JPH11213143A - 画像処理装置および画像処理時間予測方法 - Google Patents

画像処理装置および画像処理時間予測方法

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JPH11213143A
JPH11213143A JP1096298A JP1096298A JPH11213143A JP H11213143 A JPH11213143 A JP H11213143A JP 1096298 A JP1096298 A JP 1096298A JP 1096298 A JP1096298 A JP 1096298A JP H11213143 A JPH11213143 A JP H11213143A
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processing time
image processing
image
cpu
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JP1096298A
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Norio Yamamoto
紀夫 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数CPUを有する画像処理システムにおい
て、画像処理時間を予測して、最適な処理効率による画
像処理を可能とする。 【解決手段】 画像処理後の出力画像の画素数xと、画
像処理システムのCPU数nを入力として、単一CPU
処理時間TS(x)と、マルチCPUシステム上での処
理のために発生するオーバーヘッド時間TO(x)、お
よび画像処理全体における並列化可能割合αを構成要素
とする処理時間予測演算式によって演算を実行すること
で、マルチCPUシステムにおける画像処理時間TM
(x,n)を得る。マルチCPUにおけるCPU配分を
この予測に基づいて行うことで処理の効率化を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のCPUを備
えたマルチCPUシステム上で画像処理を実行する画像
処理装置および画像処理時間予測方法に関する。特に、
マルチCPUシステム上で図形、文字、画像を含むデー
タの画像処理時間を予測する方法と、例えばPDLデコ
ンポーザのような画像処理モジュールをシステムの一部
として有し、処理時間の予測に基づいて画像処理を実行
する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大量のデータを扱う画像処理の高速化の
ために、従来からソフトウェア、ハードウェア両面から
の高速化手法が検討されてきた。その中でも、複数のC
PUを備えたマルチCPUシステムを用いる画像処理方
法は、処理の高速化の点で大きな効果が見込まれてい
る。
【0003】マルチCPUシステム上での画像処理は、
処理対象である大量の画像データを適切に分割し、分割
された画像データそれぞれにCPUを割当て、割当られ
たCPUによって各分割画像データの処理を実行すると
いったものである。画像処理の中でも画像全面に対して
ほぼ均等な処理を施すものに関しては、均等に画像デー
タを分割し、CPUを割当てても、ほぼ期待どおりの速
度向上が得られるが、ラベリングなどのような、処理が
画像全面に均等でないようなものに関しては、処理の負
荷等を考慮して適切な画像データの分割、CPUの割当
てを行う必要がある。
【0004】このような目的に沿った画像分割および画
像処理を開示した従来技術として特開平8−44678
号公報(発明の名称:画像処理装置及びシステム,出願
人:キャノン株式会社)がある。これは、処理内容に応
じて適切に画像を分割して割当てを実行するだけでな
く、画像処理と並行して別の処理が実行されている場合
でも、動的にCPUの負荷状況を調べ、各処理に対する
CPUの割り当てを決定するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような方法では、様々な状況に対応できるという汎用性
が得られるかわりに、特定のシステム、例えばPDLデ
コンポーザを有するシステムでは、最適な効率が得られ
ないという問題がある。
【0006】PDLデコンポーザでは一般に、解釈実行
すべきPDLデータの文字、図形、画像をそれぞれ処理
するモジュールがある。マルチCPUシステム(例えば
8CPU)上でこの3モジュールを実行する場合、単に
8CPUをそれぞれの、モジュールに割当て、連続的に
実行すると、図1のようにそれぞれのモジュールでかか
る処理時間の和(この場合32秒)が全体の処理時間と
なる。ところが、一般にマルチCPUシステムではCP
U数の増加に対して速度向上率は線形に向上しては行か
ず、オーバーヘッドなどのために速度向上率は徐々に小
さくなっていく。したがって、この場合のようにそれぞ
れのモジュールに最大数のCPUを割当てて処理を行う
よりも、8CPUの一部をそれぞれのモジュールに割当
てて、並列に処理したほうが全体としての処理時間は小
さくなることが期待される。図2は画像処理モジュール
に4CPU、残りの2つのモジュールにそれぞれ2CP
Uを割当て、3つのモジュールを並列に実行した場合を
示しており、全体としての処理時間は22秒となってい
る。画像処理モジュールにおいてCPU数が半分になっ
ても、処理時間が倍にならないのは、すでに述べたよう
にCPU数の増加に対して速度向上率が線形に増加しな
いためである。
【0007】従来技術で述べた制御方法でも、3つのモ
ジュールは並列に実行されることになる。ただし、各モ
ジュールにおける処理量にかたよりがある場合は、最適
なCPU数が割当てられないことがある。これは、モジ
ュールにおける処理が必要になった時点で、その時点の
CPU負荷状況などからCPUを割当てるために発生す
るものである。
【0008】以上述べてきたように、従来技術における
画像処理の制御は、汎用的な構成を目的とするため、あ
らかじめ全体の処理時間や、画像処理モジュールの処理
時間、それ以外の並列に動作するモジュールの処理時間
などがわからない場合に関して最適な処理効率を得よう
とするものであって、例えば、PDLデコンポーザのよ
うなあらかじめ処理時間が予測できるようなシステムで
は、必ずしも最適な処理効率が得られない場合がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述のようなPDLデコ
ンポーザのようなシステムにおいて最適な制御を行うた
めには、各処理モジュールに適切なCPU数を割当てる
必要がある。そのためには、あらかじめ、どれくらいの
CPU数を割当てた時にどれくらいの処理時間が必要と
なるかについて把握することが必要となる。
【0010】これら従来技術の各問題点を解決するため
に、本発明は、複数のCPUを備えたマルチCPUシス
テムによって構成される画像処理システムにおける画像
処理の処理時間を予測する画像処理時間予測方法であ
り、画像処理後の出力画像の画素数xと、画像処理シス
テムのCPU数nを入力し、シングルCPUにおける処
理時間TSと、マルチCPUシステム上での処理のため
に発生するオーバーヘッド時間TO、および画像処理全
体における並列化可能割合αを構成要素とする処理時間
予測演算式に画像処理後の出力画像の画素数xと、画像
処理システムのCPU数nを入力し、処理時間予測演算
式の実行によりマルチCPUシステムにおける画像処理
時間TM(x,n)を出力することを特徴とする。
【0011】さらに、本発明の画像処理時間予測方法に
おいて、処理時間予測演算式中のシングルCPUにおけ
る処理時間TS、マルチCPUシステム上での処理のた
めに発生するオーバーヘッド時間TO、および画像処理
全体における並列化可能割合αの各々は、画素数xの関
数として算出され、シングルCPUにおける処理時間T
S(x)、マルチCPUシステム上での処理のために発
生するオーバーヘッド時間TO(x)、画像処理全体に
おける並列化可能割合α(x)とすると、処理時間予測
演算式は、TM(x,n)=TO(x)+TS(x)×
(1−α(x))+(TS(x)×α(x))/nであ
ることを特徴とする。
【0012】さらに、本発明の画像処理時間予測方法に
おいて、処理時間予測演算式中のシングルCPUにおけ
る処理時間TS、マルチCPUシステム上での処理のた
めに発生するオーバーヘッド時間TOは、画素数xの関
数として算出され、シングルCPUにおける処理時間T
S(x)、マルチCPUシステム上での処理のために発
生するオーバーヘッド時間TO(x)であり、画像処理
全体における並列化可能割合αを定数として、処理時間
予測演算式は、TM(x,n)=TO(x)/n+TS
(x)×(1−α)+(TS(x)×α)/nであるこ
とを特徴とする。
【0013】さらに、本発明の画像処理時間予測方法に
おいて、処理時間予測演算式中に定数として示される並
列化可能割合αは、画素数xと、画像処理システムのC
PU数nの関数として求められるα(x,n)の算出
式、α(x,n)=(TO(x)/n+TS(x)+T
M(x,n))×n/((n−1)×TS(x))にお
いて、1以上の画素数xと、CPU数nの設定値の組
(x,n)によって算出される複数の値α(x,n)の
平均値として求めた値であることを特徴とする。
【0014】さらに、本発明の画像処理装置は、複数の
CPUを備えたマルチCPUシステムを有する画像処理
装置であり、入力画像データに関する画像処理を複数の
CPUに配分する制御部と、画像処理の処理時間を予測
する処理時間予測部とを有する画像処理装置において、
処理時間予測部は、画像処理後の出力画像の画素数x
と、画像処理システムのCPU数nを入力とし、シング
ルCPUにおける処理時間TSと、マルチCPUシステ
ム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間T
O、および画像処理全体における並列化可能割合αを構
成要素とする処理時間予測演算式において演算を実行し
て画像処理時間TM(x,n)の予測を行う構成を有
し、制御部は、前記処理時間予測部からの予測画像処理
時間TM(x,n)に基づいて入力画像データに関する
画像処理を複数のCPUに配分する構成を有することを
特徴とする。
【0015】さらに、本発明の画像処理装置は、上述の
マルチCPUシステムにおける画像処理時間予測方法を
上述の画像処理装置中の処理時間予測部において実行す
るように構成したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の画像処理装置における画
像処理時間予測構成を図3に示す。マルチCPUシステ
ム1は画像処理装置を構成するマルチCPUシステムで
あり、図3で示すのは、マルチCPUシステム1におけ
る画像処理時間予測構成である。画像処理時間予測構成
の中心となるのは、予め設定された予測式2である。予
測式2は画像処理の処理時間を計算により求めるための
予測式であり、出力画像の画素数およびCPU数を入力
として予測式2を実行することによって予測処理時間を
出力する。
【0017】予測式2は、処理内容ごと(たとえば、縦
方向の拡縮、横方向の拡縮、アフィン変換、色変換、回
転処理、フィルタ処理...)に用意され、全体の予測
処理時間は各予測処理時間の和となる。図3中は予測式
ブロックが2つのみ示されているが、これらは各処理内
容ごとにそれぞれ独自の予測式が設定されていることを
示し、さらに図示しない予測式2のブロックがあるもの
とする。個々の予測式については後段で詳細に説明す
る。個々の予測式の適用による予測処理時間の出力に際
して必要となるデータとして、シングルCPU処理時間
3、オーバーヘッド処理時間4、並列化可能割合5があ
る。シングルCPU処理時間3は、予め入力されたシン
グルCPUシステム上での処理時間である。オーバーヘ
ッド処理時間4はマルチCPUシステム上での処理のた
めに発生するオーバーヘッド処理時間、並列化可能割合
5は画像処理全体における並列化可能割合を示す。
【0018】これら予測式2の実行に必要なシングルC
PU処理時間3、オーバーヘッド処理時間4、並列化可
能割合5はあらかじめ実験等により求めた値を設定して
入力しておく。このように予め入力された各値によって
構成された予測式に対して、処理後の画像の画素数とC
PU数が入力として与えられ、個々の処理内容に応じた
予測式2が適用されて、個々の処理内容ごとの予測処理
時間が求められる。それぞれの予測式ブロックで求めら
れた予測処理時間の総和が画像処理に要する予測処理時
間となる。
【0019】以下、予測式2に含まれるシングルCPU
処理時間3、オーバーヘッド処理時間4、並列化可能割
合5の各々の値の意味およびその算出方法について詳細
に説明する。
【0020】まず、シングルCPUシステム上での処理
時間について説明する。一般に画像処理では、抜けを生
じさせないために出力側から入力側を参照して処理画像
を生成することが多い。例えば、図4のように、高さ6
画素の画像を縦方向に縮小し、高さ2画素の画像を生成
する場合、出力側の高さに相当する2行から入力側を参
照する。図4では縦方向の縮小の例であるが、横方向の
縮小なら、出力側の幅に相当する列数を参照する。した
がって、シングルCPUシステム上での処理時間は、出
力画像の画素数に比例すると考えられ、以下のような式
(1)で表すことができる。
【0021】
【数1】TS(x)=A×x+B.....(1)
【0022】上記式(1)で、xは出力画像の画素数、
TS(x)はシングルCPUシステムでの処理時間、
A、Bは画像処理の内容(たとえば、縦方向の拡縮、横
方向の拡縮、アフィン変換、色変換、回転処理、フィル
タ処理...)ごとに決まる定数である。上記式(1)
は、処理内容に応じた所定の比例係数Aに出力画像の画
素数xを乗し、処理内容に応じた所定の定数を加算した
ものである。これら定数A,Bは、それぞれの処理内容
に応じて、実験による実測によって算出することが可能
であり、あるいは理論的に算出可能であれば、理論的に
求めてもよい。
【0023】上記式(1)のシングルCPUの処理時間
について、縦方向の拡大・縮小(二次補間)処理につい
て実際に計測を行った例を示す。200dpi、300
dpi、400dpi、600dpiにおけるA4相当
サイズの画像4種類について、0.5倍、0.8倍、
1.5倍の3種類の拡大・縮小処理について処理時間を
計測した。この時の出力画像の画素数と処理時間の関係
をプロットしたのが図5である。これを回帰分析するこ
とにより上記の式におけるAとBを求めることができ
る。ここで示した処理対象画像サイズ、処理内容(拡縮
倍率)はもちろん、固定なわけではなく、上記の式のA
とBを求めるのに十分なデータを取得するための計測を
行えばよい。
【0024】拡大縮小処理以外の各種処理、アフィン変
換、色変換等についても、上述と同様の実測データの採
取により、各処理における上記式(1)中の定数Aおよ
びBが求められる。
【0025】このようにして得られた式:TS(x)=
A×x+Bによって、シングルCPUシステム上での処
理時間TS(x)は、出力画像の画素数xから計算によ
り求めることが可能となる。
【0026】次にマルチCPUシステム上での処理時間
について説明する。マルチCPUシステム上での処理時
間は、処理に割当てられるCPU数が関係するため、上
述したシングルCPUシステム上での処理時間算出のよ
うに単純に出力画像の画素数から計算により求めること
はできない。しかしながら、一般的な処理時間特性とし
て図6のような関係がある。図6は、横軸にCPU数、
縦軸に処理時間を設定したCPU数と処理時間の相関を
示したものである。
【0027】図6において、CPU数0はシングルCP
Uシステム上での処理実行を示し、CPU数1はマルチ
CPUシステム上での処理用に構成されたプログラムを
CPU数1の条件下で実行する場合を示している。処理
時間特性を見ると、マルチCPUシステム上での処理用
に構成されたプログラムをCPU数1の条件下で実行す
る場合は、シングルCPUシステム上で実行する場合よ
りも処理時間がかかっている。この処理時間の増加は、
マルチCPUシステム上での処理のために発生するオー
バーヘッドの処理に時間がかかっているためである。さ
らにCPU数が2以上に増加すると、並列化効果により
処理時間が短くなっていくが、CPU数が増加するほ
ど、並列化効果による高速化の程度は小さくなってい
く。これは、並列化効果によって短くなる処理時間に対
して、オーバーヘッドの処理時間が相対的におおきくな
ってしまうためである。どの程度のCPU数まで並列化
効果が得られるかは、処理の負荷の大きさによることと
なる。
【0028】図6に示すようなCPU数と処理時間の相
関特性から、マルチCPUシステム上での処理時間TM
(x,n)は以下の予測式(2)によって求めることが
できる。
【0029】
【数2】 TM(x,n)=TO(x)+TS(x)×(1−α(x)) +(TS(x)×α(x))/n .....(2)
【0030】ここで、TM(x,n)は求めるべきマル
チCPUシステム上での処理時間、xは出力画像の画素
数、nは処理に割当てられるCPU数、TO(x)はオ
ーバーヘッド処理時間を示す。このオーバーヘッド処理
時間TO(x)は、図6における、CPU数0から1の
間の処理時間増加分にあたる。TS(x)はシングルC
PUシステム上での処理時間、α(x)は対象とする処
理(例えば縦方向の拡縮)における並列可能部分の割合
である。なお、α(x)の値の範囲は、0<α(x)<
1である。
【0031】この予測式(2)において、シングルCP
Uシステム上での処理時間TS(x)はすでに述べたよ
うに、出力画像の画素数xから計算により求めるための
計算式(1)を適用することによってあらかじめ得られ
る。
【0032】また、オーバーヘッド処理時間TO(x)
はシングルCPUシステム上で処理を実行した場合と、
マルチCPUシステム上での処理用に構成されたプログ
ラムをCPU数1の条件下で実行した場合の処理時間の
差であるが、経験的にこれも画素数に比例する値をとる
ことが分かっている。よって、オーバーヘッド処理時間
TO(x)もシングルCPU処理時間TS(x)と同様
にいくつかの画像サイズ、処理内容についてオーバーヘ
ッド処理時間の計測を行うことによって、画素数xとオ
ーバーヘッド処理時間TO(x)の関係式が以下の式
(3)の構成で選られる。
【0033】
【数3】TO(x)=C×x+D.....(3)
【0034】上記式(3)で、xは出力画像の画素数、
TO(x)はオーバーヘッド処理時間、C、Dは画像処
理の内容(たとえば、縦方向の拡縮、横方向の拡縮、ア
フィン変換、色変換、回転処理、フィルタ処理...)
ごとに決まる定数である。
【0035】上記式(3)のオーバーヘッド処理時間算
出式TO(x)=C×x+Dについて、実際に計測を行
った例を図7に示す。図7は、200dpi、300d
pi、400dpi、600dpiにおけるA4相当サ
イズの画像4種類について、0.5倍、0.8倍、1.
5倍の3種類の拡大・縮小処理について処理時間を計測
した。この時の出力画像の画素数と処理時間の関係をプ
ロットしたのが図7である。これを回帰分析することに
より上記の式におけるCとDを求めることができる。こ
こで示した処理対象画像サイズ、処理内容(拡縮倍率)
はもちろん、固定なわけではなく、上記の式のCとDを
求めるのに十分なデータを取得するための計測を行えば
よい。
【0036】拡大縮小処理以外の各種処理、アフィン変
換、色変換等についても、上述と同様の実測データの採
取により、各処理における上記式(3)中の定数Cおよ
びDが求められる。
【0037】式(2)中の残りの要素である並列可能部
分割合α(x)は、マルチCPUシステム上での処理時
間TM(x)を計測し、式(3)に示す計算により求ま
るオーバーヘッド処理時間TO(x)、および式(1)
に示す計算により求まるシングルCPU処理時間TS
(x)から上記(3)式を満足する適切な解を構成する
式または値を求め、これを並列可能部分割合α(x)と
する。このようにして求められた予測式(3)により、
出力画像の画素数xと割当てられるCPU数nからマル
チCPUシステム上での処理時間MT(x,n)が求め
られる。
【0038】並列可能部分割合α(x)については、オ
ーバーヘッド処理時間TO(x)やシングルCPU処理
時間TS(x)のように単純に出力画像の画素数に比例
するのではないが、画素数xの増加に伴い、処理自体の
負荷量が増加するので、並列化可能部分の割合αも増加
していくと予想される。実際にα(x)を求めることは
かなり困難であるので、並列可能部分割合α(x)を画
素数xに依存しない定数αとして代替することによって
予測処理時間を算出する方法が考えられる。
【0039】以下では、上記式(2)中の並列可能部分
割合α(x)を定数αと置いた場合の近似予測式を適用
する場合について説明する。上記した、式(2)に代替
するマルチCPUシステム上での処理時間TM(x,
n)の近似予測式として以下の式(4)を用いる。
【0040】
【数4】 TM(x,n)=TO(x)/n+TS(x)×(1−α) +(TS(x)×α)/n .....(4)
【0041】上記式(4)では、式(2)における並列
可能部分割合α(x)を定数αと置いた以外に、オーバ
ーヘッド処理時間TO(x)をCPU数nで割っている
点が異なる。この式(4)から、並列可能部分割合αは
次の式(5)によって求められる。
【0042】
【数5】 α(x,n)=(TO(x)/n+TS(x)+TM(x,n)) ×n/((n−1)×TS(x)) .....(5)
【0043】並列化可能割合αは、画素数xと、画像処
理システムのCPU数nの関数として求められるα
(x,n)の算出式を使用し、1以上の画素数xと、C
PU数nの設定値の組(x,n)を入力することによっ
て算出される複数の値α(x,n)の平均値として求め
ることができる。
【0044】縦方向の拡大・縮小(二次補間)処理につ
いて実際にマルチCPUシステム上での処理時間TM
(x,n)を計測し、この式(5)を用いて、並列可能
部分割合αを計算した結果を図8に示す。計測した処理
内容は、2〜8のCPU数において、入力画像3種(1
024×1024(1k×1k)、2048×2048
(2k×2k)、4096×4096(4k×4
k))、処理2種(0.8倍縮小、1.5倍拡大)であ
る。各種の測定誤差等のために、それぞれの条件におい
て並列可能部分割合αは異なる値をとっているが、ここ
では、これらの平均値を定数αとして求めることによ
り、α=0.98688となる。
【0045】この並列可能部分割合定数αを上述の予測
式(4)に入れて、600dpi/A4相当の画像(4
960×7015)を縦方向に1.5倍に拡大した場合
の予測値と、実際に当該CPU数での処理時間を計測し
た結果を図9に示す。
【0046】図9は、横軸にCPU数n縦軸に処理時間
をとったものであり、○印のプロットが実測値を示し、
×印のプロットが上述の式(4)によって算出された値
をプロットしたグラフである。図9から上述の予測式
(4)によって求めたマルチCPUシステム上での処理
時間TM(x,n)は、実測値にほぼ一致した値をと
り、式(4)によって、マルチCPUシステム上での処
理時間TM(x,n)の予測が正しく行われていること
が理解される。
【0047】これらの予測方式を用いてプロセッサに画
像処理を分配するPDLデコンポーザによって構成され
る画像処理装置の構成例を図10に示す。図10に示す
PDLデコンポーザは、CPUリソース1001、処理
時間予測部1002、PDL解釈部1003、制御部1
004、図形処理部1005、文字処理部1006、画
像処理部1007、およびラスタデータ生成部1008
を有する。
【0048】処理すべきPDL文書データはPDL解釈
部1003により内部で処理するための形式に変換さ
れ、これを受け取った制御部1004は、この解釈結果
を元に処理時間予測部1002で各モジュールの負荷を
予測する。各モジュールでの処理時間ができるだけ均等
になるようにシステムのCPUリソース1001を配分
する。この配分は、例えば図2に示すように、各処理の
処理終了時間ができるだけ均等になるように、すなわち
処理時間の負荷バランスをより均等になるように実行す
る。各モジュール、図形処理部1005、文字処理部1
006、画像処理部1007は割当てられたCPU数で
PDL解釈部1003で解釈済のデータを処理し、結果
を制御部1004に返す。制御部1004が受け取った
各モジュールの処理結果からラスタデータ生成部100
8が最終的な結果であるラスタデータを生成する。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の画像処理
装置および画像処理時間予測方法によれば、複数CPU
を備えたマルチCPUシステム上での画像処理時間が実
際の処理時間にほぼ一致するように予測可能であり、処
理時間が予測できる他のモジュールとともに並行して画
像処理を実行する場合に画像処理システム中のリソース
である複数のCPUについて適切なCPU数の割当てが
可能となり、全体として高速な処理が可能となる。
【0050】さらに、本発明の画像処理装置および画像
処理時間予測方法によれば、システムのCPU数nと、
出力画像の画素数xを与えるのみで処理時間の予測が可
能となり、画像処理時間の予測において複雑なステップ
を必要としない処理時間予測構成が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 画像処理装置における全CPUを各モジュー
ルに割当て連続的に実行した場合の処理時間経過を示す
図である。
【図2】 画像処理装置における一部のCPUをそれぞ
れのモジュールに割当て並列に実行した場合の処理時間
経過を示す図である。
【図3】 本発明の画像処理装置における時間予測手段
の構成を示す図である。
【図4】 画像処理における処理画素の参照のしかたに
ついて説明する図である。
【図5】 シングルCPUシステム上での出力画像の画
素数と画像処理時間との関係をグラフで示した図であ
る。
【図6】 マルチCPUシステム上でのCPU数と画像
処理時間との相関を示す図である。
【図7】 オーバーヘッド処理時間と出力画素数との相
関をグラフで示した図である。
【図8】 CPU数と入力画像のサイズおよび拡大縮小
処理とを各種設定した場合の並列化可能割合算出例を示
した図である。
【図9】 CPU数と処理時間との関係における処理時
間予測値と処理時間実測値とをグラフ化して示した図で
ある。
【図10】 本発明の処理時間予測方法を適用したPD
Lデコンポーザによる画像処理装置構成例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 マルチCPUシステム処理時間予測構成ブロック 2 処理時間を求める予測式算出ブロック 3 シングルCPU処理時間 4 オーバーヘッド処理時間 5 並列化可能割合 1001 CPUリソース 1002 処理時間予測部 1003 PDL解釈部 1004 制御部 1005 図形処理部 1006 文字処理部 1007 画像処理部 1008 ラスタデータ生成部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のCPUを備えたマルチCPUシス
    テムによって構成される画像処理システムにおける画像
    処理の処理時間を予測する画像処理時間予測方法であ
    り、 画像処理後の出力画像の画素数xと、前記画像処理シス
    テムのCPU数nを入力とし、 シングルCPUにおける処理時間TSと、マルチCPU
    システム上での処理のために発生するオーバーヘッド時
    間TO、および画像処理全体における並列化可能割合α
    を構成要素とする処理時間予測演算式に前記画像処理後
    の出力画像の画素数xと、前記画像処理システムのCP
    U数nを入力し、 前記処理時間予測演算式の実行によりマルチCPUシス
    テムにおける画像処理時間TM(x,n)を出力するこ
    とを特徴とするマルチCPUシステムにおける画像処理
    時間予測方法。
  2. 【請求項2】 前記処理時間予測演算式において、シン
    グルCPUにおける処理時間TS、マルチCPUシステ
    ム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間T
    O、および画像処理全体における並列化可能割合αの各
    々は、前記画素数xの関数として算出され、シングルC
    PUにおける処理時間TS(x)、マルチCPUシステ
    ム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間TO
    (x)、画像処理全体における並列化可能割合α(x)
    とすると、 前記処理時間予測演算式は、 TM(x,n)=TO(x)+TS(x)×(1−α
    (x))+(TS(x)×α(x))/n として示されることを特徴とする請求項1記載のマルチ
    CPUシステムにおける画像処理時間予測方法。
  3. 【請求項3】 前記処理時間予測演算式において、シン
    グルCPUにおける処理時間TS、マルチCPUシステ
    ム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間TO
    は、前記画素数xの関数として算出される値であり、シ
    ングルCPUにおける処理時間TS(x)、マルチCP
    Uシステム上での処理のために発生するオーバーヘッド
    時間TO(x)、および画像処理全体における並列化可
    能割合αを構成要素とする前記処理時間予測演算式は、 TM(x,n)=TO(x)/n+TS(x)×(1−
    α)+(TS(x)×α)/n として示されることを特徴とする請求項1記載のマルチ
    CPUシステムにおける画像処理時間予測方法。
  4. 【請求項4】前記処理時間予測演算式において定数とし
    て示される並列化可能割合αは、画素数xと、前記画像
    処理システムのCPU数nの関数として求められるα
    (x,n)の算出式、 α(x,n)=(TO(x)/n+TS(x)+TM
    (x,n))×n/((n−1)×TS(x)) なる式において、1以上の画素数xと、CPU数nの設
    定値の組(x,n)によって算出される複数の値α
    (x,n)の平均値として求めた値であることを特徴と
    する請求項3記載のマルチCPUシステムにおける画像
    処理時間予測方法。
  5. 【請求項5】複数のCPUを備えたマルチCPUシステ
    ムを有する画像処理装置であり、入力画像データに関す
    る画像処理を前記複数のCPUに配分する制御部と、前
    記画像処理の処理時間を予測する処理時間予測部とを有
    する画像処理装置において、 前記処理時間予測部は、画像処理後の出力画像の画素数
    xと前記画像処理システムのCPU数nを入力とし、シ
    ングルCPUにおける処理時間TSと、マルチCPUシ
    ステム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間
    TO、および画像処理全体における並列化可能割合αを
    構成要素とする処理時間予測演算式において演算を実行
    して画像処理時間TM(x,n)の予測を行う構成を有
    し、 前記制御部は、前記処理時間予測部からの予測画像処理
    時間TM(x,n)に基づいて、前記入力画像データに
    関する画像処理を前記複数のCPUに配分する構成を有
    することを特徴とする画像処理装置。
  6. 【請求項6】 前記処理時間予測演算式において、シン
    グルCPUにおける処理時間TS、マルチCPUシステ
    ム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間T
    O、および画像処理全体における並列化可能割合αの各
    々は、前記画素数xの関数として算出され、シングルC
    PUにおける処理時間TS(x)、マルチCPUシステ
    ム上での処理のために発生するオーバーヘッド時間TO
    (x)、画像処理全体における並列化可能割合α(x)
    とすると、 前記処理時間予測演算式は、 TM(x,n)=TO(x)+TS(x)×(1−α
    (x))+(TS(x)×α(x))/n として示されることを特徴とする請求項5記載の画像処
    装置。
  7. 【請求項7】 前記演算式において、シングルCPUに
    おける処理時間TS、マルチCPUシステム上での処理
    のために発生するオーバーヘッド時間TOは、前記画素
    数xの関数として算出され、シングルCPUにおける処
    理時間TS(x)、マルチCPUシステム上での処理の
    ために発生するオーバーヘッド時間TO(x)、および
    画像処理全体における並列化可能割合αを構成要素とす
    る前記処理時間予測演算式は、 TM(x,n)=TO(x)/n+TS(x)×(1−
    α)+(TS(x)×α)/n として示されることを特徴とする請求項5記載の画像処
    理装置。
  8. 【請求項8】前記処理時間予測演算式において定数とし
    て示される前記並列化可能割合αは、画素数xと、前記
    画像処理システムのCPU数nの関数として求められる
    α(x,n)の算出式、 α(x,n)=(TO(x)/n+TS(x)+TM
    (x,n))×n/((n−1)×TS(x)) なる式によって1以上の画素数xと、CPU数nの設定
    値の組(x,n)によって算出される複数の値α(x,
    n)の平均値として求めた値であることを特徴とする請
    求項7記載の画像処理装置。
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