JPH11210524A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JPH11210524A
JPH11210524A JP10014102A JP1410298A JPH11210524A JP H11210524 A JPH11210524 A JP H11210524A JP 10014102 A JP10014102 A JP 10014102A JP 1410298 A JP1410298 A JP 1410298A JP H11210524 A JPH11210524 A JP H11210524A
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fuel ratio
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太郎 横井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リッチスパイク時にNOx吸蔵触媒におけるN
Ox脱離特性を検出しながら、徐々に濃くなるようにリ
ッチスパイクを制御することにより、NOxの浄化効率
と燃費の向上を図る。 【解決手段】リーン空燃比時に排気中のNOxを吸着保
持するとともにリッチ空燃比時に吸着保持したNOxを
脱離、還元するNOx吸蔵触媒7と、NOx吸蔵触媒の
上流側及び下流側の空燃比を検出するセンサ15,17
とを備える。そして、NOx吸蔵触媒7のNOxの吸着
保持量が所定値に達したときなど、空燃比を一時的にリ
ッチにし、かつ徐々にリッチの度合いを高めていき、こ
のリッチ化制御を触媒上流空燃比と下流空燃比がほぼ一
致したときに終了する。これにより、NOxの脱離、還
元反応にとって過不足なくHCを供給でき、かつ反応を
短期間に終了させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリーン空燃比による
運転時に排気中のNOxを吸着保持し、ストイキもしく
はリッチ空燃比に切換わったときにNOxを脱離、還元
するNOx吸蔵触媒を備えた内燃機関の排気浄化装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−10725号公報にもあるよ
うに、リーン空燃比により運転される内燃機関の排気中
に含まれるNOxを低減するために、NOx吸蔵触媒を
排気系に設置することが知られている。
【0003】NOx吸蔵触媒は、リーン空燃比での運転
中は排気中に含まれるNOxを吸着保持し、空燃比がリ
ッチに切換えられたときに、吸着保持していたNOxを
脱離、還元し、触媒を再生するもので、従来の三元触媒
がストイキ空燃比のときにのみNOxの還元作用を発揮
するのと異なり、リーン空燃比であってもNOxの外部
への放出が防げるという利点がある。
【0004】ところで、このNOx吸蔵触媒では、NO
xの吸着保持量が一定の飽和値に達するとそのままNO
xが排出されしまうため、飽和状態に達する前に空燃比
を一時的にリッチに切換え(これをリッチスパイクとい
う)、保持されているNOxの脱離反応を行う必要があ
る。ただし、このリッチスパイクは内燃機関にとっては
空燃比が不必要に濃くなるだけのため、その分の燃費の
悪化は避けられず、したがってNOx吸蔵触媒が飽和状
態に近づいたときには、空燃比を過剰に濃くすることな
く、効率のよいリッチスパイクを行わないといけない。
【0005】このため、上記した従来例では、NOx吸
蔵触媒のNOxの脱離反応速度が触媒が高温のときに速
く、低温のときに遅いことに着目して、触媒温度に対応
してリッチスパイク時の空燃比濃度と継続時間を制御し
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところがNOx吸蔵触
媒に吸着保持されるNOxが飽和状態に達するのは、そ
のときの排気条件(NOx濃度、HC濃度、吸入空気
量、触媒温度、触媒劣化度合いなど)によってさまざま
であり、これらを正確に予測することは非常に困難であ
る。したがってもし飽和状態になってしばらくしてから
リッチスパイクが行われようなことがあると、その間は
NOxの排出特性が大幅に悪化することになる。
【0007】このため、実際には飽和状態に達するより
も所定のタイミングだけ前に、触媒温度に応じて、つま
り触媒温度が高いときは空燃比が濃く、短い時間のリッ
チスパイクを行い、触媒温度が低いときは空燃比が薄
く、長い時間のリッチスパイクを行っている。しかしこ
の場合においても、NOx吸着保持量を正確に予測する
ことが困難なことから、もしもリッチスパイクが、NO
x吸着保持量が予測よりも多い状態で行われればNOx
の脱離、還元反応は不完全となり、逆に吸着保持量が少
ない状態のときには過剰なリッチスパイクとなり、HC
の放出量が増大し、燃費の悪化を招くことになる。
【0008】これに対して、特許協力条約に基づく国際
特許公開公報WO94/17291によれば、NOx吸
蔵触媒のNOxの脱離、還元時に、NOxの脱離が完了
すると触媒下流の空燃比が上流側空燃比と同じようにリ
ッチ空燃比となることに着目し、触媒下流側に設置した
空燃比センサの出力がリッチ側に切り換ったときに、リ
ッチスパイク制御を終了させることにより、リッチスパ
イクが過剰にならないようにしている。
【0009】このようにNOx吸蔵触媒に吸着保持され
たNOx量に見合ったHC量を供給すれば、NOxの脱
離、還元を効率よく行え、燃費の悪化などを極力回避す
ることが可能となる。
【0010】ところで、本発明者らの実験によれば、N
Oxの脱離、還元時に同じHC量を供給するのであるな
らば、短時間に供給を完了した方がNOxの浄化効率が
良好になることが確認されている。
【0011】ただしこの場合でも、空燃比が必要以上に
濃いと、NOxの脱離、還元は良好でも、HCの供給過
剰により、反応に関与しない余剰HCがそのまま外部に
排出されてしまう。
【0012】これを避けるため、、上記した国際特許公
開公報では、リッチスパイク時の空燃比としては、それ
ほど濃くはない一定値に固定している。しかし、このた
めに過不足のないようにHC量は供給できても、リッチ
スパイクの制御時間は最短とはならず、むしろ制御時間
が長くなり、このため最良のNOx浄化効率が得られな
いという問題があった。
【0013】本発明はこのような問題を解決するために
提案されたもので、リッチスパイク時にNOx吸蔵触媒
における実際のNOx脱離特性を検出しながら、空燃比
を徐々にリッチ側に制御することにより、短時間のうち
反応を終了させ、NOxの浄化効率と燃費の向上とを両
立させることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、リーン空
燃比運転中に排気中のNOxを吸着保持するとともにリ
ッチ空燃比運転中に吸着保持したNOxを脱離、還元す
るNOx吸蔵触媒を備えた内燃機関において、前記NO
x吸蔵触媒の上流側の空燃比を検出する手段と、同じく
下流側の空燃比を検出する手段と、前記NOx吸蔵触媒
に吸着保持したNOxを脱離、還元すべきときに、空燃
比をリッチ側に徐々に変更するとともに、このリッチ化
制御を触媒上流空燃比と下流空燃比がほぼ一致したとき
に終了する空燃比一時リッチ補正手段とを備える。
【0015】第2の発明は、第1の発明において、前記
補正手段は、前記NOx吸蔵触媒に吸着保持したNOx
を脱離、還元すべきときに、空燃比をリッチ側の所定の
初期空燃比からさらにリッチ側に徐々に変更する。
【0016】第3の発明は、第2の発明において、前記
補正手段は、前記NOx吸蔵触媒に吸着保持したNOx
を脱離、還元すべきときに、空燃比をリッチ側の所定の
初期空燃比に所定の期間維持した後にさらにリッチ側に
徐々に変更する。
【0017】第4の発明は、第2または第3の発明にお
いて、前記補正手段は、前記所定の初期空燃比をそのと
きのNOx吸蔵触媒温度に応じて設定する。
【0018】第5の発明は、第3の発明において、前記
補正手段は、前記所定の期間をそのときのNOx吸蔵触
媒温度に応じて設定する。
【0019】第6の発明は、第1から第5の発明におい
て、前記補正手段は、前記空燃比のリッチ側への変更量
を吸入空気量に応じて変化させる。
【0020】第7の発明は、第1から第6の発明におい
て、リーン空燃比運転中にNOx吸蔵触媒に吸着保持さ
れるNOx量を推定する手段を備え、前記補正手段は、
NOx吸蔵触媒の推定NOx吸着保持量が所定値に達し
たときに前記リッチ化制御を実行する。
【0021】
【発明の作用・効果】第1、第7の発明において、NO
x吸蔵触媒がリーン運転中に吸着保持したNOxは空燃
比をリッチ側に切り替えることにより、触媒から脱離
し、還元される。このNOx吸蔵触媒における脱離、還
元反応は、空燃比のリッチ相当分の排気中のHCなどに
より行われる。このため反応期間中は、触媒上流側の空
燃比に比較して下流側の空燃比は薄く、ほぼ理論空燃比
となる。NOxの脱離、還元反応が終了すると、反応に
用いられていたHCなどはそのままNOx吸蔵触媒を通
過してしまうため、上流側の空燃比と下流側の空燃比は
ほぼ一致する。本発明では下流側の空燃比が上流側とほ
ぼ一致したときにNOxの脱離、還元反応が完了したも
のとみなして空燃比の一時的なリッチ化制御を終了させ
る。このためNOx吸蔵触媒に対するNOxの吸着保持
量の推定値に誤差があったとしても、空燃比のリッチ化
制御は、実際に吸着保持されたNOx量に対応してHC
などの供給が過不足のないように行われる。
【0022】そして、この場合、空燃比のリッチ化制御
は、制御が進行するにしたがって空燃比をさらにリッチ
側に徐々に移行させるので、NOxの脱離、還元反応が
時間の経過と共に促進され、短時間のうちに脱離、還元
反応を終了させることができる。しかも反応中は空燃比
が徐々に濃くなるので余剰のHCの排出が極力避けら
れ、これらの結果、燃費の悪化を最小限に抑えつつ、触
媒からのNOxの脱離、還元を非常に効率よく行える。
【0023】第2、第3の発明において、リッチ化制御
時の初期空燃比をリッチ側の一定の値とし、またその初
期空燃比を所定期間維持した後に空燃比を徐々に濃くし
ていくので、制御開始時の空燃比が必要以上に濃くなる
ことがなく、余剰なHCの排出が確実に避けられる。
【0024】第4,第5の発明において、NOxの脱
離、還元に必要な、リッチ化制御時の初期空燃比、並び
にこの初期空燃比の維持時間については、NOx吸蔵触
媒の温度状態によって変動し、温度が高いほど要求空燃
比は濃く、また維持時間は短くなる。したがって、これ
らを触媒温度に応じて決まる要求特性に合わせることに
より、不必要に空燃比を濃くしたり、あるいは脱離、還
元反応時間が長引いたりするのを防ぐことができ、NO
xの還元反応効率を高めつつ、HCの不要な排出量を低
減できる。
【0025】第6の発明において、リッチ制御中に空燃
比を同一空燃比値だけ濃くしても、そのときの吸入空気
量によって排気中のHCの絶対量は変動し、吸入空気量
が大きくなるほどHC供給量は増加する。吸入空気量に
応じてHC量が変動すると、NOxの脱離、還元反応が
不安定になり、余剰なHCの排出量も増えたりするが、
吸入空気量に応じて空燃比の変更値を変化させることに
より、一定量づつHCの供給量を増やすことができ、安
定した制御が行える。
【0026】
【実施の形態】以下本発明の最良の実施の形態について
図面に基づいて説明する。
【0027】図1において、1は機関本体、2は吸気通
路、3は排気通路であり、燃焼室4には、直接的に燃料
を噴射する燃料インジェクタ5、及びこの噴射燃料を含
む混合気を点火するための点火栓6が備えられる。
【0028】燃料インジェクタ5からは、機関の部分負
荷時など圧縮行程の後半に燃料が噴射され、点火栓近傍
に可燃混合気層を形成維持し、全体的には超リーン混合
気であっても、安定した成層燃焼を実現する。なお、機
関の高負荷時など混合気は理論空燃比に切り替えられ、
このときには燃料噴射時期は吸気行程に移り、均質的な
理論空燃比の混合気を形成し、通常の予混合燃焼を行
う。
【0029】排気通路3にはリーン運転時に排気中のN
Oxを吸着保持するNOx吸蔵触媒7が設けられる。こ
のNOx吸蔵触媒7の吸着保持量が所定の状態に達した
ときに、空燃比を一時的にリーンからリッチに切り替
え、つまりリッチスパイクを行い、保持していたNOx
を脱離、還元し、触媒の再生を行うため、燃料インジェ
クタ5からの燃料噴射量を制御装置10が切り替え制御
する。
【0030】この場合、制御装置10は運転条件に応じ
てNOx吸蔵触媒7のNOxの吸着保持量を予測し、こ
れに基づいて所定のタイミングでリッチスパイクを行
い、かつこのときのNOx還元特性を検出しながら空燃
比をフィードバック制御することにより、燃費を悪化さ
せることなく、NOxの浄化効率を最良に制御するよう
になっている。
【0031】このため、制御装置10には、吸気通路2
のスロットルバルブ開度を検出するスロットル開度セン
サ11、吸入空気量を測定するエアフロメータ12、ク
ランク角度を検出するクランク角センサ13、冷却水温
を検出する水温センサ14などからの運転状態を代表す
る信号が入力し、さらに、排気通路3のNOx吸蔵触媒
7の上流と下流の排気空燃比を検出するための上流、下
流空燃比センサ15、17と、触媒温度を代表する温度
を検出する触媒温度センサ18からの信号も入力するよ
うになっている。
【0032】制御装置10において実行される上記した
制御内容について、図2〜図6のフローチャートにした
がって詳しく説明する。
【0033】図2はリッチスパイクの実施時期を判断す
るためのもので、成層燃焼によるリーン運転時に実行さ
れる。
【0034】まずステップS1ではリッチスパイク許可
フラグFLRGS=0かどうかを見て、リッチスパイク
中か否かを判定し、リッチスパイク中でなければ、ステ
ップS2に進み、機関回転数Neと負荷(燃料噴射パル
ス幅)Tpを検出し、これらに基づいてステップS3で
マップにしたがって0.1秒毎にエンジンからのNOx
の排出量NOGを読み込む。ステップS4では、現在ま
でのNOx排出量の積算値SIGNOとして、前回値に
この排出量NOGを積算する。
【0035】ステップS5ではこの積算値SIGNO
を、所定のスライスレベルSLSNOと比較し、NOx
吸蔵触媒の吸着保持能力が限界にきたかどうかを判定す
る。スライスレベルSLSNOは、触媒が飽和状態より
もいくらか余裕のある状態に設定されている。
【0036】積算値SIGNOがスライスレベルSLS
NOを越えたならば、触媒吸着保持量が能力限界に近づ
いたものと判断し、ステップS6においてリッチスパイ
ク許可フラグFLRGS=1にセットし、リッチスパイ
クを許可し、さらにステップS7でリッチスパイク時間
計測タイマTrsをリセット(Trs=0)する。
【0037】リッチスパイク中は、ステップS1からス
テップS8に移り、リッチスパイク時間計測タイマを
0.1秒毎にアップカウントし、すなわちTrs=Tr
s+0.1として、リッチスパイク初期設定時間を計測
する。
【0038】このようにして、NOx吸蔵触媒に吸着保
持されるNOx量を積算していき、触媒の吸着保持能力
が限界にきたかどうかを判定し、これによりリッチスパ
イクの実施時期を判断する。
【0039】次に図3はリッチスパイク空燃比、維持時
間を決定するためのフローチャートで、まず、ステップ
S1ではNOx吸蔵触媒の温度を、触媒温度センサの出
力から読み込み(ただし、回転数Neと負荷Tpの値、
もしくはその履歴から予測してもよい)、この触媒温度
に基づいて、ステップS2でリッチスパイク空燃比RS
AFRをマップから算出し、ステップS3で同じくリッ
チスパイク維持時間RSTをマップから算出する。
【0040】リッチスパイク空燃比初期値RSAFRは
触媒温度が高いほど濃くし、維持時間の初期値RSTは
触媒温度が高いほど短くなり、触媒温度によるNOx脱
離反応速度にリッチスパイクを対応させるのであるが、
ただしこれらは、予測されるNOx吸着保持量に対する
目標リッチスパイク空燃比よりもいくぶんか薄めの値と
なり、かつ目標維持時間よりも短めに設定されるように
なっている。これにより実際のNOx吸着保持量に対し
て空燃比のリッチ化が過剰になるのを防ぐことができ
る。
【0041】図4は設定されたリッチスパイク空燃比を
途中から濃く変更するためのフローチャートである。
【0042】まず、ステップS1では、設定されたリッ
チスパイク空燃比の初期値RSAFRによるリッチスパ
イク制御に入ってからの計測時間Trsが、設定された
維持時間RSTに達したか否かを判定し、達するまでの
間は、設定された空燃比の初期値を維持しつつリッチス
パイクを行う。
【0043】これに対して、維持時間RSTが過ぎたら
ステップS2に移り、リッチスパイク空燃比として、初
期設定値RSAFRから所定値RSIを差し引き、空燃
比を小さくする、すなわちリッチスパイク空燃比を、後
述の図5のフローチャートで説明する所定値RSIづつ
徐々に濃くする。
【0044】ステップS3ではこの変更された空燃比R
SAFRを、空燃比下限値(過濃側の限界値)AFRL
MTと比較し、下限値AFRLMTよりも大きければ
(すなわち、下限値に達しない間は)、上記の動作を繰
り返すが、下限値に達したならば、ステップS4に進ん
でリッチスパイク空燃比RSAFRとして空燃比の下限
値AFRLMTIに設定し、それ以上に濃くならないよ
うにして機関の燃焼の悪化を回避する。
【0045】したがって、この制御動作により、リッチ
スパイク制御に移行してから初期設定された所定の維持
時間RSTが経過すると、それ以降はリッチスパイク空
燃比が徐々に濃くされる。
【0046】図5はリッチスパイク空燃比を途中から濃
くしていくときの変更量を決定するためのフローチャー
トであり、まず、ステップS1でエアフロセンサの出力
から吸入空気量Qaを読み込み、次いでステップS2に
おいて吸入空気量Qaに基づいてマップから空燃比の変
更量RSIを算出する。
【0047】リッチスパイク時の吸入空気量が小さいと
きは空燃比の変更量RSIを大きくすることで、NOx
吸蔵触媒の脱離、還元に必要なHCの供給量を確保し、
吸入空気量の大きいときにはRSIを小さくして、HC
の供給過剰を防止する。
【0048】同一の空燃比であっても吸入空気量が大き
くなれば、NOx吸蔵触媒に供給されるHCの絶対量は
増えるので、脱離反応に必要量だけ供給できるように、
吸入空気量に応じて空燃比の変更量を変化させるのであ
る。
【0049】図6はリッチスパイクの終了を判定するフ
ローチャートである。
【0050】まず、ステップS1では、NOx吸蔵触媒
上流の空燃比AFRfを上流空燃比センサの出力から、
また下流の空燃比AFRrを下流空燃比センサの出力か
らそれぞれ読み込む。
【0051】そして、ステップS2において、下流空燃
比AFRrと上流空燃比AFRfとの大きさ(濃度)を
比較し、下流空燃比AFRrの方が大きい間、つまり下
流側空燃比の方が薄い間は、上記した動作を繰り返す。
【0052】しかし、下流空燃比AFRrが上流空燃比
AFRfとほぼ同一になるか、もしくは小さい、つまり
濃くなったらステップS3に移行して、リッチスパイク
許可フラグFLGSを、FLGS=0にして、リッチス
パイクを終了させる。
【0053】ただし、この場合、空燃比センサの個体バ
ラツキ等を考慮して、一定のマージンMAFRを設定し
てあるので、実際には下流空燃比は上流空燃比を越えて
濃くなることはない。
【0054】リッチスパイク制御中にNOx吸蔵触媒の
NOxが完全に脱離するまでの間は、上流側空燃比に比
較して下流側空燃比は、NOxの脱離反応に消費される
HCの分だけ空燃比が薄くなり、NOxの脱離が完全に
終了した時点で上流と下流の空燃比が等しくなる。した
がって、これら空燃比を比較することで、リッチスパイ
クの終了時期を適確に判断できるのである。
【0055】次に全体的な作用について図7を参照しな
がら説明する。
【0056】内燃機関をリーン空燃比により成層燃焼し
ている運転中は、排気中のNOxはNOx吸蔵触媒7に
吸着保持されていき、外部への放出が阻止される。運転
条件に応じてのNOx排出量の積算値から、NOx吸蔵
触媒での吸着保持量が予測され、これが所定の限界保持
能力に達したと判断されると、触媒を再生するために空
燃比のリッチスパイク制御が行われる。
【0057】このリッチスパイク制御時の空燃比、維持
時間の初期値は、NOx吸蔵触媒7の温度に応じて設定
されるが、目標とする空燃比よりも薄めで、かつ目標と
する維持時間よりも短めに設定される。
【0058】リッチスパイクによりNOx吸蔵触媒7に
吸着保持されていたNOxは、そのときの触媒温度と空
燃比に応じて脱離、還元される。このNOxの脱離、還
元反応が行われている期間中は、図7にも示すように、
触媒上流の空燃比を理論空燃比よりも濃くても、下流の
空燃比はほぼ理論空燃比に維持される。これは、NOx
吸蔵触媒での脱離、還元反応に排気中の還元成分、つま
り理論空燃比よりも濃い部分に相当するHC、COが消
費されるためである。
【0059】この場合、従来一般的には、図7の(A)
にも示すように、リッチスパイク空燃比が必要以上に濃
い場合には、NOxの脱離、還元は速やかに行われる
が、脱離の終了までの間に排出される余剰のHC排出量
が大きくなり、その分だけ燃費が悪化する。
【0060】これに対して、図7の(B)のように、リ
ッチスパイク空燃比が要求値よりも薄い(ただし理論空
燃比よりは濃い)場合には、NOxの脱離、還元に必要
な反応時間が長くなり、この間のNOxの外部への排出
量も増加する。ただし、HCについては余剰の排出量は
減少する。
【0061】しかし、いずれについても、実際にNOx
吸蔵触媒7での反応状態を正しく検出しているわけでは
ないので、リッチスパイクの維持時間については、触媒
温度などにもよるが、経験則に基づいて決定されてお
り、反応終了時にぴったり合わせてリッチスパイクを終
了させられるわけではなかった。このため、反応終了後
もそのままリッチスパイクを継続すれば、その分だけ不
必要に燃費やHCの排出が悪化するのが避けられない
し、また反応終了前にリッチスパイクを終了すれば、N
Oxの脱離、還元が不完全に終わってしまう。
【0062】しかし、本発明では、図7の(C)に示す
ように、NOx吸蔵触媒7の上流と下流の空燃比を検出
しながら、空燃比が一致するまでの間だけ、リッチスパ
イクを行うようにしているため、NOxの脱離反応が終
了した時点で、リッチスパイク制御を確実に終了させる
ことができる。したがって、NOx吸蔵触媒7からのN
Oxの脱離、還元作用が不完全となったり、あるいは不
必要なリッチスパイクによる燃費の悪化が確実に回避で
きる。
【0063】そして、この場合、上流と下流の空燃比が
一致するまでの間において、リッチスパイクの初期設定
時間が経過すると、空燃比を徐々に濃くなるように変更
していくため、リッチスパイク空燃比がNOxの吸着保
持量に対して薄すぎるときのように、反応時間が長くか
かったり、NOxの外部への放出量が増大したりする問
題も発生しない。
【0064】つまり、空燃比の初期値の維持時間が経過
すると、リッチスパイク空燃比を初期値よりも徐々に濃
くしていくので、NOxの脱離、還元反応が促進され、
反応時間の長期化を防いで、NOxの外部放出量も少な
くできるのである。また、空燃比を徐々に濃くするの
で、最初から過剰に濃くするときのように、余剰のHC
が発生する心配もなく、HCの排出が悪化することもな
い。
【0065】また、この場合、空燃比の濃化度合いはそ
のときの吸入空気量に応じて変化させているので、HC
の供給量としては、一定量づつ増加できるので、リッチ
スパイク空燃比濃化制御の安定性が維持される。
【0066】また、リッチスパイクの空燃比初期値と維
持時間はそのときの触媒温度に対応させているので、必
要最小限のリッチスパイクとなり、それでも不足すると
きだけ空燃比の濃化と時間の延長が行われるので、HC
排出量を最小に抑えつつリッチスパイクのトータル時間
を最短にすることが可能となる。
【0067】さらにこの場合、リッチスパイクの空燃
比、維持時間の初期値は、いずれも触媒温度によって決
まる目標空燃比、及び維持時間よりもやや薄く、かつ短
めに設定しているので、実際のリッチスパイク開始時の
NOxの吸着保持量が予測値よりも小さく、反応が早期
に終了するようなときでも、リッチスパイクが過剰にな
ることが少なく、その分だけ燃費やHC放出量の抑制に
もつながる。
【0068】なお、以上の説明ではリーン運転は、筒内
直噴式の成層燃焼の例を示したが、これに限られるわけ
ではなく、その他のリーン燃焼方式についても適用でき
ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を示す概略構成図
てある。
【図2】リッチスパイク制御の実施時期を決定するフロ
ーチャートである。
【図3】リッチスパイク制御の空燃比と維持時間の初期
値を決定するフローチャートである。
【図4】リッチスパイク制御中の空燃比濃化制御のフロ
ーチャートである。
【図5】空燃比濃化量を決定するフローチャートであ
る。
【図6】リッチスパイク制御の終了を判断するフローチ
ャートである。
【図7】リッチスパイク時の触媒の上流と下流の空燃比
変化とNOx、HCの排出特性を示すもので、(A)は
リッチスパイク空燃比が濃い場合、(B)はリッチスパ
イク空燃比が薄い場合、(C)は本発明の特性を表して
いる。
【符号の説明】
1 機関本体 4 燃焼室 5 燃料インジェクタ 6 点火栓 7 NOx吸蔵触媒 10 制御装置 15 上流空燃比センサ 17 下流空燃比センサ 18 触媒温度センサ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リーン空燃比運転中に排気中のNOxを吸
    着保持するとともにリッチ空燃比運転中に吸着保持した
    NOxを脱離、還元するNOx吸蔵触媒を備えた内燃機
    関において、 前記NOx吸蔵触媒の上流側の空燃比を検出する手段
    と、 同じく下流側の空燃比を検出する手段と、 前記NOx吸蔵触媒に吸着保持したNOxを脱離、還元
    すべきときに、空燃比をリッチ側に徐々に変更するとと
    もに、このリッチ化制御を触媒上流空燃比と下流空燃比
    がほぼ一致したときに終了する空燃比一時リッチ補正手
    段とを備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装
    置。
  2. 【請求項2】前記補正手段は、前記NOx吸蔵触媒に吸
    着保持したNOxを脱離、還元すべきときに、空燃比を
    リッチ側の所定の初期空燃比からさらにリッチ側に徐々
    に変更する請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 【請求項3】前記補正手段は、前記NOx吸蔵触媒に吸
    着保持したNOxを脱離、還元すべきときに、空燃比を
    リッチ側の所定の初期空燃比に所定の期間維持した後に
    さらにリッチ側に徐々に変更する請求項2に記載の内燃
    機関の排気浄化装置。
  4. 【請求項4】前記補正手段は、前記所定の初期空燃比を
    そのときのNOx吸蔵触媒温度に応じて設定する請求項
    2または3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】前記補正手段は、前記所定の期間をそのと
    きのNOx吸蔵触媒温度に応じて設定する請求項3に記
    載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 【請求項6】前記補正手段は、前記空燃比のリッチ側へ
    の変更量を吸入空気量に応じて変化させる請求項1〜5
    のいずれか一つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 【請求項7】リーン空燃比運転中にNOx吸蔵触媒に吸
    着保持されるNOx量を推定する手段を備え、前記補正
    手段は、NOx吸蔵触媒の推定NOx吸着保持量が所定
    値に達したときに前記リッチ化制御を実行する請求項1
    〜6のいずれか一つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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