JPH11212255A - 感光性平版印刷版及び印刷版の作製方法 - Google Patents

感光性平版印刷版及び印刷版の作製方法

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JPH11212255A
JPH11212255A JP1032898A JP1032898A JPH11212255A JP H11212255 A JPH11212255 A JP H11212255A JP 1032898 A JP1032898 A JP 1032898A JP 1032898 A JP1032898 A JP 1032898A JP H11212255 A JPH11212255 A JP H11212255A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像液不用のドライ現像処理でも印刷版上の
画像領域は充分な耐刷力を有し、かつ非画像部の汚れが
改善された感光性平版印刷版、及びそれをドライ現像処
理で印刷版に製版する方法の提供。現像液不用のドライ
現像処理により製版作業の容易化(現像液のコンディシ
ョン管理の不要化、機器清掃を伴う液交換作業の不要
化、現像廃液の処理不要化)を図るとともに、作業環境
の改善(強アルカリ、有機溶剤等の不使用)と地球環境
への負荷軽減(現像廃液が出ない)を達成すること。 【解決手段】 親水化処理したシート状の支持体上に、
親水性の感光層、親油性の感光層及びフィルム状カバー
シートがこの順に積層された感光性平版印刷版におい
て、前記印刷版に像様に露光した後、前記フィルム状カ
バーシートを剥離すると未露光部では前記フィルム状カ
バーシートと共に前記親油性の感光層が剥離するもので
あることを特徴とする感光性平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性平版印刷版及
び印刷版の作製方法に関し、特に現像液を用いないドラ
イ現像処理用のネガ型感光性平版印刷版及び印刷版の作
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、感光性平版印刷版は、親水性表面
を有する支持体上に、活性光線を照射することにより現
像液に対して不溶化又は可溶化する感光性樹脂層を塗設
して得られるものであり、これに原画フィルムを密着さ
せて露光し、現像液で非画像部を除去すると、非画像部
には親水性の支持体表面が露出し、画像部は親油性の樹
脂層が残存し陽画像を形成する。
【0003】この現像液を用いて現像処理する従来の感
光性平版印刷版は、印刷適性は優れているものの非画像
部の形成に強アルカリや有機溶剤を含んだ現像液を用い
るため、現像液のコンディション管理及び機器清掃が必
要であるとともに、疲労した現像液の交換作業は危険で
作業負荷が大きかった。又、現像処理後は環境負荷の大
きい廃液を生じるという問題もあった。
【0004】このような問題を解消したものとして現像
液不用で印刷版を作製し、画像形成を行う方法が特開昭
53−53404号に開示されている。しかしながら、
この技術は得られた印刷版上の画像領域が充分な耐刷力
を有していないという欠点がある。又特公昭42−13
1号には、露光による親水性/親油性の変化を利用する
方法が開示され、現像液を用いることなく画像を得るこ
とが可能であるが、非画像部(未露光部)の親水化部分
の保水性は充分でないため、非画像部に汚れが生じやす
く充分な印刷適性は得られないといった問題点を有して
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、現像液不用のド
ライ現像処理でも印刷版上の画像領域は充分な耐刷力を
有し、かつ非画像部の汚れが改善された感光性平版印刷
版、及びそれをドライ現像処理で印刷版に製版する方法
を提供することにある。第2の目的は、現像液不用のド
ライ現像処理により製版作業の容易化(現像液のコンデ
ィション管理の不要化、機器清掃を伴う液交換作業の不
要化、現像廃液の処理不要化)を図るとともに、作業環
境の改善(強アルカリ、有機溶剤等の不使用)と地球環
境への負荷軽減(現像廃液が出ない)を達成することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0007】1.親水化処理したシート状の支持体上
に、親水性の感光層、親油性の感光層及びフィルム状カ
バーシートがこの順に積層された感光性平版印刷版にお
いて、前記印刷版に像様に露光した後、前記フィルム状
カバーシートを剥離すると未露光部では前記フィルム状
カバーシートと共に前記親油性の感光層が剥離するもの
であることを特徴とする感光性平版印刷版。
【0008】2.前記フィルム状カバーシートを剥離す
ると、未露光部では前記親水性の感光層が凝集破壊する
ことによって前記フィルム状カバーシートと共に前記親
油性の感光層が剥離されるものであることを特徴とする
前記1記載の感光性平版印刷版。
【0009】3.親水化処理したシート状の支持体上
に、親水性の感光層、親油性の感光層がこの順に積層さ
れ、別途接着性表面を有する剥離シートを前記親油性の
感光層表面に張り付けた感光性平版印刷版において、前
記印刷版に像様に露光した後、前記剥離シートを剥離す
ると未露光部では前記剥離シートと共に前記親油性の感
光層が剥離するものであることを特徴とする感光性平版
印刷版。
【0010】4.前記剥離シートを剥離すると、未露光
部では前記親水性の感光層が凝集破壊することによって
前記剥離シートと共に前記親油性の感光層が剥離される
ものであることを特徴とする前記3記載の感光性平版印
刷版。
【0011】5.上記親油性及び親水性の感光層が、共
に光重合開始剤、重合可能なエチレン性不飽和結合を有
する化合物を含有することを特徴とする前記1乃至4の
何れか1つに記載の感光性平版印刷版。
【0012】6.画像露光後、得られた印刷版の未露光
部の親水性感光層残留物を、湿し水を用いて溶出させる
ものであることを特徴とする前記1乃至5の何れか1つ
に記載の感光性平版印刷版。
【0013】7.親水化処理したシート状の支持体上
に、親水性の感光層、親油性の感光層及びフィルム状カ
バーシートがこの順に積層された感光性平版印刷版を画
像露光した後、前記フィルム状カバーシートを剥離して
印刷版を作製する方法において、前記フィルム状カバー
シートを剥離することにより前記親水性の感光層を凝集
破壊することを特徴とする印刷版の作製方法。
【0014】8.親水化処理したシート状の支持体上
に、親水性の感光層、親油性の感光層がこの順に積層さ
れた感光性平版印刷版を画像露光した後、接着性表面を
有する剥離シートを前記親油性の感光層表面に張り付け
る工程と、該剥離シートを剥離して印刷版を作製する方
法において、前記剥離シートを剥離することにより前記
親水性の感光層を凝集破壊することを特徴とする印刷版
の作製方法。
【0015】9.得られた印刷版の未露光部の親水性感
光層残留物を、湿し水を用いて溶出させる工程を経た
後、印刷を行うことを特徴とする上記7又は8記載の印
刷版の作製方法。
【0016】本発明は、製版作業の容易化を図るととも
に、作業環境の改善と地球環境への負荷軽減を目的とし
てドライ現像処理で印刷版を製版するに際し、得られた
印刷版の画像部の高耐刷性と、非画像部の残留感光層に
よる汚れ防止を両立して改善するために鋭意検討した結
果、感光層を組成の異なる親水性、親油性の少なくとも
2種の層構成とし、かつ感光層上にフィルム状カバーシ
ートを積層し、該カバーシートを剥離する際、親水性感
光層の凝集破壊により未露光部が除去される構成とする
ことにより、非画像部の残留感光層が親水性の組成物の
みとなり、印刷時のインキ付着が起こりにくくなると同
時に、場合によっては印刷時の湿し水によって該残留感
光層が除去される為、画像部の高耐刷性を維持しなが
ら、非画像部の汚れが解消することを見出し、本発明に
至ったものである。
【0017】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0018】本発明の感光性平版印刷版は、親水化処理
したシート状の支持体上に、親水性の感光層、親油性の
感光層及びフィルム状カバーシートがこの順に積層され
たものであり、像様に露光した後、前記フィルム状カバ
ーシートを剥離すると未露光部では前記フィルム状カバ
ーシートと共に前記親油性の感光層が剥離し、一方前記
親水性感光層は凝集破壊を起こして層分離を生じ、一部
の親水性感光層も前記親油性感光層とともに除去される
ものである。
【0019】又、別の態様として、親水化処理したシー
ト状の支持体上に、親水性の感光層、親油性の感光層が
この順に積層され、別途接着性表面を有する剥離シート
が前記親油性の感光層表面に張り付けられたものであ
り、像様に露光した後前記剥離シートを剥離すると未露
光部では前記剥離シートと共に前記親油性の感光層が剥
離し、一方前記親水性感光層は凝集破壊を起こして層分
離を生じ、一部の親水性感光層も前記親油性感光層とと
もに除去されるものである。
【0020】本発明の感光性平版印刷版を構成する各構
成要件について以下に詳述する。
【0021】(支持体)本発明に使用される支持体とし
てはアルミニウムが好ましく、アルミニウム支持体に
は、純アルミニウム及びアルミニウム合金よりなる支持
体が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが
使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、
クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル等の金属とアル
ミニウムの合金が用いられる。
【0022】アルミニウム支持体は、粗面化に先立って
アルミニウム表面の圧延油を除去するために脱脂処理を
施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、
シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケロシンとトリエ
タノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処
理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等の
アルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛
性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いた場合、上記脱脂
処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去するこ
とができる。
【0023】感光層との密着性を良好にし、かつ保水性
を改善するために行われる砂目立て処理方法としては、
機械的に表面を粗面化する、いわゆる機械的粗面化法
と、電気化学的に表面を粗面化する、いわゆる電気化学
的粗面化法がある。機械的粗面化法には、例えば、ボー
ル研磨、ブラシ研磨、ブラスト研磨、バフ研磨等の方法
がある。又電気化学的粗面化法には、例えば、塩酸又は
硝酸等を含む電解液中で交流或いは直流によって支持体
を電解処理する方法等がある。この内いずれか1つ、も
しくは2つ以上の方法を併用することにより、支持体を
砂目立てすることができる。
【0024】前述のような砂目立て処理して得られた支
持体の表面には、スマットが生成しているので、このス
マットを除去するために適宜水洗或いはアルカリエッチ
ング等の処理を行うことが一般に好ましい。このような
処理としては、例えば特公昭48−28123号に記載
されているアルカリエッチング法や特開昭53−127
39号に記載されている硫酸デスマット法等の処理方法
が挙げられる。
【0025】支持体には、通常、耐摩耗性、耐薬品性、
保水性を向上させるために、陽極酸化によって酸化被膜
を形成させる。この陽極酸化では一般的に、硫酸及び/
又はリン酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解
液として電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が
好ましく用いられるが、他に米国特許第1,412,7
68号明細書に記載されている硫酸中で高電流密度で電
解する方法や米国特許第3,511,661号明細書に
記載されている燐酸を用いて電解する方法等がある。
【0026】支持体は、陽極酸化処理の後、ケイ酸アル
カリ、熱水等による処理や、ポリビニルホスホン酸等の
水溶性高分子化合物や弗化ジルコニウム酸カリウム水溶
液への浸漬などによる親水化処理(表面処理)を施され
ることが必要である。
【0027】(感光性組成物)本発明の感光性平版印刷
版は、上記親水化処理された支持体とフィルム状カバー
シートとの間に、組成の異なる複数の層が付設され、前
記複数層の内、少なくとも一層が親水性の感光層であ
り、且つ前記親水性感光層の上層の内のいずれかの層が
親油性の感光層である。
【0028】本発明において、親水性感光層及び親油性
感光層の両感光層の感光性組成物としては、ネガ型即ち
光硬化型の感光性組成物が好ましい。光硬化型の感光性
組成物として光重合系又はジアゾ樹脂系の何れも適用可
能であるが、特に光重合系が好ましい。
【0029】光重合系を適用する場合、(A)光重合開
始剤、(B)重合可能なエチレン性不飽和結合を有する
化合物及び(C)フィルム形成可能な高分子化合物を構
成成分として含有する必要がある。その際、前記親水性
感光層は、(A)、(B)及び(C)ともに親水性又は
水溶性の材料を使用することが好ましい。又、前記親油
性感光層は、(B)及び(C)として疎水性又は親油性
の材料を使用することが好ましい。
【0030】又、ジアゾ系を適用する場合は、(C)フ
ィルム形成可能な高分子化合物、(D)ジアゾ化合物を
構成成分として含有する必要がある。その際、前記親水
性感光層は、(C)及び(D)ともに親水性又は水溶性
の材料を使用することが好ましい。又、前記親油性感光
層は、(C)及び(D)ともに疎水性又は親油性の材料
を使用することが好ましい。
【0031】又、親水性感光層、親油性感光層それぞれ
に光重合系とジアゾ系を併用することも可能である。
【0032】以下、本発明の感光性平版印刷版に用いら
れる感光性組成物について説明する。
【0033】(A)光重合開始剤 親油性感光層に適用できる光重合開始剤としては、この
技術分野で通常知られている光重合開始剤、例えばベン
ゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾフ
ェノン等のベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導
体、アントラキノン誘導体、アクリドン誘導体等を挙げ
ることができるが、好ましくは下記一般式(1)乃至
(3)で表される構造を有する化合物の内、少なくとも
一種を含有するものである。
【0034】
【化1】
【0035】式中、Arは置換又は非置換のフェニレン
基、ナフチレン基又は複素環式芳香基を示し、R5は水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ
基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、−CO
OR6、−O−(CH2d−COOR6
【0036】
【化2】
【0037】−R8−COOR6、−R8−CONHR6
−NHCOR9を示し(R6は水素原子、アルキル基、置
換アルキル基、アリール基、置換アリール基を示し、R
7は水素原子又はメチル基を示し、R8はアルキレン基を
示し、R9はアルキル基、置換アルキル基、アルコキシ
基、アリール基、置換アリール基を示す。d、eは1〜
10の整数を示す。)、aは0〜2の整数を示し、Xは
ハロゲンを示し、b、cは0〜3の整数を示すが、b+
c≦5の範囲内である。
【0038】
【化3】
【0039】式中、R10、R11はアルキル基、ハロゲン
を示し、f、gは0〜4の整数を示す。
【0040】
【化4】
【0041】式中、R12、R13は水素原子、ジアルキル
アミノ基を示す。
【0042】上記一般式(2)で表される構造を有する
化合物の具体例としては、下記のものを挙げることがで
きる。
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】又、上記一般式(3)で表される構造を有
する化合物の具体例としては、2−クロロチオキサント
ン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサン
トン、イソプロピルチオキサントン等を挙げることがで
きる。
【0047】光重合開始剤の感光性組成物における含有
量は、好ましくは0.2〜15重量%の範囲であり、よ
り好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0048】又、親水性感光層に適用可能な光重合開始
剤としては、水溶性を有することが望ましく、好ましい
化合物の例としては、日本化薬社製、カヤキュアーQT
X等の4級アンモニウム塩含有チオキサントン等が挙げ
られ、又、これらの化合物と、トリエタノールアミン等
の水溶性3級アミンの併用が好ましく用いられる。
【0049】(B)重合可能なエチレン性不飽和結合を
有する化合物 感光性組成物に用いられる重合可能なエチレン性不飽和
結合を有する化合物(以下、光重合モノマー)は特に制
限はなく従来公知のものが使用でき、分子内に付加重合
性不飽和結合を1個有する化合物(以下、単官能モノマ
ーという。)でもよいし、複数有する化合物(以下、多
官能モノマーという。)でもよい。
【0050】分子内に含まれる付加重合性不飽和結合
は、アクリロイル基又はメタクリロイル基のものが好ま
しい。
【0051】単官能モノマーの例としては、鎖状又は環
状のアルキル(メタ)アクリレート、芳香族アルコール
の(メタ)アクリレート、多価アルコールのモノ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレンオキサイド(メタ)アクリ
レート、フッ化アルキル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基含有アルキル
(メタ)アクリレート、アルコキシ基含有アルキル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】多官能モノマーとしては、多価アルコール
又は高フェノールに付加重合性不飽和結合を導入した化
合物が好ましく用いられる。
【0053】多価アルコール又は多価フェノールに付加
重合性不飽和結合を導入する方法として、多価アルコー
ル又は多価フェノールに、アクリロイル基又はメタクリ
ロイル基をエステル結合により導入する方法が第一に挙
げられる。この方法に用いることのできる多価アルコー
ルとしては、例えば、鎖状又は環状のアルカンジオー
ル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイ
ド、エチレンオキサイドで変性したアルカンジオール、
プロピレンオキサイドで変性したアルカンジオール、エ
チレンオキサイドで変性した多価フェノール類、プロピ
レンオキサイドで変性した多価フェノール類、エチレン
オキサイドで変性したビスフェノール類、プロピレンオ
キサイドで変性したビスフェノール類、ポリエチレンオ
キサイドとポリプロピレンオキサイドの縮合体、グリセ
ロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグ
リセロール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート
等が好ましく用いられる。
【0054】又、これらの多価アルコールの水酸基を、
エチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エピクロ
ルヒドリン、カプロラクトン等で変性したポリオール
に、2以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を導
入した化合物も好ましく用いることができる。
【0055】その他の例としては、上記の多価アルコー
ル類にアクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ
クリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネ
ート基含有(メタ)アクリレートを反応させたり、高イ
ソシアネート化合物に2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートを反応
して得られるウレタンアクリレート類も挙げることがで
きる。
【0056】又、燐酸のアクリロイルオキシエチルエス
テル、メタクリロイルオキシエチルエステルの誘導体も
用いることができる。
【0057】又、上記の例以外にも「UV/EB硬化ハ
ンドブック−原料編−」加藤清祖編(高分子刊行会)の
11〜65頁、「UV・EB硬化技術の応用と市場」田
畑米穂監修、ラドテック研究会編(シーエムシー)の7
〜55頁に記載された光重合モノマー・オリゴマーも用
いることができる。
【0058】上記光重合モノマーの具体例は、本発明に
用いることのできる光重合モノマーを例示したものであ
って、本発明で用いることができる光重合モノマーは、
上記具体例により限定されるものではない。
【0059】更にこれらの光重合モノマーは感光性組成
物中に複数を併用することも可能である。
【0060】該光重合モノマーの感光性組成物中の含有
量は、好ましくは5〜80重量%の範囲であり、より好
ましくは10〜50重量%の範囲である。
【0061】上記光重合モノマーは、親油性感光層にも
親水性感光層にも適用可能であるが、特に親水性感光層
においては水溶性を有する化合物が望ましい。
【0062】(C)フィルム形成可能な高分子化合物 本発明に係るフィルム形成可能な高分子化合物の内、親
油性感光層に用いられるものとしては、バインダーとし
て機能する親油性高分子化合物を含有させることができ
る。
【0063】本発明において用いることができるバイン
ダーとしての親油性高分子化合物は任意のものを用いる
ことができるが、例えば、ポリアミド、ポリエーテル、
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ
ウレタン、ポリビニルクロライド及びそのコポリマー、
ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹
脂、シェラック、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アク
リル樹脂等が挙げられる。
【0064】これらの中で好ましく用いられるものに、
下記(1)〜(16)に示すモノマーから選ばれるモノ
マーの共重合体が挙げられる。
【0065】(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例
えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレ
ン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニル
アクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、
m−ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0066】(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例
えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルア
ミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキ
シブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリ
レート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒ
ドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキ
シルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレ
ート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒド
ロキシエチルビニルエーテル等。
【0067】(3)アミノスルホニル基を有するモノマ
ー、例えば、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレ
ート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、
m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミ
ノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノ
スルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0068】(4)不飽和スルホンアミドを有するモノ
マー、例えば、N−(p−トルエンスルホニル)アクリ
ルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリル
アミド等。
【0069】(5)α,β−不飽和カルボン酸類、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレ
イン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等。
【0070】(6)置換又は無置換のアルキルアクリレ
ート、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ア
ミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アク
リル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシ
ル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル
酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチル
アクリレート、グリシジルアクリレート等。
【0071】(7)置換又は無置換のアルキルメタクリ
レート、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸アミル、メ
タクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリ
ル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシ
ル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、
メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、
メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート
等。
【0072】(8)アクリルアミドもしくはメタクリル
アミド類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリル
アミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミ
ド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等。
【0073】(9)フッ化アルキル基を含有するモノマ
ー、例えば、トリフルオロエチルアクリレート、トリフ
ルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピル
アクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレー
ト、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフ
ルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチル
メタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレー
ト、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブ
チル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフル
オロオクチルスルホンアミド等。
【0074】(10)エチルビニルエーテル、2−クロ
ロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブ
チルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
【0075】(11)ビニルアセテート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビ
ニルエステル類。
【0076】(12)スチレン、メチルスチレン、クロ
ロメチルスチレン等のスチレン類。
【0077】(13)メチルビニルケトン、エチルビニ
ルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケト
ン等のビニルケトン類。
【0078】(14)エチレン、プロピレン、イソブチ
レン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0079】(15)N−ビニルピロリドン、N−ビニ
ルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0080】(16)シアノ基含有モノマー、例えば、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテン
ニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シア
ノエチルアクリレート、o−シアノスチレン、m−シア
ノスチレン、p−シアノスチレン等。
【0081】更に上記モノマーと共重合し得るモノマー
を共重合させてもよい。又、上記モノマーの共重合によ
って得られる共重合体を、例えば、グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート等によって修飾したも
のも含まれるが、これらに限られるものではない。
【0082】上記共重合体の分子量はゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)によって測定され
る。重量平均で好ましくは1万〜20万であるが、これ
に限定されない。
【0083】親水性感光層の感光性組成物中に含有され
る親油性高分子化合物は、感光性組成物の固型分中に好
ましくは30〜95重量%含有させる。
【0084】又、上記に例示したモノマーの共重合体
は、必要に応じて、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポ
キシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等の任意の樹脂を
混合、併用してもよい。
【0085】一方親水性感光層においては、水溶性又は
親水性の高分子化合物、中でもN−ビニル−2−ピロジ
ノンのホモポリマー及び/又は他の共重合可能なモノマ
ーとの共重合体であることが好ましく、例えば共重合可
能なモノマーとしては、前述の(1)〜(12)に示す
モノマーが挙げられる。その他、ポリビニルアルコー
ル、部分ケン化ポリ酢酸ビニル等も好ましく用いること
ができる。
【0086】親水性感光層の感光性組成物中に含有され
る上記の水溶性又は親水性の高分子化合物は、感光性組
成物の固型分中に好ましくは30〜95重量%含有させ
る。又、上記に例示した高分子化合物以外にも、必要に
応じて任意の高分子化合物を混合、併用してもよい。
【0087】(D)ジアゾ化合物 (ジアゾ化合物)感光性組成物中のジアゾ化合物は、例
えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド又はア
セトアルデヒドとの縮合物で代表されるジアゾ樹脂であ
る。特に好ましくは、p−ジアゾフェニルアミンとホル
ムアルデヒド又はアセトアルデヒドとの縮合物の塩や、
米国特許第3,300,309号明細書中に記載されて
いるような、前記縮合物とスルホン酸類との反応生成物
であるジアゾ樹脂有機塩等が挙げられる。
【0088】更にジアゾ化合物として好ましくは、ジア
ゾジフェニルアミンと分子内にカルボニル基、ヒドロキ
シル基、エーテル結合から選ばれた少なくとも一つの基
を有する芳香族化合物との共縮合樹脂である。共縮合の
比率は、モル比で、ジアゾジフェニルアミン/芳香族化
合物=30/70〜95/5であり、特に好ましくはジ
アゾジフェニルアミンとp−ヒドロキシ安息香酸との共
縮合物で、モル比が50/50〜80/20である。
【0089】特に好ましいジアゾ化合物は、芳香族ジア
ゾニウム化合物とカルボニル化合物との縮合樹脂であ
る。
【0090】この縮合樹脂においては、下記一般式
(4)又は(5)で表される構造を有するジアゾ樹脂を
用いるのが好ましい。
【0091】
【化8】
【0092】一般式(4)において、Rは水素原子、ア
ルキル基、又はフェニル基を表し、R1、R2及びR3
それぞれ水素原子、アルコキシ基、又はアルキル基を表
し、Xは対アニオンを表す。Yは−NH−、−O−又は
−S−を表す。nは整数を表す。
【0093】
【化9】
【0094】一般式(5)において、Aは縮合可能な芳
香族性基を表し、R、R1、R2、R3、X、Y、nは前
記一般式(4)で用いられたものと同義である。
【0095】上記一般式(4)及び(5)で表されるジ
アゾ樹脂の構造単位とする芳香族ジアゾニウム化合物に
は、例えば、特公昭49−48001号に挙げられるよ
うなジアゾニウム塩を用いることができるが、特にジフ
ェニルアミン−4−ジアゾニウム塩類が好ましい。ジフ
ェニルアミン−4−ジアゾニウム塩類は、4−アミノジ
フェニルアミン類から誘導されるが、このような4−ア
ミノジフェニルアミン類としては、4−アミノジフェニ
ルアミン、4−アミノ−3−メトキシジフェニルアミ
ン、4−アミノ−2−メトキシジフェニルアミン、4′
−アミノ−2−メトキシジフェニルアミン、4′−アミ
ノ−4−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−3−
メチルジフェニルアミン、4−アミノ−3−エトキシジ
フェニルアミン、4−アミノ−3−(β−ヒドロキシエ
トキシ)ジフェニルアミン、4−アミノジフェニルアミ
ン−2−スルホン酸、4−アミノジフェニルアミン−2
−カルボン酸、4−アミノジフェニルアミン−2′−カ
ルボン酸等を挙げることができる。これらの内、特に好
ましいものとしては、4−アミノジフェニルアミン、4
−アミノ−3−メトキシジフェニルアミンを挙げること
ができる。
【0096】上記一般式(5)において、Aで表される
芳香族性基を与えるために用いることができる芳香族化
合物の具体例としては、m−クロロ安息香酸、ジフェニ
ル酢酸、フェノキシ酢酸、p−メトキシフェニル酢酸、
p−メトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸
2,4−ジメチル安息香酸、p−フェノキシ安息香酸、
4−アニリノ安息香酸、4−(m−メトキシアニリノ)
安息香酸、4−(p−メチルベンゾイル)安息香酸、4
−(p−メチルアニリノ)安息香酸、フェノール、クレ
ゾール、キシレノール、レゾルシン、2−メチルレゾル
シン、メトキシフェノール、エトキシフェノール、カテ
コール、フロログルシン、p−ヒドロキシエチルフェノ
ール、ナフトール、ピロガロール、ヒドロキノン、p−
ヒドロキシベンジルアルコール、4−クロロレゾルシ
ン、ビフェニル−4,4′−ジオール、1,2,4−ベ
ンゼントリオール、ビスフェノールA、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベ
ンゾフェノン、p−ヒドロキシアセトフェノン、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジ
メトキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルアミン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、クミルフェノール、クロロフェノール、ブ
ロモフェノール、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香
酸、2−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、
3,5−ジヒドロキシ安息香酸、4−クロロ−2,6−
ジヒドロキシ安息香酸、4−メトキシ−2,6−ジヒド
ロキシ安息香酸、没食子酸、フロログリシンカルボン
酸、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、
桂皮酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシスチレン、
4−ヒドロキシスチルベン、4,4′−ジヒドロキシス
チルベン、4−カルボキシスチルベン、4,4′−ジカ
ルボキシスチルベン、ジフェノールエーテル、4−メト
キシジフェニルエーテル、4−メトキシジフェニルアミ
ン、4−メトキシジフェニルチオエーテル等を挙げるこ
とができる。
【0097】上記ジアゾ樹脂は、公知の方法、例えば、
フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニア
リング(Photo.Sci.Eng.)第17巻、第
33頁(1973)、米国特許2,063,631号、
同2,679,498号各明細書、特公昭49−480
01号に記載の方法に従い、硫酸や燐酸或いは塩酸中で
芳香族ジアゾニウム塩、必要に応じて上記一般式(5)
においてAで表される芳香族性基を与える芳香族化合物
及び活性カルボニル化合物、例えば、パラホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセト
ン、或いはアセトフェノン等を重縮合させることによっ
て得られる。
【0098】上記ジアゾ樹脂の対アニオンは、該ジアゾ
樹脂と安定に塩を形成するものが好ましい。
【0099】親油性感光層に適用するジアゾ樹脂の場合
は、該樹脂を有機溶媒に可溶となすアニオンが好まし
い。このようなアニオンを形成する酸としては、デカン
酸及び安息香酸等の有機カルボン酸、フェニル燐酸等の
有機燐酸、有機スルホン酸を含み、典型的な例として
は、メタンスルホン酸、クロロエタンスルホン酸、ドデ
カンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホ
ン酸、メシチレンスルホン酸、アントラキノンスルホン
酸、ナフチルスルホン酸、アルキル置換ナフチルスルホ
ン酸等の脂肪族スルホン酸並びに芳香族スルホン酸、ヘ
キサフルオロ燐酸、テトラフルオロホウ酸等のハロゲン
化ルイス酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等の過ハロゲン酸等
を挙げることができる。但し、これに限られるものでは
ない。これらの中で、特に好ましいのは、ヘキサフルオ
ロ燐酸、テトラフルオロホウ酸、メシチレンスルホン酸
である。
【0100】又、親水性感光層に適用するジアゾ樹脂の
場合は、該樹脂を水溶性となすアニオンが好ましい。こ
のようなアニオンを形成する酸としては、硫酸、塩酸が
代表的である。
【0101】本発明において、用いるジアゾ樹脂の分子
量には特に限定はなく、例えば、上記のジアゾ樹脂は、
各単量体のモル比及び縮合条件を種々変えることによ
り、その分子量は任意の値として得ることができるが、
本発明においては一般に好ましくは分子量が約400〜
10,000のものが有効に利用でき、より好ましくは
約800〜5,000のものが適当である。
【0102】又、感光性組成物中に含有されるこれらの
ジアゾ化合物の量は0〜30重量%が好ましいが、より
好ましくは0.5〜20重量%である。
【0103】(E)その他の添加剤 (露光により酸を生成する化合物)感光性組成物には露
光により酸を生成する化合物を用いてもよい。露光によ
り酸を生成する化合物としては、例えば、ハロメチルオ
キサジアゾール化合物、ハロメチル−s−トリアジン化
合物等が用いられる。
【0104】ハロメチルオキサジアゾール化合物とは、
オキサジアゾール類にハロメチル基、好ましくはトリク
ロロメチル基を有する化合物である。
【0105】これらの化合物は公知であり、例えば特公
昭57−6096号、同61−51788号、特公平1
−28369号、特開昭60−138539号、同60
−177340号、同60−241049号等に記載さ
れている。
【0106】又、ハロメチル−s−トリアジン化合物と
は、s−トリアジン環に1つ以上のハロメチル基、好ま
しくはトリクロロメチル基を有する化合物である。
【0107】露光により酸を生成する化合物としては、
更に、例えば特開昭50−36209号に記載のo−ナ
フトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド、特開
昭53−36223号に記載されているo−ナフトキノ
ンジアジド−4−スルホン酸クロライドと電子吸引性置
換基を有するフェノール類、又はアニリン酸とのエステ
ル化合物又はアミド化合物、特開昭55−77742
号、特開昭57−148784号等に記載のハロメチル
ビニルオキサジアゾール化合物及びジアゾニウム塩等が
挙げられる。
【0108】感光性組成物中における前記露光により酸
を生成する化合物の添加量は、0.01〜30重量%が
好ましく、より好ましくは、0.1〜10重量%であ
り、特に好ましくは、0.2〜3重量%である。
【0109】これらの化合物は、単独或いは2種以上混
合して使用できる。
【0110】(感脂化剤)感光性組成物、特に親油性感
光層に用いる感光性組成物には感脂化剤を用いてもよ
い。感脂化剤は、感光層表面の親油性を高めるものであ
り、例えば、p−ヒドロキシスチレンと脂肪酸のエステ
ル、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコールに
よるハーフエステル化合物、長鎖アルキル基含有のノボ
ラック樹脂、フッ素系界面活性剤等が挙げられ、好まし
いのは、p−ヒドロキシスチレンと脂肪酸のエステル、
スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコールによる
ハーフエステル化合物、長鎖アルキル基含有のノボラッ
ク樹脂であり、中でも長鎖アルキル基含有ノボラック樹
脂(アルキル置換フェノール樹脂)が特に好ましい。添
加量はその使用対象、目的によって異なるが、一般には
全固形分に対して、0.01〜30重量%である。
【0111】上記アルキル置換フェノール樹脂は、アル
キル置換フェノールと、アルデヒド類の重縮合により得
られる樹脂である。
【0112】ここで用いられるアルキル置換フェノール
の、アルキルで置換される位置及び置換基は任意である
が、特に好ましくは1つのアルキル基を4位に有する構
造が挙げられる。又アルキル基の構造は鎖状、分枝状、
環状のいずれでも構わず、アルキル基を構成する炭素数
も任意であるが、好ましくは炭素数1〜20の範囲のア
ルキル基が挙げられる。又これらのアルキル置換フェノ
ールは芳香環に他の置換基を有していても構わない。
【0113】又、アルキル置換フェノールとアルデヒド
類を重縮合する際、無置換のフェノールを加えて共縮合
を行うことも好ましく行うことができる。
【0114】(有機酸・無機酸・酸無水物)感光性組成
物には、有機酸・無機酸・酸無水物が含有されてもよ
い。本発明に使用される酸としては、例えば特開昭60
−88942号、特願昭63−293107号に記載の
有機酸と、日本化学会編「化学便覧新版」(丸善出版)
第92〜158頁に記載の無機酸が挙げられる。有機酸
の例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホ
ン酸、エタンスルホン酸、ベンゼルスルホン酸、m−ベ
ンゼンジスルホン酸等のスルホン酸、p−トルエンスル
フィン酸、ベンジルスルフィン酸、メタンスルフィン酸
等のスルフィン酸、フェニルホスホン酸、メチルホスホ
ン酸、クロルメチルホスホン酸等のホスホン酸、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、ヘ
キサン酸、ヘプタン酸等の脂肪族モノカルボン酸、シク
ロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息
香酸、o−、m−、p−ヒドロキシ安息香酸、o−、m
−、p−メトキシ安息香酸、o−、m−、p−メチル安
息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、フロログリシ
ンカルボン酸、没食子酸、3,5−ジメチル安息香酸等
の芳香族モノカルボン酸が挙げられる。又、マロン酸、
メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、イタコン酸、リンゴ酸等の飽和又
は、不飽和脂肪族ジカルボン酸、テトラヒドロフタル
酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,1−シク
ロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカ
ルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキ
サンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等
を挙げることができる。
【0115】上記有機酸の内、より好ましいものは、p
−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、
メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスル
ホン酸、ベンゼルスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン
酸等のスルホン酸、又はcis−1,2−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、シリンガ酸等がある。
【0116】無機酸の例としては、硝酸、硫酸、塩酸、
ケイ酸、リン酸等が挙げられ、更に好ましくは、硫酸、
リン酸である。
【0117】酸無水物を用いる場合の酸無水物の種類も
任意であり、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香
酸等、脂肪族・芳香族モノカルボン酸から誘導されるも
の、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、
無水フタル酸等、脂肪族・芳香族ジカルボン酸から誘導
されるもの等を挙げることができる。好ましい酸無水物
は、無水グルタル酸、無水フタル酸である。これらの化
合物は、単独或いは2種以上混合して使用できる。
【0118】これらの酸の含有量は、全感光性組成物の
全固形分に対して、一般的に0.05〜5重量%であっ
て、好ましくは、0.1〜3重量%の範囲である。
【0119】(界面活性剤)感光性組成物は界面活性剤
を含んでもよい。界面活性剤としては、両性界面活性
剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオ
ン界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を挙げることがで
きる。
【0120】上記両性界面活性剤としては、ラウリルジ
メチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒ
ドロキシエチル、イミダゾリニウムベタイン等がある。
【0121】アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩、
アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸
塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホ
コハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸
エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等がある。
【0122】カチオン界面活性剤としては、アルキルア
ミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン等が
ある。
【0123】ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシ
エチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪
酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルア
ミン、アルキルアルカノールアミド等がある。
【0124】フッ素系界面活性剤としては、フルオロ脂
肪族基を含むアクリレート又はメタアクリレート及び
(ポリオキシアルキレン)アクリレート又は(ポリオキ
シアルキレン)メタアクリレートの共重合体等がある。
これらの化合物は、単独或いは2種以上混合して使用す
ることができる。特に好ましくはFC−430(住友3
M(株)製)フッ素系ポリエチレングリコール#−20
00(関東化学(株)製)である。感光性組成物中に占
める割合は、0.01〜10重量%であることが好まし
く、更に好ましくは0.01〜5重量%で使用される。
【0125】(色素)感光性組成物には、更に色素を用
いることができる。該色素は、露光による可視画像(露
光可視画像)と現像後の可視画像を得ることを目的とし
て使用される。
【0126】該色素としては、フリーラジカル又は酸と
反応して色調を変化するものが好ましく使用できる。こ
こに「色調が変化する」とは、無色から有色の色調への
変化、有色から無色或いは異なる有色の色調への変化の
いずれをも包含する。好ましい色素は酸と塩を形成して
色調を変化するものである。例えば、ビクトリアピュア
ブルーBOH(保土谷化学社製)、オイルブルー#60
3(オリエント化学工業社製)、パテントピュアブルー
(住友三国化学社製)、クリスタルバイオレット、ブリ
リアントグリーン、エチルバイオレット、メチルバイオ
レット、メチルグリーン、エリスロシンB、ペイシック
フクシン、マラカイトグリーン、オイルレッド、m−ク
レゾールパープル、、ローダミンB、オーラミン、4−
p−ジエチルアミノフェニルイミナフトキノン、シアノ
−p−ジエチルアミノフェニルアセトアニリド等に代表
されるトリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オ
キサジン系、キサンテン系、イミノナフトキノン系、ア
ゾメチン系又はアントラキノン系の色素が有色から無色
或いは異なる有色の色調へ変化する変色剤の例として挙
げられる。
【0127】一方、無色から有色に変化する変色剤とし
ては、ロイコ色素及び、例えばトリフェニルアミン、ジ
フェニルアミン、o−クロロアニリン、1,2,3−ト
リフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミノジフ
ェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェ
ニルアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,p′,
p″−トリス−ジメチルアミノトリフェニルメタン、
p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニルメチルイミ
ン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルトリフェ
ニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニ
ル−4−アニリノナフチルメタン、p,p′,p″−ト
リアミノトリフェニルメタンに代表される第1級又は第
2級アリールアミン系色素が挙げられる。
【0128】上記の変色剤の感光性組成物中に占める割
合は、0.01〜10重量%であることが好ましく、更
に好ましくは0.02〜5重量%で使用される。
【0129】これらの化合物は、単独或いは2種以上混
合して使用できる。尚、特に好ましい色素は、ビクトリ
アピュアブルーBOH、オイルブルー#603である。
【0130】(溶媒)感光性組成物を溶解する際に使用
し得る溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノー
ル、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコ
ール類、アリルアルコール、ベンジルアルコール、アニ
ソール、フェネトール、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素
類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノ
ール、4−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシ−
1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタ
ノール、3−メトキシ−3−エチル−1−1ペンタノー
ル−4−エトキシ−1−ペンタノール、5−メトキシ−
1−ヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケト
ン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペン
タノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、
γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、
4−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−
ペンタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒ
ドロキシ−3−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキ
サノン、3−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、エチレングリコールモノアセテー
ト、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリ
コールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテ
ート、エチレングリコールアルキルエーテル類及びその
アセテート(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエ
ーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチル
セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテー
ト)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及
びそのアセテート(ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、モノエチルエーテル、モノi−プロピルエーテ
ル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメ
チルエーテルアセテート等)、ジエチレングリコールジ
アルキルエーテル類(DMDG、DEDG、DBDG、
MEDG)、トリエチレングリコールアルキルエーテル
類(モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル
等)、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそ
のアセテート(モノメチルエーテル、モノエチルエーテ
ル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、モノメチルエーテル
アセテート、モノエチルエーテルアセテート等)、ジプ
ロピレングリコールアルキルエーテル類(モノメチルエ
ーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、
モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエー
テル)、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸
アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸
ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪
酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安
息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピレン等が挙
げられる。
【0131】これらの溶媒は、単独或いは2種以上混合
して使用できる。
【0132】(マット層)マット層の目的は密着露光に
おける画像フィルムと感光性平版印刷版との真空密着性
を改良することにより、真空引き時間を短縮し、更に密
着不良による露光時の微小網点のつぶれを防止すること
である。マット層の塗布方法としては、特開昭55−1
2974号に記載されているパウダリングされた固体粉
末を熱融着する方法、特開昭58−182636号に記
載されているポリマー含有水をスプレーし乾燥させる方
法等が挙げられる。
【0133】マット層は、感光性平版印刷版の最表面に
凹凸を設ける必要性から、カバーシート上に画像フィル
ムを密着させ露光するような本発明の構成を採用する場
合、カバーシート上に設ける必要がある。
【0134】(塗布)本発明は、前述したように組成の
異なる複数の層を有する構成である。複数層を塗布する
方法としては、親水性感光層溶液を塗布、乾燥した後、
連続的に親油性感光層溶液を塗布、乾燥する方法や、親
水性感光層溶液が湿潤状態にあるうちにウェット・オン
・ウェット方式で親油性感光層溶液を塗布する方法等が
挙げられる。
【0135】塗布方法としては、従来公知の方法、例え
ば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン
塗布等が用いられる。この他、同時重層塗布法を採用す
ることも好ましい。
【0136】感光層の乾燥膜厚は特に制限しないが、全
膜厚で5〜30mg/m2が好ましい。
【0137】本発明の感光性平版印刷版は、フィルム状
カバーシートを剥離すると、未露光部では前記親水性の
感光層が凝集破壊することによって前記フィルム状カバ
ーシートと共に前記親油性の感光層が剥離されるものが
好ましい。
【0138】又前記感光性平版印刷版は少なくとも、フ
ィルム状カバーシート、親油性感光層、親水性感光層、
支持体の4つ以上の構成要素を有する。フィルム状カバ
ーシートを剥離する際には、各層間の接着力及び各層内
の凝集力を比較して最も弱い部分で剥離が起きる。即ち
該カバーシートと共に親油性感光層が剥離するために
は、親水性感光層の凝集力が、他の層の凝集力より弱
く、かつ各層間の接着力より弱いことが必要となる。親
水性感光層の凝集力の調整には任意の方法を用いること
が可能である。例えば、a)親水性感光層全体の平均分
子量を調整する方法、b)最も添加量の多い高分子化合
物に凝集力の低い材料を用いる方法、c)可塑剤を添加
する方法、凝集剤を添加する方法等である。具体的な例
としては、a)の親水性感光層全体の平均分子量を調整
する方法としては、光重合系の感光性組成物を用いる際
には、重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物
の添加量を調整する方法が挙げられる。重合可能なエチ
レン性不飽和結合を有する化合物はフィルム形成可能な
高分子化合物に比較し分子量が一般的には低いため、そ
の添加量を大きくせしめることにより親水性感光層全体
の平均分子量が低まり、結果的に凝集力が弱くなる。
【0139】本発明の構成要件の1つであるフィルム状
カバーシートは、現像液を使用しないドライ現像処理に
おける必須のものであり、その役割は大きい。具体的に
は、親油性感光層上に直接設けられるのが好ましく、親
油性感光層に接する面は該親油性感光層に充分密着可能
な程度に平滑であることが必要である。
【0140】フィルム状カバーシートは、感光層により
使用される素材が異なり、例えば感光層中に酸発生剤を
有し、露光時に酸を発生するよう感光層が施された場合
には、気体透過性の良い樹脂を用いるのが好ましく、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
又、露光時に酸素の影響を受けると感光性が劣化し、反
応の阻害を生じさせるような感光層を形成した場合に
は、酸素透過性の低い樹脂を用いるのが好ましく、例え
ばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレ
ンナフタレート(PEN)等が挙げられる。
【0141】フィルム状カバーシートを付設する方法と
しては、親水性感光層、親油性感光層を支持体上に塗
設、乾燥した後、上記フィルムをラミネートする方法が
好ましい。フィルム膜厚は特に制限しないが、15μm
以上200μm以下が好ましく、25μm以上100μ
m以下が特に好ましい。
【0142】画像露光後フィルム状カバーシートは未露
光部の親油性感光層が接着した状態で剥離され、露光部
が支持体上に画像部として残存するが、この現象は上述
したように親水性感光層が凝集破壊することに起因して
いる。フィルム状カバーシートを剥離する方法として
は、手で剥離することも可能であるが、専用の剥離装置
を用いても良い。
【0143】又、本発明の別の態様として、別途接着性
表面を有する剥離シートを前記親油性の感光層表面に張
り付けた後、剥離シートを剥離して該剥離シートと共に
親油性の感光層を剥離するという方式の感光性平版印刷
版がある。
【0144】前記剥離シートは、上記のフィルム状カバ
ーシートと同様の材料を用いることができるが、接着す
る面に、接着性表面を有している必要がある。画像露光
後に剥離シートを張り付け、該剥離シートを剥離すると
未露光部では該剥離シートと共に前記親油性の感光層が
剥離され、露光部が支持体上に画像部として残存する。
この現象も親水性感光層の凝集破壊に起因している。剥
離シートが露光を透過する場合においては、予め剥離シ
ートを親油性の感光層表面に張り付けた後、露光を行っ
ても構わない。
【0145】次に上記の感光性平版印刷版を画像露光し
て印刷版を作製する方法について詳述する。
【0146】本発明の印刷版の作製方法は、現像液を用
いないドライ現像処理を採用したものであり、具体的に
は前記感光性平版印刷版を線画像、網点画像などを有す
る透明原画を感光面に密着して露光し、次いで、前記フ
ィルム状カバーシートを剥離し、親水性の感光層を凝集
破壊することによってレリーフ像が得られる。
【0147】親水性の感光層を凝集破壊することは上述
した通りであるが、これにより未露光部の親油性感光層
が剥離され、しかも未露光部の親水性感光層も凝集破壊
により一部は親油性感光層と共に除去される。得られた
印刷版の未露光部の親水性感光層の残留物については、
その後湿し水を用いて溶出させる工程を経ることにより
版上から奇麗に消去され、本発明の目的である高耐刷性
と版上の残留感光層の除去が改善された印刷版が得られ
る。
【0148】別の態様として剥離シートを用いるタイプ
については、親水化処理したシート状の支持体上に、親
水性の感光層、親油性の感光層がこの順に積層された感
光性平版印刷版を画像露光した後、接着性表面を有する
剥離シートを前記親油性の感光層表面に張り付ける工程
と、該剥離シートを剥離する工程を経た後、前記親水性
の感光層を凝集破壊することによって上記と同様の印刷
版が得られる。特に剥離シートが露光を透過する場合に
おいては、剥離シートを前記親油性の感光層表面に張り
付ける工程を経た後、画像露光しても構わない。
【0149】得られた印刷版の未露光部の親水性感光層
の残留物については、上記同様湿し水を用いて溶出させ
ることで改善される。
【0150】露光に好適な光源としては、水銀灯、メタ
ルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、
カーボンアーク灯などが使用される。
【0151】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0152】(砂目支持体の作製)厚さ0.30mmの
アルミニウム板(材質1050、調質H16)を5重量
%苛性ソーダ水溶液中で65℃で1分間脱脂処理を行っ
た後、水洗し、0.5モル塩酸水溶液中で25℃、電流
密度60A/dm2の条件下で30秒間電解エッチング
処理を行った。次いで5重量%苛性ソーダ水溶液中で6
0℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20重量
%硫酸水溶液中で、温度20℃、電流密度3A/d
2、の条件下で1分間陽極酸化処理を行った。更に水
洗し、続いて80℃の3号珪酸ソーダ1.5%水溶液で
20秒間封孔処理を行い水洗し、支持体を作製した。
【0153】(平版印刷版作製1)上記支持体上に感光
層塗布液(親水性)を乾燥重量換算1.0g/m2の塗
布量で塗布し、85度の気流中で4分間乾燥した。その
上に感光層塗布液(親油性)を乾燥重量換算1.0g/
2の塗布量で塗布し、85度の気流中で2分間乾燥し
た。その上にフィルム状カバーシートとして厚さ50μ
mのPETフィルムをラミネートし平版印刷版1を作製
した。
【0154】 感光層塗布液(親水性) ポリビニルピロリドン 5.0g ECH変成グリセロールトリアクリレート (商品名:デナコールアクリレートDA−314;長瀬産業)5.0g 4級アンモニウム塩含有チオキサントン (商品名:カヤキュアーQTX;日本化薬) 0.5g トリエタノールアミン 0.5g 水 100ml 感光層塗布液(親油性) HEMA/AN/EMA(40/25/35)共重合体 (Mw=100,000) 5.3g ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.0g 2,4−ジエチルチオキサントン 0.5g 1−(4−メトキシスチリル)−3,5−ビス(トリクロロメチル)−S −トリアジン 0.2g 4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル 0.3g 青色染料(商品名:ビクトリアピュアブルーBOH;保土ヶ谷化学) 0.2g フッ素系界面活性剤(商品名:フロラードFC−430;3M) 0.03g 乳酸メチル 65ml プロピレングリコールモノエチルエーテル 25ml メチルエチルケトン 10ml (印刷版1の作製)上記のように得られた平版印刷版1
をメタルハライドランプを用いて、ネガフィルム画像原
稿を通して、40mJ/cm2の露光を行った後、フィ
ルム状カバーシートを剥離し印刷版1を作製した。露光
部(画像部)は親油性感光層が硬化してイメージワイズ
に残り、一方未露光部(非画像部)は親油性感光層が取
り除かれ、青色の陽画像が形成された。未露光部の紫外
域と赤外域の反射スペクトルを測定した結果、親水性感
光層のみが残存していることが確認された。
【0155】(平版印刷版作製2)上記フィルム状カバ
ーシートをラミネートせず、それ以外は平版印刷版の作
製1と同様にして平版印刷版2を得た。
【0156】(印刷版の作製)上記のように得られた平
版印刷版2をメタルハライドランプを用いて、ネガフィ
ルム画像原稿を通して、40mJ/cm2の露光を行っ
た後、剥離シートとして厚さ100μmのPETフィル
ムをラミネートし、続いて剥離シートを剥離し印刷版2
を作製した。露光部(画像部)は親油性感光層が硬化し
てイメージワイズに残り、一方未露光部(非画像部)は
親油性感光層が取り除かれ、青色の陽画像が形成され
た。未露光部の紫外域と赤外域の反射スペクトルを測定
した結果、親水性感光層のみが残存していることが確認
された。
【0157】(印刷評価)得られた印刷版1、2を、ハ
イデルベルグGTO印刷機を用いて印刷したところ、5
0枚の印刷を終えた時点で非画像部の汚れのない良好な
印刷物を得ることが出来た。得られた印刷物上ではフィ
ルム原稿で1%〜96%に相当する網点が良好に再現さ
れていた。又、そのまま1万枚の印刷を行ったが、印刷
物の品質の劣化は見られなかった。又、50枚の印刷を
終えた時点で印刷版の非画線部の紫外域と赤外域の反射
スペクトルを再度測定した結果、親水性感光層の残存は
観察されなかった。
【0158】
【発明の効果】本発明により、現像液不用のドライ現像
処理でも印刷版上の画像領域は充分な耐刷力を有し、か
つ非画像部の汚れが改善されるという顕著に優れた効果
を奏する。又、現像液不用のドライ現像処理により製版
作業の容易化を図るとともに、作業環境の改善と地球環
境への負荷軽減を達成することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水化処理したシート状の支持体上に、
    親水性の感光層、親油性の感光層及びフィルム状カバー
    シートがこの順に積層された感光性平版印刷版におい
    て、前記印刷版に像様に露光した後、前記フィルム状カ
    バーシートを剥離すると未露光部では前記フィルム状カ
    バーシートと共に前記親油性の感光層が剥離するもので
    あることを特徴とする感光性平版印刷版。
  2. 【請求項2】 前記フィルム状カバーシートを剥離する
    と、未露光部では前記親水性の感光層が凝集破壊するこ
    とによって前記フィルム状カバーシートと共に前記親油
    性の感光層が剥離されるものであることを特徴とする請
    求項1記載の感光性平版印刷版。
  3. 【請求項3】 親水化処理したシート状の支持体上に、
    親水性の感光層、親油性の感光層がこの順に積層され、
    別途接着性表面を有する剥離シートを前記親油性の感光
    層表面に張り付けた感光性平版印刷版において、前記印
    刷版に像様に露光した後、前記剥離シートを剥離すると
    未露光部では前記剥離シートと共に前記親油性の感光層
    が剥離するものであることを特徴とする感光性平版印刷
    版。
  4. 【請求項4】 前記剥離シートを剥離すると、未露光部
    では前記親水性の感光層が凝集破壊することによって前
    記剥離シートと共に前記親油性の感光層が剥離されるも
    のであることを特徴とする請求項3記載の感光性平版印
    刷版。
  5. 【請求項5】 上記親油性及び親水性の感光層が、共に
    光重合開始剤、重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
    る化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至4の
    何れか1項に記載の感光性平版印刷版。
  6. 【請求項6】 画像露光後、得られた印刷版の未露光部
    の親水性感光層残留物を、湿し水を用いて溶出させるも
    のであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項
    に記載の感光性平版印刷版。
  7. 【請求項7】 親水化処理したシート状の支持体上に、
    親水性の感光層、親油性の感光層及びフィルム状カバー
    シートがこの順に積層された感光性平版印刷版を画像露
    光した後、前記フィルム状カバーシートを剥離して印刷
    版を作製する方法において、前記フィルム状カバーシー
    トを剥離することにより前記親水性の感光層を凝集破壊
    することを特徴とする印刷版の作製方法。
  8. 【請求項8】 親水化処理したシート状の支持体上に、
    親水性の感光層、親油性の感光層がこの順に積層された
    感光性平版印刷版を画像露光した後、接着性表面を有す
    る剥離シートを前記親油性の感光層表面に張り付ける工
    程と、該剥離シートを剥離して印刷版を作製する方法に
    おいて、前記剥離シートを剥離することにより前記親水
    性の感光層を凝集破壊することを特徴とする印刷版の作
    製方法。
  9. 【請求項9】 得られた印刷版の未露光部の親水性感光
    層残留物を、湿し水を用いて溶出させる工程を経た後、
    印刷を行うことを特徴とする請求項7又は8記載の印刷
    版の作製方法。
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