JPH11223234A - ロータリダンパ - Google Patents

ロータリダンパ

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JPH11223234A
JPH11223234A JP2429698A JP2429698A JPH11223234A JP H11223234 A JPH11223234 A JP H11223234A JP 2429698 A JP2429698 A JP 2429698A JP 2429698 A JP2429698 A JP 2429698A JP H11223234 A JPH11223234 A JP H11223234A
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JP2429698A
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Mitsuo Sasaki
光雄 佐々木
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造工程において粘性流体の充填がスムースに
行えて作業性を向上させることができるロータリダンパ
の提供。 【解決手段】相対回転する環状ハウジング2と回転軸1
との間に粘性流体を充填した密閉室Aが形成され、密閉
室A内において環状ハウジング2の内周と回転軸1の外
周とにそれぞれ軸方向に交互に設けられていて両者の側
面同士が所定のクリアランスδ1 、δ2 を有して互いに
対向する複数のハウジング側プレート8および回転軸側
プレート3と、を備え、プレート8、3の外周縁部側が
完全な円形ではなく、その上部と下部に粘性流体の充填
流路を形成するための切欠部3b、3c、8b、8cを
有する形状とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両にお
けるロア−アームまたはアッパーアームの回転軸受け部
等に設けられることにより、アームの回転を減衰するロ
ータリダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ロータリダンパとしては、例え
ば、特開昭64−12151号公報に記載のものが知ら
れている。この従来例のロータリダンパは、内部に粘性
流体が充填された流体室を有するハウジングと、このハ
ウジングの流体室内においてハウジングに対し相対回転
可能に設けられた回転軸と、前記流体室内において回転
軸の外周とハウジングの内周とにそれぞれ支持されてい
て両者の側面同士が所定の隙間を有して互いに回転軸の
軸方向に対向する複数の回転軸側およびハウジング側プ
レートを有する構成となっている。即ち、この従来例の
ロータリダンパでは、回転軸側プレートとハウジング側
プレートとが相対回転する時、両者間に充満された高粘
度の粘性流体が相対回転速度に応じた流速で強制移動さ
れ、その際に粘性流体の粘度に応じた粘性摩擦力を発生
し、この粘性抵抗が減衰力となるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来例のロータリダンパにあっては、以下に述べるよう
に問題点があった。即ち、一般的に、対向するプレート
の組み合わせがn組あるロータリダンパの減衰力(発生
トルク)Tは、以下の式で表わされる。 T={π×10-6×(d1 4−d2 4)×ν×ω×n}/
(2×9800×δ) なお、d1 は剪断面の有効外形、d2 は剪断面の有効内
径、νは粘性流体動粘度、ωはプレート間の相対角速
度、δはプレート間の隙間である。上記の式から明らか
なように、粘性流体動粘度vの値が大きく、また、対向
するプレート間の隙間δの値が小さいほど、発生する減
衰力が大きくなるため、ダンパとして大きな減衰力を発
生させるためには、できるだけ高粘度の粘性流体を用
い、かつ、対向するプレート間の隙間δを小さな値に設
定する必要がある。
【0004】ところが、前述のように、ハウジング側プ
レートと回転軸側プレートとが軸方向交互に組み付けら
れているため、流体室内に粘性流体を注入充填する際に
粘性流体が両プレート間の狭い隙間をジグザグ状に進む
ことになり、このため、粘性流体の充填作業に時間を要
し、作業性が悪いという問題点があった。また、各プレ
ートの外周形状が円形であるため、板材から複数のプレ
ートを連続的に打ち抜く場合に、無駄になる部分が多く
投入板材として大きな面積を必要とするため、ぶ止まり
が悪く、プレートの単品コストが高くつくという問題点
があった。
【0005】本発明は、上述のような従来の問題点に着
目してなされたもので、製造工程において粘性流体の充
填がスムースに行えて作業性を向上させることができる
ロータリダンパの提供を目的とし、さらに、プレートの
単品コストを低減することを追加の目的とすものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明請求項1記載のロータリダンパは、相対回転す
るハウジングと回転軸との間に粘性流体を充填した流体
室が形成され、該流体室内においてハウジングの内周と
回転軸の外周とにそれぞれ軸方向に交互に設けられてい
て両者の側面同士が所定の隙間を有して互いに対向する
複数のハウジング側プレートおよび回転軸側プレート
と、を備え、前記プレートの外周縁部側が完全な円形で
はなく、少なくともその一部に粘性流体の充填流路を形
成するための切欠部を有する非円形に形成されている手
段とした。請求項2記載のロータリダンパは、請求項1
記載のロータリダンパにおいて、前記各プレートの外周
縁部形状を基準となる円形状態からその対向する2辺に
切欠部を有する形状とした手段とした。請求項3記載の
ロータリダンパは、請求項1記載のロータリダンパにお
いて、前記各プレートの外周縁部形状を基準となる円形
状態からその4辺の一部に切欠部を有する形状とした手
段とした。
【0007】
【作用】この発明請求項1記載のロータリダンパでは、
上述のように構成されるため、回転軸とハウジングとが
相対回転すると、互いに隣接した回転軸側プレートとハ
ウジング側プレートが粘性流体が充填された流体室内に
おいて相対回転するもので、両プレート相互間の隙間に
充填された粘性流体が相対回転速度に応じた流速で強制
移動する際に粘性摩擦力を発生し、この粘性摩擦力によ
る粘性抵抗によって所定の減衰力を発生させる。また、
プレートの外周縁部側が完全な円形ではなく、少なくと
もその一部に粘性流体の充填流路を形成するための切欠
部を有する非円形に形成されていることから、流体室内
に粘性流体を注入充填する際に各切欠部が各隙間相互間
を軸方向に直結する連通路として作用し、流体室全体へ
の粘性流体の回り込みが早くなり、これにより、粘性流
体の充填作業がスムースに行われる。請求項2記載のロ
ータリダンパは、前記各プレートの外周縁部形状が基準
となる円形状態からその対向する2辺に切欠部を有する
形状であるため、板材から複数のプレートを連続的に打
ち抜く場合に、両切欠部の分だけ投入材料の面積が狭く
てすみ、これにより、ぶ止まりが良くなってプレートの
単品コストが低減される。また、両切欠部をプレートの
自動組立を行う際の位置決め用として利用することによ
り、量産時における品質が向上する。請求項3記載のロ
ータリダンパは、前記各プレートの外周縁部形状が基準
となる円形状態からその4辺の一部に切欠部を有する形
状であるため、前記請求項2記載のロータリダンパと同
様の作用が得られると共に、板材から複数のプレートを
連続的に打ち抜く場合に、4箇所の切欠部の分だけ投入
材料の面積がさらに狭くてすみ、これにより、ぶ止まり
が良くなってプレートの単品コストがさらに低減され
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。 (発明の実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1
のロータリダンパを示す断面図(図2、3のS1−S1
線における断面図)、図2および図3は、図1のS2−
S2線およびS3−S3線における断面図であり、これ
らの図に示すように、この発明の実施の形態のロータリ
ダンパは、車体側に固定される回転軸1と、ロアーアー
ム側の軸受け側に連結される環状ハウジング2とを備え
ている。
【0009】前記回転軸1は、左右両端の小径部1a、
1aと中央の大径部1bとで構成され外周異径の円筒状
に形成されていて、その中央の大径部1bはスプライン
軸1cに形成され、このスプライン軸1cに対しスプラ
イン穴3aを有する回転軸側プレート3と環状スペーサ
4とが交互に装着されることにより、複数の回転軸側プ
レート3が軸方向所定の間隔を保持した状態で回転軸1
に対し回転方向に固定されると共に、回転軸1に対し複
数の回転軸側プレート3と環状スペーサ4の全体が一体
に軸方向相対移動可能な状態に組み付けられている。
【0010】前記回転軸側プレート3は、図2および図
4にその詳細を示すように、外周縁部側が完全な円形で
はなく、その上部と下部とに切欠部3b、3cが形成さ
れた非円形に形成されている。
【0011】前記環状ハウジング2は、軸心穴2a、2
bを有する円板状の左右両端面側壁2c、2dと該両端
面側壁2c、2dの外周側を接続する円筒部2eとで構
成されている。そして、左右各端面側壁2c、2dの軸
心穴2a、2bを回転軸1における左右各小径部1a、
1aに対しベアリング5、5を介してそれぞれ装着する
と共に、その各軸心穴2a、2bの開口縁内面側を大径
部1bの左右各端面に当接させることにより、環状ハウ
ジング2が回転軸1に対し相対回転可能で軸方向移動が
阻止された状態に装着されている。
【0012】また、前記環状ハウジング2における左右
両端面側壁2c、2dの軸心穴2a、2bの開口部内に
は、両各軸心穴2a、2b内周面と左右両小径部1a、
1a外周面との間を液圧シールするシール部材6、6が
それぞれ設けられ、この両シール部材6、6により、回
転軸1外周面と環状ハウジング2との間にシリコンオイ
ル等の粘性流体を充填した密閉室(流体室)Aが形成さ
れている。
【0013】前記外周円筒部2eは、内面中央部に突条
部2fが形成された内周異径に形成され、前記突条部2
fを左右両端面側壁2c、2d間に挟持状態で組み付け
られると共に、外周円筒部2eの左右各開口縁部は、組
み付けの際に左右各端面側壁2c、2dの外周面側にそ
れぞれかしめることにより一体に固定され、シールリン
グ2h、2hにより左右各端面側壁2c、2dとの間が
液圧シールされるようになっている。
【0014】前記外周円筒部2eの内面中央部に形成さ
れた突条部2fの内周面はスプライン穴2gに形成され
ていて、このスプライン穴2gにハウジング側環状スペ
ーサ7とスプライン穴2gに対し係合可能なスプライン
軸状の外周形状を有するハウジング側プレート8とが交
互に挿着されることにより複数のハウジング側プレート
8が軸方向所定の間隔を保持した状態で環状ハウジング
2に対し回転方向に固定されると共に、環状ハウジング
2に対し複数のハウジング側プレート3と環状スペーサ
7の全体が一体に軸方向相対移動可能な状態に組み付け
られている。
【0015】前記ハウジング側プレート8は、図3およ
び図5にその詳細を示すように、スプライ軸状の外周縁
部側が完全な円形ではなく、その上部と下部とに切欠部
8b、8cが形成された非円形に形成されている。
【0016】なお、前記回転軸側プレート3とハウジン
グ側プレート8とは、交互に組み付けられることによ
り、両プレート3、8は粘性流体が充填された環状ハウ
ジング2内において交互に配置され、図9にもその詳細
を示すように、その側面同士が所定のクリアランスδ
1 、δ2 を有して軸方向に対面した状態となっている。
従って、各クリアランスδ1 、δ2 には粘性流体が充満
された状態となっている。また、前述のように、前記回
転軸側プレート3とハウジング側プレート8とは、交互
に組み付けられた状態においては、回転軸側プレート3
およびハウジング側プレート8の各上下両切欠部3b、
3c、8b、8cにより、組み付けた状態において、環
状スペーサ4の内周面との間に軸方向に粘性流体の流通
を可能とする充填流路が形成された状態となる。
【0017】環状ハウジング2の左側端面側壁2cの内
面とこれと対面するハウジング側プレート8および回転
軸側環状スペーサ4外周との間には、外周側環状セット
プレート9および内周側環状セットプレート10を介し
て押圧部材を構成するセットスプリング11が介装され
ている。このセットスプリング11は、図6および図7
に示すように、環状の板ばね材の外周部と内周部を交互
にそれぞれ4箇所づつ打ち起こすことにより、外周ばね
部11aと内周ばね部11bとが形成された構造となっ
ている。
【0018】環状ハウジング2における右側端面側壁2
dの内面には、外周側環状セットプレート15および内
周側環状セットプレート14に当接してハウジング側プ
レート8および回転軸側プレート3の軸方向移動を受け
止める外周側温度補償部材12と内周側温度補償部材1
3とで構成される温度補償機構が介装されている。この
外周側温度補償部材12と内周側温度補償部材13は互
いに軸方向線膨張係数が異なる材料により環状に形成さ
れている。なお、この発明の実施の形態1では内周側温
度補償部材13よりも外周側温度補償部材12の方が線
膨張係数が大きい材料で形成されていると共に、環状ハ
ウジング2の線膨張係数よりも外周側温度補償部材12
の方が線膨張係数が大きい材料で形成されている。そし
て、外周側温度補償部材12の内周面と内周側温度補償
部材13の外周面には低温時に所定のクリアランスLを
有して軸方向に対面し、温度上昇によりクリアランスL
が埋まって線膨張係数の大きい外周側温度補償部材12
が小さい内周側温度補償部材13を伴ってハウジング側
プレート8および回転軸側プレート3方向へ軸方向移動
させる係合段部(係合部)12a、13aが形成されて
いる。なお、図1は、最低設定温度時における各部材の
位置関係を示している。
【0019】次に、発明の実施の形態1の作用を説明す
る。まず、両プレート3、8形成時における作用を図8
に基づいて説明する。回転軸側プレート3は、一般的に
図8の(イ)に示すように、所定長さ連続する帯状板材
Pから連続的に打ち抜くことにより形成されるが、この
発明の実施の形態1では、その回転軸側プレート3の外
周縁部形状が基準となる円形状態からその対向する2辺
に切欠部3b、3cを有する形状であるため、板材から
複数の回転軸側プレート3を連続的に打ち抜く場合に、
図8の(ロ)に示すように、切欠部3b、3cの分Wだ
け投入材料の長さが短くてすむことになり、従って、ぶ
止まりが良くなって回転軸側プレート3の単品コストが
低減される。なお、ハウジング側プレート8についても
同様である。
【0020】回転軸1および環状ハウジング2に対し、
回転軸側プレート3およびハウジング側プレート8を交
互に組み付けるに際しては、各回転軸側プレート3の外
周円縁部上下にそれぞれ形成された切欠部3b、3c
と、ハウジング側プレート8の外周縁部上下にそれぞれ
形成された切欠部8b、8cの位置が上下それぞれ全て
一致するようにその組み付けを行なうことにより、図1
に示すように、両各プレート3、8の外周縁部と環状ス
ペーサ4の内周面との間に軸方向に粘性流体の流通を可
能とする充填流路が上下に2つ形成された状態となる。
なお、両各プレート3、8の自動組み立てを行う場合
に、両各切欠部3b、3c、8b、8cを組み付けの際
の位置決め用切欠部として利用することにより、量産時
における品質を向上させることができる。
【0021】以上のように両プレート3、8の組み付け
を行った後、上述の回転軸1と環状ハウジング2との位
置関係で密閉室A内に粘性流体の充填作業を行うと、前
記上下2つの充填流路を経由して粘性流体が軸方向に流
れ込んだ後、各両プレート3、8相互間のクリアランス
δ1 、δ2 内に流れ込むことになるため、密閉室A内全
体への粘性流体の回り込みが迅速に行われ、これによ
り、粘性流体の充填作業がスムーズに行われる。
【0022】次に、温度補償機構による温度補償作用を
図9〜図13に基づいて説明する。 (イ)最低設定温度時 この発明の実施の形態のロータリダンパでは、上述のよ
うに構成されるため、設計時の最低設定温度状態にある
時(以下、低温時という)は、図1および図9に示すよ
うに、各回転軸側の回転軸側プレート3の左右各側面
と、これとそれぞれ対面する環状ハウジング側のハウジ
ング側プレート3との両クリアランスδ1、δ2 が同一と
なるように設定されている。
【0023】この状態で回転軸1と環状ハウジング2と
が相対回転すると、互いに隣接した両プレート3、8が
相対回転するもので、両プレート3、8相互間の両クリ
アランスδ1 、δ2 内に充満された粘性流体が相対回転
速度に応じた流速で強制移動する際に粘性摩擦力を発生
し、この粘性摩擦力による粘性抵抗によって所定の減衰
力を発生させる。
【0024】なお、図12(イ)、(ロ) は前記両プレート
3、8相互間の両クリアランスδ1 、δ2 変化に対する
発生トルク(減衰力)の可変特性図を示すものであり、
図12(イ) の実線がクリアランスδ1 側の発生トルクT
1 、点線がクリアランスδ2 側で発生するトルクT2
示し、図12(ロ) は前記両発生トルクT1 、T2 の合計
発生トルクTを示している。即ち、この図に示すよう
に、両プレート3、8相互間の両クリアランスδ1 、δ
2 が同一の状態(低温時)におけるロータリダンパの発
生減衰力が最も小さく、両クリアランスδ1 、δ2 がい
ずれの方向に変化しても発生減衰力が増加する方向に変
化する。
【0025】(ロ)中間設定温度時 設計時の中間設定温度状態にある時(以下、常温時とい
う)、即ち、上述の低温状態から高温が上昇する方向に
変化すると、粘性流体の粘度が低下するため、発生減衰
力が低下する方向に変化することになる。即ち、ロータ
リダンパの発生減衰力は次式(1) に示すように、粘性流
体の粘度に比例して変化する。減衰力=(粘性流体の粘
度×相対回転速度×対向面積)÷隙間・・・・・・・・(1)そし
て、粘性流体の粘度はその温度によって大きく変化する
ため、減衰力も温度変化に応じて大きく変動することに
なり、従って、車両の乗り心地が温度によって変動して
しまう。
【0026】ところが、この発明の実施の形態では、外
周側温度補償部材12および内周側温度補償部材13に
より両クリアランスδ1 、δ2 (隙間)を変化させるこ
とにより、温度変化による粘性流体の粘度低下による発
生減衰力低下分を補償することができるもので、以下、
両温度補償部材12、13による温度補償作用について
説明する。
【0027】粘性流体の温度が低温状態にある時には、
前述のように外周側温度補償部材12と内周側温度補償
部材13との間に形成された両係合部段部12a、13
aとの間には所定のクリアランスLが形成されているた
め、粘性流体の温度が上昇すると、図10に示すよう
に、線膨張係数の異なる外周側温度補償部材12および
内周側温度補償部材13が軸方向に膨張することでハウ
ジング側プレート8および回転軸側プレート3をそれぞ
れ軸方向(図面左方向)に押圧移動させ、これにより、
線膨張係数差分だけ両プレート3、8相互間のクリアラ
ンスδ1 、δ2 の内の一方のクリアランスδ2 を減少さ
せるため、両プレート3、8の相対回転による粘性抵抗
が上昇し、粘性流体の温度上昇による減衰力低下が自動
修正される。
【0028】そして、粘性流体が設計時の中間設定温度
になった時点では、図10に示すように、前記所定のク
リアランスLがなくなって両係合段部12a、13aが
互いに係合するように設定されている。
【0029】(ハ)最高設定温度時 設計時の最高設定温度状態にある時(以下、高温時とい
う)、即ち、上述の常温状態から粘性流体の温度がさら
に上昇する方向に変化すると、粘性流体の粘度がさらに
低下するため、発生減衰力が低下する方向に変化するこ
とになる。
【0030】ところが、粘性流体が設計時の中間設定温
度になった時点では、前記所定のクリアランスLがなく
なって両係合段部12a、13aが互いに係合した状態
となっているため、この常温状態から粘性流体の温度が
さらに上昇すると、線膨張係数の大きい方の外周側温度
補償部材12が線膨張係数の小さい方の内周側温度補償
部材13を伴って軸方向(図の左方向)に移動させるた
め、前記所定のクリアランスLが存在している場合に比
べ内周側温度補償部材13の軸方向移動量が大きくな
り、従って、温度変化に対するクリアランスδ2 の減少
率が低温時〜常温時の温度変化時における場合に比べて
低下することになる。即ち、図13に示すように温度変
化に対する両クリアランスδ1 、δ2 の可変特性を常温
時を境にしてその変化率が変化する非線形特性とするこ
とができる。
【0031】以上のように、温度変化に対する両クリア
ランスδ1 、δ2 の可変特性を非線形特性とすることが
できるため、減衰力変動補正特性を、温度変化に対し非
線形的に変化する粘性流体の粘度(減衰力)変化特性に
近付けることができる。
【0032】以上説明してきたように、この発明の実施
の形態1のロータリダンパによれば、両プレート3、8
の外周縁部側が完全な円形ではなく、その上部と下部と
にそれぞれ切欠部3b、3c、8b、8cが形成された
構成としたことで、この両切欠部3b、3c、8b、8
cの位置を上下でそれぞれ軸方向に一致させることで、
密閉室A内に粘性流体を注入充填する際に各切欠部3
b、3c、8b、8cが各クリアランスδ1 、δ2 相互
間を軸方向に直結する連通路として作用し、これによ
り、密閉室A内全体への粘性流体の回り込みが早くなっ
て、粘性流体の充填作業がスムースに行われるようにな
るという効果が得られる。
【0033】また、両各プレート3、8の外周縁部が完
全な円形ではなく、その上下に切欠部3b、3c、8
b、8cが形成された形状であるため、板材から複数の
プレートを連続的に打ち抜く場合に、両切欠部3b、3
c、8b、8cの分だけ投入材料の面積が狭くてすみ、
これにより、ぶ止まりが良くなってプレートの単品コス
トを低減することができるよになるという効果が得られ
る。
【0034】また、両切欠部3b、3c、8b、8cを
両各プレート3、8の自動組立を行う際の位置決め用と
して利用することにより、量産時における品質を向上さ
せることができるようになるという効果が得られる。
【0035】また、温度変化に対するクリアランスδ2
の可変特性を常温時を境にしてその変化率が変化する非
線形特性とすることができるため、温度変化に基づく減
衰力変化に対応した補正が可能になるという効果が得ら
れる。
【0036】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。なお、この他の発明の実施の形態の説明にあた
っては、前記発明の実施の形態1と同様の構成部分の図
示を省略しもしくは同一の符号を付してその説明を省略
し、相違点についてのみ説明する。
【0037】(発明の実施の形態2)この発明の実施の
形態2のロータリダンパーは、前記発明の実施の形態1
において両各プレート3、8における外周縁部の上部と
下部にそれぞれ切欠部3b、3c、8b、8cが形成さ
れるのに対し、図14〜図17に示すように、左右両側
縁部にもそれそれ切欠部3d、3e、8d、8eを形成
するようにした例を示すものである。
【0038】以上のように切欠部の形成個所を多くする
ことにより、粘性流体を注入充填する際の作業性をさら
に高めることができると共に、両各プレート3、8の単
品コストをさらに低下させることができるようになる。
【0039】以上、発明の実施の形態を図面に基づいて
説明してきたが、具体的な構成はこの発明の実施の形態
に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0040】例えば、発明の実施の形態では、車両にお
けるロア−アームの回転軸受け部等に設けられる場合を
例にとったが、その他、任意部材相互間の相対運動を回
転方向において減衰する場合に本発明を適用することが
できる。
【0041】また、発明の実施の形態では、プレートの
外周縁部に形成される切欠部を直線状に切欠したが、切
欠形状は任意であり、また、その形成個数も任意であ
る。
【0042】また、各プレートの外周形状を楕円状に形
成することにより、三日月状の切欠部としてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明請求項
1記載のロータリダンパにあっては、上述のように、プ
レートの外周縁部側が完全な円形ではなく、少なくとも
その一部に粘性流体の充填流路を形成するための切欠部
を有する非円形に形成されている構成としたことで、流
体室内に粘性流体を注入充填する際に各切欠部が各隙間
相互間を軸方向に直結する連通路として作用し、流体室
全体への粘性流体の回り込みが早くなるため、粘性流体
の充填作業の作業性を向上させることができるようにな
るという効果が得られる。また、請求項2記載のロータ
リダンパでは、前記各プレートの外周縁部形状を基準と
なる円形状態からその対向する2辺に切欠部を有する形
状としたことで、板材から複数のプレートを連続的に打
ち抜く場合に、両切欠部の分だけ投入材料の面積が狭く
てすみ、これにより、ぶ止まりが良くなってプレートの
単品コストを低減させることができるようになると共
に、両切欠部をプレートの自動組立を行う際の位置決め
用として利用することにより、量産時における品質を向
上させることができるようになるという効果が得られ
る。また、請求項3記載のロータリダンパでは、前記各
プレートの外周縁部形状を基準となる円形状態からその
4辺の一部に切欠部を有する形状としたことで、前記請
求項2記載のロータリダンパと同様の効果が得られると
共に、板材から複数のプレートを連続的に打ち抜く場合
に、4箇所の切欠部の分だけ投入材料の面積がさらに狭
くてすみ、これにより、ぶ止まりが良くなってプレート
の単品コストをさらに低減させることができるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のロータリダンパにおけ
る低温時の状態を示す全体断面図(図2、図3のS1−
S1線における断面図)である。
【図2】図1のS2−S2線における断面図である。
【図3】図1のS3−S3線における断面図である。
【図4】回転軸側プレートを示す平面図である。
【図5】ハウジング側プレートを示す平面図である。
【図6】セットスプリングを示す平面図である。
【図7】図6のS7−S7線における断面図である。
【図8】回転軸側プレートの連続形成状態を示す平面図
である。
【図9】発明の実施の形態1の低温時における温度補償
部材部分の詳細を示す要部拡大断面図である。
【図10】発明の実施の形態1の常温時における温度補
償部材部分の詳細を示す要部拡大断面図である。
【図11】発明の実施の形態1の高温時における温度補
償部材部分の詳細を示す要部拡大断面図である。
【図12】発明の実施の形態1の回転軸側環状プレート
と環状ハウジング側環状プレートとの間の両クリアラン
ス変化に対する発生トルク(減衰力)の可変特性図であ
る。
【図13】発明の実施の形態1の温度変化に対する粘性
流体の粘度変化特性およびクリアランス可変特性図であ
る。
【図14】発明の実施の形態2における図1のS2−S
2線における断面図である。
【図15】発明の実施の形態2における図1のS3−S
3線における断面図である。
【図16】発明の実施の形態2における回転軸側プレー
トを示す平面図である。
【図17】発明の実施の形態2におけるハウジング側プ
レートを示す平面図である。
【符号の説明】
A 密閉室(流体室) 1 回転軸 2 環状ハウジング 3 回転軸側プレート 3b 切欠部 3c 切欠部 3d 切欠部 3e 切欠部 8 ハウジング側プレート 8b 切欠部 8c 切欠部 8d 切欠部 8e 切欠部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対回転するハウジングと回転軸との間に
    粘性流体を充填した流体室が形成され、該流体室内にお
    いてハウジングの内周と回転軸の外周とにそれぞれ軸方
    向に交互に設けられていて両者の側面同士が所定の隙間
    を有して互いに対向する複数のハウジング側プレートお
    よび回転軸側プレートと、を備え、 前記プレートの外周縁部側が完全な円形ではなく、少な
    くともその一部に粘性流体の充填流路を形成するための
    切欠部を有する非円形に形成されていることを特徴とす
    るロータリダンパ。
  2. 【請求項2】前記各プレートの外周縁部形状を基準とな
    る円形状態からその対向する2辺に切欠部を有する形状
    としたことを特徴とする請求項1記載のロータリダン
    パ。
  3. 【請求項3】前記各プレートの外周縁部形状を基準とな
    る円形状態からその4辺の一部に切欠部を有する形状と
    したことを特徴とする請求項1記載のロータリダンパ。
JP2429698A 1998-02-05 1998-02-05 ロータリダンパ Pending JPH11223234A (ja)

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