JPH11218601A - 熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズおよびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズおよびその製造方法

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JPH11218601A
JPH11218601A JP3435898A JP3435898A JPH11218601A JP H11218601 A JPH11218601 A JP H11218601A JP 3435898 A JP3435898 A JP 3435898A JP 3435898 A JP3435898 A JP 3435898A JP H11218601 A JPH11218601 A JP H11218601A
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JP
Japan
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weight
lens
thermoplastic hydrocarbon
hydrocarbon resin
repeating unit
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Application number
JP3435898A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Kobuchi
和之 小渕
Teruhiko Suzuki
輝彦 鈴木
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Priority to US09/530,116 priority patent/US6511756B1/en
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    • B29D11/0074Production of other optical elements not provided for in B29D11/00009- B29D11/0073
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
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    • G02B3/08Simple or compound lenses with non-spherical faces with discontinuous faces, e.g. Fresnel lens
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、透明で、機械的強度に優
れ、耐衝撃性、成形加工性、吸湿変形の小さい熱可塑性
樹脂製板状レンズとその製造方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 本発明によれば、熱可塑性炭化水素系樹
脂からなる板状レンズであって、該熱可塑性炭化水素系
樹脂が脂環式構造を有する繰返し単位が30重量%以上
であり、該脂環式構造を有する繰返し単位中のノルボル
ナン環を有さない脂環式構造を有する繰り返し単位を3
0重量%以上含有することを特徴とする熱可塑性炭化水
素系樹脂製板状レンズ、およびそのような熱可塑性炭化
水素系樹脂を溶融押出し法によりシートにする工程、該
工程により得られたシートを圧縮成形により板状レンズ
にする工程を含んでなる熱可塑性炭化水素系樹脂製板状
レンズの製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脂環式構造を有する
熱可塑性樹脂で形成された板状レンズ及びその製造方法
に関し、更に詳しくは機械的強度、耐衝撃強度、透明性
に優れた熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズおよびそ
の製造方法に関する
【0002】
【従来の技術】光学機器や情報機器の光学素子として熱
可塑性樹脂製板状レンズが多く用いられている。ここで
熱可塑性樹脂製板状レンズとは、光線を透過する平面状
または湾曲した曲面状の熱可塑性樹脂製板の表面に、光
線を所望の方向に収束、発散または平行化させる微小な
凹凸構造を形成したレンズを言い、その具体的な例とし
てはフレネルレンズやレンチキュラーレンズを挙げるこ
とができる。
【0003】従来から、この熱可塑性樹脂製板状レンズ
の材料としては、透明な熱可塑性樹脂としてアクリル樹
脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂等が使用されている。これらの樹脂の中
でも、無色で透明性が高いことから、現在はアクリル樹
脂が主に使用されている。しかし、アクリル樹脂製板状
レンズは、樹脂自体の吸湿性が大きいため、環境の湿度
などの影響をうけて反りが生じて光学的歪みが発生し光
学性能を損ねるという欠点があった。また、最近になっ
て、光学機器、情報機器には、大画面化とともに薄型
化、高解像度化が要求されており、これを構成する熱可
塑性樹脂製板状レンズはより大面積化、薄肉化、微細化
が必要になってきている。このような熱可塑性樹脂製板
状レンズに対する要求性能の高度化の中で、例えばアク
リル樹脂は脆いため薄肉化が困難であり、微細な成形加
工が困難であること等が問題となってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透明
で、機械的強度に優れ、耐衝撃性、成形加工性、吸湿変
形の小さい熱可塑性樹脂製板状レンズとその製造方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、
熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズ材料として脂環式
構造を有する繰返し単位(A)が30重量%以上であ
り、該脂環式構造を有する繰返し単位(A)中のノルボ
ルナン環を有さない脂環式構造を有する繰り返し単位
(A−i)を30重量%以上含有する熱可塑性炭化水素
系樹脂が好適であることを見いだした。即ち、脂環式構
造を有する繰返し単位(A)が30重量%以上であり、
該脂環式構造を有する繰返し単位(A)中のノルボルナ
ン環を有さない脂環式構造を有する繰り返し単位(A−
i)を30重量%以上含有する熱可塑性炭化水素系樹脂
は、機械強度に優れるため、薄肉化しても、破損しにく
く、その結果軽量化と大型化が可能であり、靱性に優れ
るため曲面状の画面にも対応することができ、また、該
樹脂は、成形性に優れ、微細な構造を有する型面への追
随性に優れることから、より高微細化が可能であり、さ
らに、該樹脂は、低吸水性、透明性、に優れるため光学
性能の低下が小さいことを本発明者らは見いだした。本
発明はこれらの知見により完成するに至ったものであ
る。
【0006】かくして本発明によれば、熱可塑性炭化水
素系樹脂からなる板状レンズであって、該熱可塑性炭化
水素系樹脂が脂環式構造を有する繰返し単位(A)が3
0重量%以上であり、該脂環式構造を有する繰返し単位
(A)中のノルボルナン環を有さない脂環式構造を有す
る繰り返し単位(A−i)を30重量%以上含有するこ
とを特徴とする熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズ、
およびそのような熱可塑性炭化水素系樹脂を溶融押出し
法によりシートにする工程、該工程により得られたシー
トを圧縮成形により板状レンズにする工程を含んでなる
熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズの製造方法が提供
される。
【0007】
【発明の実施の形態】熱可塑性炭化水素系樹脂 (熱可塑性炭化水素系樹脂からなる成形材料)本発明に
使用される熱可塑性炭化水素系樹脂(I)は、脂環式構
造を有する繰り返し単位(A)を30重量%以上含有す
るものであり、ノルボルナン環を有さない脂環式構造を
有する繰り返し単位(A−i)を30重量%以上含有す
ることを特徴とする。
【0008】繰り返し単位(A)中の脂環式構造は、主
鎖及び/または側鎖のいずれでもよいが、特に高い機械
的強度や光透過性が要求される場合には、主鎖に有する
ものが好ましい。脂環式構造としては、飽和、不飽和の
いずれでもよく、高い機械的強度や耐候性が要求される
場合には、飽和の脂環式構造が好ましい。具体的には、
シクロアルカン、シクロアルケン構造が挙げられ、好ま
しくはシクロアルカン構造である。また、脂環式構造を
構成する炭素原子の数は、使用目的に応じて適宜選択す
ればよいが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、
より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、特に機
械的強度や伸びの特性が高度にバランスされ好適であ
る。
【0009】これらの脂環式構造を有する繰り返し単位
(A)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上が組み合
わさってもよい。環状オレフィン系熱可塑性樹脂(I)
中の脂環式構造を有する繰り返し単位(A)の含有割合
は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30〜1
00重量%、好ましくは50〜100重量、より好まし
くは70〜100重量%の範囲であるときに、機械的強
度、伸びおよび光透過性などの特性が高度にバランスさ
れ好適である。
【0010】本発明においては、これらの脂環式構造を
有する繰返し単位(A)の中でもノルボルナン環を持た
ない繰返し単位(A−i)を30重量%以上含むものを
用いる。
【0011】ノルボルナン環を有さない繰り返し単位
(A−i)としては、格別な限定はないが、例えば、式
(1)
【0012】
【化1】 [R1〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素
基、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イ
ミド基、シリル基、または官能基(水酸基、エステル
基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基)で
置換された炭化水素基を表す。ただし、R8とR10、ま
たはR9とR11とが一緒になって不飽和結合を形成して
もよく、また、R8とR9、またはR10とR11とで、アル
キリデン基を形成していてもよい。aは0または1、
bは0または1、cは0、1または2である。‥‥‥
炭素―炭素の単結合または二重結合を表す。]で表され
る。
【0013】式(1)中のR1〜R20は、それぞれ独立
に、水素原子、炭化水素基、水酸基、エステル基、アル
コキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基、または官能
基(水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イ
ミド基、シリル基)で置換された炭化水素基であり、好
ましくは、水素原子、または炭化水素基であり、より好
ましくは水素原子である。炭化水素基の炭素原子数とし
ては、通常1〜20、好ましくは1〜10、より好まし
くは1〜6の範囲である。炭化水素基の具体例として
は、アルキル基やアルケニル基などが挙げられ、好まし
くはアルキル基であり、その中でも炭素原子数1〜6の
アルキル基が特に好ましい。官能基が置換した炭化水素
基としては、例えば、炭素原子数1〜20、好ましくは
1〜10、より好ましくは1〜6のエステル基含有アル
キル基などを挙げることができる。また、式(1)中の
8とR10、またはR9とR11とが一緒になって不飽和結
合を形成してもよく、また、R8とR9、またはR10とR
11とで、アルキリデン基を形成していてもよい。アルキ
リデン基の炭素数としては、通常1〜20、好ましくは
1〜10、より好ましくは1〜6の範囲である。式
(1)中のaは、0または1であり、好ましくは0であ
る。式(1)中のbは0または1であり、好ましくは1
である。式(1)中のcは、0、1または2であり、好
ましくは0である。式(1)中の‥‥‥は、炭素―炭素
の単結合または二重結合を表すが、通常、単結合の割合
が、95%以上、好ましくは98%以上、より好ましく
は99%以上の場合に、特に耐候性に優れ、好適である
【0014】上記式(1)で表されるノルボルナン環を
有さない繰り返し単位の中でも、好ましくは式(2)、
より好ましくは式(3)で表される。
【0015】
【化2】 式(2)中のR21〜R34の例示及び好ましい範囲は、式
(1)中のR1のものと同様である。また、式(2)中
のR8とR27、またはR9とR28とが一緒になって不飽和
結合を形成してもよく、また、R8とR26、またはR27
とR28とで、アルキリデン基を形成していてもよい。ア
ルキリデン基の炭素数としては、通常1〜20、好まし
くは1〜10、より好ましくは1〜6の範囲である。式
(2)中のdは、0または1であり、好ましくは0であ
る。式(2)中の‥‥‥は、炭素―炭素の単結合または
二重結合を表すが、通常、単結合の割合が、95%以
上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上
の場合に、特に耐候性に優れ、好適である。
【0016】
【化3】 式(3)中の‥‥‥は、炭素―炭素の単結合または二重
結合を表すが、通常、単結合の割合が、95%以上、好
ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の場合
に、特に耐候性に優れ、好適である。これらのノルボル
ナン環を有さない繰り返し単位(A−i)は、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。脂環式構造を有する繰り返し単位(A)中のこれら
のノルボルナン環を有さない繰り返し単位(A−i)の
割合は、30〜100重量%、好ましくは50〜100
重量%、より好ましくは70〜100重量%の範囲であ
り、この時に、得られる板状レンズの機械的強度、耐薬
品性および耐候性が高度にバランスされ、好適である。
【0017】脂環式構造を有する繰り返し単位(A)中
のノルボルナン環を有さない繰り返し単位(A−i)以
外の繰り返し単位、すなわちノルボルナン環を有する繰
り返し単位(A−ii)は、格別な制限はないが、例え
ば、式(4)
【0018】
【化4】 で表される。式(4)中のR35〜R48の例示及び好まし
い範囲は、式(1)中のR1のものと同様である。式
(4)中のeは、1〜3の整数であり、好ましくは1で
ある。式(4)中の‥‥‥は、炭素―炭素の単結合また
は二重結合を表すが、通常、単結合の割合が、95%以
上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上
の場合に、特に耐候性に優れ、好適である。
【0019】式(4)で表されるノルボルナン環を有す
る繰り返し単位中でも、好ましくは式(5)、より好ま
しくは式(6)で表される。
【0020】
【化5】 式(5)中のR49〜R62の例示及び好ましい範囲は、式
(1)中のR1のものと同様である。式(5)中の‥‥
は、炭素―炭素の単結合または二重結合を表すが、通
常、単結合の割合が、95%以上、好ましくは98%以
上、より好ましくは99%以上の場合に、特に耐候性に
優れ、好適である。
【0021】
【化6】 式(6)中のR63〜R66の例示及び好ましい範囲は、式
(1)中のR1のものと同様である。式(6)中の‥‥
は、炭素―炭素の単結合または二重結合を表すが、通
常、単結合の割合が、95%以上、好ましくは98%以
上、より好ましくは99%以上の場合に、特に耐候性に
優れ、好適である。
【0022】これらのノルボルナン環を有する繰り返し
単位(A−ii)は、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせられる。ノルボルナン環を有する繰り返
し単位(A−ii)の含有量は、格別な限定はないが、
脂環式構造を有する単位(A)のうちのノルボルナン環
を有さない繰り返し単位(A−i)の残部、すなわち全
脂環式構造を有する繰り返し単位(A)中の通常0〜7
0重量%、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは
0〜30重量%の範囲である。
【0023】本発明に使用される熱可塑性炭化水素系樹
脂(I)中の上記脂環式構造を有する繰り返し単位
(A)以外の残部の繰り返し単位(B)としては、格別
な限定はないが、通常鎖状の繰り返し単位が挙げられ
る。鎖状の繰り返し単位としては、例えば、式(7)で
表されるものが用いられる。
【0024】
【化7】 式(7)中のR67〜R70は、式(1)中のR1と同様で
あり、好ましくは水素原子である。
【0025】本発明に使用される熱可塑性炭化水素系樹
脂(I)の分子量は、格別制限はされず使用目的に応じ
て適宜選択されるが、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算の
重量平均分子量(Mw)で、通常5,000〜200,
000、好ましくは10,000〜100,000、よ
り好ましくは20,000〜70,000の範囲であ
る。熱可塑性炭化水素系樹脂の重量平均分子量(Mw)
がこの範囲にある時に、得られる板状レンズの光学特
性、機械的強度、耐衝撃強度、加工性、低吸水性、低吸
着性等の特性が高度にバランスされ好適である。
【0026】本発明に使用される熱可塑性炭化水素系樹
脂の分子量分布(Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/
Mn)は特に限定されないが通常3.5以下、好ましく
は3.0以下、より好ましくは2.5以下であり、通常
1.0以上、好ましくは1.5以上である。Mw/Mn
がこの範囲にある時に、得られる熱可塑性炭化水素系樹
脂製板状レンズの機械的強度、耐衝撃強度、成形加工性
等が高度にバランスされ好適である。
【0027】本発明に使用される熱可塑性炭化水素系樹
脂は、特に分子量1,000以下のオリゴマー成分の少
ないものを用いることが好ましい。熱可塑性炭化水素系
樹脂中のオリゴマーの含有量は、熱可塑性炭化水素系樹
脂とオリゴマーの合計量に対して、20重量%以下、好
ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下
である。熱可塑性炭化水素系樹脂中のオリゴマーの含有
量が過度に多いと、得られる熱可塑性炭化水素樹脂製板
状レンズの機械的強度や耐衝撃性、耐溶剤性等の特性が
悪化し、好ましくない。
【0028】オリゴマーとしては、環状オレフィン系結
合単位の高分子成長末端どうしが互いに結合して環状と
なった化合物などであり、通常、GPCで測定されるの
分子量が1000以下の成分である。
【0029】(製法)本発明に使用される上記熱可塑性
炭化水素系樹脂(I)の製造方法は、定法に従って行う
ことができ、例えば、脂環式構造のオレフィン系モノマ
ーをメタセシス触媒系存在下に重合し、必要に応じて水
素添加反応を行うことができる。
【0030】脂環式構造のオレフィン系モノマーとして
は、ノルボルナン環を有さない繰り返し単位となるもの
が好ましく、例えば、式(8)、好ましくは式(9)、
より好ましくは式(10)で表されるオレフィン系モノ
マー(a−i)が用いられる。これらのオレフィン系モ
ノマー(a−i)がメタセシス重合でノルボルナン環を
有さない繰り返し単位となることは、例えば特許第25
34086号公報および特公平7−121981号公報
などで公知である。
【0031】
【化8】 [式中、R1〜R20、a、b及びcは、式(1)におけ
る記号と同じである。]
【0032】
【化9】 [式中、R21〜R34、及びdは、式(2)における記号
と同じである。]
【0033】
【化10】 これらの式(8)、式(9)または式(10)で表され
るオレフィン系モノマー(a−i)は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。脂環式構造を有する環状オレフィン系モノマー中の
これらの式(8)、式(9)または式(10)で表され
るオレフィン系モノマーの割合は、通常30〜100重
量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは
70〜100重量%の範囲である。
【0034】脂環式のオレフィン系モノマー(a)中の
式(8)、式(9)または式(10)で表されるオレフ
ィン系モノマー(a−i)以外の残部(a−ii)は、
通常式(11)、好ましくは式(12)、より好ましく
は式(13)で表されるものが用いられる。
【0035】
【化11】 [式中、R35〜R48、及びeは、式(4)における記号
と同じである。]
【0036】
【化12】 [式中、R49〜R62は、式(5)における記号と同じで
ある。]
【0037】
【化13】 [式中、R63〜R66は、式(6)における記号と同じで
ある。]
【0038】これらの脂環式構造を有する環状オレフィ
ン系モノマー(a)は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて用いることができる。全マノマー中
の脂環式構造を有する環状オレフィン系モノマー(a)
の割合は、好ましくは30〜100重量%、より好まし
くは50〜100重量%、特に好ましくは70〜100
重量%の範囲である。
【0039】脂環式構造を有する環状オレフィン系モノ
マー(a)以外の残部のモノマー(b)としては、通常
鎖状モノマーが用いられる。鎖状モノマーとしては、例
えば、式(14)で表される。
【0040】
【化14】 [式中、R67〜R70は、式(7)における記号と同じで
ある。]
【0041】メタセシス触媒としては、例えば、タング
ステン(W)やモリブデン(Mo)等の属金属の化合物
や、チタン(Ti)等の属金属の化合物を用いることが
でき、好ましくはタングステン(W)化合物やモリブデ
ン(Mo)化合物であり、より好ましくは、タングステ
ン(W)化合物である。
【0042】タングステン(W)化合物の具体例として
は、WBr2、WBr3、WBr6、WCl2、WCl4
WCl5、WCl6、WF2、WF4、WF6、WI2、WI
4、WI6、WOBr4、WOCl4、WOF4、WO2、H
2WO4、NaWO4、K2WO4、(NH42WO4、Ca
WO4、CuWO4、MgWO4、(CO)5WC(OCH
3)(CH3)、(CO5)WC(OC25)(CH3)、
(CO5)WC(OC25)(C45)等が挙げられる
が、これらの中でもWBr2、WBr3、WBr6、WC
2、WCl4、WCl5、WCl6、WF2、WF4、WF
6、WI2、WI4、WI6、WOBr4、WOCl4、WO
4等が好ましく、WBr2、WBr3、WBr6、WCl
2、WCl4、WCl5、WCl6、WF2、WF4、W
6、WI2、WI4、WI6等のハロゲン化タングステン
がより好ましい。
【0043】これらのメタセシス触媒は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。メタセシス触媒の使用量は通常、全単量体100重
量部当たり、0.1〜1.5重量部、好ましくは0.1
〜1.0重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量
部である。
【0044】また、メタセシス重合を行う際は、上記メ
タセシス触媒とともに、助触媒を用いることが一般的で
ある。助触媒としては、例えば、有機アルミニウム化合
物や有機スズ化合物などが挙げられ、好ましくは有機ア
ルミニウム化合物である。有機アルミニウム化合物とし
ては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチ
ルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチ
ルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのト
リアルキルアルミニウムや、ジエチルアルミニウムクロ
ライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキ
ルハライドアルミニウムなどが挙げられるが、好ましく
はトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムクロライドである。
【0045】これらの助触媒は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。助触
媒の使用量は、メタセシス触媒1mol当たり、通常
0.01〜30mol、好ましくは0.1〜20mo
l、さらに好ましくは1〜10molである時に、ゲル
の発生が少なく、かつ、重合活性が高く高分子量体が得
られやすくなり、好ましい。
【0046】上記メタセシス触媒と助触媒の組み合わせ
では、特に、タングステン(W)系化合物と有機アルミ
ニウム化合物の組み合わせが好ましい。しかしながら、
本発明における好適な、ノルボルナン環を有さないくり
返し単位を有し、高分子量で(重合平均分子量が5,0
00〜500,000、好ましくは7,000〜30
0,000、より好ましくは10,000〜100,0
00)、かつ、低分子量成分が少ない(分子量が100
0以下の成分の割合が20重量%以下、好ましくは10
重量%以下、より好ましくは5重量%以下)少ない熱可
塑性炭化水素系樹脂を製造する場合には、タングステン
(W)系化合物と有機アルミニウム化合物の他に、調整
剤を用いることが好ましい。
【0047】調整剤としては、アルコール、アミン等の
活性水素含有の極性化合物;エーテル、エステル、ケト
ン、ニトリル等の活性水素を含有しない極性化合物;か
ら選ばれる少なくとも1種の極性化合物を用いることが
できる。上記活性水素含有の極性化合物は、ゲル化を防
ぎ、高分子量の重合体を得るのに有効であり、なかでも
アルコールが好ましい。また上記活性水素を含有しない
極性化合物は、重合体中の低分子量成分の生成を抑制す
るのに有効であり、中でもエーテル、エステル、ケトン
が好ましく、特にケトンがより好ましい。
【0048】アルコールとしては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノ
ール、イソペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサ
ノールなどの飽和アルコールや、フェノール、ベンジル
アルコールなどの不飽和アルコールなどが挙げられる
が、好ましくはプロパノール、イソプロパノール、ブタ
ノール、イソブタノールである。
【0049】エーテルとしては、例えば、ジメチルエー
テル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレン
グリコールジブチルエーテルやトリエチレングリコール
ジブチルエーテルなどが挙げられ、これらの中でもジイ
ソプロピルエーテル、ジエチルエーテルが好ましい。
【0050】エステルとしては、例えば、ぎ酸メチル、
ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸イソプロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、
安息香酸プロピル、安息香酸プロピル、安息香酸イソプ
ロピルなどが挙げられ、これらの中でも酢酸メチルや酢
酸エチルが好ましい。
【0051】ケトンとしては、例えば、アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルフェニルケト
ン、ジフェニルケトンなどのが挙げられ、これらの中で
もアセトンやメチルエチルケトンが好ましい。
【0052】ニトリルとしては、例えば、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル、t−ブチロニトリルなどが挙げら
れ、これらの中でもベンゾニトリルやt−ブチロニトリ
ル等の嵩高い炭化水素基を有するニトリルが好ましい。
【0053】これらの調整剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。特
に、本発明においては、活性水素含有の極性化合物と活
性水素を有さない極性化合物を組み合わせるのが好まし
く、特にアルコールとケトン、アルコールとニトリル、
アルコールとエーテルおよびアルコールとエステルの組
み合わせが好ましい。調整剤の使用量はメタセシス触媒
1mol当たり、通常、0.01〜20mol、好まし
くは0.1〜10mol、さらに好ましくは1〜5mo
lの範囲である。
【0054】重合反応は、通常、溶剤存在下で行う。溶
剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキ
サン、シクロオクタンなどの脂肪族脂環炭化水素;など
が挙げられ、好ましくは、トルエン、シクロヘキサン、
シクロオクタンなどであり、さらに好ましくはトルエ
ン、シクロヘキサンである。これらの溶剤は、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが
でき、その使用量は、単量体100重量部当たり、通常
10〜1000重量部、好ましくは50〜700重量
部、より好ましくは100〜500重量部の範囲であ
る。
【0055】重合条件は、重合温度が、通常−10℃〜
200℃、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは
10℃〜80℃の範囲であり、重合時間が、通常30分
〜10時間、好ましくは1時間〜7時間、より好ましく
は2時間〜5時間の範囲である。重合温度が高すぎると
分子量1000以下の成分が増え、低すぎると反応速度
が遅すぎて反応率が上がらない。
【0056】重合反応終了後に、水素化触媒を添加し
て、引き続き水素化反応を行うことができる。水素化触
媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に
使用されるものであれば格別な制限はなく、通常不均一
系触媒や均一系触媒が用いられる。
【0057】不均一系触媒としては、例えば、ニッケ
ル、パラジウム、白金、またはこれらの金属をカーボ
ン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担
体に担持させた固体触媒:ニッケル/シリカ、ニッケル
/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カー
ボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、
パラジウム/アルミナなどのが挙げられる。
【0058】均一系触媒としては、例えば、遷移金属化
合物とアルキルアルミ金属化合物またはアルキルリチウ
ムの組み合わせからなる触媒、例えば、酢酸コバルト/
トリエチルアルミニウム、酢酸コバルト/トリイソブチ
ルアルミニウム、酢酸ニッケル/トリエチルアルミニウ
ム、酢酸ニッケル/トリイソブチルアルミニウム、ニッ
ケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、
ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミ
ニウイム、チタノセンクロリド/n−ブチルリチウム、
ジルコノセンクロリド/n−ブチルリチウムなどの組み
合わせからなる触媒が挙げられる。
【0059】これらの水素化触媒は、それぞれ単独0〜
250℃、好ましくは20〜200℃で行われる。で、
または2種以上組み合わせて用いることができる。水素
化触媒の使用量は、重合体100重量部当たり、通常
0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量
部、より好ましくは1〜30重量部の範囲である。水素
化反応は、通常1〜150kg/cm2の水素圧下、0
〜250℃の温度範囲、1時間〜20時間の反応時間で
行われる。
【0060】本発明に使用される熱可塑性炭化水素系樹
脂(I)は、上記水素化反応後に、ろ過して水素化触媒
を除去し、続いて凝固乾燥して得ることができる。水素
化触媒として均一系触媒を用いた場合は、水素化反応後
に、アルコールや水を添加して触媒を失活させ、溶剤に
不溶化させた後にろ過、凝固、乾燥することにより得る
ことができる。
【0061】その他のポリマー 本発明の熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズには、上
記熱可塑性炭化水素系樹脂(I)の他に、必要に応じ
て、ポリブタジエン、ポリイソプレン、SBS、SI
S、SEBSなどのゴム;ポリスチレン、ポリ(メタ)
アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ
エーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンなど
の樹脂;などのその他のポリマーを配合することができ
る。また、これらのその他のポリマーはそれぞれ単独
で、あるいは2種以上混合して用いることができる。ま
た、その割合は、本発明の目的を損なわれない範囲で適
宜選択される。
【0062】配合剤 本発明の熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズ用の材料
は、必要に応じて配合剤を添加することができる。配合
剤としては、熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズの光
学的な特性を目的として光拡散材や、その他の熱可塑性
樹脂材料で通常用いられているものであれば格別な制限
はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、近赤外線
吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、帯電防止剤、
蛍光増白剤、可塑剤などの配合剤が挙げられる。
【0063】老化防止剤としては、フェノール系酸化防
止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙
げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤
が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特
に好ましい。
【0064】フェノール系酸化防止剤としては、従来公
知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−
(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−
t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2
−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート
などの特開昭63−179953号公報や特開平1−1
68643号公報に記載されるアクリレート系化合物;
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレ
ン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロ
キシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペン
タエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネー
ト)]、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリ
ノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリア
ジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジ
ン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリ
アジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;な
どが挙げられる。
【0065】リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工
業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例え
ば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシル
ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ト
リス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジ
ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−
10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;
4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,
4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル
(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイ
ト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホ
スファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイトなどが特に好ましい。
【0066】イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジ
ラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル
3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル
3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル
3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール
−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネー
ト、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ [5,5] ウン
デカンなどが挙げられる。
【0067】これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範
囲で適宜選択されるが、ポリマー成分100重量部に対
して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜
1重量部の範囲である。
【0068】紫外線吸収剤としては、例えば、2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル ベンゾエー
ト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロ
ネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−
(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫
外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル
−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ
−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−
ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H
−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル
−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−
ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2
−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤;4−t−ブチルフェニル−2−ヒ
ドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベン
ゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサ
デシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ゾエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒド
ロフタリミジルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロ
キシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベゾエート系紫
外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸
3水和物、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフ
ェノン、4−ドデカロキシ−2−ホドロキシベンゾフェ
ノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキ
シベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収
剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレ
ート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジ
フェニルアクリレートなどのアクリレート系紫外線吸収
剤;[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレ
ート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケルなどのニ
ッケル錯体系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0069】近赤外線吸収剤は、例えば、シアニン系近
赤外線吸収剤;ピリリウム系赤外線吸収剤;スクワリリ
ウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤;
アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤
外線吸収剤; ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;
ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤
外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ
系近赤外線吸収剤;等が挙げられる。また、市販品の近
赤外線吸収剤SIR−103,SIR−114,SIR
−128,SIR−130,SIR−132,SIR−
152,SIR−159,SIR−162(以上、三井
東圧染料製)、Kayasorb IR−750,Ka
yasorb IRG−002,Kayasorb I
RG−003,IR−820B,Kayasorb I
RG−022,KayasorbIRG−023,Ka
yasorb CY−2,Kayasorb CY−
4,Kayasorb CY−9(以上、日本火薬製)
等を挙げることできる。
【0070】染料としては、脂環構造を有する熱可塑性
重合体に均一に分散・溶解するものであれば特に限定さ
れないが、本発明で用いられる熱可塑性炭化水素系重合
体との相溶性が優るので油溶性染料(各種C.I.ソル
ベント染料)が広く用いられる。油溶性染料の具体例と
してはThe Society of Diyesan
d Colourists社刊Color Index
vol.3に記載される各種のC.I.ソルベント染
料が挙げられる。
【0071】顔料としては、例えば、ピグメントレッド
38等のジアリリド系顔料;ピグメントレッド48:
2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド57:1
等のアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド144、ピグ
メントレッド166、ピグメントレッド220、ピグメ
ントレッド221、ピグメントレッド248等の縮合ア
ゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメントレッド
175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド1
85、ピグメントレッド208等のペンズイミダゾロン
系顔料;ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔
料;ピグメントレッド149、ピグメントレッド17
8、ピグメントレッド179等のペリレン系顔料;ピグ
メントレッド177等のアントラキノン系顔料が挙げら
れる。
【0072】熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズの着
色を必要とするときは、染料と顔料の何れでも、本発明
の目的の範囲で使用でき、限定されるものではないが、
ミクロな光学特性が問題となるような板状レンズの場合
には染料による着色が好ましい。また、紫外線吸収剤が
目視では黄色〜赤色の色を示すこともあり、近赤外線吸
収剤が目視では黒色の色を示すこともあるため、これら
と染料を厳密に区別して使用する必要は無く、また、組
合わせて使用しても良い。
【0073】帯電防止剤としては、ステアリルアルコー
ル、ベヘニルアルコールなどの長鎖アルキルアルコー
ル、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトー
ルモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エス
テルなどが挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘ
ニルアルコールが特に好ましい。
【0074】これらの配合剤は単独、2種以上混合して
用いることができ、その割合は、本発明の目的を損なわ
れない範囲で適宜選択される。配合量は、本発明の目的
を損なわれない範囲で適宜選択されるが、ポリマー成分
100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ま
しくは0.01〜1重量部の範囲である。上記成分を二
軸押出機等で混練して用いることができる。通常は、ペ
レットとして用いることができる。
【0075】板状レンズ 本発明の熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズは、上記
成分を成形して得ることができる。成形方法としては、
常法に従えばよく、例えば、射出成形法、圧縮成形法、
押出法、キャスト法連続押出し法等が挙げられ、特に光
学特性の面内のバラツキを小さくでき、加工性や機械強
度等の特性に優れるために、上記成分から溶融押出し法
により作成したシートまたはフィルム等を圧縮成形する
方法が好適である。
【0076】圧縮成形法としては、成形しようとする熱
可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズの表面構造に対応し
た表面形状を有する金型内で、上記のフィルムまたはシ
ートを加温しながら加圧し、所定時間経過後、温度を下
げて取出す方法がとられる。加温する温度や、圧縮する
圧力、時間は、形成しようとする熱可塑性炭化水素系樹
脂製板状レンズの形状、熱可塑性炭化水素系樹脂の特性
などによって適宜選択すれば良い。例えば、温度は熱可
塑性炭化水素系樹脂のガラス転移温度Tgを基準とし
て、通常はTg〜(Tg+150)℃、好ましくは(T
g+20)〜(Tg+100)℃である。圧力は通常は
5〜1000Kg重/cm2、好ましくは10〜500
Kg重/cm2である。加熱している時間は数秒〜数十
分程度がこのましい。また、Tg以上に昇温して賦形し
た熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズを冷してから取
出す際には、熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズが好
ましくは(Tg−20)℃以下になってから取出す。冷
す際の温度は、Tg付近では5℃/分以下でゆっくりと
下げることが好ましい。
【0077】本発明の板状レンズの好ましい例として、
フレネルレンズとレンチキュラーレンズを挙げることが
できる。
【0078】熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネルレンズ 図1,2に熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネルレンズの
一般的な形状を示す。熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネ
ルレンズ1は、凹面レンズ、凸面レンズのレンズ面2を
平面状に配置してレンズ全体の厚み3を薄くできる特徴
を有するレンズである。用途は通常の凹面レンズや凸面
レンズと同様であり、光を集光したり発散したり平行化
したりする機能を有する。厚さ(図中の3)は、特に制
限はないが、剛性、取り扱い易さの点から0.01〜1
0mmが好ましい。光線透過率(ASTM D103)
は、全可視光領域に渡って80%以上であり、好ましく
は、90%以上さらに好ましくは92%以上である。
【0079】熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネルレンズ
の形状に関しては、必ずしも制限はないが、レンズ全体
の形状は図1に示すような矩形板状であっても良いし、
円形板状や楕円形板状などでも良い。レンズ面(最外
周)の直径は1mm〜1,000mm程度まで可能であ
る。曲面の分割数(レンズ面がいくつに分割されている
か、例えば図1ではレンズ面が5つの同心リング状に分
れており5分割と呼ぶものとする)は、2以上であっ
て、上限は特に無い。曲率は1mm〜曲面(図中の2)
の形状は、例えば、曲面の他、正弦曲線、楕円曲線、放
物線などの非球面も可能である。
【0080】本発明の熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネ
ルレンズは、機械的強度、耐衝撃強度、低吸水性、軽量
性、等の特性を有するために、環境の温度や湿度の影響
を受けて変形することが少なく、大型の光学機器、情報
機器に用いた時にも、光学的な歪みが小さく、情報の読
み書きのエラーも小さくすることがきる。また、本発明
の熱可塑性樹脂製フレネルレンズは薄肉で精密な表面構
造が可能なため、情報機器で情報を読みとるためのピッ
クアップレンズ等の高精度の光学素子等としても好適で
ある。
【0081】レンチキュラーレンズ 図3,4にレンチキュラーレンズの一般的な形状を示
す。レンチキュラーレンズは、ディスプレイなどの画面
の観察面に近い側に置かれ、視野角を広げたり、画像を
鮮明にする働きをもつものであり、通常は薄い板状の片
側に、視野角を広げるための筒状の細長い筋状の曲面
(図中の12)が並んだ構造をもつ。厚さ(図中の1
3)は、特に制限はないが、剛性、取り扱い易さの点か
ら0.01〜10mmが好ましい。15インチ以上の大
型のディスプレーでは通常0.5〜10mm程度が好ま
しい。光線透過率(ASTM D103)は、全可視光
領域に渡って80%以上であり、好ましくは、90%以
上さらに好ましくは92%以上である。レンチキュラー
レンズの形状に関しては、必ずしも制限はないが、曲面
(図中の12)の形状は、例えば円筒、正弦曲線、楕円
曲線、放物線などの2次曲面である。
【0082】本発明のレンチキュラーレンズは、機械的
強度、耐衝撃強度、低吸水性、軽量性、等の特性を有す
るために、環境の温度や湿度の影響を受けて変形するこ
とが少なく、大型の画面表示に用いた時にも、画像が歪
んだり、色が滲んだりすることがないため、例えばプロ
ジェクションテレビ用スクリーン、ビデオプロジェクシ
ョン用スクリーン等に使用される10インチ以上の特に
15インチ以上の大型のレンチキュラーレンズに特に好
適である。また、本発明のレンチキュラーレンズは薄肉
で精密な表面構造が可能なため、TFTやプラズマディ
スプレーなどのフラットパネルディスプレイなどの透過
型スクリーン用レンズとしても好適である。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、機械的強度に優れ、高
解像度化が可能で、環境変化による光学性能の低下の小
さい熱可塑性樹脂製板状レンズとその製造方法が提供さ
れる。本発明の好ましい板状レンズとしてフレネルレン
ズとレンチキュラーレンズを挙げることができる。フレ
ネルレンズは、コンパクトディスク、CD−ROM、デ
ィジタルヴィデオディスク、レーザーディスク、MO等
の音楽用または情報用の記録媒体の記録・再生用;バー
コードリーダー等の情報の読みとり用;虫眼鏡などの拡
大用または縮小用として使用することができる。また、
本発明により機械的強度、耐衝撃強度、低吸水性、軽量
性、等の特性を有するために、環境の温度や湿度の影響
を受けて変形することが少なく、大型の画面表示に用い
た時にも、画像が歪んだり、色が滲んだりすることのな
い優れたレンチキュラーレンズが得られる。本発明によ
り得られるレンチキュラーレンズは、プロジェクション
テレビ用スクリーン、ビデオプロジェクション用スクリ
ーン等の情報表示機器等に有用である。
【0084】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、部及び%は、特に断わり
のない限り重量基準である。測定法は、以下の方法に従
った。 (1)分子量 特に記載がない限りシクロヘキサンを溶剤とするゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポ
リイソプレン換算値として測定した。分子量が1,00
0以下の成分をチャートの面積比から定量した。 (2)水素添加率は、1H−NMRにより測定した。 (3)光線透過性試験 溶融押出し成形法により得たシ
ート(以下基板という)を用い、ASTM D103に
準拠して測定した。 (4)成形時の割れ試験 前記の基板の製造時に、熱可塑性炭化水素系樹脂製板状
レンズを10枚作成したうち、レンズにに割れや亀裂が
入るかどうか観察し、10個とも割れや亀裂の無いもの
を◎(良好)、10枚中7枚以上9枚以下のレンズに割
れや亀裂が入ったものを○(良)10枚中7枚以上9枚
以下のレンズに割れや亀裂が無いものを△(やや不
良)、すべて10個とも割れや亀裂が入ったものを×
(不良)とした。 (5)吸湿変形試験 試験用の熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズを、気温
23℃、湿度60%の恒温高湿槽に1週間放置し、レン
ズの吸湿変形(反り)の有無を確認した。そりの全く無
いものを◎(良好)とし、反りのあるものを×(不良)
とした。 (6)落下試験 レンズ溝の反対側面方向から3/4インチ半径のミサイ
ル型の重り(重さ50g)を1m高さより自然落下させ
て、割れや亀裂が入るかどうか観察し、10個とも割れ
や亀裂の無いものを◎(良好)、10枚中7枚以上9枚
以下のレンズに割れや亀裂が入らなかったものを○
(良)、10枚中1枚以上6枚以下のレンズに割れや亀
裂が無いものを△(やや不良)、すべて10個とも割れ
や亀裂が入ったものを×(不良)とした。
【0085】(重合体の合成)参考例1 窒素で置換した10リットルのオートクレーブにジシク
ロペンタジエン(以下DCPと略す)100重量部とシ
クロヘキサン2400重量部を加え、次いで重合触媒系
としてトリイソブチルアルミニウム20重量%のシクロ
ヘキサン溶液28重量部とイソブチルアルコール2重量
部、架橋抑制剤として、酢酸イソプロピル0.6重量
部、分子量調整剤として、1−ヘキセン4.5重量部を
添加した。ここに、六塩化タングステン0.7重量%の
シクロヘキサン溶液322重量部を添加し、60℃で3
0分間攪拌した。その後DCP900重量部と六塩化タ
ングステン0.7重量%のシクロヘキサン溶液290重
量部、を1時間で連続的に系内に滴下し、滴下終了後、
さらに、30分間攪拌して重合を終了した。この重合反
応液を20リットルのオートクレーブに移し、シクロヘ
キサン320重量部を加えた。この溶液にパラジウム−
カーボン5重量部を加え水素圧60kg/cm2とし
て、140℃で、4時間反応させた後、水素添加触媒を
ろ過によって取り除き、この濾液を活性アルミナ10重
量部を加え60℃で8時間処理した。この水素添加重合
体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリスリチル−テト
ラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]を水素添加重合体に対し
て、0.1重量%加えてから、380℃で減圧下に脱溶
剤を行った。ついで、溶融した樹脂を、窒素雰囲気下で
押出機によりペレット化し、分子量Mwが43,00
0、Mw/Mnが2.38,分子量が1,000以下の
成分が0.4重量%、ガラス転移温度97℃のDCP開
環重合体水素添加物を得た。この樹脂をポリマーAとし
た。脂環式構造を有する繰返し単位の割合は100重量
%、ノルボルナン環を有さない脂環式構造を有する繰返
し単位の割合は100重量%であった。
【0086】参考例2 8−メチル−8メトキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,8 ]ドデカ−3−エン100g、
1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサン24
0g、1−ヘキセン25g、およびジエチルアルミニウ
ムクロリド0.96モル/lのトルエン溶液3.4ml
を、内容積1リットルのオートクレーブに加えた。一
方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.05モ
ル/lの1,2−ジジメトキシエタン溶液20mlとパ
ラアルデヒドの0.1モル/lの1,2−ジジメトキシ
エタン溶液10mlを混合した。この混合溶液4.9m
lを前記オートクレーブ中の混合物に添加した。密栓
後、混合物を80℃に加熱して3時間攪拌を行った。得
られた重合体溶液に、1,2−ジジメトキシエタンとシ
クロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒を加えて重
合体/溶媒が1/9(重量比)にした後、トリエタノー
ルアミン20gを加えて10分間攪拌した。この重合溶
液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌して静
置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノールを
加えて攪拌、静置後、上層を除いた。同様の操作をさら
に2回行い、得られた下層をシクロヘキサン、1,2−
ジジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10%
のシクロヘキサン−1,2−ジジメトキシエタン溶液を
得た。この溶液に20gのパラジウム/シリカマグネシ
ア[日揮化学(株)製、パラジウム量=5%]を加え
て、オートクレーブ中で水素圧40kg/cm2として
165℃で4時間反応させた後、水素添加触媒をろ過に
よって取り除き、水素添加重合体溶液を得た。また、こ
の水素添加重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリ
スリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を水素添
加重合体に対して、0.1%加えてから、380℃で減
圧乾燥下に脱溶剤を行った。次いで、溶融した樹脂を、
窒素雰囲気下,押出機によりペレット化し、重量平均分
子量88,000、Mw/Mn3.3、水素添加率9
9.5%、ガラス転移温度168℃の熱可塑性炭化水素
系樹脂を得た。このポリマーをポリマーBとした。脂環
式構造を有する繰返し単位の割合は100重量%、ノル
ボルナン環を有さない脂環式構造を有する繰返し単位の
割合は0重量%であった。
【0087】参考例3 エチレン66モル%と8−メチル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,8 ]ドデカ−3−エン34モル%と
を重合し、ペレット化して、固有粘度0.64dl/g
(35℃デカリン中)、ガラス転移温度140℃の熱可
塑性樹脂を得た。この樹脂をポリマーCとした。脂環式
構造を有する繰返し単位の割合は75重量%、ノルボル
ナン環を有さない脂環式構造を有する繰返し単位の割合
は0重量%であった。
【0088】実施例1 (基板の製造)参考例1で得られたペレットを、押出機
で加熱混練後、(樹脂温度220℃)、Tダイから出た
溶融押出し成形しロール間に通し、冷却した後、所定の
大きさに切出して、300×300×3mmの基板を得
た。 (熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネルレンズの成形)上
記の基板を熱可塑性炭化水素系樹脂製フレネルレンズ金
型の間に配し、加熱プレスで成形温度150℃、成形時
間10分、成形圧力30kg/cm2の条件で成形した
後、10分間水冷して成形品を得た。フレネルレンズ部
の形状は、最外周の直径が200mmで球状曲面を20
分割したレンズであった。光線透過率は、90%以上で
あり、成形時の割れは、10枚中10枚とも割れや亀裂
は、無く良好で、高温高湿糟での吸湿変形についても、
確認されず良好だった。また、落下試験も、良好だっ
た。
【0089】比較例1 (基板の製造)参考例2の樹脂(ポリマーB)を用い、
樹脂温度280℃に変えた以外は、実施例1と同様に行
い、300×300×3mmの基板を得た。 (熱可塑性樹脂製フレネルレンズの成形)上記の基板を
成形温度を210℃に変えた以外は、実施例1と同様に
して成形し、同様の熱可塑性樹脂製フレネルレンズ成形
品を得た。成形時の割れは、10枚中7枚に割れや亀裂
が入り、やや不良であり、高温高湿糟での吸湿変形につ
いては、反りが確認され、不良だった。また、落下試験
については、10枚中10枚とも割れや亀裂が入り、不
良だった。
【0090】比較例2 (基板の製造)三菱レーヨン製のアクリル樹脂アクリペ
ットVH(ポリマーD)を用い、実施例1と同様に行
い、300×300×1mmの基板を得た。該樹脂中の
脂環式構造を有する繰返し単位は0重量%である。 (熱可塑性樹脂製フレネルレンズの成形)上記の基板を
成形温度を160℃に変えた以外は、実施例1と同様に
して成形し、同様の熱可塑性樹脂製フレネルレンズ成形
品を得た。成形時の割れは、10枚中10枚に割れや亀
裂が入り、やや不良であり、高温高湿糟での吸湿変形に
ついても、反りが確認され不良だった。また、落下試験
については、10枚中10枚とも割れや亀裂が入り、不
良だった。
【0091】実施例2 (基板の製造)参考例1で得られたペレットを、押出機
で加熱混練後、(樹脂温度220℃)、Tダイから出た
溶融押出し成形しロール間に通し、冷却した後、所定の
大きさに切出して、850×651×1mmの基板を得
た。 (レンチキュラーレンズの成形)上記の基板をレンチキ
ュラーレンズ金型の間に配し、加熱プレスで成形温度1
50℃、成形時間10分、成形圧力30kg/cm2
条件で成形した後、10分間水冷して成形品を得た。使
用したレンチキュラーレンズ金型は、レンチキュラーレ
ンズの断面形状は、ピッチ0.5mm、中心角85℃の
円弧である。できあがったレンチキュラーレンズの有効
面の寸法は、813×610mmであった。光線透過率
は、90%以上であり、成形時の割れは、10枚中10
枚とも割れや亀裂は、無く良好で、高温高湿糟での吸湿
変形についても、確認されず良好だった。また、落下試
験も、良好だった。
【0092】比較例3 (基板の製造)参考例2の樹脂(ポリマーB)を用い、
樹脂温度280℃に変えた以外は、実施例1と同様に行
い、850×651×1mmの基板を得た。 (レンチキュラーレンズの成形)上記の基板を成形温度
を210℃に変えた以外は、実施例1と同様にして成形
し、同様のレンチキュラーレンズ成形品を得た。成形時
の割れは、10枚中7枚に割れや亀裂が入り、やや不良
であり、高温高湿糟での吸湿変形については、反りが確
認され、不良だった。また、落下試験については、割れ
や亀裂が入らなかったものは10枚中1枚だけであり、
やや良だった。
【0093】比較例4 (基板の製造)参考例3の樹脂(ポリマーC)を用い、
樹脂温度230℃に変えた以外は、実施例1と同様に行
い、850×651×1mmの基板を得た。 (レンチキュラーレンズの成形)上記の基板を成形温度
を160℃に変えた以外は、実施例1と同様にして成形
し、同様のレンチキュラーレンズ成形品を得た。成形時
の割れは、10枚中7枚に割れや亀裂が入り、やや不良
であり、高温高湿糟での吸湿変形については、確認され
ず良好だった。また、落下試験については、割れや亀裂
が入らなかったものは10枚中1枚だけであり、やや良
だった。
【0094】比較例5 (基板の製造)三菱レーヨン製のアクリル樹脂アクリペ
ットVH(ポリマーD)を用い、実施例1と同様に行
い、850×651×1mmの基板を得た。 (レンチキュラーレンズの成形)上記の基板を成形温度
を160℃に変えた以外は、実施例1と同様にして成形
し、同様のレンチキュラーレンズ成形品を得た。成形時
の割れは、10枚中10枚に割れや亀裂が入り、不良で
あり、高温高湿糟での吸湿変形についても、反りが確認
され不良だった。また、落下試験については、10枚中
10枚とも割れや亀裂が入り、不良だった。
【0095】試験結果を表1、2にまとめて示す。
【0096】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】フレネルレンズの平面図
【図2】フレネルレンズの断面図
【図3】レンチキュラーレンズの平面図
【図4】レンチキュラーレンズの断面図
【符号の説明】
1:フレネルレンズ 2:レンズ面部 3:厚み 11:レンチキュラーレンズ 12:曲面部 13:厚み
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 101:12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性炭化水素系樹脂(I)からなる
    板状レンズであって、該熱可塑性炭化水素系樹脂(I)
    が、脂環式構造を有する繰返し単位(A)が30重量%
    以上であり、該脂環式構造を有する繰返し単位(A)中
    のノルボルナン環を有さない脂環式構造を有する繰り返
    し単位(A−i)を30重量%以上含有することを特徴
    とする熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズ。
  2. 【請求項2】 板状レンズがフレネルレンズまたはレン
    チキュラーレンズである請求項1に記載の熱可塑性炭化
    水素系樹脂製板状レンズ。
  3. 【請求項3】 脂環式構造を有する繰返し単位(A)が
    30重量%以上であり、該脂環式構造を有する繰返し単
    位(A)中のノルボルナン環を有さない脂環式構造を有
    する繰り返し単位(A−i)を30重量%以上含有する
    熱可塑性炭化水素系樹脂を溶融押出し法によりシートに
    する工程、該工程により得られたシートを圧縮成形によ
    り板状レンズにする工程を含んでなる熱可塑性炭化水素
    系樹脂製板状レンズの製造方法。
JP3435898A 1997-10-23 1998-01-30 熱可塑性炭化水素系樹脂製板状レンズおよびその製造方法 Pending JPH11218601A (ja)

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EP98950346A EP1026189B1 (en) 1997-10-23 1998-10-22 Thermoplastic dicyclopentadiene-base open-ring polymers, hydrogenated derivatives thereof, and processes for the preparation of both
DE1998620894 DE69820894T2 (de) 1997-10-23 1998-10-22 Thermoplastisches Ringöffnungspolymer auf der Basis von Dicyclopentadien, hydrierte Derivate davon und Verfahren zur Herstellung von beiden
PCT/JP1998/004788 WO1999020676A1 (fr) 1997-10-23 1998-10-22 Polymeres a cycles ouverts et a base dicyclopentadiene thermoplastique, derives hydrogenes de ceux-ci et procedes de preparation correspondants
US09/530,116 US6511756B1 (en) 1997-10-23 1998-10-22 Thermoplastic dicyclopentadiene-base open-ring polymers, hydrogenated derivatives thereof, and processes for the preparation of both

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006022391A1 (en) * 2004-08-24 2006-03-02 Fujifilm Corporation Method of producing a resin sheet
JP2011501812A (ja) * 2007-10-22 2011-01-13 ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー オルガノポリシロキサンを含む懸濁液においてタンパク質の凝集を評価するための方法、およびタンパク質溶液を含有する、オルガノポリシロキサンでコーティングされた医療用品
US10914720B2 (en) 2016-02-10 2021-02-09 Becton Dickinson France Method to evaluate the stability of a protein-based formulation

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US8633034B2 (en) 2007-06-25 2014-01-21 Becton, Dickinson And Company Methods for evaluating the aggregation of a protein in a suspension including organopolysiloxane and medical articles coated with organopolysiloxane containing a protein solution
JP2011501812A (ja) * 2007-10-22 2011-01-13 ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー オルガノポリシロキサンを含む懸濁液においてタンパク質の凝集を評価するための方法、およびタンパク質溶液を含有する、オルガノポリシロキサンでコーティングされた医療用品
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