JPH11207558A - 工作機械の主軸台 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工作機械のビルトインモータを備えた主軸台
に遊星歯車機構を設けて高トルク化を図る。 【解決手段】 主軸台１００のハウジング１１０内に
は、スピンドル１２０と、ビルトインモータ１４０が装
備される。ビルトインモータ１４０のロータ１４４は、
駆動軸１５０に取り付けられ、駆動軸１５０はスピンド
ル１２０の外周部に回転自在に支持される。駆動軸１５
０に取り付けた太陽歯車２１０はスピンドル１２０に取
り付けたキャリア２２０の遊星歯車２３０に噛み合う。
遊星歯車２３０は、ハウジング１１０の内側に固着した
内歯車２４０に噛み合う。ロータ１４４の回転数は減速
されてスピンドル１２０に伝達され、ロータのトルクは
増大されてスピンドルを駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は工作機械の主軸台に
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、旋盤等の工作機械の主軸台は、
別体に備えるモータの出力を歯車減速機構を介してスピ
ンドルに伝達する構造が採用されている。これに対し
て、スピンドルの軸線上の主軸台内にモータを装備す
る、いわゆるビルトインモータを備えた主軸台が普及し
つつある。ビルトインモータを備えた主軸台にあって
は、モータのロータとスピンドルが一体に構成されてい
るので、モータのトルクが直接にスピンドルに伝達され
る。

【０００３】工作機械の加工効率を向上するために、ス
ピンドルのトルクの増大が必要となっている。スピンド
ルのトルクの増大のためには、ビルトインモータの大型
化が不可欠となる。ビルトインモータの大型化は、慣性
力の増大、主軸台の大型化をもたらし、モータの発熱量
も大きくなる。ビルトインモータを備えた主軸台は、モ
ータとスピンドルを同一軸線に並べて主軸台内に収容で
きるので、コンパクトな主軸台を構成することができる
反面、発熱源であるモータを主軸台のハウジング内に装
備するので、モータの冷却装置を必要とする。ビルトイ
ンモータの大型化に伴ない、冷却装置の大型、複雑化を
もたらす。そこで、ビルトインモータを小型化し、モー
タの出力を減速してスピンドルに伝達することによって
必要なトルクを得ることができる。

【０００４】図３は、減速機構を備えたビルトインモー
タ型の主軸台の構造を示す断面図である。全体を符号１
で示す主軸台は、ハウジング１０の先端部にスピンドル
２０を内蔵する。スピンドル２０は、前後をベアリング
２２，２４により支持される。ハウジングの後部には、
ビルトインモータ４０が装備される。ビルトインモータ
４０は、ステータ４２がハウジング１０の内部に固定さ
れ、ロータ４４は出力軸５０に結合される。出力軸５０
は、ベアリング５２，５４により支持される。モータの
出力軸５０とスピンドル２０は、同一軸線上に配設さ
れ、両者の間に減速機構６０が装備される。

【０００５】減速機構６０は中間軸７０を有し、中間軸
７０はベアリング７２，７４を介してハウジング内に支
持される。モータの出力軸５０の端部には、第１の小径
歯車８０が取り付けられ、中間軸７０の一方の端部に取
り付けられた第１の大径歯車８２に噛み合う。中間軸の
他方の端部に取り付けられた第２の小径歯車８４は、ス
ピンドル２０の後端部に取り付けられた第２の大径歯車
８６に噛み合う。この２段の歯車減速機構によって、モ
ータの出力軸の回転数は２段階に減速されてスピンドル
に伝達される。スピンドルの回転数は歯車比に応じて減
速されるが、回転数の減速に反比例してトルクは増大さ
れる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上に説明した主軸台
の構成によれば、ビルトインモータと歯車減速機構を同
一のハウジング内に装備することができる。しかしなが
ら、中間軸を備えるので、その部分のハウジングは大型
化せざるを得ない。したがって、主軸台を工作機械上に
装備する際の条件等に制約を受けることとなる。本発明
は、以上の不具合を解消する工作機械の主軸台を提供す
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の主軸台は、ハウ
ジングと、ハウジング内に回転自在に支持されるスピン
ドルと、ハウジング内に装備されるビルトインモータ
と、ビルトインモータの出力を変速してスピンドルに伝
達する遊星歯車機構を備えるものである。そして、ビル
トインモータのロータと一体に取り付けられてスピンド
ルの外周部にベアリングを介して回転自在に支持される
管状の駆動軸と、駆動軸の端部に固着される小径の太陽
歯車と、スピンドルに固着されるキャリアと、ハウジン
グの内側に固着される大径の内歯車と、キャリアに取り
付けられて太陽歯車と内歯車に噛み合う複数の遊星歯車
を備えるものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は本発明の主軸台の断面図、
図２は図１のＡ−Ａ矢視図である。全体を符号１００で
示す主軸台は、ハウジング１１０と、ハウジング１１０
の全面にボルト１１１により固着される面板１１２とハ
ウジング１１０の後部に固着されるフランジ１１４を有
する。

【０００９】スピンドル１２０は、ハウジング１１０に
固着される面板１１２とフランジ１１４に対して、３組
のベアリング１２２，１２４，１２６により回転自在に
支持される。ハウジング１１０内にビルトインモータ１
４０を装備する。ビルトインモータ１４０は、ハウジン
グ１１０内に固着されるステータ１４２と、ステータ１
４２により駆動されるロータ１４４を有する。ロータ１
４４の内径部には、管状の駆動軸１５０が取り付けられ
る。

【００１０】駆動軸１５０は、前後端に配設されるベア
リング１５２，１５４によって、スピンドル１２０の外
周部に対して回転自在に支持される。駆動軸１５０の回
転は、遊星歯車機構２００を介してスピンドル１２０に
伝達される。

【００１１】遊星歯車機構２００は、駆動軸１５０に対
してキー２１２を介して固着される太陽歯車２１０を有
する。スピンドル１２０の外周部には、キー２２１を介
してキャリア２２０が取り付けられ、キャリア２２０に
は、複数のシャフト２２２がナット２２３により固着さ
れる。本実施例にあっては、４本のシャフト２２２が装
備されており、各シャフト２２２は、ベアリング２２４
を介して遊星歯車２３０を回転自在に支持する。

【００１２】遊星歯車２３０は、内周側で太陽歯車２１
０に噛み合うとともに、外周側でハウジング１１０の内
周側に固着した内歯車２４０に噛み合う。そこで、ロー
タ１４４の回転は、駆動軸１５０を介して小径の太陽歯
車２１０に伝達される。大径の内歯車２４０は、ハウジ
ング１１０に固定されているので、キャリア２２０は遊
星歯車作用に減速される。キャリア２２０と一体のスピ
ンドル１２０は、この減速された回転数により駆動され
る。

【００１３】例えば、太陽歯車２１０の歯数を１３６
に、内歯車２４０の歯数を２７２に選択することによっ
て、ロータ１５０の回転数は１／３に減速されてスピン
ドル１２０に伝達される。逆にスピンドル１２０が発揮
するトルクは、ロータの出力するトルクの３倍となって
スピンドルに伝達される。

【００１４】

【発明の効果】本発明の主軸台は以上のように、ビルト
インモータと、遊星歯車機構とをスピンドルと回転上に
装備するので、コンパクトな構造で、しかも小型のビル
トインモータで大きなスピンドルのトルクを得ることが
できる。したがって、ビルトインモータの冷却装置も簡
素化することができ、主軸台全体を小型にすることがで
きる。ビルトインモータと遊星歯車機構とスピンドルを
同一の軸線上に配設するので、バランスが良くなり、動
力の伝達効率も良く、振動の発生も少なくできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の主軸台の断面図。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視図。

【図３】歯車減速機構を備えるビルトインモータ主軸台
の断面図。

【符号の説明】

１００ 主軸台 １１０ ハウジング １２０ スピンドル １４０ ビルトインモータ １４２ ステータ １４４ ロータ １５０ 駆動軸 ２００ 遊星歯車機構 ２１０ 太陽歯車 ２２０ キャリア ２３０ 遊星歯車 ２４０ 内歯車

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作機械の主軸台を構成するハウジング
   と、ハウジング内に回転自在に支持されるスピンドル
   と、ハウジング内に装備されるビルトインモータと、ビ
   ルトインモータの出力を変速してスピンドルに伝達する
   遊星歯車機構を備える工作機械の主軸台。
2. 【請求項２】 ビルトインモータのロータと一体に取り
   付けられてスピンドルの外周部にベアリングを介して回
   転自在に支持される管状の駆動軸と、駆動軸の端部に固
   着される小径の太陽歯車と、スピンドルに固着されるキ
   ャリアと、ハウジングの内側に固着される大径の内歯車
   と、キャリアに取り付けられて太陽歯車と内歯車に噛み
   合う複数の遊星歯車を備える請求項１記載の工作機械の
   主軸台。