JPH1122545A - 耐摩環およびそれを装着したピストン - Google Patents
耐摩環およびそれを装着したピストンInfo
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Abstract
環を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金製のピストン1のトッ
プリング溝3は耐摩環10を鋳包んで構成している。耐
摩環10は鉄系焼結合金からなり、焼結合金のスケルト
ンは低炭素鋼マトリックス中にHV700以上の硬質合
金粒子が重量比率で12−28%分散した組織を有して
おり、焼結合金のスケルトンの空孔が銅合金で溶浸され
ている。上記硬質合金はフェロクロム、フェロモリブデ
ン、およびFe、Cr、Ni、Mo、Coを主成分とす
る合金からなる群から選ばれた1又は2以上の合金であ
る。
Description
ンのリング溝部に鋳包む焼結合金製耐摩環に関する。
ング溝部の耐熱性・耐摩耗性を向上する技術として、 1.耐摩環をピストンのリング溝部に鋳包む技術 2.リング溝部をFRMとする技術 3.電子ビームによってピストンのリング溝部を高合金
化する技術 4.ピストンのリング溝部を陽極酸化する技術 等がある。
一般的である。このニレジスト鋳鉄製耐摩環は、重量が
大きく、材料費や機械加工費が高く、また熱伝導性が悪
いのでトップリング位置を上げることが困難になる。こ
の場合、未燃焼ガスが多くなるので、排ガス対策上不利
である。
合金製とする提案がある(特公昭57−32743号、
特開平8−332562号)。
3号は、Fe−Ni−Cu系の焼結合金製耐摩環を記載
している。この焼結合金は、オーステナイト組織となる
よう成分を定めたものであるが、全く実用されていな
い。また、特開平8−332562号は、耐熱被覆した
固体潤滑剤粉末を含有させた焼結合金製耐摩環を記載し
ている。特に実施例に記載されている焼結合金の組成
は、高炭素鋼、高炭素クロム軸受鋼、合金工具鋼系のも
のである。この耐摩環は耐熱被覆した固体潤滑剤粉末が
高価である。
種の硬質合金粒子を分散させた鉄系焼結材料が使用され
ている(例えば、特公昭57−19474号参照)。し
かし、バルブシートの相手材は一般的にSUH材、イン
コネル等の耐熱材料で、使用温度は300−600℃で
ある。これに対して、耐摩環の相手材はCrめっきや窒
化処理したピストンリングであり、使用温度は最高出力
点で180−260℃である。以上のように、両者の条
件は相当異なっているので、この材料は専らバルブシー
トに使用されており、耐摩環へ応用した例はなかった。
れた焼結合金製耐摩環を提供することである。
ング溝部に鋳包まれる鉄系焼結合金製の耐摩環におい
て、前記焼結合金のスケルトンは、低炭素鋼マトリック
ス中にHV700以上の硬質合金粒子が重量比率で12
−28%分散した組織を有しており、かつ、前記焼結合
金のスケルトンの空孔が銅合金で溶浸されていることを
特徴とする。
ブデン、およびFe、Cr、Ni、Mo、Coを主成分
とする合金からなる群から選ばれた1又は2以上の合金
とするのが望ましい。
を主成分とする合金の組成は、 C :0.5−5% Cr :10−30% Ni :2−15% Mo :10−30% Co :20−40% Nb :1−5% Fe及び不純物 :残部 からなるのが望ましい。
は、低炭素鋼のマトリックス中に分散して焼結合金に耐
熱性と耐摩耗性を与える。硬質合金粒子の分散量が12
%未満であると、耐摩環自身の耐摩耗性が不足し、28
%を越えると圧粉成形性が低下するほか、相手材である
ピストンリングを攻撃する性質が増し、靱性も低下す
る。従って、硬質合金粒子の量は12−28%の範囲と
する必要がある。より好ましい硬質合金粒子の量は15
−26%の範囲である。
銅合金で溶浸されているので、耐摩環の熱伝導性および
鋳包み性が良好となる。銅合金の溶浸後の焼結合金の比
重は5−7の範囲となる。
施形態を説明する。
面2に形成されているトップリング溝3にトップリング
4が装着されている。5はトップリング4が摺動するシ
リンダ6の内壁面である。
て構成されている。耐摩環10は外周に切欠部が形成さ
れている断面コ字状の環状部材であり、ピストン1のリ
ング溝部に鋳包まれてトップリング溝3の上面と下面と
底面とを形成している。
合金のスケルトンは低炭素鋼マトリックス中にHV70
0以上の硬質合金粒子が重量比率で12−28%分散し
た組織を有しており、焼結合金のスケルトンの空孔が銅
合金で溶浸されている。
0.5−5%、Cr:10−30%、Ni:2−15
%、Mo:10−30%、Co:20−40%、Nb:
1−5%、残部Fe及び不純物の組成範囲を有する合金
粉末(硬度範囲:HV700−HV900)のほか、フ
ェロクロム(硬度範囲:HV1500−HV170
0)、低炭素フェロモリブデン(硬度範囲:HV130
0−HV1400)等を使用できる。
面上部とを形成する断面L字状の上環状片11と、リン
グ溝下面とリング溝底面下部とを形成する断面L字状の
下環状片12とが接合されて形成されている。
が形成されている断面L字状の環状部材であり、上面1
4と2つの下面15,16と内周面17と2つの外周面
18,19とを有している。上面14はピストン1のリ
ング溝部の上壁面と接合する面であり、リング溝底面側
の端部は水平面に形成され、残りの面は外周側に向かっ
て切り欠き13側に傾斜している円錐面に形成されてい
る。上面14の端部の水平面は耐摩環の製造時に圧粉成
形体を積層しやすくする。2つの下面15,16のう
ち、切り欠き13に臨んでいる下面15は水平面に形成
されてリング溝上面になり、下側の下面16は水平な接
合面を形成している。内周面17はピストン1のリング
溝部の底壁面と接合する面で垂直面に形成されている。
2つの外周面18,19のうち、外側の外周面18は垂
直面に形成されてピストン1の外周面になり、切り欠き
13に臨んでいる外周面19は垂直面に形成されてリン
グ溝底面になる。
形成されている。すなわち、下環状片12は外周上部に
切り欠き20が形成されている断面L字状の環状部材で
あり、下面21と2つの上面22,23と内周面24と
2つの外周面25,26とを有している。下面21はピ
ストン1のリング溝部の下壁面と接合する面であり、リ
ング溝底面側の端部は水平面に形成され、残りの面は外
周側に向かって切り欠き20側に傾斜している円錐面に
形成されている。2つの上面22,23のうち、切り欠
き20に臨んでいる上面22は水平面に形成されてリン
グ溝下面になり、上側の上面23は水平な接合面を形成
している。内周面24はピストン1のリング溝部の底壁
面と接合する面で垂直面に形成されている。2つの外周
面25,26のうち、外側の外周面25は垂直面に形成
されてピストン1の外周面になり、切り欠き20に臨ん
でいる外周面26は垂直面に形成されてリング溝底面に
なる。
配置され、上環状片11の下面(接合面)16と下環状
片12の上面(接合面)23とが接合されて耐摩環10
が形成され、上環状片11と下環状片12の外周側の切
り欠き13,20は合体してリング溝を構成する。
法を説明する。
成する鉄粉と黒鉛、および硬質合金粒子を指定組成範囲
となるよう混合して、上環状片11(下環状片12)の
形状に圧粉成形する。
下環状片12を、上環状片11の下面(接合面)16と
下環状片12の上面(接合面)23との間に環状の溶浸
用銅合金板27を介装して積層し、さらにこの積層品を
多数組、環状の溶浸用銅合金板28を介装して上下に積
層し、焼結と同時に銅合金溶浸する。この溶浸工程で、
上環状片11の下面(接合面)16と下環状片12の上
面(接合面)23が接合されるとともに、上下の環状片
11,12が銅合金で溶浸される。焼結および銅合金溶
浸後、耐摩環10同士を分離する。
面14端部と下環状片12の下面21端部の水平面部分
が銅合金で接合されるが、前記水平面部分の長さは短
く、さらに溶浸用銅合金の量を所要量に比べて過大にな
らないようにすれば、溶浸後、耐摩環10同士は容易に
分離可能である。
は、耐摩環10を予熱し、圧力鋳造機のピストン金型に
セットして、アルミニウム合金を注湯、充填後、加圧し
て、凝固後、取り出せばよい。
浸を同時に行っているが、焼結工程と銅合金溶浸工程を
分離して行ってもよい。
ン実験の結果を説明する。
通りである。 シリンダ :内径94mm、6気筒 排気量 :4.2l エンジン形式:インタークーラー付き直噴ディーゼルエ
ンジン
る。 回転数 :3600rpm 負荷 :4/4 水温 :110℃ 油温 :130℃ 運転時間 :500時間
あり、トップリングは17Crステンレス鋼製の窒化リ
ングである。AC8Aの組成は、Cu0.8−1.3
%、Si11.0−13.0%、Mg0.7−1.3
%、Zn0.1%以下、Fe0.8%以下、Mn0.1
%以下、Ni1.0−2.5%、Ti0.2%以下、残
Alである。
トップリング溝部の材質、硬質合金粒子の組成を表1
に、エンジン運転後のリング溝およびピストンリングの
摩耗の測定結果を表2に示す。
3.0%、Si1.0−2.8%、Mn1.0−1.5
%、Zn0.1%以下、Ni13.5−17.0%、C
u5.0−7.0%、Cr1.0−1.8%、残部Fe
及び不純物からなるニレジスト鋳鉄製耐摩環をリング溝
部に鋳包んだピストンであり、比較例2はAl2 O3 5
体積%、SiO2 5−7体積%を含むセラミックス製プ
リフォームをリング溝部に鋳包んだセラミックス繊維で
強化したピストンである。比較例3,4および実施例
1,2,3,4は鉄系焼結合金製耐摩環をリング溝部に
鋳包んだピストンである。
とがわかる。 ・実施例1〜4は、硬質合金粒子の含有量が12−28
%の範囲で良好な耐摩耗性を示している。 ・より好ましい硬質合金粒子の量は、実施例2,3に示
されるように15−26%である。 ・比較例3は、硬質合金粒子の量が少なく、耐摩環の耐
摩耗性が劣る。 ・比較例4は、硬質合金粒子の量が多く、耐摩環自身の
耐摩耗性は良好であるが、リング溝の外周稜部に欠けが
発生し、摩耗粉の噛込みによってリング外周面に傷をつ
ける等、リングへの攻撃性が大きい。 ・実施例1〜4は、比較例1(ニレジスト鋳鉄製耐摩
環)や比較例2(FRM)よりも優れた耐摩耗性を有し
ている。
伝導性と耐摩耗性に優れた焼結合金製耐摩環を提供する
ことができる。
(a)におけるX−X線断面図である。
示す縦断面図である。
トップリング、5…シリンダ内壁面、6…シリンダ、1
0…耐摩環、11…上環状片、12…下環状片、13…
切り欠き、14…上面、15,16…下面、17…内周
面、18,19…外周面、20…切り欠き、21…下
面、22,23…上面、24…内周面、25,26…外
周面、27,28…溶浸用銅合金板。
Claims (4)
- 【請求項1】 ピストンのリング溝部に鋳包まれる鉄系
焼結合金製の耐摩環において、前記焼結合金のスケルト
ンは、低炭素鋼マトリックス中にHV700以上の硬質
合金粒子が重量比率で12−28%分散した組織を有し
ており、かつ、前記焼結合金のスケルトンの空孔が銅合
金で溶浸されていることを特徴とする耐摩環。 - 【請求項2】 前記硬質合金がフェロクロム、フェロモ
リブデン、およびFe、Cr、Ni、Mo、Coを主成
分とする合金からなる群から選ばれた1又は2以上の合
金であることを特徴とする請求項1記載の耐摩環。 - 【請求項3】 前記Fe、Cr、Ni、Mo、Coを主
成分とする合金の組成が、 C :0.5−5% Cr :10−30% Ni :2−15% Mo :10−30% Co :20−40% Nb :1−5% Fe及び不純物 :残部 からなることを特徴とする請求項2記載の耐摩環。 - 【請求項4】 請求項1、2、または3記載の耐摩環が
リング溝部に鋳包まれていることを特徴とするアルミニ
ウム合金製ピストン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19647597A JP3883656B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | 耐摩環およびそれを装着したピストン |
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JP19647597A JP3883656B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | 耐摩環およびそれを装着したピストン |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1122545A true JPH1122545A (ja) | 1999-01-26 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100482441B1 (ko) * | 2002-05-06 | 2005-04-14 | 현대자동차주식회사 | 피스톤용 다공질 소결재 인서트 조성물 및 이것을 이용한다공질 소결재 인서트의 제조 방법 |
-
1997
- 1997-07-07 JP JP19647597A patent/JP3883656B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR100482441B1 (ko) * | 2002-05-06 | 2005-04-14 | 현대자동차주식회사 | 피스톤용 다공질 소결재 인서트 조성물 및 이것을 이용한다공질 소결재 인서트의 제조 방법 |
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