一例を示す平面図である。
【図7】図3に示す絵柄画像P12に、図6に示す照度
画像L12を合成して得られる陰影付絵柄画像LP12
を示す平面図である。
【図8】図1に示す画像準備段階で用意されるデータ構
成の一例を示す図である。
【図9】図1に示す画像表示段階における仮想空間を示
す斜視図である。
【図10】コンピュータグラフィックスの分野におい
て、凹多角形を凸多角形の集合として取り扱う一般的な
方法を示す図である。
【図11】図10に示す凹多角形にラジオシティ法を適
用することにより、凸多角形の集合としての情報が失わ
れる状態を示す図である。
【図12】凹多角形からなる照度画像を分割して、凸多
角形からなる複数の照度画像に置換した状態を示す図で
ある。
【符号の説明】
10…部屋 11…天井面 12…前方壁面 13…右方壁面 14…後方壁面 15…左方壁面 16…床面 20…物体 21…上面 22…前方面 23…右方面 30…凹多角形からなる平面 31〜33…凸多角形 D(100)…三次元立体構造体のデータ D(LP11)〜D(LP16)…陰影付絵柄画像のデ
ータ D(LP21)〜D(LP26)…陰影付絵柄画像のデ
ータ E…視点 L12…照度画像 L30…凹多角形からなる照度画像 L31,L32,L33…凸多角形からなる照度画像 35…輪郭線 LP12…陰影付絵柄画像 P…プレーヤ P12…絵柄画像 P22…絵柄画像 Q…三角形内の演算点 V1,V2,V3…三角形の頂点 W…視野領域

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータを利用して、三次元立体構
    造体に対して所定の観察条件を設定し、この観察条件に
    基いて前記三次元立体構造体を観察した状態を二次元画
    像として表示する三次元立体構造体の二次元表示方法で
    あって、 複数の平面を組み合わせてなる三次元立体構造体を定義
    するステップと、 前記個々の平面にマッピングすべき絵柄画像を用意する
    ステップと、 前記三次元立体構造体に対して照明となる光源を設定す
    るステップと、 前記個々の平面を複数の多角形に分割するステップと、 前記多数の多角形の各頂点位置について、前記光源から
    の直接光および前記三次元立体構造体からの反射もしく
    は拡散による間接光に基いて照度を求めるステップと、 前記個々の多角形の内部に所望の解像度で多数の演算点
    を定義し、各頂点位置の照度に基く補間演算により各演
    算点についての照度を求め、前記三次元立体構造体を構
    成する個々の平面について、照度の分布を示す照度画像
    を得るステップと、 前記絵柄画像と前記照度画像とを合成することにより陰
    影付絵柄画像を作成するステップと、 を有する画像準備段階と、 前記三次元立体構造体に対する観察条件を入力するステ
    ップと、 前記観察条件における視野領域を求めるステップと、 前記三次元立体構造体の各平面のうち少なくとも前記視
    野領域に相当する部分に、前記陰影付絵柄画像をマッピ
    ングするステップと、 前記陰影付絵柄画像がマッピングされた前記視野領域に
    相当する二次元画像を表示するステップと、 を有する画像表示段階と、 から構成される三次元立体構造体の二次元表示方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の二次元表示方法におい
    て、 多角形の各頂点位置についての照度を求める際に、三次
    元立体構造体の各平面に絵柄画像をマッピングした状態
    での反射もしくは拡散を考慮した演算を行うことを特徴
    とする三次元立体構造体の二次元表示方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の二次元表示方
    法において、 凸多角形からなる平面を組み合わせて三次元立体構造体
    を定義するようにし、 照度画像を得るステップにおいて、凹多角形からなる輪
    郭をもった照度画像が得られた場合には、当該照度画像
    を複数の凸多角形からなる輪郭をもった照度画像に分割
    する処理を行うことを特徴とする三次元立体構造体の二
    次元表示方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の二次元表示方法におけ
    る画像準備段階によって用意された三次元立体構造体お
    よび陰影付絵柄画像を示すデータが記録されたコンピュ
    ータ読み取り可能な記録媒体。
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