JPH1121457A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JPH1121457A
JPH1121457A JP17963497A JP17963497A JPH1121457A JP H1121457 A JPH1121457 A JP H1121457A JP 17963497 A JP17963497 A JP 17963497A JP 17963497 A JP17963497 A JP 17963497A JP H1121457 A JPH1121457 A JP H1121457A
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polyarylene sulfide
weight
polycarbodiimide
resin composition
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JP17963497A
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Satoshi Kinouchi
智 木ノ内
Tomoyoshi Murakami
友良 村上
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂の良好な諸特
性を保持しつつ、しかもエポキシ系樹脂などの接着剤と
の接着性にも優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と
ポリエチレンナフタレート系樹脂(B)の総和を100
重量%として、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)5
0〜96重量%、ポリエチレンナフタレート系樹脂
(B)50〜4重量%、(A)と(B)の総和を100
重量部として、ポリカルボジイミド系樹脂若しくはポリ
カルボジイミド前駆体(C)0.1〜10重量部及び/又
は充填材(D)1〜800重量部からなるポリアリーレ
ンスルフィド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアリーレンスル
フィド(以下、PASということがある)樹脂組成物に
関する。さらに詳しくはエポキシ系樹脂等の接着剤との
良好な接着性を有するPAS樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱
性や難燃性,電気特性及び種々の機械的物性に優れたエ
ンジニアリングプラスチックであることから、機械分
野,電気・電子分野、自動車部品等、様々な分野での利
用が期待されている。ところで、PAS樹脂は、その優
れた特性を生かしてPAS樹脂単独で用いられることも
あるが、更に性能を向上させるべく、他の樹脂やセラミ
ックス,金属等の他の材料と貼り合わせたり、或いは性
能の異なるPAS樹脂どうしを貼り合わせた材料とし
て、幅広い用途に供されることがある。
【0003】かかる場合において、PAS樹脂と他の樹
脂やセラミックス,金属等の他の材料との接着剤、又は
あるPAS樹脂と性能の異なる他のPAS樹脂との接着
剤として、通常、エポキシ系樹脂やシリコン樹脂,ウレ
タン系樹脂が用いられているが、PAS樹脂自体接着性
が良くないため、十分な接着強度が得られないことがあ
る。この場合、接着強度を向上させるために、例えば、
接着剤を塗布する前に基材の表面に摩擦等の機械的手段
により微細な溝を作ったり、腐食させたりして表面積を
増大させる等の特別の処理を施したりしていた。また、
化学的プライマーを基材の表面に下塗りして基材の接着
剤への接着性を改良したり、接着性の良い熱可塑性樹
脂、例えばポリアクリル酸塩等の高吸水樹脂と混合する
事が行われていた。
【0004】しかしながら、これらの方法においては余
分な工程を要し、基材の種類によっては十分な効果が望
めない場合もあり、自動車エンジン周り等、恒常的な振
動、高温下で使用され、かつエポキシ樹脂等との接着性
が要求される用途に使用する事は困難であった。又、接
着性の良い熱可塑性樹脂を配合する場合は大概の場合、
PPSより耐熱性の低い樹脂を配合することになり、樹
脂組成物の耐熱性が低下し、更には機械的強度も著しく
低下するという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
に鑑みなされたものであり、PASの良好な諸特性(強
度等)を損なわずに、しかもエポキシ系樹脂等の接着剤
との接着性にも優れたポリーレンスルフィド樹脂組成物
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定の組成をもつポリアリーレンスルフィド
樹脂組成物により、上記目的が達成されることを見出し
た。本発明はかかる知見に基づいてなされたものであ
る。即ち、本発明は、(1)ポリアリーレンスルフィド
樹脂(A)とポリエチレンナフタレート系樹脂(B)の
総和に対して、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)5
0〜96重量%、ポリエチレンナフタレート系樹脂
(B)4〜50重量%、(A)と(B)の総和を100
重量部として、ポリカルボジイミド系樹脂若しくはポリ
カルボジイミド前駆体(C)0.1〜10重量部及び/又
は充填材(D)1〜800重量部からなるポリアリーレ
ンスルフィド樹脂組成物、(2)ポリエチレンナフタレ
ート系樹脂(B)が、(B)全体を100モル%として
エチレンナフタレート繰り返し単位を5モル%以上含む
ことを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフ
ィド樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリアリーレンス
ルフィド樹脂組成物を各成分ごとに具体的に説明する。 1.ポリアリーレンスルフィド樹脂(A) 本発明に用いられるポリアリーレンスルフィド(PA
S)(A)は、構造式−Ar−S−(ただしArはアリ
ーレン基)で示される繰り返し単位を70モル%以上含
有する重合体で、その代表的物質は、下記構造式(I)
【0008】
【化1】
【0009】(式中、R1は炭素数6以下のアルキル
基、アルコキシ基、フェニル基、カルボン酸/金属塩、
アミノ基、ニトロ基、フッ素,塩素,臭素等のハロゲン
原子から選ばれる置換基であり、mは0〜4の整数であ
る。また、nは平均重合度を示し3〜30の範囲であ
る)で示される繰り返し単位を70モル%以上有するポ
リフェニレンスルフィドである。
【0010】PASは一般にその製造法により実質上線
状で分岐、架橋構造を有しない分子構造のものと、分岐
や架橋構造を有する構造のものが知られているが本発明
においてはその何れのタイプのものについても有効であ
る。本発明に用いるのに好ましいPASとして、繰り返
し単位としてパラフェニレンスルフィド単位を70モル
%以上、さらに好ましくは80モル%以上含有するホモ
ポリマーまたはコポリマー(以下PPSと略称)が挙げ
られる。この繰り返し単位が70モル%未満だと結晶性
ポリマーとしての特徴である本来の結晶性が低くなり充
分な機械的物性が得られなくなる傾向があり好ましくな
い。共重合構成単位としては、例えばメタフェニレンス
ルフィド単位、オルソフェニレンスルフィド単位、p,
p’−ジフェニレンケトンスルフィド単位、p,p’−
ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,p’−ビフ
ェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンエー
テルスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンメチレン
スルフィド単位、p,p’−ジフェニレンクメニルスル
フィド単位、ナフチルスルフィド単位などが挙げられ
る。また、本発明のポリアリーレンスルフィドとして
は、前記の実質上線状ポリマーの他に、モノマーの一部
分として3個以上の官能基を有するモノマーを少量混合
使用して重合した分岐または架橋ポリアリーレンスルフ
ィドも用いることができ、また、これを前記の線状ポリ
マーにブレンドした配合ポリマーも用いることができ
る。さらに、(B)成分であるポリカルボジイミド系樹
脂のカルボジイミド基(−N=C=N−)と反応性を有
する官能基、例えば、アミノ基、アミド基、カルボキシ
ル基、水酸基、酸塩化物、イソシアネート基、(−SH
基)等をその骨格内にもつPASがより好ましく用いら
れる。このような官能基が存在する位置は、PASの末
端に限らず、どこでもよい。また、例えば、無水マレイ
ン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン
酸誘導体より変性されたPASなども用いることができ
る。
【0011】前記PAS樹脂は、例えばジハロ芳香族化
合物と、硫黄源とを有機極性溶媒中でそれ自体公知の方
法により重縮合反応させることにより得ることができ
る。前記PAS樹脂の好適例としては、例えば下記構造
式(II)で示されるポリフェニレンスルフィド(以下、
PPSと称することがある。)樹脂を挙げることができ
る。
【0012】
【化2】
【0013】2.ポリエチレンナフタレート系樹脂
(B)(以下、PEN系樹脂と呼ぶ) 本発明に用いられるPEN系樹脂は、下記一般式(II
I)で示されるエチレンナフタレート繰り返し単位、又
はポリエチレンナフタレート(以下、PEN と呼ぶ)を含
むポリエステルである。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、nは平均重合度を示し、1以上の
整数である。) 本発明で用いられるPEN系樹脂は特に制限がないが、
例えばPENのみ共重合体成分としてPEN又はエ
チレンナフタレート繰り返し単位の少なくとも一方を含
む樹脂が挙げられる。上記共重合体の種類は特に制限は
ないが、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフ
ト共重合体、交互共重合体、及びそれらの複合体、例え
ば主鎖のブロック共重合体に枝鎖としてランダム共重合
体が結合した物が挙げられる。
【0016】本発明で用いられる好ましいPEN系樹脂
として、「エチレンナフタレート繰り返し単位とエチレ
ンテレフタレート繰り返し単位を持つポリエステル系共
重合体が挙げられる。上記共重合体の組成比は必要に応
じて任意に変えることができるが、共重合体を100モ
ル%として、好ましくはエチレンナフタレート繰り返し
単位を5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、
最も好ましくは10〜85モル%含む物が良い。5モル
%未満では、PEN系樹脂の耐熱性が低くPPSと溶融
混練する際、著しく分解し、異臭等の原因となることも
ある。
【0017】尚、PEN系樹脂が共重合体の場合、共重
合成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)以
外にも、他のポリエステル、例えばポリブチレンテレフ
タレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレー
ト(PCT)等を選択しても良い。又、不飽和カルボン
酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化合物等
とPEN系樹脂を反応させて、PEN系樹脂の末端及び
/又は主鎖にエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、ア
ミド基、アミノ基等の官能基を導入させたPEN系樹
脂、及びそのようなPEN系樹脂を含む共重合体や組成
物でも良い。
【0018】本発明で用いるPEN系樹脂は前記の範囲
に該当する物なら特に制限はないが好ましくは固有粘度
が0.45デシリットル/g以上が好ましく、特に0.
55デシリットル/g以上が好ましい。固有粘度が0.
45デシリットル/g未満の場合、PEN系樹脂の配合
量が多くなると本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂
組成物の強度が著しく低下する恐れがある。
【0019】本発明で用いられるPEN系樹脂の製造方
法については特に制限はなく、公知のPENの製造方
法、又はPEN若しくはエチレンナフタレート繰り返し
単位の少なくとも一方を含むポリエステル系共重合体の
製造方法が使用できる。例えばナフタレンジカルボン酸
ジアルキル又はナフタレンジカルボン酸を必須とするジ
カルボン酸成分と、エチレングリコールを必須とするジ
オール成分とのエステル交換及び縮重合反応で作られ
る。
【0020】上述のジカルボン酸成分の例としてナフタ
レンジカルボン酸ジメチルエステルとテレフタル酸の混
合物が挙げられ、ジオール成分の例としてエチレングリ
コールが挙げられる。 3.ポリカルボジイミド系樹脂又はポリカルボジイミド
前駆体(C) 本発明において(C)成分としては、ポリカルボジイミ
ド系樹脂又はポリカルボジイミド前駆体、又はこれらの
混合物を用いることができる。
【0021】ポリカルボジイミド系樹脂とは、その分子
中に、カルボジイミド基(−N=C=N−)を有するも
のをいう。分子中に存在するカルボジイミド基の数は特
に問わないが、通常、ポリカルボジイミドの分子量10
0〜1000当たり、好ましくは200〜600当たり
1個のカルボジイミド基を有するものが用いられる。用
いられる形態としては、液体状のものでもよく、粉体状
でもよい。液体状の場合、その粘度は特に問わない。ま
た粉体状の場合、その粒径は特に問わないが、取り扱い
の容易さ,樹脂部分への混ざりやすさ等から、通常平均
粒径が5〜1500μm のものが選ばれる。
【0022】分子中に、カルボジイミド基(−N=C=
N−)を有しているものならば何でもよく、カルボジイ
ミド基以外に他の官能基を有していてもよい。例えば、
末端にイソシアネート基(−NCO)を有するものが好
ましく用いられるポリカルボジイミド系樹脂は、通常、
有機ポリイソシアネートからイソシアネートのカルボジ
イミドを促進する触媒の存在下に製造することができ
る。
【0023】ポリカルボジイミド系樹脂としては、具体
的には、2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−
トリレンジイソシアネート,4,4,4−トリフェニル
メチレントリイソシアネートなどが挙げられる。また、
ポリカルボジイミド前駆体とは、有機ポリイソシアネー
トからポリカルボジイミド系樹脂を製造する際に用いら
れる触媒と有機ポリイソシアネートとの混合物や、有機
ポリイソシアネートのイソシアネート基をフェノール,
アニリン等の一官能性活性水素化合物でブロックしたも
のと上記触媒との混合物をいう。
【0024】上記、有機ポリイソシアネートからイソシ
アネートのカルボジイミドを促進する触媒には、種々の
ものが挙げられるが、例えば、1−フェニル−3−メチ
ル−3−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−
メチル−3−ホスホレン−1−オキシド、1−フェニル
−3−ホスホレン−1−オキシド等が挙げられる。 4.充填材(D) 本発明で用いられる充填材は無機充填材、有機充填材の
いずれでも良く、形状も繊維状、非繊維状(粒状、針
状、フレーク状等)のいずれでも良い。目的に応じて適
宜選択できる。
【0025】無機充填材は、繊維状,粒状,粉状等、様
々なものが用いられる。例えば繊維状無機充填剤とし
て、ガラス繊維,炭素繊維,ウィスカー,アルミナ繊
維、ボロン繊維、ステンレス繊維等の金属繊維が挙げら
れる。通常平均繊維径0.1〜50μm 、繊維長が50μ
m 〜60mmの物が多用される。粒状又は粉状の無機充
填材としては、タルク,カーボンブラック,グラファイ
ト,二酸化チタン,シリカ,マイカ,炭酸カルシウム,
硫酸カルシウム,炭酸バリウム,炭酸マグネシウム,硫
酸マグネシウム,硫酸バリウム,オキシサルフェト,酸
化スズ,アルミナ,カオリン,炭化ケイ素,金属粉末,
ガラスパウダー,ガラスフレーク,ガラスビーズ等が挙
げられる。このような無機充填材の中でも特にガラス充
填材、例えばガラスパウダー,ガラスフレーク,ガラス
ビーズ,ガラスフィラメント,ガラスロビング,ガラス
マットが好ましい。
【0026】さらに、無機充填材としては、樹脂との接
着性を良好にするために、カップリング剤等で表面処理
を施したものを用いてもよい。カップリング剤として
は、シラン系カップリング剤,チタン系カップリング剤
の他、従来公知のカップリング剤の中から任意に選択し
て用いることができる。中でも、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシ
ラン、エポキシシラン、イソプロピルトリ(N−アミド
エチル,アミノエチル)チタネートが好ましい。
【0027】さらに、上記のカップリング剤とともにフ
ィルム形成性物質(フィルムフォーマー)を併用するこ
とができ、該フィルム形成性物質としては、従来公知の
ものを特に制限はなく用いられるが、中でもウレタン
系,エポキシ系,ポリエ−テル系等が好ましく用いられ
る。このような無機充填材は、1種類のみを用いてもよ
いが、必要により2種類以上を併用してもよい。
【0028】有機充填材の例としては、芳香族ポリエス
テル系繊維(アラミド繊維,液晶ポリエステル繊維)、
ポリアミド系繊維、フッ素樹脂系繊維、アクリル樹脂系
繊維が挙げられる。このような有機充填材は、1種類の
みを用いてもよいが、必要により2種類以上を併用、又
は無機充填材と併用しても良い。 7.各成分の配合割合 PAS樹脂(A)とPEN系樹脂(B)の総和に対し
て、PAS樹脂(A)の割合は50〜96重量%、好ま
しくは80〜96重量%、更に好ましくは85〜96重
量%とする。PAS樹脂(A)が50重量%よリ少ない
と、PAS樹脂系組成物としての耐熱性、機械的強度が
十分得られないおそれがあり、また96重量%より多い
場合は、PAS樹脂系組成物のエポキシ系接着剤等との
接着性が十分に発現しないおそれがある。
【0029】本発明においては、PAS樹脂(A)とP
EN系樹脂(B)に対して、更にポリカルボジイミド系
樹脂又はポリカルボジイミド前駆体(C)又は充填材
(D)の少なくともいずれかを配合することが必要であ
る。ポリカルボジイミド系樹脂又はポリカルボジイミド
前駆体(C)を配合する場合、その量は(A)と(B)
の総和を100重量部として0.1〜10重量部、好まし
くは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部で
ある。0.1重量部より少ない場合はPAS樹脂系組成物
の接着性改善に殆ど寄与せず、10重量部より多い場合
は、組成物及びその成形品表面に滲み出し、かえって接
着性を阻害するおそれがあり、又組成物の粘度が上昇し
て成形が困難になるおそれがある。
【0030】充填材(D)を配合する場合、その量は
(A)と(B)の総和を100重量部として、1〜80
0重量部、好ましくは10〜200重量部、更に好まし
くは30〜100重量部である。1重量部より少ない場
合は、接着性向上や力学的物性向上の効果が殆ど期待で
きず、800重量部より多いと、組成物の粘度が上昇し
て成形が困難になり、また得られた組成物も充填材の分
散が不良になりやすいため、外観も悪くなる傾向が強
い。 8.その他の成分 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、前
記各成分の他に、必要に応じてこの発明の目的を阻害し
ない範囲で、各種添加剤、PPS,PEN系樹脂以外の
熱可塑性樹脂等を配合することができる。
【0031】上記以外のその他の成分としては、例え
ば、酸化防止剤,熱安定剤,滑剤,着色剤,可塑剤,導
電性付与剤等の各種の添加剤、ポリアミド,エポキシ樹
脂,シリコーン樹脂,シリコーンオイル,種々の官能基
を導入したシリコーンオイルポリオレフィン,ポリエー
テルサルフォン,ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性
樹脂および/または熱硬化性樹脂、水素添加SBS,水
素添加NBR,シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム
類、顔料等を挙げることができる。
【0032】その他の成分の含有量は、この発明の目的
を害しない範囲において適宜選択することができる。 9.ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の調製 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記
PAS樹脂(A)、PEN系樹脂(B)、ポリカルボジ
イミド系樹脂又はポリカルボジイミド前駆体(C)及び
/又は無機充填剤(D)と、必要に応じて選択された酸
化防止剤等のその他の成分を配合し、それらを、例えば
溶融混練することによって調製することができる。
【0033】前記溶融混練は、通常の公知の方法によっ
て行なうことができるが、いずれにしても、その際、前
記各成分を樹脂中に均一に混合・分散させることによ
り、所定の樹脂組成物とする。前記溶融混練には、通常
二軸押出機、単軸押出機等を好適に用いることができ
る。
【0034】前記溶融混練の条件としては、特に制限は
ないが、必要に応じて添加されるその他の成分の分解あ
るいは発泡を制限するために、極端な高温度や極端に長
い滞留時間を避けるのが好ましい。具体的な温度として
は、通常280〜350℃であり、285〜330℃が
好ましい。このようにして、調製されたポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物は、通常、ペレット等の二次加工
用材料、特に射出成形用材料として好適な形状・サイズ
に造粒または切断されて適宜各用途に供される。
【0035】
【実施例】以下、本発明のポリアリーレンスルフィド樹
脂組成物を実施例によってさらに具体的に説明する。 [実施例1〜3,比較例1〜3] <サンプルの調製>二軸押出機(東芝機械製 TEM3
5)を用い、第1表に示す配合割合で、以下に示すポリ
フェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)と他の成分と
をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、シリ
ンダ温度を310〜350℃に設定して溶融混練し、ペ
レットを製造した。 <(A)成分(PPS)の調製> PPS−1(リニア型) 攪拌機を備えた重合槽に含水硫化ナトリウム(Na2
・5H2O)833モル,塩化リチウム(LiCl)8
30モルとNMP500リットルを加え、減圧下で14
5℃に保ちながら1時間脱水処理をした。ついで反応系
を45℃に冷却後ジクロルベンゼン(DCB)905モ
ルを加え、260℃で3時間重合した。内容物を熱水で
5回、170℃のN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)で1回、水で3回洗い185℃で乾燥してPPS−
1を得た。 <PPS樹脂に配合した他の成分> (B)成分 ポリエステル系共重合体(PENとPETの共重合体。
エチレンナフタレート繰り返し単位14モル%−エチレ
ンテレフタレート繰り返し単位86モル%) 固有粘度0.55デシリットル/g (C)成分 カルボジイミド系ポリマー:日清紡社製 商品名カルボ
ジライト HMV-8CA(カルボジイミド当量=278,平
均粒径=1000μm以下の粉末状) (D)成分 充填材:グラスファイバー(旭ファイバーグラス社製,
商品名JAFT591 ) <物性評価方法> ・SFL: 樹脂温度320℃,金型温度135℃にお
いて、厚み1.0 mm の金型を用いて、射出圧力 100
0kg/cm2 で射出成形した際のスパイラル流動長さ
(mm)を示す。
【0036】・接着性 実施例又は比較例に示す組成物を射出成形してなる試験
片(幅2.5cm, 長さ10cm) 2片を、接着面積が2.5c
2 になるように、エポキシ系樹脂製接着剤を用いて貼
り合わせ、その各々の両端を引張って、破壊を生じさせ
た強度(MPa):上記、破壊が生じる時の応力より求
めた。
【0037】破壊形態: 破壊が生じた部分を目視する
ことにより得た。 ・引張強度,引張弾性率,引張伸び: いずれもAST
M−D638に準拠。 ・曲げ強度,曲げ弾性率: いずれもASTM−D79
0に準拠。 ・アイゾット(ノッチなし,ノッチあり共): AST
M−D256に準拠。 <評価結果>評価結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】以下、本発明の優れている点を表1のデー
タを用いて説明する。 実施例5と比較例1の比較結果 表1の接着性を示す強度試験(以下、単に接着強度試
験)では、両方とも界面剥離しているため、それらの値
を比較する事で、接着剤と樹脂組成物の接着性を比較で
きる。比較例1の組成物にPENを少量配合した実施例
5は、接着強度が比較例1に対して約23%も向上して
いる。 実施例1,2,6と比較例1の比較結果 実施例1,2,6の接着強度は、材料破壊していること
から試験片の強度以上に大きいことが判る。比較例1の
組成物にPEN及び/又は少量のポリカルジイミドを配
合した実施例1,2,6は、比較例1に対して接着強度
が各々30,126,47%以上向上している。 比較例2と実施例3の比較結果 比較例2と実施例3の接着強度は両方とも材料破壊して
いる為、正確な比較ができない。しかし比較例2の組成
物にポリカルボジイミドを少量配合した実施例3の試験
片は、比較例2に対して強度が約30%も向上している
ことが判る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によりPA
Sの諸特性(強度等)を損なわずに、エポキシ系接着剤
等との接着性にも優れたポリアリーレンスルフィド樹脂
組成物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 79:00)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と
    ポリエチレンナフタレート系樹脂(B)の総和に対し
    て、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)50〜96重
    量%、ポリエチレンナフタレート系樹脂(B)4〜50
    重量%、(A)と(B)の総和を100重量部として、
    ポリカルボジイミド系樹脂若しくはポリカルボジイミド
    前駆体(C)0.1〜10重量部及び/又は充填材(D)
    1〜800重量部からなるポリアリーレンスルフィド樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンナフタレート系樹脂(B)
    が、(B)全体を100モル%として、エチレンナフタ
    レート繰り返し単位を5モル%以上含むことを特徴とす
    る請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成
    物。
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