JPH1122207A - 耐汚染性に優れた養生ネット - Google Patents

耐汚染性に優れた養生ネット

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JPH1122207A
JPH1122207A JP9181529A JP18152997A JPH1122207A JP H1122207 A JPH1122207 A JP H1122207A JP 9181529 A JP9181529 A JP 9181529A JP 18152997 A JP18152997 A JP 18152997A JP H1122207 A JPH1122207 A JP H1122207A
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JP
Japan
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polymer
core
sheath
polyester
curing net
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JP9181529A
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Hiroki Sano
太喜 佐野
Isoo Saito
磯雄 斎藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間使用した時の汚れを軽減すると共
に、一旦汚れた養生ネットを洗濯する場合にきれいに再
生することができて、耐汚染性がきわめて優れるばかり
か、高強力、強靭性、防炎性、耐変褪色性および耐久性
などをも兼備した養生ネットを提供する。 【解決手段】 本発明の耐汚染性に優れた養生ネット
は、芯部ポリマとしてポリエステルを、鞘部ポリマとし
て弗素含量が0.05〜10.0重量%となるように含
弗素ポリマをブレンドしたポリエステルを用いてなり、
芯部ポリマの割合が40〜90重量%、鞘部ポリマの割
合が10〜60重量%である芯鞘型複合繊維を用いた実
質的織物からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築資材用の養生ネット
に関するものであり、更に詳しくは、耐汚染性がきわめ
て優れるばかりか、高強力、強靭性、防炎性、耐変褪色
性および耐久性などをも兼備した養生ネットに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、養生ネットは、建築現場などにお
いて、安全および遮蔽の目的で経張りとして用いられて
いる。
【0003】そして、養生ネットが具備すべき特性とし
ては、建築資材などの外部への落下を防止すると共に、
建築現場を遮蔽して美観を維持する目的から、高強力、
強靱性、耐変褪色性、および耐久性などが挙げられる。
また、近年建築資材として規格化されるようになった防
炎性も必要な特性である。更に、建築現場においては養
生ネットの取り扱い易さが求められており、この点で軽
量であることも重要な特性である。
【0004】かかる養生ネットとしての要求特性を満足
するものとしては、高強力で強靱性を有する産業資材用
ポリエステル繊維に、防炎性と顔料をブレンドした原着
繊維が好適であることが、特開平3−137255号公
報に開示されている。この技術を適用した養生ネット
は、それ以前に一般に採用されていた産業資材用ポリエ
ステル繊維からなる養生ネットにポリ塩化ビニル樹脂を
コーティングしたものに比較して、防炎耐久性に優れ、
軽量であり、かつ塩化ビニル樹脂のコーティング工程が
省略できるなど多くのメリットがあることから、広く実
用に供されつつある。
【0005】しかしながら、上記特開平3−13725
5号公報の技術による養生ネットは、上記の優れた特性
を有する画期的な製品として重用されている反面、この
養生ネットを長期間使用している間に汚染しやすいとい
う問題を包含していた。すなわち、上記従来の養生ネッ
トは、汚染しやすいため、汚染した養生ネットを洗濯に
より再生使用していたが、この洗濯頻度が高いばかり
か、養生ネット自体が嵩高く重量物であるために洗濯に
多大の費用がかかるばかりか、洗濯しても十分汚れが落
ちにくいなどの問題が残されていたのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0007】したがって、本発明の目的は、長期間使用
した時の汚れを軽減すると共に、一旦汚れた養生ネット
を洗濯する場合にきれいに再生することができて、耐汚
染性がきわめて優れるばかりか、高強力、強靭性、防炎
性、耐変褪色性および耐久性などをも兼備した養生ネッ
トを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の耐汚染性に優れた養生ネットは次の構成
を有する。すなわち、芯部ポリマとしてポリエステル
を、鞘部ポリマとして含弗素ポリマを弗素含量0.05
〜10.0重量%の割合でブレンドしたポリエステルを
用いてなり、芯部ポリマの割合が40〜90重量%、鞘
部ポリマの割合が10〜60重量%である芯鞘型複合繊
維からなることを特徴とする耐汚染性に優れた養生ネッ
トである。
【0009】また、本発明の耐汚染性に優れた養生ネッ
トにおいては、上記芯部ポリマとして用いるポリエステ
ルの極限粘度[η]が0.85以上であり、鞘部ポリマ
として用いるポリエステルの極限粘度[η]が0.60
以上であること、少なくとも上記鞘部ポリマとして用い
るポリエステルが、二官能性燐化合物を燐含量として
0.2〜2.0重量%含有すると共に、顔料を0.1〜
1.0重量%含有する原着ポリマからなること、上記鞘
部ポリマに含有される含弗素ポリマが、テトラフルオロ
エチレンとエチレンとを主たる構成成分とするランダム
共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニ
リデンフルオライド、ビニリデンフルオライド・テトラ
フルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体および4弗化エチレン・6弗化プ
ロピレン・弗化ビニリデン共重合体よりなる群から選ば
れた1種以上であること、および上記芯鞘型複合繊維の
表面と水との接触角が80°以上であり、デカリンとの
接触角が30°以上であることが望ましい条件であり、
これらの条件を適用した場合には一層の優れた効果を取
得することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。
【0011】本発明の養生ネットとは、養生メッシュ、
養生シートおよび安全ネットなどである。ここで、ネッ
トとは、要はネットに近い形状であればよく、編物、組
み紐、織物など組織は特に限定されない。
【0012】本発明の養生ネットを構成する繊維は、芯
部ポリマとしてポリエステルを、鞘部ポリマとして弗素
含量0.05〜10.0重量%の割合で含弗素ポリマを
ブレンドしたポリエステルを用いてなり、芯部ポリマの
割合が40〜90重量%、鞘部ポリマの割合が10〜6
0重量%である芯鞘型複合繊維である。
【0013】本発明で用いる芯鞘型複合繊維において、
芯部ポリマとしてはポリエステルが用いられるが、この
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート
(以下PETという)およびポリブチレンテレフタレー
トを主体とするものが好ましく、PETがより好まし
い。なお、ポリエステルを形成するカルボン酸成分の一
部をイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、ダイマー酸、およびスルホン酸金属塩置換イ
ソフタル酸などの他のカルボン酸成分で置き換えても良
く、グリコール成分の一部をジエチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサン
ジオールなどの他のグリコール成分で置き換えても良
い。更には、ペンタエリスリトール、トリメチロールプ
ロパン、トリメリット酸、トリメシン酸、および硼酸な
どの鎖分岐剤を少量併用することもできる。
【0014】また、好ましい他のポリエステルとして
は、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレートを挙げることができるが、
そのジカルボン酸成分の一部をイソフタル酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、ダイマー酸、およびスルホン酸金属塩置換イソフタ
ル酸などの他のカルボン酸成分で置き換えても良く、グ
リコール成分の一部をジエチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジオー
ルなどの他のグリコール成分で置き換えても良い。
【0015】芯部ポリマとしては、極限粘度[η]0.
85以上、好ましくは0.9以上の高重合度ポリエステ
ルが用いられる。すなわち、主に芯部で複合繊維の機械
的特性、つまり高強力、強靱性を受け持たせるために、
上記高重合度ポリエステルを用いることが必要である。
芯部ポリマの極限粘度[η]が0.85未満では、本発
明の養生ネット用複合繊維としての十分な強度、すなわ
ち7.5g/d以上の強度が得られないことがある。
【0016】本発明で用いる複合繊維の芯部ポリマの割
合は40〜90重量%であり、これに対応して鞘部ポリ
マの割合は10〜60重量%である。芯部ポリマの割合
が40重量%未満であると、養生ネットとして満足する
機械的特性、例えば7.5g/d以上の強度が得られな
いことがある。一方、芯部ポリマの割合が90重量%を
越える場合は、正常な芯鞘型複合繊維の製造が困難とな
る場合があるため好ましくない。
【0017】本発明で用いる芯鞘型複合繊維において、
鞘部ポリマとしては弗素含量が0.05〜10.0重量
%となるように含弗素ポリマをブレンドしたポリエステ
ルが用いられる。
【0018】ただし、鞘部ポリマのポリエステルの極限
粘度[η]は、0.65以上であれば良い。
【0019】鞘部ポリマとして用いるポリエステルは、
芯部ポリマとして用いるポリエステルと同一のポリエス
テルであることが好ましいが、芯部ポリマとは異種のポ
リエステルを組み合わせて用いることもできる。
【0020】本発明で用いる複合繊維においては、鞘部
ポリマとして、弗素含量が0.05〜10.0重量%と
なるように含弗素ポリマをブレンドしたポリエステルを
用いることが重要である。
【0021】ここで、鞘部ポリマにおいてポリエステル
にブレンドする含弗素ポリマとは、主としてポリマ分子
の主鎖に弗素原子を有する弗素系ポリマおよびポリパー
フルオロアルキル・アルキレート、ポリパーフルオロア
ルキル・メタアクリレート、パーフルオロアルキル・ア
クリレートおよび/またはパーフルオロアルキル・メタ
クリレートとヒドロキシアルキル基を含有する場合も含
めたアクリレート/またはメタアクリレートとのランダ
ムまたはプロック共重合体、o−またはm−パーフルオ
ロオキシイソフタル酸をジカルボン酸成分の少なくとも
一部分に含むポリエステルまたはポリエーテルポリエス
テルなどのポリマ分子の側鎖に弗素原子を有する弗素系
ポリマなどである。
【0022】具体的には、例えばテトラフルオロエチレ
ンとエチレンとを主たる構成成分とするランダム共重合
体(以下、ETFEという)、ポリクロロトリフルオロ
エチレン(以下、PCTFEという)、ポリビニリデン
フルオライド(以下、PVdFという)、ビニリデンフ
ルオライド・テトラフルオロエチレン共重合体(以下、
2F・4Fという)、ポリテトラフルオロエチレン(以
下、PTFEという)、テトラフルオロエチレン・パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PF
Aという)、および4弗化エチレン・6弗化プロピレン
・弗化ビニリデン共重合体(以下、弗素系三元共重合ポ
リマという)などである。ETFEとしてはテトラフル
オロエチレンとエチレン以外の成分として、モノクロル
トリフルオロエチレン、パーフルオロアクリレート、パ
ーフルオロアルキルアリレート、パーフルオロアルキル
ビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、およびビ
ニリデンフルオルオライドなどの中から選ばれた1種以
上の成分を0.1〜10重量%程度共重合したものでも
良い。
【0023】これらの中から1種以上のポリマを任意に
選択し、ポリエステルにブレンドすれば良い。
【0024】ポリエステルポリマとブレンドして安定に
溶融紡糸し易く、かつ耐汚染性に優れた養生メッシュ用
複合繊維に適した含弗素ポリマとしては、なかでもET
FEおよび三元共重合ポリマが好ましい。
【0025】なお、ETFEの弗素原子の含有量はエチ
レンとテトラフルオロエチレンの1:1の共重合体の場
合の約69重量%を上限とするが、本発明の目的である
高い耐汚染性を得るためには、最低40重量%以上の弗
素原子を含有していることが好ましい。更に好ましくは
46重量%以上の弗素原子を含有しているETFEを用
いると、本発明の目的である耐汚染性効果に極めて優れ
た養生メッシュが得られる。
【0026】また、三元共重合ポリマは4弗化エチレ
ン、6弗化プロピレンおよび弗化ビニリデンの3成分が
共重合されていれば該3成分の共重合比率はいかなるも
のでも良いが、4弗化エチレン5〜80モル%、6弗化
プロピレン2〜35モル%および弗化ビニリデン5〜9
0モル%からなる弗素系三元共重合ポリマが好ましく、
4弗化エチレン30〜70モル%、6弗化プロピレン1
0〜30モル%および弗化ビニリデン10〜50モル%
からなる弗素系三元共重合ポリマが更に好ましい。 鞘
部ポリマにおいて、ポリエステルにブレンドする含弗素
ポリマの配合量は、弗素含量が0.05〜10.0重量
%、好ましくは0.5〜5.0重量%となる範囲であ
り、弗素含量が0.05重量%未満では、本発明の目的
とする耐汚染性に優れた養生ネットが得られず、また1
0.0重量%以上では、目的とする耐汚染性改良効果が
飽和するためこれ以上の配合は必要ない。
【0027】本発明に係る芯鞘型複合繊維は、その鞘部
ポリマにブレンドした含弗素ポリマにより、本発明の目
的とする耐汚染性効果を発現する。耐汚染性の実用的な
評価は、上記芯鞘型複合繊維から養生メッシュを製造
し、長期間使用後の汚れ具合および洗濯後の再生の状態
を観察する実用テストによって確認できるが、モデル的
な耐汚染性評価については、養生メッシュ用原糸の表面
で測定したデカリンとの接触角(耐油性物汚染性)およ
び水との接触角(耐水溶性物汚染性)によって推定する
ことができる。
【0028】すなわち、本発明に係る芯鞘型複合繊維
は、水との接触角が80°以上、好ましくは85°以
上、デカリンとの接触角が30°以上、好ましくは35
°以上であることによって、優れた耐汚染性を発現可能
である。
【0029】ここで、水との接触角が80°未満では、
水を吸着し易いため、水溶性の汚染物質によって汚染さ
れ易い。また、デカリンとの接触角が30°未満では、
油性物質を吸収し易いことを意味し、一般に親油性物質
によって汚染され易くなるため好ましくない。
【0030】更に、本発明で用いる複合繊維は、ポリエ
ステルに二官能性燐化合物を、燐含量として0.2〜
2.0重量%、特に0.5〜1.5重量%含有させると
共に、顔料を0.1〜2.0重量%、特に0.3〜1.
5重量%含有する原着ポリエステルを用いたものである
ことが望ましい。
【0031】ここで、ポリエステルに含有せしめる二官
能性燐化合物が0.2重量%未満の場合には、芯鞘型複
合繊維の防炎性を十分満足することができず、また2.
0重量%を越える場合には、7.5g/d以上の強度を
有する芯鞘型複合繊維が得られないことがある。
【0032】本発明の養生ネットに防炎性を付与するた
めに、複合繊維に含有せしめる二官能性燐化合物として
は、下記(1)、(2)、(3)式で示される化合物が
挙げられる。
【0033】
【化1】
【化2】
【化3】 (ただし、式中のR1 、R6 は同じかまたは異なる基で
あつて、炭素数1〜18の炭化水素基を表し、R2 、R
3 はそれぞれ同じかまたは異なる基であって、炭素数1
〜18の炭化水素基または水素原子を表し、A1 は2価
の有機基、A2は3価の有機残基を表し、R4 はカルボ
キシル基またはそのエステルを表し、R5 はカルボキシ
ル基またはそのエステルあるいは互いに−CO−CO−
で示される基を介してA2 と環を形成する二価のエステ
ル形成官能基を表す。) 上記の式(1)で示される二官能性燐化合物の好ましい
例としては、フェニルホスホン酸ジメチルおよびフェニ
ルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。
【0034】上記の式(2)で示される二官能性燐化合
物の好ましい例としては、(2−カルボキシエチル)メ
チルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニル
ホスフィン酸、(2−メトキシカルボキシルエチル)フ
ェニルホスフィン酸メチル、(4−メトキシカルボキシ
ルエチル)フェニルホスフィン酸メチルおよび(2−
(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル)メチル
ホスフィン酸のエチルグリコ−ルエステルなどが挙げら
れる。
【0035】上記の式(3)で示される二官能性燐化合
物の好ましい例としては、(1、2−ジカルボキシルエ
チル)ホスフィンオキシド、(2、3−ジメトキシカル
ボニルエチル)ジメチルホスフィンオキシドおよび
(1、2−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ジ
メチルホスフィンオキシド)などが挙げられる。
【0036】上記の式(1)、(2)、(3)に示した
化合物の中でも、特に式(2)の二官能性燐化合物が、
ポリエステルとの共重合反応性が良く、重縮合反応時の
飛散が少ないことなどから好ましく用いられる。
【0037】また、本発明の養生ネットに所望の色調を
付与するために、ポリエステルに原着含有せしめる顔料
としては、シアニン系、スチレン系、フタロシアニン
系、アンスラキノン系、ベリノン系、イソインドリノン
系、キノフタロン系、キノクリドン系およびチオインデ
ィゴ系などの有機系顔料および無機系顔料などが挙げら
れる。
【0038】すなわち、上記顔料の1種以上をポリエス
テルにブレンドして原着用マスターチップを作り、この
原着マスターチップを適当量ベースポリエステルチップ
にブレンドして原着繊維を製造する。
【0039】本発明に係る芯鞘型複合繊維のポリエステ
ルに含有させる顔料の濃度は、0.1〜2.0重量%で
ある。顔料濃度が0.1重量%未満では、十分な着色が
できないことがあり、2.0重量%を越えると、着色度
が飽和し、むしろ製糸工程で糸切れなどを生じて収率を
低下させる原因となるため好ましくない。
【0040】本発明で用いる芯鞘型複合繊維に含有せし
める上記防炎性を付与するための二官能性燐化合物およ
び原着繊維とするための顔料は、複合繊維の芯部ポリマ
および鞘部ポリマに均等に含有せしめても良いが、芯部
ポリマと鞘部ポリマの含有量に差をつけることもでき
る。特に、着色効果および防炎効果は、鞘部ポリマに高
濃度に含有させておいた方がむしろ有利である。上記し
たように、本発明で用いる芯鞘型複合繊維は、鞘部ポリ
マに含弗素含有ポリマを必須成分としてブレンドしてい
るので、二官能性燐化合物および顔料とも全てを鞘部ポ
リマに含有させ、芯部ポリマをポリエステルのみとする
ことが最も好ましい。すなわち、芯部ポリマに複合繊維
の高強力、強靱性などの機械的特性を受けもたせ、鞘部
ポリマに耐汚染性、防炎性および着色を受け持たせるこ
とにより、本発明が目的とする効果を最も顕著に発現さ
せることができる。
【0041】本発明の養生ネットは高強力で強靱であ
り、耐久性にも優れていることが特徴であり、そのため
には、本発明の養生ネットに供される芯鞘型複合繊維の
強度は7.5g/d以上、通常は8.0g/d以上の高
強度であることが必要である。
【0042】したがって、このような高強度の芯鞘型複
合繊維を得るためには、上述した芯部ポリマおよび鞘部
ポリマの極限粘度、芯部と鞘部の複合比率、芯部ポリマ
および/または鞘部ポリマに含有せしめる含弗素ポリ
マ、二官能性燐化合物および顔料などの配合量を、上記
した本発明の規定範囲内にすることが必要である。
【0043】以上の特徴を有する本発明に係る芯鞘型複
合繊維を用いてなる耐汚染性に優れた養生ネットは、例
えば以下に示す方法によって製造される。
【0044】本発明に係る芯鞘型複合繊維の芯部ポリマ
としては上記ポリエステルを用い、鞘部ポリマとしては
上記したポリエステルと含弗素ポリマをブレンドしたも
のを用いる。ポリエステルと含弗素ポリマは予め混連し
たポリマを用いてもよいし、紡糸直前に計量ブレンドし
ても良い。
【0045】更に、必要に応じて、鞘部ポリマのみまた
は芯部ポリマと鞘部ポリマの両方に、二官能性燐化合物
をブレンドする。これらも予め混連したマスターペレッ
トを用いても良いし、紡糸直前に計量ブレンドしても良
い。
【0046】そして、芯部用ポリマと鞘部用ポリマをそ
れぞれ別々の溶融紡糸機で溶融した後、複合紡糸パック
に導入し、それぞれのポリマを濾過した後、複合口金を
通して芯鞘複合繊維として紡糸する。
【0047】複合口金から紡出された糸条は、直ちに冷
風で冷却固化された後、界面活性剤が付与され、次いで
所定の速度で回転するローラに捲回して引き取られる。
【0048】次いで、引き取った未延伸糸を一旦巻取る
ことなく連続して延伸する。延伸は1段、または2段以
上の多段で行なう。特に7.5g/d以上の高い強度が
必要なため多段延伸が好ましい。延伸条件としては、通
常、熱延伸法が採用され、150℃以上〜ポリマ融点ま
での温度を付与して4倍以上、通常は4.5倍以上に延
伸する。
【0049】熱延伸された糸条は、上記熱延伸と同様の
温度で適度な弛緩を与えながら熱処理され、巻き取られ
る。
【0050】紡糸速度は300m/分以上、好ましくは
500m/分以上、延伸速度は2000m/分以上、好
ましくは3000m/分以上で行なう。
【0051】以上の方法によって、本発明に係る芯鞘型
複合繊維が得られるが、この複合繊維は養生ネット用原
糸としてそのまま用いることができる。
【0052】本発明に係る養生ネットは、上記の芯鞘型
複合繊維を、通常の養生ネットの製造工程、すなわち撚
糸、製織、ヒートセットなどの工程からなり、かつ従来
の塩可ビニル樹脂をコーティングしない養生ネットの製
造工程と同様の方法で製造することがきる。
【0053】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に説明するため
実施例を示すが、本文および実施例において用いた強伸
度、耐変褪色性、防炎性、耐汚染性(撥水・撥油性)な
どの定義、測定法などは以下の通りである。
【0054】[極限粘度(IV)]オストワルド粘度計
を用いてオルソクロロフェノール100mlに対して試
料8g溶解した溶液の相対粘度(ηr)を25℃で測定
し、次の近似式よりIVを算出する。 IV=0.0242ηr+0.2634 だだし、ηr=(t×d)/(t0 ×d0 ) t ;溶液の落下時間(秒) t0 ;オルソクロロフェノールの落下時間 d ;溶液の密度(g/cc) d0 ;オルソクロロフェノールの密度(g/cc)。
【0055】[強伸度]JIS−L1017の方法によ
り、糸長25cm、引張り速度30cm/分で測定し
た。
【0056】[防炎性および洗濯後防炎性] 防炎性:JIS L1091のD−2の方法で測定し
た。
【0057】[洗濯後防炎性]養生ネットをJIS L
0217の103法の条件により洗濯した後、上記と同
様に防炎性を測定した。
【0058】[耐変褪色性]フェードメーターで63
℃、400時間処理後の変褪色を測定した。
【0059】[撥水・撥油性]繊維の表面にける接触角
を以下の条件で測定した。接触角が大きいほど撥水・撥
油性が高いことを示す。(株)エルマ光学社製ゴニオメ
ーター式接触角測定装置 水接触角:蒸留水、油接触角:デカリン 液滴量 :5μl 測定温度:20℃。
【0060】[実施例1〜12、比較例1〜4]実施例
1は、繊維の芯部ポリマとして極限粘度1.0のポリエ
ステル(PET)を用い、鞘部ポリマとしてテレフタル
酸とエチレングリコールを直接エステル化して得たビス
−β−ヒドロキシテレフタレートおよびその低重合体1
00部に、二官能性リン化合物[2−(β−ヒドロキシ
エトキシカルボニル)エチル]メチルホスフィン酸(M
PAと略称)を表1に示した量添加し、0.03部の三
酸化アンチモンを加え、更に0.1部の二酸化チタンを
加えて、30分で250℃から285℃に昇温すると共
に、反応系を0.5mmHgに減圧維持して固有粘度を
0.7とし、その後固相重合を行うことにより得られた
固有粘度1.0のポリエステルを用いた。
【0061】ただし、実施例12では、二官能性リン化
合物として、MPAの代わりにフェニルホスホン酸ジメ
チルを用いた。
【0062】一方、上記固相重合前の固有粘度0.7の
ポリエステルを溶融し、シアニン系ブルーとカーボンブ
ラックを2.0:0.3の重量割合で混合した着色剤を
ポリマに対して20重量%添加し、グレーマスターチッ
プを得た。
【0063】更に上記固相重合前の固有粘度0.7のポ
リエステルを溶融し、含弗素ポリマ(ETFE)を弗素
含量が30重量%となるように添加し、弗素含有マスタ
ーチップを得た。
【0064】含弗素ポリマの種類およびブレンド率を表
1に示した通りの条件とし、鞘部ポリマを形成する燐含
有ポリマに対し、弗素含有ポリマと顔料含有ポリマを、
それぞれ表1に示した割合となるように計量ブレンド
後、それぞれ別々の溶融紡糸機供給溶融後、複合パック
に導入し複合口金を通して芯鞘複合繊維として紡糸し
た。 複合口金から紡出した糸条を直ちに冷却固化した
後、これに界面活性剤を付与し、600m/minの速
度で回転するローラに捲回して引き取った。次に、引き
取った未延伸糸を一旦巻き取ることなく、110℃に加
熱されたローラに捲回し、3.6倍で一段延伸を行い、
次いで220℃に加熱されたローラで2段延伸を行い、
トータル5.4倍に延伸し、1.5%の弛緩処理を施し
3300m/minで巻き取ることにより、1500デ
ニール144フィラメントの芯鞘複合繊維を製造した。
【0065】実施例2〜12の各条件は、表1に示した
とおりとした。
【0066】得られた芯鞘型複合繊維に100T/mの
撚りを施し、レピア織機を用いて目付け350g/m2
3本絽織りの生機とした後、150℃でヒ−トセットを
行うことにより、養生メッシュを得た。
【0067】比較例1、2、3は表2に示したように芯
鞘部の割合を変更し、比較例4は表2に示したように鞘
部の含弗素割合を変更し結果を併せて示した。
【0068】
【表1】
【表2】 表1および表2の結果から明らかなように、実施例1〜
9で得られた養生メッシュは、比較例1〜4で得られた
ものに比較して、優れた防炎性、耐変褪色性、耐久性を
有し、かつ耐汚染性も優れた値であった。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の養生ネッ
トは、優れた耐汚染性、つまり長期間使用しても汚れの
付着が少なく、かつ一旦汚れた養生ネットを洗濯した時
にきれいに再生されるという特徴を有しているばかり
か、従来技術によって達成されている高強力、強靱性、
耐変褪色性、耐久性および防炎性などの特性を何ら損な
うことなく具備するものであり、また塩化ビニル樹脂コ
ートされていないため軽量であるという特徴をも有して
いる。
【0070】したがって、本発明の養生ネットを用いる
と、長期間の使用した時、洗濯回数が少なくて済み、常
にきれいな状態が保たれるため、建築現場における安全
確保および遮蔽用の養生ネットとして好適な性能を発揮
する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部ポリマとしてポリエステルを、鞘
    部ポリマとして含弗素ポリマを弗素含量0.05〜1
    0.0重量%の割合でブレンドしたポリエステルを用い
    てなり、芯部ポリマの割合が40〜90重量%、鞘部ポ
    リマの割合が10〜60重量%である芯鞘型複合繊維か
    らなることを特徴とする耐汚染性に優れた養生ネット。
  2. 【請求項2】 芯部ポリマとして用いるポリエステル
    の極限粘度[η]が0.85以上であり、鞘部ポリマと
    して用いるポリエステルの極限粘度[η]が0.60以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に
    優れた養生ネット。
  3. 【請求項3】 少なくとも鞘部ポリマとして用いるポ
    リエステルが、二官能性燐化合物を燐含量として0.2
    〜2.0重量%含有すると共に、顔料を0.1〜1.0
    重量%含有する原着ポリマからなることを特徴とする請
    求項1または2に記載の耐汚染性に優れた養生ネット。
  4. 【請求項4】 鞘部ポリマに含有される含弗素ポリマ
    が、テトラフルオロエチレンとエチレンとを主たる構成
    成分とするランダム共重合体、ポリクロロトリフルオロ
    エチレン、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフ
    ルオライド・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテ
    トラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パー
    フルオロアルキルビニルエーテル共重合体および4弗化
    エチレン・6弗化プロピレン・弗化ビニリデン共重合体
    よりなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の耐汚染性に優れた養
    生ネット。
  5. 【請求項5】 芯鞘型複合繊維の表面と水との接触角
    が80°以上であり、デカリンとの接触角が30°以上
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の耐汚染性に優れた養生ネット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014508226A (ja) * 2010-12-28 2014-04-03 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー フッ素化ポリエステルブレンド糸から製造される布帛
JP2020045592A (ja) * 2018-09-19 2020-03-26 ユニチカ株式会社 難燃性マルチフィラメント糸

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JP2014508226A (ja) * 2010-12-28 2014-04-03 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー フッ素化ポリエステルブレンド糸から製造される布帛
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