JPH11221458A - 反応方法および親水性顔料並びに記録液 - Google Patents

反応方法および親水性顔料並びに記録液

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JPH11221458A
JPH11221458A JP2496298A JP2496298A JPH11221458A JP H11221458 A JPH11221458 A JP H11221458A JP 2496298 A JP2496298 A JP 2496298A JP 2496298 A JP2496298 A JP 2496298A JP H11221458 A JPH11221458 A JP H11221458A
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pigment
recording liquid
reaction
substance
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JP2496298A
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Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
Kiyobumi Morimoto
清文 森本
Momomi Aoki
百美 青木
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体状物質を、温和な条件で、変色を抑え
て、効率良く反応させることができる反応方法を提供す
る。 【解決手段】 反応させるべき固体状物質と、この固体
状物質と反応し得る化学物質とを、上記固体状物質を粉
砕しながら反応させる。上記固体状物質の粉砕および反
応は、上記固体状物質と化学物質とをボール13を入れ
た容器4内に混入し、該容器4を回転させて上記固体状
物質に衝撃を与えることで行われる。これにより、上記
固体状物質を微細化し、その比表面積を増加させること
ができると共に、粉砕により固体状物質に衝撃を与える
ことで、固体状物質の凝集を防止することができる。従
って、効率良く反応を行うことができる。また、上記の
反応方法によれば、固体状物質を加熱せずに反応させる
ことができるので、温和な条件で反応を行うことがで
き、変色等を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば疎水性顔料
の親水化等に好適に用いられる新規な反応方法および親
水性顔料並びに該親水性顔料を含む記録液に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般的に、固体状物質を、該固体状物質
と反応し得る化学物質と反応させる場合には、比較的高
い熱エネルギーを必要とする。
【0003】このため、反応させるべき固体状物質が凝
集したり、該固体状物質が顔料等に代表される着色剤等
である場合には、熱による固体状物質の変色や凝集、反
応容器内への付着等が大きな問題となる。このような例
としては、例えば、インクジェット用の記録液にかかる
問題が挙げられる。
【0004】近年、インクジェット記録法は、騒音の発
生が少なく、普通紙に対して特別な定着を要することな
く高速記録が行えることから、種々のタイプのものが活
発に研究されている。
【0005】これらインクジェット記録法に使用される
記録液としては、(1) 粘度、表面張力等の物性値が適正
範囲内にあること、(2) 微細な吐出口(オリフィス)を
目詰まりさせないこと、(3) 鮮明な色調でしかも充分に
高い濃度の記録画像を与えること、(4) 保存中に物性変
化あるいは固形分の析出等を生じないこと等の諸特性が
要求される。
【0006】さらに、これら特性に加えて、(5) 紙等の
記録材の種類を制限せずに記録が行えること、(6) 記録
材への定着速度が大きいこと、(7) 耐水性、耐溶剤性、
耐光性、耐磨耗性等の物性に優れていること、(8) 解像
度の優れた画像を与えること等の性質も要求される。
【0007】インクジェット記録法に適用する記録液
は、基本的には、着色剤(記録剤)としての顔料と溶剤
とで組成されている。このため、上記記録液の特性は顔
料固有の性質に左右されるところが大きく、記録液が上
記特性を具備するように顔料を選択することは極めて重
要である。
【0008】特に、上記顔料として、溶剤、そのなかで
も特に水に対して充分な溶解性を有する顔料を用いるこ
とは、記録液の吐出口への目詰まりを防止し、噴射安定
性を向上させると共に、記録液の保存安定性を維持させ
るための最も重要な要素である。
【0009】そこで、顔料の水に対する溶解性を向上さ
せるべく、疎水性顔料を親水化する方法が種々検討され
ている。従来、疎水性顔料を親水化する方法としては、
例えば、(i) アゾ顔料を硫酸またはクロルスルホン酸等
に溶解させてスルホン化することで親水化する方法(特
開平6−145545)や、(ii)カーボンブラックを硝
酸を用いて親水化する方法、(iii) 銅フタロシアニン顔
料を硫酸やクロルスルホン酸を用いて親水化する方法が
知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、疎水性顔料を化学的に親水化する方法で
は、高熱によって顔料が変色してしまうという問題があ
る。このため、赤色顔料や黄色顔料、特に黄色顔料を酸
で処理すると顔料自体が変色してしまうという問題があ
り、上記従来の方法は、黒色顔料および青色顔料にしか
適用することができない。
【0011】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
のであり、その目的は、固体状物質を、温和な条件で、
変色を抑えて、効率良く反応させることができる反応方
法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、
変色が抑制されていると共に、親水性を有し、保存安定
性並びに噴射安定性に優れる記録液を得ることができる
親水性顔料、並びに、該親水性顔料を含む記録液を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応させるべき固
体状物質と、この固体状物質と反応し得る化学物質と
を、上記固体状物質を粉砕しながら反応させることで、
上記固体状物質を、加熱、溶解させることなく、変色が
抑制される温和な条件で反応させることができると共
に、新規な親水化顔料を得ることに成功し、本発明を完
成させるに至った。
【0013】即ち、請求項1記載の発明は、反応させる
べき固体状物質と、この固体状物質と反応し得る化学物
質とを、上記固体状物質を粉砕しながら反応させること
を特徴とする反応方法に関するものである。
【0014】また、請求項2記載の発明は、上記固体状
物質と化学物質とをボールを入れた容器内に混入し、該
容器を回転させて上記固体状物質に衝撃を与えることで
上記固体状物質の粉砕および反応を行うことを特徴とす
る反応方法に関するものである。
【0015】請求項3記載の発明は、上記固体状物質が
疎水性顔料であることを特徴とする反応方法に関するも
のである。
【0016】請求項4記載の発明は、上記化学物質が親
水化剤であることを特徴とする反応方法に関するもので
ある。
【0017】請求項5記載の発明は、上記親水化剤が塩
基性物質の水溶液であることを特徴とする反応方法に関
するものである。
【0018】上記請求項1記載の反応方法によれば、固
体状物質を粉砕しながら反応させることにより、上記固
体状物質を微細化し、その比表面積を増加させることが
できる。そして、粉砕により固体状物質に衝撃を与える
ことで、反応を促進させることができると共に、固体状
物質の凝集を防止することができる。従って、上記の反
応方法を用いれば、効率良く反応を行うことができる。
【0019】そして、この場合、請求項2に示すよう
に、ボールを入れた容器内に上記固体状物質と化学物質
とを供給し、この容器を回転させることによって上記固
体状物質の粉砕並びに反応を行えば、ボールの衝突によ
る衝撃および容器の内壁への固体状物質の衝突により、
より一層効率良く粉砕並びに反応を行うことができると
共に、該反応を行うための反応装置を簡素な構成とする
ことができる。
【0020】また、上記請求項1および2記載の反応方
法によれば、粉砕によって与えられる機械的な力(衝撃
力)によって反応が進行するため、通常の化学反応のよ
うに加熱する必要がなく、上記固体状物質および化学物
質にかかる熱を、粉砕による最小限の発熱に抑えること
ができる。このため、温和な条件で反応を行うことがで
き、得られる反応生成物の構造の破壊を防止し、該構造
破壊に由来する変色等を抑制することができる。
【0021】従って、上記の反応方法は、熱による変色
が問題となる疎水性顔料の反応、特に、従来、親水化が
困難であった黄色系の疎水性顔料の親水化に特に好適に
用いることができる。また、上記の方法によれば、酸を
用いずとも親水化が可能である。上記疎水性顔料の親水
化に用いる親水化剤としては、塩基性物質の水溶液が好
適である。
【0022】また、請求項6記載の発明は、請求項4ま
たは5記載の反応方法により得られた親水性顔料に関す
るものである。
【0023】請求項7記載の発明は、一般式(1)
【0024】
【化2】
【0025】(式中、X1 、X2 、Y1 、Y2 は各々独
立してヒドロキシル基またはアミノ基を表し、X1 とY
1 とは互いに異なる置換基を表し、X2 とY2 とは互い
に異なる置換基を表す)で表される親水性顔料に関する
ものである。
【0026】請求項4または5記載の反応方法によれ
ば、上記疎水性顔料および親水化剤にかかる熱を、粉砕
による最小限の発熱に抑えることができるので、得られ
る親水性顔料は、構造破壊を受けず、変色が抑制されて
いる。しかも、上記の反応方法によれば、従来反応させ
ることができなかった疎水性顔料の反応(親水化)が可
能であり、例えば請求項7に示すような新規な親水性顔
料を得ることができる。
【0027】そして、上記請求項6および7記載の親水
性顔料は、変色が抑制されていると共に、親水性を有し
ている。特に、請求項7記載の親水性顔料は、従来、親
水化が不可能であった黄色系の顔料であり、しかも、水
に対して充分な溶解性を有している。このため、これら
親水性顔料は、保存安定性や噴射安定性等の物性に優
れ、例えば、記録液の着色剤等に好適に用いることがで
きる。
【0028】さらに、請求項8記載の発明は、請求項6
または7記載の親水性顔料を含むことを特徴とする記録
液に関するものである。
【0029】請求項9記載の発明は、さらに、溶剤とし
て水を含むことを特徴とする記録液に関するものであ
る。
【0030】上記請求項8の構成によれば、上記親水性
顔料が変色が抑制されていると共に親水性を有している
ことから、上記親水性顔料を含む記録液もまた、変色が
抑制された良好な色彩を有している。しかも、上記の親
水性顔料は親水性を有していることから、請求項9に示
すような水を溶剤として含む記録液において、優れた保
存安定性や噴射安定性を有している。特に、請求項7記
載の親水性顔料は、従来、親水化が不可能であった黄色
系の顔料であり、しかも、水に対して充分な溶解性を有
することから、該親水性顔料を含む記録液は、特に優れ
た保存安定性や噴射安定性を有している。
【0031】また、上記溶剤として水を用いることで、
安全かつ安価な記録液を提供することができると共に、
溶剤として多量の有機溶媒を用いる場合のように吸収性
の高い特殊紙等を用いる必要がないので、使用する記録
材の制限を受けることなく記録が可能な記録液を提供す
ることができる。該記録液は、例えば、インクジェット
用の記録液や、ボールペン用あるいはサインペン用の記
録液等として好適に用いることができる。
【0032】請求項10記載の発明は、さらに、ポリア
クリル酸アンモニウムを0.5重量%〜10重量%の割
合で含むことを特徴とする記録液に関するものである。
【0033】請求項11記載の発明は、さらに、ビニル
アルコールとアクリル酸との共重合体を1.0重量%〜
10重量%の割合で含むことを特徴とする記録液に関す
るものである。
【0034】上記請求項10または11の構成によれ
ば、記録時において、記録材への上記記録液の滲みを抑
制することができ、良好な記録を行うことができる。
【0035】請求項12記載の発明は、さらに、水溶性
染料を含むことを特徴とする記録液に関するものであ
る。
【0036】上記の構成によれば、上記記録液が、さら
に、水溶性染料を含むことで、透明性や光沢等の色調を
向上させることができ、これら色調の細かな変更が可能
となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明にかかる反応方法は、反応させるべき固体
状物質と、この固体状物質と反応し得る化学物質とを、
上記固体状物質を粉砕しながら反応させる方法である。
本発明において、上記固体状物質の粉砕および反応は、
上記固体状物質と、この固体状物質と反応し得る化学物
質とを混合した状態で、上記固体状物質に衝撃を与える
ことで同時に行われる。
【0038】本発明の反応方法によれば、上記固体状物
質に衝撃を与えて粉砕することにより、上記固体状物質
を微細化し、その比表面積を増加させて物理的な反応性
を向上させる一方、粉砕によって生じた新たな界面に、
衝撃力によって、上記固体状物質と反応し得る化学物質
を物理的に衝突させて叩き込むことで、加熱、溶解等を
行わなくても、上記固体状物質と化学物質とを反応させ
ることが可能である。
【0039】従って、上記の反応方法は、固体状物質の
反応であって、通常の反応条件では反応が進行しないよ
うな反応や、加熱等により変色、変質の虞がある固体状
物質の反応に好適に用いることができる。尚、上記の化
学物質としては、上記固体状物質の種類や所望する反応
(反応物)の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0040】例えば、上記の反応方法は、上記固体状物
質として疎水性顔料を用いた、疎水性顔料の親水化、特
に、黄色系の疎水性顔料の親水化に好適である。
【0041】この場合、上記化学物質としては、有機系
あるいは無機系の液状の親水化剤が用いられる。有機系
の親水化剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリ
エタノールアミン、ピリジン、ピラジン等の有機アミン
化合物およびその水溶液が好適である。また、無機系の
親水化剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸カリウ
ム等の塩基性物質の水溶液が好適である。これら親水化
剤のなかでも、反応の進行の容易さから、強塩基性物質
の水溶液がより好ましく、水酸化ナトリウム水溶液が特
に好ましい。
【0042】以下、本発明にかかる反応方法について、
図1(a)・(b)および図2を参照して具体的に説明
する。尚、以下の説明では、特に、上記固体状物質とし
て疎水性顔料12を用いると共に、上記化学物質として
液体状の親水化剤11を用いた例について説明するが、
本発明にかかる反応方法および反応条件等は、以下の説
明にのみ限定されるものではない。
【0043】本実施の形態において用いる反応装置10
は、図2に示すように、台板1、回転板2、固定部3、
および容器4を備えている。上記台板1は、図示しない
軸により、矢印A方向に回転するようになっており、回
転板2は、図示しない軸により上記台板1上に載置され
た状態で支持され、上記台板1の回転方向とは逆の方向
である矢印B方向に回転するようになっている。
【0044】また、固定部3は、逆U字型に形成され、
上記回転板2に固定されている。上記容器4は、図1
(a)に示すように、容器本体部4aと蓋部4bとから
なり、上記容器本体部4a底部に設けられた突出部4c
を、上記回転板2に設けられた図示しない溝に嵌入する
と共に、図2に示すように、上記固定部3の上部、即
ち、曲部に設けられたネジ部5によって、上記容器4を
上部から固定することにより、上記回転板2と固定部3
とで囲まれた領域内で固定支持されるようになってい
る。
【0045】本実施の形態において、親水化剤11と疎
水性顔料12とを反応させる際には、上記容器4の蓋部
4bを開閉して、上記容器本体部4a内に、上記親水化
剤11および疎水性顔料12と共に、該疎水性顔料12
に衝撃力を与えるためのボール(ビーズ)13を供給
し、上記台板1と回転板2とを各々逆方向に回転させ
る。
【0046】このときの上記容器4の内部の状態を、該
容器4の垂直断面にて図1(a)に示すと共に、該容器
4の水平断面にて図1(b)に示す。本実施の形態にお
いて、上記疎水性顔料12は親水化剤11には溶解せ
ず、スラリー状態にて反応が進行する。上記図1(a)
・(b)に示すように、上記台板1が矢印A方向に回転
すると、上記容器4内に存在する親水化剤11、疎水性
顔料12、およびボール13に対し、矢印C方向に、上
記台板1の回転に作用する遠心力が働き、これら親水化
剤11、疎水性顔料12、およびボール13は、容器4
の内壁に衝突する。そして、上記親水化剤11、疎水性
顔料12、およびボール13は、上記台板1の回転に作
用する遠心力と、回転板2の回転に伴う容器4の矢印B
方向への回転に作用する力とによって、図1(b)に示
すように円運動する。これにより、上記疎水性顔料12
は、容器4の内壁に衝突して粉砕すると共に、ボール1
3の衝突による衝撃で粉砕し、同時に、粉砕により生じ
る新たな界面において、親水化剤11と反応する。
【0047】このときの上記台板1の回転数は、特に限
定されるものではないが、85rpm〜766rpmの
範囲内であり、回転数が高いほど、上記疎水性顔料12
に与える衝撃力を大きくすることができるので好まし
い。一方、上記回転板2の回転数、即ち、容器4の回転
数は、特に限定されるものではないが、510rpm〜
1532rpmの範囲内であり、上記容器4の回転数
も、高いほど、上記疎水性顔料12に与える衝撃力を大
きくすることができるので好ましい。
【0048】上記台板1および回転板2の回転時間は、
上記疎水性顔料12の供給量や所望の粒径、もしくは、
上記台板1や回転板2の回転数等にもよるが、1/4時
間以上であることが好ましく、1時間以上であることが
より好ましく、5時間以上であることが特に好ましい。
【0049】また、本実施の形態では、上記疎水性顔料
12を容器4の内壁に衝突させると共に、該疎水性顔料
12にボール13を衝突させて、該疎水性顔料12にボ
ール13から直接、衝撃を与えるようになっている。
【0050】従って、上記容器4およびボール13は、
衝突による振動で発生する熱を抑制すると共に、磨耗を
抑えるために、例えば、めのう、ジルコニア、窒化ケイ
素、ステンレス、アルミナ等で形成されていることが好
ましい。
【0051】また、上記ボール13の大きさは、上記疎
水性顔料12を粉砕し、反応に充分な衝撃力を与えるこ
とができる大きさであれば、特に限定されるものではな
いが、その粉砕および反応効率から、直径(φ)0.1
mm〜30mmであることが好ましく、10mm以下で
あることが好ましく、5mm以下であることが特に好ま
しい。
【0052】上記の方法によれば、粒径0.1μm〜3
μmの細かな親水性顔料を得ることができる。尚、得ら
れる親水性顔料の大きさは、上記粉砕時間(反応時間)
等の粉砕条件を適宜設定することで変更が可能である。
【0053】以上のように、上記の反応方法によれば、
上記疎水性顔料12の反応の進行に際し、該疎水性顔料
12には粉砕熱がかかるのみであり、加熱を行う必要は
一切ない。本実施の形態において、上記疎水性顔料12
の反応は、該疎水性顔料12にかかる衝撃力によって引
き起こされるものであり、本発明によれば、熱をかけず
に、疎水性顔料12を機械的な力によって親水化させる
ことができる。従って、本発明によれば、安全かつ色の
変化を極小に抑えて物理的に反応を進行させることが可
能であり、反応生成物として、変色のない、あるいは変
色が抑制された親水性顔料を得ることができる。
【0054】また、一般的に、固体状物質を粉砕した
後、該固体状物質を溶液中で撹拌する場合、固体状物質
の凝集が起こる。このため、粉砕後の微細な固体状物質
を液体状の化学物質と反応させる場合、凝集した固体状
物質における化学物質との接触界面でのみ反応が進行す
るため、反応効率が低下する。
【0055】しかしながら、上述した反応方法によれ
ば、固体状物質に加えられる衝撃により、固体状物質の
凝集を防ぐことができると共に、粉砕により、次々、新
しい界面が現れるため、上記疎水性顔料12の粒子の比
表面積を増加することができ、物理的な反応性を向上さ
せることができるので、反応を効率良く進行させること
ができる。
【0056】さらに、上記の反応方法によれば、疎水性
顔料12の乾式・撹拌等、該疎水性顔料12を帯電させ
るような処理を行うことなく、親水性顔料を得ることが
できる。従って、得られた親水性顔料は、上記反応工程
(親水化処理工程)において帯電することがなく、取り
扱いが容易となる。
【0057】また、本発明にかかる新規な親水性顔料
は、下記一般式(1)
【0058】
【化3】
【0059】(式中、X1 、X2 、Y1 、Y2 は各々独
立してヒドロキシル基またはアミノ基を表し、X1 とY
1 とは互いに異なる置換基を表し、X2 とY2 とは互い
に異なる置換基を表す)で表される化合物である。
【0060】上記一般式(1)で表される親水性顔料
は、例えば、下記一般式(2)
【0061】
【化4】
【0062】で表される疎水性顔料(C.I.PIGM
ENT YELLOW 110)を、上述した反応方法
により、前記した親水化剤、好ましくは水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いて親水化を行うことにより容易に得るこ
とができる。
【0063】上記親水化剤として水酸化ナトリウム水溶
液を用いる場合、該水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、
その反応効率から、0.5mol/l〜15mol/l
の範囲内であることが好ましく、5mol/l〜19m
ol/lの範囲内であることがより好ましい。
【0064】上記一般式(2)で表される疎水性顔料に
対する上記水酸化ナトリウム水溶液の供給量、即ち、前
記容器4に供給される上記一般式(2)で表される疎水
性顔料の供給量と水酸化ナトリウム水溶液の供給量は、
上記一般式(2)で表される疎水性顔料0.1g〜10
g、好ましくは0.5g〜5gに対し、水酸化ナトリウ
ム水溶液0.5ml〜20ml、好ましくは1ml〜1
0ml、特に好ましくは2ml〜6mlである。
【0065】上記一般式(2)で表される疎水性顔料
は、通常、水酸化ナトリウム水溶液や有機溶剤等に溶解
せず、上記一般式(2)で表される疎水性顔料を粉砕し
た後、該疎水性顔料を上記水酸化ナトリウム水溶液中で
撹拌混合したとしても、流体を介して伝わる撹拌力程度
では反応は進行しない。
【0066】しかしながら、上述したように、上記一般
式(2)で表される疎水性顔料に直接衝撃力(力積)を
与えることで、上記疎水性顔料と水酸化ナトリウム水溶
液との反応を進行させることが可能になると共に、加
熱、溶解を必要とせず、粉砕による最小限の発熱に抑え
て反応を進行させることができるため、得られる親水性
顔料の構造の破壊を防止でき、変色を抑制することがで
きる。
【0067】このようにして得られた上記一般式(1)
で表される親水性顔料は、黄色系の顔料であり、親水性
を有しているのみならず、変色もない。従って、着色剤
としての用途に好適に用いることができる。
【0068】また、本発明にかかる記録液は、前述した
方法により親水化処理した少なくとも1種の親水性顔料
を着色剤(記録剤)として含む構成である。従って、本
発明にかかる記録液は、顔料が親水性を有しているた
め、保存安定性や吐出口の目詰まり防止性(噴射安定
性)に優れると共に、変色がなく、所望の色彩を有して
いる。そのなかでも、上記一般式(1)で表される親水
性顔料を含む記録液は、黄色系の記録液でありながら、
顔料が親水性を有し、保存安定性や吐出口の目詰まり防
止性(噴射安定性)に優れると共に、変色がなく、所望
の色彩を有している記録液である。
【0069】尚、従来の方法を黄色系の顔料の親水化に
適用する場合、得られる顔料が変色するため、黄色系の
顔料を用いた記録液において、顔料の親水性と色彩とは
相反する物性であり、この2つの物性を共に満足する黄
色系の記録液は未だ知られていない。つまり、本願は、
上記一般式(1)で表される親水性顔料を記録液の着色
剤として用いることで、黄色系の記録液において、はじ
めて、顔料の親水性と、変色の抑制(良好な色彩)とを
共に満足する記録液(即ち、親水性を有する黄色系の記
録液)を提供するものである。
【0070】本発明にかかる上記記録液は、上述した親
水性顔料の他に、水を、主な溶剤(液媒体成分)として
含んでいる。本発明にかかる親水性顔料は、水に対する
充分な溶解性を有し、例えば界面活性剤等の添加剤を用
いずとも、水に溶解する。このため、容易に記録液の調
整が可能である。しかも、本発明にかかる上記記録液
は、上記溶剤として水を用いることで、安全かつ安価な
構成を有している。また、本発明によれば、上記溶剤と
して水を用いることで、溶剤として多量の有機溶媒を用
いる場合のように吸収性の高い特殊紙等を用いる必要が
ないので、使用する記録材の制限を受けることなく記録
が可能な記録液を提供することができる。
【0071】また、上記溶剤としては、水を主成分とし
て、水に、水溶性の各種有機溶媒を湿潤剤として混合し
て使用することで、記録液中の水が蒸発し、記録剤が析
出することによるノズル等の吐出口の目詰まりを防止す
る湿潤効果を得ることができるため好ましい。
【0072】上記水溶性の有機溶媒としては、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、メチルア
ルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキル
アルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;ジアセト
ンアルコール等のケトアルコール類;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリアルキルグリコ
ール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、
トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ
ール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエ
チレングリコール等の、炭素数2〜6個のアルキレン基
を含むアルキレングリコール類、並びにグリセリン、エ
チレングリコール等の多価アルコール;メチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレン
グリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチル
エーテル等の、多価アルコールの低級アルキルエーテル
類;ε−カプロラクタム、N−メチル−2−ピロリド
ン、γ−ブチロラクトン、N−ヒドロキシエチル−2−
ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N−
エチル−2−ピペリドン等の含窒素複素環式ケトン類等
が挙げられる。
【0073】これら有機溶媒の中でも、多価アルコー
ル、多価アルコールの低級アルキルエーテル、含窒素複
素環式ケトン類が好ましく、多価アルコールが、上述し
た湿潤効果が大きいため、特に好ましい。
【0074】上記記録液中の親水性顔料の含有量並びに
溶剤の含有量は、該記録液の用途や、用いる親水性顔料
や溶剤の種類によって適宜設定すればよく、特に限定さ
れるものではないが、通常、親水性顔料の含有量は、
0.01重量%〜20重量%の範囲内、好ましくは0.
1重量%〜10重量%の範囲内であり、溶剤の含有量
は、60重量%〜99.9重量%の範囲内、好ましくは
70重量%〜99重量%の範囲内である。
【0075】また、上記記録液には、記録時における滲
みを抑制することを目的として、さらに、ポリアクリル
酸アンモニウムおよび/またはビニルアルコールとアク
リル酸との共重合体を配合してもよい。
【0076】上記記録液におけるポリアクリル酸アンモ
ニウムの含有量(配合量)は、0.5重量%〜10重量
%の範囲内であることが好ましく、1重量%〜10重量
%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0077】上記ポリアクリル酸アンモニウムの含有量
が0.5重量%よりも少なければ、滲みを抑える効果が
期待できない。一方、上記ポリアクリル酸アンモニウム
の含有量が10重量%よりも多い場合には、添加量の増
加に比例した、滲み抑制効果のさらなる向上は望めず、
添加したポリアクリル酸アンモニウムの一部が無駄にな
り、経済的に不利となるばかりか、記録液の粘度が増加
するため、インク機能等の低下を招くので好ましくな
い。
【0078】また、上記記録液におけるビニルアルコー
ルとアクリル酸との共重合体の含有量(配合量)は、
1.0重量%〜10重量%であることが好ましく、3重
量%〜10重量%の範囲内であることがさらに好まし
い。
【0079】上記ポリアクリル酸アンモニウムの代わり
に、上記ビニルアルコールとアクリル酸との共重合体を
用いる場合には、該共重合体の含有量が1.0重量%よ
りも少なければ、滲みを抑える効果が期待できない。一
方、上記ビニルアルコールとアクリル酸との共重合体の
含有量が10重量%よりも多い場合には、添加量の増加
に比例した、滲み抑制効果のさらなる向上は望めず、添
加した共重合体の一部が無駄になり、経済的に不利とな
るばかりか、記録液の粘度が増加するため、インク機能
等の低下を招くので好ましくない。
【0080】本発明によれば、上記記録液の成分として
上記ポリアクリル酸アンモニウムおよび/またはビニル
アルコールとアクリル酸との共重合体を用いることによ
り、記録材へのインクの浸透性を低くして滲みを少なく
することができる。一般的には、浸透性を低くすると乾
燥性が悪くなるが、上記ポリアクリル酸アンモニウム、
およびビニルアルコールとアクリル酸との共重合体は、
乾燥性を保ったまま、滲みを抑えることが可能である。
【0081】さらに、上記記録液は、着色剤として、上
述した親水性顔料と共に水溶性染料を含むことが好まし
い。上記水溶性染料としては、特に限定されるものでは
ないが、具体的には、例えば、C.I.アシッド・イエ
ロー17,23,42,44,79,142;C.I.
フード・イエロー3,4;C.I.ダイレクト・イエロ
ー1,12,24,26,33,44,50,120,
132,142,144;C.I.べーシック・イエロ
ー1,2,11,13,14,15,19,21,2
3,24,25,28,29,32,36,40,4
1,45,49,51,53,63,67,70,7
3,77,87,91;C.I.リアクティブ・イエロ
ー1,5,11,13,14,20,21,22,2
5,40,47,51,55,65、67等が挙げられ
る。これら水溶性染料は、一種類のみを用いてもよく、
二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記記録液が
さらに水溶性染料を含むことで、透明性や光沢等の色調
を向上させることができ、これら色調の細かな変更が可
能になるので、使用分野を拡大することができる。
【0082】以上のように、本発明にかかる記録液は、
上述した親水性顔料と溶剤とを含み、必要に応じて、さ
らに、ポリアクリル酸アンモニウムおよび/またはビニ
ルアルコールとアクリル酸との共重合体や、水溶性染料
を含む記録液である。
【0083】このような成分から調合される本発明の記
録液は、信号応答性、液滴形成の安定性、吐出応答性、
長時間の連続記録性、長期間の記録休止後の吐出安定性
(噴射安定性)等の記録特性や、保存安定性、記録材へ
の定着性、記録画像の耐光性、耐候性、耐水性等に優れ
ると共に、これら特性(物性)のバランスに優れたもの
である。
【0084】このように、本発明の記録液は、それ自
体、優れた特性を有しているが、該記録液は、上記の特
性をさらに改良するために、従来公知の各種添加剤をさ
らに含んでいてもよい。上記添加剤としては、例えば、
防腐剤、防徽剤、pH調整剤、防錆剤、表面張力調整
剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。
【0085】上記の記録液は、例えば、インクジェット
用の記録液(インク)や、ボールペン用あるいはサイン
ペン用等の記録液に好適に用いることができる。
【0086】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、上記実施例および比較例に
より得られたインクの諸性能は、以下の方法で測定し
た。
【0087】(a)保存安定性 先ず、インクをパイレックス試験管に密封し、0℃およ
び50℃で一ヶ月間放置した後、析出物の発生の有無
(析出量)を調べることにより、保存安定性を評価し
た。析出量は、析出物全くなし、析出物ほとんどなし、
析出物少量有り、析出物多量に有りの4段階で評価し
た。
【0088】(b)噴射安定性 口径30μmのガラスノズルを有するインクジェット装
置のインクタンクにインク(記録液)を入れ、該インク
を一旦噴射してから噴射を停止し、そのままの状態で3
日、7日、14日、30日、60日および90日の各期
間、室温で放置した。その後、上記インクを再噴射し、
ノズルの目詰まりの有無を調べることにより、目詰まり
を起こすことなく再噴射可能な最大放置日数で噴射安定
性を評価した。
【0089】(c)耐水性 口径30μmのガラスノズルを有するインクジェット装
置を用いて上質紙にジェット記録し、水に浸漬して筆跡
や濃度が低下したものを×、変化のないものを○として
評価した。
【0090】(d)惨み 口径30μmのガラスノズルを有するインクジェット装
置を用いて上質紙にジェット記録し、この上質紙に記録
されたインクの惨みの発生を目視による3段階で評価し
た。尚、3点法で変化がなかったものほど高得点とし
た。
【0091】(e)色彩および色調 色彩および色調の評価は目視で行った。実施例1と比較
して、透明感等の色調が向上したものを◎、変わらない
ものを○、劣るものを×で示す。
【0092】〔実施例1〕前記反応装置10の容器4
に、前記一般式(2)で表される黄色の疎水性顔料
(C.I.PIGMENT YELLOW 110)1
g、3mm径(φ)のジルコニアビーズ(ボール)50
g、10mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液(親
水化剤)4mlを仕込んだ。その後、この反応装置10
に備えられた台板1の回転速度を766rpm、回転板
2の回転速度(即ち、容器4の回転速度)を1532r
pmとし、台板1と回転板2とを各々逆方向に5時間回
転させることにより、上記疎水性顔料の粉砕と反応(親
水化処理)を行った。
【0093】反応終了後、得られた物質(反応生成物)
を、超純水で充分に洗浄した後、乾燥させた。該物質
は、反応前と同じ黄色を有していた。
【0094】次いで、この物質と、原料として用いた疎
水性顔料とを、それぞれ超純水に投下し、攪拌して、各
々の粒子の濡れ性を調べた。この結果、原料として用い
た疎水性顔料の粒子は、超純水に濡れず、水面上に溜ま
った。これに対して、上記の反応により得られた物質の
粒子は、超純水に濡れ、水中に分散・浮遊した。これに
より、上記の反応により得られた物質は、その表面が改
質され、濡れ性が向上することが認められた。
【0095】また、上記の反応により得られた物質につ
いて、赤外吸収スペクトル(IR)を測定することによ
り、物質の同定を行った。その結果、図3に示すよう
に、ヒドロキシル基による特性吸収(3200cm-1
近)並びにアミド基による特性吸収(1600〜170
0cm-1付近)が認められ、上記の物質が、本発明にかか
る新規な親水性顔料、即ち、前記一般式(1)で表され
る親水性顔料であることを確認した。反応生成物の赤外
吸収スペクトルを図3に、原料である前記一般式(2)
で表される疎水性顔料の赤外吸収スペクトルを図4に各
々示す。
【0096】〔実施例2〕実施例1で得られた、前記一
般式(1)で表される親水性顔料に、該親水性顔料の配
合割合が1重量%となるように純水を加えて攪拌溶解し
た。次いで、この水溶液を、0.5μmメンブランフィ
ルターで濾過し、本発明にかかる記録液として、イエロ
ーインク(1)を作製した。上記イエローインク(1)
は、変色のない良好な色彩を有していた。また、このイ
エローインク(1)の諸性能を、前述した方法により測
定した。この結果を表1に示す。
【0097】〔実施例3〕実施例1で得られた、前記一
般式(1)で表される親水性顔料、ポリアクリル酸アン
モニウム、ジエチレングリコール、グリセロール、およ
び、「BT−7」(商品名;日光ケミカル社製の界面活
性剤)に純水を加えて撹拌溶解した。この水溶液中にお
ける、上記親水性顔料、ポリアクリル酸アンモニウム、
ジエチレングリコール、グリセロール、および「BT−
7」の配合割合は、各々、1重量%、1.0重量%、
7.5重量%、2.5重量%、1重量%である。次い
で、この水溶液を実施例1と同様の方法により濾過し、
本発明にかかる記録液として、イエローインク(2)を
作製した。上記イエローインク(2)は、変色のない良
好な色彩を有していた。また、上記イエローインク
(2)を上質紙にジェット記録し、乾燥させることによ
り、イエローインク(1)に対する乾燥性を乾燥時間に
より評価したところ、乾燥時間は、イエローインク
(1)とほぼ同じであった。このイエローインク(2)
の諸性能を、前述した方法により測定した。この結果を
表1に示す。
【0098】〔比較例1〕実施例3において、前記一般
式(1)で表される親水性顔料を、「C.I.PIGM
ENT YELLOW 110」に代えた以外は、実施
例3と同様の方法により、比較用のイエローインク
(A)を作製した。この比較用のイエローインク(A)
の諸性能を、前述した方法により測定した。この結果を
表1に示す。
【0099】〔実施例4〕実施例3において、ポリアク
リル酸アンモニウムに代えて、ビニルアルコールとアク
リル酸との共重合体である「クラストマーAP−22」
(商品名;株式会社クラレ製)を、3.0重量%となる
ように添加した以外は、実施例2と同様の方法により、
本発明にかかる記録液として、イエローインク(3)を
作製した。上記イエローインク(3)は、変色のない良
好な色彩を有していた。また、上記イエローインク
(3)のイエローインク(1)に対する乾燥性を実施例
3と同様の方法により評価したところ、乾燥時間は、イ
エローインク(1)とほぼ同じであった。このイエロー
インク(3)の諸性能を、前述した方法により測定し
た。この結果を表1に示す。
【0100】〔比較例2〕実施例4において、前記一般
式(1)で表される親水性顔料を、「C.I.PIGM
ENT YELLOW 5」に代えた以外は、実施例4
と同様の方法により、比較用のイエローインク(B)を
作製した。この比較用のイエローインク(B)の諸性能
を、前述した方法により測定した。この結果を表1に示
す。
【0101】〔実施例5〕実施例1で得られた、前記一
般式(1)で表される親水性顔料、水溶性染料としての
「C.I.ダイレクト・イエロー132」、ポリアクリ
ル酸アンモニウム、ジエチレングリコール、グリセロー
ル、および、「BT−7」に純水を加えて撹拌溶解し
た。この水溶液中における、上記親水性顔料、「C.
I.ダイレクト・イエロー132」、ポリアクリル酸ア
ンモニウム、ジエチレングリコール、グリセロール、お
よび「BT−7」の配合割合は、各々、1重量%、0.
1重量%、2.0重量%、7.5重量%、2.5重量
%、1重量%である。次いで、この水溶液を実施例1と
同様の方法により濾過し、本発明にかかる記録液とし
て、イエローインク(4)を作製した。上記イエローイ
ンク(4)は、変色のない良好な色彩を有していた。ま
た、上記イエローインク(4)のイエローインク(1)
に対する乾燥性を実施例3と同様の方法により評価した
ところ、乾燥時間は、イエローインク(1)とほぼ同じ
であった。このイエローインク(4)の諸性能を、前述
した方法により測定した。この結果を表1に示す。
【0102】〔比較例3〕水溶性染料としての「C.
I.ダイレクト・イエロー132」、ポリアクリル酸ア
ンモニウム、ジエチレングリコール、グリセロール、お
よび、「BT−7」に純水を加えて撹拌溶解した。この
水溶液中における、上記「C.I.ダイレクト・イエロ
ー132」、ポリアクリル酸アンモニウム、ジエチレン
グリコール、グリセロール、および「BT−7」の配合
割合は、各々、1重量%、0.05重量%、7.5重量
%、2.5重量%、1重量%である。次いで、この水溶
液を実施例1と同様の方法により濾過して、比較用のイ
エローインク(C)を作製した。この比較用のイエロー
インク(C)の諸性能を、前述した方法により測定し
た。この結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】上記実施例2〜5および比較例1・2の結
果から、本実施例で得られたインク(記録液)は、変色
がなく、また、従来の顔料を用いた記録液と比較して保
存安定性および噴射安定性に優れていると共に良好な耐
水性を有していることが判る。また、実施例3および4
の結果より、上記インクがポリアクリル酸アンモニウ
ム、または、ビニルアルコールとアクリル酸との共重合
体を含む場合、乾燥性を低下させずに、惨みの少ない記
録を行うことができることが判る。さらに、実施例5の
結果より、着色剤として本発明の親水性顔料と水溶性染
料とを同時に用いれば、色調が向上することが判る。
【0105】また、比較例3の水溶性染料のみを着色剤
として用いた場合、該水溶性染料は水に溶解するため、
保存安定性および噴射安定性に優れているが、耐水性が
低く、滲みが激しい。しかしながら、本実施例で得られ
た顔料を着色剤として用いれば、水溶性染料並みの保存
安定性および噴射安定性を得ることができると共に、耐
水性に優れ、滲みが抑制された記録液を得ることができ
ることが判る。
【0106】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明は、
反応させるべき固体状物質と、この固体状物質と反応し
得る化学物質とを、上記固体状物質を粉砕しながら反応
させる反応方法に関するものである。請求項2記載の発
明は、上記固体状物質と化学物質とをボールを入れた容
器内に混入し、該容器を回転させて上記固体状物質に衝
撃を与えることで上記固体状物質の粉砕および反応を行
う反応方法に関するものである。請求項3記載の発明
は、上記固体状物質が疎水性顔料である反応方法に関す
るものである。請求項4記載の発明は、上記化学物質が
親水化剤である反応方法に関するものである。請求項5
記載の発明は、上記親水化剤が塩基性物質の水溶液であ
る反応方法に関するものである。
【0107】上記の反応方法によれば、固体状物質を粉
砕しながら反応させることにより、上記固体状物質を微
細化し、その比表面積を増加させることができる。ま
た、粉砕により上記固体状物質に衝撃を与えることで、
反応を促進させることができると共に、固体状物質の凝
集を防止することができる。従って、上記の反応方法を
用いれば、効率良く反応を行うことができるという効果
を奏する。
【0108】また、上記の反応方法によれば、粉砕によ
って与えられる機械的な力(衝撃力)によって反応が進
行するため、通常の化学反応のように加熱する必要がな
く、上記固体状物質および化学物質にかかる熱を、粉砕
による最小限の発熱に抑えることができる。このため、
温和な条件で反応を行うことができ、得られる反応生成
物の構造の破壊を防止し、該構造破壊に由来する変色等
を抑制することができるという効果を併せて奏する。
【0109】また、請求項6記載の発明は、請求項4ま
たは5記載の反応方法により得られた親水性顔料に関す
るものである。請求項7記載の発明は、一般式(1)
【0110】
【化5】
【0111】(式中、X1 、X2 、Y1 、Y2 は各々独
立してヒドロキシル基またはアミノ基を表し、X1 とY
1 とは互いに異なる置換基を表し、X2 とY2 とは互い
に異なる置換基を表す)で表される親水性顔料に関する
ものである。
【0112】上記の構成によれば、親水性を有すると共
に、変色が抑制された顔料を提供することができるとい
う効果を奏する。特に、請求項7記載の親水性顔料は、
従来、親水化が不可能であった黄色系の顔料であり、し
かも、水に対して充分な溶解性を有している。これら親
水性顔料は、保存安定性や噴射安定性等の物性に優れ、
例えば、記録液の着色剤等に好適に用いることができ
る。
【0113】さらに、請求項8記載の発明は、請求項6
または7記載の親水性顔料を含む記録液に関するもので
ある。請求項9記載の発明は、さらに、溶剤として水を
含む記録液に関するものである。
【0114】上記の構成によれば、変色が抑制された良
好な色彩を有していると共に、優れた保存安定性や噴射
安定性を有している記録液を提供することができる。ま
た、上記溶剤として水を用いることで、安全かつ安価で
あり、しかも、一般的な汎用の記録材を用いることがで
きる記録液を提供することができるという効果を奏す
る。
【0115】請求項10記載の発明は、さらに、ポリア
クリル酸アンモニウムを0.5重量%〜10重量%の割
合で含む記録液に関するものである。請求項11記載の
発明は、さらに、ビニルアルコールとアクリル酸との共
重合体を1.0重量%〜10重量%の割合で含む記録液
に関するものである。
【0116】上記の各構成によれば、記録時において、
記録材への上記記録液の滲みを抑制することができ、良
好な記録を行うことができるという効果を奏する。
【0117】請求項12記載の発明は、さらに、水溶性
染料を含むことを特徴とする記録液に関するものであ
る。
【0118】上記の構成によれば、上記記録液が、さら
に水溶性染料を含むことで、透明性や光沢等の色調を向
上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態にかかる反応
方法に用いられる反応装置に備えられた容器内部の反応
時の状態を、上記容器の垂直断面にて示す図であり、
(b)は、上記容器内部の反応時の状態を、上記容器の
水平断面にて示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる反応方法に用い
られる反応装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施例において得られた反応生成物
の赤外吸収スペクトルである。
【図4】上記反応生成物を得るための原料として用いた
疎水性顔料の赤外吸収スペクトルである。
【符号の説明】
1 台板 2 回転板 3 固定部 4 容器 4a 容器本体 4b 蓋部 4c 突出部 5 ネジ部 11 親水化剤 12 疎水性顔料 13 ボール

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応させるべき固体状物質と、この固体状
    物質と反応し得る化学物質とを、上記固体状物質を粉砕
    しながら反応させることを特徴とする反応方法。
  2. 【請求項2】上記固体状物質と化学物質とをボールを入
    れた容器内に混入し、該容器を回転させて上記固体状物
    質に衝撃を与えることで上記固体状物質の粉砕および反
    応を行うことを特徴とする請求項1記載の反応方法。
  3. 【請求項3】上記固体状物質が疎水性顔料であることを
    特徴とする請求項1または2記載の反応方法。
  4. 【請求項4】上記化学物質が親水化剤であることを特徴
    とする請求項3記載の反応方法。
  5. 【請求項5】上記親水化剤が塩基性物質の水溶液である
    ことを特徴とする請求項4記載の反応方法。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載の反応方法により得
    られた親水性顔料。
  7. 【請求項7】一般式(1) 【化1】 (式中、X1 、X2 、Y1 、Y2 は各々独立してヒドロ
    キシル基またはアミノ基を表し、X1 とY1 とは互いに
    異なる置換基を表し、X2 とY2 とは互いに異なる置換
    基を表す)で表される親水性顔料。
  8. 【請求項8】請求項6または7記載の親水性顔料を含む
    ことを特徴とする記録液。
  9. 【請求項9】さらに、溶剤として水を含むことを特徴と
    する請求項8記載の記録液。
  10. 【請求項10】さらに、ポリアクリル酸アンモニウムを
    0.5重量%〜10重量%の割合で含むことを特徴とす
    る請求項8または9記載の記録液。
  11. 【請求項11】さらに、ビニルアルコールとアクリル酸
    との共重合体を1.0重量%〜10重量%の割合で含む
    ことを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の
    記録液。
  12. 【請求項12】さらに、水溶性染料を含むことを特徴と
    する請求項8〜11の何れか1項に記載の記録液。
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