JPH11229940A - コモンレール式燃料噴射装置 - Google Patents

コモンレール式燃料噴射装置

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JPH11229940A
JPH11229940A JP10046322A JP4632298A JPH11229940A JP H11229940 A JPH11229940 A JP H11229940A JP 10046322 A JP10046322 A JP 10046322A JP 4632298 A JP4632298 A JP 4632298A JP H11229940 A JPH11229940 A JP H11229940A
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common rail
pressure
fuel
engine
control valve
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JP10046322A
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Katsushi Shitomi
克士 蔀
Haruyo Kimura
治世 木村
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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    • F02B75/18Multi-cylinder engines
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は,エンジン組立後の最初の始動時等
に,コモンレールの上部に配設した圧力制御弁の設定圧
力以上の圧力にコモンレール圧力を制御することによ
り,コモンレール内の気体を容易に排出する燃料噴射装
置を提供する。 【解決手段】 左右のバンク2,3間においてシリンダ
ブロック6に取り付けられたコモンレール5の上方に
は,コモンレール5の最高圧力を規定する圧力制御弁3
2が配設されている。エンジン組立後の最初の始動時等
においては,コモンレール5の圧力は,圧力制御弁32
が規定する最高圧力を上回るように制御される。コモン
レール5内の空気等の気体の排出は,開弁された圧力制
御弁32を通じて行われると共に,特別の手段を必要と
せず且つ圧力制御弁32を利用したコモンレール圧力制
御により簡単且つ容易に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,エンジンにおけ
るコモンレール式燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンにおいては,燃料噴射制御に関
して,燃料噴射圧力の高圧化を図り,且つ燃料の噴射タ
イミング及び噴射量等の噴射特性をエンジンの運転状態
に応じて最適に制御する方法として,コモンレール式燃
料噴射システムが知られている。コモンレール式燃料噴
射システムは,燃料ポンプによって所定圧力に加圧され
た燃料を複数のインジェクタに対して共通するコモンレ
ールに貯溜し,コモンレールに貯溜した燃料を各インジ
ェクタから対応する燃焼室内に噴射する燃料噴射システ
ムである。加圧された燃料がエンジンの運転状態に対し
て最適な噴射条件で各インジェクタから噴射されるよう
に,コントローラがコモンレールの燃料圧と各インジェ
クタに設けられた制御弁の作動とを制御している。コモ
ンレール燃料噴射システムでは,エンジンの運転状態に
応じて予め決められた燃料噴射量,燃料噴射時期及び燃
料噴射圧力はマップ化されてコントローラに記憶されて
おり,これらの記憶された燃料噴射量,燃料噴射時期及
び燃料噴射圧力から,現在のエンジンの運転状態に対応
したそれぞれの目標値が求められ,燃料噴射量,燃料噴
射時期及び燃料噴射圧力がそれぞれの目標値に一致する
ように,インジェクタの燃料噴射弁の作動が電子的に制
御されている。
【0003】4気筒エンジンに適用された従来のコモン
レール式燃料噴射システムの概要が図9に示されてい
る。各インジェクタ51への燃料供給は,コモンレール
45から,燃料流路の一部を構成する燃料供給管48を
通じて供給される。燃料タンク40からフィルタ41を
経てフィードポンプ42によって吸い上げられて所定の
吸入圧力に加圧された燃料は,燃料管43を通じて燃料
ポンプ44に送られる。燃料ポンプ44は,例えばエン
ジンによって駆動されて燃料を運転状態等に基づいて定
められる高圧に昇圧して燃料管47を通じてコモンレー
ル45に供給する,所謂,プランジャ式のサプライ用の
燃料供給ポンプである。供給された燃料は所定圧力に昇
圧した状態でコモンレール45に貯溜され,コモンレー
ル45から各インジェクタ51に供給される。インジェ
クタ51は,エンジンの型式(気筒数,この場合,4気
筒)に応じて複数個設けられており,コントローラ52
の制御によって,コモンレール45から供給された燃料
を,最適な噴射時期に最適な燃料噴射量でもって対応す
る燃焼室内に噴射する。インジェクタ51から噴射され
る燃料の噴射圧はコモンレール45に貯溜されている燃
料の圧力に略等しいので,噴射圧を制御するにはコモン
レール45内の圧力が制御される。
【0004】燃料供給管48からインジェクタ51に供
給された燃料のうち,燃焼室への噴射に費やされなかっ
た燃料は,戻し管49を通じて燃料タンク40に戻され
る。電子制御ユニットであるコントローラ52には,エ
ンジン回転数を検出するためのエンジン気筒判別センサ
及びクランク角度センサ,アクセル踏込み量を検出する
ためのアクセル踏込み量センサ,冷却水温度を検出する
ための水温センサ,並びに吸気管内圧力を検出するため
の吸気管内圧力センサ等のエンジンに関する運転状態を
検出するための各種センサ54からの信号が入力されて
いる。また,コモンレール45には圧力センサ53が設
けられており,圧力センサ53によって検出されたコモ
ンレール45内の燃料圧の検出信号かコントローラ52
に送られる。コントローラ52は,エンジン出力が運転
状態に即した最適出力になるようにエンジン運転状態に
基づいて予め定められた目標となる燃料噴射条件(即
ち,インジェクタ51による燃料噴射タイミング及び噴
射量を定める燃料噴射時期,燃料噴射量,コモンレール
圧力の目標値)をマップや関数として記憶しており,各
種センサが検出した現在のエンジン運転状態を表す信号
に対応して,それぞれの目標値を求めて,その条件で燃
料噴射が行われるように燃料ポンプ44及びインジェク
タ51の作動とコモンレール45の圧力とを制御してい
る。インジェクタ51から燃料が噴射されることでコモ
ンレール圧力が低下しても,コントローラ52は,燃料
ポンプ44の吐出量,即ち,燃料ポンプ44に付設され
た流量制御弁46を制御してコモンレール45の圧力を
回復させる。また,コントローラ52は,コモンレール
圧力をエンジンの運転状態に応じた圧力に設定する。
【0005】ところで,コモンレールには,当該システ
ムで使用する最高噴射圧力と同じ又は若干上回るように
開弁圧力が設定された圧力制御弁が配設されている。当
該システム異常時等にコモンレール,分岐管及びインジ
ェクタ等の高圧燃料系内の圧力が開弁圧力以上の圧力に
なった時,高圧燃料系内の圧力が圧力制御弁を通して解
放されることにより,高圧燃料系内の圧力の異常上昇が
回避される。
【0006】かかるコモンレール燃料噴射システムに適
用された燃料噴射装置として,特開昭62−25816
0号公報,実公平2−32865号公報,特開平7−2
93393号公報,及び特開平8−189434号公報
に開示されたものがある。
【0007】特開昭62−258160号公報には,コ
モンレール内に蓄圧した所定の高圧燃料を電気的に作動
される噴射ノズルによりエンジンの各気筒に噴射する燃
料噴射装置において,燃料を所定の高圧にして圧送する
ポンプ室を有する燃料高圧供給ポンプと,ポンプ室と低
圧燃料通路とを連通する通路に設けられポンプ室の燃料
を開弁により低圧燃料通路に溢流させる溢流用電磁弁
と,ポンプ室の燃料の圧送開始前に溢流用電磁弁を予め
閉弁させ圧送行程中の所定時期に開弁させてポンプ室内
の高圧燃料の溢流を制御する制御手段を備え,所定の高
圧燃料をコモンレール内に維持するようにした燃料噴射
装置が開示されている。
【0008】実公平2−32865号公報には,各燃料
噴射弁に燃料パイプによって燃料を分配するための燃料
分配管が設けられたエンジンの燃料供給装置が開示され
ている。この燃料分配管は,一方の端部から他方の端部
に渡って上壁部を上方側に傾斜させ且つ下壁部を略水平
に延ばすことにより,横断面が徐々に拡大して形成され
且つ横方向に延びている。横断面の小さい側の端部には
燃料導入口が開口され,横断面の大きい側の端部の上壁
部近傍には燃料流出口が開口されているので,長時間の
運転によるエンジンの加熱に起因して発生するいわゆる
ベーパロックを起こす気泡は,上壁部近傍に開口する燃
料流出口からプレッシャーレギュレータ弁を通じて気泡
を含む燃料が燃料タンクへ戻される。
【0009】特開平7−293393号公報には,燃料
分配管の内壁上面がエンジン装着状態において水平方向
の一端から他端に向けて天地方向に高低差を持ち,内壁
下面が水平となる構造を有する燃料噴射装置が開示され
ている。燃料分配管の天地方向に高くなる側の端部に圧
力調整弁と,燃料のフィード側パイプとリターン側パイ
プとが接続されている。燃料分配管内で発生したベーパ
は,燃料分配管内の最も高い位置にある圧力調整弁に集
まり,外部に排出される。
【0010】更に,特開平8−189434号公報に
は,ポンプから吐出される燃料を受けて各インジェクタ
へ燃料を供給するデリバリパイプの上部に,デリバリパ
イプ内に進入又は発生する燃料ベーパ等の気体を集める
収集室が設けられた内燃機関の燃料供給装置が開示され
ている。コンピュータは,エンジンの運転状態に応じて
算出される燃料噴射量に基づいて各インジェクタを制御
する。収集室に集められた気体は,キャニスタによって
パイプを通じてデリバリパイプから回収される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで,上記のコモ
ンレール式燃料噴射装置では,少なくともエンジンに組
み込まれた当初の状態においては,コモンレール内に空
気が存在している。また,エンジンの運転に伴い,高温
になるエンジンの影響を受けてコモンレール内に気泡が
発生する場合もある。したがって,コモンレール式燃料
噴射装置をエンジンに組み付けてから通常どおりに燃料
噴射が実行されるようになるまでに,コモンレール内の
空気を抜いておく必要がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
問題を解決することであって,少なくとも組立当初にお
いてコモンレール内に存在する空気を圧力制御弁を通じ
て,燃料噴射制御の制御モードを変更することによって
容易に抜くことが可能なコモンレール式燃料噴射装置を
提供することである。
【0013】この発明は,エンジンに取り付けられると
共に燃料ポンプによって送り出された燃料を貯溜するコ
モンレール,前記コモンレールから燃料通路を通じて供
給された燃料をエンジンの燃焼室内に噴射するインジェ
クタ,前記エンジンの運転状態を検出するセンサ,及び
前記センサからの検出信号に応答して前記燃料ポンプ及
び前記インジェクタの作動を制御するコントローラを具
備し,前記コモンレールの上部には前記コモンレールの
最高圧力を規定する開弁圧力が設定された圧力制御弁が
配設されており,前記コントローラは,少なくとも前記
エンジンの組立後の最初の始動時に,前記コモンレール
の圧力を前記圧力制御弁の前記開弁圧力を上回るように
制御することから成るコモンレール式燃料噴射装置に関
する。
【0014】また,このコモンレール式燃料噴射装置に
おいて,前記コントローラは,前記コモンレールの圧力
が前記圧力制御弁の前記開弁圧力を上回り始めてから予
め定められた時間を経過するまで,前記コモンレールの
圧力が前記圧力制御弁の前記開弁圧力を上回る制御を続
行する。
【0015】また,このコモンレール式燃料噴射装置に
おいて,前記エンジンはV型に配設された一対のバンク
を備えるシリンダブロックと前記各バンクに取り付けら
れ且つ前記インジェクタが配設された一対のシリンダヘ
ッドとを有するV型エンジンであり,前記コモンレール
は前記両バンク間において前記シリンダブロックに取り
付けられている。
【0016】更に,このコモンレール式燃料噴射装置に
おいて,前記コモンレールには前記エンジンのクランク
軸と平行に延びる貯溜部と前記貯溜部に連通する複数の
分配通路が形成されており,前記貯溜部内の燃料は前記
分配通路から前記燃料通路を通じて前記インジェクタに
供給される。
【0017】この発明によるコモンレール式燃料噴射装
置では,少なくとも前記エンジン組立後の最初の始動時
に,コモンレールの圧力を圧力制御弁の開弁圧力を上回
る圧力となるように制御するので,燃料ポンプから燃料
流路を通じての燃料の供給は,コモンレール圧力が圧力
制御弁の開弁圧力を超えるまで続けられる。圧力制御弁
は,コモンレールをエンジンに取り付けた状態では,コ
モンレールの上部に位置するように配設されているの
で,コモンレール内の空気はコモンレールの上部に位置
している圧力制御弁を通じて排出されることになる。コ
モンレールの圧力が圧力制御弁の開弁圧力を上回り始め
てから,例えば,実験等で得られる予め定められた時間
を経過するまで,上記の制御を続行するので,圧縮され
た空気が残存する場合も,残存空気は,確実に空気をコ
モンレールから排出される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
によるコモンレール式燃料噴射装置の一実施例を説明す
る。図1はこの発明によるコモンレール式燃料噴射装置
が適用されたV型エンジンの一例を示す平面図,図2は
図1に示したV型エンジンの後面図である。コモンレー
ル式燃料噴射装置は,基本的なシステムとしては,図9
に示すシステムと同様に構成される。
【0019】この発明によるコモンレール式燃料噴射装
置1は,図1及び図2に示されているように6気筒V型
ディーゼルエンジンに適用されている。6気筒V型ディ
ーゼルエンジンでは,シリンダブロック6は,クランク
ケース側の基部から互いに斜め上方に先広がりのV字状
に配設された左バンク2及び右バンク3を有しており,
左右のバンク2,3にはそれぞれ3つの気筒が一列に配
設されている。左バンク2に設けられている3つの気筒
と右バンクに設けられている3つの気筒とは,エンジン
のクランク軸16の軸方向に互いにずれて,即ち,オフ
セット状態に配置されている。図1に示すコモンレール
式燃料噴射装置1は,図2に示すシリンダヘッド10,
11とヘッドカバー12,13とを取り外した状態にあ
り,シリンダブロック6には各列で3つのシリンダボア
15が形成されている。
【0020】V型ディーゼルエンジンにおいて,両バン
ク2,3間にはV字状のスペースが形成されており,コ
モンレール式燃料噴射装置1を構成する燃料ポンプ4と
コモンレール5とは左右のバンク2,3間の上記スペー
スに配設されている。燃料ポンプ4は,シリンダブロッ
ク6の前端側に配設されており,コモンレール5は燃料
ポンプ4の後方に直列に配設されている。燃料ポンプ4
とコモンレール5とを上記のように配設することによ
り,V型エンジンの周囲のスペースが無駄なく利用され
る。燃料ポンプ4によって所定の高圧にまで昇圧された
燃料は,燃料ポンプ4の吐出口4aとコモンレール5の
流入口25aとの間を接続する燃料管7を通じてコモン
レール5に供給される。
【0021】左右のバンク2,3上には,それぞれシリ
ンダヘッド10,11が取り付けられている。シリンダ
ヘッド10,11には,それぞれ,各シリンダボア15
に対応して燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタ19
L,19R(総称する場合は,符号19を用いる)が取
り付けられている。また,シリンダヘッド10,11の
上部には,各燃焼室に対応して配設される吸排気弁を駆
動するカム及びカム軸から成る動弁機構(図示せず)が
設けられている。インジェクタ19の上部及び動弁機構
は,シリンダヘッド10,11に取り付けられたヘッド
カバー12,13で覆われている。コモンレール5と各
インジェクタ19L,19Rとの間は,燃料通路である
燃料供給管8L,8R(総称する場合は,符号8を用い
る)によって接続されている。燃焼供給管8はヘッドカ
バー12,13を貫通して,各インジェクタ19に接続
されている。更に,各シリンダヘッド10,11には,
吸気マニホルド9が取り付けられており,燃料供給管8
は吸気マニホルド9と干渉しないように迂回して配管さ
れている。燃料ポンプ4の入力軸14には,エンジンの
出力軸であるクランク軸16から適宜の伝動手段,例え
ば,歯車伝動手段,チェーン伝動手段等を介して,エン
ジンの出力が駆動力として伝達される。なお,クランク
軸16は,燃焼室内での燃料の燃焼に基づいてシリンダ
ボア15内を往復動するピストン17によってコンロッ
ド18を介して回転される。
【0022】コントローラは,コモンレール5から各イ
ンジェクタ19への燃料の供給で低下したコモンレール
5の燃料圧力を回復させるため,各インジェクタ19か
らの燃料の噴射に応じて燃料ポンプ4からコモンレール
5へ高圧燃料を供給する。また,コモンレール圧力それ
自体も,エンジンの運転状態に応じて必要な圧力となる
ように制御される。
【0023】図3〜図7は,図1及び図2のコモンレー
ル式燃料噴射装置に用いられるコモンレールの構造が示
されている。図3は,コモンレールの平面図,図4は図
3に示したコモンレールの端面図,図5は図3に示した
コモンレールの側面図,図6は図3における矢視A−A
で見た断面図,図7は図3における矢視B−Bで見た断
面図である。以下,図3〜図7を参照してコモンレール
について説明する。
【0024】コモンレール5のレールボディ20には,
図1及び図2に示されているコモンレール5がエンジン
に装着された状態でエンジンのクランク軸16と略平行
に延びる中空状の貯溜部21が形成されている。貯溜部
21は,レールボディ20に形成された貫通孔の両端を
プラグ22,23で閉鎖することによって構成されてい
る。コモンレール5は,レールボディ20の上部中央位
置に,燃料ポンプ4から延びる高圧燃料供給用の燃料管
7が接続される流入ボス部24を有している。流入ボス
部24には,貯溜部21に接続し且つ貯溜部21から燃
料ポンプ4側に傾斜した流入通路25とその開口として
の流入口25aが形成されている。レールボディ20の
下面にはセンサ取付け部26がレールボディ20と一体
的に形成されており,センサ取付け部26には,コモン
レール圧力,即ち,貯溜部21の燃料圧を検出する圧力
センサ27(図4に想像線で示す)が装着されている。
【0025】コモンレール5のレールボディ20には,
貯溜部21内の燃料を各インジェクタに分配するため,
貯溜部21から延びる複数の分配通路28が形成されて
いる。分配通路28は,左バンク2に配設されているイ
ンジェクタ19Lに燃料を供給する分配通路28Lと,
右バンク3に配設されているインジェクタ19Rに燃料
を供給する分配通路28Rとから成る。図6の断面図に
最も良く示されているように,分配通路28Rと分配通
路28Lとは,それぞれ貯溜部21を起点として左右に
互いに反対方向に傾め上方に延びており,クランク軸1
6の軸方向に投影した状態で見ると,分配通路28Lと
分配通路28Rとは略V字状に開くように形成されてい
る。分配通路28Lの開口部29Lと分配通路28Rの
開口部29Rには,それぞれ想像線で示すように燃焼供
給管8L,8Rが接続されている。また,分配通路28
Rと分配通路28Lとは,クランク軸16の軸方向で見
て互いにオフセットした状態に配置されている。
【0026】コモンレール5の開口部29Rと開口部2
9Rに対応したインジェクタ19Rとを接続する燃料供
給管8Rは,コモンレール5の上面37からその真上の
方向に対してシリンダヘッド10側に傾斜した方向,即
ち,開口部29Rから燃料供給管8Rを通じて燃料が供
給されるインジェクタ19Rが配設されているシリンダ
ヘッド10側に傾斜した上方に延びている。コモンレー
ル5の開口部29Lと開口部29Lに対応したインジェ
クタ19Lとを接続する燃料供給管8Lも,同様に,開
口部29Lから,シリンダヘッド11側に傾斜した方向
に延びている。燃料供給管8R,8Lは,それぞれ実質
的に,コモンレール5の貯溜部21と開口部29R,2
9Lとを結ぶ分配通路28Rと分配通路28Lとの延長
線の方向に延びており,かかる延長線の方向は,コモン
レール5の貯溜部21を起点としたV字状の方向であ
る。したがって,コモンレール5の上方には,燃料供給
管8R,8Lをそれぞれ開口部29R,29Lに接続又
は分離させるために,例えば,スパナやレンチのような
工具を既設の燃料供給管8に邪魔されることなく差し入
れることができる作業用スペース38が形成されてい
る。
【0027】コモンレール5のレールボディ20の燃料
ポンプ4側で且つ左バンク2側の上部には,貯溜部21
から斜め上方に向けて排出通路30が形成されている。
排出通路30は,比較的大径のねじ穴通路30aとねじ
穴通路30aの底部から穿孔されて貯溜部21とを連通
させる比較的小径の連通路30bとから構成されている
(図7参照)。ねじ穴通路30aの開口部31には,コ
モンレール5の最高圧力を規定する圧力制御弁32が取
り付けられている(図1,及び圧力制御弁32を想像線
で示した図3及び図7参照)。圧力制御弁32は,コモ
ンレール5をエンジンに取り付けた状態でコモンレール
5の上部に位置している。圧力制御弁32には,リーク
オフパイプ(図示せず)が接続されている。貯溜部21
に存在していた気体,或いは貯溜部21に流入したり貯
溜部21で発生した気泡は,エンジン停止時には貯溜部
21の最も高い位置を占める排出通路30の上部や圧力
制御弁32に集まる。圧力制御弁32は,例えば,コモ
ンレール5からの燃料を排出することができるが,逆の
流れを阻止するチェック弁(逆止弁)とすることがで
き,この場合,コモンレール5の最高圧力は,チェック
弁の弁体を閉弁方向に付勢するばねによって規定され
る。或いは,また,圧力制御弁32を,最高圧力かエン
ジンの運転状態に応じて変更可能となるように構成する
こともできる。圧力制御弁32において設定される開弁
圧力は,コモンレール5の通常の最高噴射圧力と同じ又
は若干高めに設定されている。
【0028】コモンレール5は,図3に最も良く示され
ているように,右側に1箇所,左側に2箇所の取付け部
33を有しており,各取付け部33には上下方向に貫通
するボルト孔34が形成されている。取付け部33に対
応してシリンダブロック6には取付け上面を水平にした
取付け用ボス部(図示せず)が形成されている。コモン
レール5の取付け部33のボルト孔34を通してブラケ
ット36の対応するボルト孔(図示せず)にねじ込むこ
とにより,コモンレール5はブラケット36に取り付け
られる。また,ブラケット36を別の取付けボルトによ
って取付け用ボス部にねじ込むことにより,コモンレー
ル5はブラケット36を介してシリンダブロック6に固
定される。
【0029】以下,エンジン組立後において,コモンレ
ール5内を満たす空気を排出するために燃料ポンプ4を
運転制御について説明する。図8は,コモンレール式燃
料噴射装置の制御フローチャートであり,以下のような
ステップ(以下,Sと略す)を踏んだ制御を行う。 (1)イグニションキーをONにした時に,この制御が
開始される。初期始動制御の実行完了フラグ(Flag
−S)を確認する(ステップ1,以下「S1」と略
す)。フラグ(Flag−S)がセットされていれば,
通常制御モードを実行するが,フラグ(Flag−S)
が未セットであれば,初期始動制御モードを実行する。
通常制御モードは,図9に基づいて説明しコモンレール
燃料噴射システムにおける制御モードと同様であるの
で,詳細な説明を省略する。 (2)初期始動制御モードでは,最終目標燃料噴射量Q
f,最終目標燃料噴射時期Tf,及び最終目標燃料噴射
圧力Pcfには,それぞれ,初期始動に適した目標燃料
噴射量Qs,目標燃料噴射時期Ts,目標燃料噴射圧力
Ps(コモンレール圧力)がメモリから読み出されて設
定される(S2〜S4)。 (3)目標値Qs,Ts,及びPsに基づいて,システ
ムのコントローラは,インジェクタからの燃料の噴射を
制御するためにインジェクタに設けられた制御弁及び燃
料ポンプ4からコモンレール5へ高圧燃料を供給する吐
出量を制御する制御弁の作動を制御する(S5,S
6)。ここで,目標燃料噴射量と目標燃料噴射時期につ
いての上記最終目標値は,それぞれ任意に設定すればよ
いが,燃料噴射圧力の目標値Psは,圧力制御弁32の
最高圧力を規定している開弁圧力相当,即ち,好ましく
は開弁圧力を若干上回る圧力に設定される。 (4)実際のコモンレール圧力Pcと,上記目標圧力P
sを比較し,実際の圧力Pcが目標圧力Ps未満である
とき(即ち,未だ空気抜きが完了していないとき)には
S1に戻って,初期始動制御モードを続行し,実際の圧
力Pcが目標圧力Ps以上のときにはS8に進む(S
7)。 (5)実際のコモンレール圧力Pcが目標圧力Ps以上
であると,本制御ルーチンの実行カウンタCntをイン
クリメント(増分)する(S8)。このとき,圧力制御
弁32は開弁して,コモンレール5内の流体(即ち,気
体が存在している場合には,その気体が含まれる)が圧
力制御弁32を通じて排出されている。 (6)カウンタ値Cntが所定値Nであるか否かを判定
し(S9),所定値N未満の状態では,S1に戻る。即
ち,実際のコモンレール圧力Pcが目標値Psに達した
後も,コモンレール5内には圧縮された状態の空気が残
存している可能性があるため,この残存空気が圧力制御
弁32から放出されるまでの時間(実験的に求めること
が出来る)が経過したか否かを,S9において制御ルー
チンの実行回数(N)から判断する。なお,放出時間の
経過の判断については,制御ルーチンの実行回数のカウ
ンタに換えて,タイマによる時間カウンタで行ってもよ
い。 (7)S9でカウンタ値が所定値(N)であれば,初期
始動制御モード完了フラグ(Flag−S)を1にセッ
トしてS1へ戻る(S10)。したがって,この場合,
S1では,YESと判断されて通常モードに移行する。
当該フラグはリセットされることがないため,初期始動
制御モードは,エンジン組立後の最初の始動時にのみ実
行される(出荷後の通常の始動時には実行されない)。
なお,上記の運転制御は,エンジンの組立後に最初にエ
ンジンを運転する場合の制御であったが,この発明は,
かかる場合のみならず,エンジン始動運転時には常に強
制的に上記の制御を行なったり,気泡が排出通路30及
び圧力制御弁32に集まった状態を何らかの手段で検知
し,気泡をコモンレール5から取り除くための燃料ポン
プ4の運転制御についても適用できることは明らかであ
る。例えば,S1において,フラグFlag−Sの判定
に代えて,圧力制御弁32に近接して配置した気泡検出
センサからの信号がOFFであるか否かを判定し,気泡
検出センサからの信号がONであるとすると,以下,図
8に示すフローチャートに従って,エンジンの始動時に
気泡を排出するように構成することもできる。
【0030】
【発明の効果】この発明によるコモンレール式燃料噴射
装置は,上記のように構成されているので,次のような
効果を奏する。即ち,コモンレールの最高圧力を規定す
る圧力制御弁の配設位置を,コモンレールをエンジンに
取り付けた状態でコモンレールの上部に位置したので,
空気抜き用の特別な手段を設けることなく,エンジンの
運転開始に伴ってコモンレール内の空気を圧力制御弁か
ら抜き出すことができる。また,コントローラは,エン
ジンに組み付けた後の最初の始動時に,コモンレールの
圧力を圧力制御弁の開弁圧力を超える圧力となるように
制御するので,コモンレール内の空気抜きを,既存のコ
モンレールによる燃料噴射制御に含まれる圧力制御を利
用して,エンジンの始動当初に確実に行い以後のコモン
レールの作動を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるコモンレール式燃料噴射装置が
適用されたV型エンジンの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示したコモンレール式燃料噴射装置の後
面図である。
【図3】図1に示したコモンレール式燃料噴射装置に用
いられるコモンレールの平面図である。
【図4】図3に示したコモンレールの端面図である。
【図5】図3に示したコモンレールの側面図である。
【図6】図3に示したコモンレールの矢視A−Aで見た
断面図である。
【図7】図3に示したコモンレールの矢視B−Bで見た
断面図である。
【図8】エンジン組立当初に燃料ポンプを運転するフロ
ーチャートを示す図である。
【図9】従来のコモンレール式燃料噴射システムの概要
を示す図である。
【符号の説明】
1 コモンレール式燃料噴射装置 2 左バンク 3 右バンク 4 燃料ポンプ 5 コモンレール 6 シリンダブロック 8 燃料供給管 10 シリンダヘッド 11 シリンダヘッド 16 クランク軸 20 本体部分 21 貯溜部 28 分配通路 32 圧力制御弁 51 インジェクタ 52 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02M 39/00 F02M 39/00 Z 55/02 310 55/02 310A 350 350H 350E

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンに取り付けられると共に燃料ポ
    ンプによって送り出された燃料を貯留するコモンレー
    ル,前記コモンレールから燃料通路を通じて供給された
    燃料をエンジンの燃焼室内に噴射するインジェクタ,前
    記エンジンの運転状態を検出するセンサ,及び前記セン
    サからの検出信号に応答して前記燃料ポンプ及び前記イ
    ンジェクタの作動を制御するコントローラを具備し,前
    記コモンレールの上部には前記コモンレールの最高圧力
    を規定する開弁圧力が設定された圧力制御弁が配設され
    ており,前記コントローラは,少なくとも前記エンジン
    の組立後の最初の始動時に,前記コモンレールの圧力を
    前記圧力制御弁の前記開弁圧力を上回るように制御する
    ことから成るコモンレール式燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記コントローラは,前記コモンレール
    の圧力が前記圧力制御弁の前記開弁圧力を上回り始めて
    から予め定められた時間を経過するまで,前記コモンレ
    ールの圧力が前記圧力制御弁の前記開弁圧力を上回る制
    御を続行することから成る請求項1に記載のコモンレー
    ル式燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記エンジンはV型に配設された一対の
    バンクを備えるシリンダブロックと前記各バンクに取り
    付けられ且つ前記インジェクタが配設された一対のシリ
    ンダヘッドとを有するV型エンジンであり,前記コモン
    レールは前記両バンク間において前記シリンダブロック
    に取り付けられていることから成る請求項1又は2に記
    載のコモンレール式燃料噴射装置。
  4. 【請求項4】 前記コモンレールには前記エンジンのク
    ランク軸と平行に延びる貯溜部と前記貯溜部に連通する
    複数の分配通路が形成されており,前記貯溜部内の燃料
    は前記分配通路から前記燃料通路を通じて前記インジェ
    クタに供給されることから成る請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
JP10046322A 1998-02-13 1998-02-13 コモンレール式燃料噴射装置 Pending JPH11229940A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1104841A3 (en) * 1999-12-03 2002-01-23 Isuzu Motors Limited V-type diesel engine with common rail
JP2009079574A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Suzuki Motor Corp エンジンの始動時制御装置
US12110853B2 (en) * 2022-03-10 2024-10-08 Yanmar Holdings Co., Ltd. Engine

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