JPH11223233A - ロータリダンパ - Google Patents
ロータリダンパInfo
- Publication number
- JPH11223233A JPH11223233A JP2591498A JP2591498A JPH11223233A JP H11223233 A JPH11223233 A JP H11223233A JP 2591498 A JP2591498 A JP 2591498A JP 2591498 A JP2591498 A JP 2591498A JP H11223233 A JPH11223233 A JP H11223233A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- housing
- plate
- rotary damper
- damping force
- viscous fluid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】大幅なコストアップおよび機構の大型化を招く
ことなしに、特に、相対回転速度が早い高速度域におい
て回転方向によって異なる減衰力を発生させることがで
き、これにより、サスペンション用ダンパに適用した場
合に、伸側と圧側との減衰力特性を独立して設定するこ
とができ、かつ、車載性に優れたロータリダンパの提
供。 【解決手段】相対回転するハウジング2と回転軸1との
間に粘性流体Hと所定量の空気Eとを充填した流体室A
が形成され、流体室A内においてハウジング2の内周と
回転軸1の外周とにそれぞれ軸方向に交互に設けられて
いて両者の側面同士が所定のクリアランスδ1 、δ2 を
有して互いに対向する複数のハウジング側プレート8お
よび回転軸側プレート3と、を備え、ハウジング側プレ
ート8の側面に、プレートの半径方向線rに対し所定の
角度をもって傾斜状にスリット80が形成されている。
ことなしに、特に、相対回転速度が早い高速度域におい
て回転方向によって異なる減衰力を発生させることがで
き、これにより、サスペンション用ダンパに適用した場
合に、伸側と圧側との減衰力特性を独立して設定するこ
とができ、かつ、車載性に優れたロータリダンパの提
供。 【解決手段】相対回転するハウジング2と回転軸1との
間に粘性流体Hと所定量の空気Eとを充填した流体室A
が形成され、流体室A内においてハウジング2の内周と
回転軸1の外周とにそれぞれ軸方向に交互に設けられて
いて両者の側面同士が所定のクリアランスδ1 、δ2 を
有して互いに対向する複数のハウジング側プレート8お
よび回転軸側プレート3と、を備え、ハウジング側プレ
ート8の側面に、プレートの半径方向線rに対し所定の
角度をもって傾斜状にスリット80が形成されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両にお
けるロア−アームまたはアッパーアームの回転軸受け部
等に設けられることにより、アームの回転を減衰するロ
ータリダンパに関する。
けるロア−アームまたはアッパーアームの回転軸受け部
等に設けられることにより、アームの回転を減衰するロ
ータリダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ロータリダンパとしては、例え
ば、特開昭64−12150号公報に記載のものが知ら
れている。この従来例のロータリダンパは、内部に粘性
流体が充填された流体室を有するハウジングと、このハ
ウジングの流体室内においてハウジングに対し相対回転
可能でかつ軸方向移動が所定量だけ可能な状態に設けら
れた回転軸と、前記流体室内において回転軸の外周とハ
ウジングの内周とにそれぞれ支持されていて両者の側面
同士が所定の隙間を有して互いに回転軸の軸方向に対向
する複数の回転軸側およびハウジング側プレートを有
し、前記ハウジングと回転軸側プレートとの間には、温
度変化により回転軸側プレートをハウジングに対し軸方
向相対移動させることで前記隙間を調整する温度補償機
構を備えた構成となっている。
ば、特開昭64−12150号公報に記載のものが知ら
れている。この従来例のロータリダンパは、内部に粘性
流体が充填された流体室を有するハウジングと、このハ
ウジングの流体室内においてハウジングに対し相対回転
可能でかつ軸方向移動が所定量だけ可能な状態に設けら
れた回転軸と、前記流体室内において回転軸の外周とハ
ウジングの内周とにそれぞれ支持されていて両者の側面
同士が所定の隙間を有して互いに回転軸の軸方向に対向
する複数の回転軸側およびハウジング側プレートを有
し、前記ハウジングと回転軸側プレートとの間には、温
度変化により回転軸側プレートをハウジングに対し軸方
向相対移動させることで前記隙間を調整する温度補償機
構を備えた構成となっている。
【0003】即ち、この従来例のロータリダンパでは、
回転軸側プレートとハウジング側プレートとが相対回転
する時、両者間に充満された高粘度の粘性流体が相対回
転速度に応じた流速で強制移動され、その際に粘性流体
の粘度に応じた粘性摩擦力を発生し、この粘性抵抗が減
衰力となるものである。また、粘性流体の温度が変化す
ると、温度補償部材が回転軸側プレートを移動させるこ
とで隙間を調整し、これにより、粘性流体の温度変化に
よる発生減衰力変動を自動修正するようになっている。
回転軸側プレートとハウジング側プレートとが相対回転
する時、両者間に充満された高粘度の粘性流体が相対回
転速度に応じた流速で強制移動され、その際に粘性流体
の粘度に応じた粘性摩擦力を発生し、この粘性抵抗が減
衰力となるものである。また、粘性流体の温度が変化す
ると、温度補償部材が回転軸側プレートを移動させるこ
とで隙間を調整し、これにより、粘性流体の温度変化に
よる発生減衰力変動を自動修正するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サスペ
ンション用ダンパは、搭乗者の乗り心地を良くするた
め、その伸び方向(伸側)の減衰力の方が圧縮方向(圧
側)の減衰力よりも高く設定されるのが一般的であり、
例えば、図19の一般的なサスペンション用ダンパのピ
ストン速度に対する減衰力特性図に示すように、減衰力
の比率が伸側と圧側とで3対1になるように設定されて
いる。ところが、上述の従来例のロータリダンパにおい
ては、アーム側フィンの回転方向に関わらず、同一の減
衰特性であるため、図20の従来例のロータリダンパの
相対回転速度に対する減衰力特性図に示すように、減衰
力の比率が伸側と圧側とで1対1となるため、サスペン
ション用のダンパには適さないという問題があった。こ
の対策として、特開平4−81311号公報に示すよう
なロータリダンパの取付構造が知られている。これは、
内側には円周方向に固定板を多数並列させて配設したケ
ーシング内に、この固定板に対応させて多数の回転板
を、前記固定板に1つおきに並設させた回転軸を配置
し、前記ケーシング内に粘性流体を充満させたロータリ
ダンパの取付構造において、前記ロータリダンパを車体
のボディとサスペンションアームとの連結部に設置する
ものであって、サスペンションアームの両端部には同一
軸線上に、左右で一対の回転軸を設け、前記回転軸に対
応させて車体のボディの2箇所に一対の互いに平行なブ
ラケットを配設し、前記左右の回転軸には互いに逆方向
にクラッチが駆動するように設定したワンウェイクラッ
チを介してロータリダンパを組み付け、圧側ロータリダ
ンパと伸側ロータリダンパとに形成して取り付けた構造
とすることにより、伸側と圧側との減衰力特性を独立し
て設定することができるようにしたものである。しかし
ながら、上記のようなロータリダンパの取付構造にあっ
ては、車体のボディと各サスペンションアームとの連結
部に、それぞれ2組のワンウェイクラッチとロータリダ
ンパとを組み付ける機構であるため、部品点数の増加に
よりコストアップを招くと共に、各ワンウェイクラッチ
はロータリダンパとは別体で軸方向に組み付けられるも
のであるため、軸方向の寸法が大きくなって機構が大型
化し、車載性が悪いという問題があった。
ンション用ダンパは、搭乗者の乗り心地を良くするた
め、その伸び方向(伸側)の減衰力の方が圧縮方向(圧
側)の減衰力よりも高く設定されるのが一般的であり、
例えば、図19の一般的なサスペンション用ダンパのピ
ストン速度に対する減衰力特性図に示すように、減衰力
の比率が伸側と圧側とで3対1になるように設定されて
いる。ところが、上述の従来例のロータリダンパにおい
ては、アーム側フィンの回転方向に関わらず、同一の減
衰特性であるため、図20の従来例のロータリダンパの
相対回転速度に対する減衰力特性図に示すように、減衰
力の比率が伸側と圧側とで1対1となるため、サスペン
ション用のダンパには適さないという問題があった。こ
の対策として、特開平4−81311号公報に示すよう
なロータリダンパの取付構造が知られている。これは、
内側には円周方向に固定板を多数並列させて配設したケ
ーシング内に、この固定板に対応させて多数の回転板
を、前記固定板に1つおきに並設させた回転軸を配置
し、前記ケーシング内に粘性流体を充満させたロータリ
ダンパの取付構造において、前記ロータリダンパを車体
のボディとサスペンションアームとの連結部に設置する
ものであって、サスペンションアームの両端部には同一
軸線上に、左右で一対の回転軸を設け、前記回転軸に対
応させて車体のボディの2箇所に一対の互いに平行なブ
ラケットを配設し、前記左右の回転軸には互いに逆方向
にクラッチが駆動するように設定したワンウェイクラッ
チを介してロータリダンパを組み付け、圧側ロータリダ
ンパと伸側ロータリダンパとに形成して取り付けた構造
とすることにより、伸側と圧側との減衰力特性を独立し
て設定することができるようにしたものである。しかし
ながら、上記のようなロータリダンパの取付構造にあっ
ては、車体のボディと各サスペンションアームとの連結
部に、それぞれ2組のワンウェイクラッチとロータリダ
ンパとを組み付ける機構であるため、部品点数の増加に
よりコストアップを招くと共に、各ワンウェイクラッチ
はロータリダンパとは別体で軸方向に組み付けられるも
のであるため、軸方向の寸法が大きくなって機構が大型
化し、車載性が悪いという問題があった。
【0005】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、大幅なコストアップおよび機構の大型
化を招くことなしに、特に、相対回転速度が早い高速度
域において回転方向によって異なる減衰力を発生させる
ことができ、これによりサスペンション用ダンパに適用
した場合に、伸側と圧側との減衰力特性を独立して設定
することができ、かつ、車載性に優れたロータリダンパ
を提供することを目的とする。
なされたもので、大幅なコストアップおよび機構の大型
化を招くことなしに、特に、相対回転速度が早い高速度
域において回転方向によって異なる減衰力を発生させる
ことができ、これによりサスペンション用ダンパに適用
した場合に、伸側と圧側との減衰力特性を独立して設定
することができ、かつ、車載性に優れたロータリダンパ
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明請求項1記載のロータリダンパは、相対回転す
るハウジングと回転軸との間に粘性流体と所定量の気体
とを充填した流体室が形成され、該流体室内においてハ
ウジングの内周と回転軸の外周とにそれぞれ軸方向に交
互に設けられていて両者の側面同士が所定の隙間を有し
て互いに対向する複数のハウジング側プレートおよび回
転軸側プレートと、を備え、前記ハウジング側プレート
または回転軸側プレートのいずれか一方の少なくとも一
部のプレートの側面に、該プレートの半径方向線に対し
所定の角度をもって傾斜状に溝が形成されている手段と
した。請求項2記載のロータリダンパでは、請求項1記
載のロータリダンパにおいて、前記溝がプレートの両面
に貫通するスリットで構成されている手段とした。
に本発明請求項1記載のロータリダンパは、相対回転す
るハウジングと回転軸との間に粘性流体と所定量の気体
とを充填した流体室が形成され、該流体室内においてハ
ウジングの内周と回転軸の外周とにそれぞれ軸方向に交
互に設けられていて両者の側面同士が所定の隙間を有し
て互いに対向する複数のハウジング側プレートおよび回
転軸側プレートと、を備え、前記ハウジング側プレート
または回転軸側プレートのいずれか一方の少なくとも一
部のプレートの側面に、該プレートの半径方向線に対し
所定の角度をもって傾斜状に溝が形成されている手段と
した。請求項2記載のロータリダンパでは、請求項1記
載のロータリダンパにおいて、前記溝がプレートの両面
に貫通するスリットで構成されている手段とした。
【0007】請求項3記載のロータリダンパでは、請求
項1または2に記載のロータリダンパにおいて、前記溝
が円弧状に形成されている手段とした。請求項4記載の
ロータリダンパでは、請求項1〜3のいずれかに記載の
ロータリダンパにおいて、前記溝がプレートの内周縁部
または外周縁部まで形成されている手段とした。請求項
5記載のロータリダンパでは、請求項1〜4のいずれか
に記載のロータリダンパにおいて、前記溝の幅が一方の
端部に向かうにつれて細くなるように形成されている手
段とした。
項1または2に記載のロータリダンパにおいて、前記溝
が円弧状に形成されている手段とした。請求項4記載の
ロータリダンパでは、請求項1〜3のいずれかに記載の
ロータリダンパにおいて、前記溝がプレートの内周縁部
または外周縁部まで形成されている手段とした。請求項
5記載のロータリダンパでは、請求項1〜4のいずれか
に記載のロータリダンパにおいて、前記溝の幅が一方の
端部に向かうにつれて細くなるように形成されている手
段とした。
【0008】
【作用】この発明請求項1記載のロータリダンパでは、
上述のように構成されるため、回転軸とハウジングとが
相対回転すると、互いに隣接した回転軸側プレートとハ
ウジング側プレートが粘性流体が充填された流体室内に
おいて相対回転するもので、両プレート相互間の隙間に
充填された粘性流体が相対回転速度に応じた流速で強制
移動する際に粘性摩擦力を発生し、この粘性摩擦力によ
る粘性抵抗によって所定の減衰力を発生させる。そし
て、前記溝が形成された回転軸側プレートもしくはハウ
ジング側プレートの相対回転方向が、半径方向線に対す
る溝の外周側傾斜方向である時は、該プレートの相対回
転により、溝の外周側壁に沿って粘性流体をプレートの
外周側から内周側へ強制的に流動させ、これにより、粘
性摩擦力を発生させる粘性流体がプレート内周側に集め
られ外周側に粘性摩擦力をほとんど発生させない気体が
配置された状態となることから、回転軸とハウジングと
が相対回転する際の減衰力の値が小さくなる。また、溝
による粘性流体の内周方向への強制移動量は、両プレー
トの相対回転速度に比例することから、ロータリダンパ
の相対回転速度に応じて減衰力を変化させることができ
る。以上とは逆に、前記溝が形成された回転軸側プレー
トもしくはハウジング側プレートの相対回転方向が、半
径方向線に対する溝の内周側傾斜方向である時は、該プ
レートの相対回転により、溝の内周側壁に沿って粘性流
体をプレートの内周側から外周側へ強制的に流動させ、
これにより、粘性摩擦力を発生させる粘性流体がプレー
ト外周側に集められ内周側に粘性摩擦力をほとんど発生
させない気体が配置された状態となることから、回転軸
とハウジングとが相対回転する際の減衰力の値が大きく
なる。また、溝による粘性流体の外周方向への強制移動
量は、両プレートの相対回転速度に比例することから、
ロータリダンパの相対回転速度に応じて減衰力を変化さ
せることができる。請求項2記載のロータリダンパで
は、前記溝がプレートの両面に貫通するスリットで構成
されることから、プレートの打ち抜き形成の際に同時形
成することができる。また、粘性流体を強制移動させる
内外周両側壁面積が溝に比べ広くなるため、粘性流体の
取り込みがスムーズに行われ、相対回転方向の切り換わ
り時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われる。
請求項3記載のロータリダンパでは、前記溝が円弧状に
形成されているため、粘性流体の強制移動がスムーズに
行われ、相対回転方向の切り換わり時における減衰力特
性の切り換えが迅速に行われる。請求項4記載のロータ
リダンパでは、前記溝がプレートの内周縁部または外周
縁部まで形成されているため、開放された端部から溝内
への粘性流体の取り込みがスムーズに行われ、相対回転
方向の切り換わり時における減衰力特性の切り換えが迅
速に行われる。請求項5記載のロータリダンパでは、前
記溝の幅が一方の端部に向かうにつれて細くなるように
形成されているため、プレートの相対回転方向がいずれ
の方向であっても溝の幅が大きい方から粘性流体を取り
込むことができる、
上述のように構成されるため、回転軸とハウジングとが
相対回転すると、互いに隣接した回転軸側プレートとハ
ウジング側プレートが粘性流体が充填された流体室内に
おいて相対回転するもので、両プレート相互間の隙間に
充填された粘性流体が相対回転速度に応じた流速で強制
移動する際に粘性摩擦力を発生し、この粘性摩擦力によ
る粘性抵抗によって所定の減衰力を発生させる。そし
て、前記溝が形成された回転軸側プレートもしくはハウ
ジング側プレートの相対回転方向が、半径方向線に対す
る溝の外周側傾斜方向である時は、該プレートの相対回
転により、溝の外周側壁に沿って粘性流体をプレートの
外周側から内周側へ強制的に流動させ、これにより、粘
性摩擦力を発生させる粘性流体がプレート内周側に集め
られ外周側に粘性摩擦力をほとんど発生させない気体が
配置された状態となることから、回転軸とハウジングと
が相対回転する際の減衰力の値が小さくなる。また、溝
による粘性流体の内周方向への強制移動量は、両プレー
トの相対回転速度に比例することから、ロータリダンパ
の相対回転速度に応じて減衰力を変化させることができ
る。以上とは逆に、前記溝が形成された回転軸側プレー
トもしくはハウジング側プレートの相対回転方向が、半
径方向線に対する溝の内周側傾斜方向である時は、該プ
レートの相対回転により、溝の内周側壁に沿って粘性流
体をプレートの内周側から外周側へ強制的に流動させ、
これにより、粘性摩擦力を発生させる粘性流体がプレー
ト外周側に集められ内周側に粘性摩擦力をほとんど発生
させない気体が配置された状態となることから、回転軸
とハウジングとが相対回転する際の減衰力の値が大きく
なる。また、溝による粘性流体の外周方向への強制移動
量は、両プレートの相対回転速度に比例することから、
ロータリダンパの相対回転速度に応じて減衰力を変化さ
せることができる。請求項2記載のロータリダンパで
は、前記溝がプレートの両面に貫通するスリットで構成
されることから、プレートの打ち抜き形成の際に同時形
成することができる。また、粘性流体を強制移動させる
内外周両側壁面積が溝に比べ広くなるため、粘性流体の
取り込みがスムーズに行われ、相対回転方向の切り換わ
り時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われる。
請求項3記載のロータリダンパでは、前記溝が円弧状に
形成されているため、粘性流体の強制移動がスムーズに
行われ、相対回転方向の切り換わり時における減衰力特
性の切り換えが迅速に行われる。請求項4記載のロータ
リダンパでは、前記溝がプレートの内周縁部または外周
縁部まで形成されているため、開放された端部から溝内
への粘性流体の取り込みがスムーズに行われ、相対回転
方向の切り換わり時における減衰力特性の切り換えが迅
速に行われる。請求項5記載のロータリダンパでは、前
記溝の幅が一方の端部に向かうにつれて細くなるように
形成されているため、プレートの相対回転方向がいずれ
の方向であっても溝の幅が大きい方から粘性流体を取り
込むことができる、
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。 (発明の実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1
のロータリダンパを示す断面図(図2、3のS1−S1
線における断面図)、図2および図3は、図1のS2−
S2線およびS3−S3線における断面図であり、これ
らの図に示すように、この発明の実施の形態1のロータ
リダンパは、車体側に固定される回転軸1と、ロアーア
ーム側の軸受け側に連結される環状ハウジング2とを備
えている。
いて説明する。 (発明の実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1
のロータリダンパを示す断面図(図2、3のS1−S1
線における断面図)、図2および図3は、図1のS2−
S2線およびS3−S3線における断面図であり、これ
らの図に示すように、この発明の実施の形態1のロータ
リダンパは、車体側に固定される回転軸1と、ロアーア
ーム側の軸受け側に連結される環状ハウジング2とを備
えている。
【0010】前記回転軸1は、左右両端の小径部1a、
1aと中央の大径部1bとで構成され外周異径の円筒状
に形成されていて、その中央の大径部1bはスプライン
軸1cに形成され、このスプライン軸1cに対しスプラ
イン穴3aを有する回転軸側プレート3と環状スペーサ
4とが交互に装着されることにより、複数の回転軸側プ
レート3が軸方向所定の間隔を保持した状態で回転軸1
に対し回転方向に固定されると共に、回転軸1に対し複
数の回転軸側プレート3と環状スペーサ4の全体が一体
に軸方向相対移動可能な状態に組み付けられている。
1aと中央の大径部1bとで構成され外周異径の円筒状
に形成されていて、その中央の大径部1bはスプライン
軸1cに形成され、このスプライン軸1cに対しスプラ
イン穴3aを有する回転軸側プレート3と環状スペーサ
4とが交互に装着されることにより、複数の回転軸側プ
レート3が軸方向所定の間隔を保持した状態で回転軸1
に対し回転方向に固定されると共に、回転軸1に対し複
数の回転軸側プレート3と環状スペーサ4の全体が一体
に軸方向相対移動可能な状態に組み付けられている。
【0011】前記回転軸側プレート3は、図2および図
4にその詳細を示すように、薄い板材により外周縁部が
円形に形成されている。
4にその詳細を示すように、薄い板材により外周縁部が
円形に形成されている。
【0012】前記環状ハウジング2は、軸心穴2a、2
bを有する円板状の左右両端面側壁2c、2dと該両端
面側壁2c、2dの外周側を接続する円筒部2eとで構
成されている。そして、左右各端面側壁2c、2dの軸
心穴2a、2bを回転軸1における左右各小径部1a、
1aに対しベアリング5、5を介してそれぞれ装着する
と共に、その各軸心穴2a、2bの開口縁内面側を大径
部1bの左右各端面に当接させることにより、環状ハウ
ジング2が回転軸1に対し相対回転可能で軸方向移動が
阻止された状態に装着されている。
bを有する円板状の左右両端面側壁2c、2dと該両端
面側壁2c、2dの外周側を接続する円筒部2eとで構
成されている。そして、左右各端面側壁2c、2dの軸
心穴2a、2bを回転軸1における左右各小径部1a、
1aに対しベアリング5、5を介してそれぞれ装着する
と共に、その各軸心穴2a、2bの開口縁内面側を大径
部1bの左右各端面に当接させることにより、環状ハウ
ジング2が回転軸1に対し相対回転可能で軸方向移動が
阻止された状態に装着されている。
【0013】また、前記環状ハウジング2における左右
両端面側壁2c、2dの軸心穴2a、2bの開口部内に
は、両各軸心穴2a、2b内周面と左右両小径部1a、
1a外周面との間を液圧シールするシール部材6、6が
それぞれ設けられ、この両シール部材6、6により、回
転軸1外周面と環状ハウジング2との間に密閉された流
体室Aが形成されている。そして、この流体室A内に
は、図8にその詳細を示すように、シリコンオイル等の
粘性流体Hと所定量の空気(気体)Eが充填されてい
る。
両端面側壁2c、2dの軸心穴2a、2bの開口部内に
は、両各軸心穴2a、2b内周面と左右両小径部1a、
1a外周面との間を液圧シールするシール部材6、6が
それぞれ設けられ、この両シール部材6、6により、回
転軸1外周面と環状ハウジング2との間に密閉された流
体室Aが形成されている。そして、この流体室A内に
は、図8にその詳細を示すように、シリコンオイル等の
粘性流体Hと所定量の空気(気体)Eが充填されてい
る。
【0014】前記外周円筒部2eは、内面中央部に突条
部2fが形成された内周異径に形成され、前記突条部2
fを左右両端面側壁2c、2d間に挟持状態で組み付け
られると共に、外周円筒部2eの左右各開口縁部は、組
み付けの際に左右各端面側壁2c、2dの外周面側にそ
れぞれかしめることにより一体に固定され、シールリン
グ2h、2hにより左右各端面側壁2c、2dとの間が
液圧シールされるようになっている。
部2fが形成された内周異径に形成され、前記突条部2
fを左右両端面側壁2c、2d間に挟持状態で組み付け
られると共に、外周円筒部2eの左右各開口縁部は、組
み付けの際に左右各端面側壁2c、2dの外周面側にそ
れぞれかしめることにより一体に固定され、シールリン
グ2h、2hにより左右各端面側壁2c、2dとの間が
液圧シールされるようになっている。
【0015】前記外周円筒部2eの内面中央部に形成さ
れた突条部2fの内周面はスプライン穴2gに形成され
ていて、このスプライン穴2gにハウジング側環状スペ
ーサ7とスプライン穴2gに対し係合可能なスプライン
軸状の外周形状を有するハウジング側プレート8とが交
互に挿着されることにより複数のハウジング側プレート
8が軸方向所定の間隔を保持した状態で環状ハウジング
2に対し回転方向に固定されると共に、環状ハウジング
2に対し複数のハウジング側プレート8と環状スペーサ
7の全体が一体に軸方向相対移動可能な状態に組み付け
られている。
れた突条部2fの内周面はスプライン穴2gに形成され
ていて、このスプライン穴2gにハウジング側環状スペ
ーサ7とスプライン穴2gに対し係合可能なスプライン
軸状の外周形状を有するハウジング側プレート8とが交
互に挿着されることにより複数のハウジング側プレート
8が軸方向所定の間隔を保持した状態で環状ハウジング
2に対し回転方向に固定されると共に、環状ハウジング
2に対し複数のハウジング側プレート8と環状スペーサ
7の全体が一体に軸方向相対移動可能な状態に組み付け
られている。
【0016】前記ハウジング側プレート8は、図3およ
び図5にその詳細を示すように、その外周縁部が円形に
形成されると共に、その側面には、該ハウジング側プレ
ート8の両側面に貫通するスリット(溝)80が4箇所
に形成されている。そして、この各スリット80は、図
5に示すように、ハウジング側プレート8の半径方向線
rに対し90°の角度をもって傾斜する直線状に形成さ
れている。
び図5にその詳細を示すように、その外周縁部が円形に
形成されると共に、その側面には、該ハウジング側プレ
ート8の両側面に貫通するスリット(溝)80が4箇所
に形成されている。そして、この各スリット80は、図
5に示すように、ハウジング側プレート8の半径方向線
rに対し90°の角度をもって傾斜する直線状に形成さ
れている。
【0017】なお、前記回転軸側プレート3とハウジン
グ側プレート8とは、交互に組み付けられることによ
り、両プレート3、8は粘性流体Hおよび空気Eが充填
された環状ハウジング2内において交互に配置され、図
8、11にもその詳細を示すように、その側面同士が所
定のクリアランスδ1 、δ2 を有して軸方向に対面した
状態となっている。従って、各クリアランスδ1 、δ2
には粘性流体Hおよび空気Eが充満された状態となって
いる。
グ側プレート8とは、交互に組み付けられることによ
り、両プレート3、8は粘性流体Hおよび空気Eが充填
された環状ハウジング2内において交互に配置され、図
8、11にもその詳細を示すように、その側面同士が所
定のクリアランスδ1 、δ2 を有して軸方向に対面した
状態となっている。従って、各クリアランスδ1 、δ2
には粘性流体Hおよび空気Eが充満された状態となって
いる。
【0018】環状ハウジング2の左側端面側壁2cの内
面とこれと対面するハウジング側プレート8および回転
軸側環状スペーサ4外周との間には、外周側環状セット
プレート9および内周側環状セットプレート10を介し
て押圧部材を構成するセットスプリング11が介装され
ている。このセットスプリング11は、図6および図7
に示すように、環状の板ばね材の外周部と内周部を交互
にそれぞれ4箇所づつ打ち起こすことにより、外周ばね
部11aと内周ばね部11bとが形成された構造となっ
ている。
面とこれと対面するハウジング側プレート8および回転
軸側環状スペーサ4外周との間には、外周側環状セット
プレート9および内周側環状セットプレート10を介し
て押圧部材を構成するセットスプリング11が介装され
ている。このセットスプリング11は、図6および図7
に示すように、環状の板ばね材の外周部と内周部を交互
にそれぞれ4箇所づつ打ち起こすことにより、外周ばね
部11aと内周ばね部11bとが形成された構造となっ
ている。
【0019】環状ハウジング2における右側端面側壁2
dの内面には、外周側環状セットプレート15および内
周側環状セットプレート14に当接してハウジング側プ
レート8および回転軸側プレート3の軸方向移動を受け
止める外周側温度補償部材12と内周側温度補償部材1
3とで構成される温度補償機構が介装されている。この
外周側温度補償部材12と内周側温度補償部材13は互
いに軸方向線膨張係数が異なる材料により環状に形成さ
れている。なお、この発明の実施の形態1では内周側温
度補償部材13よりも外周側温度補償部材12の方が線
膨張係数が大きい材料で形成されていると共に、環状ハ
ウジング2の線膨張係数よりも外周側温度補償部材12
の方が線膨張係数が大きい材料で形成されている。そし
て、外周側温度補償部材12の内周面と内周側温度補償
部材13の外周面には低温時に所定のクリアランスLを
有して軸方向に対面し、温度上昇によりクリアランスL
が埋まって線膨張係数の大きい外周側温度補償部材12
が小さい内周側温度補償部材13を伴ってハウジング側
プレート8および回転軸側プレート3方向へ軸方向移動
させる係合段部12a、13aが形成されている。な
お、図1は、最低設定温度時における各部材の位置関係
を示している。
dの内面には、外周側環状セットプレート15および内
周側環状セットプレート14に当接してハウジング側プ
レート8および回転軸側プレート3の軸方向移動を受け
止める外周側温度補償部材12と内周側温度補償部材1
3とで構成される温度補償機構が介装されている。この
外周側温度補償部材12と内周側温度補償部材13は互
いに軸方向線膨張係数が異なる材料により環状に形成さ
れている。なお、この発明の実施の形態1では内周側温
度補償部材13よりも外周側温度補償部材12の方が線
膨張係数が大きい材料で形成されていると共に、環状ハ
ウジング2の線膨張係数よりも外周側温度補償部材12
の方が線膨張係数が大きい材料で形成されている。そし
て、外周側温度補償部材12の内周面と内周側温度補償
部材13の外周面には低温時に所定のクリアランスLを
有して軸方向に対面し、温度上昇によりクリアランスL
が埋まって線膨張係数の大きい外周側温度補償部材12
が小さい内周側温度補償部材13を伴ってハウジング側
プレート8および回転軸側プレート3方向へ軸方向移動
させる係合段部12a、13aが形成されている。な
お、図1は、最低設定温度時における各部材の位置関係
を示している。
【0020】次に、発明の実施の形態1の作用を説明す
る。まず、減衰力発生作用および相対回転方向による減
衰力変化作用を図8〜10に基づいて説明する。この発
明の実施の形態1のロータリダンパでは、上述のように
構成されるため、回転軸1とハウジング3とが相対回転
すると、図8に示すように、互いに隣接した回転軸側プ
レート3とハウジング側プレート8が粘性流体Hが充填
された流体室A内において相対回転するもので、両プレ
ート3、8相互間のクリアランスδ1 、δ2 に充填され
た粘性流体Hが相対回転速度に応じた流速で強制移動す
る際に粘性摩擦力を発生し、この粘性摩擦力による粘性
抵抗によって所定の減衰力を発生させる。
る。まず、減衰力発生作用および相対回転方向による減
衰力変化作用を図8〜10に基づいて説明する。この発
明の実施の形態1のロータリダンパでは、上述のように
構成されるため、回転軸1とハウジング3とが相対回転
すると、図8に示すように、互いに隣接した回転軸側プ
レート3とハウジング側プレート8が粘性流体Hが充填
された流体室A内において相対回転するもので、両プレ
ート3、8相互間のクリアランスδ1 、δ2 に充填され
た粘性流体Hが相対回転速度に応じた流速で強制移動す
る際に粘性摩擦力を発生し、この粘性摩擦力による粘性
抵抗によって所定の減衰力を発生させる。
【0021】そして、前記スリット80が形成されたハ
ウジング側プレート8の相対回転方向が、図9に示すよ
うに、半径方向線rに対するスリット80の外周側傾斜
方向(図において時計方向)である時は、該プレート8
の相対回転により、スリット80の外周側壁80aに沿
って粘性流体Hをプレートの外周側から内周側へ強制的
に流動させ、これにより、粘性摩擦力を発生させる粘性
流体Hがプレート内周側に集められ外周側に粘性摩擦力
をほとんど発生させない空気Eが配置された状態となる
ことから、回転軸1とハウジング2とが相対回転する際
の減衰力の値が小さくなる。また、スリット80による
粘性流体Hの内周方向への強制移動量は、両プレート
3、8の相対回転速度に比例することから、ロータリダ
ンパの相対回転速度に応じて減衰力が変化することにな
る。
ウジング側プレート8の相対回転方向が、図9に示すよ
うに、半径方向線rに対するスリット80の外周側傾斜
方向(図において時計方向)である時は、該プレート8
の相対回転により、スリット80の外周側壁80aに沿
って粘性流体Hをプレートの外周側から内周側へ強制的
に流動させ、これにより、粘性摩擦力を発生させる粘性
流体Hがプレート内周側に集められ外周側に粘性摩擦力
をほとんど発生させない空気Eが配置された状態となる
ことから、回転軸1とハウジング2とが相対回転する際
の減衰力の値が小さくなる。また、スリット80による
粘性流体Hの内周方向への強制移動量は、両プレート
3、8の相対回転速度に比例することから、ロータリダ
ンパの相対回転速度に応じて減衰力が変化することにな
る。
【0022】また、以上とは逆に、前記スリット80が
形成されたハウジング側プレート8の相対回転方向が、
図10に示すように、半径方向線rに対するスリット8
0の内周側傾斜方向(図において反時計方向)である時
は、該プレート8の相対回転により、スリット80溝の
内周側壁80bに沿って粘性流体Hをプレート8の内周
側から外周側へ強制的に流動させ、これにより、粘性摩
擦力を発生させる粘性流体Hがプレート外周側に集めら
れ内周側に粘性摩擦力をほとんど発生させない空気Eが
配置された状態となることから、回転軸1とハウジング
2とが相対回転する際の減衰力の値が大きくなる。ま
た、スリット80による粘性流体Hの外周方向への強制
移動量は、両プレート3、8の相対回転速度に比例する
ことから、ロータリダンパの相対回転速度に応じて減衰
力が変化することになる。
形成されたハウジング側プレート8の相対回転方向が、
図10に示すように、半径方向線rに対するスリット8
0の内周側傾斜方向(図において反時計方向)である時
は、該プレート8の相対回転により、スリット80溝の
内周側壁80bに沿って粘性流体Hをプレート8の内周
側から外周側へ強制的に流動させ、これにより、粘性摩
擦力を発生させる粘性流体Hがプレート外周側に集めら
れ内周側に粘性摩擦力をほとんど発生させない空気Eが
配置された状態となることから、回転軸1とハウジング
2とが相対回転する際の減衰力の値が大きくなる。ま
た、スリット80による粘性流体Hの外周方向への強制
移動量は、両プレート3、8の相対回転速度に比例する
ことから、ロータリダンパの相対回転速度に応じて減衰
力が変化することになる。
【0023】次に、温度補償機構による温度補償作用を
図11〜図15に基づいて説明する。 (イ)最低設定温度時 この発明の実施の形態1のロータリダンパでは、上述の
ように構成されるため、設計時の最低設定温度状態にあ
る時(以下、低温時という)は、図1および図11に示
すように、各回転軸側プレート3の左右各側面と、これ
とそれぞれ対面するハウジング側プレート8との両クリ
アランスδ1、δ2 が同一となるように設定されている。
図11〜図15に基づいて説明する。 (イ)最低設定温度時 この発明の実施の形態1のロータリダンパでは、上述の
ように構成されるため、設計時の最低設定温度状態にあ
る時(以下、低温時という)は、図1および図11に示
すように、各回転軸側プレート3の左右各側面と、これ
とそれぞれ対面するハウジング側プレート8との両クリ
アランスδ1、δ2 が同一となるように設定されている。
【0024】この状態で回転軸1と環状ハウジング2と
が相対回転すると、互いに隣接した両プレート3、8が
相対回転するもので、両プレート3、8相互間の両クリ
アランスδ1 、δ2 内に充満された粘性流体Hが相対回
転速度に応じた流速で強制移動する際に粘性摩擦力を発
生し、この粘性摩擦力による粘性抵抗によって所定の減
衰力を発生させる。
が相対回転すると、互いに隣接した両プレート3、8が
相対回転するもので、両プレート3、8相互間の両クリ
アランスδ1 、δ2 内に充満された粘性流体Hが相対回
転速度に応じた流速で強制移動する際に粘性摩擦力を発
生し、この粘性摩擦力による粘性抵抗によって所定の減
衰力を発生させる。
【0025】なお、図14(イ)、(ロ) は前記両プレート
3、8相互間の両クリアランスδ1 、δ2 変化に対する
発生トルク(減衰力)の可変特性図を示すものであり、
図14(イ) の実線がクリアランスδ1 側の発生トルクT
1 、点線がクリアランスδ2 側で発生するトルクT2 を
示し、図14(ロ) は前記両発生トルクT1 、T2 の合計
発生トルクTを示している。即ち、この図に示すよう
に、両プレート3、8相互間の両クリアランスδ1 、δ
2 が同一の状態(低温時)におけるロータリダンパの発
生減衰力が最も小さく、両クリアランスδ1 、δ2 がい
ずれの方向に変化しても発生減衰力が増加する方向に変
化する。
3、8相互間の両クリアランスδ1 、δ2 変化に対する
発生トルク(減衰力)の可変特性図を示すものであり、
図14(イ) の実線がクリアランスδ1 側の発生トルクT
1 、点線がクリアランスδ2 側で発生するトルクT2 を
示し、図14(ロ) は前記両発生トルクT1 、T2 の合計
発生トルクTを示している。即ち、この図に示すよう
に、両プレート3、8相互間の両クリアランスδ1 、δ
2 が同一の状態(低温時)におけるロータリダンパの発
生減衰力が最も小さく、両クリアランスδ1 、δ2 がい
ずれの方向に変化しても発生減衰力が増加する方向に変
化する。
【0026】(ロ)中間設定温度時 設計時の中間設定温度状態にある時(以下、常温時とい
う)、即ち、上述の低温状態から温度が上昇する方向に
変化すると、粘性流体Hの粘度が低下するため、発生減
衰力が低下する方向に変化することになる。即ち、ロー
タリダンパの発生減衰力は次式(1) に示すように、粘性
流体Hの粘度に比例して変化する。 減衰力=(粘性流体の粘度×相対回転速度×対向面積)÷隙間・・・・・・・・(1) そして、粘性流体Hの粘度はその温度によって大きく変
化するため、減衰力も温度変化に応じて大きく変動する
ことになり、従って、車両の乗り心地が温度によって変
動してしまう。
う)、即ち、上述の低温状態から温度が上昇する方向に
変化すると、粘性流体Hの粘度が低下するため、発生減
衰力が低下する方向に変化することになる。即ち、ロー
タリダンパの発生減衰力は次式(1) に示すように、粘性
流体Hの粘度に比例して変化する。 減衰力=(粘性流体の粘度×相対回転速度×対向面積)÷隙間・・・・・・・・(1) そして、粘性流体Hの粘度はその温度によって大きく変
化するため、減衰力も温度変化に応じて大きく変動する
ことになり、従って、車両の乗り心地が温度によって変
動してしまう。
【0027】ところが、この発明の実施の形態1では、
外周側温度補償部材12および内周側温度補償部材13
により両クリアランスδ1 、δ2 (隙間)を変化させる
ことにより、温度変化による粘性流体Hの粘度低下によ
る発生減衰力低下分を補償することができるもので、以
下、両温度補償部材12、13による温度補償作用につ
いて説明する。
外周側温度補償部材12および内周側温度補償部材13
により両クリアランスδ1 、δ2 (隙間)を変化させる
ことにより、温度変化による粘性流体Hの粘度低下によ
る発生減衰力低下分を補償することができるもので、以
下、両温度補償部材12、13による温度補償作用につ
いて説明する。
【0028】粘性流体Hの温度が低温状態にある時に
は、前述のように外周側温度補償部材12と内周側温度
補償部材13との間に形成された両係合部段部12a、
13aとの間には所定のクリアランスLが形成されてい
るため、粘性流体Hの温度が上昇すると、図12に示す
ように、線膨張係数の異なる外周側温度補償部材12お
よび内周側温度補償部材13が軸方向に膨張することで
ハウジング側プレート8および回転軸側プレート3をそ
れぞれ軸方向(図面左方向)に押圧移動させ、これによ
り、線膨張係数差分だけプレート3、8相互間のクリア
ランスδ1 、δ2の内の一方のクリアランスδ2 を減少
させるため、両プレート3、8の相対回転による粘性抵
抗が上昇し、粘性流体Hの温度上昇による減衰力低下が
自動修正される。
は、前述のように外周側温度補償部材12と内周側温度
補償部材13との間に形成された両係合部段部12a、
13aとの間には所定のクリアランスLが形成されてい
るため、粘性流体Hの温度が上昇すると、図12に示す
ように、線膨張係数の異なる外周側温度補償部材12お
よび内周側温度補償部材13が軸方向に膨張することで
ハウジング側プレート8および回転軸側プレート3をそ
れぞれ軸方向(図面左方向)に押圧移動させ、これによ
り、線膨張係数差分だけプレート3、8相互間のクリア
ランスδ1 、δ2の内の一方のクリアランスδ2 を減少
させるため、両プレート3、8の相対回転による粘性抵
抗が上昇し、粘性流体Hの温度上昇による減衰力低下が
自動修正される。
【0029】そして、粘性流体Hが設計時の中間設定温
度になった時点では、図12に示すように、前記所定の
クリアランスLがなくなって両係合段部12a、13a
が互いに係合するように設定されている。
度になった時点では、図12に示すように、前記所定の
クリアランスLがなくなって両係合段部12a、13a
が互いに係合するように設定されている。
【0030】(ハ)最高設定温度時 設計時の最高設定温度状態にある時(以下、高温時とい
う)、即ち、上述の常温状態から粘性流体Hの温度がさ
らに上昇する方向に変化すると、粘性流体Hの粘度がさ
らに低下するため、発生減衰力が低下する方向に変化す
ることになる。ところが、粘性流体Hが設計時の中間設
定温度になった時点では、前記所定のクリアランスLが
なくなって両係合段部12a、13aが互いに係合した
状態となっているため、この常温状態から粘性流体Hの
温度がさらに上昇すると、図13に示すように、線膨張
係数の大きい方の外周側温度補償部材12が線膨張係数
の小さい方の内周側温度補償部材13を伴って軸方向
(図の左方向)に移動させるため、前記所定のクリアラ
ンスLが存在している場合に比べ低温側温度補償部材1
3の軸方向移動量が大きくなり、従って、温度変化に対
するクリアランスδ2 の減少率が低温時〜常温時の温度
変化時における場合に比べて低下することになる。即
ち、図15に示すように温度変化に対する両クリアラン
スδ1 、δ2 の可変特性を常温時を境にしてその変化率
が変化する非線形特性とすることができる。
う)、即ち、上述の常温状態から粘性流体Hの温度がさ
らに上昇する方向に変化すると、粘性流体Hの粘度がさ
らに低下するため、発生減衰力が低下する方向に変化す
ることになる。ところが、粘性流体Hが設計時の中間設
定温度になった時点では、前記所定のクリアランスLが
なくなって両係合段部12a、13aが互いに係合した
状態となっているため、この常温状態から粘性流体Hの
温度がさらに上昇すると、図13に示すように、線膨張
係数の大きい方の外周側温度補償部材12が線膨張係数
の小さい方の内周側温度補償部材13を伴って軸方向
(図の左方向)に移動させるため、前記所定のクリアラ
ンスLが存在している場合に比べ低温側温度補償部材1
3の軸方向移動量が大きくなり、従って、温度変化に対
するクリアランスδ2 の減少率が低温時〜常温時の温度
変化時における場合に比べて低下することになる。即
ち、図15に示すように温度変化に対する両クリアラン
スδ1 、δ2 の可変特性を常温時を境にしてその変化率
が変化する非線形特性とすることができる。
【0031】以上のように、温度変化に対する両クリア
ランスδ1 、δ2 の可変特性を非線形特性とすることが
できるため、減衰力変動補正特性を、温度変化に対し非
線形的に変化する粘性流体の粘度(減衰力)変化特性に
近付けることができる。
ランスδ1 、δ2 の可変特性を非線形特性とすることが
できるため、減衰力変動補正特性を、温度変化に対し非
線形的に変化する粘性流体の粘度(減衰力)変化特性に
近付けることができる。
【0032】以上説明してきたように、この発明の実施
の形態1のロータリダンパによれば、ハウジング側プレ
ート8にその半径方向線rに対し90°の傾斜角をもっ
てスリット80を形成したことで、特に、相対回転速度
が早い高速度域においてその回転方向によって粘性流体
Hを内周側または外周側に移動させ、これにより、回転
方向によって異なった減衰力を発生させることができる
ため、サスペンション用ダンパに適用した場合に、伸側
と圧側との減衰力特性を独立して設定することができる
ようになるという効果が得られる。
の形態1のロータリダンパによれば、ハウジング側プレ
ート8にその半径方向線rに対し90°の傾斜角をもっ
てスリット80を形成したことで、特に、相対回転速度
が早い高速度域においてその回転方向によって粘性流体
Hを内周側または外周側に移動させ、これにより、回転
方向によって異なった減衰力を発生させることができる
ため、サスペンション用ダンパに適用した場合に、伸側
と圧側との減衰力特性を独立して設定することができる
ようになるという効果が得られる。
【0033】また、ハウジング側プレート8にスリット
80を形成するのみであるから、プレートの打ち抜き形
成の際に同時形成することができ、従って、大幅なコス
トアップを招くこともない。
80を形成するのみであるから、プレートの打ち抜き形
成の際に同時形成することができ、従って、大幅なコス
トアップを招くこともない。
【0034】また、底部を有する単なる溝ではなく両側
面に貫通するスリット80で構成することで、粘性流体
Hを強制移動させる内外周両側壁80a、80bの面積
が底部を有する単なる溝に比べ広くなるため、粘性流体
Hの取り込みがスムーズに行われ、これにより、相対回
転方向の切り換わり時における減衰力特性の切り換えが
迅速に行われるようになる。また、従来例のように逆転
機構等の余分な機構の追加を必要としないため、機構の
大型化を招くこともない。
面に貫通するスリット80で構成することで、粘性流体
Hを強制移動させる内外周両側壁80a、80bの面積
が底部を有する単なる溝に比べ広くなるため、粘性流体
Hの取り込みがスムーズに行われ、これにより、相対回
転方向の切り換わり時における減衰力特性の切り換えが
迅速に行われるようになる。また、従来例のように逆転
機構等の余分な機構の追加を必要としないため、機構の
大型化を招くこともない。
【0035】また、温度変化に対するクリアランスδ2
の可変特性を常温時を境にしてその変化率が変化する非
線形特性とすることができるため、温度変化に基づく減
衰力変化に対応した補正が可能になる。
の可変特性を常温時を境にしてその変化率が変化する非
線形特性とすることができるため、温度変化に基づく減
衰力変化に対応した補正が可能になる。
【0036】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。なお、この他の発明の実施の形態の説明に当た
っては、前記発明の実施の形態1との相違点についての
み説明し、同様の構成部分には同一の符号を付けてその
説明を省略する。
明する。なお、この他の発明の実施の形態の説明に当た
っては、前記発明の実施の形態1との相違点についての
み説明し、同様の構成部分には同一の符号を付けてその
説明を省略する。
【0037】(発明の実施の形態2)この発明の実施の
形態2のロータリダンパは、図16に示すように、ハウ
ジング側プレート8に形成される各スリット80が、ハ
ウジング側プレート8の半径方向線rに対し所定の角度
をもって傾斜すると共に、その中央部が外周方向に湾曲
する円弧状に形成された例を示すものである。
形態2のロータリダンパは、図16に示すように、ハウ
ジング側プレート8に形成される各スリット80が、ハ
ウジング側プレート8の半径方向線rに対し所定の角度
をもって傾斜すると共に、その中央部が外周方向に湾曲
する円弧状に形成された例を示すものである。
【0038】このように、各スリット80を円弧状に形
成することにより、粘性流体Hの強制移動がスムーズに
行われ、これにより、相対回転方向の切り換わり時にお
ける減衰力特性の切り換えが迅速に行われるようにな
る。
成することにより、粘性流体Hの強制移動がスムーズに
行われ、これにより、相対回転方向の切り換わり時にお
ける減衰力特性の切り換えが迅速に行われるようにな
る。
【0039】(発明の実施の形態3)この発明の実施の
形態3のロータリダンパは、図17に示すように、回転
軸側プレート3にスリット30が形成されると共に、該
各スリット30が、その中央部が外周方向に湾曲する円
弧状で、かつ、回転軸側プレート3の外周縁部で開放さ
れる位置まで形成された例を示すものである。
形態3のロータリダンパは、図17に示すように、回転
軸側プレート3にスリット30が形成されると共に、該
各スリット30が、その中央部が外周方向に湾曲する円
弧状で、かつ、回転軸側プレート3の外周縁部で開放さ
れる位置まで形成された例を示すものである。
【0040】従って、開放された端部からスリット30
内への粘性流体Hの取り込みがスムーズに行われ、これ
により、相対回転方向の切り換わり時における減衰力特
性の切り換えが迅速に行われるようになる。
内への粘性流体Hの取り込みがスムーズに行われ、これ
により、相対回転方向の切り換わり時における減衰力特
性の切り換えが迅速に行われるようになる。
【0041】(発明の実施の形態4)この発明の実施の
形態4のロータリダンパは、図18に示すように、回転
軸側プレート3にスリット30が形成されると共に、前
記のスリット30の幅を内周方向に向かうにつれて細く
なるように形成した例を示すものである。
形態4のロータリダンパは、図18に示すように、回転
軸側プレート3にスリット30が形成されると共に、前
記のスリット30の幅を内周方向に向かうにつれて細く
なるように形成した例を示すものである。
【0042】以上のように形成することにより、回転軸
側プレート3の相対回転方向がいずれの方向であっても
スリット30の幅が大きい外周側方から粘性流体Hを取
り込むことができるようになる。
側プレート3の相対回転方向がいずれの方向であっても
スリット30の幅が大きい外周側方から粘性流体Hを取
り込むことができるようになる。
【0043】以上、発明の実施の形態を図面に基づいて
説明してきたが、具体的な構成はこの発明の実施の形態
に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
説明してきたが、具体的な構成はこの発明の実施の形態
に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0044】例えば、発明の実施の形態では、車両にお
けるロア−アームの回転軸受け部等に設けられる場合を
例にとったが、その他、任意部材相互間の相対運動を回
転方向において減衰する場合に本発明を適用することが
できる。
けるロア−アームの回転軸受け部等に設けられる場合を
例にとったが、その他、任意部材相互間の相対運動を回
転方向において減衰する場合に本発明を適用することが
できる。
【0045】また、発明の実施の形態では、温度補償機
構を備えたロータリダンパに本発明を適用した例を示し
たが、温度補償機構の構成は任意であり、また、温度補
償機構を備えないロータリダンパにも本発明を適用する
ことができる。
構を備えたロータリダンパに本発明を適用した例を示し
たが、温度補償機構の構成は任意であり、また、温度補
償機構を備えないロータリダンパにも本発明を適用する
ことができる。
【0046】また、発明の実施の形態では、プレートに
形成される溝をプレートの両面に貫通するスリットで構
成した例を示したが、底面を有する単なる溝で構成して
もよい。
形成される溝をプレートの両面に貫通するスリットで構
成した例を示したが、底面を有する単なる溝で構成して
もよい。
【0047】また、発明の実施の形態3では、スリット
30を、回転軸側プレート3の外周縁部で開放される位
置まで形成した例を示したが、ハウジング側プレート8
側にスリット80を形成する場合は、該スリット80を
その内周縁部で開放される位置まで形成するようにして
もよい。
30を、回転軸側プレート3の外周縁部で開放される位
置まで形成した例を示したが、ハウジング側プレート8
側にスリット80を形成する場合は、該スリット80を
その内周縁部で開放される位置まで形成するようにして
もよい。
【0048】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明請求項
1記載のロータリダンパにあっては、上述のように、相
対回転するハウジングと回転軸との間に粘性流体と所定
量の気体とを充填した流体室が形成され、該流体室内に
おいてハウジングの内周と回転軸の外周とにそれぞれ軸
方向に交互に設けられていて両者の側面同士が所定の隙
間を有して互いに対向する複数のハウジング側プレート
および回転軸側プレートと、を備え、前記ハウジング側
プレートまたは回転軸側プレートのいずれか一方の少な
くとも一部のプレートの側面に、該プレートの半径方向
線に対し所定の角度をもって傾斜状に溝が形成されてい
る構成としたことで、大幅なコストアップおよび機構の
大型化を招くことなしに、特に、相対回転速度が早い高
速度域において回転方向によって異なる減衰力を発生さ
せることができ、これによりサスペンション用ダンパに
適用した場合に、伸側と圧側との減衰力特性を独立して
設定することができ、かつ、車載性に優れたロータリダ
ンパ提供することができるようになるという効果が得ら
れる。請求項2記載のロータリダンパでは、前記溝を、
プレートの両面に貫通するスリットで構成したため、プ
レートの打ち抜き形成の際に同時形成することができ、
これにより、プレートの単品コストを低減することがで
きるようになる。また、スリットで構成することで、粘
性流体を強制移動させる内外周両側壁面積が底部を有す
る単なる溝に比べ広くなるため、粘性流体の取り込みが
スムーズに行われ、これにより、相対回転方向の切り換
わり時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われる
ようになる。請求項3記載のロータリダンパでは、前記
溝を円弧状に形成したため、粘性流体の強制移動がスム
ーズに行われ、これにより、相対回転方向の切り換わり
時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われるよう
になる。請求項4記載のロータリダンパでは、前記溝を
プレートの内周縁部または外周縁部まで形成したため、
開放された端部から溝内への粘性流体の取り込みがスム
ーズに行われ、これにより、相対回転方向の切り換わり
時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われるよう
になる。にまる請求項5記載のロータリダンパでは、前
記溝の幅を一方の端部に向かうにつれて細くなるように
形成したため、プレートの相対回転方向がいずれの方向
であっても溝の幅が大きい方から粘性流体を取り込むこ
とができるようになる。
1記載のロータリダンパにあっては、上述のように、相
対回転するハウジングと回転軸との間に粘性流体と所定
量の気体とを充填した流体室が形成され、該流体室内に
おいてハウジングの内周と回転軸の外周とにそれぞれ軸
方向に交互に設けられていて両者の側面同士が所定の隙
間を有して互いに対向する複数のハウジング側プレート
および回転軸側プレートと、を備え、前記ハウジング側
プレートまたは回転軸側プレートのいずれか一方の少な
くとも一部のプレートの側面に、該プレートの半径方向
線に対し所定の角度をもって傾斜状に溝が形成されてい
る構成としたことで、大幅なコストアップおよび機構の
大型化を招くことなしに、特に、相対回転速度が早い高
速度域において回転方向によって異なる減衰力を発生さ
せることができ、これによりサスペンション用ダンパに
適用した場合に、伸側と圧側との減衰力特性を独立して
設定することができ、かつ、車載性に優れたロータリダ
ンパ提供することができるようになるという効果が得ら
れる。請求項2記載のロータリダンパでは、前記溝を、
プレートの両面に貫通するスリットで構成したため、プ
レートの打ち抜き形成の際に同時形成することができ、
これにより、プレートの単品コストを低減することがで
きるようになる。また、スリットで構成することで、粘
性流体を強制移動させる内外周両側壁面積が底部を有す
る単なる溝に比べ広くなるため、粘性流体の取り込みが
スムーズに行われ、これにより、相対回転方向の切り換
わり時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われる
ようになる。請求項3記載のロータリダンパでは、前記
溝を円弧状に形成したため、粘性流体の強制移動がスム
ーズに行われ、これにより、相対回転方向の切り換わり
時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われるよう
になる。請求項4記載のロータリダンパでは、前記溝を
プレートの内周縁部または外周縁部まで形成したため、
開放された端部から溝内への粘性流体の取り込みがスム
ーズに行われ、これにより、相対回転方向の切り換わり
時における減衰力特性の切り換えが迅速に行われるよう
になる。にまる請求項5記載のロータリダンパでは、前
記溝の幅を一方の端部に向かうにつれて細くなるように
形成したため、プレートの相対回転方向がいずれの方向
であっても溝の幅が大きい方から粘性流体を取り込むこ
とができるようになる。
【図1】本発明の実施の形態1のロータリダンパにおけ
る低温時の状態を示す全体断面図(図2、図3のS1−
S1線における断面図)である。
る低温時の状態を示す全体断面図(図2、図3のS1−
S1線における断面図)である。
【図2】図1のS2−S2線における断面図である。
【図3】図1のS3−S3線における断面図である。
【図4】回転軸側プレートを示す平面図である。
【図5】ハウジング側プレートを示す平面図である。
【図6】セットスプリングを示す平面図である。
【図7】図6のS7−S7線における断面図である。
【図8】両プレートの配置関係を示す要部拡大断面図で
ある。
ある。
【図9】時計方向回転時におけるスリットの作用を説明
するためのハウジング側プレートの要部拡大平面図であ
る。
するためのハウジング側プレートの要部拡大平面図であ
る。
【図10】反時計方向回転時におけるスリットの作用を
説明するためのハウジング側プレートの要部拡大平面図
である。
説明するためのハウジング側プレートの要部拡大平面図
である。
【図11】低温時における温度補償部材部分の詳細を示
す要部拡大断面図である。
す要部拡大断面図である。
【図12】常温時における温度補償部材部分の詳細を示
す要部拡大断面図である。
す要部拡大断面図である。
【図13】高温時における温度補償部材部分の詳細を示
す要部拡大断面図である。
す要部拡大断面図である。
【図14】回転軸側プレートと環状ハウジング側プレー
トとの間の両クリアランス変化に対する発生トルク(減
衰力)の可変特性図である。
トとの間の両クリアランス変化に対する発生トルク(減
衰力)の可変特性図である。
【図15】温度変化に対する粘性流体の粘度変化特性お
よびクリアランス可変特性図である。
よびクリアランス可変特性図である。
【図16】発明の実施の形態2のロータリダンパにおけ
るハウジング側プレートを示す平面図である。
るハウジング側プレートを示す平面図である。
【図17】発明の実施の形態3のロータリダンパにおけ
る回転軸側プレートを示す平面図である。
る回転軸側プレートを示す平面図である。
【図18】発明の実施の形態4のロータリダンパにおけ
る回転軸側プレートを示す平面図である。
る回転軸側プレートを示す平面図である。
【図19】一般的なサスペンション用ダンパのピストン
速度に対する減衰力特性図である。
速度に対する減衰力特性図である。
【図20】従来例のロータリダンパの相対回転速度に対
する減衰力特性図である。
する減衰力特性図である。
A 流体室 r 半径方向線 δ1 クリアランス(隙間) δ2 クリアランス(隙間) 1 回転軸 2 環状ハウジング 3 回転軸側プレート 8 ハウジング側プレート 30 スリット(溝) 80 スリット(溝)
Claims (5)
- 【請求項1】相対回転するハウジングと回転軸との間に
粘性流体と所定量の気体とを充填した流体室が形成さ
れ、該流体室内においてハウジングの内周と回転軸の外
周とにそれぞれ軸方向に交互に設けられていて両者の側
面同士が所定の隙間を有して互いに対向する複数のハウ
ジング側プレートおよび回転軸側プレートと、を備え、 前記ハウジング側プレートまたは回転軸側プレートのい
ずれか一方の少なくとも一部のプレートの側面に、該プ
レートの半径方向線に対し所定の角度をもって傾斜状に
溝が形成されていることを特徴とするロータリダンパ。 - 【請求項2】前記溝がプレートの両面に貫通するスリッ
トで構成されていることを特徴とする請求項1記載のロ
ータリダンパ。 - 【請求項3】前記溝が円弧状に形成されていることを特
徴とする請求項1または2に記載のロータリダンパ。 - 【請求項4】前記溝がプレートの内周縁部または外周縁
部まで形成されていることを特徴とする請求項1〜3の
いずれかに記載のロータリダンパ。 - 【請求項5】前記溝の幅が一方の端部に向かうにつれて
細くなるように形成されていることを特徴とする請求項
1〜4のいずれかに記載のロータリダンパ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2591498A JPH11223233A (ja) | 1998-02-06 | 1998-02-06 | ロータリダンパ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2591498A JPH11223233A (ja) | 1998-02-06 | 1998-02-06 | ロータリダンパ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11223233A true JPH11223233A (ja) | 1999-08-17 |
Family
ID=12179056
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2591498A Pending JPH11223233A (ja) | 1998-02-06 | 1998-02-06 | ロータリダンパ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11223233A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112009004796B4 (de) * | 2009-03-11 | 2013-06-27 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Viskokupplung und Aufhängungseinrichtung |
-
1998
- 1998-02-06 JP JP2591498A patent/JPH11223233A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112009004796B4 (de) * | 2009-03-11 | 2013-06-27 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Viskokupplung und Aufhängungseinrichtung |
US8672111B2 (en) | 2009-03-11 | 2014-03-18 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Viscous coupling and suspension apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20041217 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |