JPH11208403A - インストルメントパネル構造 - Google Patents

インストルメントパネル構造

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JPH11208403A
JPH11208403A JP10008723A JP872398A JPH11208403A JP H11208403 A JPH11208403 A JP H11208403A JP 10008723 A JP10008723 A JP 10008723A JP 872398 A JP872398 A JP 872398A JP H11208403 A JPH11208403 A JP H11208403A
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Takeshi Yamaji
猛 山地
Toru Ozaki
徹 尾崎
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Toyo Tire and Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インストルメントパネルの意匠に自由度を与
えながら、エアバッグを穏やかに所定の形状に膨張させ
る。特にエアバッグ下部をスムーズに膨張させる。 【解決手段】 所定の衝撃を検知して車両室内に膨出し
たエアバッグ20がインストルメントパネル10とウイ
ンドシールド12とで区画された空間で膨張していると
きに、この膨張途中のエアバッグ20がウインドシール
ド12等から受ける反力によって、エアバッグ20の膨
張力がインストルメントパネル10に作用し、この作用
する力によってインストルメントパネル10の全体又は
所定の一部54を車両高さ方向略下方に変形させながら
移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のインスト
ルメントパネル構造に関し、特に、インストルメントパ
ネルの内側にエアバッグ装置を配設したインストルメン
トパネル構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の自動車のインストルメントパネル
においては、車両の衝突時にエアバッグを膨張させるこ
とにより乗員を拘束するためのエアバッグ装置を埋設す
ることが多い。
【0003】このようなインストルメントパネル内側に
配設されるエアバッグ装置は、一般に、助手席の乗員を
拘束するために用いられており、これには、インストル
メントパネルの略水平な上面部と呼ばれる部位に配置さ
れ、この部位からエアバッグを膨張させるトップマウン
ト型と、前記上面部の車両後方側に連続して湾曲しなが
ら下方に延びる略垂直な縦面部と呼ばれる部位に配置さ
れ、この部位からエアバッグを膨張させるミッドマウン
ト型とがある。
【0004】かかる助手席用エアバッグ装置は、通常、
ガス発生器であるインフレータと、該インフレータの発
するガスにより膨張展開するエアバッグと、このエアバ
ッグの展開方向を覆うエアバッグドアを備えてなる。そ
して、車両の衝突により所定の衝撃を検知すると、イン
フレータに作動信号に入力されてガスが発生し、このガ
スがエアバッグに供給されて折り畳まれたエアバッグに
内圧が発生する。この内圧によってエアバッグドアが開
口し、この開口からエアバッグが車両室内に膨張するこ
とにより乗員を拘束するようになっている。
【0005】これらの部品は、ボディ構造部材に固定さ
れたケースに収納固定されており、エアバッグドアはこ
れに加えインストルメントパネルの開口縁部と係合して
いるのが一般的である。
【0006】上記エアバッグは、エアバッグドアから膨
出するとエアバッグ上部をウインドシールドに、下部を
インストルメントパネルに区画され、膨張していく。乗
員がエアバッグに接触した場合、乗員を受け止めるエア
バッグの車両後方面部、即ち、乗車状態から見てエアバ
ッグ正面に当たる正面部が、乗員によって区画される。
エアバッグの側面は一般に区画されるものが少なく、こ
こにベントホールと呼ばれる排気穴を設けることが多
い。上記インストルメントパネルは、一般にそのデザイ
ン性を維持するため、ボディ構造部材に固定されてい
る。
【0007】
【発明で解決しようとする課題】従来、かかるインスト
ルメントパネル構造において、エアバッグは、ウインド
シールドとインストルメントパネルで区画された空間で
初期膨張し、その後、インストルメントパネルの車両後
方空間で、エアバッグ下部が所定の形状になるよう膨張
する。
【0008】すなわち、エアバッグの下部は、初期膨張
時にインストルメントパネル上を膨張し、車両後方に膨
張を続け、インストルメントパネルを越えた車両後方空
間で所定の形状になるよう、主として車両高さ方向略下
方にその内圧で膨張する。
【0009】このエアバッグの膨張過程を、穏やかに所
定の形状に膨張させるには、数々の手段がある。例え
ば、その一つとして、インストルメントパネルの形状
を、エアバッグが膨張しやすいように、インストルメン
トパネル上面が車両後方に向かって漸次に車両高さ方向
下方に傾斜する形状とする手段がある。しかしながら、
このように区画空間をより大きくスムーズな形状とする
と、これによってインストルメントパネルの意匠に制約
を受けてしまう。
【0010】また、乗員が比較的インストルメントパネ
ルに近接している場合、ウインドシールドとインストル
メントパネルと近接乗員で区画された空間で初期膨張す
ることとなり、乗員はエアバッグから反力を受けること
となる。
【0011】そこで、本発明は、エアバッグを穏やかに
所定の形状に膨張させるため、特にエアバッグ下部をス
ムーズに膨張させるために、インストルメントパネルの
意匠に自由度を与えながら、エアバッグの膨張空間をよ
り広くすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
インストルメントパネル構造は、自動車のインストルメ
ントパネルの内側に、インフレータの発するガスにより
エアバッグを車両室内に膨出させるエアバッグ装置が配
され、エアバッグの作動時に、車両室内に膨出したエア
バッグの膨張力がインストルメントパネルに作用する力
によって、該インストルメントパネルが車両高さ方向略
下方に変形しながら移動することを特徴とする。
【0013】請求項2記載のインストルメントパネル構
造は、自動車のインストルメントパネルの内側に、イン
フレータの発するガスによりエアバッグを車両室内に膨
出させるエアバッグ装置が配され、エアバッグの作動時
に、車両室内に膨出したエアバッグの膨張力がインスト
ルメントパネルに作用する力によって、該インストルメ
ントパネルの所定の一部が車両高さ方向略下方に変形し
ながら移動することを特徴とする。
【0014】請求項1,2のインストルメントパネル構
造であると、エアバッグ作動時にインストルメントパネ
ルの全体や所定の一部を変形させながら下方に移動させ
ることにより、通常の意匠設計されたインストルメント
パネルでありながら、エアバッグが膨張する空間をこの
変形及び移動の分広く取ることができる。そのため、エ
アバッグをより広い空間で初期膨張させることができ、
特にエアバッグ下部が所定の形状に膨張する過程を促進
させ、エアバッグを穏やかに所定形状に膨張させること
ができる。
【0015】また、従来、エアバッグの展開方向はウイ
ンドシールドとインストルメントパネルとエアバッグ装
置の取付け角度などで決定されているが、本発明では、
上記空間を決定する境界条件を変化させることができる
作用から、その分エアバッグの膨張展開を変化させるこ
とができる。そのため、この膨張展開の変化によって、
所定の形状に穏やかにエアバッグを膨張させることがで
き、またエアバッグの乗員に対する作用を変化させるこ
とができる。
【0016】請求項1と請求項2を組合せて、インスト
ルメントパネルの上記所定の一部を変形させながら移動
させるとともに、インストルメントパネルの全体を変形
させながら移動させるように構成してもよい。
【0017】なお、従来のインストルメントパネル構造
においても、エアバッグの膨張により、インストルメン
トパネルは、その材質や厚み、取付け部材の剛性等に起
因して弾性変形や塑性変形するが、本発明では、かかる
変形のみならず、上記のように移動させてエアバッグの
膨張する空間を広げることにより、上記効果を達せしめ
ている。
【0018】請求項3記載の構造は、請求項1又は2に
おいて、車両室内に膨出した前記エアバッグがインスト
ルメントパネルとウインドシールドとで区画される空間
で膨張することを特徴とする。
【0019】このようにエアバッグがインストルメント
パネルとウインドシールドとで区画される空間で膨張す
ると、この膨張途中のエアバッグはウインドシールドか
ら反力を受け、この反力によって当該エアバッグの膨張
力がインストルメントパネルに作用して、かかる区画空
間を広げる方向にインストルメントパネルの全体又は所
定の一部が変形しながら移動する。
【0020】この場合、乗員が比較的インストルメント
パネルに近接している場合、エアバッグはインストルメ
ントパネルとウインドシールドと乗員とで区画される空
間で膨張することになる。そのため、この膨張途中のエ
アバッグはウインドシールドや近接乗員から反力を受け
て、かかる区画空間を広げる方向にインストルメントパ
ネルが変形及び移動する。
【0021】請求項4記載の構造は、請求項1におい
て、前記インストルメントパネルがボディ構造部材に固
定されており、この固定部におけるインストルメントパ
ネル側の係合面部が、前記エアバッグの膨張力がインス
トルメントパネルに作用する力によって、ボディ構造部
材側の係合面部に対して所定の方向に移動することによ
り、該インストルメントパネル全体が車両高さ方向略下
方に移動することを特徴とする。
【0022】ここで、ボディ構造部材とは、ボディに取
付けられたボディブラケット、インストルメントパネル
内に配された管状のリインホース、リインホースに連結
分岐されたブレース等の一般にインストルメントパネル
を固定するために用いられるボディ側の部材をいう。
【0023】このようにインストルメントパネルのボデ
ィ構造部材への固定部を移動させることにより、インス
トルメントパネル全体を変形させながら移動させること
ができる。
【0024】この場合、請求項5記載のように、前記イ
ンストルメントパネル側の係合面部と前記ボディ構造部
材側の係合面部とを固定する固定手段が両係合面部に設
けられた孔に締込み固定されており、いずれか一方又は
双方の前記孔が長孔状に形成され、この長孔に案内され
て前記インストルメントパネル側の係合面部が車両高さ
方向略下方に移動するよう構成してもよい。
【0025】請求項6記載の構造は、請求項5におい
て、前記両係合面部が車両前後方向に略垂直に配され、
前記ボディ構造部材側の係合面部の下端が前記インスト
ルメントパネル側の係合面部側に折曲されたことを特徴
とする。
【0026】このようにボディ構造部材の係合面部の下
端をインストルメントパネルの係合面部側に折曲するこ
とにより、インストルメントパネルを組付けるときに、
かかる折曲げ部にその係合面部を載せるように組付ける
ことによりインストルメントパネルの位置決めが容易と
なる。また、この折曲げ部の強度により係合面部が移動
を開始するための入力を調整することができるので、該
入力の調整が容易である。また、両係合面部が車両前後
方向に略垂直に配されているため、上記固定手段を略車
両前後方向に差込むことができ、組付け作業性に優れ
る。
【0027】請求項7記載の構造は、請求項5におい
て、前記両係合面部が車両前後方向に略垂直に配され、
前記インストルメントパネル側の係合面部の上方に、前
記ボディ構造部材側の係合面部の上端に当接することに
より前記インストルメントパネル側の係合面部の下方へ
の移動を規制する規制手段が設けられたことを特徴とす
る。
【0028】これにより、インストルメントパネルの略
下方への移動のストロークを規制することができる。ま
た、請求項6と同様、組付け作業性にも優れる。
【0029】請求項8記載の構造は、請求項4におい
て、前記インストルメントパネル側の係合面部が、前記
エアバッグの膨張力がインストルメントパネルに作用す
る力によって、前記ボディ構造部材側の係合面部から外
れることにより車両高さ方向略下方に移動することを特
徴とする。
【0030】係合面部が傾斜している場合には、単に固
定手段が差込まれる孔を長孔状にするだけでは、係合面
部の下方へのストロークを得にくいが、このように両係
合面部の係合を解除させることにより、係合面部が傾斜
している場合でも十分な下方への移動のストロークを得
ることができる。
【0031】請求項9記載の構造は、請求項4におい
て、前記インストルメントパネル側の係合面部と前記ボ
ディ構造部材側の係合面部との間に、前記インストルメ
ントパネル側の係合面部が移動を開始するために前記固
定部に必要な入力を調整する調整部材が挟持されたこと
を特徴とする。
【0032】この場合、調整部材の強度により、インス
トルメントパネル側の係合面部が移動を開始するための
入力を調整することができる。
【0033】請求項10記載の構造は、請求項2におい
て、前記エアバッグ装置が、インストルメントパネルの
略水平な上面部から前記エアバッグを膨出させるように
当該上面部の内側に配され、インストルメントパネルの
前記所定の一部が、このエアバッグの膨出部の車両後方
側に設定されていることを特徴とする。
【0034】この場合、車両室内に膨出したエアバッグ
は、インストルメントパネル、特にそのエアバッグ膨出
部の後方側とウインドシールドとで区画される空間で膨
張する。そのため、エアバッグの膨出部の車両後方側に
おけるインストルメントパネルの所定の一部を略下方に
変形させながら移動させることにより、エアバッグの膨
張空間を効果的に広げることができる。
【0035】請求項11記載の構造は、請求項10にお
いて、前記所定の一部が、インストルメントパネルの車
両後方端部を含む領域に設定されていることを特徴とす
る。
【0036】インストルメントパネルの車両後方端部
は、通常、乗員に最も接近しているため、この部分を略
下方に移動させることにより、インストルメントパネル
上を膨張展開していくエアバッグの下部をより円滑に膨
張させることができる。
【0037】請求項12記載の構造は、請求項10にお
いて、前記インストルメントパネルが、樹脂成形された
パネル材よりなる一層構造のインストルメントパネル、
又はパネルの基部を構成する芯材とその表面を覆う表皮
材とを備えてなる複層構造のインストルメントパネルで
あり、前記パネル材又は前記芯材における前記エアバッ
グ膨出部の車両後方側に移動部が形成され、エアバッグ
の膨張力がインストルメントパネルに作用する力によっ
て、この移動部が車両高さ方向略下方に移動することに
よりインストルメントパネルの前記所定の一部が変形し
ながら移動することを特徴とする。
【0038】このようにインストルメントパネルは、一
層構造のものであっても複層構造のものであってもよ
い。但し、表皮材を有する複層構造であれば、芯材に移
動部を設けてもその構造自体は表皮材により覆われて車
両室内から見えないため、意匠的に有利である。
【0039】この場合、請求項13記載のように、前記
移動部が、車両前方側に開かれた略コ字状の移動部形成
線により形成されており、前記インストルメントパネル
に作用する力によって、該移動部がその前端部を中心と
して後方側が下方に回転するよう構成することができ
る。
【0040】また、請求項14記載のように、前記移動
部が、前記パネル材の本体又は前記芯材の本体とは別体
の部材により構成されて、該本体に設けられた開口に係
止されており、前記インストルメントパネルに作用する
力によって、該移動部が前記開口から外れて車両高さ方
向略下方に移動するよう構成することもできる。
【0041】さらに、請求項15記載のように、前記移
動部が、前記パネル材又は前記芯材における前記エアバ
ッグの膨出部と一体に形成されていてもよい。
【0042】また、インストルメントパネルが樹脂成形
されたパネル材よりなる一層構造の場合には、請求項1
6記載のように、前記パネル材が、高弾性材料からなる
前記移動部と、より弾性率の低い材料からなるパネル材
本体とを、一体成形してなるものであってもよい。
【0043】請求項17記載の構造は、請求項1又は2
において、車両室内に膨出した前記エアバッグがインス
トルメントパネルと乗員とで区画される空間で膨張して
いるときに、この膨張途中のエアバッグが乗員から受け
る反力によって当該エアバッグの膨張力がインストルメ
ントパネルに作用することを特徴とする。
【0044】かかる構成は、上述したいわゆるミッドマ
ウント型の場合に効果的である。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0046】図1は本発明の第1の実施形態におけるイ
ンストルメントパネル10の斜視図、図2は図1のII
−II線断面図、図3は該インストルメントパネル10
におけるボディ構造部材への固定部を示す要部斜視図で
ある。
【0047】インストルメントパネル10は、車両室内
の前面部に配設されるものであって、ウインドシールド
12のほぼ下端に位置するボディのカウル部14から車
両後方に延びる略水平な上面部10aと、その車両後方
側に連続して湾曲しながら下方に延びる略垂直な縦面部
10bと、その下端側に連続して車両前方かつ下方に傾
斜して延びる下面部10cとを備えて構成されている。
【0048】このインストルメントパネル10は、上述
したいわゆるトップマウント型の構造を有する。即ち、
上面部10aの内側における助手席に対応する位置にエ
アバッグ装置16が埋設されている。
【0049】エアバッグ装置16は、上方に開口するケ
ース18内に、折畳まれたエアバッグ20とこのエアバ
ッグ20を膨張展開させるインフレータ22とを収納固
定してなり、このケース18が、インストルメントパネ
ル10内部においてボディの左右のサイドパネル(不図
示)を連結する管状のリインホース24に、ブラケット
18aを介して固定されている。なお、エアバッグ装置
16は、このようにリインホース等のボディ構造部材に
固定されていても、あるいはまたインストルメントパネ
ル10にだけ取付けられていてもよい。また、エアバッ
グ装置16は、後述するインストルメントパネル10の
移動とともに略下方に移動するものであっても、移動し
ないものであってもよい。
【0050】エアバッグ20の上方におけるインストル
メントパネル10の上面部10aには開口26が形成さ
れており、この開口26を塞ぎ、かつエアバッグ20の
上面を覆うようにエアバッグドア28が配されている。
なお、エアバッグドア28はインストルメントパネル1
0と一体化してもよい。
【0051】インストルメントパネル10には、レジス
タ30、ダクト31等がサブアッセンブリされるととも
に、車両組立ラインでグラブボックス32等の部品類が
装着されている。
【0052】インストルメントパネル10は、その上面
部10aの前端がカウル部14に固定されるとともに、
その下面部10cの下端がボディに設けられたボディブ
ラケット34に固定され、これによりボディに対して固
定されている。
【0053】上面部10aの前端は、例えば、上面部1
0aに突設したピンをカウル部14に設けた孔に差し込
む等して、カウル部14に固定されている。
【0054】下面部10cの下端は、インストルメント
パネル10とボディブラケット34にそれぞれ設けられ
た穴付きの係合面部を重ね合せて、ボルトやスクリュー
ボルト等の固定手段を締込み固定することにより、ボデ
ィブラケット34に係止されている。
【0055】具体的には、インストルメントパネル10
の下端には、係合面部36が車両幅方向に3個設けられ
ている。この係合面部36は、固定手段であるボルト3
7を車両前後方向に差込み可能にしてその作業性を高め
るために、車両前後方向に略垂直に設けられている。こ
の係合面部36に相対するようにボディブラケット34
にも係合面部35が設けられている。図4に示すよう
に、両係合面部35,36には孔35a,36aが設け
られており、この孔35a,36aにボルト37を差込
んでナット38とともに締付けることにより、両係合面
部35,36が固定されている。なお、ナット38はボ
ディブラケット34の係合面部35に溶接されていても
よい。
【0056】図3,4に示すように、インストルメント
パネル10側の係合面部36の孔36aは、当該係合面
部36が略下方にスライド移動できるよう車両高さ方向
に延びる長孔状に形成されている。図4(a)に示すよ
うに、ボルト37は組付け状態においてこの長孔36a
の下端側に位置している。
【0057】また、図4(a)に示すように、ボディブ
ラケット34の係合面部35の下端は前方に折曲げられ
て折曲げ部39とされており、インストルメントパネル
10の係合面部36をこの折曲げ部39に載せた状態で
組み付けられている。
【0058】また、インストルメントパネル10の略下
方への移動代、即ちストロークSを規制するために、イ
ンストルメントパネル10の裏面には、その係合面部3
6の上方に、ボディブラケット34の係合面部35の上
端と当接することでインストルメントパネル10の更な
る略下方への移動を規制するリブ40が設けられてい
る。
【0059】この実施形態のインストルメントパネル構
造においては、車両衝突時、インフレータ22の発する
ガスによりエアバッグ20に内圧が発生し、この内圧に
よってエアバッグドア28が開口し、この開口からエア
バッグ20が車両室内に膨出し始める。車両室内に膨出
したエアバッグ20は、図5に示すように、その上部を
ウインドシールド12に、下部をインストルメントパネ
ル10の上面部10aに区画されて膨張していく。
【0060】この膨張途中のエアバッグ20がウインド
シールド12から受ける反力によって、エアバッグ20
の膨張力がインストルメントパネル10の上面部10a
に作用する。このようにインストルメントパネル10が
エアバッグ20の膨張力による力を受けたとき、その力
が所定以上となると、図4(b)に示すように、インス
トルメントパネル10下端の係合面部36が、ボディブ
ラケット34の係合面部35下端の折曲げ部39を変形
させて、孔36aの長手方向に沿って下方にスライドす
る。これによりインストルメントパネル10は、図5に
示すように、その全体が略下方に変形しながら移動す
る。そして、上記係合面部36が所定のストロークSだ
けスライドしたときに、リブ40により該スライドが終
了する。
【0061】詳細には、インストルメントパネル10
は、その上端においてカウル部14に固定されているた
め、このカウル部14との固定部を中心として、車両側
面視でインストルメントパネル10の後端が略下方に所
定の距離回転するように、移動する。すなわち、インス
トルメントパネル10は、単に係合面部36が移動する
だけでなく、結果的にエアバッグ20の膨張空間が広が
る方向に巨視的に移動する。
【0062】また、この移動に、インストルメントパネ
ル10のエアバッグ20が接触している部分や固定部分
などにおける弾性変形や塑性変形が加わる。
【0063】この移動と変形により、ウインドシールド
12とインストルメントパネル10で区画された空間
を、図5で斜線部として示す空間42分だけ広げること
ができる。
【0064】このように、エアバッグ20をより広い空
間で初期膨張させることができ、特にエアバッグ20の
下部が所定の形状に膨張する過程を促進することができ
るので、エアバッグ20を穏やかに所定の形状に膨張さ
せることができる。
【0065】また、インストルメントパネル10をエア
バッグ20の初期膨張時に変形させながら移動させるも
のであるため、通常の意匠設計されたインストルメント
パネルを使用することができる。つまり、インストルメ
ントパネルの意匠に制約を受けることがなく、意匠設計
の自由度が高い。
【0066】また、乗員がインストルメントパネル10
に近接している場合、エアバッグ20は、ウインドシー
ルド12とインストルメントパネル10と乗員とで区画
された空間で膨張し、ウインドシールド12のみならず
乗員からも反力を受ける。これらの反力によってエアバ
ッグ20の膨張力がインストルメントパネル10の上面
部10aに作用し、インストルメントパネル10の全体
が略下方に変形しながら移動して上記区画された空間が
広がるため、上記と同様の効果が得られる。
【0067】さらに、従来、エアバッグ20の展開方向
はウインドシールド12とインストルメントパネル10
とエアバッグ装置16の取付け角度などで決定されてい
るが、本実施形態では、上記のように区画空間を決定す
る境界条件を変化させることができる作用により、その
分エアバッグ20の膨張展開を変化させることができ
る。そのため、この膨張展開の変化によって、所定の形
状に穏やかにエアバッグ20を膨張させることができ、
またエアバッグ20の乗員に対する作用を変化させるこ
とができる。
【0068】また、ボディブラケット34の係合面部3
5の下端に折曲げ部39を設けて、インストルメントパ
ネル10の係合面部36を載せるように組み付けれてい
るため、かかる組付け作業時におけるインストルメント
パネル10の位置決めが容易となるばかりでなく、この
折曲げ部39の強度によって上記移動を開始するための
入力を調整することができる。
【0069】図6は、インストルメントパネル10下端
の固定部における係合面部35,36の孔35a,36
aの変更例を示したものである。この例では、インスト
ルメントパネル10側の係合面部36の孔36aを長孔
にする代りに、ボディブラケット34側の係合面部35
の孔35aを車両高さ方向に延びる長孔状としており、
この場合も上記と同様の作用効果が得られる。
【0070】このように係合面部35,36の孔35
a,36aを長孔にする構成は、インストルメントパネ
ル10とボディブラケット34のいずれでもよく、また
双方を長孔状にしてもよい。なお、図6に示す例では、
ナット38はボディブラケット34の係合面部35に溶
接していない。
【0071】図7,8は、本発明の第2の実施形態に係
るインストルメントパネル構造の要部を示したものであ
る。
【0072】この実施形態では、インストルメントパネ
ル10をボディブラケット34に固定する代りに、イン
ストルメントパネル10内に配された管状のリインホー
ス24に固定している。
【0073】この場合、インストルメントパネル10側
の係合面部44は、上面部10aにおける車両後方端部
の裏面側から一体に突設されている。この係合面部44
は、車両前方かつ下方に傾斜して形成されている。ま
た、リインホース24にはブラケット45が取付けられ
ており、このブラケット45は上記係合面部44に相対
する係合面部46を備える。両係合面部44,46は、
ブラケット45側の係合面部46を上にして互いに重ね
合わされて、ボルト37によりナット38とともに締付
け固定されている。
【0074】ここで、インストルメントパネル10側の
係合面部44は、ボルト37が挿通される円形の孔44
aを有し、ブラケット45側の係合面部46は、図8に
示すように、下方に開いたU字状の長孔よりなる孔46
aを有する。
【0075】この実施形態では、エアバッグ20の膨張
力によりインストルメントパネル10の上面部10aに
略下向きの力Fが作用したとき、インストルメントパネ
ル10側の係合面部44がブラケット45側の係合面部
46の孔46aの長手方向に沿って下方にスライドし
て、ボルト37が孔46aから外れることにより、両係
合面部44,46の係合が解除される。これにより、第
1の実施形態と同様、インストルメントパネル10はそ
の全体が略下方に変形しながら移動する。
【0076】このようにリインホース24との固定部位
では、係合面部44,46が車両前後方向に垂直でなく
傾斜している場合がある。この場合に、係合面部46の
孔46aを単に係合面部46に沿った長孔としたので
は、車両下方へのストロークを得にくいが、上記のよう
に下方に開いたU字状にすることにより、インストルメ
ントパネル10は、係合面部46に沿う所定のストロー
ク後に、当該係合面部46から外れて車両高さ方向下方
への移動が可能となるので、車両下方への十分なストロ
ークを得ることができる。
【0077】なお、このようにインストルメントパネル
10をリインホース24に固定するとともにこの固定部
を解除可能に構成する場合、インストルメントパネル1
0の下端部を上記ボディブラケット34に移動不能に固
定して、エアバッグの膨張力による上記リインホース2
4との固定部の解除により、インストルメントパネル1
0の上部だけを略下方に変形させながら移動させるよう
にしてもよい。もちろん、リインホース24及びボディ
ブラケット34の双方の固定部を解除可能に構成しても
よい。
【0078】図9,10は、ブラケット45側の係合面
部46の孔46aを長孔状とする代りに、インストルメ
ントパネル10側の係合面部44の孔44aを長孔状に
形成したものである。この例では、上記係合面部44の
孔44aが上方に向って延びる長孔状をなし、図10に
示すように、その上端がナット38の通過を許容する開
口44bに連結されて、これによりこの係合面部44の
孔44aは上方に開いたU字状の長孔とされている。ブ
ラケット45側の係合面部46の孔46aは円形の孔と
されている。
【0079】この場合も、インストルメントパネル10
に作用する力Fにより、インストルメントパネル10側
の係合面部44がブラケット45から外れるため、上記
第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】なお、このようなU字状の孔により、イン
ストルメントパネル10とボディ構造部材24との固定
を所定のストローク後に解除させる構成は、係合面部が
傾斜している場合に限定されず、上記した係合面部が車
両前後方向に垂直な場合に適用することもできる。
【0081】図11,12は、インストルメントパネル
10とボディブラケット34との固定部を変更した例を
示したものである。この例では、上記第1の実施形態に
おいて、ボディブラケット34側の係合面部35の孔3
5aを第2の実施形態と同様の下方に開くU字状の長孔
に形成するとともに、この係合面部35とインストルメ
ントパネル10側の係合面部36との間に、インストル
メントパネル10側の係合面部36がスライド移動を開
始するための強度を調整する調整部材48を挟持させて
いる。
【0082】上記係合面部35には、その孔35aの周
りに少なくとも1個の小孔49aが設けられている。調
整部材48には、ボルト37が挿通されるボルト孔48
aが設けられるとともに、上記小孔49aに差込まれる
ピン49がその前面から垂直に突設されている。そし
て、調整部材48がそのピン49を対応する小孔49a
に挿入させてブラケット34に重ね合され、さらにイン
ストルメントパネル10の係合面部36が重ね合され
て、これらインストルメントパネル10の係合面部3
6、調整部材48及びボディブラケット34の係合面部
35の3部品が、ボルト37とナット38で締付け固定
されている。
【0083】この場合、図12(b)に示すように、エ
アバッグ20の膨張力がこの固定部位に伝達された時、
調整部材48のピン49が破断または抜けることによ
り、調整部材48とインストルメントパネル10が一体
となってボディブラケット34の係合面部35に対して
スライドし、所定のストローク後に当該係合面部35か
ら外れる。そのため、ピン49の強度を調整することに
より、ボルト37の締付けトルク等に頼ることなく、ス
ライドを開始するために要する荷重を調整することがで
きるので、インストルメントパネル10の材質や構造に
よらず、上記固定部位において所定の作用を奏すること
ができる。
【0084】なお、この調整部材48は、金属製でもよ
いが、調整の容易さよりナイロンなどのエンジニアリン
グプラスチックが好適である。
【0085】図13〜15は、本発明の第3の実施形態
を示したものである。この実施形態は、インストルメン
トパネル10の全体を変形及び移動させる代りに、イン
ストルメントパネル10の所定の一部を車両高さ方向略
下方に変形させながら移動させることを特徴とする。な
お、第1の実施形態と同一の符号を付したものは特に説
明しない限り、同実施形態と同一の構成を有する。
【0086】この実施形態におけるインストルメントパ
ネル10は、樹脂、鉄又はアルミなどで成形された芯材
50と、真空成形やパウダースラッシュ成形された表皮
材51との間に、緩衝材52となるウレタン等の発泡原
料を注入発泡させることにより、これら芯材50、表皮
材51及び緩衝材52を一体化した3層構造のものであ
る。
【0087】図13に示すように、芯材50には、エア
バッグドア28が配される開口26の車両後方側におけ
る所定の領域を囲むように、車両前方側に開かれた略コ
字状のスリット55が設けられている。この所定の領域
は、エアバッグ20の膨張力が入力されることにより変
形しながら移動する移動部54となる部分であり、エア
バッグ20が膨張した時にインストルメントパネル10
に接触する範囲と、変形しながら移動する際に影響され
るその周囲とを概ね含む範囲に設定される。ここでは、
インストルメントパネル10の上面部10aからその車
両後方端部を経て縦面部10bに至る領域に設定されて
いる。この移動部54は、略矩形状をなし、その前端が
芯材50本体と連続している。
【0088】図15に示すように、この移動部54の後
端は、芯材50の裏面側において、タブと呼ばれる主と
して樹脂成形された部材56で、芯材50本体に係止さ
れている。このタブ56は、その中央部が括れて脆弱部
56aとされており、その両端部がリベット57により
芯材50本体及び移動部54に取付けられている。
【0089】この実施形態であると、インストルメント
パネル10の上面部10aから膨出したエアバッグ20
が、ウインドシールド12とインストルメントパネル1
0とで区画された空間に膨張しているときに、エアバッ
グ20の膨張力が芯材50の移動部54を押し下げるよ
うにインストルメントパネル10に入力される。この略
下向きの力により移動部54を係止するタブ56の脆弱
部56aが破断して、図14に示すように、移動部54
とこれに一体化された表皮材51と緩衝材52が、移動
部54における芯材50本体との連続部を中心として、
車両高さ方向略下方に向って回動する。すなわち、移動
部54が表皮材51及び緩衝材52とともに略下方に移
動する。また、この移動にインストルメントパネル10
自体の弾性変形や塑性変形が加わる。
【0090】この移動と変形により、ウインドシールド
12とインストルメントパネル10で区画された空間を
広げることができるので、エアバッグ20をより広い空
間で初期膨張させることができ、上記第1の実施形態と
同様に、エアバッグ20を穏やかに所定の形状に膨張さ
せることができる。
【0091】特に、上記移動部54をインストルメント
パネル10の車両後方端部を含む領域に設定しているた
め、インストルメントパネル10上を膨張展開してゆく
エアバッグ20の下部をより円滑に膨張させることがで
きる。
【0092】なお、上記移動部54を形成するための移
動部形成線は、上記スリット55のように連続した切込
みには限らず、例えば、ミシン目状の切込みや、薄肉状
の脆弱部で形成することもできる。
【0093】図16〜18は、本発明の第4の実施形態
を示したものである。この実施形態では、第3の実施形
態において、上記移動部54を芯材50本体とは別体の
部材により構成している。
【0094】すなわち、図16に示すように、インスト
ルメントパネル10の芯材50には、上記所定の領域に
開口58が設けられ、芯材50本体との別体の移動部5
4がこの開口58を塞ぐように取付けられている。な
お、かかる別体の移動部54としては、鉄板、アルミ、
高弾性エラストマー(TPE、スチレン系とオレフィン
系のブレンドなど)が好適である。
【0095】この移動部54は、エアバッグ20の膨張
力が入力されることにより芯材50本体から外れるよう
に上記開口58に嵌合されている。ここでは、移動部5
4の前端と後端にそれぞれ開口58縁部に係合する爪5
9が設けられている。この爪59は、図18(a)に示
すように、芯材50の表面側に突出して、開口58縁部
の表面側を係止するようになっている。
【0096】なお、図19に示すように、爪59を芯材
50の裏面側に突出させるとともに、開口58縁部に下
向きに段差58aをつけて、この段差部58aを爪59
で係止させてもよい。この場合、爪59が芯材50の表
面側に出ないため、特に後述する一層構造のインストル
メントパネルに好適である。
【0097】この第4の実施形態では、エアバッグ20
の膨張力がインストルメントパネル10に入力される
と、図18(b)に示すように爪59が芯材50本体か
ら外れ、図17に示すように、移動部54が表皮材51
及び緩衝材52とともに略下方に移動する。これにより
上記第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】図20,21は、第4の実施形態におい
て、芯材50の上記移動部54をエアバッグ20の上面
を覆うエアバッグドアと一体に形成した例を示してい
る。
【0099】すなわち、移動部54で塞がれる芯材50
の開口58が、上記所定の領域からエアバッグ20の上
面を覆う領域まで拡張されており、この拡張された開口
58の全域を塞ぐように芯材50とは別体の移動部54
が配されている。この移動部54は、上記した高弾性エ
ラストマーで成形されており、裏面側に突出する爪59
を有してこの爪59により開口58縁部を係止するよう
になっている。
【0100】この移動部54におけるエアバッグ20の
上方に相当する部分にはエアバッグ20を車両室内に膨
出させるために開裂する薄肉状のティアライン62が形
成されている。また、これと対向する表皮材51の所定
箇所にも薄肉状のティアライン63が形成されている。
【0101】この例においては、エアバッグ20の内圧
により移動部54と表皮材51のティアライン62,6
3が開裂し、この開裂口からエアバッグ20が膨出す
る。この膨出したエアバッグ20の膨張力がインストル
メントパネル10に入力されると、図21に示すよう
に、爪59が外れてエアバッグドアと一体化された移動
部54が表皮材51及び緩衝材52とともに略下方に移
動し、上記第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0102】なお、上記第3及び第4の実施形態におけ
る移動部54の芯材50本体への係止方法としては、前
述したタブ56や爪59に限らず、例えば、移動部54
と芯材50の開口58縁部に互いに対向する係合面部を
設けて両係合面部間に上述した調整部材(図11参照)
を挟んでボルト等で係止することもできる。
【0103】また、上記第3及び第4の実施形態におい
ては、いずれもインストルメントパネル10として、芯
材50と表皮材51の間に緩衝材52を発泡させて一体
化したものを用いたが、例えば、ポリプロピレンの表皮
層と発泡ポリプロピレンの緩衝層が一体成形された2層
構造の表皮材を、芯材に接着してなる3層構造のインス
トルパネルを用いることもできる。
【0104】また、オレフィン系樹脂などの樹脂でイン
ジェクション成形されたパネル材よりなる1層構造のイ
ンストルメントパネルを用いることもできる。この場
合、該パネル材に上記移動部を形成すればよい。但し、
表皮材のあるインストルメントパネルの方が、芯材の構
造が表皮材で覆われるため、意匠的には有利である。
【0105】また、表皮材や緩衝材も変形だけでなく、
移動させたい時は、これらに薄肉状の脆弱部を設けた
り、ミシン目状の切込みを設けたりすることができる。
【0106】また、図13及び図16に示す例において
は、エアバッグドア28を芯材50本体と連結すると共
に芯材50及び表皮材51にティアラインを設けること
により、表皮材51とエアバッグドア28で形成される
見切り線を廃してもよい。
【0107】図22は、本発明の第5の実施形態を示し
たものである。この実施形態では、エアバッグ装置16
の配置を上記第1の実施形態におけるトップマウント型
からミッドマウント型に変更している。
【0108】すなわち、この例では、車両後方に向って
緩かに下方に傾斜するインストルメントパネル10の上
面部10aの車両後方端部から下方に湾曲して延びる縦
面部10bの上部に至る部位にエアバッグ20が膨出す
るように、かかる湾曲部の内側にエアバッグ装置16が
配されている。エアバッグ装置16はケース18の開口
部を上方かつ車両後方に向って傾斜させて配されてい
る。インストルメントパネル10のボディに対する固定
方法は上記第1の実施形態と同様である。
【0109】この第5の実施形態では、エアバッグ20
はインストルメントパネル10と乗員Pとで区画される
空間で膨張する。そのため、この膨張途中のエアバッグ
20が乗員Pから反力を受け、この反力によってエアバ
ッグ20の膨張力がインストルメントパネル10に作用
して、イントルメントパネル10全体が車両高さ方向略
下方に変形しながら移動する。これにより区画空間が広
がるので、上記第1の実施形態と同様に、エアバッグ2
0を穏やかに所定の形状に膨張させることができる。
【0110】なお、上記各実施形態において、インスト
ルメントパネル10に樹脂成形されたパネル材よりなる
1層構造のインストルメントパネルを用いる場合、エア
バッグ20が膨出する部位の車両後方側の上記所定の領
域に高弾性エラストマーなどの高弾性材料を用い、その
他の部分にオレフィン系樹脂などのより弾性率の低い材
料を用いて、両者を一体成形、例えばいわゆるダブルイ
ンジェクションで同時成形してもよい。この場合、上記
第1,2,5の実施形態においては、インストルメント
パネル全体を移動させながら、膨張するエアバッグが接
触する上記所定の領域における弾性変形を促進させて、
エアバッグが膨張する空間をより広げることができる。
上記第3の実施形態においては、高弾性材料で形成され
た上記移動部の変形が促進される。上記第4の実施形態
においては、高弾性材料で形成された上記移動部と、よ
り弾性率の低い材料で形成されたパネル材本体との境界
線上に、エアバッグの膨張力により破断する薄肉状の脆
弱部を設けて、当該脆弱部の破断により該移動部がパネ
ル材本体から外するように構成すればよい。なお、この
ように一体成形した成形品に塗装を施すこともできる。
【0111】
【発明の効果】本発明のインストルメントパネル構造で
あると、エアバッグ作動時にインストルメントパネルの
全体や所定の一部を変形させながら下方に移動させるこ
とにより、通常の意匠設計されたインストルメントパネ
ルでありながら、エアバッグが膨張する空間をこの変形
及び移動の分広く取ることができる。そのため、エアバ
ッグをより広い空間で初期膨張させることができ、特に
エアバッグ下部が所定の形状に膨張する過程を促進さ
せ、エアバッグを穏やかに所定形状に膨張させることが
できる。
【0112】また、エアバッグが膨張する空間を決定す
る境界条件を変化させることができる作用から、その分
エアバッグの膨張展開を変化させることができる。その
ため、この膨張展開の変化によって、所定の形状に穏や
かにエアバッグを膨張させることができ、またエアバッ
グの乗員に対する作用を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるインストルメ
ントパネルの斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】第1の実施形態におけるインストルメントパネ
ルの固定部を示す要部斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図であり、(a)は組
付け状態、(b)はエアバッグ作動時の状態をそれぞれ
示している。
【図5】エアバッグ作動時におけるインストルメントパ
ネルの概略縦断面図である。
【図6】上記固定部における変更例を示す縦断面図であ
り、(a)は組付け状態、(b)はエアバッグ作動時の
状態をそれぞれ示している。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるインストルメ
ントパネルの固定部を示す縦断面図である。
【図8】図7のA方向からみた固定部の拡大図である。
【図9】第2の実施形態における固定部の変更例を示す
縦断面図である。
【図10】図9のB方向からみた固定部の拡大図であ
る。
【図11】インストルメントパネルの固定部の他の例を
示す分解斜視図である。
【図12】図11に示す例における固定部の縦断面図で
あり、(a)は組付け状態、(b)はエアバッグ作動時
の状態をそれぞれ示している。
【図13】本発明の第3の実施形態におけるインストル
メントパネルの要部欠截拡大斜視図である。
【図14】第3の実施形態におけるインストルメントパ
ネルの縦断面図である。
【図15】第3の実施形態におけるインストルメントパ
ネル裏面の要部斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施形態におけるインストル
メントパネルの要部欠截拡大斜視図である。
【図17】第4の実施形態におけるインストルメントパ
ネルの縦断面図である。
【図18】第4の実施形態における移動部の係止部の縦
断面図であり、(a)は組付け状態、(b)はエアバッ
グ作動時の状態をそれぞれ示している。
【図19】上記移動部の係止部の変更例を示す縦断面図
である。
【図20】第4の実施形態における移動部の変更例を示
すインストルメントパネルの要部欠截拡大斜視図であ
る。
【図21】図20に示す例におけるインストルメントパ
ネルの縦断面図である。
【図22】本発明の第5の実施形態におけるインストル
メントパネルの縦断面図である。
【符号の説明】
10 インストルメントパネル 10a 上面部 10b 縦面部 12 ウインドシールド 16 エアバッグ装置 20 エアバッグ 24 リインホース 28 エアバッグドア 34 ボディブラケット 35 ボディブラケット側の係合面部 35a ボディブラケット側の係合面部の孔 36,44 インストルメントパネル側の係合面部 36a,44a インストルメントパネル側の係合面部
の孔 37 ボルト 39 折曲げ部 40 リブ 46 ブラケットの係合面部 46a ブラケットの係合面部の孔 48 調整部材 50 芯材 51 表皮材 54 移動部 55 スリット 56 タブ 58 移動部のための開口 59 爪

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車のインストルメントパネルの内側
    に、インフレータの発するガスによりエアバッグを車両
    室内に膨出させるエアバッグ装置が配され、 エアバッグの作動時に、車両室内に膨出したエアバッグ
    の膨張力がインストルメントパネルに作用する力によっ
    て、該インストルメントパネルが車両高さ方向略下方に
    変形しながら移動することを特徴とするインストルメン
    トパネル構造。
  2. 【請求項2】 自動車のインストルメントパネルの内側
    に、インフレータの発するガスによりエアバッグを車両
    室内に膨出させるエアバッグ装置が配され、 エアバッグの作動時に、車両室内に膨出したエアバッグ
    の膨張力がインストルメントパネルに作用する力によっ
    て、該インストルメントパネルの所定の一部が車両高さ
    方向略下方に変形しながら移動することを特徴とするイ
    ンストルメントパネル構造。
  3. 【請求項3】 車両室内に膨出した前記エアバッグがイ
    ンストルメントパネルとウインドシールドとで区画され
    る空間で膨張することを特徴とする請求項1又は2記載
    のインストルメントパネル構造。
  4. 【請求項4】 前記インストルメントパネルがボディ構
    造部材に固定されており、 この固定部におけるインストルメントパネル側の係合面
    部が、前記エアバッグの膨張力がインストルメントパネ
    ルに作用する力によって、ボディ構造部材側の係合面部
    に対して所定の方向に移動することにより、該インスト
    ルメントパネル全体が車両高さ方向略下方に移動するこ
    とを特徴とする請求項1記載のインストルメントパネル
    構造。
  5. 【請求項5】 前記インストルメントパネル側の係合面
    部と前記ボディ構造部材側の係合面部とを固定する固定
    手段が両係合面部に設けられた孔に締込み固定されてお
    り、 いずれか一方又は双方の前記孔が長孔状に形成され、こ
    の長孔に案内されて前記インストルメントパネル側の係
    合面部が車両高さ方向略下方に移動することを特徴とす
    る請求項4記載のインストルメントパネル構造。
  6. 【請求項6】 前記両係合面部が車両前後方向に略垂直
    に配され、 前記ボディ構造部材側の係合面部の下端が前記インスト
    ルメントパネル側の係合面部側に折曲されたことを特徴
    とする請求項5記載のインストルメントパネル構造。
  7. 【請求項7】 前記両係合面部が車両前後方向に略垂直
    に配され、 前記インストルメントパネル側の係合面部の上方に、前
    記ボディ構造部材側の係合面部の上端に当接することに
    より前記インストルメントパネル側の係合面部の下方へ
    の移動を規制する規制手段が設けられたことを特徴とす
    る請求項5記載のインストルメントパネル構造。
  8. 【請求項8】 前記インストルメントパネル側の係合面
    部が、前記エアバッグの膨張力がインストルメントパネ
    ルに作用する力によって、前記ボディ構造部材側の係合
    面部から外れることにより車両高さ方向略下方に移動す
    ることを特徴とする請求項4記載のインストルメントパ
    ネル構造。
  9. 【請求項9】 前記インストルメントパネル側の係合面
    部と前記ボディ構造部材側の係合面部との間に、前記イ
    ンストルメントパネル側の係合面部が移動を開始するた
    めに前記固定部に必要な入力を調整する調整部材が挟持
    されたことを特徴とする請求項4記載のインストルメン
    トパネル構造。
  10. 【請求項10】 前記エアバッグ装置が、インストルメ
    ントパネルの略水平な上面部から前記エアバッグを膨出
    させるように当該上面部の内側に配され、 インストルメントパネルの前記所定の一部が、このエア
    バッグの膨出部の車両後方側に設定されていることを特
    徴とする請求項2記載のインストルメントパネル構造。
  11. 【請求項11】 前記所定の一部が、インストルメント
    パネルの車両後方端部を含む領域に設定されていること
    を特徴とする請求項10記載のインストルメントパネル
    構造。
  12. 【請求項12】 前記インストルメントパネルが、樹脂
    成形されたパネル材よりなる一層構造のインストルメン
    トパネル、又はパネルの基部を構成する芯材とその表面
    を覆う表皮材とを備えてなる複層構造のインストルメン
    トパネルであり、 前記パネル材又は前記芯材における前記エアバッグ膨出
    部の車両後方側に移動部が形成され、 エアバッグの膨張力がインストルメントパネルに作用す
    る力によって、この移動部が車両高さ方向略下方に移動
    することによりインストルメントパネルの前記所定の一
    部が変形しながら移動することを特徴とする請求項10
    又は11記載のインストルメントパネル構造。
  13. 【請求項13】 前記移動部が、車両前方側に開かれた
    略コ字状の移動部形成線により形成されており、 前記インストルメントパネルに作用する力によって、該
    移動部がその前端部を中心として後方側が下方に回転す
    ることを特徴とする請求項12記載のインストルメント
    パネル構造。
  14. 【請求項14】 前記移動部が、前記パネル材の本体又
    は前記芯材の本体とは別体の部材により構成されて、該
    本体に設けられた開口に係止されており、 前記インストルメントパネルに作用する力によって、該
    移動部が前記開口から外れて車両高さ方向略下方に移動
    することを特徴とする請求項12記載のインストルメン
    トパネル構造。
  15. 【請求項15】 前記移動部が、前記パネル材又は前記
    芯材における前記エアバッグの膨出部と一体に形成され
    ていることを特徴とする請求項12記載のインストルメ
    ントパネル構造。
  16. 【請求項16】 前記インストルメントパネルが、樹脂
    成形されたパネル材よりなる一層構造のインストルメン
    トパネルであって、 前記パネル材が、高弾性材料からなる前記移動部と、よ
    り弾性率の低い材料からなるパネル材本体とを、一体成
    形してなることを特徴とする請求項12〜15のいずれ
    か1項に記載のインストルメントパネル構造。
  17. 【請求項17】 車両室内に膨出した前記エアバッグが
    インストルメントパネルと乗員とで区画される空間で膨
    張しているときに、この膨張途中のエアバッグが乗員か
    ら受ける反力によって当該エアバッグの膨張力がインス
    トルメントパネルに作用することを特徴とする請求項1
    又は2記載のインストルメントパネル構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012076697A (ja) * 2010-10-05 2012-04-19 Toyota Motor Corp 助手席用エアバッグ装置

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