JPH1121984A - 補強ボックスカルバート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震時にボックスカルバートに作用するせん
断力により中柱や隔壁が破壊する事態を防止する。 【解決手段】 中柱２，もしくは隔壁３を床版４，５か
ら分離させ、または中柱２，もしくは隔壁３の一部を上
下に分離させると共に、その分離させた部分に鋼材ダン
パ６を設置し、地震時のせん断力を中柱２や隔壁３に分
担させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は地震時にボックス
カルバートに作用するせん断力により中柱や隔壁が破壊
する事態を防止する補強ボックスカルバートに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ボック
スカルバートは地震時に幅方向にせん断変形する周辺地
盤によって強制的に変形させられ、中柱や隔壁を有する
場合には、床版との接合部に働く過大なせん断力と曲げ
モーメントによって中柱や隔壁がまず、圧縮破壊，もし
くはせん破壊し、上床版上の鉛直荷重を支持する能力を
失い、ボックスカルバート全体の崩壊に至る。

【０００３】中柱や隔壁の破壊は、接合部への補強鋼板
の設置の他、コンクリート断面の増大やせん断補強筋の
増加等により接合部の耐力を増大させることで防止する
こともできるが、補強効果に限界があることから、中柱
や隔壁を床版から分離させ、中柱や隔壁と床版をボック
スカルバートの幅方向に相対移動可能にすることで、中
柱や隔壁に上床版上の上載荷重を負担させながら、過大
なせん断力を負担させない方法が提案されている。

【０００４】この方法はボックスカルバート本体のせん
断変形時にも中柱や隔壁が健全に保たれ、中柱や隔壁が
破壊することによる上床版の崩壊を防止する利点を持つ
が、中柱や隔壁が地震時のせん断力を分担しないため、
ボックスカルバート全体の耐震性能を向上させることに
はならない。

【０００５】この発明は上記背景より、耐震性能の向上
を図りながら、中柱や隔壁の破壊を防止する構造を提案
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では中柱，もしく
は隔壁の一部を床版から分離させ、または中柱，もしく
は隔壁の一部を上下に分離させると共に、その分離させ
た部分に鋼材ダンパを設置することにより、地震時のせ
ん断力を中柱や隔壁に分担させながら、その破壊を防止
する。

【０００７】鋼材ダンパは鋼板の中間部に開口が穿設さ
れた形をし、面がボックスカルバートの幅方向を向いて
設置されることにより、地震時に面内の水平せん断力を
負担して開口回りの本体が曲げ降伏し、弾塑性履歴特性
により地震時のエネルギを吸収することで中柱や隔壁が
負担するせん断力を低減し、その破壊を防止する。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明は中柱２，もしくは隔壁
３を有するボックスカルバート１の中柱２や隔壁３の一
部を分離させ、その分離させた部分に板状の鋼材ダンパ
６を設置したものである。

【０００９】中柱２や隔壁３は図１−(a) に示すように
上床版４，もしくは(c) に示すように下床版５から分離
し、あるいは(b) に示すように中柱２や隔壁３の一部が
上下に分離し、その分離した中柱２と床版４，５間に、
または中柱２，２間や隔壁３，３間に鋼材ダンパ６が跨
って設置される。

【００１０】鋼材ダンパ６は図２，図３に示すように、
その面がボックスカルバート１の幅方向を向いて配置さ
れ、中柱２の場合は各中柱２毎に設置され、隔壁３の場
合はその長さ方向に間隔をおいて設置される。

【００１１】鋼材ダンパ６は鋼板の中間部に少なくとも
１個の開口61を有する形をし、それが跨る中柱２や隔壁
３と床版４，５間の、または中柱２，２間、もしくは隔
壁３，３間の相対変形時に面内の水平せん断力を負担し
て開口61回りの本体が曲げ降伏する。複数個の開口61が
形成される場合、開口61は横方向に、または横方向と高
さ方向に間隔をおいて穿設される。

【００１２】鋼材ダンパ６を組み込んだボックスカルバ
ート１の製作は、中柱２，もしくは隔壁３と床版４，５
の鉄筋の組み立てと共に、鋼材ダンパ６を定着させるた
めのアンカー７が付いた定着プレート８を鋼材ダンパ６
が跨る中柱２や隔壁３と床版４，５に、または分離する
中柱２，２、もしくは隔壁３，３に配置し、コンクリー
トを打設して定着プレート８を定着させた後に、鋼材ダ
ンパ６を設置して定着プレート８に接合することにより
行われる。

【００１３】図４−(a) に示すように既設のボックスカ
ルバート１に中柱２を新たに増設して鋼材ダンパ６を設
置する場合は、増設位置に中柱２の鉄筋を組み立てる一
方、アンカー７が定着される部分と鉄筋が定着される部
分にそれぞれアンカー孔10と削孔９を形成し、定着プレ
ート８と鉄筋を設置し、中柱２のコンクリートを打設し
た後に鋼材ダンパ６が設置され、定着プレート８に接合
される。

【００１４】図５に示すように既設のボックスカルバー
ト１の中柱２や隔壁３に鋼材ダンパ６を設置する場合
は、(b) に示すように中柱２や隔壁３の、鋼材ダンパ６
の設置位置を切断し、(c) ，(d) に示すように分離した
中柱２や隔壁３と床版４，５にアンカー孔10を形成して
定着プレート８を設置した後、鋼材ダンパ６が設置さ
れ、定着プレート８に接合される。鋼材ダンパ６の設置
対象が隔壁３の場合、隔壁３は図６に示すように長さ方
向に間隔をおき、部分的に切断される。

【００１５】図４〜図６の場合の削孔９やアンカー孔10
はモルタルやコンクリート等により埋められる。

【００１６】

【発明の効果】中柱，もしくは隔壁を床版から分離さ
せ、または中柱，もしくは隔壁の一部を上下に分離させ
ると共に、その分離させた部分に鋼材ダンパを設置する
ことで、地震時に水平せん断力を鋼材ダンパに負担させ
ながら、中柱や隔壁に分担させるため、中柱や隔壁を床
版から分離させながらも、ボックスカルバート全体の耐
震性能が向上し、その破壊を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ボックスカルバートへの鋼材ダンパの設置例を
示した断面図である。

【図２】図１の一部拡大図である。

【図３】図２の斜視図である。

【図４】既設のボックスカルバートに対し、中柱を増設
して鋼材ダンパを設置する場合の要領を示した断面図で
ある。

【図５】既設のボックスカルバートの中柱や隔壁に鋼材
ダンパを設置する場合の要領を示した断面図である。

【図６】隔壁の一部に鋼材ダンパを設置した場合の、図
５に直交する方向の断面図である。

【符号の説明】

１……ボックスカルバート、２……中柱、３……隔壁、
４……上床版、５……下床版、６……鋼材ダンパ、61…
…開口、７……アンカー、８……定着プレート、９……
削孔、10……アンカー孔。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボックスカルバートの中柱が床版から分
   離し、または中柱の一部が上下に分離し、その分離した
   中柱と床版間に、または中柱間に、鋼板の中間部に開口
   が穿設され、面内の水平せん断力を負担して開口回りの
   本体が曲げ降伏する鋼材ダンパを、その面をボックスカ
   ルバートの幅方向に向けて設置してある補強ボックスカ
   ルバート。
2. 【請求項２】 ボックスカルバートの隔壁の一部が床版
   から分離し、または隔壁の一部が上下に分離し、その分
   離した隔壁と床版間に、または隔壁の一部に、鋼板の中
   間部に開口が穿設され、面内の水平せん断力を負担して
   開口回りの本体が曲げ降伏する鋼材ダンパを、その面を
   ボックスカルバートの幅方向に向けて設置してある補強
   ボックスカルバート。