JPH11220174A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

窒化物半導体発光素子

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JPH11220174A
JPH11220174A JP10330858A JP33085898A JPH11220174A JP H11220174 A JPH11220174 A JP H11220174A JP 10330858 A JP10330858 A JP 10330858A JP 33085898 A JP33085898 A JP 33085898A JP H11220174 A JPH11220174 A JP H11220174A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電耐圧が大きい窒化物半導体発光素子を実
現して、窒化物半導体発光素子の信頼性を向上させる。 【構成】 単一量子井戸もしくは多重量子井戸構造を有
する活性層と、n型クラッド層との間に、インジウムを
含むn型の窒化物半導体よりなる第二のn型クラッド層
を有し、さらに前記活性層と、p型クラッド層との間
に、少なくともインジウムを含むp型の窒化物半導体、
またはp型のGaNよりなる第二のp型クラッド層が形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発光ダイオード(LE
D)、レーザダイオード(LD)等に使用される窒化物
半導体(InaAlbGa1-a-bN、0≦a、0≦b、a+b
≦1)よりなる発光素子に係り、特にダブルへテロ構造
を有する窒化物半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外〜赤色に発光するLED、LD等の
発光素子の材料として窒化物半導体(InaAlbGa
1-a-bN、0≦a、0≦b、a+b≦1)が知られている。
我々はこの半導体材料を用いて、1993年11月に光
度1cdの青色LEDを発表し、1994年4月に光度
2cdの青緑色LEDを発表し、1994年10月には
光度2cdの青色LEDを発表した。これらのLEDは
全て製品化されて、現在ディスプレイ、信号等の実用に
供されている。
【0003】図2に窒化物半導体よりなる従来の青色、
青緑色LEDの発光チップの構造を示す。基本的には、
基板21の上に、GaNよりなるバッファ層22、n型
GaNよりなるn型コンタクト層23と、n型AlGa
Nよりなるn型クラッド層24と、n型InGaNより
なる活性層25と、p型AlGaNよりなるp型クラッ
ド層26と、p型GaNよりなるp型コンタクト層27
とが順に積層された構造を有している。活性層25のn
型InGaNにはSi、Ge等のドナー不純物および/
またはZn、Mg等のアクセプター不純物がドープされ
ており、LED素子の発光波長は、その活性層のInG
aNのIn組成比を変更するか、若しくは活性層にドー
プする不純物の種類を変更することで、紫外〜赤色まで
変化させることが可能となっている。今のところ、活性
層にドナー不純物とアクセプター不純物とが同時にドー
プされた発光波長510nm以下のLEDが実用化され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のLEDは順方向
電流20mAで発光出力は3mW近くあり、SiCより
なるLEDと比較して20倍以上の出力を有している。
しかしながらこのLEDは静電耐圧が低く、例えば逆方
向でバイアスして測定するとおよそ50〜100Vしか
ないという欠点があった。静電耐圧が低いと乾燥した雰
囲気中でLEDを取り扱うと、容易に静電気により素子
が破壊されるので、信頼性に乏しい。
【0005】従って、本発明はこのような事情を鑑みて
成されたものであって、その目的とするところは静電耐
圧が大きい窒化物半導体発光素子及び高出力な発光素子
を実現して、窒化物半導体発光素子の信頼性を向上させ
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】我々は従来のダブルへテ
ロ構造の窒化物半導体発光素子について、種々の実験を
重ねた結果、活性層の次に成長させるp型クラッド層
に、その原因の多くがあることを突き止め、本発明を成
すに至った。即ち、本発明の窒化物半導体発光素子は、
単一量子井戸もしくは多重量子井戸構造を有する活性層
と、n型クラッド層との間に、インジウムを含むn型の
窒化物半導体よりなる第二のn型クラッド層を有し、さ
らに前記活性層と、p型クラッド層との間に、少なくと
もインジウムを含むp型の窒化物半導体、またはp型の
GaNよりなる第二のp型クラッド層が形成されている
ことを特徴とする。
【0007】図1は本発明の一実施例に係る発光素子の
構造を示す模式断面図である。この発光素子は基板1の
上にバッファ層2、n型コンタクト層3、n型クラッド
層4、活性層5、第二のp型クラッド層60、第一のp
型クラッド層6、p型コンタクト層7を順に積層した構
造を示している。
【0008】基板1にはサファイア(A面、C面、R面
を含む)の他、SiC(6H、4Hを含む)、ZnO、
Si、GaAsのような窒化物半導体と格子不整合の基
板、またNGO(ネオジウムガレート)のような酸化物
単結晶よりなる窒化物半導体と格子定数の近い基板等を
使用することができる。
【0009】バッファ層2はGaN、AlN、GaAl
N等を例えば50オングストローム〜0.1μmの膜厚
で成長させることが好ましく、例えばMOVPE法によ
ると400℃〜600℃の低温で成長させることにより
形成できる。
【0010】n型コンタクト層3は負電極8を形成する
層であり、GaN、AlGaN、InAlGaN等を例
えば1μm〜10μmの膜厚で成長させることが好まし
く、その中でもGaNを選択することにより負電極の材
料と好ましいオーミック接触を得ることができる。負電
極8の材料としては例えばAl、Au、Ti等を好まし
く用いることができる。
【0011】n型クラッド層4はGaN、AlGaN、
InAlGaN等を例えば500オングストローム〜
0.5μmの膜厚で成長させることが好ましく、その中
でもGaN、AlGaNを選択することにより結晶性の
良い層が得られる。また、n型クラッド層4、n型コン
タクト層3のいずれかを省略することも可能である。ど
ちらかを省略すると、残った層がn型クラッド層および
n型コンタクト層として作用する。
【0012】活性層5はクラッド層よりもバンドギャッ
プエネルギーが小さいInGaN、InAlGaN、A
lGaN等の窒化物半導体であれば良く、特に所望のバ
ンドギャップによってインジウムの組成比を適宜変更し
たInGaNにすることが好ましい。また活性層5を例
えばInGaN/GaN、InGaN/InGaN(組
成が異なる)等の組み合わせで、それぞれの薄膜を積層
した多重量子井戸構造としてもよい。単一量子井戸構
造、多重量子井戸構造いずれの活性層においても、活性
層はn型、p型いずれでもよいが、特にノンドープ(無
添加)とすることにより半値幅の狭いバンド間発光、励
起子発光、あるいは量子井戸準位発光が得られ、LED
素子、LD素子を実現する上で特に好ましい。活性層を
単一量子井戸(SQW:single quantum well)構造若
しくは多重量子井戸(MQW:multiquantum well)構
造とすると非常に出力の高い発光素子が得られる。SQ
W、MQWとはノンドープのInGaNによる量子準位
間の発光が得られる活性層の構造を指し、例えばSQW
では活性層を単一組成のInXGa1-XN(0≦X<1)
で構成した層であり、InXGa1-XNの膜厚を100オ
ングストローム以下、さらに好ましくは70オングスト
ローム以下とすることにより量子準位間の強い発光が得
られる。またMQWは組成比の異なるInXGa1-X
(この場合X=0、X=1を含む)の薄膜を複数積層した
多層膜とする。このように活性層をSQW、MQWとす
ることにより量子準位間発光で、約365nm〜660
nmまでの発光が得られる。量子構造の井戸層の厚さと
しては、前記のように70オングストローム以下が好ま
しい。多重量子井戸構造では井戸層はInXGa1-XNで
構成し、障壁層は同じくInYGa1-YN(Y<X、この場
合Y=0を含む)で構成することが望ましい。特に好ま
しくは井戸層と障壁層をInGaNで形成すると同一温
度で成長できるので結晶性のよい活性層が得られる。障
壁層の膜厚は150オングストローム以下、さらに好ま
しくは120オングストローム以下にすると高出力な発
光素子が得られる。また、活性層5にドナー不純物およ
び/またはアクセプター不純物をドープしてもよい。不
純物をドープした活性層の結晶性がノンドープと同じで
あれば、ドナー不純物をドープするとノンドープのもの
に比べてバンド間発光強度をさらに強くすることができ
る。アクセプター不純物をドープするとバンド間発光の
ピーク波長よりも約0.5eV低エネルギー側にピーク
波長を持っていくことができるが、半値幅は広くなる。
アクセプター不純物とドナー不純物を同時にドープする
と、アクセプター不純物のみドープした活性層の発光強
度をさらに大きくすることができる。特にアクセプター
不純物をドープした活性層を実現する場合、活性層の導
電型はSi等のドナー不純物を同時にドープしてn型と
することが好ましい。活性層5は例えば数オングストロ
ーム〜0.5μmの膜厚で成長させることができる。但
し、活性層をSQW、若しくはMQWとするときは、n
型クラッド層4と活性層5との間にInを含むn型の窒
化物半導体、またはn型GaNよりなる第二のn型クラ
ッド層を形成することが望ましい。
【0013】次に本発明の最も特徴である第二のp型ク
ラッド層60は少なくともインジウムを含むp型の窒化
物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0<X、Y≦0、X+
Y<1)またはp型のGaNで形成する必要がある。そ
の中でもInGaN、またはGaN等のAlを含まない
窒化物半導体で形成することが特に好ましい。さらに第
二のp型クラッド層60の膜厚は200オングストロー
ム以下、さらに好ましくは100オングストローム以下
の膜厚で形成することが好ましい。なぜなら、200オ
ングストローム以下の膜厚に調整することにより、発光
素子の発光出力をほとんど維持したまま、発光素子の静
電耐圧を上げることが可能となるからである。逆にその
膜厚が200オングストロームよりも厚いと、発光素子
の出力が低下する傾向にある。
【0014】第一のp型クラッド層6はGaN、AlG
aN、InAlGaN等を例えば500オングストロー
ム〜0.5μmの膜厚で成長させることが好ましく、そ
の中でもGaN、AlGaNを選択することにより結晶
性の良い層が得られる。また、第二のp型クラッド層6
0の組成と第一のp型クラッド層6の構成が同じである
場合、第一のp型クラッド層6の組成比を変化させて、
バンドギャップエネルギーを第二のp型クラッド層60
と同じとするか、または大きくする。
【0015】p型コンタクト層7は正電極9を形成する
層であり、例えばGaN、AlGaN、InAlGaN
等を成長させることが好ましく、その中でもGaNを選
択することにより正電極の材料と好ましいオーミック接
触を得ることができる。正電極材料としてはNi、Au
等を好ましく用いることができる。また、p型コンタク
ト層7、第一のp型クラッド層6のいずれかを省略する
ことも可能である。どちらかを省略すると、残った層が
第一のp型クラッド層およびp型コンタクト層として作
用する。
【0016】本発明の発光素子は例えばMOVPE(有
機金属気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、H
DVPE(ハイドライド気相成長法)等の気相成長法を
用いて、基板上にInaAlbGa1-a-bN(0≦a、0≦
b、a+b≦1)をn型、p型等の導電型で積層すること
によって得られる。n型の窒化物半導体はノンドープの
状態でも得られるが、Si、Ge、S等のドナー不純物
を結晶成長中に半導体層中に導入することによって得ら
れる。これらのドナー不純物濃度を調整することによ
り、n型層のキャリア濃度を調整できる。一方、p型の
窒化物半導体層はMg、Zn、Cd、Ca、Be、C等
のアクセプター不純物を同じく結晶成長中に半導体層中
に導入するか、または導入後400℃以上でアニーリン
グを行うことにより得られる。同様にこれらアクセプタ
ー不純物濃度を調整することにより、p型層のキャリア
濃度を調整することができる。バッファ層2は基板1と
窒化物半導体との格子不整合を緩和するために設けられ
るが、SiC、ZnOのような窒化物半導体と格子定数
が近い基板、窒化物半導体と格子整合した基板を使用す
る際にはバッファ層が形成されないこともある。
【0017】
【作用】従来のLEDでは例えばInを含む活性層の上
にAlを含む第一のp型クラッド層を成長させていた。
一方、本発明では新たに活性層と第一のp型クラッド層
との間にGaNまたはInを含む窒化物半導体よりなる
第二のp型クラッド層を成長させている。この構成によ
り発光素子の静電耐圧を向上させることができる。これ
は活性層の上の第二のp型クラッド層がバッファ層の作
用をして、第一のp型クラッド層の結晶性を良くして素
子の静電耐圧を向上させている。窒化物半導体はバンド
ギャップエネルギーの大きい順、AlN>GaN>In
Nの順に結晶自体が柔らかい性質を持っている。つま
り、Inを含む窒化物半導体、またはGaNよりなる第
二のp型クラッド層は、第二のp型クラッド層よりもバ
ンドギャップエネルギーが大きい第一のp型クラッド層
に比べて結晶自体が柔らかい。この柔らかい結晶である
第二のp型クラッド層がバッファ層の作用をすることに
より、その第二のp型クラッド層の上に成長させる第一
のp型クラッド層の結晶性が良くなり、格子欠陥が少な
くなるので、素子全体の静電耐圧が向上するのである。
【0018】バッファ層として好適に作用する第二のp
型クラッド層の膜厚は200オングストローム以下が好
ましい。第二のp型クラッド層を厚く積むほど静電耐圧
は向上する傾向にあるが、膜厚が厚すぎると、その第二
のp型クラッド層自体に結晶欠陥が多く発生してしまい
バッファ層として作用しにくくなる傾向にある。結晶欠
陥の多い第二のp型クラッド層の上に第一のp型クラッ
ド層を成長させると、結晶欠陥が第一のp型クラッド層
にまで伝わってしまうので、結晶性の良い第一のp型ク
ラッド層が成長しにくくなる。このため第二のp型クラ
ッド層の膜厚が厚すぎると、発光素子の出力が低下する
傾向にある。第二のp型クラッド層の膜厚の下限は特に
限定するものではなく、例えば1原子層、2原子層にあ
たるような数オングストロームの膜厚で形成してもよ
い。
【0019】
【実施例】以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明
する。以下の実施例はMOVPE法による成長方法を示
している。
【0020】[実施例1]図1を元に実施例1について
説明する。まず、TMG(トリメチルガリウム)とNH
3とを用い、反応容器にセットしたサファイア基板1の
C面に500℃でGaNよりなるバッファ層2を500
オングストロームの膜厚で成長させる。
【0021】次に温度を1050℃まで上げ、TMG、
NH3に加えシランガスを用い、Siドープn型GaN
よりなるn型コンタクト層23を4μmの膜厚で成長さ
せる。
【0022】続いて原料ガスにTMA(トリメチルアル
ミニウム)を加え、同じく1050℃でSiドープn型
Al0.3Ga0.7N層よりなるn型クラッド層4を0.1
μmの膜厚で成長させる。
【0023】次に温度を800℃に下げ、TMG、TM
I(トリメチルインジウム)、NH 3、シランガス、D
EZ(ジエチルジンク)を用い、Si+Znドープn型
In0.05Ga0.95Nよりなる活性層5を0.1μmの膜
厚で成長させる。
【0024】続いて800℃にて、TMG、TMI(ト
リメチルインジウム)、NH3、Cp2Mg(シクロペン
タジエニルマグネシウム)ガスを用い、Mgドープp型
In0.01Ga0.99Nよりなる第二のp型クラッド層60
を50オングストローム成長させる。
【0025】次に温度を1050℃に上げ、TMG、T
MA、NH3、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネ
シウム)を用い、Mgドープp型Al0.3Ga0.7Nより
なる第一のp型クラッド層6を0.1μmの膜厚で成長
させる。
【0026】続いて1050℃でTMG、NH3、Cp2
Mgを用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタ
クト層7を0.5μmの膜厚で成長させる。
【0027】反応終了後、温度を室温まで下げてウェー
ハを反応容器から取り出し、700℃でウェーハのアニ
ーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。次に最
上層のp型コンタクト層7の表面に所定の形状のマスク
を形成し、n型コンタクト層3の表面が露出するまでエ
ッチングする。エッチング後、n型コンタクト層3の表
面にTiとAlよりなる負電極8、p型コンタクト層7
の表面にNiとAuよりなる正電極9を形成する。電極
形成後、ウェーハを350μm角のチップに分離した
後、LED素子とした。このLED素子はIf20mA
でVf3.6V、発光ピーク波長450nm、半値幅7
0nmの青色発光を示し、発光出力は3mWであった。
さらに、このLEDの両電極に逆バイアスをかけて静電
耐圧を測定したところ、400Vまで素子が破壊しなか
った。
【0028】[実施例2]第二のp型クラッド層60の
膜厚を100オングストロームとする他は実施例1と同
様にしてLED素子を得たところ、発光出力は3mWと
同一で、静電耐圧は450Vまで向上していた。
【0029】[実施例3]第二のp型クラッド層60の
膜厚を200オングストロームとする他は実施例1と同
様にしてLED素子を得たところ、発光出力は2.5m
W、静電耐圧は550Vまで向上していた。
【0030】[実施例4]第二のp型クラッド層60の
膜厚を300オングストロームとする他は実施例1と同
様にしてLED素子を得たところ、静電耐圧は650V
まで向上したが、発光出力は1mWまで低下した。
【0031】[実施例5]第二のp型クラッド層60に
Mgドープp型GaNを10オングストロームの膜厚で
形成する他は実施例1と同様にしてLED素子を得たと
ころ、発光出力は実施例1と同じ3mW、静電耐圧は3
60Vであった。
【0032】[実施例6]図3は実施例6に係る発光素
子の構造を示す模式的な断面図である。この発光素子が
図1の発光素子と異なるところは、n型クラッド層4と
活性層5との間に新たなバッファ層としてInを含むn
型の窒化物半導体、またはn型GaNよりなる第二のn
型クラッド層40を形成しているところである。この第
二のクラッド層40は10オングストローム以上、0.
1μm以下の膜厚で形成することが望ましく、さらに第
二のn型クラッド層40と活性層5の膜厚を300オン
グストローム以上にすると、Inを含む第一のn型クラ
ッド層40とInを含む活性層5とがバッファ層として
作用し、n型クラッド層4、p型クラッド層6にクラッ
クが入らず結晶性良く成長できる。さらに、この第二の
n型クラッド層40を成長させることにより、不純物を
ドープしない活性層が実現でき、半値幅が狭く、出力の
高い発光を得ることができる。
【0033】この第二のn型クラッド層40は、活性層
5とAlとGaとを含むn型クラッド層4との間のバッ
ファ層として作用する。つまりInとGaとを含む第二
のn型クラッド層40が結晶の性質として柔らかい性質
を有しているので、AlとGaとを含むn型クラッド層
4と活性層5との格子定数不整と熱膨張係数差によって
生じる歪を吸収する働きがある。従って活性層5を膜厚
が薄い量子構造を有するSQW、MQWとしても、活性
層5、n型クラッド層4にクラックが入らないので、活
性層を量子構造にしても活性層が弾性的に変形し、活性
層の結晶欠陥が少なくなる。つまり活性層の膜厚が薄い
状態においても、活性層の結晶性が良くなるので発光出
力が増大する。さらに、活性層は膜厚を薄くしたことに
より量子効果および励起子効果により発光出力が増大す
る。言い換えると、従来の発光素子では単一の活性層の
膜厚を例えば1000オングストローム以上と厚くする
ことにより、クラッド層、活性層にクラックが入るのを
防止していた。しかしながら活性層には常に熱膨張係数
差、格子不整による歪が係っており、従来の発光素子で
は活性層の厚さが弾性的に変形可能な臨界膜厚を超えて
いるので、弾性的に変形することができず、活性層中に
多数の結晶欠陥を生じ、バンド間発光ではあまり光らな
い。この第二のn型クラッド層40を形成することによ
り、量子構造の活性層において、発光素子の発光出力を
飛躍的に向上させることが可能である。
【0034】具体的には、実施例1においてn型クラッ
ド層4を成長させた後、温度を800℃に下げ、TM
G、TMI(トリメチルインジウム)、NH3、シラン
ガスを用い、Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりな
る第二のn型クラッド層40を500オングストローム
の膜厚で成長させる。
【0035】続いてTMG、TMI、NH3を用い80
0℃でノンドープn型In0.05Ga0.95Nよりなる単一
量子井戸構造の活性層5を80オングストロームの膜厚
で成長させる。後は実施例1と同様にして、第二のp型
クラッド層60と、第一のp型クラッド層6、p型コン
タクト層7を成長させてLED素子としたところ、この
LED素子は、If20mAでVf3.2V、発光ピー
ク波長400nmの青色発光を示し、発光出力は12m
Wであった。さらに、発光スペクトルの半値幅は20n
mであり、非常に色純度の良い発光を示した。また静電
耐圧も実施例1と同様に400Vであった。
【0036】[実施例7]実施例6において、活性層5
の組成をノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる井戸層
を25オングストロームと、ノンドープIn0.01Ga0.
99Nよりなる障壁層を50オングストロームの膜厚で成
長させる。この操作を13回繰り返し、最後に井戸層を
積層して総厚1000オングストロームの活性層6を成
長させた。後は実施例1と同様にして、第二のp型クラ
ッド層60と、第一のp型クラッド層6、p型コンタク
ト層7を成長させてLED素子としたところ、このLE
D素子は、If20mAでVf3.2V、発光ピーク波
長400nmの青色発光を示し、発光出力は12mWで
あった。さらに、発光スペクトルの半値幅は20nmで
あり、非常に色純度の良い発光を示した。また静電耐圧
は500Vであった。これは単一量子井戸構造の活性層
よりも、多重量子井戸構造の活性層を有する素子の方が
静電耐圧が高いことを示している。
【0037】[実施例8]活性層5の膜厚を500オン
グストロームとする他は実施例6と同様にしてLED素
子を得たところ、このLED素子は活性層の膜厚が厚く
なったので、発光出力は3mWまで低下したが、発光ピ
ーク波長390nmで、半値幅20nmの青色発光を示
し、静電耐圧は400Vであった。
【0038】[実施例9]第二のp型クラッド層60の
膜厚を200オングストロームとする他は実施例6と同
様にしてLED素子を得たところ、実施例6と同じく発
光ピーク波長400nm、半値幅20nmの青色発光を
示し、発光出力は10mW、静電耐圧は550Vまで向
上していた。
【0039】
【発明の効果】従来の窒化物半導体発光素子では静電耐
圧に弱く、特に乾燥した環境中では静電気により容易に
素子が破壊してしまい信頼性に乏しかった。しかし本発
明により発光素子の静電耐圧が向上するので、素子が容
易に破壊されにくくなり信頼性が極めて向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る発光素子の構造を示
す模式断面図。
【図2】 従来の発光素子の構造を示す模式断面図。
【図3】 本発明の他の実施例に係る発光素子の構造を
示す模式断面図。
【符号の説明】 1・・・・基板 2・・・・バッファ層 3・・・・n型コンタクト層 4・・・・n型クラッド層 5・・・・活性層 60・・・・第二のp型クラッド層 6・・・・第一のp型クラッド層 7・・・・p型コンタクト層 8・・・・負電極 9・・・・正電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一量子井戸もしくは多重量子井戸構造
    を有する活性層と、n型クラッド層との間に、インジウ
    ムを含むn型の窒化物半導体よりなる第二のn型クラッ
    ド層を有し、さらに前記活性層と、p型クラッド層との
    間に、少なくともインジウムを含むp型の窒化物半導
    体、またはp型のGaNよりなる第二のp型クラッド層
    が形成されていることを特徴とする窒化物半導体発光素
    子。
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