JPH11224650A - ランプとその製造方法 - Google Patents

ランプとその製造方法

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JPH11224650A
JPH11224650A JP10022466A JP2246698A JPH11224650A JP H11224650 A JPH11224650 A JP H11224650A JP 10022466 A JP10022466 A JP 10022466A JP 2246698 A JP2246698 A JP 2246698A JP H11224650 A JPH11224650 A JP H11224650A
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毅 斎藤
Masaru Ikeda
勝 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 境界部分の位置精度が良好で、厚み均一性に
優れた遮光膜が形成されたランプ、及びそのようなラン
プを工数を少なくし、低コストで製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 無機顔料と無機マトリックス成分とを含
むグリーンシート14、15、20を貼り付け、焼成し
てガラス基材の表面に固定する。形成された遮光膜は、
その縁から0.5mmまでの範囲に、遮光膜の最高膜厚
の90%以上の膜厚部分を有する。これにより、端面が
明瞭でかつ位置精度よく遮光膜を固定でき、高い精度で
配光特性を満たすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遮光膜を有するラ
ンプとその製造方法に関する。さらに詳しくは、遮光膜
としてグリーンシートを貼り付けて焼成一体化したラン
プとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から遮光膜は、放電ランプやハロゲ
ン電球などに形成されている。以下放電ランプの例で説
明する。放電ランプはランプ電力35W程度の低ワット
のものまで実用化が進み、小型で高効率であることから
自動車の前照灯や液晶プロジェクタのバックライト光源
等の用途向けに用いられている。
【0003】自動車の前照灯や液晶プロジェクタのバッ
クライト用光源として放電ランプを用いる場合、反射鏡
と組み合わせて使用される。近年では、放電ランプから
放射される紫外線によって反射鏡が劣化するのを防止す
るために、紫外線をカットする石英を外管に用いたもの
が知られている。一般に、反射鏡と放電ランプとを組み
合わせて適正な配光を実現するためには、発光部分、す
なわちアークの位置が反射鏡に対して極めて高い精度で
規制されることが求められているが、放電ランプの発光
部分であるアークは、発光管の形状、圧力、および管電
圧・管電流等の要因の影響を受けるため、電球等のフィ
ラメントのように機械的に規制することが難しい。
【0004】このため、外管に遮光膜を形成して、位置
規制の困難なアークの一部を光学的にカットすることに
より、正確な配光を得る方法が提案されている。この方
法では、配光はアークの位置でなく遮光膜の位置の正確
さに依存することになるため、遮光膜を位置精度よく塗
布することが求められている。
【0005】従来のランプは、外管により囲まれた発光
管を有し、外部リード線が各電極から口金の各接点まで
延び、口金には発光管の首状部が固定されており、一方
の外部リード線の電力供給線は外管の外部表面に沿って
延在している。そして、外管には、首状部の近くで、電
力供給線から遠い側に刷毛やインクジェットを用い遮光
膜が塗布形成されている。また、この外管には、電極間
の放電経路の両端で電力供給線に面する側に帯状の遮光
膜が塗布形成されている(特表平9−500489号公
報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遮光膜
をこのような刷毛やインクジェットで形成する方式で
は、マシンにより遮光膜の塗布をしなければならずマシ
ンコストや塗布の時間がかかり、また遮光膜の塗料の管
理と工程が複雑化してしまう。
【0007】また前記方式は、塗布時の遮光膜の膜厚に
バラツキが発生しやすくなり、また塗料が液体であるた
め、遮光膜が形成された境界部分の膜厚は、遮光膜の中
央部分の膜厚に比べて薄くなり、焼成後の遮光膜の境界
部分付近の遮光性が損なわれてしまう。すなわち、遮光
膜の境界部分の段差は緩やかな傾斜構造となってしまう
という問題があった。遮光膜で配光を制御するランプで
は、外管に塗布された遮光膜の境界部分の位置精度・直
線性が配光に著しく影響を与える。そのため、遮光膜、
特に遮光膜の境界部分を位置精度よく制御する必要があ
る。
【0008】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、遮光膜の境界部分を急峻な段差構造とし、位置精度
を良好にし、また、膜厚の均一性を確保することによ
り、より高い精度の配光特性を満たすことのできるラン
プを提供すること、及びこのようなランプを簡便な方法
で低コストで提供することができるランプの製造方法を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明のランプは、ガラス基材の表面に遮光膜を
形成したランプであって、前記遮光膜は、無機顔料と無
機マトリックス成分とを含むグリーンシートが貼り付け
られ、焼成されて前記ガラス基材の表面に一体化されて
いることを特徴とする。ここでグリーンシートとは、セ
ラミックスやガラスなどの無機物をマトリックス成分と
する焼結体を得る際に用いる前駆体の材料シートをい
う。グリーンシートは可撓性を有し、それ自体単独で取
り扱うこともできる。したがって、あらかじめ均一な厚
さのグリーンシートを作成しておくことも容易であるう
え、あらかじめ所定の形状に打ち抜き加工などによりパ
ターニングしておくことも容易である。また、塗料に比
べて有機物成分が少ないことから、焼結体の密度は塗料
を焼き付けた場合の密度より高くなる。さらに焼結時の
変形も少ない。よって、遮光膜の境界部分を急峻な段差
構造とし、位置精度を良好にし、膜厚の均一性を確保す
ることができる。これにより、点灯中の配光特性を良好
にすることができる。さらに、本発明の遮光膜は、グリ
ーンシートを貼り付けた後、焼成して形成するため、従
来の刷毛やインクジェットで塗布形成された遮光膜と異
なり、遮光膜を形成する位置の自由度が向上する。この
ため、配光特性や製造方法の便宜を考慮して最適な位置
に形成することができ、配光特性の向上と製造の容易化
と低コスト化を実現できる。
【0010】また前記本発明のランプにおいては、グリ
ーンシートが所定の形状にパターニングされていること
が好ましい。均一性の高い遮光膜が形成できるからであ
る。
【0011】また前記本発明のランプにおいては、遮光
膜の端が急峻な段差構造を有していることが好ましい。
これにより遮光膜の境界部分(端面)がより明瞭にな
り、遮光膜の端において光の明暗を鮮明に出すことがで
きるからである。
【0012】また前記本発明のランプにおいては、無機
顔料が、鉄、マンガン、銅、クロム、及びコバルトから
選ばれる少なくとも一つの金属又は金属酸化物であるこ
とが好ましい。遮光性の高い遮光膜が形成できるからで
ある。
【0013】また前記本発明のランプにおいては、無機
マトリックス成分としては、ガラス、陶器、磁器、セラ
ミックスなどの粉体または微粒子を用いることができる
が、熱処理の容易性からガラスフリットが好ましい。ガ
ラスフリットは、加熱により溶融してガラス基材の表面
に一体化し易いからである。ここでガラスフリットと
は、ガラスまたはその成分を粉体または微粒子にしたも
のなどをいう。また、無機顔料と無機マトリックス成分
との組成割合は、無機顔料100重量部に対して無機マ
トリックス成分が5〜60重量部の範囲が好ましい。
【0014】次に、本発明のランプは、遮光膜を有する
ランプにおいて、前記遮光膜の縁から0.5mmまでの
範囲に、前記遮光膜の最高膜厚の90%以上の膜厚部分
を有することを特徴とする。境界部分(端面)が明瞭
で、位置精度がよく、また厚みむらの少ない遮光膜を形
成することができるからである。また、これにより、点
灯中の配光特性を良好にすることができる。
【0015】前記ランプにおいて、前記遮光膜の縁から
0.5mm以上内側の範囲における前記遮光膜の膜厚
が、前記遮光膜の最高膜厚の50%以上であることが好
ましい。好ましい遮光性を得るためである。
【0016】前記ランプにおいて、前記遮光膜の縁から
0.5mm以上内側の範囲における前記遮光膜の平均膜
厚が10〜100μmであることが好ましい。好ましい
遮光性を得るためである。
【0017】前記ランプにおいて、前記遮光膜の縁から
0.5mm以上内側の範囲における光線透過率が、遮光
膜のない部分の光線透過率の6%以下であることが好ま
しい。この範囲であれば遮光性に優れるからである。
【0018】前記ランプにおいて、前記遮光膜は、前記
ランプの発光管の表面に設けることができる。より具体
的には、発光管の外表面及び内表面の少なくとも一方に
設けることができる。
【0019】また、前記ランプにおいて、前記遮光膜
は、前記ランプの発光管を覆っている外管の表面に設け
ることもできる。より具体的には、外管の外表面及び内
表面の少なくとも一方に設けることができる。
【0020】前記本発明においては、ランプが放電ラン
プであることが好ましい。放電ランプはアークの位置制
御が特に困難であり、本発明の適用により、より精度の
高い配光特性が得られ、本発明の効果を顕著に発現させ
ることができるからである。
【0021】次に本発明のランプの製造方法は、無機顔
料と無機マトリックス成分とを含み、所定の形状にパタ
ーニングされたグリーンシートを、ガラス基材の表面に
貼り付け、焼成して前記グリーンシートを前記ガラス基
材の表面に一体化したことを特徴とする。この方法によ
り前記本発明のランプを少ない製造工程数で効率良く製
造できる。
【0022】前記方法においては、無機マトリックス成
分がガラスフリットであることが好ましい。ガラスフリ
ットは、加熱により溶融してガラス基材の表面に一体化
し易いからである。
【0023】前記方法においては、前記焼成は、仮焼し
た後、本焼成するものからなるのが好ましい。
【0024】また前記方法においては、仮焼を、グリー
ンシート中の有機成分を除去する温度範囲で行うことが
好ましい。
【0025】また前記方法においては、仮焼条件が、酸
化性雰囲気中、温度:200〜600℃の範囲であるこ
とが好ましい。これによりグリーンシート中の有機成分
を効率良く除去できる。
【0026】また前記方法においては、本焼成条件が、
酸化性雰囲気中、温度:600〜1500℃の範囲であ
ることが好ましい。これによりグリーンシートをガラス
基材に焼き付けて一体化することができる。
【0027】また前記方法においては、グリーンシート
の少なくとも一方の面に粘着剤が塗布されていることが
好ましい。ガラス基材に貼り付けやすいからである。し
たがって、製造工程数が少なくなり、低コストで、良好
な配光特性を有するランプを製造することができる。ま
た、粘着剤は焼成により焼失するから配光特性等に悪影
響を及ぼすこともない。
【0028】また前記方法においては、グリーンシート
の平均厚さが10〜100μmの範囲であることが好ま
しい。最終的に好ましい厚さの遮光膜を得て、好ましい
遮光性を得るためである。
【0029】更に前記方法を放電ランプの製造に適用す
ることにより、アークの位置規制が困難な放電ランプに
おけるより精度の高い配光特性を実現が、少ない製造工
程数で低コストで可能になり、本発明の効果を顕著に発
現できる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明を、放電ランプの一種であ
るメタルハライドランプを例にとって説明する。
【0031】図1に本発明の一実施の形態である35W
自動車前照灯用メタルハライドランプの正面図を示す。
図2は、図1に示すメタルハライドランプの発光管の軸
21を含む平面での正面方向の断面図である。また、図
3は、図1のI−I線での矢印方向から見た断面図であ
る。なお、図1において、透明な部材の内部構造は実線
で描いてある。
【0032】図1、図2に示すように、本実施形態の放
電ランプは、内部に一対の電極2を有し、内部に水銀と
金属ハロゲン化物としてScI3,NaIさらに始動用
ガスとしてキセノンが封入された発光部1aと、この発
光部1aの両端部にそれぞれ連設された扁平形状の一対
の封止部1bとを有する発光管1を備えている。
【0033】各封止部1bには、一端部に電極2の一端
部が接続され、かつ他端部に外部リード線3の一端部が
接続された金属箔4が、電極2が発光部1a内に位置す
るように封止されている。
【0034】発光管1の少なくとも一方の封止部1bに
は、図2に示すように筒状の円筒部5が連設され、外部
リード線3は、封止部1bから円筒部5を通って導出さ
れている。
【0035】発光管1は外管6内に設けられており、外
管6の端部は発光管1の封止部1bまたは円筒部5でそ
れぞれ封着されている。
【0036】発光管1は、その円筒部5側の端部をポリ
エーテルイミド等の樹脂からなる口金7の中央部に設け
られた穴8に挿入され、金属からなる保持体9と外管6
によって口金7に保持されている。
【0037】外管6は保持体9を介して口金に保持され
ており、一方の封止部1bから導出した外部リード線3
は、口金7から延出し、外管6の側部に配された電力供
給線13に接続されている。
【0038】外管6の外表面には、図1〜図3に示すよ
うに、電力供給線13に面する側の領域であって、電極
2の近傍に位置する領域内に帯状の第2の遮光膜14、
15が形成されている。なお、図1、図2において、輪
郭が実線で示された遮光膜は外管6の外表面の前面側
に、輪郭が点線で示された遮光膜は外管6の外表面の背
面側に、それぞれ形成されていることを意味している。
この遮光膜14、15は互いに離れて面し、図3に示す
ように、遮光膜14が外管6の外周面上の端部16から
端部18の間の領域に、また遮光膜15が外管6の外周
面上の端部17から端部19の間の領域に、それぞれ形
成されているとすると、本実施の形態の例では、端部1
6と端部17は165度の角度γをなし、端部18と端
部19は、その内側の105度〜125度の範囲のいず
れかの角度δをなす。ここで、角度γと角度δとの頂点
は発光管の軸21上に位置する。
【0039】また、図1、図2に示すように、外管6の
外表面の電力供給線13に面しない側の領域であって、
一対の封止部1bのうちの少なくとも一方の封止部に対
応する領域内に第1の遮光膜20が形成されている。本
実施の形態では、第1の遮光膜20は、図1に示すよう
に、一対の電極2間の中心点における外管6に対する垂
線と45度なる角度αをなす位置から、前記垂線と少な
くとも70度の角度βをなす位置までの、外管6の外表
面の電力供給線13に面しない側に延在する。ここで、
前記αと前記βとの頂点はいずれも発光管1の軸21上
に在る。この位置に遮光膜を形成した場合、反射器に入
射する光は、有効的な光だけとなる。そしてビームとな
りヘッドライトレンズを介して外部にヘッドライトの前
方に投射される。
【0040】遮光膜材料としては、ガラスと固定するた
めのガラスフリットと、遮光性を得るための黒色系の無
機顔料である鉄の金属酸化物を使用している。但し、ま
た、黒色系の無機顔料はこれに限定されず、マンガン、
銅、クロム、コバルト等の単一金属、又は単一金属の酸
化物、又はこれら金属の合金、又は2種類以上からなる
複合金属酸化物、又は2種類以上の単一金属酸化物から
なる混合物を使用してもよい。例えば、Fe23 、F
34 、MnO2、CuO、Cr23 、CoO等が使
用できる。また、遮光性を得るための無機顔料として
は、赤色系顔料、青色系顔料等を用いてもよい。
【0041】次に本発明の一実施形態であるランプの製
造方法について、図1に示した放電ランプの製造方法を
例にとって説明する。
【0042】遮光膜14、15、20の表面への固定
は、図4に示すように片面に粘着剤22を塗布した可撓
性を有する固形状のグリーンシートを、遮光膜14、1
5、20が一体化した凹型形状にカット(パターニン
グ)し、粘着剤22面を外管6側にして、前記の所定の
位置に貼り付けることにより行う。
【0043】前記固形状のグリーンシートの製作方法
は、例えば以下のようにして行う。まず、前記遮光膜材
料であるガラスフリット及び無機顔料と、シートとして
の強度、及び柔軟性を得るための有機バインダー成分
(例えばポリビニルアルコール)とをロールミルにより
均一に混練してペースト状とした後、ドクターブレード
型塗布機により第1の離型フィルム(例えばポリエチレ
ンテレフタレートフィルム)の離型面に塗布し、好まし
くは10〜100μm(例えば約20μm)の塗膜を形
成させる。次いで塗膜を第1の離型フィルムとともにロ
ールに巻取り、グラビア塗布機によりアクリル樹脂系粘
着剤を塗膜に塗布し、乾燥して、厚さ約10μmの粘着
剤層を形成させた後、第2の離型フィルム(例えばポリ
エチレンテレフタレートフィルム)を粘着剤層上に積層
しグリーンシートを得ることができる。
【0044】外管6に貼り付けたグリーンシートは、こ
の後、好ましくは、酸化性雰囲気中、温度:200〜6
00℃の範囲で仮焼する。仮焼により粘着剤および有機
バインダー成分が焼失する。さらに、好ましくは、酸化
性雰囲気中、温度:600〜1500℃の範囲(例えば
800℃)で本焼成する。これにより、遮光膜に使用し
ている材料であるガラスフリットが溶融して無機顔料を
含み込みながら外管6に溶着する。無機顔料は焼成によ
っても変化することなく、良好な固定を実現できる。
【0045】図5は、図1のI−I線の矢印方向におけ
る断面での遮光膜14の外管6の周方向の膜厚分布と、
同様の遮光膜を刷毛又はインクジェットにより形成した
従来の遮光膜の膜厚分布の一例をそれぞれ示した図であ
る。実線Aは本発明の遮光膜の膜厚分布を示し、点線B
は従来の刷毛又はインクジェットにより形成した遮光膜
の膜厚分布を示す。縦軸は、それぞれの遮光膜の最高膜
厚を100%としたときの相対膜厚(%)で表示してあ
る。また、横軸は、図1のI−I線の矢印方向における
断面での外管6の外周方向の位置を表す。
【0046】また、図6は、図5に示したそれぞれの遮
光膜の光の膜透過率曲線を示した図である。実線Aは本
発明の遮光膜の透過率曲線を示し、点線Bは従来の刷毛
又はインクジェットにより形成した遮光膜の透過率曲線
を示す。縦軸は、遮光膜が形成されていない領域(ガラ
ス製の外管6のみの領域)での光線透過率を100%と
したときの相対的な光線透過率(%)で表示してある。
また、横軸は、図1のI−I線の矢印方向における断面
での外管6の外周方向の位置を表す。
【0047】図5から明らかなように、本発明のランプ
の遮光膜は、前記遮光膜の縁から0.5mmまでの範囲
に、前記遮光膜の最高膜厚の90%以上の膜厚部分を有
している。これに対して、刷毛やインクジェットの方式
で設けられた従来の遮光膜は、遮光膜の縁から内側に
0.5mmの地点でも、最高膜厚の68%の膜厚にしか
達していない。これから明らかなように、本発明のラン
プの遮光膜は、従来のランプの遮光膜に比べて境界部分
(端面)が急峻な段差構造を有しており、境界がより明
瞭であることがわかる。本発明のランプは、遮光膜の縁
から内側に0.5mm入った地点で最高膜厚の90%以
上に達することにより、遮光膜の縁において光の明暗を
鮮明に出すことができる。一方、従来の遮光膜は、遮光
膜の縁の部分がぼやけてしまい、高い精度の配光特性を
満たすことができない。
【0048】また、一般に、実用的な遮光性を得るため
には、遮光膜の光線透過率は、遮光膜のない部分の光線
透過率の少なくとも6%以下にすることが好ましいとさ
れる。図6の透過率曲線を見ると、光線透過率が遮光膜
が形成されていない領域の6%になるのは、遮光膜の縁
から内側に、本発明の遮光膜では0.25mmの地点で
あり、従来の遮光膜では0.4mmの地点である。図5
によれば、このような地点での相対膜厚はいずれも50
%であることがわかる。即ち、遮光膜の縁から0.5m
m以上内側の範囲で遮光膜の膜厚を、厚みむらを考慮し
ても常に最高膜厚の50%以上に維持することにより、
良好な遮光性を得ることができる。具体的には、この範
囲の遮光膜の平均膜厚を10〜100μmにすると、良
好な遮光性が得られやすい。
【0049】以上のように、本発明のランプの遮光膜
は、遮光膜の縁から0.5mmまでの範囲に、遮光膜の
最高膜厚の90%以上の膜厚を有する部分を有してお
り、さらに好ましくは、縁から0.5mm以上内側の範
囲での膜厚が最高膜厚の50%以上とすることにより、
光の明暗部の輪郭が鮮明となり、しかも良好な遮光性を
保つことができる。このような遮光膜は、ほぼ均一な厚
みの固形状のグリーンシートを所定位置に貼り付けて焼
成して固定することにより容易に得ることができる。し
かも、図4に示した凹型のグリーンシートは常に同一形
状にカットして、所定位置に貼り付ければよく、量産性
がよく、従来の遮光膜より低コスト化が可能である。ま
た、グリーンシートの片面に粘着剤層を形成することに
より、焼成固定するまでの間、他に特別の固定手段を設
けなくても、位置精度よく遮光膜を形成することができ
る。
【0050】なお、本発明は、遮光膜を必要とするラン
プであれば前記の放電ランプ以外のランプ、例えばハロ
ゲン電球などにも適用でき、前記と同様の効果が得られ
る。
【0051】また、前記の例では遮光膜を外管の外表面
に設けたが、遮光膜を発光管の外表面及び内表面の少な
くとも一方に設けた場合、さらに遮光膜を外管の外表面
及び内表面の少なくとも一方に設けた場合にも、同様の
効果が得られる。さらに、遮光膜を外管及び発光管の双
方に設けてもよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のランプ
は、固形状の所定形状のグリーンシートを所定形状に貼
り付けて遮光膜を形成しているため、境界部分が明瞭に
でき、このため優れた配光特性を得ることができる。
【0053】また、本発明のランプの製造方法は、工数
を少なくできるため、量産性に優れ、位置精度よく、か
つ均一な膜厚の遮光膜を形成することができ、より高い
精度で配光特性を満たすことのできる前記本発明のラン
プを低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態である35W自動車前
照灯用メタルハライドランプの正面図
【図2】 図1に示すメタルハライドランプの発光管の
軸21を含む平面での正面方向の断面図
【図3】 図1のI−I線での矢印方向から見た断面図
【図4】 図1の放電ランプを製造するために使用され
るグリーンシートの外観形状を模式的に示した斜視図
【図5】 図1のI−I線の矢印方向における断面での
本発明の一実施形態の放電ランプで用いた遮光膜の膜厚
分布と、同様の遮光膜を刷毛又はインクジェットにより
形成した従来の遮光膜の膜厚分布の一例をそれぞれ示し
た図
【図6】 図5に示したそれぞれの遮光膜の光の膜透過
率曲線を示した図
【符号の説明】
1 発光管 1a 発光部 1b 封止部 2 電極 3 外部リード線 4 金属箔 5 円筒部 6 外管 7 口金 9 保持体 13 電力供給線 14、15、20 遮光膜 22 粘着剤
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】また前記本発明のランプにおいては、無機
マトリックス成分としては、ガラス、陶器、磁器、セラ
ミックスなどの粉体または微粒子を用いることができる
が、熱処理の容易性からガラスフリットが好ましい。ガ
ラスフリットは、加熱により溶融してガラス基材の表面
に一体化し易いからである。ここでガラスフリットと
は、ガラスまたはその成分を粉体または微粒子にしたも
のなどをいう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】遮光膜材料としては、ガラスと固定するた
めのガラスフリットと、遮光性を得るための黒色系の無
機顔料である鉄の金属酸化物を使用している。但し、ま
た、黒色系の無機顔料はこれに限定されず、マンガン、
銅、クロム、コバルト等の単一金属、又は単一金属の酸
化物、又はこれら金属の合金、又は2種類以上からなる
複合金属酸化物、又は2種類以上の単一金属酸化物から
なる混合物を使用してもよい。例えば、Fe23 、F
34 、MnO2、CuO、Cr23 、CoO等が使
用できる。また、遮光性を得るための無機顔料として
は、赤色系顔料、青色系顔料等を用いてもよい。また、
無機顔料と無機マトリックス成分との組成割合は、無機
顔料100重量部に対して無機マトリックス成分を60
重量部とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 智行 大阪府高槻市幸町1番1号 松下電子工業 株式会社内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基材の表面に遮光膜を形成したラ
    ンプであって、前記遮光膜は、無機顔料と無機マトリッ
    クス成分とを含むグリーンシートが貼り付けられ、焼成
    されて前記ガラス基材の表面に一体化されていることを
    特徴とするランプ。
  2. 【請求項2】 前記グリーンシートが所定の形状にパタ
    ーニングされている請求項1に記載のランプ。
  3. 【請求項3】 前記遮光膜の端が急峻な段差構造を有し
    ている請求項1に記載のランプ。
  4. 【請求項4】 前記無機顔料が、鉄、マンガン、銅、ク
    ロム、及びコバルトから選ばれる少なくとも一つの金属
    又は金属酸化物である請求項1に記載のランプ。
  5. 【請求項5】 前記無機マトリックス成分がガラスフリ
    ットである請求項1に記載のランプ。
  6. 【請求項6】 前記ガラスフリットが溶融して前記ガラ
    ス基材の表面に一体化している請求項5に記載のラン
    プ。
  7. 【請求項7】 遮光膜を有するランプにおいて、前記遮
    光膜の縁から0.5mmまでの範囲に、前記遮光膜の最
    高膜厚の90%以上の膜厚部分を有することを特徴とす
    るランプ。
  8. 【請求項8】 前記遮光膜の縁から0.5mm以上内側
    の範囲における前記遮光膜の膜厚が、前記遮光膜の最高
    膜厚の50%以上である請求項1又は7に記載のラン
    プ。
  9. 【請求項9】 前記遮光膜の縁から0.5mm以上内側
    の範囲における前記遮光膜の平均膜厚が10〜100μ
    mである請求項1又は7に記載のランプ。
  10. 【請求項10】 前記遮光膜の縁から0.5mm以上内
    側の範囲における光線透過率が、遮光膜のない部分の光
    線透過率の6%以下である請求項1又は7に記載のラン
    プ。
  11. 【請求項11】 前記ランプが発光管を有しており、前
    記遮光膜は前記発光管に設けられている請求項1又は7
    に記載のランプ。
  12. 【請求項12】 前記ランプが発光管と前記発光管を覆
    う外管を有しており、前記遮光膜は前記外管に設けられ
    ている請求項1又は7に記載のランプ。
  13. 【請求項13】 前記遮光膜は、前記発光管の表面に設
    けられている請求項11に記載のランプ。
  14. 【請求項14】 前記遮光膜は、前記外管の表面に設け
    られている請求項12に記載のランプ。
  15. 【請求項15】 前記ランプが放電ランプである請求項
    1又は7に記載のランプ。
  16. 【請求項16】 無機顔料と無機マトリックス成分とを
    含み、所定の形状にパターニングされたグリーンシート
    を、ガラス基材の表面に貼り付け、焼成して前記グリー
    ンシートを前記ガラス基材の表面に一体化したことを特
    徴とするランプの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記無機マトリックス成分がガラスフ
    リットである請求項16に記載のランプの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記焼成は、仮焼した後、本焼成する
    ものからなる請求項16に記載のランプの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記仮焼を、前記グリーンシート中の
    有機成分を除去する温度範囲で行う請求項18に記載の
    ランプの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記仮焼条件が、酸化性雰囲気中、温
    度:200〜600℃の範囲である請求項18に記載の
    ランプの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記本焼成条件が、酸化性雰囲気中、
    温度:600〜1500℃の範囲である請求項18に記
    載のランプの製造方法。
  22. 【請求項22】 前記グリーンシートの少なくとも一方
    の面に粘着剤が塗布されている請求項16に記載のラン
    プの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記グリーンシートの平均厚さが10
    〜100μmの範囲である請求項16に記載のランプの
    製造方法。
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