JPH11219726A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JPH11219726A
JPH11219726A JP10020712A JP2071298A JPH11219726A JP H11219726 A JPH11219726 A JP H11219726A JP 10020712 A JP10020712 A JP 10020712A JP 2071298 A JP2071298 A JP 2071298A JP H11219726 A JPH11219726 A JP H11219726A
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JP
Japan
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positive electrode
negative electrode
active material
electrolyte
gel
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JP10020712A
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English (en)
Inventor
Iwao Soga
巌 曽我
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリマー電解質を用い、高電位、高エネルギ
ー密度でサイクル特性に優れたリチウム二次電池を提供
する。 【解決手段】 正極、負極がリチウムイオンを吸蔵放出
可能な活物質を含有する層を集電体上に設けてなり、さ
らに電解質層と正極・負極中のイオン移動相がゲル状電
解質で構成されてなるリチウム二次電池において、正
極、負極の活物質を空隙を有している層として集電体上
に形成し、しかるのちに主として電解液と高分子からな
り常温においてゲル状であり、高温において溶液状態と
なる電解液成分を、加温し溶液とした状態で該層中に含
浸させて、その後冷却しゲル化させることによって正
極、負極が形成されることを特徴とするリチウム二次電
池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウム二次電池に
存する。更に詳しくは、電解液に代えてゲル状電解質を
用いたリチウム二次電池に存し、高電位、高エネルギー
密度でサイクル特性に優れたリチウム二次電池に存す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ一体型VTR装置、オーデ
ィオ機器、携帯型コンピュータ、携帯電話等様々な機器
の小型化、軽量化が進んでおり、これら機器の電源とし
ての電池に対する高性能化要請が高まっている。特に機
器本体の小型化に対応するため、電池の小型化と容量の
同時確保、すなわち高エネルギー密度化が要求されてい
る。特に充電することにより繰り返し使用できる二次電
池に対する期待は高い。これに対してリチウム二次電池
は高エネルギー密度を実現可能であり、高電圧であるこ
とから、開発が盛んになっている。またリチウム二次電
池は、その高いエネルギー密度から電気自動車の動力源
としての期待がされている。
【0003】リチウム二次電池は、リチウムイオンを吸
蔵放出可能な正極と負極、及び主としてリチウム塩と非
水系電解液からなる非水系電解質によって構成されてい
る。非水系電解質を用いる理由は、リチウムが従来型電
池の電解質の主成分である水に対して反応性が高く安定
に存在しえないからである。そのためリチウム電池を含
む高電圧系電池の電解質には、電解質に含まれる電解液
として非水系の電解液が用いられていた。ところが非水
系電解液は、多くが有機化合物液体で可燃性、臭気を有
することが多く、非水系電解液を用いた電池は漏液や発
火の危険を有している。このため近年では、安全性を向
上させるために非水系電解質を、ゲル状電解質に置き換
える電池の開発が行われている。ゲル状電解質では非水
系電解質が、例えばポリマーに含有させられており、イ
オン伝導度などその特性の多くは電解液の性能を保持し
ながら、流動性は極めて低下しており形状維持性があ
る。また揮発速度も抑制される。従って漏液や発火の危
険を低減できる。特にリチウム金属を用いる二次電池に
おいては、従来の電解質を用いた際に生ずるリチウムの
デンドライト析出による内部短絡からくる発熱、発火が
問題となっているが、ゲル状電解質ではデンドライト析
出が抑制されるとの報告があり実用化が望まれていた。
【0004】さらに上記のような、ポリマー中に電解質
を含有したゲル状電解質は、正極と負極を隔てる電解質
層部に使用された場合、従来のリチウム二次電池と異な
りセパレータを用いずとも動作が可能で、セパレーター
を省略してゲル状電解質層を挟んで正極と負極と接合さ
せて用いることが出来る。この様なポリマー電解質を用
いた電池は、液系に比して軽量、簡略にできるという利
点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、リチウム二
次電池における正極又は負極は、アルミニウム板や銅板
の様な集電体上に、正極活物質又は負極活物質、電解
質、導電材料、及び結合樹脂等を含有する混合物を塗布
して製造する。ゲル状電解質を用いたリチウム二次電池
では例えば、US特許5453335に見られるよう
に、活物質、重合性モノマー、電解液を混練、塗布し、
しかるのちモノマーを重合することによって電解液をゲ
ル状電解質として正極、負極を形成したり、US特許5
609974に見られるように活物質、高分子、電解質
を高温で混練、塗布し、冷却することにより高分子−電
解質をゲル状電解質とするような方法で作成されてい
る。
【0006】上記のような、ゲル状電解質を有する正極
又は負極の製造法は製造上いくつかの制約がある。第一
に先に述べたようにリチウム二次電池では水の存在は問
題になる。電解液の製造ではppmオーダーまで水分量
がコントロールされている必要がある。しかるに上記の
製造法では混練段階から電解液を含有するため、分散、
塗布のすべての工程において水分を管理しなければなら
ない。これは分散機、塗布機を除湿管理された室内(ド
ライルーム)に設置することによって達成されるもので
あるが、そのためにはかなり大きなドライルームが必要
になりコストがかかる。また工程が長くなればなるほ
ど、ドライルーム内であっても水分を吸収する可能性も
高くなる。第二にゲル化が完了する前の正極、負極膜は
依然柔らかく、集電体上に塗布されてからゲル化が完了
するまでの間、活物質の脱離などの問題が生じやすく、
製造ラインを汚しやすい。またインラインでゲル化工程
をいれると、ラインが長くなり、コスト上昇を招く。第
三に上記の組成では、塗布前の塗料がほぼそのまま正
極、負極の組成となるが、容量増加を図って塗料中の活
物質の比率を高くすると粘度が上昇し、分散塗布が困難
になる。第四にUS特許5609974に見られるよう
に活物質、高分子、電解質を高温で混練、塗布しする方
法では、高分子−電解質が常温でゲル状電解質であると
いう特性から、高温にしないと分散、塗布が可能になる
流動性が得られない。これには90℃を越える様な加温
が必要で、分散機、塗布機にこのような加熱設備を付帯
することはコスト上昇を招く。また電解液は種類によっ
ては沸点が90℃以下のものもあるが、かかる電解液は
上記の手法では使用できなくなる。
【0007】一方、充放電過程において、活物質はリチ
ウムイオンの吸蔵放出に伴い膨張収縮を起こす。特にグ
ラファイトのような炭素系負極活物質は充放電過程にお
けるリチウムイオンの吸蔵放出に際し、層間距離にして
約10%の膨張収縮を繰り返す。一方US特許5453
335やUS特許5609974などで例示した様なゲ
ル状電解質を用いた負極の場合、ゲル状電解質が構造的
に弱く、電極における活物質の膨張収縮に耐えられない
ため、電解質を含む負極構造の破壊が起こりやすく、イ
オン伝導や電子伝導の劣化が生じ、サイクル特性が悪い
という問題を有している。特にUS特許5609974
に見られるように高分子ゲル状電解質を使用する電池で
は、高分子ゲルが相互に結合してなく高分子鎖のからみ
あいによってゲル構造が維持されている。このような構
造では長時間あるいは繰り返しの応力下では、からみ鎖
が徐々に滑っていき構造が保てない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記実状に鑑み
て為されたものであり、高電位、高エネルギー密度でサ
イクル特性に優れ、かつ液漏れ等の問題を抑制したゲル
状電解質を用いたリチウム二次電池を得るために鋭意検
討した結果、正極、負極活物質層の形成とゲル状電解質
の形成を2段階に分離しておこなうことによって、生産
性を飛躍的に向上させるとともに、電池特性の向上を計
りつつ、正極、負極の劣化の少ないサイクル特性に優れ
たリチウム二次電池を得られることを見いだし、完成し
たものである。
【0009】さらに詳しくは、正極、負極がリチウムイ
オンを吸蔵放出可能な活物質を含有する層を集電体上に
設けてなり、さらに電解質層と正極・負極中のイオン移
動相がゲル状電解質で構成されてなるリチウム二次電池
において、正極、負極の活物質を空隙を有している層と
して集電体上に形成し、しかるのちに主として電解液と
高分子からなり常温においてゲル状であり、高温におい
て溶液状態となる電解液成分を、加温し溶液とした状態
で該層中に含浸させて、その後冷却しゲル化させること
によって正極、負極が形成することにより諸問題の解決
を実現したものである。
【0010】正極、負極の活物質を集電体上に空隙を有
するように形成した層(以下活物質層と略す)を集電体
上に形成する工程は、後に乾燥工程などにによって水分
除去がおこなわれうるものであるから、水分管理をする
必要がなく通常の雰囲気下でおこなうことが可能であ
る。従って、分散機、塗布機ともドライルーム内に設置
する必要はなく、設備の簡略化がはかれる。正・負極の
活物質層の形成手段はどのようなものであってもかまわ
ないが、形成された活物質層は後に電解液を含浸させう
る空隙を層中に含む必要がある。一例として活物質層を
形成する活物質と樹脂を、適当な溶液とともに分散塗料
化し、集電体上に塗布後、乾燥することによって得られ
る。このような手法は、磁気記録媒体などで膨大な知見
が蓄積されている物であり、本発明によってそのような
知見をゲル状電解質を用いたリチウム二次電池に適用す
ることが可能となる。また塗膜にカレンダー工程を加え
ることによって塗膜を圧密し活物質の充填量を高めるこ
とも可能である。圧密の度合いは活物質の充填量と、空
隙を埋めるゲル状電解質部分のイオン伝導度のバランス
で決定される。
【0011】正・負極内に存在するゲル状電解質は、乾
燥し水分を除去された活物質層に、常温においてゲル化
しゲル状電解質を形成する高分子成分を含有する電解液
を、加温されて溶液になった状態で活物質層中に含浸さ
せて、その後冷却しゲル化させることによって形成され
る。本発明においては含浸工程においてのみ含浸液が加
温されていればよく、設備の簡略化が可能となる。また
これ以降の工程が水分管理されていれば良い。主として
高分子と電解液、支持電解質からなり常温においてゲル
状電解質を形成する高分子ゲルは、高温で溶液状態とな
り、所定の温度以下では流動性を失い室温ではゲルとな
るものである。これは高分子の電解液への溶解性と分子
量を適当に選ぶことにより実現できる。調製は高温で高
分子を電解液に溶解することによりおこなう。モノマー
から反応により高分子を重合することにより形成したゲ
ルと比較して、低分子量成分が少なく安定なゲルが得ら
れる。また電解液に対して低い高分子分率からゲル化す
るため、電解質の割合が高くできイオン伝導度を高め、
レート特性などの電池特性を向上させることができる。
特に本発明においては、活物質は活物質層を形成する樹
脂等によって固持されるので、ゲル状電解質は電解質の
保持とイオン伝導性を提供するだけでよく機械的強度が
低くてもよい。そのため高分子ゲルの相互に化学的結合
がなく弱いとい欠点を補い、高分子の濃度を下げてイオ
ン伝導度を高めることができるという長所を最大限に発
揮できる。
【0012】本発明による方法では、高分子を含む電解
液を加熱し溶液状態とすることによって、含浸液の粘度
を下げ活物質層中の微細な空隙に含浸させることを可能
とした。特に正極、負極中に高分子ゲル状電解質を形成
したのち正極・電解質層・負極を積層する手法では、
正、負極の活物質層上に溶液上にした高分子ゲル状電解
質を塗布して含浸させることができる。この場合、含浸
は活物質層の厚み分だけ進行すれば良く、加温し溶液状
にしていてもまだ粘度が高い、溶液状とした高分子ゲル
状電解質の含浸に対しては極めて有効である。活物質層
の厚みは通常1ミリメートル以下であり含浸は急速に完
了する。先に正極、負極の活物質層、電解質層を積層し
ておき、積層体の側面から含浸を進める手法では粘度が
高い、溶液状とした高分子ゲル状電解質の含浸には時間
がかかる。
【0013】本発明の手法によれば活物質は活物質層を
形成する樹脂等によって固持され、ゲル状電解質は電解
質の保持とイオン伝導性を提供するだけである。したが
って活物質は活物質層を形成する樹脂等によって強固に
保持されているため、脱離などの問題は生じにくい。さ
らに従来のゲル状電解質を用いたリチウム二次電池にみ
られるような、電極の構造破壊によるサイクル特性の劣
化は起こりにくい。また活物質は樹脂等によって集電体
上に固持され、電解液はゲル状電解質を形成する高分子
によって保持されているため、従来のリチウム二次電池
の様に金属製の缶に封入しなくとも、平板積層型に形成
し形状可変性のあるケースに収納しただけで作動する。
むろん巻き取り型に積層し円筒型にしても問題なく、平
板積層において一部分を湾曲させても問題はない。ここ
で形状可変性のあるケースとは、金属缶の様な剛性はな
く、柔軟性、屈曲性、可撓性などを有するケースで、電
池を収納後曲げたりできる形状自由性があるとともに、
軽量化が図れるという利点を持つ。本発明のリチウム二
次電池は、ゲル状電解質を用いていることから電解液の
液漏れが無く、電極の構造も強いため、円筒型、箱形、
ペーパー型、カード型など種々の形状を軽量で実現でき
る。
【0014】本発明は正極、負極及び電解質層を備えた
リチウム二次電池であって、正極、負極がリチウムイオ
ンを吸蔵放出可能な活物質を集電体上に設けたものであ
り、かつ電解質層および正極、負極内の電解質部はゲル
状電解質からなることを特徴とするリチウム二次電池に
存し、特には、電解質層および正・負極中の電解質が非
水電解液含有ゲル状電解質からなるリチウム二次電池に
存する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のリチウム二次電池は正極
活物質もしくは負極活物質を含有する活物質層、及び活
物質層と、活物質層に後から含浸させて形成される高分
子ゲル状電解質を含んで形成される正極及び負極を、主
たる構成要件としている。はじめに本発明に用いられる
正極活物質もしくは負極活物質を含有する活物質層につ
いて説明する。
【0016】正極活物質層は正極活物質をアルミニウム
板や銅板の様な集電体上に適度な空隙を有する状態に形
成することによって得られる。例えば、粉体状の活物質
を樹脂溶液と混合しボールミル、サンドミル、二軸混練
機などにより分散塗料化したものを、集電体上に塗布し
て乾燥することによって得られる。活物質100部に対
する樹脂の配合量は好ましくは0.1−30部、さらに
好ましくは1−15部である。樹脂の量が少なすぎると
強固な活物質層が形成されず、活物質層が活物質を保持
するという本発明の目的が達成されない。樹脂の量が多
すぎると活物質層中の空隙量が低下し、本発明の特徴で
あるゲル状電解質の前駆体を含浸させることができなく
なる。
【0017】また正極活物質を樹脂と混合し加熱するこ
とにより軟化させた状態で、集電体上に圧着、あるいは
吹き付ける手法によって正極活物質層を形成することも
できる。この場合でも活物質100部に対する樹脂の配
合量は好ましくは0.1−30部、さらに好ましくは1
−15部とする事が望ましい。さらには正極活物質を単
独で集電体上に焼成したり、シリケート、ガラスのよう
な無機化合物をバインダーとして用いることによって正
極活物質層を形成することもできる。
【0018】本発明の正極に用いられる正極活物質であ
るリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物としては、無
機化合物として、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属
との複合酸化物、遷移金属硫化物等が挙げられる。ここ
で遷移金属としてはFe、Co、Ni、Mn等が用いら
れる。具体的には、MnO、V2 5 、V6 13、Ti
2 等の遷移金属酸化物粉末、ニッケル酸リチウム、コ
バルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウム
と遷移金属との複合酸化物粉末、TiS2 、FeS、M
oS2 などの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。これ
らの化合物はその特性を向上させるために部分的に元素
置換したものであっても良い。有機化合物としては、例
えばポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスル
フィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N―フルオ
ロピリジニウム塩等が挙げられる。正極活物質として、
これらの無機化合物、有機化合物を混合して用いても良
い。
【0019】これら正極の活物質の粒径は、それぞれ電
池の他の構成要件とのかねあいで適宜選択すればよい
が、通常1〜30μm、特に1〜10μmとすること
で、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が向上する
ので好ましい。
【0020】正極活物質層に用いられる樹脂としてはポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリー1,1−ジメチル
エチレンなどのアルカン系ポリマー。ポリブタジエン、
ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー。ポリスチレ
ン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−
N−ビニルピロリドンなどの環を有するポリマー。ポリ
メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメ
タクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリ
ル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ
アクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー。ポリ
フッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフル
オロエチレン等のフッ素系樹脂。ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマ
ー。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリ
ビニルアルコール系ポリマー。ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー。ポリアニリ
ンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。また上記の
ポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重
合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重
合体などであっても使用できる。ただし本発明の目的を
達成するためには、電解液に容易に溶解するような樹脂
の使用は好ましくない。分子量は、好ましくは1000
0−3000000、さらに好ましくは100000−
1000000である。低すぎると塗膜の強度が低下し
好ましくない。高すぎると粘度が高くなり活物質層の形
成が困難になる。
【0021】正極活物質層が塗料化を経て形成される場
合の溶剤としては、上記の樹脂を溶解しうるものであれ
ば一般的に使用される無機、有機溶剤のいずれもが使用
できる。本発明では活物質層形成後、乾燥工程をおこな
えるので、活物質層形成用溶剤としては、水を使用して
も良い。
【0022】正極活物質層は必要に応じて導電材料、補
強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材な
どを含有していても良い。導電材料としては、上記活物
質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に
制限は無いが、通常、アセチレンブラック、カーボンブ
ラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属のファイバ
ー、箔などが挙げられる。添加剤としてはトリフルオロ
プロピレンカーボネート、1,6−Dioxaspir
o[4,4]nonane−2,7−dione、12
−クラウン−4−エーテルなどが電池の安定性、寿命を
高めるために使用することができる。補強材としては各
種の無機、有機の球状、繊維状フィラーなどが使用でき
る。
【0023】正極の集電体としては、一般的にアルミ箔
や銅箔などの金属箔を用いる。厚みは好ましくは1−3
0マイクロメートルである。薄すぎると機械的強度が弱
くなり、生産上問題になる。厚すぎると電池全体として
の容量が低下する。これら集電体表面には予め粗化処理
を行うと活物質層の接着強度が高くなるので好ましい。
表面の粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法
または化学研磨法が挙げられる。機械的研磨法として
は、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバ
フ、鋼線などを備えたワイヤーブラシなどで集電体表面
を研磨する方法が挙げられる。また接着強度や導電性を
高めるために、集電体表面に中間層を形成しても良い。
【0024】負極活物質層は、活物質が負極用の活物質
である以外は基本的に正極活物質層の構成、形成法に準
ずる。
【0025】負極に用いられるリチウムイオンを吸蔵放
出可能な負極活物質としてはグラファイトやコークス等
の炭素系活物質が挙げられる。これらの炭素系活物質は
金属やその塩、酸化物との混合体、被覆体の形であって
も利用できる。またけい素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、
ニッケルなどの酸化物、あるいは硫酸塩。さらには金属
リチウムやLi−Al、Li−Bi−Cd,Li−Sn
−Cdなどのリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、
シリコンなども使用できる。これら負極の活物質の粒径
は、それぞれ電池のその他の構成要件とのかねあいで適
宜選択すればよいが、通常1〜50μm、特に15〜3
0μmとすることで、初期効率、レ−ト特性、サイクル
特性等の電池特性が向上するので好ましい。
【0026】次に活物質層に後から含浸させて形成され
るゲル状電解質について説明する。本発明に用いられる
正極及び負極は活物質層内の空隙がゲル状の電解質で満
たされ、リチウムイオンのイオン伝導はこのゲル状の電
解質を通してゲル状電解質層へ移動する。これにより正
極、負極および電解質層すべての非水電解液がゲル状と
なり液漏れのない安全なリチウム二次電池が得られる。
【0027】ゲル状電解質とは主として電解液と支持電
解質、高分子からなる、電解液が高分子中に保持されて
全体としての流動性が著しく低下したものである。イオ
ン伝導性などの特性は通常の電解質に近い特性を示す
が、流動性、揮発性などは著しく抑制され、安全性が高
められている。電解質中の高分子の比率は好ましくは1
−50%である。低すぎると電解液を保持することがで
きなくなり、液漏れが発生する。高すぎるとイオン伝導
度が低下して電池特性が悪くなる。
【0028】本発明においては、主として高分子と電解
液、電解質からなる高分子ゲル状電解質を加熱し溶液状
態として活物質層に含浸させた後、冷却することにより
ゲル化させることによってゲル状電解質を形成する。活
物質層に含浸させる段階では、加熱により溶液上にな
り、ゲル状ではなく流動性を有しているため活物質層の
微細な空隙中にも十分含浸させることができる。
【0029】高分子ゲル状電解質に使用できる高分子と
しては、電解液に対してゲルを形成し、電池材料として
安定なものであればどのようなものであっても使用でき
るが、例えばポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピ
ロリドンなどの環を有するポリマー。ポリメタクリル酸
メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブ
チル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ポリアクリルアミド
などのアクリル誘導体系ポリマー。ポリフッ化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂。ポリアクリロ
ニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポ
リマー。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどの
ポリビニルアルコール系ポリマー。ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマーなどがあ
げられる。また上記のポリマーなどの混合物、変成体、
誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共
重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。
後述するようにリチウム電池に使用される電解液、電解
質が極性を有するものであるから、高分子も有る程度の
極性を有する方が好ましい。そのため好ましくはポリメ
タクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチルなどのアクリ
ル誘導体系ポリマー。ポリエチレンオキサイド、ポリプ
ロピレンオキサイドなどのエーテル系ポリマーなどを使
用することが好ましく、さらに好ましくはポリアクリロ
ニトリルを使用することが好ましい。ポリアクリロニト
リルは熱的安定性に優れ、良好な電池特性を示す。これ
らの好ましく使用できるポリマーは、主たる構造がその
ポリマーのものであれば、その構造の一部が他の成分で
置換されていても期待される効果を発揮できる。
【0030】高分子の分子量は好ましくは10000ー
5000000の範囲である。分子量が低いとゲルを形
成しにくくなる。分子量が高いと加温して溶液にした段
階での粘度が高くなりすぎて含浸が不十分になる。高分
子の電解液に対する濃度は、分子量に応じて変えること
が望ましく、好ましくは0.1%から30%である。濃
度が0.1%以下ではゲルを形成しにくくなり、電解液
の保持性が低下して流動、液漏れの問題が生じる。濃度
が30%以上になると粘度が高くなりすぎて含浸が不十
分になるとともに、電解液の割合が低下してイオン伝導
度が低下しレート特性などの電池特性が低下する。電解
質を構成する高分子と活物質を構成する高分子が同一系
統の高分子からなる場合は、活物質層を形成する高分子
の分子量を高くしておくことによって、電解液に対する
溶解性を下げ本発明の効果を発揮することができる。
【0031】電解液に含まれる支持電解質としては、電
解質として正極活物質及び負極活物質に対して安定であ
り、かつリチウムイオンが正極活物質あるいは負極活物
質と電気化学反応をするための移動をおこない得る非水
物質であればいずれのものでも使用することができる。
具体的にはLiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6
LiBF4 、LiClO4 、LiI、LiBr、LiC
l、LiAlCl、LiHF2 、LiSCN、LiSO
3 CF2 等が挙げられる。これらのうちでは特にLiP
6 、LiClO4 が好適である。
【0032】これら支持電解質の電解液における含有量
は、一般的に0.5〜2.5mol/lである。これら
支持電解質を溶解する電解液は特に限定されないが、比
較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状
カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカー
ボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カー
ボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒ
ドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブ
チルラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化
合物、アセトニトリル等のニトリル類等があげられる。
またこれらの1種又は2種以上の混合物を使用すること
もできる。これらのうちでは、特にエチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル
メチルカーボネートなどの非環状カーボネート類から選
ばれた1種又は2種以上の混合溶液が好適である。また
これらの分子中の水素原子の一部をハロゲンなどに置換
したものも使用できる。またこれらの電解液に、添加剤
などを加えてもよい。添加剤としては例えば、トリフル
オロプロピレンカーボネート、1,6−Dioxasp
iro[4,4]nonane−2,7−dione、
12−クラウン−4−エーテルなどが電池の安定性、性
能、寿命を高める目的で使用できる。
【0033】本発明においては、上述の活物質層に上述
の成分からなるゲル状電解質を加温して溶液とした状態
で含浸させ、その後ゲル化することによって正極、負極
が形成される。電解液の含浸法としては、通常は活物質
層上に塗付し適度の時間放置するだけで十分な特性が得
られるが、含浸の効率、速度を高めるため、圧入、真空
含浸等の操作をおこなっても良い。特に高分子の濃度が
高い場合は、高温で溶液状態としていても電解質液の粘
度が高いため、真空含浸等の操作をおこなうことが好ま
しい。含浸が完了後、冷却によってゲル状電解質を電極
内に形成する。ゲル状電解質は活物質層内の空隙を完全
に充填していることが好ましいが、電解液の含浸が不十
分で有る程度の空隙が残留しても電池特性に大きな支障
はない。電池特性が低下する程の空隙が生じる場合は、
上述の様な含浸効率を高める手法を採用することが好ま
しい。
【0034】正極と負極を隔てる電解質層のゲルとして
は上述のゲル状電解質と同様の材料を用いることができ
る。またモノマーから重合してポリマーを形成し電解質
をゲル化する手法によっても形成できる。電解質層ゲル
は、別途形成し正極、負極と積層するのもであっても、
正極、負極上に直接形成するのもであっても良い。また
補強材などを併用しても良い。
【0035】電解質層に用いられる高分子ゲル以外のゲ
ル状電解質としては、高分子を重合前の段階のモノマー
として含有させておき、重合させて高分子化しゲル化さ
せる方法があげられる。このような反応をおこなえる高
分子としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボ
ネイト、ポリイミドなどの重縮合によって生成されるも
の。ポリウレタン、ポリウレアなどのように重付加によ
って生成されるもの。ポリメタクリル酸メチルなどのア
クリル誘導体系ポリマーやポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビ
ニルなどのポリビニル系などの付加重合で生成されるも
のなどがあるが、重合の制御が用意で重合時に副生成物
が発生しない付加重合により生成される高分子を使用す
ることが望ましい。特に反応性不飽和基を有するモノマ
ーを重合する方法は、生産性に優れ好ましい。
【0036】反応性不飽和基を有するモノマーの例とし
てはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアク
リレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリ
エチレングリコールモノアクリレート、エトキシエチル
メタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エト
キシエトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリ
コールモノメタクリレート、N、Nジエチルアミノエチ
ルアクリレート、N、Nジメチルアミノエチルアクリレ
ート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート、
アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ジエチレン
グリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ
アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレ
ングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコー
ルジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタ
クリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート
などが使用でき、反応性、極性、安全性などから好まし
いものを単独、または組み合わせて用いれば良い。
【0037】これらのモノマーを重合する方法として
は、熱、紫外線、電子線などによる手法があるが、生産
性の高さから紫外線による手法が有効である。この場合
反応を効果的に進行させるため、含浸させる電解液に紫
外線に反応する重合開始剤をいれておくこともできる。
利用できる紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン、ベ
ンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケ
トン、ビアセチル、ベンゾイルパーオキザイドなどが使
用でき、反応性、極性、安全性などから好ましいものを
単独、または組み合わせて用いれば良い。
【0038】本発明において用いられる形状可変性のあ
るケースとは柔軟性、屈曲性、可撓性などを有するケー
スで、材質的にはプラスチック、高分子フィルム、金属
フィルム、ゴム、薄い金属板などからなるものが挙げら
れる。さらに具体的には、ビニール袋のごとく高分子フ
ィルムからなる袋、高分子フィルムからなる真空包装用
袋、真空パック、金属箔と高分子フィルムのラミネート
素材からなる真空包装用袋、真空パック、プラスチック
で形成された缶、プラスチックの板で挟んで周囲を溶
着、接着、はめ込み等で固定したケースなどが挙げられ
る。これらの中では、気密性、形状可変性の点で高分子
フィルムからなる真空包装用袋、真空パック、金属箔と
高分子フィルムのラミネート素材からなる真空包装用
袋、真空パックなどが特に好ましい。これらのケース
は、金属缶の様な重量、剛性はなく、柔軟性、屈曲性、
可撓性などを有するケースで、電池を収納後曲げたりで
きる形状自由性があるとともに、軽量化が図れるという
利点を持つ。むろん電池の機器への装着等の利便を図る
ため、形状可変性のあるケースに電池を封入し好ましい
形状に成形後、必要ならば複数のケースを剛性を持つ外
装ケースに収納することも可能である。この場合本発明
の軽量という特性を生かすため、自動車用など特に強度
が要求されるものを除いては、外装ケースは軽量である
ことが望ましい。
【0039】
【作用】本発明の特徴は上述した如く、ゲル状電解質を
用いたリチウム二次電池において容量、レートなどの電
池特性と生産性と飛躍的に高めたことにある。以下、本
発明を具体的に説明する。
【0040】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り以下に示す実施例に限定されるものではない。実施例
及び比較例とも使用される原料は、使用前に粉体は24
0℃で24時間真空乾燥。樹脂、支持電解質は110℃
で4時間乾燥。モノマーはモレキュラーシーブにて脱水
処理して用いた。電解液はリチウム電池用にあらかじめ
脱水されているものを使用した。まず以下に示す組成に
従い正極活物質層用塗料、負極活物質層用塗料を調整し
た。正極塗料・負極塗料の原料としては以下のものを使
用した。 正極活物質 LiCoO2 粉 (日本化学社製) 導電材 アセチレンブラック (電気化学工業製) 負極活物質 SFG15:グラファイト (TIMCAL社製) バインダー ポリフッ化ビニリデン (呉羽化学製) 溶剤 Nメチルピロリドン (三菱化学製) (正極活物質層塗料組成) LiCoO2 90.0部 アセチレンブラック 5.0部 ポリフッ化ビニリデン 5.0部 Nメチルピロリドン 100.0部 (負極活物質層塗料組成) SFG15 90.0部 ポリフッ化ビニリデン 10.0部 Nメチルピロリドン 150.0部 上記材料をそれぞれボールミルで8時間混練・分散処理
をおこない塗料化した。正極活物質層用塗料を厚さ20
μmのアルミ箔上にドクターブレードを用い膜厚が10
0μmになるよう塗布、乾燥し正極活物質層を得た。そ
の後、カレンダーをかけ最終的な膜厚は約70−90μ
mであった。負極活物質層用塗料は、厚さ20μmの銅
箔上にドクターブレードを用い膜厚が100μmになる
よう塗布、乾燥した。その後、カレンダーをかけ最終的
な膜厚は60−90μmであった。ここまでの工程はす
べて通常の環境化でおこなった。その後、塗膜を120
℃で再乾燥し、所定の形状に打ち抜いて正極・負極活物
質層を集電体上に設けたシートを得た。
【0041】実施例1 上記の正極・負極活物質層を集電体上に設けたシート上
に下記の組成の電解質液を塗布し活物質層内に含浸させ
た。 電解液 PC:プロピレンカーボネート(三菱化学社製) EC:エチレンカーボネート(三菱化学社製) 支持電解質 LiClO4 (和光純薬製) 高分子 ポリアクリロニトリル (分子量150、000、Aldrich社製) (含浸液組成) PC 40.8部 EC 40.8部 LiClO4 10.4部 ポリアクリロニトリル 8.0部 上記の含浸液を110℃で溶解し均一な溶液を得た。こ
の溶液を90℃に加温した状態で正極・負極活物質層に
塗布して含浸させた後、0℃で冷却し、含浸させた電解
液をゲル化し活物質層内の空隙にゲル状電解質を形成し
て、正極、負極を得た。さらに電解質層として下記の組
成の液を正極、負極上に塗布し紫外線照射により各々の
上に厚さ60μmのゲル状電解質層を形成した。 (電解質液組成) PC 83部 LiClO4 7部 Photomer4050 6.7部 Photomer4158 3.3部 ダロキュア1173 0.5部 ただし、Photomer4050、Photomer
4158:末端にアクリル基を有するポリエチレンオキ
シド樹脂(Henkel社製)、架橋開始剤:ダロキュ
ア1173(チバガイギー社製) その後電解質層側を内側にして正極、負極を積層して端
子をつけ、真空パックに封入してリチウム二次電池を作
成し評価をおこなった。
【0042】実施例2 含浸液の組成を下記のように変更した。正極・負極の形
成法は実施例1と同様にした。 (含浸液組成) PC 41.0部 EC 41.0部 LiClO4 7.0部 spiro 5.0部 ポリアクリロニトリル 6.0部 ただし、spiro(添加剤):1,6−Dioxas
piro[4,4]nonane−2,7−dion
e。正極活物質層側にはspiroを除いた組成の液を
用いた。電解質層は正極側に含浸させた液と同じ液を9
0℃に加温した状態で、厚さ60μmになるように正
極、負極の上に塗布し、0℃で冷却することによってゲ
ル化させて、正極、負極上にゲル状電解質層を形成し
た。それ以外は実施例1と同様にして電池を作成した。 実施例3 実施例2において、含浸液としてspiroを除いた組
成の液を用いた。それ以外は実施例2と同様にして電池
を作成した。
【0043】比較例1 正極、負極を活物質とゲル状電解質成分を一体で混練、
塗布する方法で作成した。混練以降のすべての工程はド
ライルーム中でおこなった。 (正極塗料組成) LiCoO2 70.0部 アセチレンブラック 5.0部 Photomer4050 2.0部 EEEA 4.0部 PC 19.0部 (負極塗料組成) SFG15 45.0部 Photomer4050 2.5部 Photomer4158 2.5部 EEEA 2.0部 spiro 3.0部 PC 45.0部 だだし、EEEA:エトキシエトキシエチルアクリレー
ト。上記材料をそれぞれボールミルで8時間混練・分散
処理を行い塗料化した。その後熱反応型架橋開始剤であ
るTrignox42(チバガイギー社製製)を0.5
部追加し、正極用塗料を厚さ20μmのアルミ箔上にド
クターブレードを用い膜厚が100μmになるよう塗布
した後、90℃オーブン中で30分硬化させ、ゲル状電
解質からなる正極を得た。負極用塗料は、厚さ20μm
の銅箔上にドクターブレードを用い膜厚が100μmに
なるよう塗布した後、90℃オーブン中で30分硬化さ
せ、ゲル状電解質からなる負極とした。その後正極・負
極を所定の形状に打ち抜いた。以下の工程は実施例1と
同様にして電池を作成した。
【0044】比較例2 正極、負極を活物質とゲル状電解質成分を一体で混練、
塗布する方法で作成した。混練以降のすべての工程はド
ライルーム中でおこなった。 (正極塗料組成) LiCoO2 51.0部 アセチレンブラック 5.0部 ポリアクリロニトリル 2.5部 LiClO4 3.5部 PC 19.0部 EC 19.0部 (負極塗料組成) MBC(コークス:三菱化学製) 45.0部 アセチレンブラック 5.0部 ポリアクリロニトリル 3.0部 LiClO4 4.2部 PC 21.4部 EC 21.4部 上記材料をそれぞれボールミルで8時間、90℃の条件
で混練・分散処理を行い塗料化した。なお負極用活物質
として実施例1と同様のSFG15を用いた負極用ペー
ストは粘度が高すぎて分散することは不可能であった。
正極用塗料を厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレ
ードを用い90℃に加熱したまま、膜厚が100μmに
なるよう塗布した後冷却して、ゲル状電解質からなる正
極を得た。負極用塗料は、厚さ20μmの銅箔上にドク
ターブレードを用い90℃に加熱したまま、膜厚が75
μmになるよう塗布した後冷却して、ゲル状電解質から
なる負極とした。その後正極・負極を所定の形状に打ち
抜いた。電解質層は実施例1における電解質層の組成
中、PCの内5部をspiroにおきかえて、電極とは
別に紫外線で重合させ、厚さ120μmのゲル状電解質
層を形成した。その後、正極、電解質層、負極を積層し
て端子をつけ、真空パックに封入してリチウム二次電池
を作成し評価をおこなった。その他の工程は実施例1と
同様にして電池を作成した。
【0045】比較例3 実施例1において含浸液の組成を以下の様に変更した。 (含浸液組成) PC 78部 LiClO4 7部 spiro 5部 これを活物質層に含浸させ、ゲル状でない電解質とし
た。電解質層は比較例2における電解質層を用いた。そ
の他の部分は実施例1と同様にして電池を作成した。
【0046】以下に上記の処方によって作成した正極・
負極、およびリチウム二次電池電池の特性を示す。水分
量は電解質層を上に形成する前の段階の正極に含まれる
水分量をカールフィッシャー水分計によって、集電体を
除いた正極単位重量当たりの水分量として測定した。電
池の容量は初期放電時の容量を、集電体を除いた正極・
負極単位重量当たりの容量として算出した。レート特性
は1Cの電流量で定電流条件で放電した時に取り出せる
容量を、C/24の電流量で定電流条件で放電した時に
取り出せる容量に対する割合で表した。サイクル特性は
4.1V―2.7Vの上限、下限電圧間で充放電を繰り
返した時、20サイクル経過する間の容量維持率を、開
始時に対する終了時の容量の割合として%表示した。液
漏れ性はサイクルテスト終了後の電池を開封し、パック
内壁に視認できる電解液の量で判断した。優:電解液は
認められない。良:1mm以下のサイズの液滴が10個以
下認められる。可:1mm以下のサイズの液滴が10−3
0個以上認められる。不可:1mm以下のサイズの液滴が
30個以上、あるいは1mm以上の液滴が認められる。
【0047】表1に示すように本発明によれば、必要最
小限の工程のみドライルーム内で実施するだけでも水分
の含有量が抑えられる。高粘度分散塗布の必要がなく、
カレンダー工程もおこなえることから容量を高くするこ
ともできる。またゲル状電解質が機械強度を考慮するこ
となく、イオン伝導度のみを考えて選択できるため、レ
ート特性も極めて良好である。さらに表2から明らかな
ように、本発明によれば活物質の固持が良好なためサイ
クル特性にも優れ、ゲル状電解質を用いていることか
ら、液漏れの危険の小さいリチウム二次電池電池を得る
ことができる。比較例1、2の方法では混練分散時から
電解液を混ぜているため、ドライルーム中ですべての工
程をおこなったにもかかわらず、水分の混入がみられ
る。また容量、レートなどの電池特性も劣る。また正極
・負極の構造が弱いためサイクル特性も良くない。ゲル
化をおこなわない比較例3では液の保持性がなく、ケー
スが破損した時液が漏れるという現液系リチウムイオン
二次電池の欠点を克服できていない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明のリチウム二次電池は、高エネル
ギー密度でサイクル特性に優れ、かつ液漏れ等の問題を
抑制したゲル電解質を用いたリチウム二次電池であっ
て、正極、負極活物質層の形成とゲル電解質の形成を2
段階に分離しておこなうことによって、生産性を飛躍的
に向上させるとともに、電池特性の向上を達成したもの
である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極がリチウムイオンを吸蔵放出
    可能な活物質を含有する層を集電体上に設けてなり、さ
    らに電解質層と正極・負極中のイオン移動相がゲル状電
    解質で構成されてなるリチウム二次電池において、正
    極、負極の活物質を空隙を有している層として集電体上
    に形成し、しかるのちに主として電解液と高分子からな
    り常温においてゲル状であり、高温において溶液状態と
    なる電解液成分を、加温し溶液とした状態で該層中に含
    浸させて、その後冷却しゲル化させることによって正
    極、負極が形成されることを特徴とするリチウム二次電
    池。
  2. 【請求項2】 正極、負極中にゲル状電解質を形成した
    のち、正極・電解質層・負極が積層されることを特徴と
    する請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 正極、負極の活物質と活物質を集電体上
    に結着する樹脂を、該樹脂を溶解しうる溶剤を用いて分
    散塗料化し、該塗料を集電体上に塗布、乾燥することに
    よって空隙を有する正極、負極の活物質からなる層が集
    電体上に形成されることを特徴とする請求項1、2に記
    載のリチウム二次電池。
  4. 【請求項4】 集電体上に形成された、正極、負極の活
    物質からなる空隙を有する層にカレンダー工程がおこな
    われることを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次
    電池。
  5. 【請求項5】 ゲルを形成する高分子がポリアクリロニ
    トリルであることを特徴とする請求項1,2,3、4に
    記載のリチウム二次電池。
  6. 【請求項6】 正極・電解質層・負極が平板的に積層さ
    れ、形状可変性のあるケースに収納されていることを特
    徴とする請求項1,2、3、4,5に記載のリチウム二
    次電池。
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