JPH11231153A - 強誘電体薄膜素子の製造方法 - Google Patents

強誘電体薄膜素子の製造方法

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JPH11231153A
JPH11231153A JP3523098A JP3523098A JPH11231153A JP H11231153 A JPH11231153 A JP H11231153A JP 3523098 A JP3523098 A JP 3523098A JP 3523098 A JP3523098 A JP 3523098A JP H11231153 A JPH11231153 A JP H11231153A
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JP
Japan
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thin film
buffer layer
strontium titanate
substrate
optical waveguide
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JP3523098A
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English (en)
Inventor
Masao Watabe
雅夫 渡部
Keiichi Nashimoto
恵一 梨本
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学組成が十分に制御され、表面モフォロジ
ーが良好で、リーク電流や誘電率などの電気的特性が良
好で、高機能の光変調素子、不揮発性メモリー、キャパ
シターなどに好適に用いることができる強誘電体薄膜素
子を量産性良く安定して製造することができる方法を提
供する。 【解決手段】 チタン酸ストロンチウム単結晶薄膜また
は不純物原子をドープしたチタン酸ストロンチウム単結
晶薄膜を表面に有する基板上に、Sr/Ti比が1.1
以上2.3未満のターゲットを用いて、スパッタリング
法によりエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロン
チウム薄膜からなるバッファ層を形成し、このバッファ
層上にエピタキシャルまたは単一配向性のABO3 型ペ
ロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光変調素子、不揮
発性メモリー、キャパシターなどに用いられる強誘電体
薄膜素子の製造方法に関するものであり、詳しくは、チ
タン酸ストロンチウムの単結晶からなる基板上に、スパ
ッタリング法によりエピタキシャルなチタン酸ストロン
チウム薄膜からなるバッファ層を形成し、このバッファ
層上にエピタキシャルまたは単一配向性のABO3 型ペ
ロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成する強誘電体
薄膜素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物強誘電体薄膜は、強誘電性、圧電
性、焦電性、電気光学効果などの多くの性質を有するこ
とから、不揮発性メモリーを始めとして、表面弾性波素
子、赤外線焦電素子、音響光学素子、電気光学素子など
の分野への利用が期待されている。これらの分野のう
ち、特に、薄膜光導波路構造における低光損失化と単結
晶なみの分極特性や電気光学効果を得るためには、単結
晶薄膜の作製が不可欠である。このような単結晶薄膜を
作製するために、従来においては、酸化物単結晶基板上
に、BaTiO3 、PbTiO3 、Pb1-x Lax (Z
1-y Tiy 1-x/43 (PLZT)、LiNb
3 、KNbO3 、Bi4 Ti3 12などのエピタキシ
ャル強誘電体薄膜を、RF(高周波)マグネトロン・ス
パッタリング、イオンビームスパッタリング、レーザー
アブレーション、電子ビーム蒸着、有機金属化学蒸着
(MOCVD)などの方法によって形成する方法が提案
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の技
術を背景として、本発明者らは、基板として、導電性ま
たは半導電性の単結晶基板あるいは導電性または半導電
性のエピタキシャルまたは配向性の薄膜を表面に有する
単結晶基板を用い、この基板上にバッファ層を形成し、
このバッファ層上に強誘電体薄膜光導波路をエピタキシ
ャル成長させて形成する強誘電体薄膜素子について鋭意
研究を重ねてきた。その結果、基板としては、酸化物薄
膜の成長に適している点でチタン酸ストロンチウム単結
晶薄膜または不純物原子をドープしたチタン酸ストロン
チウム単結晶薄膜を表面に有する基板を用いることが有
利であることが分かった。また、この基板上に設けるバ
ッファ層には、エピタキシャル成長が可能で、バッファ
層上に積層するABO3 型ペロブスカイト強誘電体光導
波路の特性も良好なものとなることが予想される点で、
基板と同一の材料であるチタン酸ストロンチウム薄膜を
用いることが有利であると考えられる。
【0004】しかしながら、バッファ層としてのチタン
酸ストロンチウム薄膜は、ゾルゲル法やMOD法によっ
ては、十分にエピタキシャル成長させることが困難であ
る。また、気相成長法としては、一般に、MBE、MO
CVD(CVD)、レーザーアブレーション、電子ビー
ム蒸着、スパッタリング法などがあるが、これらのう
ち、MBE、MOCVD(CVD)、レーザーアブレー
ションでは、成膜速度が低く、大面積の薄膜の形成も困
難であり、量産性に欠ける問題がある。また、電子ビー
ム蒸着では、組成を十分に制御して薄膜を形成すること
が困難であり、再現性も悪いなどの問題がある。
【0005】これに対して、スパッタリング法は、成膜
速度を高くでき、大面積の薄膜の形成も容易であって、
量産性に適している。しかし、成膜条件によっては、形
成されたチタン酸ストロンチウム薄膜の化学組成が予定
の組成と異なったものとなったり、表面モフォロジーが
悪くなったり、リーク電流や誘電率などの電気的特性が
悪くなったりする問題のあることが判明した。
【0006】本発明は、以上のような事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、チタン酸ストロンチ
ウム単結晶薄膜または不純物原子をドープしたチタン酸
ストロンチウム単結晶薄膜を表面に有する基板上にエピ
タキシャルなチタン酸ストロンチウム薄膜からなるバッ
ファ層を形成し、このバッファ層上にエピタキシャルま
たは単一配向性のABO3 型ペロブスカイト強誘電体薄
膜光導波路を形成してなる強誘電体薄膜素子であって、
化学組成が十分に制御され、表面モフォロジーが良好
で、リーク電流や誘電率などの電気的特性が良好で、高
機能の光変調素子、不揮発性メモリー、キャパシターな
どに好適に用いることができる強誘電体薄膜素子を量産
性良く安定して製造することができる方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、下記手段により上記課題が解決できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の製造方法は、チタン酸
ストロンチウム単結晶薄膜または不純物原子をドープし
たチタン酸ストロンチウム単結晶薄膜を表面に有する基
板上に、Sr/Ti比が1.1以上2.3未満のターゲ
ットを用いて、スパッタリング法によりエピタキシャル
成長させて、チタン酸ストロンチウム薄膜からなるバッ
ファ層を形成し、このバッファ層上にエピタキシャルま
たは単一配向性のABO3 型ペロブスカイト強誘電体薄
膜光導波路を形成することを特徴とする。このような方
法によれば、チタン酸ストロンチウム薄膜からなるバッ
ファ層を、Sr/Ti比が1.1以上2.3未満のター
ゲットを用いて、スパッタリング法により形成するの
で、図1に示すように、好適な化学量論的組成比を有す
る均一なチタン酸ストロンチウム薄膜を大面積で容易に
形成することができ、したがって、バッファ層上に、高
品質なエピタキシャルまたは単一配向性のABO3 型ペ
ロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成することがで
きる。その結果、光変調素子、不揮発性メモリー、キャ
パシターなどの素子に必要な特性を持った高品質なエピ
タキシャル強誘電体薄膜素子を形成することができ、高
機能、高効率なデバイスを実現することができる。
【0009】上記製造方法においては、チタン酸ストロ
ンチウム薄膜からなるバッファ層の形成を、アルゴン圧
力と酸素圧力の比(Ar/O2 比)が0.2以上3.0
未満の雰囲気において行うことが好ましく、基板を40
0℃以上800℃未満の温度で加熱しながら行うことが
好ましい。このような条件とすることで、基板上の不純
物原子をドープすることによって半導体化したチタン酸
ストロンチウム単結晶薄膜と結晶方位が同一のチタン酸
ストロンチウム薄膜からなるバッファ層を当該基板上に
十分にエピタキシャル成長させることができ、さらに当
該バッファ層上にABO3 型ペロブスカイト強誘電体薄
膜を十分にエピタキシャル成長させることができる。
【0010】図2は、アルゴン圧力と酸素圧力の比(A
r/O2 比)と、基板の加熱温度との相関関係を示す説
明図であり、○は良好なエピタキシャル成長薄膜である
こと
【0011】また、バッファ層の形成後に、該バッファ
層を酸素雰囲気中において300℃以上800℃未満で
加熱処理することが好ましい。このような処理をするこ
とで、チタン酸ストロンチウム薄膜の表面平滑性および
電気的特性を十分に向上させることができる。
【0012】さらに、ABO3 型ペロブスカイト強誘電
体薄膜光導波路の形成を、固相エピタキシャル成長法に
よって行うことが好ましい。このような方法によれば、
大面積で平滑な膜を比較的低コストで作製できる。
【0013】本発明の製造方法は、チタン酸ストロンチ
ウム単結晶薄膜または不純物原子をドープしたチタン酸
ストロンチウム単結晶薄膜を表面に有する基板上に、S
r/Ti比が1.1以上2.3未満のターゲットを用い
て、スパッタリング法によりエピタキシャル成長させ
て、チタン酸ストロンチウム薄膜からなるバッファ層を
形成し、次いで、真空を維持したまま連続して前記バッ
ファ層上にエピタキシャルまたは単一配向性のABO3
型ペロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成すること
を特徴とする。このような方法によれば、バッファ層上
に強誘電体薄膜光導波路を形成する際に汚染物質が混入
することを有効に防止することができ、その結果、汚染
物質が原因となって生じる配向ミスの結晶面の混在や、
完全な多結晶の混在による結晶性の悪化を十分に防止す
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図3は、本発明の製造方法の対象
となる強誘電体薄膜素子の構成例を示す断面図であり、
1は基板、2はバッファ層、3は強誘電体薄膜光導波路
である。
【0015】本発明において、強誘電体薄膜素子を構成
する基板としては、チタン酸ストロンチウム単結晶薄膜
を表面に有する基板、または不純物原子をドープしたチ
タン酸ストロンチウム単結晶薄膜を表面に有する基板を
用いる。ドープする不純物原子としては、La、Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Lu、V、Nb、Ta、Cr、
Mo、Wなどを用いることができる。
【0016】本発明においては、前記基板上に、Sr/
Ti比が1.1以上2.3未満、好ましくは1.4以上
2.0未満のターゲットを用いて、スパッタリング法に
よりエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロンチウ
ム薄膜からなるバッファ層を形成する。このようにスパ
ッタリング法によるバッファ層の形成において、Sr/
Ti比が1.1以上2.3未満、好ましくは1.4以上
2.0未満のターゲットを用いることにより、バッファ
層の結晶性の点で好適な化学量論的組成比(Sr/Ti
比1.0)を有する均一な組成のチタン酸ストロンチウ
ム薄膜を大面積で容易に形成することができ、さらにこ
のバッファ層上に特性の良好なABO3型ペロブスカイ
ト強誘電体薄膜光導波路を形成することができる。これ
に対して、Sr/Ti比が1.1未満の場合、2.3を
超える場合には、いずれも、所定の化学量論的組成比か
らなる薄膜を形成することが困難となり、結晶性が低下
し、最終的に得られる強誘電体薄膜素子の光導波路特性
が悪化する。
【0017】前記ターゲットの形態としては、ストロン
チウム酸化物粉体とチタン酸化物粉体を圧縮焼成したも
の、ストロンチウムやチタンなどの複数の金属ターゲッ
トを用いその面積を調整して設置したもの、チタン酸ス
トロンチウム結晶などがあげられるが,本発明において
は,いずれの形態のものをも用いることができる。
【0018】バッファ層の形成に用いるスパッタリング
法としては、DCグロースパッタリング、RFグロース
パッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、RF
マグネトロンスパッタリング、イオンビームスパッタリ
ング、ECRスパッタリングなどをあげることができ
る。この中でも、大面積で膜を形成できる点で、RFマ
グネトロンスパッタリングが好ましい。スパッタリング
法によるバッファ層の形成においては、基板に対して正
または負のバイアスをかけてもよい。このようなバイア
スをかけることにより、成膜時の薄膜表面に対するプラ
ズマによるダメージを低減させることができ、より良質
なバッファ層を得ることができる。
【0019】スパッタリング法において用いるガスとし
ては、アルゴン、酸素、窒素、ヘリウム、ネオン、クリ
プトン、キセノン、水素などをあげることができる。こ
れらのうち、特に、アルゴンと酸素とを組み合わせて用
いることが好ましい。この場合において、アルゴン圧力
と酸素圧力の比(Ar/O2 比)は、0.2以上3.0
未満の範囲であることが好ましく、特に0.8以上1.
6未満の範囲であることが好ましい。このような範囲と
することにより、製膜する際に酸素不足あるいは酸素過
剰による膜の欠陥を防止することができ、基板表面のチ
タン酸ストロンチウム薄膜と結晶方位が同一のチタン酸
ストロンチウム薄膜からなるバッファ層を良好にエピタ
キシャル成長させることができ、さらにこのバッファ層
上に特性の良好なABO3 型ペロブスカイト強誘電体薄
膜光導波路を形成することができる。一方、Ar/O2
比が0.2未満あるいは3.0以上では、酸素過剰ある
いは酸素不足となり、バッファ層の結晶性、ひいては表
面モフォロジー、電気的特性が悪化する。
【0020】スパッタリング法によるバッファ層の形成
においては、基板を400℃以上800℃未満の温度に
加熱することが好ましく、特に、500℃以上700℃
未満の温度に加熱することが好ましい。このような範囲
とすることにより、スパッタリングにより飛来した金属
原子が基板表面に付着するだけでなく、表面でのマイグ
レーションが速やかに行われ、基板表面のチタン酸スト
ロンチウム薄膜と結晶方位が同一のチタン酸ストロンチ
ウム薄膜からなるバッファ層を良好にエピタキシャル成
長させることができ、さらにこのバッファ層上に特性の
良好なABO3型ペロブスカイト強誘電体薄膜光導波路
を形成することができる。基板の加熱手段としては、ハ
ロゲンランプなどのランプ、SiCなどのセラミックヒ
ーターなどを用いることができる。
【0021】スパッタリング法として、RFマグネトロ
ンスパッタリングを用いる場合には、RF出力として
は、0.001W/cm2 から100W/cm2 の範囲
が好ましく、基板とターゲットとの間の距離は、1mm
から1mの範囲が好ましい。この場合において、バッフ
ァ層としてのチタン酸ストロンチウム薄膜の膜厚は、1
nm〜2000nmとすることが好ましい。
【0022】バッファ層は、その形成後に酸素雰囲気中
において300℃以上800℃未満の温度で、好ましく
は500℃以上700℃未満の温度で加熱処理すること
が好ましい。バッファ層をその形成後において、酸素雰
囲気中、300℃以上800℃未満の温度で加熱処理を
行うことによりバッファ層としてのチタン酸ストロンチ
ウム薄膜の表面の酸素欠陥が補填され、膜の表面平滑性
および電気的特性を十分に向上させることができる。
【0023】エピタキシャルまたは単一配向性のABO
3 型ペロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成する材
料としては、屈折率がバッファ層材料の屈折率より大き
く、バッファ層材料とエピタキシ関係を保持できること
が必要であり、この条件を満たせば特に制限はないが、
バッファ層材料との格子定数の差が10%以下であるこ
とが好ましい。具体的には、BaTiO3 、PbTiO
3 、Pb1-x Lax (Zry Ti1-y1-x/4 3 (x
およびyの値により、PZT、PLT、PLZTの3種
がある。)、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 、KNbO
3 などを用いることができる。
【0024】また、強誘電体薄膜光導波路の形成におい
ては、スパッタリング法によるほか、ゾルゲル法、MO
D法などの固相エピタキシャル成長法を用いることもで
きる。また、その他、レーザーアブレーション、MB
E、CVD、プラズマCVD、有機金属化学蒸着(MO
CVD)などの方法によって、強誘電体薄膜光導波路を
形成してもよい。
【0025】強誘電体薄膜光導波路の形成においては、
複数のターゲットを有し、真空を維持したまま連続して
薄膜を形成できる装置を用い、基板上にバッファ層を形
成した後、真空を維持したまま連続してバッファ層上に
強誘電体薄膜光導波路を形成することが好ましい。その
場合の成膜条件としては、基板温度が300℃以上80
0℃未満、O2 圧力が1×10-6Torr以上1×10
-1Torr未満、Ar圧力が1×10-6Torr以上1
×10-1Torr未満、膜厚1nm以上1000nm未
満とすることが好ましい。また、連続して薄膜を形成で
きる装置としてはアルバック社製 SH−450等、従
来、公知の装置を用いることができる。
【0026】
【実施例】実施例1−1 (基板の構成)6×6mmのウエハーに、不純物原子と
してNbをドープしたチタン酸ストロンチウム(SrT
iO3 (100))単結晶薄膜(立方晶のペロブスカイ
ト構造、a=3.9nm、n型)を有する基板を用い
た。
【0027】(バッファ層の形成)純度が99.99%
でSr/Ti比が1.7のSr過剰の焼結体ターゲツト
を用いて、RFスパッタリング法により、前記Nbをド
ープしたSrTiO3 単結晶上にエピタキシャル成長さ
せて、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 (10
0))薄膜からなるバッファ層を形成した。ただし、R
Fスパッタリング法による成膜条件は、次のとおりであ
る。 反応装置:アルバック社製 [SMH−2306] RF出力:0.6W/cm2 基板温度:650℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:1 O2 圧力 10-3Torr Ar圧力 10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:50mm 膜厚:300nm 以上のようにして形成したバッファ層を、酸素ガスフロ
ー中の赤外炉内において、温度650℃で30分間にわ
たり加熱処理した。
【0028】加熱処理後のバッファ層の膜特性を評価し
たところ、以下のような結果が得られた。まず、X線回
折により解析したところ、バッファ層を構成するSrT
iO3 薄膜は、(100)面単一配向のエピタキシャル
膜であることが確認できた。また、SrTiO3 (10
0)薄膜とNbをドープしたSrTiO3 (100)単
結晶薄膜の面内結晶方位の関係を同定するために、X線
回折ファイ・スキャンを行ったところ、立方晶において
(100)面に対して45°の角度をもっている(20
2)面についてのファイ・スキャンは、Nbをドープし
たSrTiO3 (100)単結晶薄膜のピーク位置に一
致していることが確認できた。これらの結果より、バッ
ファ層を構成するSrTiO3 薄膜と、Nbをドープし
たSrTiO 3 単結晶薄膜の方位は一致し(SrTiO
3 (100)//Nb−SrTiO3(100))、面
内方位もSrTiO3 [001]//Nb−SrTiO
3 [001]であることが確認できた。
【0029】次に、X線電子分光(XPS)により、バ
ッファ層を構成するSrTiO3 薄膜の組成分析を行っ
たところ、Sr/Ti比が1.0であり、化学量論的組
成比となつていることが確認できた。また、走査型電子
顕微鏡により、バッファ層を構成するSrTiO3 薄膜
の表面を観察したところ、表面はきわめて平滑であるこ
とが確認できた。また、原子間力顕微鏡により、バッフ
ァ層を構成するSrTiO3 薄膜の表面を1×1μm2
の範囲で観察したところ、光学研磨をしたガラスなみの
平滑性があることが確認できた。また、バッファ層を構
成するSrTiO3 薄膜の誘電率(ε)を測定したとこ
ろ、278と大きく、リーク電流を小さく抑制でき、良
好な電気特性を有することが確認できた。
【0030】(強誘電体薄膜光導波路の形成)SrTi
3 薄膜からなるバッファ層上に、ゾルゲル法による固
相エピタキシャル成長法を用いてエピタキシャルPLZ
T(9/65/35)薄膜からなるエピタキシャルAB
3 型ペロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成し
た。すなわち、無水酢酸鉛Pb(CH3 COO)2 、ラ
ンタン・イソプロポキシドLa(O−i−C
3 7 3 、ジルコニウム・イソプロポキシドZr(O
−i−C3 7 4 、チタン・イソプロポキシドTi
(O−i−C3 7 4 を出発原料として用い、これら
を2−メトキシエタノールに溶解し、6時間の蒸留を
し、18時間の還流を行い、最終的にPb濃度が0.6
MのPLZT(9/65/35)用前駆体溶液を得た。
この前駆体溶液を用いて、SrTiO3 薄膜からなるバ
ッファ層上にスピンコーティングを行った。次いで、O
2 雰囲気中において、10℃/secの速度で昇温し、
350℃で2分間保持した後、さらに昇温して650℃
で2分間保持し、最後に電気炉の電源を切って冷却し
た。これにより、膜厚約100nmの第1層目のPLZ
T薄膜が固相エピタキシャル成長した。この第1層目の
PLZT薄膜の形成と同様の工程をさらに5回繰り返し
て、総膜厚600nmのエピタキシャルPLZT(9/
65/35)薄膜を形成した。
【0031】このエピタキシャルPLZT(9/65/
35)薄膜の表面を走査型電子顕微鏡によって観察した
ところ、表面はきわめて平滑であることが確認できた。
また、原子間力顕微鏡により、エピタキシャルPLZT
(9/65/35)薄膜の表面を1×1μm2 の範囲で
観察したところ、良好な平滑性を持っていることが確認
できた。以上の結果より、エピタキシャルPLZT(9
/65/35)薄膜は、その表面平滑性においては、光
導波路として良好な低光減衰特性を発揮することが確認
できた。
【0032】実施例1−2 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)純度が99.99%でSr/Ti
比が1.1のSr過剰の焼結体ターゲツトを用いたほか
は、実施例1−1と同様にしてバッファ層を形成した。
このバッファ層の膜特性を実施例1−1と同様にして評
価したところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得ら
れた。 (強誘電体薄膜光導波路の形成)実施例1同様にして強
誘電体薄膜光導波路を形成した。この強誘電体薄膜光導
波路の特性を実施例1−1と同様にして評価したとこ
ろ、実施例1−1と同様に良好な結果が得られた。
【0033】実施例1−3 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)純度が99.99%でSr/Ti
比が2.2のSr過剰の焼結体ターゲツトを用いたほか
は、実施例1−1と同様にしてバッファ層を形成した。
このバッファ層の膜特性を実施例1−1と同様にして評
価したところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得ら
れた。 (強誘電体薄膜光導波路の形成)実施例1−1と同様に
して強誘電体薄膜光導波路を形成した。この強誘電体薄
膜光導波路の特性を実施例1−1と同様にして評価した
ところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得られた。
【0034】実施例1−4 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)基板温度を400℃としたほか
は、実施例1−1と同様にしてバッファ層を形成した。
このバッファ層の膜特性を実施例1−1と同様にして評
価したところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得ら
れた。 (強誘電体薄膜光導波路の形成)実施例1−1と同様に
して強誘電体薄膜光導波路を形成した。この強誘電体薄
膜光導波路の特性を実施例1−1と同様にして評価した
ところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得られた。
【0035】実施例1−5 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)基板温度を750℃としたほか
は、実施例1−1と同様にしてバッファ層を形成した。
このバッファ層の膜特性を実施例1−1と同様にして評
価したところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得ら
れた。 (強誘電体薄膜光導波路の形成)実施例1−1と同様に
して強誘電体薄膜光導波路を形成した。この強誘電体薄
膜光導波路の特性を実施例1−1と同様にして評価した
ところ、実施例1−1と同様に良好な結果が得られた。
【0036】比較例1−1 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)純度が99.99%でSr/Ti
比が1.0のストイキオメトリな焼結体ターゲツトを用
いて、RFスパッタリング法により、前記Nbをドープ
したSrTiO3 単結晶薄膜上にエピタキシャル成長さ
せて、SrTiO3 薄膜からなるバッファ層を形成し
た。なお、RFスパッタリング法による成膜条件は、実
施例1−1と同様である。このバッファ層の膜特性を評
価したところ、以下のような結果が得られた。まず、X
線回折によって解析したところ、膜厚300nmのSr
TiO3 薄膜は(100)面単一配向の膜であることが
確認できた。しかし、走査型電子顕微鏡により、SrT
iO3 薄膜の表面を観察したところ、数十nmから1μ
mの微細な凹凸が観測された。また、X線電子分光(X
PS)により、SrTiO3 薄膜の組成分析を行ったと
ころ、Sr/Ti比は0.58と化学量論的組成比から
大きくずれていることが確認できた。さらにSrTiO
3 薄膜の誘電率(ε)を測定したところ、60と小さ
く、リーク電流が増加することが確認できた。(強誘電
体薄膜光導波路の形成)SrTiO3 薄膜からなるバッ
ファ層上に、実施例1−1と同様にして、エピタキシャ
ルPLZT(9/65/35)薄膜光導波路を形成し
た。この光導波路の光導波路特性を測定したところ、光
損失が大きくて、良好な光導波を得ることができなかっ
た。
【0037】比較例1−2 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)純度が99.99%でSr/Ti
比が2.4のSr過剰の焼結体ターゲツトを用いたほか
は、比較例1−1と同様にしてバッファ層を形成した。
このバッファ層の膜特性を評価したところ、以下のよう
な結果が得られた。まず、X線回折によって解析したと
ころ、膜厚300nmのSrTiO3 薄膜は(100)
面単一配向の膜であることが確認できた。しかし、走査
型電子顕微鏡により、SrTiO3 薄膜の表面を観察し
たところ、数十nmから1μmの微細な凹凸が観測され
た。また、X線電子分光(XPS)により、SrTiO
3 薄膜の組成分析を行ったところ、Sr/Ti比は1.
3と化学量論的組成比から大きくずれていることが確認
できた。さらにSrTiO3 薄膜の誘電率(ε)を測定
したところ、50と小さく、リーク電流が増加すること
が確認できた。 (強誘電体薄膜光導波路の形成)実施例1−1と同様に
して、強誘電体薄膜光導波路を形成した。この光導波路
の光導波路特性を測定したところ、光損失が大きくて、
良好な光導波を得ることができなかった。
【0038】実施例2−1 (基板の構成)6×6mmのウエハーに、不純物原子と
してNbをドープしたチタン酸ストロンチウム(SrT
iO3 (110))単結晶薄膜(立方晶のペロブスカイ
ト構造、a=3.9nm、n型)を有する基板を用い
た。
【0039】(バッファ層の形成)TiおよびSrの純
度がそれぞれ99.99%の金属ターゲットをSr/T
i比(面積比)が1.6になるように設置したターゲツ
トを用いて、RFスパッタリング法により、前記基板表
面におけるNbをドープしたSrTiO3 単結晶薄膜上
にエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロンチウム
(SrTiO3 (110))薄膜からなるバッファ層を
形成した。ただし、RFスパッタリング法による成膜条
件は、次のとおりである。 反応装置:アルバック社製 [SMH−2306] RF出力:0.15W/cm2 基板温度:700℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:0.2 O2 圧力 5×10-3Torr Ar圧力 1×10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:50mm 膜厚:250nm
【0040】得られたバッファ層を構成するSrTiO
3 薄膜をX線回折により解析したところ、基板表面のS
rTiO3 (110)単結晶薄膜と結晶方位が一致した
エピタキシャル膜であることが確認できた。次に、X線
電子分光(XPS)により、バッファ層を構成するSr
TiO3 薄膜の組成分析を行ったところ、Sr/Ti比
が1.0であり、化学量論的組成比となつていることが
確認できた。また、走査型電子顕微鏡により、バッファ
層を構成するSrTiO3 薄膜の表面を観察したとこ
ろ、表面はきわめて平滑であることが確認できた。ま
た、原子間力顕微鏡により、バッファ層を構成するSr
TiO3 薄膜の表面を1×1μm2 の範囲で観察したと
ころ、光学研磨をしたガラスなみの平滑性があることが
確認できた。また、バッファ層を構成するSrTiO3
薄膜の誘電率(ε)を測定したところ、280と大き
く、リーク電流を小さく抑制でき、良好な電気特性を有
することが確認できた。
【0041】(強誘電体薄膜光導波路の形成)SrTi
3 薄膜からなるバッファ層上に、実施例1−1と同様
にして、膜厚150nmのエピタキシャルPLZT(9
/65/35)薄膜を形成した。このエピタキシャルP
LZT(9/65/35)薄膜の表面を走査型電子顕微
鏡によって観察したところ、表面はきわめて平滑である
ことが確認できた。また、原子間力顕微鏡により、エピ
タキシャルPLZT(9/65/35)薄膜の表面を1
×1μm2 の範囲で観察したところ、良好な平滑性を持
っていることが確認できた。以上の結果より、エピタキ
シャルPLZT(9/65/35)薄膜は、その表面平
滑性においては、光導波路として良好な低光減衰特性を
発揮することが確認できた。
【0042】実施例2−2 (基板の構成)実施例2−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)RFスパッタリング法による成膜
条件において、Ar圧力/O2 圧力の比を2.9とした
ほかは、実施例2−1と同様にしてバッファ層を形成し
た。 O2 圧力=3.0×10-3Torr Ar圧力=8.7×10-3Torr このバッファ層の膜特性を実施例2−1と同様にして評
価したところ、実施例2−1と同様に良好な結果が得ら
れた。 (強誘電体薄膜光導波路の形成)実施例2−1と同様に
して強誘電体薄膜光導波路を形成した。この強誘電体薄
膜光導波路の特性を実施例2−1と同様にして評価した
ところ、実施例2−1と同様に良好な結果が得られた。
【0043】実施例3 (基板の構成)6×6mmのウエハーの表面に、不純物
原子としてLaをドープしたチタン酸ストロンチウム
(SrTiO3 (110))単結晶薄膜(立方晶のペロ
ブスカイト構造、a=3.9nm、n型を有する基板を
用いた。
【0044】(バッファ層の形成)純度が99.99%
でSr/Ti比が1.4のSr過剰の焼結体ターゲツト
を用いて、RFスパッタリング法により、前記基板表面
におけるLaをドープしたSrTiO3 単結晶薄膜上に
エピタキシャル成長させて、チタン酸ストロンチウム
(SrTiO3 (110))薄膜からなるバッファ層を
形成した。ただし、RFスパッタリング法による成膜条
件は、次のとおりである。 反応装置:アルバック社製 [SMH−2306] RF出力:0.15W/cm2 基板温度:700℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:5/6 O2 圧力 6×10-3Torr Ar圧力 5×10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:50mm 膜厚:100nm
【0045】得られたバッファ層を構成するSrTiO
3 薄膜をX線回折により解析したところ、基板表面のS
rTiO3 (110)単結晶薄膜と結晶方位が一致した
エピタキシャル膜であることが確認できた。次に、X線
電子分光(XPS)により、バッファ層を構成するSr
TiO3 薄膜の組成分析を行ったところ、Sr/Ti比
が1.0であり、化学量論的組成比となつていることが
確認できた。また、走査型電子顕微鏡により、バッファ
層を構成するSrTiO3 薄膜の表面を観察したとこ
ろ、表面はきわめて平滑であることが確認できた。ま
た、原子間力顕微鏡により、バッファ層を構成するSr
TiO3 薄膜の表面を1×1μm2 の範囲で観察したと
ころ、光学研磨をしたガラスなみの平滑性があることが
確認できた。また、バッファ層を構成するSrTiO3
薄膜の誘電率(ε)を測定したところ、270と大き
く、リーク電流を小さく抑制でき、良好な電気特性を有
することが確認できた。
【0046】(強誘電体薄膜光導波路の形成)SrTi
3 薄膜からなるバッファ層上に、ゾルゲル法による固
相エピタキシャル成長法を用いてエピタキシャルPZT
(52/48)薄膜からなるエピタキシャルABO3
ペロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成した。すな
わち、Pb(OOCCH3 2 、Zn(O (i)C
3 7 4 、Ti(O (i)C3 7 4 を出発原料とし
て用い、これらを2−メトキシエタノールに溶解し、6
時間の蒸留をし、18時間の還流を行い、最終的にPb
濃度が0.6MのPZT(52/48)用前駆体溶液を
得た。この前駆体溶液を用いたほかは、実施例1と同様
にして膜厚150nmのエピタキシャルPZT(52/
48)薄膜を形成した。このエピタキシャルPZT(5
2/48)薄膜の表面を走査型電子顕微鏡によって観察
したところ、表面はきわめて平滑であることが確認でき
た。また、原子間力顕微鏡により、エピタキシャルPZ
T(52/48)薄膜の表面を1×1μm2 の範囲で観
察したところ、良好な平滑性を持っていることが確認で
きた。以上の結果より、エピタキシャルPZT(52/
48)薄膜は、その表面平滑性においては、光導波路と
して良好な低光減衰特性を発揮することが確認できた。
【0047】実施例4 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)複数のターゲットを有し、装置を
開くことなく真空を維持したままで連続して薄膜を形成
することが可能なスパッタリング装置を用い、純度が9
9.99%でSr/Ti比が1.8のSr過剰の焼結体
ターゲツトを用いて、RFスパッタリング法により、前
記基板表面におけるNbをドープしたSrTiO3 単結
晶薄膜上にエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロ
ンチウム(SrTiO3 (100))薄膜からなるバッ
ファ層を形成した。ただし、RFスパッタリング法によ
る成膜条件は、次のとおりである。 反応装置:アルバック社製 [SH−450] RF出力:3.0W/cm2 基板温度:600℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:1 O2 圧力 5×10-3Torr Ar圧力 5×10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:80mm 膜厚:50nm
【0048】得られたバッファ層を構成するSrTiO
3 薄膜をX線回折により解析したところ、基板表面のS
rTiO3 (100)単結晶薄膜と結晶方位が一致した
エピタキシャル膜であることが確認できた。
【0049】(強誘電体薄膜光導波路の形成)さらに、
装置を開くことなく真空を維持したままで、純度が9
9.99%のBaTiO3 焼結体のターゲツトを用い
て、RFスパッタリング法により、バッファ層上にエピ
タキシャル成長させて、BaTiO3 薄膜からなる強誘
電体薄膜光導波路を形成した。ただし、RFスパッタリ
ング法による成膜条件は、次のとおりである。 反応装置:アルバック社製 [SH−450] RF出力:0.6W/cm2 基板温度:550℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:1 O2 圧力 5×10-3Torr Ar圧力 5×10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:80mm 膜厚:200nm
【0050】このエピタキシャルBaTiO3 薄膜の表
面を走査型電子顕微鏡によって観察したところ、表面は
きわめて平滑であることが確認できた。また、原子間力
顕微鏡により、エピタキシャルBaTiO3 薄膜の表面
を1×1μm2 の範囲で観察したところ、実施例1と比
較して若干劣るものの、十分な平滑性を持っていること
が確認できた。以上の結果より、エピタキシャルBaT
iO3 薄膜は、その表面平滑性においては、光導波路と
して十分な低光減衰特性を発揮することが確認できた。
【0051】実施例5 (基板の構成)実施例1−1と同様の基板を用いた。 (バッファ層の形成)複数のターゲットを有し、装置を
開くことなく真空を維持したままで連続して薄膜を形成
することが可能なスパッタリング装置を用い、純度が9
9.99%でSr/Ti比が1.8のSr過剰の焼結体
ターゲツトを用いて、RFスパッタリング法により、前
記基板表面におけるNbをドープしたSrTiO3 単結
晶薄膜上にエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロ
ンチウム(SrTiO3 (100))薄膜からなるバッ
ファ層を形成した。ただし、RFスパッタリング法によ
る成膜条件は、次のとおりである。 反応装置:アルバック社製 [SH−450] RF出力:3.0W/cm2 基板温度:600℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:1 O2 圧力 5×10-3Torr Ar圧力 5×10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:80mm 膜厚:500nm 以上のようにして形成したバッファ層を、真空装置内に
酸素(O2 )を10×10-2Torrの圧力で導入しな
がら、温度700℃で30分間にわたり加熱処理した。
加熱処理後のバッファ層の膜特性を評価したところ、以
下のような結果が得られた。
【0052】バッファ層を構成するSrTiO3 薄膜を
X線回折により解析したところ、基板表面のSrTiO
3 (100)単結晶薄膜と結晶方位が一致したエピタキ
シャル膜であることが確認できた。
【0053】(強誘電体薄膜光導波路の形成)さらに、
装置を開くことなく真空を維持したままで、純度が9
9.99%でPb過剰のPbTiO3 焼結体ターゲツト
を用のターゲツトを用いて、RFスパッタリング法によ
り、バッファ層上にエピタキシャル成長させて、PbT
iO3 薄膜からなる強誘電体薄膜光導波路を形成した。
ただし、RFスパッタリング法による成膜条件は、次の
とおりである。 反応装置:アルバック社製 [SH−450] RF出力:0.3W/cm2 基板温度:700℃(ハロゲンランプで加熱) Ar圧力/O2 圧力の比:2/3 O2 圧力 6×10-3Torr Ar圧力 4×10-3Torr ターゲットと基板との間の距離:80mm 膜厚:200nm
【0054】このエピタキシャルPbTiO3 薄膜は、
c軸配向成長していることが確認できた。また、エピタ
キシャルPbTiO3 薄膜の表面を走査型電子顕微鏡に
よって観察したところ、表面はきわめて平滑であること
が確認できた。また、原子間力顕微鏡により、エピタキ
シャルPbTiO3 薄膜の表面を1×1μm2 の範囲で
観察したところ、十分な平滑性を持っていることが確認
できた。以上の結果より、エピタキシャルPbTiO3
薄膜は、その表面平滑性においては、光導波路として十
分な低光減衰特性を発揮することが確認できた。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、化学組成が十分に制御
され、表面モフォロジーが良好で、リーク電流や誘電率
等の電気的特性が良好で、高機能の光変換素子、不揮発
性メモリー、キャパシター等に好適に用いることができ
る強誘電体薄膜素子を量産性良く安定して製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ターゲットのSr/Ti比と、バッファ層を
構成する薄膜のSr/Ti比との相関関係を示す説明図
である。
【図2】 アルゴン圧力と酸素圧力の比(Ar/O
2 比)と、基板の加熱温度との相関関係を示す説明図で
ある。
【図3】 強誘電体薄膜素子の構成例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 バッファ層 3 強誘電体薄膜光導波路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸ストロンチウム単結晶薄膜また
    は不純物原子をドープしたチタン酸ストロンチウム単結
    晶薄膜を表面に有する基板上に、Sr/Ti比が1.1
    以上2.3未満のターゲットを用いて、スパッタリング
    法によりエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロン
    チウム薄膜からなるバッファ層を形成し、このバッファ
    層上にエピタキシャルまたは単一配向性のABO3 型ペ
    ロブスカイト強誘電体薄膜光導波路を形成することを特
    徴とする強誘電体薄膜素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記バッファ層の形成を、アルゴン圧力
    と酸素圧力の比(Ar/O2 比)が0.2以上3.0未
    満の雰囲気下において行うことを特徴とする請求項1に
    記載の強誘電体薄膜素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記バッファ層の形成を、基板を400
    ℃以上800℃未満の温度で加熱しながら行うことを特
    徴とする請求項1に記載の強誘電体薄膜素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記バッファ層の形成後に、該バッファ
    層を酸素雰囲気中において300℃以上800℃未満で
    加熱処理したことを特徴とする請求項1に記載の強誘電
    体薄膜素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ABO3 型ペロブスカイト強誘電体
    薄膜光導波路の形成を、固相エピタキシャル成長法によ
    って行うことを特徴とする請求項1に記載の強誘電体薄
    膜素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 チタン酸ストロンチウム単結晶薄膜また
    は不純物原子をドープしたチタン酸ストロンチウム単結
    晶薄膜を表面に有する基板上に、Sr/Ti比が1.1
    以上2.3未満のターゲットを用いて、スパッタリング
    法によりエピタキシャル成長させて、チタン酸ストロン
    チウム薄膜からなるバッファ層を形成し、次いで、真空
    を維持したまま連続して前記バッファ層上にエピタキシ
    ャルまたは単一配向性のABO3 型ペロブスカイト強誘
    電体薄膜光導波路を形成することを特徴とする強誘電体
    薄膜素子の製造方法。
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