JPH11228417A - 神経障害治療剤 - Google Patents

神経障害治療剤

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JPH11228417A
JPH11228417A JP10025701A JP2570198A JPH11228417A JP H11228417 A JPH11228417 A JP H11228417A JP 10025701 A JP10025701 A JP 10025701A JP 2570198 A JP2570198 A JP 2570198A JP H11228417 A JPH11228417 A JP H11228417A
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昇 吉岡
Yorimasa Suwa
頼正 諏訪
Yoshihiko Washimi
芳彦 鷲見
Toshitaka Nabeshima
俊隆 鍋島
Kiyobumi Yamada
清文 山田
Tomoko Tanaka
智子 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 神経障害に起因する疾患あるいは外傷による
神経損傷に対する治療薬を提供する。 【解決手段】 下記式 で表されるプロスタグランジン類および/またはその光
学異性体を活性成分として含有する神経障害治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、神経障害治療剤に
関する。さらに詳しくは、特定構造のプロスタグランジ
ン類を活性成分として含有する神経障害治療剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】神経系においては、神経細胞が突起(軸
索あるいは樹状突起)を伸ばし、シナプスを介して、神
経細胞間でネットワークを形成したり、あるいは筋肉細
胞、皮膚細胞等と連絡することによって、初めてその機
能を果たすことが可能となる。また、このような突起を
介した細胞間の連絡によって、互いに伝達物質や栄養因
子をやりとりすることにより、細胞の生存そのものも維
持されている。
【0003】このため、神経細胞そのものは致命的な障
害を受けていない場合でも、神経突起が障害を受ける
と、神経機能は低下し、さらには神経細胞自体も死に至
る。外傷等により軸索が切断される場合だけでなく、神
経障害に起因する多くの疾患の初期や、障害を受けた部
位の周囲においても、このような神経突起の障害がまず
起こっているものと考えられる。
【0004】したがって、神経突起の障害を修復するよ
うな作用を有する薬剤は、神経障害に起因する多くの疾
患や、外傷による神経の損傷等において極めて有効であ
るものと考えられる。
【0005】神経障害に起因する疾患としては、アルツ
ハイマー型痴呆、パーキンソン病、多発性硬化症、側索
硬化症、糖尿病性末梢神経障害(ニューロパチー)など
が挙げられる。その中でも、高齢化社会を迎えて、アル
ツハイマー型痴呆患者の増加が深刻な社会問題になって
いる。
【0006】従来、アルツハイマー型痴呆の治療に用い
られてきた薬剤は、脳循環代謝賦活薬に分類されるもの
と、アセチルコリン神経系賦活薬に分類されるものに大
別できる。
【0007】脳循環代謝賦活薬は、元来、脳血管の障害
とその後の後遺症に対する薬剤であって、神経障害を直
接的に修復するものではなく、痴呆症状に対する有効性
は低い。また、アセチルコリン神経系賦活薬は、アルツ
ハイマー病患者でアセチルコリン神経系の障害が著しい
という病理的所見に基づいて開発され、アルツハイマー
型痴呆治療薬として現在唯一使用が認められているもの
であるが、実際のアルツハイマー型痴呆では、障害を受
けるのはアセチルコリン神経系のみではないことが明ら
かになっており、その効果には限界があると考えられて
いる。
【0008】このような現状から、新規薬効に基づくア
ルツハイマー型痴呆の治療薬開発が強く望まれており、
とりわけ、前述した神経突起の障害を修復するような作
用を有する薬剤は、もし実用化されればアルツハイマー
型痴呆の治療において最も高い有効性を示すであろうこ
とが期待されている。
【0009】従来、痴呆症治療薬の探索に用いられてき
た薬物評価系は、 in vitroの系としては、アセチルコ
リンエステラーゼ等の神経伝達物質分解酵素の阻害活性
測定系、脳切片を用いた神経伝達物質増加活性の測定
系、あるいは後根神経節細胞やPC12細胞等を用いた
神経突起の伸長促進あるいは神経細胞死抑制活性の測定
系が主なものであり、in vivoの系としては、スコポラ
ミンを投与したり、電気的に破壊する等の方法でアセチ
ルコリン神経系を特異的に障害するモデル、脳虚血ある
いは二酸化炭素により低酸素ストレスを与えて障害を惹
起するモデルが主なものであった。
【0010】これらの評価系の多くは、アセチルコリン
神経系賦活薬や脳循環代謝賦活薬の評価系としては合理
的なものであるが、実際の痴呆症、特にアルツハイマー
型痴呆とは病因的にも病理的にも大きな隔たりがあり、
新規の痴呆症治療薬の評価を行うのに十分なものではな
い。
【0011】神経突起の伸長促進活性を測定する系につ
いても、生体内では、突起を伸ばす側の神経細胞のみで
なく、伸びてきた突起とシナプスを介して連絡する受け
手側の細胞、神経細胞の周囲に存在するグリア細胞等が
存在し、これらの細胞から産生、放出される種々の因子
によって突起の伸長の速度や方向性が決定されると考え
られることから、従来の系は、神経細胞の突起伸長に及
ぼす化合物の活性を評価する系としては、十分なもので
はない。
【0012】アルツハイマー型痴呆患者の脳内では、皮
質内嗅野の神経細胞の脱落が、最も初期の病変として起
こっている。本願発明者らはこれに着目し、幼弱ラット
の脳から皮質内嗅野と海馬を含む部分の組織を切り出し
て、シャーレ内で培養することにより、切り出す時に切
断された内嗅野細胞の軸索を再び伸長させ、脳内に存在
するのと同様な海馬歯状回への神経投射を再生させるこ
とに成功している(European Journal of euroscience,
vol.6, pp.1026-1037)。
【0013】また、アルツハイマー型痴呆は脳内に老人
班が形成されることが大きな特徴であり、この老人班の
主成分であるβ蛋白が、脳内で凝集してアミロイドを形
成し、脳組織に沈着するのに伴って、神経毒性を発揮す
ることが、アルツハイマー型痴呆の主たる原因であると
考えられる証拠が蓄積してきている。本願発明者らはこ
の点に着目し、浸透圧ポンプをラットの背部皮下に埋め
込んで、β蛋白を脳室内に持続投与することにより、学
習記憶能が低下するモデルを作成することに成功してい
る(Neuroscience Letters, vol.170, pp.63-66, 199
4)。本モデルでは、脳室周囲にβ蛋白が沈着している
ことは確認されるが、明確な神経細胞死は観察されない
ことから、学習記憶能の低下は神経突起の障害に起因す
るものである可能性が高い。
【0014】上記の、脳組織培養を用いた神経軸索伸長
再生系、およびβ蛋白脳室内持続注入モデルは、病理的
および病因的な観点からヒトのアルツハイマー型痴呆治
療薬の評価系として極めて合理的なものである。また、
それと同時に、神経障害に起因する疾患全般あるいは外
傷による神経損傷の治療薬の活性を評価するのにも適し
た系でもある。
【0015】一方、プロスタグランジン類は、従来よ
り、血小板凝集抑制、血管拡張性血圧降下、胃酸分泌抑
制、平滑筋収縮、細胞保護、利尿等の多彩な活性を有す
ることが明らかになっており、天然のプロスタグランジ
ン類および、化学的あるいは生物学的安定性を付与した
その誘導体は、特に、産婦人科領域、消化器領域、循環
器領域、および眼科領域において医薬品としての開発も
行われてきた。
【0016】脳および神経領域に関しては、これまで医
薬品として開発された例はないが、特定のプロスタグラ
ンジン類が、脳の神経細胞保護作用を示すことが報告さ
れている(Neuroscience Letters, vol.160, pp.106, 1
993、および特開平8-245498号公報)。
【0017】しかしながら、プロスタグランジン類が神
経突起の障害を修復する作用を有すること、およびアル
ツハイマー型痴呆治療薬としての可能性を有すること
は、これまで知られていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、神経障害に起因する疾患、あるいは外傷に
よる神経損傷に対する治療薬を提供することにある。神
経障害に起因する疾患としては、アルツハイマー型痴
呆、パーキンソン病、多発性硬化症、側索硬化症、糖尿
病性末梢神経障害(ニューロパチー)などの痴呆、ある
いは運動不全を伴う神経変性疾患、および脳梗塞や脳卒
中による脳機能障害があげられる。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、このよ
うな課題のもとに鋭意研究を重ねた結果、脳組織培養系
を用いた神経軸索伸延促進度の測定方法を新規に作成
し、該測定方法およびβ蛋白脳室内持続注入によるアル
ツハイマー型痴呆動物モデルを評価系として用いること
により、特定構造のプロスタグランジン類が上記課題を
解決し得ることを知見して本発明を完成するに至った。
【0020】すなわち、本発明は下記式[I]、
【0021】
【化6】
【0022】[式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキ
ル基、または1当量のカチオンを表し;R2は水素原
子、メチル基、またはビニル基を表し;R3は直鎖もし
くは分岐鎖C3〜C10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖
3〜C10アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10
アルキニル基、置換されていてもよいC3〜C10シクロ
アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換さ
れていてもよいフェノキシ基、または(置換されていて
もよいフェニル基、もしくは置換されていてもよいフェ
ノキシ基、もしくは置換されていてもよいC3〜C10
クロアルキル基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖
1〜C6アルキル基を表し;nは0または1を表し;A
は−CH2−CH2−、−CH=CH−、または−O−C
2−を表し;Xは−CH2−CH2−、−CH(NH2
−CH2−、−CH=CH−、−C(NH2)=CH−、
または−C≡C−を表し;結合
【0023】
【化7】
【0024】を表す。ここで、Aおよび/またはXが左
右非対称な基である場合の結合の方向性は左右いずれで
あってもよく、AとXの方向性は独立であり、すべての
組み合わせを含む。]で表されるプロスタグランジン類
および/またはその光学異性体を活性成分として含有す
る神経障害治療剤である。
【0025】また、本発明は、下記式[III]、
【0026】
【化8】
【0027】[式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキ
ル基、または1当量のカチオンを表し;R2は水素原
子、メチル基、またはビニル基を表し;R3は直鎖もし
くは分岐鎖C3〜C10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖
3〜C10アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10
アルキニル基、置換されていてもよいC3〜C10シクロ
アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換さ
れていてもよいフェノキシ基、または(置換されていて
もよいフェニル基、もしくは置換されていてもよいフェ
ノキシ基、もしくは置換されていてもよいC3〜C10
クロアルキル基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖
1〜C6アルキル基を表し;nは0または1を表し;A
は−CH2−CH2−または−CH=CH−を表し;Xは
−CH2−CH2−、−CH(NH2)−CH2−、−CH
=CH−、−C(NH2)=CH−、または−C≡C−
を表す。ここで、Xが左右非対称な基である場合の結合
の方向性は左右いずれであってもよい。]で表されるプ
ロスタグランジン類および/またはその光学異性体を活
性成分として含有する神経障害治療剤である。
【0028】さらに、本発明は、下記式[IV]
【0029】
【化9】
【0030】[式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキ
ル基、または1当量のカチオンを表し;R2は水素原
子、メチル基、またはビニル基を表し;R3は直鎖もし
くは分岐鎖C3〜C10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖
3〜C10アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10
アルキニル基、置換されていてもよいC3〜C10シクロ
アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換さ
れていてもよいフェノキシ基、または(置換されていて
もよいフェニル基、もしくは置換されていてもよいフェ
ノキシ基、もしくは置換されていてもよいC3〜C10
クロアルキル基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖
1〜C6アルキル基を表し;nは0または1を表し;A
は−CH2−CH2−、−CH=CH−、または−O−C
2−を表し;Xは−CH2−CH2−、−CH(NH2
−CH2−、−CH=CH−、−C(NH2)=CH−、
または−C≡C−を表す。ここで、Aおよび/またはX
が左右非対称な基である場合の結合の方向性は左右いず
れであってもよく、AとXの方向性は独立であり、すべ
ての組み合わせを含む。]で表されるプロスタグランジ
ン類および/またはその光学異性体を活性成分として含
有する神経障害治療剤である。
【0031】
【発明の実施の形態】上記式[I]、上記式[III]、
および上記式[IV]中、R1は水素原子、C1〜C10アル
キル基、または1当量のカチオンを表す。
【0032】かかるC1〜C10アルキル基としては、例
えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピ
ル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オク
チル、n−ノニル、n−デシル基を挙げることができる
が、特にC1〜C3アルキル基が好ましく、なかでもメチ
ル基が好ましい。
【0033】また、1当量のカチオンとしては、例えば
ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビシ゛ウム、セシウ
ム、1/2カルシウム、1/2マグネシウム、1/3ア
ルミニウムが好ましく、なかでもリチウムやナトリウム
が好ましい。
【0034】上記式[I]、上記式[III]、および上
記式[IV]中、R2は水素原子、メチル基、またはビニ
ル基を表す。特に、n=0の場合は水素原子が、n=1
の場合はメチル基が好ましい。
【0035】上記式[I]、上記式[III]、および上
記式[IV]中、R3は直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アル
キル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルケニル基、
直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルキニル基、置換され
ていてもよいC3〜C10シクロアルキル基、置換されて
いてもよいフェニル基、置換されていてもよいフェノキ
シ基、または(置換されていてもよいフェニル基、もし
くは置換されていてもよいフェノキシ基、もしくは置換
されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基)で置換
されている直鎖もしくは分岐鎖C1〜C6アルキル基を表
す。
【0036】かかる直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アル
キル基としては、例えばn−プロピル、n−ブチル、n
−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチ
ル、n−デシル、1−メチルペンチル、1−メチルヘキ
シル、1,1−ジメチルペンチル、2−メチルペンチ
ル、2−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,5
−ジメチルヘキシル基が挙げられ、なかでもn−ブチ
ル、n−ペンチル、n−ヘキシル、(R)−もしくは
(S)−もしくは(RS)−1−メチルペンチル、
(R)−もしくは(S)−もしくは(RS)−2−メチ
ルヘキシル基が好ましい。特にC3〜C6のアルキル基が
好ましく、なかでもブチル基やペンチル基が好ましい。
【0037】直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルケニル
基の例としては、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−
ペンテニル、2−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メ
チル−4−ヘキセニル、2,6−ジメチル−5−ヘプテ
ニル基等が挙げられる。
【0038】直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルキニル
基としては、例えば2−ブチニル、2−ペンチニル、3
−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−
ヘキシニル、2−オクチニル、5−デシニル、1−メチ
ル−3−ペンチニル、1−メチル−3−ヘキシニル、2
−メチル−4−ヘキシニル基が挙げられる。特にC5
7のアルキニル基が好ましく、なかでも3−ペンチニ
ル、1−メチル−3−ペンチニル、3−ヘキシニル、1
−メチル−3−ヘキシニル基が好ましい。
【0039】置換されていてもよいC3〜C10シクロア
ルキル基のシクロアルキル基部分としては、例えばシク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基が挙げら
れ、その置換基部分としては、例えばC1〜C6アルキル
基、ハロゲン原子を挙げることができる。かかる置換基
は複数個存在していてもよい。
【0040】置換されていてもよいC3〜C10シクロア
ルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、シクロオクチル、(C1〜C6)アルキルシクロペン
チル、(C1〜C4)アルキルシクロヘキシル、ジメチル
シクロペンチル、ジメチルシクロヘキシル、クロロシク
ロペンチル、ブロモシクロヘキシル、ヨードシクロペン
チル、フルオロシクロヘキシル基が挙げられる。特にC
5〜C6のシクロアルキル基が好ましく、なかでもシクロ
ペンチル基やシクロヘキシル基が好ましい。
【0041】置換されていてもよいフェニル基、置換さ
れていてもよいフェノキシ基の置換基としては、例えば
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C2〜C7アシルオキシ
基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アル
キル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4
アルコキシ基、ニトリル基、カルボキシル基、または
(C1〜C6)アルコキシカルボニル基が挙げられる。か
かるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、または臭素
原子が好ましく、特にフッ素または塩素原子が好まし
い。また、C2〜C7アシルオキシ基としては、例えばア
セトキシ、プロピオニルオキシ、n−ブチリルオキシ、
iso−ブチリルオキシ、n−バレリルオキシ、iso
−バレリルオキシ、カプロイルオキシ、エナンチルオキ
シ、またはベンゾイルオキシ基を挙げることができる。
さらに、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、
iso−プロピル、n−ブチル、クロロメチル、ジクロ
ロメチル、トリフルオロメチル基を好ましいものとして
挙げることができる。また、ハロゲン原子で置換されて
いてもよいC1〜C4アルコキシ基としては、例えばメト
キシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキ
シ、n−ブトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキ
シ、トリフルオロメトキシ基を好ましいものとして挙げ
ることができる。また、(C1〜C6)アルコキシカルボ
ニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカル
ボニル基を挙げることができる。
【0042】置換フェニル基または置換フェノキシ基
は、上記した置換基を1〜3個、好ましくは1個持つこ
とができる。
【0043】(置換されていてもよいフェニル基、置換
されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよい
3〜C10シクロアルキル基)で置換されている直鎖も
しくは分岐鎖C1〜C6アルキル基のうちで、置換されて
いてもよいフェニル基、置換されていてもよいフェノキ
シ基としては前記のものをそのまま好適に挙げることが
できる。
【0044】また、C3〜C10シクロアルキル基として
も前記のものをそのまま好適に挙げることができる。そ
してその置換基も、上記した置換フェニルや置換フェノ
キシ基の置換基と同様のものが挙げられる。また、直鎖
もしくは分岐鎖C1〜C6アルキル基としては、メチル、
エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso
−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル基、
ヘキシル基などを挙げることができ、置換基はその任意
の位置に結合していてもよい。
【0045】上記式[I]で表されるプロスタグランジ
ン類および/またはその光学異性体のなかでも、下記式
[II]
【0046】
【化10】
【0047】[式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキ
ル基、または1当量のカチオンを表し;R2は水素原
子、メチル基またはビニル基を表し;R3は直鎖もしく
は分岐鎖C3〜C10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C3
〜C10アルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10
ルキニル基、置換されていてもよいC3〜C10シクロア
ルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換され
ていてもよいフェノキシ基、または(置換されていても
よいフェニル基、もしくは置換されていてもよいフェノ
キシ基、もしくは置換されていてもよいC3〜C10シク
ロアルキル基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖C
1〜C6アルキル基を表し;nは0または1を表す。]で
表されるプロスタグランジン類および/またはその光学
異性体が好ましい。
【0048】上記式[I]および上記式[IV]中、Aが
−O−CH2−を表す場合には、メチレン基側がカルボ
キシル基に結合したものが好ましい。また、上記式
[I]、上記式[III]、および上記式[IV]中、Xが
−CH(NH2)−CH2−または−C(NH2)=CH
−を表す場合、アミノ基が結合した炭素原子が環に結合
したものが好ましい。
【0049】本発明で活性成分として用いられるプロス
タグランジン類を具体的に挙げると、以下のようにな
る。 (1) 9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグラン
ジンI1(イソカルバサイクリン) (2) 20−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 (3) 16−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 (4) 16,16−ジメチル−9(O)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1 (5) 17−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 (6) 17,20−ジメチル−9(O)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1 (7) (6)の(17R)−体 (8) (6)の(17S)−体 (9) 15−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 (10) 17,18−デヒドロ−9(O)−メタノ−
Δ6(9α)−プロスタグランジンI1 (11) 20−イソプロピリデン−17−メチル−9
(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグランジンI1 (12) 18,18,19,19−テトラデヒドロ−
16−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタ
グランジンI1 (13) 18,18,19,19−テトラデヒドロ−
16−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタ
グランジンI1 (14) (3),(12),(13)の(16S)−
体 (15) (3),(12),(13)の(16R)−
体 (16) 16,17,18,19,20−ペンタノル
−15−シクロペンチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
−プロスタグランジンI1 (17) 16,17,18,19,20−ペンタノル
−15−シクロヘキシル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
−プロスタグランジンI1 (18) 17,18,19,20−テトラノル−16
−(p−フルオロフェノキシ)−9(O)−メタノ−Δ
6(9α)−プロスタグランジンI1 (19) 17,18,19,20−テトラノル−16
−シクロヘキシル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロ
スタグランジンI1 (20) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−9
(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグランジンI1 (21) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−
メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグラン
ジンI1 (22) (20),(21)の(16S)−体 (23) (20),(21)の(16R)−体 (24) (1)〜(23)のメチルエステル (25) (1)〜(23)のエチルエステル (26) (1)〜(23)のブチルエステル (27) (1)〜(23)のナトリウム塩 (28) (1)〜(23)のカリウム塩 (29) (1)〜(23)のアンモニウム塩 (30) (1)〜(29)の化合物の8位、9位、1
1位、12位、15位についての立体異性体 (31) 17,18,19,20−テトラノル−16
−(m−トリル)−9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロ
スタグランジンI (32) 17,18,19,20−テトラノル−16
−(o−トリル)−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 (33) 17,18,19,20−テトラノル−16
−(p−トリル)−9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロ
スタグランジンI1 (34) (31)〜(33)の(15S)−体 (35) (31)〜(33)の(15R)−体 (36) (31)〜(35)のメチルエステル (37) (31)〜(35)のエチルエステル (38) (31)〜(35)のブチルエステル (39) (31)〜(35)のナトリウム塩 (40) (31)〜(35)のカリウム塩 (41) (31)〜(35)のアンモニウム塩 (42) (5E)−(16RS)−16−メチル−9
(O)−メタノ−プロスタグランジンI2 (43) (5E)−(16S)−16,20−ジメチ
ル−3−オキサ−13,14,18,18,19,19
−ヘキサデヒドロ−9(O)−メタノ−プロスタグラン
ジンI2 (44) (5E)−(16R)−16,20−ジメチ
ル−3−オキサ−13,14,18,18,19,19
−ヘキサデヒドロ−9(O)−メタノ−プロスタグラン
ジンI2 (45) (5E)−(16RS)−16,20−ジメ
チル−3−オキサ−13,14,18,18,19,1
9−ヘキサデヒドロ−9(O)−メタノ−プロスタグラ
ンジンI2 (46) (5E)−(16S)−16,20−ジメチ
ル−3−オキサ−13,14,18,18,19,19
−ヘキサデヒドロ−9(O)−メタノ−プロスタグラン
ジンI2−トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタ
ン塩
【0050】さらに、次のプロスタグランジン類を用い
ることもできる。 (47) 16−メチル−18,18,19,19−テ
トラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インタ
ー−m−フェニレン−プロスタグランジンI2 (48) 16−メチル−18,18,19,19−テ
トラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インタ
ー−m−フェニレン−プロスタグランジンI2−メチル
エステル (49) 18,18,19,19−テトラデヒドロ−
5,6,7−トリノル−4,8−インター−m−フェニ
レン−プロスタグランジンI2 (50) 18,18,19,19−テトラデヒドロ−
5,6,7−トリノル−4,8−インター−m−フェニ
レン−プロスタグランジンI2−メチルエステル (51) 20−メチル−18,18,19,19−テ
トラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インタ
ー−m−フェニレン−プロスタグランジンI2 (52) 20−メチル−18,18,19,19−テ
トラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インタ
ー−m−フェニレン−プロスタグランジンI2−メチル
エステル (53) 16,20−ジメチル−18,18,19,
19−テトラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8
−インター−m−フェニレン−プロスタグランジンI2 (54) 16,20−ジメチル−18,18,19,
19−テトラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8
−インター−m−フェニレン−プロスタグランジンI2
−メチルエステル (55) 20−エチル−16−メチル−18,18,
19,19−テトラデヒドロ−5,6,7−トリノル−
4,8−インター−m−フェニレン−プロスタグランジ
ンI2 (56) 20−エチル−16−メチル−18,18,
19,19−テトラデヒドロ−5,6,7−トリノル−
4,8−インター−m−フェニレン−プロスタグランジ
ンI2−メチルエステル (57) 16−メチル−2,3,18,18,19,
19−ヘキサデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8
−インター−m−フェニレン−プロスタグランジンI2 (58) 16−メチル−2,3,18,18,19,
19−ヘキサデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8
−インター−m−フェニレン−プロスタグランジンI2
−メチルエステル (59) 2,3,18,18,19,19−ヘキサデ
ヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インター−m
−フェニレン−プロスタグランジンI2 (60) 16−メチル−13,14,18,18,1
9,19−ヘキサデヒドロ−5,6,7−トリノル−
4,8−インター−m−フェニレン−プロスタグランジ
ンI2 (61) 16−メチル−13,14,18,18,1
9,19−ヘキサデヒドロ−5,6,7−トリノル−
4,8−インター−m−フェニレン−プロスタグランジ
ンI2−メチルエステル (62) 20−メチル−19,19,20,20−テ
トラデヒドロ−5,6,7−トリノル−4,8−インタ
ー−m−フェニレン−プロスタグランジンI2 (63) 17,17,18,18−テトラデヒドロ−
5,6,7−トリノル−4,8−インター−m−フェニ
レン−プロスタグランジンI2 (64) 7−オキソ−プロスタグランジンI2 (65) (64)と[R−(R*,S*)]−α−[1
−(メチルアミノ)エチル]ベンゼンメタノールの混合
物(1:1) また、本発明においては、上に列挙した化合物の光学異
性体、あるいは上記化合物とその光学異性体との任意の
割合の混合物を用いることもできる。
【0051】次に、本発明において本願発明者らが新規
に作成した神経軸索伸長促進活性の評価方法について説
明する。この方法は、脳あるいは神経組織片を培養した
ときの神経軸索の伸長促進を指標とする生理活性評価法
であって、生後哺乳類の脳あるいは神経組織を材料とし
て用い、培地の存在する部分と組織片の存在する部分を
空間的に分け、しかも組織片への培地の浸透を許すよう
な支持体の上表面で培養し、かかる支持体が神経軸索の
伸長を許容させる領域であり、観察の対象となる領域で
もあることを特徴とする生理活性評価方法である。
【0052】ここで、「脳あるいは神経組織片」とは生
きた動物から摘出した脳および神経系の一部であって、
神経軸索を伸ばし得る神経細胞を含んだものを意味す
る。その大きさは、最大径2cm以下、厚さ0.5mm
以下のスライス状のものがよく、好ましくは最大径は2
mm以下がよい。
【0053】本評価方法は、培養中に存在する神経細胞
の細胞体から伸びている軸索の長さそのもの、あるいは
それを反映するパラメターを計測するものである。その
計測の方法は、脳あるいは神経組織片に含まれる構造の
うち、特に軸索を可視化することによる。このために
は、顕微鏡などを含む光学・画像装置を用いた方法、あ
るいは培養組織片に組織染色を施したうえでの光学・画
像装置を用いた方法を用いることができる。
【0054】ここで、組織染色の方法としては、 biocytin、 biotin dextran、 PHA-L(Phaseolus vulgaris-leucoagglutinin)、 DiI(1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarb
ocyanine perchlorate) などの軸索にそって輸送される標識用の化合物を使った
方法、あるいは抗ニューロフィラメント抗体などの抗体
を用いた方法を挙げることができる。
【0055】また、「哺乳類」とは実験動物一般を指す
が、げっ歯類、特にラットを用いるのがよい。そして、
「生後の哺乳類」は生後7日齢またはそれ以降の動物が
よい。
【0056】さらに、「支持体」とは、培養用の液体培
地と培養する組織片とを空間的に隔離し、しかも培地に
含まれる有効成分が組織片に浸透するようにデザインさ
れたものをいう。例えば、適当な厚さのゲル状のコラー
ゲン層があげられる。そして、かかるコラーゲン層は、
ポリカーボネート製のメンブレンフィルターのような、
コラーゲン層を物理的に支持することができる、適当な
大きさの穴の開いた膜の上に付着させるとよい。つま
り、コラーゲン層を付着させた膜の下面を培地に浸け、
ゲル状コラーゲン層の上表面に組織片を置いて培養する
ことになる。
【0057】本評価系は、内嗅野の細胞を含む組織片
と、海馬の細胞を含む組織片とを組み合わせた共培養を
行うことにより構成される。両組織片の間の距離は0.
1mm以上1mm以下がよい。この場合の組織片の調製
方法も、脳をいったんスライスにしてから必要部分を切
り抜く方法がよい。
【0058】前述の脳あるいは神経組織片の培養は、無
血清条件下で行われる。このような培地としては、DM
EM:F12(1:1)培地からグルタミン酸、アスパ
ラギン酸を減少させたもの、または除いたもので、トラ
ンスフェリン、インスリン、ハイドロコーチゾン、セレ
ン化ナトリウム、プロゲステロン、グルタミンが添加さ
れたものがよい。その場合の濃度はグルタミン酸以下各
々、7mg/L未満、6.5mg/L未満、10−20
0mg/L 、1−20mg/L、2−100nM、2
−100nM、2−100nM、1−20mMがよい。
【0059】本発明の神経障害治療剤の適用対象につい
ては、特に限定はない。本発明の薬剤は、特に哺乳類に
対して有用であり、なかでも家畜、実験動物、愛玩動
物、ヒトに対して好適に用いられる。
【0060】本発明の神経障害治療剤は、動物あるいは
人間の疾患の治療に用いることができる。対象疾患は特
に限定されず、神経障害に起因するものであればよい。
例えば、脳あるいは神経系の変性性疾患、具体的には、
アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、側
索硬化症、糖尿病性末梢神経障害(ニューロパシー)な
どの、痴呆あるいは運動不全を伴う脳あるいは神経系の
変性性疾患、あるいは脳梗塞・脳卒中による脳機能障害
であり、また外傷による神経損傷にも用いることができ
る。
【0061】投与方法は特には限定されないが、好まし
くは経口投与、経皮投与、経鼻投与、静脈内注射、腹腔
内投与、直腸内投与あるいは脳室内投与が挙げられる。
【0062】本発明に係るプロスタグランジン類、また
はその塩、または包接化合物を臨床に適応するに際して
は、有効成分としてのプロスタグランジン類を固体また
は液体等の薬学的に許容される担体とからなる医薬組成
物とし、さらに必要に応じて希釈剤、すなわち賦形剤、
安定剤等の添加剤を加えて製剤とすることが好ましい。
治療的投与に使用すべき本発明のプロスタグランジン類
の注射投与製剤は、通常滅菌状態でなければならない。
滅菌性は孔径0.2μmのメンブレンフィルターなどの
滅菌濾過膜を通して濾過することによって容易に達成さ
れる。
【0063】かかる医薬組成物において上記有効成分の
担体成分に対する割合は、例えば0.01〜90%W/
Wの間で変動させることができる。治療的有効投与量
は、投与方法、年令、対象疾患などにもよるが、0.0
1μg〜1000mg/日/人が可能で、好ましくは
0.01μg〜10mg/日/人である。個々の投与経
路について、薬学でよく知られている方法によって各化
合物について個別に体内への吸収効率を決定するのが望
ましい。
【0064】剤形及び投与形態としては、顆粒剤、細粒
剤、散剤、丸剤、錠剤、カプセル剤もしくは液剤等の剤
形にして経口投与してもよいし、または、座剤、エアゾ
ル剤、あるいは軟膏及び皮膚パッチなどの局部製剤など
にして非経口投与してもよい。注射剤として静脈内投
与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与してもよい。ま
た注射用の粉末にして用時調製してもよい。さらに、経
鼻投与、腹腔内投与、直腸内投与あるいは脳室内投与と
することもできる。
【0065】経口、経腸もしくは非経口投与に適した医
薬用の有機または無機の、固体または液体の担体もしく
は希釈剤を、本発明に係るプロスタグランジン類を医薬
製剤として調製するために用いることができる。
【0066】錠剤、カプセル剤などに組み込み得る代表
的な担体もしくは希釈剤は、アカシア、トウモロコシ澱
粉またはゼラチンなどの結合剤、微結晶性セルロースな
どの賦形剤、トウモロコシ澱粉やアルギン酸などの崩壊
剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、蔗糖や乳
糖などの甘味料を挙げることができる。剤形がカプセル
である場合には、上記の物質に加えて脂肪油などの液体
担体を含有してもよい。様々な種類の他の物質を被覆剤
として、あるいは投与単位の物理形状の改良剤として使
用することができる。注射用の滅菌組成物は従来の医薬
的方法に従って製剤化することができる。例えば水や天
然の植物油などの賦形剤やオレイン酸エチルなどの合成
脂肪賦形剤に活性化合物を溶解または懸濁することが好
ましい。クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩などの緩衝剤、
アスコルビン酸などの抗酸化剤を許容されている医薬的
方法に従って組み込むこともできる。
【0067】錠剤の形態にするには、例えば乳糖、デン
プン、結晶セルロースなどの賦形剤;カルボキシメチル
セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン
などの結合剤;アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの崩壊剤等を用いて
通常の方法により成形することができる。
【0068】丸剤、散剤、顆粒剤も同様に、上記の賦形
剤等を用いて通常の方法によって成形することができ
る。液剤、懸濁剤は、例えばトリカプリリン、トリアセ
チンなどのグリセリンエステル類、エタノール等のアル
コール類などを用いて通常の方法によって成形される。
カプセル剤は顆粒剤、散剤あるいは液剤などをゼラチン
などのカプセルに充填することによって成形される。
【0069】経口投与の製剤として、本発明に係るプロ
スタグランジン類は、シクロデキストリン包接化合物に
変換することもできる。包接化合物はシクロデキストリ
ンを水および/または水と混合しやすい有機溶媒に溶解
した溶解液を、プロスタグランジン類を水と混合しやす
い有機溶媒に溶解した溶解液に加えることにより調製さ
れる。混合物を熱した後、減圧濃縮か、あるいは冷却下
でのフィルター濾過あるいはデカンテーションにより生
成物を分離することにより、目的のシクロデキストリン
包接化合物が単離される。有機溶媒と水の比率は出発物
と生成物の溶解性によって変化する。シクロデキストリ
ン包接化合物調製中の温度は70℃を超えないことが望
ましい。α、βあるいはγ−シクロデキストリンあるい
はそれらの混合物のいずれも、シクロデキストリン包接
化合物の調製に用いることができる。プロスタグランジ
ン類は、シクロデキストリン包接化合物へ変換すること
により安定性を上昇させることができる。
【0070】皮下、筋肉内、静脈内投与の剤型として
は、水性あるいは非水性溶液剤などの形態にある注射剤
がある。水性溶液剤は例えば生理食塩水などが用いられ
る。非水性溶液剤は、例えばプロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、オリーブ油、オレイン酸エチル
などが用いられ、これらに必要に応じて防腐剤、安定剤
などが添加される。注射剤はバクテリア保留フィルター
を通す濾過、殺菌剤の配合等の処置を適宜行うことによ
って無菌化される。
【0071】経皮投与の剤型としては、例えば軟膏剤、
クリーム剤などが挙げられ、軟膏剤はヒマシ油、オリー
ブ油などの油脂類;ワセリン等を用いて、クリーム剤は
脂肪油;ジエチレングリコール、ソルビタンモノ脂肪酸
エステルなどの乳化剤等を用いて通常の方法によって成
形される。
【0072】直腸投与のためには、ゼラチンソフトカプ
セルなどの通常の座剤が用いられる。
【0073】非経口投与の製剤は、乳濁剤として投与す
ることもできる。すなわち、大豆油等の植物油と、レシ
チン等のリン脂質と、本発明に係るイソカルバサイクリ
ン類との均一溶液に水を加え、例えば加圧噴射ホモジナ
イザー、超音波ホモジナイザーなどのホモジナイザーに
より均質化を行った脂肪乳剤なども注射剤として使用で
きる。
【0074】
【実施例】[参考例1]神経軸索伸長促進活性の評価方法(1) 生後7日齢のSDラット脳を水平断にて切り、内嗅野と
海馬とを共に含む平面を得る。(以下、「水平断スライ
ス」という。図1参照)。このようにして作製した32
5μmの厚さの水平断スライスから、内嗅野部分のスラ
イス断片および海馬歯状回部分のスライス断片を調製す
る。この海馬歯状回スライスと内嗅野スライスを両スラ
イス間の距離が500μm程度になるようにして、ゲル
状コラーゲン層上で、5%FCS入り培地を用いて培養
する。コラーゲン層は、市販の支持枠にはられた細かい
穴の開いたポリエチレンテレフタレート製の膜の上にコ
ラーゲンゲルをコートすることにより作製する(図2参
照)。
【0075】培養を開始して24時間後に、被験物質を
含む無血清培地に交換し、さらに1日間あるいは4日間
培養する。その後、biocytinの結晶粉末を内嗅野スライ
スの上に乗せ、さらに1日間培養を行う(このような培
養を行うことにより、スライス中の神経細胞の軸索がコ
ラーゲン層内に伸延してくる。また、添加したbiocytin
は内嗅野の神経細胞に取り込まれ、軸索内を順行輸送さ
れて、軸索全体に存在するようになる)。
【0076】培養後のスライスをパラホルムアルデヒド
で固定し、標識したavidinを用いて軸索(biocytinの存
在する部分)を染色する。
【0077】染色された標本の写真を撮り、写真の上で
内嗅野スライスからコラーゲン層に出た軸索の占有する
領域の輪郭を描き、その描かれた輪郭に囲まれた部分の
面積を算出することにより、軸索の伸長度を測定する。
【0078】[参考例2]神経軸索伸長促進活性の評価方法(2) スライスの作成、培養および培養後の染色は参考例1と
同様にして行う。染色された標本の写真を撮り、コラー
ゲン層中の、内嗅野スライスから一定の距離(200μ
m)にある一定の長さ(750μm)の線分を通過する
軸索の本数を数えることにより、軸索の伸長度を測定す
る。
【0079】[参考例3]モーリス水迷路を用いた短期作業記憶の測定方法 Morrisの方法(Journal of Neuroscience Methods, Vo
l.11, pp.47-60, 1984)に準じて行う。透明アクリル製
のプラットホーム(直径10cm、高さ25cm)とプ
ラットホームが水に隠れるように27cmの高さまで水
を張った青色塩化ビニール製の円形のプール(直径14
0cm、高さ45cm)を用いる。プールを4つの象限
に分割し、そのうちの第4象限中央(プール中央より3
5cm)にプラットホームを設置し、またプールの周囲
には空間的な手がかりとして電球や画用紙を設置する。
記憶獲得試行として、ラットの頭をプールの壁に向けて
第1、2、3象限の3つの象限のそれぞれの中央、およ
び第1と第2象限、第2と第3象限の境界の5地点から
不規則にラットをプール内に入れる。プラットホームに
たどり着いてから15秒間滞在した場合は、プラットホ
ームを認識しているとし、15秒以内に再び泳ぎだした
場合には認識していないとして測定を継続する。1試行
あたりの最大観察時間は90秒とし、1日2試行行い、
連続5日間(計10試行)行う。
【0080】その翌日からの3日間で作業記憶試験を行
い、プール上に設置したビデオカメラを用いて、ラット
を水中に投入してからプラットホームに到達するまでの
時間(escape latency)を測定する。作業記憶試験の第1
日目は、プラットホームの位置を学習訓練時の場所から
左に180度移動する (第2象限)。記憶獲得試行と同
様に、ラットの頭をプールの壁に向けてプール内に入
れ、escape latencyを測定する。プラットホームにたど
り着いてから15秒間滞在した場合、ラットをホームケ
ージに戻す(1st trial)。1分後、再びラットをプール
内に入れ、escape latencyを測定し、プラットホームに
15秒間滞在させた後ホームケージに戻す。これを4回
繰り返す (2nd -5th trials)。ラットの投入地点は第
1、3、4象限の3つの象限のそれぞれの中央、および
第1と第4象限、第3と第4象限の境界の5地点とす
る。作業記憶試験2日目には学習訓練時の位置から90
度 (第1象限)、3日目には270度 (第3象限)プ
ラットホームを移動させて同様に測定する。なお各試行
の最大観測時間は90秒とする。1日5試行で合計3日
間(合計15試行)行い、2から5試行の平均 escape la
tencyを作業記憶の指標とする。
【0081】[参考例4]β蛋白脳室内持続注入によるアルツハイマー型痴呆動物
モデルの作成 7週齢の Wistar系雄ラット (体重220−250g)を
使用する(N=5−10)。β−アミロイド蛋白(1−
40)は、35%アセトニトリル/0.1%TFAに溶
解し、300pmol/dayとなるようにミニ浸透圧ポ
ンプ (volume 230μl, 0.5μl/hour)に注入
し、ポリエチレンチューブを介して歯科用注射針とつな
ぐ。コントロール群には、β−アミロイド蛋白(40−
1)を注入したポンプをつなぐ。ラットを pentobarbit
al(50mg/kg,i.p.)により麻酔した後、頭
皮を切開し、脳図譜にしたがってマイクロドリルで頭蓋
骨に穴を開け、針の先端が側脳室(A =−0.3m
m,L=1.2mm,H=4.5mm)内になるように
注射針を挿入し、歯科用セメントで固定する。浸透圧ポ
ンプは、背部皮下に埋め込む。
【0082】ミニ浸透圧ポンプの埋め込み手術の9日後
から、水迷路試験を参考例1に示した方法で行い、β−
アミロイド蛋白(1−40)投与群では、作業記憶試験
のescape latencyが、コントロール群に比べて有意に増
加していることを確認する。
【0083】[実施例1]神経軸索伸長促進活性の評価(1) 披験化合物:(16S)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 参考例1の評価方法で、神経軸索伸長促進活性を測定し
た。実験1、2および3では被験物質を添加して1日間
培養後にbiocytinを添加し、実験4では被験物質を添加
して4日間培養後にbiocytinを添加した。結果を以下に
示す。
【0084】 <実験1> 平均値±標準誤差(単位:平方ミリメートル) 被験化合物無添加 0.37±0.25(n=6) 被験化合物0.01μM 1.47±0.60(n=5) <実験2> 平均値±標準誤差(単位:平方ミリメートル) 被験化合物無添加 0.81±0.11(n=9) 被験化合物0.01μM 1.24±0.16(n=9) <実験3> 平均値±標準誤差(単位:平方ミリメートル) 被験化合物無添加 1.07±0.14(n=9) 被験化合物0.01μM 1.56±0.17(n=9) <実験4> 平均値±標準誤差(単位:規格化された面積) 被験化合物無添加 1.00±0.13(n=5) 被験化合物0.01μM 1.31±0.15(n=6) いずれの実験においても軸索伸長促進作用が検出され
(実験1、2は、有意水準:p<0.05)、本化合物
が軸索伸長促進作用を有することが明らかになった。
【0085】[実施例2]神経軸索伸長促進活性の評価(2) 披験化合物:(16S)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 参考例2の評価方法を用いた(標本は実施例1の実験2
と同じものである)。結果を以下に示す。 平均値±標準誤差(単位:本) 被験化合物無添加 40.3±5.5 被験化合物0.01μM 87.2±9.4 この測定方法においても被験物質の軸索伸長促進作用が
検出された(有意水準:p<0.05)。
【0086】本例に用いた参考例2の軸索伸長測定方法
は、参考例1の測定方法に比べ、より正確に軸索伸長度
を測定する方法である。したがって、本例の結果は、本
化合物が軸索伸長促進作用を有することを、より確実に
示すものである。
【0087】[実施例3]神経軸索伸長促進活性の評価(3) 被験化合物:9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグ
ランジンI1(イソカルバサイクリン) 参考例1と同様の評価方法を用いた。ただし、海馬歯状
回スライスと内嗅野スライスとの最接近距離を1mmに
し、また、被験物質を添加して培養4日目に、化合物の
濃度は同じにして、培地交換をもう一度行い、全体で7
日間の培養を行った。
【0088】結果を以下に示す。コラーゲン層上に伸長
している神経軸索が占有する面積比を、コントロール
(1.16mm2)を1として算出した。 平均値±標準誤差(単位:規格化された面積) 被験化合物無添加 1.00±0.36(n=5) 被験化合物添加0.1μM 3.69±0.29(n=5) 本化合物が軸索伸長促進作用を有することが明らかにな
った(有意水準:p<0.05)。
【0089】[実施例4]神経軸索伸長促進活性の評価(4) 被験化合物:9(O)−メタノ−Δ6(9α)−プロスタグ
ランジンI1(イソカルバサイクリン)のメチルエステ
ル体。 実施例3と全く同じ方法で実験を行った。結果を以下に
示す。コラーゲン層上に伸長している神経軸索が占有す
る面積比を、コントロール(1.16mm2)を1とし
て算出した。 平均値±標準誤差(単位:規格化された面積) 被験化合物無添加 1.00±0.36(n=5) 被験化合物添加0.1μM 3.97±1.21(n=5) 本化合物が軸索伸長促進作用を有することが明らかにな
った(有意水準:p<0.05)。
【0090】[実施例5]学習記憶障害改善効果の測定 披験化合物:(16S)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−Δ6(9α)
プロスタグランジンI1 参考例3および4の評価方法で、学習記憶障害改善作用
を測定した。披験化合物はリン酸緩衝食塩水に溶解し、
β−アミロイド蛋白を注入するのと同様に、浸透圧ポン
プを用いて注入した。本例では、ラットの右側脳室にβ
−アミロイド蛋白(40−1)あるいはβ−アミロイド
蛋白(1−40)を、左側脳室にリン酸緩衝食塩水ある
いは披験化合物溶液を注入した。 プラットホームに到達した時間 平均値±標準誤差(単位:秒) β−アミロイド蛋白(40−1) 300pmol/day投与群 9.0±1.0(n=5) β−アミロイド蛋白(1−40) 300pmol/day投与群 18.0±3.3(n=5) β−アミロイド蛋白(1−40)300pmol/dayおよび被験化合物1. 2pmol/day投与群 11.1±2.5(n=5) β−アミロイド蛋白(1−40)300pmol/dayおよび被験化合物0. 12pmol/day投与群 9.8±1.5(n=5) 被験化合物が学習記憶障害改善作用を有することが明ら
かになった(有意水準:p<0.02)。
【0091】
【発明の効果】本発明の薬剤は、例えばアルツハイマー
型痴呆、パーキンソン病、多発性硬化症、側索硬化症、
糖尿病性末梢神経障害(ニューロパチー)などの、痴呆
あるいは運動不全を伴う脳あるいは神経の変性性疾患の
治療薬となりうる。また脳梗塞・脳卒中などによる脳機
能障害の改善薬ともなりうるものである。また外傷によ
る神経損傷の治療薬にもなりうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】水平断スライスの一例。aは生後ラットの大脳
半球および周辺の図。bは水平断の一部。cは内嗅野と
海馬を含む部分。内嗅野から海馬歯状回へ軸索を伸ばす
神経細胞が描かれている。
【図2】神経軸索伸長促進活性の評価システム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07D 307/935 C07D 307/935 C07M 7:00 (72)発明者 鍋島 俊隆 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65番地 名古 屋大学医学部附属病院薬剤部内 (72)発明者 山田 清文 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65番地 名古 屋大学医学部附属病院薬剤部内 (72)発明者 田中 智子 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65番地 名古 屋大学医学部附属病院薬剤部内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式[I] 【化1】 [式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキル基、または
    1当量のカチオンを表し;R2は水素原子、メチル基、
    またはビニル基を表し;R3は直鎖もしくは分岐鎖C3
    10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルケ
    ニル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルキニル基、
    置換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基、置
    換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい
    フェノキシ基、または(置換されていてもよいフェニル
    基、もしくは置換されていてもよいフェノキシ基、もし
    くは置換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル
    基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖C1〜C6アル
    キル基を表し;nは0または1を表し;Aは −CH2
    CH2−、−CH=CH−、または−O−CH2−を表
    し;Xは−CH2−CH2−、−CH(NH2)−CH
    2−、−CH=CH−、−C(NH2)=CH−、または
    −C≡C−を表し;結合 【化2】 を表す。]で表されるプロスタグランジン類および/ま
    たはその光学異性体を活性成分として含有する神経障害
    治療剤。
  2. 【請求項2】 下記式[II] 【化3】 [式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキル基、または
    1当量のカチオンを表し;R2は水素原子、メチル基ま
    たはビニル基を表し;R3は直鎖もしくは分岐鎖C3〜C
    10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルケニ
    ル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルキニル基、置
    換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基、置換
    されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいフ
    ェノキシ基、または(置換されていてもよいフェニル
    基、もしくは置換されていてもよいフェノキシ基、もし
    くは置換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル
    基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖C1〜C6アル
    キル基を表し;nは0または1を表す。]で表されるプ
    ロスタグランジン類および/またはその光学異性体を活
    性成分として含有する神経障害治療剤。
  3. 【請求項3】 上記式[II]において、R1が水素原子
    またはメチル基である請求項2に記載の神経障害治療
    剤。
  4. 【請求項4】 上記式[II]において、R1が水素原子
    またはメチル基であり、nが0であり、R2が水素原子
    であり、R3がペンチル基である請求項2に記載の神経
    障害治療剤。
  5. 【請求項5】 上記式[II]において、R1が水素原子
    またはメチル基であり、nが1であり、R2がメチル基
    であり、R3がブチル基である請求項2に記載の神経障
    害治療剤。
  6. 【請求項6】 下記式[III] 【化4】 [式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキル基、または
    1当量のカチオンを表し;R2は水素原子、メチル基ま
    たはビニル基を表し;R3は直鎖もしくは分岐鎖C3〜C
    10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルケニ
    ル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルキニル基、置
    換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基、置換
    されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいフ
    ェノキシ基、または(置換されていてもよいフェニル
    基、もしくは置換されていてもよいフェノキシ基、もし
    くは置換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル
    基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖C1〜C6アル
    キル基を表し;nは0または1を表し;Aは −CH2
    CH2−または−CH=CH−を表し;Xは−CH2−C
    2−、−CH(NH2)−CH2−、−CH=CH−、
    −C(NH2)=CH−または−C≡C−を表す。]で
    表されるプロスタグランジン類および/またはその光学
    異性体を活性成分として含有する神経障害治療剤。
  7. 【請求項7】 下記式[IV] 【化5】 [式中、R1は水素原子、C1〜C10アルキル基、または
    1当量のカチオンを表し;R2は水素原子、メチル基ま
    たはビニル基を表し;R3は直鎖もしくは分岐鎖C3〜C
    10アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルケニ
    ル基、直鎖もしくは分岐鎖C3〜C10アルキニル基、置
    換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基、置換
    されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいフ
    ェノキシ基、または(置換されていてもよいフェニル
    基、もしくは置換されていてもよいフェノキシ基、もし
    くは置換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル
    基)で置換されている直鎖もしくは分岐鎖C1〜C6アル
    キル基を表し;nは0または1を表し;Aは −CH2
    CH2−、−CH=CH−または−O−CH2−を表し;
    Xは−CH2−CH2−、−CH(NH2)−CH2−、−
    CH=CH−、−C(NH2)=CH−または −C≡C
    −を表す。]で表されるプロスタグランジン類および/
    またはその光学異性体を活性成分として含有する神経障
    害治療剤。
  8. 【請求項8】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有するアルツハイマー型痴呆症治療剤。
  9. 【請求項9】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有するパーキンソン病治療剤。
  10. 【請求項10】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有する多発性硬化症治療剤。
  11. 【請求項11】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有する側索硬化症治療剤。
  12. 【請求項12】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有する糖尿病性末梢神経障害治療剤。
  13. 【請求項13】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有する学習記憶障害改善剤。
  14. 【請求項14】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有する、外傷による神経損傷の治療剤。
  15. 【請求項15】 上記式[I]、上記式[II]、上記式
    [III]、または上記式[IV]で表されるプロスタグラ
    ンジン類および/またはその光学異性体のいずれかを活
    性成分として含有する、脳梗塞および/または脳卒中に
    よる脳機能障害の治療剤。
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