JPH11219668A - 陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 選択された電極に電子ビームの偏向に同期し
て増大するパラボラ状の電圧が重畳して印加される電子
銃を有する陰極線管において、輝度むらやストレーエミ
ッションを発生しない構成にすることを目的とする。 【解決手段】 複数個の電極G1〜G6から選択された少く
とも１個の電極に電子ビームの偏向に同期して増大する
パラボラ状の電圧が印加される電子銃16を有する陰極線
管において、パラボラ状の電圧が印加される電極G3と隣
接電極G2との間にこれら電極間の静電容量を介して隣接
電極に重畳されるパラボラ状の電圧を取除くダミー電極
Gdを配置した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、カラーブラウン
管などの陰極線管に係り、特に複数個の電極から選択さ
れた電極に電子ビームの偏向に同期して増大するパラボ
ラ状の電圧が印加される電子銃を有する陰極線管に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラーブラウン管は、一端部がネ
ックからなる漏斗状のファンネルのネック内に配置され
た電子銃から放出される３電子ビームをファンネルの外
側に装着された偏向ヨークの発生する磁界により偏向
し、シャドウマスクを介してパネルの内面に形成された
蛍光体スクリーンを水平、垂直走査ことにより、カラー
画像を表示する構造に形成されている。

【０００３】その電子銃は、３個のカソードおよびこれ
らカソードから蛍光体スクリーン方向に配置された複数
個の電極を有し、これらカソードおよび電極には、それ
ぞれ規定の電圧が印加される。

【０００４】このような電子銃では、各電極間に静電容
量が介在する。しかし通常の電子銃は、そのほとんどの
電極にそれぞれ一定の直流電圧が印加されるため、電極
間に静電容量が介在しても、この静電容量を介して隣接
電極に重畳される電圧を考える必要はない。

【０００５】しかし最近のカラーディスプレイ管につい
ては、パソコンの普及により、ソフトの増加や格段の技
術開発にともなって、高解像度、高密度表示が実現して
いる。一方、画面上の表示サイズも、９０％スキャンか
ら１００％スキャンへと、画面を広く大きく使用するよ
うになり、それにともなって画面上の文字などの表示の
きれ（フォーカス特性）のレベルアップを目的とする電
子銃の開発が必要となっている。

【０００６】このようなカラーディスプレイ管に用いら
れる電子銃の一例を図３に示す。この電子銃は、３個の
カソードＫ、これらカソードＫから蛍光体スクリーン方
向に配置された第１乃至第６電極Ｇ1 〜Ｇ6 およびその
第６電極Ｇ6 の蛍光体スクリーン側端部に取付けられた
コンバーゼンス・カップＣを有し、第５電極Ｇ5 が２個
の電極Ｇ51，Ｇ52に分割されている。

【０００７】その第５電極Ｇ5 の分割電極Ｇ52と第３電
極Ｇ3 とは接続され、さらにこれら電極Ｇ3 ，Ｇ52に抵
抗器１を介して分割電極Ｇ51が接続されている。そして
その分割電極Ｇ52と第３電極Ｇ3 には、電子銃に沿って
配置された抵抗器２により、上記第６電極Ｇ6 に印加さ
れる約２６kVの高電圧Ｅb を分割した規定の直流電圧が
印加され、分割電極Ｇ51には、抵抗器１，２により分割
された規定の直流電圧が印加される。さらにこれら電極
Ｇ3 ，Ｇ51，Ｇ52には、図４に示すように、偏向ヨーク
の電子ビームの偏向に同期して増大するパラボラ状の電
圧３が重畳して印加される。それにより、画面周辺部に
偏向される電子ビームの偏向収差による歪を補正して、
画面全面にわたりフォーカスを良好にするものとなって
いる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、カラー
ディスプレイ管に用いられる電子銃の一例として、カソ
ードおよびこのカソードから蛍光体スクリーン方向に配
置された第１乃至第６電極を有し、その第５電極が２個
の電極分割され、これら電極のうち、第３電極および第
５電極の２個の分割電極に、それぞれ規定の直流電圧に
偏向ヨークの電子ビームの偏向に同期して増大するパラ
ボラ状の電圧が重畳して印加されるものがある。

【０００９】この電子銃によれば、画面周辺部に偏向さ
れる電子ビームの偏向収差による歪を補正して、画面全
面にわたりフォーカスを良好にすることができる。しか
しこの電子銃のように選択された電極にパラボラ状の電
圧を印加すると、隣接電極にこれら電極間の静電容量を
介してパラボラ状の電圧が重畳される。たとえば第３電
極に図４に示したパラボラ状の電圧３が印加され、隣接
する第２電極に図５に示す６００〜８００Ｖ程度の規定
の直流電圧４（Ｅc2）が印加されると、この第２電極に
は、第２、第３電極間の静電容量を介してパラボラ状の
電圧が重畳され、図６に曲線５で示すように、画面周辺
部に電子ビームを偏向する場合、規定の直流電圧４より
も高くなる。その結果、走査線上に輝度むらの部分がで
き、図７に示すように、画面上に明部６と暗部７とが生
じ、画質の劣化をまねく可能性がある。

【００１０】また画面の明暗部が明確でない場合でも、
たとえばカットオフにしたのち、画面が光らないように
第１電極に負の電圧を印加（ブライトＶＲ）して輝度を
落とした場合などでも、第２電極には、規定の直流電圧
にパラボラ状の電圧が重畳した電圧が加わるため、通常
の状態よりも高い電圧が加わり、たとえばスイッチオフ
した場合、ストレーエミッションが発生する原因となる
などの問題がある。

【００１１】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、電子銃を構成する複数個の電極のうち、選
択された電極に電子ビームの偏向に同期して増大するパ
ラボラ状の電圧が重畳して印加される電子銃を有する陰
極線管において、明暗部やストレーエミッションを発生
しない構成にすることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】カソードおよびこのカソ
ード上に配置された複数個の電極を有し、この複数個の
電極から選択された少くとも１個の電極に偏向ヨークの
電子ビームの偏向に同期して増大するパラボラ状の電圧
が印加される電子銃を有する陰極線管において、パラボ
ラ状の電圧が印加される電極と隣接電極との間にこれら
電極間の静電容量を介して隣接電極に重畳されるパラボ
ラ状の電圧を取除くダミー電極を配置した。

【００１３】また、ダミー電極をパラボラ状の電圧が印
加される電極とこのパラボラ状の電圧が印加される電極
よりも低い電圧が印加される隣接電極との間に配置し
た。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。

【００１５】図２にその一形態であるカラーブラウン管
を示す。このカラーブラウン管は、パネル１０と一端部
がネック１１からなる漏斗状のファンネル１２とからな
る外囲器を有し、そのパネル１０の内面に、青、緑、赤
に発光する３色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン１３
が設けられている。またこの蛍光体スクリーン１３に対
向して、その内側にシャドウマスク１４が配置されてい
る。一方、ファンネル１２のネック１１内に３電子ビー
ム１５B ，１５G ，１５R を放出する後述する電子銃１
６が配設されている。そして、この電子銃１６から放出
される３電子ビーム１５B ，１５G ，１５R をファンネ
ル１２の外側に装着された偏向ヨーク１７の発生する磁
界により偏向し、シャドウマスク１４を介して蛍光体ス
クリーン１３を水平、垂直走査することにより、カラー
画像を表示する構造に形成されている。

【００１６】上記電子銃１６は、図１に示すように、３
個のカソードＫ（１個のみ図示）およびこれらカソード
Ｋから蛍光体スクリーン方向に順次配置された第１乃至
第６電極Ｇ1 〜Ｇ6 を有する。その第５電極Ｇ5 は、２
個の電極Ｇ51，Ｇ52に分割されている。さらにこの電子
銃１６では、第３電極Ｇ3 とこの第３電極Ｇ3 のカソー
ドＫ側に隣接して位置する第２電極Ｇ2 との間に、ダミ
ー電極Ｇd が配置されている。

【００１７】そしてこの電子銃１６においては、第５電
極Ｇ5 の分割電極Ｇ52と第３電極Ｇ3 とは接続され、さ
らにこれら電極Ｇ52，Ｇ3 に抵抗器１９を介して分割電
極Ｇ51が接続され、その分割電極Ｇ52および第３電極Ｇ
3 には、電子銃１６に沿って配置された抵抗器２０によ
り、第６電極Ｇ6 に印加される約２６kVの高電圧Ｅbを
分割した規定の直流電圧が印加され、分割電極Ｇ51に
は、抵抗器１９，２０により分割された規定の直流電圧
が印加される。さらにこれらＧ3 ，Ｇ51，Ｇ52には、図
４に示した偏向ヨークの電子ビームの偏向に同期して増
大するパラボラ状の電圧３（Ｖd ）が重畳して印加され
る。またダミー電極Ｇd と第１電極Ｇ1 とは接続されて
接地されている。また第２電極Ｇ2 は、上記抵抗器２０
に接続され、この抵抗器２０により分割された規定の直
流電圧が印加される。

【００１８】上記のように、第３電極Ｇ3 に規定の直流
電圧と偏向ヨークの電子ビームの偏向に同期して増大す
るパラボラ状の電圧とを重畳して印加し、この第３電極
Ｇ3とそのカソードＫ側に隣接する第２電極Ｇ2 との間
にダミー電極Ｇd を配置し、このダミー電極Ｇd を第１
電極Ｇ1 に接続して接地すると、第３電極Ｇ3 に印加さ
れるパラボラ状の電圧は、ダミー電極Ｇd により阻止さ
れ、第２電極Ｇ2 には重畳されなくなる。

【００１９】その結果、従来、第２、第３電極間の静電
容量を介して第２電極に第３電極に印加されるパラボラ
状の電圧が重畳され、画面周辺部に電子ビームを偏向す
る場合、規定の電圧よりも高くなるために生じた画面上
に輝度むら（明暗部）や、ストレーエミッションの発生
原因を取除くことができ、この電子銃１６の特性、すな
わち画面周辺部に偏向される電子ビームの偏向収差によ
る歪を補正して、画面全面にわたりフォーカスを良好す
るという特性を最大限に生かして、高品位カラーブラウ
ン管を構成することができる。

【００２０】なお、上記実施の形態では、第３電極と第
２電極との間にダミー電極を配置する場合について説明
したが、このダミー電極は、偏向ヨークの電子ビームの
偏向に同期して増大するパラボラ状の電圧とを重畳して
印加される電極と隣接電極の間であれば、他の位置に配
置してもよい。

【００２１】

【発明の効果】上記のように、偏向ヨークの電子ビーム
の偏向に同期して増大するパラボラ状の電圧が印加され
る電極と隣接電極との間にダミー電極を配置すると、上
記パラボラ状の電圧が印加される電極と隣接電極との間
の静電容量を介して隣接電極に重畳されパラボラ状の電
圧をダミー電極により阻止でき、従来、電極間の静電容
量を介してパラボラ状の電圧が重畳され、画面周辺部に
電子ビームを偏向する場合、規定の電圧よりも高くなる
ために生じた画面上に輝度むらや、ストレーエミッショ
ンの発生原因を取除くことができ、高品位カラーブラウ
ン管を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態であるカラーブラウン
管の電子銃の構成を示す図である。

【図２】この発明の実施の一形態であるカラーブラウン
管の構成を示す図である。

【図３】従来のカラーブラウン管の電子銃の構成を示す
図である。

【図４】上記従来のカラーブラウン管の電子銃の第３電
極に印加されるパラボラ状の電圧を示す図である。

【図５】上記従来のカラーブラウン管の電子銃の第２電
極に印加される直流電圧を示す図である。

【図６】上記従来のカラーブラウン管の電子銃の第２電
極に印加される直流電圧に、第２、第３電極間の静電容
量を介してパラボラ状の電圧が重畳された場合の電圧を
示す図である。

【図７】上記第２電極にパラボラ状の電圧が重畳された
場合に生ずる画面の明暗部を説明するための図である。

【符号の説明】

１６…電子銃 １７…偏向ヨーク Ｇ1 …第１電極 Ｇ2 …第２電極 Ｇ3 …第３電極 Ｇ4 …第４電極 Ｇ5 …第５電極 Ｇ51…第５電極の分割電極 Ｇ52…第５電極の分割電極 Ｇ6 …第６電極 Ｋ…カソード

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カソードおよびこのカソード上に配置さ
   れた複数個の電極を有し、この複数個の電極から選択さ
   れた少くとも１個の電極に偏向ヨークの電子ビームの偏
   向に同期して増大するパラボラ状の電圧が印加される電
   子銃を有する陰極線管において、 上記パラボラ状の電圧が印加される電極と隣接電極との
   間にこれら電極間の静電容量を介して上記隣接電極に重
   畳されるパラボラ状の電圧を取除くダミー電極が配置さ
   れていることを特徴とする陰極線管。
2. 【請求項２】 ダミー電極がパラボラ状の電圧が印加さ
   れる電極とこのパラボラ状の電圧が印加される電極より
   も低い電圧が印加される隣接電極との間に配置されてい
   ることを特徴とする請求項１記載の陰極線管。