JP3990063B2 - 二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二次電池の製造方法に関し、更に詳しくは、レイト特性、サイクル特性等の電池性能の優れた非流動性電解質二次電池を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用電子機器の発達に伴って電池の需要が急激に増加しており、また、パーソナルコンピューター、ワープロ等の普及によってそのバックアップ用電池の需要も増大の一途にある。
これ等に使用される電池として、充電が可能で長期間使用可能な二次電池の需要が急増しており起電力物質としてリチウムを使用し、これとリチウムをインターカレーションによって吸蔵し得るカーボンあるいはカルコゲン化合物を用いたリチウム二次電池が注目されている。
【0003】
しかし、リチウムは水に対して極めて活性が高く、液漏れによる発火あるいは空気、湿分の侵入によるリチウムの失活等の問題があり、その封止は高度の密封性が要求される。
このようなトラブルを軽減する手段として、正極と負極間に填充される電解液をゲル化等によって非流動化して液漏れを防止することが行なわれている。
電解液を非流動化することによって、その被覆を容易とし安全性が向上すると共に、リチウム電池において問題とされたデントライトの発生が抑制され耐久性が向上する利点を有する。
【0004】
非流動性電解液二次電池の製造は、正極材、多孔性膜(セパレータ)あるいは負極材にゲル化剤を含有する電解液を含浸せしめてからこれを積層することが提案されている。
しかし、このような二次電池を製造する場合、電解液は正極材、多孔性膜および負極材に充分に含浸されることが重要で、含浸が不足すると電池容量が低下したり、レイト特性が低下する。しかるに、ゲル状電解質は粘度が高いため、これを電極材等に塗布し含浸させることは難しい。
【0005】
この対策として、重合性ゲル化剤、イオン性金属塩および非水系溶媒を含有する電解液を正極材、多孔性膜および/または負極材に塗布して含浸させた後これを積層し、次いで重合性ゲル化剤を重合せしめてゲル化する手法が開発されている。
かかる方法は、塗布が容易で電極材等への含浸が容易となる利点を有するが、本発明者等の検討の結果、次の問題を含んでいることが判明した。
【0006】
即ち、重合性ゲル化剤の重合時におけるイオン性金属塩の分解の問題がある。重合性ゲル化剤を熱によって重合させる結果、重合熱の発生も加わってイオン性金属塩が分解する現象である。
この影響を最小限に抑えるには、なるべく低温で重合が開始される重合開始剤を選定し、重合時にかかる熱負担を小さくする方法が考えられる。しかしながら、このような重合開始剤を用いると、重合開始剤が塗布前に分解しやすくなり、その結果として、熱重合する前に電解液のゲル化が生じてしまうという新たな問題が発生する。
【0007】
ゲルの発生は、配管の詰りを招くのみならず塗布時に未含浸部が発生し、電気容量やレイト特性を悪化させるため、極めて深刻な問題となる。
特に前述のように、重合性ゲル化剤の重合の前に正極材と負極材とを積層する場合、電池全体のゲル状電解質が一体化できるはずであるにも拘らず、重合性ゲル化剤が重合工程以前の工程、例えば塗布含浸の工程で重合が進行すると、正極材、多孔性膜および負極材を積層した際界面が発生し、二次電池のレイト特性等が低下する問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電解質の含浸が良好で、レイト特性、サイクル特性等の電池特性の優れた二次電池を効率的に製造し得る二次電池の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するため鋭意検討を行った結果なされたもので、
(1) 重合性ゲル化剤、イオン性金属塩、重合開始剤および非水系溶媒を含有する電解液を、正極材および負極材からなる電極材の少なくとも一方に塗布した後、正極材と負極材を前記電解液を介して間隔を有する状態に積層する工程と、重合性ゲル化剤を熱重合する工程とを有する二次電池の製造において、塗布に使用される前記電解液を供給槽内において15℃以下に保持することを特徴とする二次電池の製造方法、および、
【0010】
(2) 重合性ゲル化剤、イオン性金属塩、重合開始剤および非水系溶媒を含有する電解液を、電極材および/または多孔性膜に塗布した後、正極材、多孔性膜および負極材を積層する工程と、重合性ゲル化剤を熱重合する工程とを有する二次電池の製造において、塗布に使用される前記電解液を供給槽内において15℃以下に保持することを特徴とする二次電池の製造方法、を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の二次電池は、集電体に電気的に結合した正極材および負極材の少なくとも一方にイオン性金属塩を含有する非流動性電解質が含浸され正極材と負極材とが非流動性電解質層を介して積層された構造とされる。
イオン性金属塩とは、イオンとなって二次電池の充電・放電に電気化学的に関与し、超電力を発生する金属成分を含有する塩で通常リチウム塩が用いられる。
【0012】
集電体としては、一般的にアルミ箔や銅箔などの金属箔を用いることができる。厚みは適宜選択されるが好ましくは1〜30μmである。薄すぎると機械的強度が弱くなり、生産上問題になる。厚すぎると電池全体としての容量が低下する。
これら集電体表面には予め粗面化処理を行うと電極材の接着強度が高くなるので好ましい。表面の粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法または化学研磨法が挙げられる。機械的研磨法としては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシなどで集電体表面を研磨する方法が挙げられる。また接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
【0013】
また、集電体の形状は、板状であってもよく、網状体あるいはパンチングメタル等であってもよい。
正極材や負極材、電解質層に用いることができる材料については、特に制限はないが、以下、好ましく用いられる非流動性電解質を用いたリチウム二次電池の場合について説明する。
【0014】
正極材は、通常リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極物質とバインダーとを含む。正極物質100重量部に対するバインダーの割合は好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。バインダーの量が少なすぎると強固な電極材が形成されず、電極材を保持するという本発明の目的が達成されない。バインダーの量が多すぎると、エネルギー密度やサイクル特性に悪影響があるばかりでなく、電極材に電解質成分を含浸させる場合、電極材中の空隙量が低下するため電解質成分を含浸させにくくなる。
【0015】
正極物質としては、遷移金属酸化物、リウチムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物等各種の無機化合物が挙げられる。ここで遷移金属としてはFe、Co、Ni、Mn等が用いられる。具体的には、MnO、V2 O5 、V6 O13、TiO2 等の遷移金属酸化物粉末、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、TiS2 、FeS、MoS2 などの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。これらの化合物はその特性を向上させるために部分的に元素置換したものであってもよい。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N−フルオロピリジニウム塩等の有機化合物を用いることもできる。これらの無機化合物、有機化合物を混合して用いてもよい。
【0016】
これら正極物質の粒径は、通常1〜30μm、特に1〜10μmとすることで、レート特性、サイクル特性等の電池特性がさらに向上する。
正極材に用いられるバインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどの環を有するポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど各種の樹脂が使用できる。また上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。また、シリケートやガラスのような無機化合物を使用することもできる。ただし、本発明の目的を達成するためには、電解液に容易に溶解するような樹脂の使用は好ましくない。樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10000〜1000000、さらに好ましくは20000〜300000である。低すぎると塗膜の強度が低下し好ましくない。高すぎると粘度が高くなり電極材層の形成が困難になる。
【0017】
正極材は必要に応じて導電材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有していてもよい。導電材料としては、上記物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属ファイバー、箔などが挙げられる。補強材としては各種の無機、有機の球状、繊維状フィラーなどが使用できる。
【0018】
負極材は、負極用の物質が使用される以外は基本的に正極材の構成に準ずる。
負極に用いられる負極物質としてはグラファイトやコークス等の炭素系物質が挙げられる。これらの炭素系物質は金属やその塩、酸化物との混合体、被覆体の形であっても利用できる。またけい素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケルなどの酸化物、あるいは硫酸塩さらには金属リチウムやLi−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cdなどのリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコンなども使用できる。これら負極の物質の粒径は、通常1〜50μm、特に15〜30μmとするのが、初期効率、レート特性、サイクル特性等の電池特性が向上するので好ましい。
【0019】
本発明においては、通常まず別々の長尺状の集電体上に、正極材層と負極材層とをそれぞれ形成させる。
正極材、負極材の形成方法はどのようなものであってもかまわないが、形成された正負極材は後に電解液成分を含浸させうる空隙を有するのが好ましく、その結果、両電極材間に形成される電解質層と同じ電解質を空隙中に形成させ、しかもこれを電解質層と一体成形することができる。
【0020】
このような空隙を有する電極材をつくるための好ましい方法として、電極材を構成する成分を適当な溶媒とともに分散塗料化し、これを長尺状の集電体上に塗布後乾燥する方法が挙げられる。また、電極材成分を集電体上に圧着あるいは吹き付ける方法でもよい。
空隙を有する電極材は、正極材および負極材の少なくとも一方であればよく、例えば正極材として正極物質とバインダーとからなり、空隙を有する構造とし、かつ負極材としてリチウム金属を用いることも可能であるが、好ましくは正負両電極材を空隙を有する構造とする。
【0021】
形成された塗膜にカレンダー工程を加えることによって塗膜を圧密し電極物質の充填量を高めることも可能である。圧密の度合いは電極材の充填量と、空隙を埋める電解質部分のイオン伝導度のバランスで決定される。
塗布の方法としては、スライドコーティング、エクストル−ジョンダイコーティング、リバースロール、グラビア、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター等各種の塗布方式が可能である。無論、これらの塗布方法を組み合わせることも可能である。
【0022】
また、塗料の湿潤状態や粘度によっては、塗布済みの湿潤状態の塗料を転写ラミネート塗布することも可能である。
形成された電極材の厚みは通常1μm以上、好ましくは5μm以上、また通常500μm以下、好ましくは300μm以下である。厚すぎるとレート特性が低下し、薄すぎると容量が小さくなる傾向にある。
【0023】
得られた正極材1と負極材2は、所定の間隙を有する状態に積層され、通常は図1に示すように、正極材1と負極材2の短絡を避けるためのセパレータとなる多孔性膜3を介して積層されるが、積層する前に正極材および負極材のうち空隙を有する構造とされた側、あるいは多孔性膜に重合性ゲル化剤、イオン性金属塩および非水系溶媒を含有する電解液を塗布し含浸せしめる。
【0024】
本発明においては、正極材および/または負極材の空隙がゲル状の非流動性電解質で満たされ、リチウムイオンのイオン伝導はこのゲル状の電解質を通してゲル状電解質層へ行なわれる。これにより正極、負極および電解質層すべての非水電解液がゲル状となり液漏れのない安全なリチウム二次電池が得られる。
本発明においては、電解質成分として重合することによってゲル状の電解質となりうる流動性のあるものを塗布し、塗布後に所定の処理によって非流動性電解質とする。
【0025】
このような電解質成分としては、リチウム塩等のイオン性金属塩と溶媒とからなる電解液と重合性ゲル化剤であるモノマーを含有するものが好ましい。この場合、後にモノマーを重合させることによってポリマー中に電解液を保持させる。このようなポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミドなどの重縮合によって生成させるもの、ポリウレタン、ポリウレアなどのように重付加によって生成されるもの、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル誘導体系ポリマーやポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル系などの付加重合で生成されるものなどがあるが、本発明においては、電極材内に含浸させて重合させることから、重合の制御が容易で重合時に副生成物が発生しない付加重合により生成される高分子を使用することが望ましい。
【0026】
電解液に含まれるイオン性金属塩としては、電解質として正極物質および負極物質に対して安定であり、かつリチウムイオンが正極物質あるいは負極物質と電気化学反応をするための移動を行い得る非水物質であればいずれのものでも使用することができる。
【0027】
具体的にはLiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2 、LiSCN、LiSO3 CF2 等が挙げられる。これらのうちでは特にLiPF6 、LiClO4 が好適である。これら電解質塩の電解液における含有量は、一般的に0.5〜2.5mol/lである。
【0028】
これらイオン性金属塩を溶解する電解液は特に限定されないが、比較的高誘電率の非水系溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化合物、アセトニトリル等のニトリル類等の1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。これらのうちでは、特にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類から選ばれた1種又は2種以上の混合溶液が好適である。また、これらの分子の水素原子の一部をハロゲンなどに置換したものも使用できる。
【0029】
ゲル状電解質を構成するポリマーとしては、電解液を適度に保持してゲル化できるものを用いる。通常上記の電解液が極性を有するので、ポリマーも或る程度の極性を有する方が好ましい。前述のように、高分子を付加重合によって形成する場合は分子内に1個以上の反応性不飽和基を有するモノマーを電解質に通常1〜20重量%程度混合して含浸液を作製する。この際モノマーが分子内にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、フェニレンオキシド、フェニレンスルフィド、シアノ、カーボネートなど極性の高い基を有していれば、生成した高分子に適度な極性を付与することができ、良好なゲルを形成することができる。ゲルは直鎖高分子のみで形成されるものであってもかまわないが、分岐構造を持つようにモノマー中の反応基の数を制御し、分岐構造を形成すると機械特性などが向上するので好ましい。
【0030】
反応性不飽和基を有するモノマーの例としてはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどが使用でき、反応性、極性、安全性などから好ましいものを単独、または組み合わせて用いればよい。
【0031】
これらのモノマーを重合する方法としては、熱、紫外線、電子線などによる手法があるが、正極材/電解質層/負極材を一体成形することが容易な熱による手法が有効である。この場合反応が効果的に進行させるため、含浸させる電解液に熱に反応する重合開始剤が添加される。利用できる熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスイン酪酸ジメチル等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチル−ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物などが使用でき、反応性、極性、安全性などから好ましいものを単独、または組み合わせて用いればよい。
【0032】
正極材と負極材との間に介在される電解質は、通常、多孔性の膜からなるセパレータに含浸されて電解質層が形成される。
使用する多孔性膜には、製造時もしくは使用時の短絡を防止するだけの機械的強度を有することと、電池性能を十分に発揮するために充分な電解質層のイオン伝導性を確保することが必要である。
【0033】
機械的強度を大きくするために多孔性膜の膜厚を大きくしたり、空孔率を小さくすることができるが、一方で電解質層のイオン伝導性が小さくなるための両者を両立させるために膜厚、空孔率が適当な範囲のものを使用することが必要である。
また、イオン伝導性を確保するには、使用する電解液を十分に含浸させられることが必要である。したがって使用する電解液によっては、親水化された多孔性膜を使用することが好ましい。
【0034】
以上のような性能を満たす多孔性膜としては、具体的には厚さ1μm以上、好ましくは5μm以上、また通常500μm以下、好ましくは200μm以下、空孔率30〜85%のポリオレフィンまたは水素原子の一部もしくは全部がフッ素置換されたポリオレフィン膜を使用することができる。
具体的には、ポリオレフィン等の合成樹脂を用いて形成した微多孔性膜、不織布、織布等を用いることができる。
【0035】
電解液の塗布、含浸および電極材等の積層は、図2に示す装置を用いて製造することができる。
すなわち、集電体上に形成された長尺状の正極材1は、ロール状に捲回された送り出しロール11aから繰り出され電解液塗布装置12aに供給され、正極材1の片面または両面に電解液が塗布される。
【0036】
塗布方法としては特に制限はなく、スライドコーティング、エクストルージョンダイコーティング、リバースコーティング、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター、マルチノズルディスペンサー等を使用することができるが、この際、塗布に使用される電解液は供給槽内において15℃以下に保持される。
【0037】
供給槽内の電解液を15℃以下に保持する手段としては、図3に示すように、塗布に使用される電解液の電解液供給槽21に冷却室26を設け、調製された電解液を電解液供給槽21に入れて冷却すると共に電解液供給槽21から電解液塗布装置12aに供給する方法を採ることができる。
なお、22は電解液注入管、23は電解液供給管、24は空気管、25は排気管、27は撹拌翼である。
【0038】
電解液の冷却は15℃以下、好ましくは−5〜12℃、更に好ましくは0〜10℃とされる。
調製された電解液は速やかに電解液供給槽21に注入し冷却することが望ましいが、電解液供給槽21に注入する前に保存するときは、電解液を空気の雰囲気下に保存し、あるいは、空気雰囲気下で撹拌することが望ましい。
【0039】
また、電解液供給槽21から抜き出されて塗布に供される電解液は、粘度を下げるために抜き出された後加温して塗布することもできる。
電解液が塗布された正極材は含浸装置(図示せず)に送られ、所定時間の間含浸装置内に滞留するように構成されている。
一方、負極材2を捲回した送り出しロール11bは負極材2を繰り出し、負極材2は電解液塗布装置12bに送給されて電解液が塗布され、次いで含浸装置(図示せず)で所定時間滞留された後積層機構15へ送られる。
【0040】
積層機構15は、含浸装置から送給された正極材1と別の含浸装置から送給された負極材2とロール16から送給された多孔性膜3を重ねて積層ロール18,18で積層する。
積層された正極材、多孔質膜、負極材は加熱室20で加熱され、電解液中の重合性ゲル化剤が熱重合されて電解質は非流動化される。
重合性ゲル化剤が熱重合された後、積層体は裁断され被覆材で封止されて二次電池となる。
【0041】
なお、本発明においては、図2に示すように、正極材と負極材とを積層した後に重合性ゲル化剤の重合を行なうと、正極材や負極材中、多孔性膜中のゲル状電解質が界面を形成することなく一体的に形成できるので電気容量やレイト特性が向上する。また、本発明の効果をより大きくすることができる。
また、図2においては多孔性膜からなるセパレータが正極材と負極材との間に設けられており、セパレータの存在によって正極材と負極材とが所定の間隔を有する状態で積層されるがセパレータを用いない場合も、電解質層を形成しうる所定の間隔を有する状態で積層する必要がある。上記所定の間隔に相当する部分は熱重合によって電解質層となる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下に示す実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例とも使用される原料は、使用前に粉体は240℃で24時間真空乾燥し、樹脂や、電解質は110℃で4時間乾燥し、モノマーはモレキュラーシーブにて脱水処理して用いた。
【0043】
実施例1
まず以下に示す組成の正極用塗料、負極用塗料を調製した。
【0044】
【表1】
(正極塗料組成)
LiCoO2 粉 90.0部
アセチレンブラック 5.0部
ポリフッ化ビニリデン 5.0部
Nメチルヒロリドン 80.0部
【0045】
【表2】
(負極塗料組成)
グラファイト 90.0部
ポリフッ化ビニリデン 10.0部
Nメチルピロリドン 110.0部
【0046】
上記材料をそれぞれボールミルで8時間混練・分散処理を行い塗料化した。次に、正極塗料を厚さ20μmの長尺状のアルミ箔上にエクストルージョンダイコーティング方式により塗布、乾燥し、膜厚115μmの正極原反を得た。また、負極塗料を厚さ20μmの長尺状の銅箔上にエクストルージョンダイコーティング方式により塗布、乾燥して膜厚105μmの負極原反を得た。
【0047】
上記の正極材、負極材層を集電体上に設けたシートにカレンダー(加圧)処理を施し最終的な膜厚を正極は80μm、負極は50μmとした。
一方、下記の組成の電解液を調製し、直ちに図3に示す供給槽に移し、5℃に冷却した。
先に得られた正・負極原反に図2装置を用いて電解液供給槽から供給された電解液を塗布し、含浸装置に室温で60秒滞留させた後、多孔性のポリエチレン製セパレーターを間に介装して2本のロール間で積層した。
得られた積層体原反を90℃で5分加熱してモノマーを重合させ、電極材および電解質層内の電解質成分をゲル化し非流動性電解質を有するシートを得た。
【0048】
【表3】
(組成)
PC 78部
LiClO4 7部
1,6-dioxaspiro[4,4]nonane-2,7-dione 5部
末端にアクリル基を有するポリエチレンオキシド樹脂 10部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 1.0部
【0049】
得られたシートを枚葉に切断し、さらに正極側・負極側それぞれに、集電体と電気的に接続した端子をつけた。その後、これを可撓性を有する真空パックに封入して薄膜平板状のリチウム二次電池を5個作製した。
塗布される電解液は、調製・仕込み後5℃保存、30分経過後のものであったが粘度の上昇は見られなかった。
【0050】
一方、作製されたリチウム二次電池のレイト特性を評価した。レイト特性は、1Cの電流量で定電流条件で放電したときに4.1V−2.7V間で取り出せる容量の、C/24の電流量で定電流条件で放電したときに4.1V−2.7V間で取り出せる容量に対する割合として算出した。結果を表1に示す。
【0051】
実施例2
電解液として調製仕込み後5℃保存、3時間経過後のものを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った。
電解液の粘度上昇は見られず、二次電池を評価した結果は表1の通りであった。
【0052】
比較例1
電解液供給槽の冷却を省略し、23℃の電解液を用いた他は実施例と同様の実験を行った。塗布される電解液の粘度は若干上昇していた。二次電池を評価した結果は表1の通りであった。
【0053】
比較例2
電解液として調製・仕込み後23℃保存3時間経過後のものを使用する以外は比較例1と同様の実験を行った。
電解液の粘度はさらに上昇しており、二次電池を評価した結果は表1の通りであった。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
本発明は、塗布に使用する電解液を低温にしたから、塗布前の重合性ゲル化剤の重合がなく、塗布、含浸を均一に行なうことができ、従って、レイト特性やサイクル特性に優れた二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明二次電池の電池要素を示す縦断面図。
【図2】本発明二次電池を製造するための装置の1例を示す側面図。
【図3】電解液供給槽の1例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 正極材
2 負極材
3 多孔性膜
11a,11b 送り出しロール
12a,12b 電解液塗布装置
15 積層機構
16 多孔性膜供給ロール
18 積層ロール
21 電解液供給槽
22 電解液注入管
23 電解液供給管
24 空気管
25 排気管
26 冷却室
27 撹拌翼
Claims (5)
- 重合性ゲル化剤、イオン性金属塩、重合開始剤および非水系溶媒を含有する電解液を、正極材および負極材からなる電極材の少なくとも一方に塗布した後、正極材と負極材を前記電解液を介して間隔を有する状態に積層する工程と、重合性ゲル化剤を熱重合する工程とを有する二次電池の製造において、塗布に使用される前記電解液を供給槽内において15℃以下に保持することを特徴とする二次電池の製造方法。
- 重合性ゲル化剤、イオン性金属塩、重合開始剤および非水系溶媒を含有する電解液を、電極材および/または多孔性膜に塗布した後、正極材、多孔性膜および負極材を積層する工程と、重合性ゲル化剤を熱重合する工程を有する二次電池の製造において、塗布に使用される前記電解液を供給槽内において15℃以下に保持することを特徴とする二次電池の製造方法。
- 電解液を塗布した後、正極材と負極材とを多孔性膜を介在させて積層し、次いで熱重合の工程に付す請求項1または2記載の二次電池の製造方法。
- イオン性金属塩がリウチム塩である請求項1〜3いずれかに記載の二次電池の製造方法。
- イオン性金属塩がリチウム塩、正極材がリチウム複合酸化物、および、負極材が炭素物質である請求項1〜3いずれかに記載の二次電池の製造方法。
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