JPH11236955A - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置

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JPH11236955A
JPH11236955A JP4045998A JP4045998A JPH11236955A JP H11236955 A JPH11236955 A JP H11236955A JP 4045998 A JP4045998 A JP 4045998A JP 4045998 A JP4045998 A JP 4045998A JP H11236955 A JPH11236955 A JP H11236955A
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尚 今西
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尚 町田
Hiroyuki Ito
裕之 伊藤
Hiroshi Ishikawa
宏史 石川
Shinji Miyata
慎司 宮田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型・軽量で伝達効率の良い構造を実現す
る。 【解決手段】 トロイダル型無段変速機17と遊星歯車
機構20とを組み合わせたパワースプリット型の構造を
対象とする。遊星歯車機構20を、エンジン15及び発
進クラッチ28と同軸上に配置する。又、トロイダル型
無段変速機17を、上記遊星歯車機構20よりも上方に
配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車用
の変速機として利用する、トロイダル型無段変速機を組
み込んだ無段変速装置の改良に関し、小型で、しかもト
ロイダル型無段変速機の構成部材の耐久性を確保できる
構造を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用変速機として、図3〜4
に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が
研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例え
ば実開昭62−71465号公報に開示されている様
に、入力軸1と同心に入力ディスク2を支持し、この入
力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に出力ディス
ク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めた
ケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に
対し捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動する
トラニオン6、6を設けている。
【0003】即ち、これら各トラニオン6、6の両端部
外側面には、上記枢軸5、5を、互いに同心に設けてい
る。又、各トラニオン6、6の中心部には変位軸7、7
の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として各トラ
ニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、
7の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン
6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパ
ワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、
これら各パワーローラ8、8を、上記入力、出力両ディ
スク2、4同士の間に挟持している。入力、出力両ディ
スク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それ
ぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を当該ディス
クの中心軸を中心に回転させて得られる凹面をなしてい
る。そして、球状凸面に形成した各パワーローラ8、8
の周面8a、8aを、上記両内側面2a、4aに当接さ
せている。
【0004】上記入力軸1と入力ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧
装置9によって、上記入力ディスク2を出力ディスク4
に向け、弾性的に押圧している。この押圧装置9は、入
力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により
保持された複数個(例えば4個)のローラ12、12と
から構成している。上記カム板10の片側面(図3〜4
の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面1
3を形成し、上記入力ディスク2の外側面(図3〜4の
右側面)にも、同様のカム面14を形成している。そし
て、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の
中心に対して放射方向の軸を中心とする回転自在に支持
している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転
すると、カム面13によって複数個のローラ12、12
が、入力ディスク2の外側面に形成したカム面14に押
圧される。この結果、上記入力ディスク2が上記複数の
パワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記1対の
カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し
付け合いに基づいて、上記入力ディスク2が回転する。
そして、この入力ディスク2の回転が、上記複数のパワ
ーローラ8、8を介して出力ディスク4に伝達され、こ
の出力ディスク4に固定した出力軸3が回転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との間の回転速度比
(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3と
の間で減速を行なう場合には、枢軸5、5を中心として
各トラニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8
の周面8a、8aが図3に示す様に、入力ディスク2の
内側面2aの中心寄り部分と出力ディスク4の内側面4
aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸
7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、
上記トラニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、
8の周面8a、8aが図4に示す様に、入力ディスク2
の内側面2aの外周寄り部分と出力ディスク4の内側面
4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変
位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を
図3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との
間で、中間の変速比を得られる。
【0007】上述の様に構成され作用するトロイダル型
無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場
合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成す
る事が、特開平1−169169号公報、同1−312
266号公報に記載されている様に、従来から提案され
ている。図5は、この様な従来から提案されている無段
変速装置の基本構成を略示している。駆動源であるエン
ジン15の駆動軸16は、上述した図3〜4に示す様な
構成を有するトロイダル型無段変速機17の入力軸1
(図3〜4参照)に結合している。又、デファレンシャ
ルギヤ18(本発明の実施の形態を示す図1参照)を介
して駆動輪を駆動する為の出力軸19は、遊星歯車機構
20を構成する太陽歯車21(図1参照)に結合固定し
て、この太陽歯車21と共に回転する様にしている。
【0008】又、上記トロイダル型無段変速機17の出
力ディスク4(図1、3、4参照)と上記遊星歯車機構
20を構成するキャリア22(図1参照)とを第一の動
力伝達機構23により、回転力の伝達を可能な状態に接
続している。又、上記駆動軸16及び入力軸1と上記遊
星歯車機構20を構成するリング歯車24(図1参照)
とを第二の動力伝達機構25により、回転力の伝達を可
能な状態に接続自在としている。更に、上記駆動軸16
及び入力軸1と出力軸19との間の変速状態を、高速走
行モードと低速走行モードと後退モードとの3種類のモ
ードに切り換え自在な、切換手段を備える。そして、上
記第一の動力伝達機構23の減速比βと上記第二の動力
伝達機構25の減速比αとの比β/αを、上記トロイダ
ル型無段変速機17の最大増速時の減速比(図4に示し
た状態での入力軸1と出力軸3との間の減速比)iH
と、ほぼ同じにしている。
【0009】上述の図5に示す様な無段変速装置は、所
謂パワー・スプリット型と呼ばれるもので、低速走行モ
ードでは上記駆動軸16及び入力軸1と出力軸19との
間の動力を、総て上記トロイダル型無段変速機17を通
じて伝達する。これに対して高速走行モードでは、動力
を上記遊星歯車機構20により伝達すると共に、この動
力の一部をこの遊星歯車機構20を介して上記トロイダ
ル型無段変速機17に循環させる。即ち、低速走行時に
は前記エンジン15の駆動力を上記トロイダル型無段変
速機17のみで伝達し、高速走行時には上記駆動力を上
記遊星歯車機構20で伝達すると共に、この駆動力の一
部を上記トロイダル型無段変速機17に循環させる事に
より、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機17に
加わるトルクの低減を図る様にしている。この様に構成
する事により、上記トロイダル型無段変速機17の構成
各部材の耐久性を向上させると同時に、無段変速装置全
体としての伝達効率の向上を図れる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−16916
9号公報、同1−312266号公報に記載されている
構造の場合には、2組の遊星歯車機構を組み込む等、構
造が複雑でコストが嵩む。しかも、これら2組の遊星歯
車機構とトロイダル型無段変速機とを、同軸上に互いに
直列に配置しているので、軸方向寸法が嵩み、遊星歯車
機構を2組設けている事と相まって、設置スペースも嵩
む。この為、小型自動車用、或は変速機をエンジンルー
ム近傍の限られたスペースに設置する必要のあるFF車
用の無段変速装置としては不適当な構造である。
【0011】これに対して、特開平9−89072号公
報には、遊星歯車機構を1組のみ設けた無段変速装置が
記載されている。但し、この公報に記載されている無段
変速装置は、低速走行時にトロイダル型無段変速機及び
遊星歯車機構を通過した動力の一部をトロイダル型無段
変速機に戻し、高速走行時に駆動力をこのトロイダル型
無段変速機のみで伝達する、所謂ギヤード・ニュートラ
ル型である。この様なギヤード・ニュートラル型の無段
変速装置は、高速走行時にトロイダル型無段変速機に加
わるトルクを低減できないだけでなく、低速走行時には
このトロイダル型無段変速機に、駆動源から加えられる
トルクよりも遥かに大きなトルクが加わる。この為、ト
ロイダル型無段変速機の耐久性を確保する為には、この
トロイダル型無段変速機の構成部品を大型化する必要が
あり、無段変速装置全体としての小型・軽量化を図れな
い。
【0012】又、従来のトロイダル型無段変速機と遊星
歯車機構とを組み合わせた無段変速装置は、トロイダル
型無段変速機の中心軸をエンジンの駆動軸(クランクシ
ャフト)と一致させるべく、これら中心軸と駆動軸とを
同軸上に配置する事を考慮している。この為、遊星歯車
機構に比較して軸方向寸法が嵩むトロイダル型無段変速
機を、トルクコンバータ等の発進クラッチと軸方向に関
して直列に配置する必要が生じる等、無段変速装置の軸
方向寸法が大きくなる。又、高速回転する部材が多いト
ロイダル型無段変速機を、潤滑油(=トラクションオイ
ル)が溜る、無段変速装置を納めたケーシングの下部に
設ける為、攪拌抵抗による動力ロスが多くなる。本発明
は、この様な事情に鑑み、高速走行時にトロイダル型無
段変速機を通じて伝達するトルクの軽減を図れ、小型且
つ軽量に構成できて、しかも動力ロスを小さくできる構
造を実現すべく発明したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の無段変速装置
は、エンジンの駆動軸により回転駆動される入力軸と、
デファレンシャルギヤを介して車輪を回転駆動する出力
軸と、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟持したパ
ワーローラの傾斜角度を変える事により上記入力ディス
クと出力ディスクとの間の変速比を変えるトロイダル型
無段変速機と、遊星歯車機構と、これらトロイダル型無
段変速機と遊星歯車機構とを連結する1対の動力伝達機
構と、上記入力軸と出力軸との間の変速状態を高速走行
モードと低速走行モードと後退モードとの3種類のモー
ドに切り換え自在な切換手段とを備える。そして、低速
走行モードでは上記入力軸と出力軸との間の動力を総て
上記トロイダル型無段変速機を通じて伝達し、高速走行
モードでは動力を上記遊星歯車機構により伝達すると共
に、一部の動力をこの遊星歯車機構を介して上記トロイ
ダル型無段変速機に循環させる。特に、本発明の無段変
速装置に於いては、上記遊星歯車機構の中心軸を上記駆
動軸と同軸上に配置すると共に、上記トロイダル型無段
変速機の中心軸を、この駆動軸と平行でこの駆動軸より
も上方位置に配置している。
【0014】
【作用】上述の様に構成する本発明の無段変速装置の作
用は、次の通りである。先ず、低速走行時には、入力軸
と出力軸との間の動力を総て上記トロイダル型無段変速
機を通じて伝達する。この為に例えば、低速用クラッチ
を接続し、遊星歯車機構を構成する3種類の歯車の相対
変位を不能にして、キャリアと上記出力軸とを同期して
回転させる。この状態ではトロイダル型無段変速機のみ
が、入力軸から出力軸に動力を伝達する。この低速走行
時に入力、出力両ディスク同士の間の変速比を変換する
際の作用は、前述の図3〜4に示した従来のトロイダル
型無段変速機の場合と同様である。勿論、この状態で
は、上記入力軸と出力軸との間の変速比、即ち無段変速
装置全体としての変速比は、トロイダル型無段変速機の
変速比に比例する。又、この状態では、このトロイダル
型無段変速機に入力されるトルクは、上記入力軸に加え
られるトルクに等しくなる。
【0015】これに対して、高速走行時には、例えば高
速用クラッチを接続する事により、上記入力軸と上記遊
星歯車機構を構成するリング歯車との間での回転力を自
在として、動力を上記遊星歯車機構により伝達すると共
に、一部の動力を上記遊星歯車機構を介して上記トロイ
ダル型無段変速機に循環させる。この状態では、上記ト
ロイダル型無段変速機の出力ディスクに、上記遊星歯車
機構を構成するキャリアからトルクが伝わる。そして、
この状態では、上記無段変速装置全体としての変速比
は、上記遊星歯車機構を構成する遊星歯車の公転速度に
応じて変化する。そこで、上記トロイダル型無段変速機
の変速比を変えて、上記遊星歯車の公転速度を変えれ
ば、上記無段変速装置全体としての変速比を調節でき
る。即ち、この状態では、トロイダル型無段変速機の変
速比を減速側に変化させる程、無段変速装置全体の変速
比は増速側に変化する。この様な高速走行時の状態で
は、無段変速装置全体の変速比を増速側に変化させるべ
く、トロイダル型無段変速機の変速比を減速側に変化さ
せる程、このトロイダル型無段変速機に入力されるトル
クが小さくなる。この結果、高速走行時に上記トロイダ
ル型無段変速機に入力されるトルクを小さくして、この
トロイダル型無段変速機の構成部品の耐久性向上を図れ
る。
【0016】更に、後退時には、例えば後退用クラッチ
を接続する事により、上記遊星歯車機構を構成するリン
グ歯車の回転を不能にする。この状態では、上記トロイ
ダル型無段変速機を通過した動力が、遊星歯車機構を通
過する間に回転方向を変えてから前記出力軸に伝わる。
【0017】特に、本発明の無段変速装置の場合には、
高速走行時にトロイダル型無段変速機を通じて伝達する
トルクの軽減を図れる、パワー・スプリット型と呼ばれ
る構造を採用して、小型且つ軽量に構成できて、しかも
動力ロスを小さくできる。即ち、上記遊星歯車機構の中
心軸を上記駆動軸と同軸上に配置する為、エンジン及び
発進クラッチと直列に配置するのは、軸方向寸法が小さ
い遊星歯車機構になる。この為、軸方向寸法の増大を抑
えて、無段変速装置全体としての小型・軽量化を図れ
る。又、高速回転する部材が多い上記トロイダル型無段
変速機の中心軸を、上記駆動軸よりも上方位置に配置し
ている為、このトロイダル型無段変速機が、無段変速装
置を納めたケーシングの下部に溜る潤滑油(=トラクシ
ョンオイル)中に漬かる事がない。この為、攪拌抵抗に
よる動力ロスを低減できる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の1
例を示している。本発明の無段変速装置は、駆動源であ
るエンジン15の駆動軸16(クランクシャフト)につ
ながって、このエンジン15により回転駆動される入力
軸27を備える。この入力軸27の入力側端部(図1の
左端部)と上記駆動軸16の出力側端部(図1の右端
部)との間には、トルクコンバータ、電磁クラッチ、湿
式多板クラッチ等の発進クラッチ28を、これら駆動軸
16及び入力軸27に対し直列に設けている。従って、
これら駆動軸16と入力軸27とを、互いに同心に配置
している。又、上記入力軸27の回転に基づく動力を取
り出す為の円管状の出力軸29を、この入力軸27の周
囲に配置すると共に、この入力軸27と独立した回転を
自在に支持している。そして、これら入力軸27及び出
力軸29の周囲に、遊星歯車機構20を設けている。従
って、この遊星歯車機構20の中心軸は、上記両軸2
7、29の軸心に一致する。
【0019】又、これら入力軸27及び出力軸29の上
方(直上方若しくは斜め上方)に、トロイダル型無段変
速機17の回転軸30を、上記両軸27、29と平行
に、且つ回転自在に支持している。そして、上記入力軸
27の出力側端部(図1の右端部)に固定した駆動歯車
31と、次述するカム板10に固定した従動歯車32と
を噛合させる事により、第三の動力伝達機構33を構成
している。
【0020】上記トロイダル型無段変速機17に付属の
ローディングカム式の押圧装置9を構成するカム板10
は、上記回転軸30の中間部一端寄り(図1の右端寄
り)で、入力ディスク2の外側面(図1の右側面)から
突出した部分に支持している。これらカム板10の内周
面と回転軸30の外周面との係合部には、スプライン等
を設ける事により、この回転軸30に対する上記カム板
10の軸方向に亙る移動を自在としつつ、このカム板1
0が上記回転軸30と同期して回転する様にしている。
又、上記トロイダル型無段変速機17を構成する入力デ
ィスク2と出力ディスク4とは、上記回転軸30の周囲
に、ニードル軸受等、図示しない軸受により、この回転
軸30に対し、互いに独立した回転を自在に支持してい
る。そして、上記カム板10の片面(図1の左面)に形
成したカム面13と入力ディスク2の外側面に形成した
カム面14との間にローラ12、12を挟持し、上記押
圧装置9を構成している。従って、上記入力ディスク2
は上記回転軸30の回転に伴い、上記出力ディスク4に
向け押圧されつつ回転する。又、上記回転軸30の一端
部で、上記カム板10よりも突出した部分にはローディ
ングナット34を螺合固定して、上記押圧装置9の作動
時に、上記カム板10に加わる大きなスラスト荷重を支
承自在としている。又、このカム板10と上記ローディ
ングナット34との間には、皿板ばね等の予圧ばね35
を設けて、上記押圧装置9、並びに上記入力ディスク2
と出力ディスク4との間に挟持した、次述するパワーロ
ーラ8、8(図3〜4参照。図1には省略。)に予圧を
付与している。
【0021】又、上記入力ディスク2の内側面2aと上
記出力ディスク4の内側面4aとの間に複数個(通常2
〜3個)のパワーローラ8、8を挟持し、これら各パワ
ーローラ8、8の周面8a、8aと上記両内側面2a、
4aとを当接させている。これら各パワーローラ8、8
は、トラニオン6、6及び変位軸7、7(図3〜4参
照。図1には省略。)により、回転及び揺動変位自在に
支持している。上記トロイダル型無段変速機17は、従
来から広く知られているトロイダル型無段変速機と同様
に、上記トラニオン6、6を揺動させて上記各パワーロ
ーラ8、8を支持している変位軸7、7の傾斜角度を変
える事により、上記入力ディスク2と上記出力ディスク
4との間の変速比を変える。
【0022】又、前記遊星歯車機構20を構成する太陽
歯車21は、前記出力軸29の中間部に固定している。
従ってこの出力軸29は、上記太陽歯車21の回転に伴
って回転する。この太陽歯車21の周囲にはリング歯車
24を、この太陽歯車21と同心に、且つ回転自在に支
持している。そして、このリング歯車24の内周面と上
記太陽歯車21の外周面との間に、複数個(通常は3〜
4個)の遊星歯車組36、36を設けている。図示の例
ではこれら各遊星歯車組36、36は、それぞれ1対ず
つの遊星歯車37a、37bを組み合わせて成る。これ
ら1対ずつの遊星歯車37a、37bは、互いに噛合す
ると共に、外径側に配置した遊星歯車37aを上記リン
グ歯車24に噛合させ、内径側に配置した遊星歯車37
bを上記太陽歯車21に噛合させている。この様に各遊
星歯車組36、36をそれぞれ1対ずつの遊星歯車37
a、37bにより構成するのは、上記リング歯車24と
太陽歯車21との回転方向を一致させる為である。従っ
て、他の構成部分との関係で、これらリング歯車24と
太陽歯車21との回転方向を一致させる必要がなけれ
ば、単一の遊星歯車をこれらリング歯車24と太陽歯車
21との両方に噛合させても良い。
【0023】上述の様な遊星歯車組36、36は、キャ
リア22の片側面(図1の右側面)に、上記出力軸29
と平行な枢軸38a、38bにより、回転自在に支持し
ている。又、上記キャリア22は、上記出力軸29の中
間部周囲に、図示しない軸受により、回転自在に支持し
ている。
【0024】又、上記キャリア22と前記出力ディスク
4とを、第一の動力伝達機構23により、回転力の伝達
を可能な状態に接続している。この第一の動力伝達機構
23は、上記キャリア22に固定した歯車39と上記出
力ディスク4に固定した歯車40とを互いに噛合させる
事により構成している。即ち、上記出力ディスク4を固
定したスリーブ41に上記歯車40を固定すると共に、
この歯車40と上記歯車39とを噛合させている。従っ
て上記キャリア22は、上記出力ディスク4の回転に伴
って、この出力ディスク4と反対方向に、上記両歯車3
9、40の歯数の比に応じた速度で回転する。尚、上記
スリーブ41は、無段変速装置を組み込んだケーシング
の内側に、それぞれがアンギュラ玉軸受等の、ラジアル
荷重及びスラスト荷重を支承自在な1対の転がり軸受4
2、42により、回転のみ自在に支持している。
【0025】一方、前記入力軸27と前記リング歯車2
4とは、第二の動力伝達機構25により、回転力の伝達
を可能な状態に接続自在としている。この第二の動力伝
達機構25は、上記入力軸27の中間部で前記駆動歯車
31と前記遊星歯車機構20との間部分に固定した内径
側ディスク43と、上記リング歯車24に固定した状態
でこの内径側ディスク43の周囲に配置した外径側ディ
スク44とにより構成している。そして、この外径側デ
ィスク44と上記内径側ディスク43の外周縁とを結合
する事により、上記リング歯車24を上記入力軸27と
同方向に、同じ角速度で回転駆動自在としている。尚、
上記第一の動力伝達機構23の減速比βと上記第二の動
力伝達機構25の減速比α(図示の例では1)との比β
/αは、前記トロイダル型無段変速機17の最大増速時
の減速比iH (図4に示した状態での入力ディスク2と
出力ディスク4との減速比で、例えば0.5程度)とほ
ぼ同じとしている。例えば、α=1とすれば、β≒iH
にする。この理由は、後述する低速モードと高速モード
との切り換え時に、無段変速装置全体としての変速比が
不連続になる事を防止若しくはその程度を低減する為で
ある。
【0026】又、本発明の無段変速装置は、高速走行モ
ードと低速走行モードと後退モードとの3種類のモード
を切り換える切換手段を備える。図示の例ではこの切換
手段を、高速用クラッチ45と低速用クラッチ46と後
退用クラッチ47との、3個のクラッチにより構成して
いる。これら3個のクラッチ45〜47は、後述する様
に、実現すべきモードに応じて何れか1個のクラッチの
みを接続し、残る2個のクラッチは接続を断つ。このう
ちの高速用クラッチ45は、上記第二の動力伝達機構2
5を構成する内径側ディスク43の外周縁部と外径側デ
ィスク44の内周縁部との間に設けており、接続時には
これら内径側ディスク43と外径側ディスク44とを一
体的に結合して、前記リング歯車24を上記入力軸27
と同期して回転させる。
【0027】又、低速用クラッチ46は、接続時に遊星
歯車機構20を構成する前記各歯車21、24、37
a、37b同士が相対変位する事を阻止し、前記キャリ
ア22と前記太陽歯車21とを同期して回転させるもの
である。この為に上記低速用クラッチ46は、接続に伴
って遊星歯車機構20の構成部材同士の相対変位を阻止
自在な位置に設ける。図示の例では上記低速用クラッチ
46を、上記キャリア22と上記太陽歯車21を固設し
た出力軸29との間に設けている。この様な低速用クラ
ッチ46は、接続時には、上記遊星歯車機構20を構成
する太陽歯車21とリング歯車24と遊星歯車組36、
36との相対変位を阻止し、これら太陽歯車21とリン
グ歯車24と遊星歯車組36、36を支持したキャリア
22とを一体的に結合する。これら高速用クラッチ45
と低速用クラッチ46とは、何れか一方のクラッチが接
続された場合には、他方のクラッチの接続が断たれる様
に、制御回路(油圧、電気)を構成している。尚、上記
低速用クラッチ46は、上述の様に、接続時に上記太陽
歯車21とリング歯車24と遊星歯車組36、36との
相対変位を阻止できるものであれば良く、図示の様な部
位の他にも、太陽歯車21とリング歯車24との間、太
陽歯車21とキャリア22との間等に設ける事もでき
る。
【0028】又、上記リング歯車24と、無段変速装置
のハウジング等、固定の部分との間に、後退用クラッチ
47を設けている。この後退用クラッチ47は、自動車
を後退させるべく、上記出力軸29を逆方向に回転させ
る為に設けている。この後退用クラッチ47は、上記低
速用クラッチ46と高速用クラッチ45との何れか一方
が接続された状態では、接続が断たれる。又、この後退
用クラッチ47が接続された状態では、上記低速用クラ
ッチ46と高速用クラッチ45とは、何れも接続が断た
れる。即ち、前記発進クラッチ28を除く、残り3個の
クラッチ45〜47は、何れか1個が接続されると、残
り2個のクラッチの接続は断たれる。
【0029】更に、図示の例では、上記出力軸29とデ
ファレンシャルギヤ18とを、この出力軸29の端部に
固定した歯車48により接続している。従って、上記出
力軸29が回転すると、これら歯車48及びデファレン
シャルギヤ18を介して左右1対の駆動車軸49、49
が回転し、自動車の駆動輪を回転駆動する。
【0030】上述の様に構成する本発明の無段変速装置
の作用は、次の通りである。先ず、低速走行時には、上
記低速用クラッチ46を接続すると共に、上記高速用ク
ラッチ45及び後退用クラッチ47の接続を断つ。この
状態で上記発進クラッチ28を接続し、前記入力軸27
及び回転軸30を回転させると、トロイダル型無段変速
機17のみが、上記入力軸27から出力軸29に動力を
伝達する。即ち、低速用クラッチ46の接続に伴って、
前記太陽歯車21とキャリア22とが一体的に結合さ
れ、前記遊星歯車機構20を構成する各歯車21、2
4、37a、37b同士の相対回転が不能になる。又、
上記高速用クラッチ45及び後退用クラッチ47の接続
が断たれる事により、上記リング歯車24は、上記入力
軸27の回転速度に関係なく回転自在となる。
【0031】従って、この状態で上記入力軸27を回転
させると、この回転は、前記駆動歯車31及び従動歯車
32が構成する第三の動力伝達機構33から前記押圧装
置9を介して入力ディスク2に伝わり、更に複数のパワ
ーローラ8、8を介して出力ディスク4に伝わる。更
に、この出力ディスク4の回転は、第一の動力伝達機構
23を構成する1対の歯車39、40を介して、キャリ
ア22に伝わる。上述の様にこの状態では、遊星歯車機
構20を構成する各歯車21、24、37a、37b同
士の相対回転が不能になっているので、上記出力軸29
が、上記キャリア22及びリング歯車24と同じ速度で
回転する。
【0032】この様な低速走行時に、入力、出力両ディ
スク2、4同士の間の変速比を変える際の作用は、前述
の図3〜4に示した従来のトロイダル型無段変速機の場
合と同様である。勿論、この状態では、上記入力軸27
と出力軸29との間の変速比、即ち、無段変速装置全体
としての変速比は、トロイダル型無段変速機17の変速
比に比例する。又、この状態では、このトロイダル型無
段変速機17に入力されるトルクは、上記入力軸27に
加えられるトルクに等しくなる。尚、低速走行時には、
前記第二の動力伝達機構25を構成する内径側ディスク
43の外周縁と外径側ディスク44の内周縁とは、空回
りするだけである。
【0033】これに対して、高速走行時には、前記高速
用クラッチ45を接続すると共に、前記低速用クラッチ
46及び後退用クラッチ47の接続を断つ。この状態で
前記発進クラッチ28を接続し、上記入力軸27を回転
させると、この入力軸27から前記出力軸29には、上
記第二の動力伝達機構25を構成する内径側、外径側両
ディスク43、44と前記遊星歯車機構20とが、動力
を伝達する。
【0034】即ち、上記高速走行時に上記入力軸27が
回転すると、この回転は上記高速用クラッチ45を中間
部に設けた、上記第二の動力伝達機構25を介して前記
リング歯車24に伝わり、このリング歯車24を回転さ
せる。そして、このリング歯車24の回転が複数の遊星
歯車組36、36を介して太陽歯車21に伝わり、この
太陽歯車21を固定した上記出力軸29を回転させる。
上記リング歯車24が入力側となった場合に上記遊星歯
車機構20は、上記各遊星歯車組36、36が停止して
いる(太陽歯車21の周囲で公転しない)と仮定すれ
ば、上記リング歯車24と太陽歯車21との歯数の比に
応じた変速比で増速を行なう。但し、上記各遊星歯車組
36、36は上記太陽歯車21の周囲を公転し、無段変
速装置全体としての変速比は、これら各遊星歯車組3
6、36の公転速度に応じて変化する。そこで、上記ト
ロイダル型無段変速機17の変速比を変えて、上記遊星
歯車組36、36の公転速度を変えれば、上記無段変速
装置全体としての変速比を調節できる。
【0035】即ち、図示の例では、上記高速走行時に上
記各遊星歯車組36、36が、上記リング歯車24と同
方向に公転する。そして、これら各遊星歯車組36、3
6の公転速度が遅い程、上記太陽歯車21を固定した出
力軸29の回転速度が速くなる。例えば、上記公転速度
とリング歯車24の回転速度(何れも角速度)が同じに
なれば、上記リング歯車24の回転速度と出力軸29の
回転速度とが同じになる。これに対して、上記公転速度
がリング歯車24の回転速度よりも遅ければ、上記リン
グ歯車24の回転速度よりも出力軸29の回転速度が速
くなる。反対に、上記公転速度がリング歯車24の回転
速度よりも速ければ、上記リング歯車24の回転速度よ
りも出力軸29の回転速度が遅くなる。
【0036】従って、上記高速走行時には、前記トロイ
ダル型無段変速機17の変速比を減速側に変化させる
程、無段変速装置全体の変速比は増速側に変化する。こ
の様な高速走行時の状態では、上記トロイダル型無段変
速機17に、入力ディスク2側からではなく、出力ディ
スク4側からトルクが加わる(低速時に加わるトルクを
プラスのトルクとした場合にマイナスのトルクが加わ
る)。即ち、前記高速用クラッチ45を接続した状態で
は、前記エンジン15から入力軸27に伝達されたトル
クは、前記押圧装置9が前記入力ディスク2を押圧する
以前に、前記第二の動力伝達機構25を介して前記遊星
歯車機構20のリング歯車24に伝達される。従って、
入力軸27の側から第三の動力伝達機構33及び上記押
圧装置9を介して入力ディスク2に伝達されるトルクは
殆どなくなる。
【0037】一方、上記第二の動力伝達機構25を介し
て前記遊星歯車機構20のリング歯車24に伝達された
トルクの一部は、前記各遊星歯車組36、36から、キ
ャリア22及び第一の動力伝達機構23を介して出力デ
ィスク4に伝わる。この様に出力ディスク4側からトロ
イダル型無段変速機17に加わるトルクは、無段変速装
置全体の変速比を増速側に変化させるべく、トロイダル
型無段変速機17の変速比を減速側に変化させる程小さ
くなる。この結果、高速走行時に上記トロイダル型無段
変速機17に入力されるトルクを小さくして、このトロ
イダル型無段変速機17の構成部品の耐久性向上を図れ
る。
【0038】更に、図1に示した構造で、自動車を後退
させるべく、前記出力軸29を逆回転させる際には、前
記低速用、高速用両クラッチ45、46の接続を断つと
共に、前記後退用クラッチ47を接続する。この結果、
上記リング歯車24が固定され、上記各遊星歯車組3
6、36が、このリング歯車24並びに前記太陽歯車2
1と噛合しつつ、この太陽歯車21の周囲を公転する。
この結果、この太陽歯車21並びにこの太陽歯車21を
固定した出力軸29が、前述した高速走行時並びに上述
した低速走行時とは逆方向に回転する。
【0039】前述の様に構成し、上述の様に作用する本
発明の無段変速装置の場合、上記遊星歯車機構20の中
心軸を前記駆動軸16と同軸上に配置する為、前記エン
ジン15及び発進クラッチ28と直列に配置するのは、
軸方向寸法が小さい上記遊星歯車機構20になる。この
為、軸方向寸法の増大を抑えて、無段変速装置全体とし
ての小型・軽量化を図れる。又、高速回転する部材が多
い上記トロイダル型無段変速機17の中心軸である回転
軸30を、上記駆動軸16よりも上方位置に配置してい
る為、このトロイダル型無段変速機17が、無段変速装
置を納めた図示しないケーシングの下部に溜る潤滑油
(=トラクションオイル)中に漬かる事がない。この
為、攪拌抵抗による動力ロスを低減できる。
【0040】尚、図2は、上述の様な無段変速装置によ
り、無段変速装置全体としての変速比(itotal)を連続
して変化させる場合に、トロイダル型無段変速機17の
変速比(icvt)と、このトロイダル型無段変速機17に
入力される入力トルク(Tin)と、無段変速装置の出力
軸29から取り出される出力トルク(Ts )とが変化す
る状態の1例を示している。これら各変速比(itotal)
(icvt)並びに各トルク(Tin)(Ts )の関係は、ト
ロイダル型無段変速機17の変速幅、遊星歯車機構20
の構造並びに歯数比、第二の動力伝達機構25の減速比
等に応じて変わる。本発明を実施する場合にこれらの値
並びに構造は、設計的に定める。図2に記載した各線を
得る為の条件としては、トロイダル型無段変速機17の
変速幅を凡そ4倍(0.5〜2.0)とし、遊星歯車機
構20はそれぞれが1対ずつの遊星歯車37a、37b
から成る遊星歯車組36、36を備え、第二の動力伝達
機構25の減速比は凡そ2であるとして計算した。又、
低速用クラッチ46と高速用クラッチ45との切り換え
は、無段変速装置全体としての変速比(itotal)が1の
場合に行なうとした。
【0041】尚、実際の無段変速装置を構成する場合に
は、無段変速装置全体としての変速比(itotal)が1の
場合に常に低速用クラッチ46と高速用クラッチ45と
の切り換えを行なう様にすると、上記変速比(itotal)
が1の前後で走行している場合に、頻繁にこれら両クラ
ッチ45、46の切り換えが行なわれる。この様な事態
は、運転者に違和感を与えるだけでなく、これら各クラ
ッチ45、46の耐久性にも悪影響を及ぼす。従って、
実際の無段変速装置を構成する場合には、上記変速比
(itotal)が高くなる場合と低くなる場合とで上記各ク
ラッチ45、46の切り換えのタイミングを変える、所
謂ヒステリシスを設ける。例えば、上記変速比(itota
l)の値が小さくなる(変速比の値が図2の左から右に
変化する)際の切り換えのタイミングを、この値が大き
くなる(変速比の値が図2の右から左に変化する)際の
切り換えのタイミングよりも、変速比の値が小さい時点
と(図2の右側に)する。
【0042】上述の様な条件で試算した結果を示す図2
で、縦軸は、トロイダル型無段変速機17の変速比(ic
vt)並びに、トロイダル型無段変速機17の入力トルク
(Tin)、又は無段変速装置の出力トルク(Ts )と前
記エンジン15(図1)から前記入力軸27に伝えられ
るトルク(Te )との比(Tin/Te )(Ts /Te
を、横軸は、無段変速装置全体としての変速比(itota
l)を、それぞれ表している。尚、トロイダル型無段変
速機17の変速比(icvt)を示す値がマイナスなのは、
このトロイダル型無段変速機17に組み込んだ出力ディ
スク4の回転方向が入力軸27の回転方向と逆になる為
である。又、実線aは、上記トロイダル型無段変速機1
7の変速比(icvt)を、破線bは、上記出力トルク(T
s )と前記エンジン15から前記入力軸27に伝えられ
るトルク(Te )との比(Ts /Te )を、鎖線cは、
上記入力トルク(Tin)と前記エンジン15から前記入
力軸27に伝えられるトルク(Te )との比(Tin/T
e )を、それぞれ表している。この様な図2の記載から
明らかな通り、本発明の無段変速装置によれば、高速走
行時にトロイダル型無段変速機17に加わるトルクを小
さくできる。図2を求めた条件では、上記入力トルク
(Tin)を、最大限、上記エンジン15から前記入力軸
27に伝えられるトルク(Te )の14%程度にまで低
減できる。更に、条件を変える事により、10%程度ま
での低減が可能である。
【0043】又、上記トロイダル型無段変速機17の伝
達効率は90%弱であるが、高速走行時には、動力のう
ちの多くの割合を、伝達効率が高い(100%に近い)
遊星歯車機構20を介して伝達するので、無段変速装置
全体としての伝達効率を高くできる。例えば、トロイダ
ル型無段変速機の伝達効率を90%(動力損失が10
%)、遊星歯車機構20の伝達効率を100%、入力軸
27から送り込まれたトルクのうち、トロイダル型無段
変速機17を通過するトルクの割合を10%とすると、
このトロイダル型無段変速機17部分での動力損失は
0.1×0.1=0.01=1%となり、無段変速装置
全体としての伝達効率は100−1=99(%)と、き
わめて高くなる。
【0044】更に、前記ローディングナット34を前記
回転軸30の一端部に配置しているので、このローディ
ングナット34の緊締作業を容易に行なえる。又、この
ローディングナット34に隣接して設けた押圧装置9を
構成するローラ12、12の配列状態を、このローディ
ングナット34を螺合・緊締する際に確認できる。従っ
て、無段変速装置を正しく組み立てる作業を容易に行な
える。
【0045】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、比較的簡単で、小型・軽量、且つ低コスト
で造れる構造にも拘らず、無段変速装置に組み込んだト
ロイダル型無段変速機の構成部品に加わる荷重を軽減し
て、耐久性の向上を図れる。特に、無段変速装置全体と
しての軸方向寸法を短縮して、小型・軽量化をより進め
る事ができる。又、動力ロスを低減すると共に伝達効率
を高くして、自動車の動力性能並びに燃費性能の向上に
寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す略構成図。
【図2】トロイダル型無段変速機の変速比と無段変速装
置全体としての変速比と入力トルク及び出力トルクとの
関係を示す線図。
【図3】従来から知られているトロイダル型無段変速機
を、最大減速時の状態で示す部分切断側面図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す部分切断側面
図。
【図5】本発明の対象となる無段変速装置の基本構成を
示すブロック図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15 エンジン 16 駆動軸 17 トロイダル型無段変速機 18 デファレンシャルギヤ 19 出力軸 20 遊星歯車機構 21 太陽歯車 22 キャリア 23 第一の動力伝達機構 24 リング歯車 25 第二の動力伝達機構 27 入力軸 28 発進クラッチ 29 出力軸 30 回転軸 31 駆動歯車 32 従動歯車 33 第三の動力伝達機構 34 ローディングナット 35 予圧ばね 36 遊星歯車組 37a、37b 遊星歯車 38a、38b 枢軸 39 歯車 40 歯車 41 スリーブ 42 転がり軸受 43 内径側ディスク 44 外径側ディスク 45 高速用クラッチ 46 低速用クラッチ 47 後退用クラッチ 48 歯車 49 駆動車軸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】又、上記トロイダル型無段変速機17の出
力ディスク4(図1、3、4参照)と上記遊星歯車機構
20を構成するキャリア22(図1参照)とを第一の動
力伝達機構23により、回転力の伝達を可能な状態に接
続している。又、上記駆動軸16及び入力軸1と上記遊
星歯車機構20を構成するリング歯車24(図1参照)
とを第二の動力伝達機構25により、回転力の伝達を可
能な状態に接続自在としている。更に、上記駆動軸16
及び入力軸1と出力軸19との間の変速状態を、高速走
行モードと低速走行モードと後退モードとの3種類のモ
ードに切り換え自在な、切換手段を備える。そして、上
記第一の動力伝達機構23の減速比αと上記第二の動力
伝達機構25の減速比βとの比β/αを、上記トロイダ
ル型無段変速機17の最大増速時の減速比(図4に示し
た状態での入力軸1と出力軸3との間の減速比)iH
と、ほぼ同じにしている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】一方、前記入力軸27と前記リング歯車2
4とは、第二の動力伝達機構25により、回転力の伝達
を可能な状態に接続自在としている。この第二の動力伝
達機構25は、上記入力軸27の中間部で前記駆動歯車
31と前記遊星歯車機構20との間部分に固定した内径
側ディスク43と、上記リング歯車24に固定した状態
でこの内径側ディスク43の周囲に配置した外径側ディ
スク44とにより構成している。そして、この外径側デ
ィスク44と上記内径側ディスク43の外周縁とを結合
する事により、上記リング歯車24を上記入力軸27と
同方向に、同じ角速度で回転駆動自在としている。尚、
上記第一の動力伝達機構23の減速比αと上記第二の動
力伝達機構25の減速比β(図示の例では1)との比β
/αは、前記トロイダル型無段変速機17の最大増速時
の減速比iH (図4に示した状態での入力ディスク2と
出力ディスク4との減速比で、例えば0.5程度)とほ
ぼ同じとしている。例えば、α=1とすれば、β≒iH
にする。この理由は、後述する低速モードと高速モード
との切り換え時に、無段変速装置全体としての変速比が
不連続になる事を防止若しくはその程度を低減する為で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 宏史 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 宮田 慎司 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動軸により回転駆動される
    入力軸と、デファレンシャルギヤを介して車輪を回転駆
    動する出力軸と、入力ディスクと出力ディスクとの間に
    挟持したパワーローラの傾斜角度を変える事により上記
    入力ディスクと出力ディスクとの間の変速比を変えるト
    ロイダル型無段変速機と、遊星歯車機構と、これらトロ
    イダル型無段変速機と遊星歯車機構とを連結する1対の
    動力伝達機構と、上記入力軸と出力軸との間の変速状態
    を高速走行モードと低速走行モードと後退モードとの3
    種類のモードに切り換え自在な切換手段とを備え、低速
    走行モードでは上記入力軸と出力軸との間の動力を総て
    上記トロイダル型無段変速機を通じて伝達し、高速走行
    モードでは動力を上記遊星歯車機構により伝達すると共
    に、一部の動力をこの遊星歯車機構を介して上記トロイ
    ダル型無段変速機に循環させる無段変速装置に於いて、
    上記遊星歯車機構の中心軸を上記駆動軸と同軸上に配置
    すると共に、上記トロイダル型無段変速機の中心軸を、
    この駆動軸と平行でこの駆動軸よりも上方位置に配置し
    た事を特徴とする無段変速装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの駆動軸により回転駆動される
    入力軸と、この入力軸の周囲にこの入力軸と独立した回
    転を自在に支持されてこの入力軸の回転に基づく動力を
    取り出してデファレンシャルギヤを介して車輪を回転駆
    動する、管状の出力軸と、トロイダル型無段変速機と、
    遊星歯車機構とを備え、このトロイダル型無段変速機
    は、互いに同心に配置した入力ディスクと出力ディスク
    との間に挟持したパワーローラの傾斜角度を変える事に
    より、上記入力ディスクと上記出力ディスクとの間の変
    速比を変えるものであり、上記遊星歯車機構は、上記出
    力軸を回転させる太陽歯車とこの太陽歯車の周囲に配置
    したリング歯車との間に設けられ、上記太陽歯車と同心
    に且つ回転自在に支持したキャリアに回転自在に支持さ
    れた遊星歯車を、上記太陽歯車とリング歯車とに噛合さ
    せて成るものであり、上記キャリアと上記出力ディスク
    とを第一の動力伝達機構により回転力の伝達を可能な状
    態に接続し、上記入力軸と上記リング歯車とを第二の動
    力伝達機構により回転力の伝達を可能な状態に接続自在
    とし、上記入力軸と上記入力ディスクとを第三の動力伝
    達機構により回転力の伝達自在に接続すると共に、接続
    される事により上記入力軸と上記リング歯車との間での
    回転力を自在として高速モードを実現する高速用クラッ
    チと、接続される事により上記遊星歯車機構を構成する
    3種類の歯車の相対変位を不能にして、上記キャリアと
    上記出力軸とを同期して回転させる低速モードを実現す
    る低速用クラッチと、接続される事により上記リング歯
    車の回転を阻止して後退モードを実現する後退用クラッ
    チとを備え、上記第一の動力伝達機構の減速比βと上記
    第二の動力伝達機構の減速比αとの比β/αを、上記ト
    ロイダル型無段変速機の最大増速時の減速比iH とほぼ
    同じとして成る、請求項1に記載した無段変速装置。
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Cited By (6)

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US6520884B2 (en) 2000-03-27 2003-02-18 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Torque-split type continuously variable transmission
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CN112145637A (zh) * 2020-11-06 2020-12-29 张魁原 一种新型无极变速器

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