JPH11206871A - 生体内分解吸収性の骨固定材およびその製造方法 - Google Patents
生体内分解吸収性の骨固定材およびその製造方法Info
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- JPH11206871A JPH11206871A JP10052638A JP5263898A JPH11206871A JP H11206871 A JPH11206871 A JP H11206871A JP 10052638 A JP10052638 A JP 10052638A JP 5263898 A JP5263898 A JP 5263898A JP H11206871 A JPH11206871 A JP H11206871A
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Abstract
酸あるいはL−ラクチド/DLラクチド共重合体にハイ
ドロキシアパタイトおよびアルカリ性無機化合物を混入
させ、溶融成形により成形体を作製した後、高分子鎖を
一軸あるいは多軸に分子配向させることにより、200
MPa以上の初期圧縮曲げ強度を約3〜4ヶ月間生体内
で保持し、更に約6ヶ月後から分解吸収を促進させ長く
とも3年以内にその成形体が完全に分解消失してしま
う、生体内分解吸収性の骨固定材およびその製造法。 【構成】 ポリ乳酸あるいはL−ラクチド/DL−ラク
チド共重合体とアルカリ処理したハイドロキシアパタイ
トを適当な割合でブレンドし、押出し、あるいは射出成
形することにより得られるロッドあるいはシートを、更
にその複合体の変形可能な温度で、一軸延伸、圧縮変形
あるいは固体押出し成形によって得られる、高強度でし
かも分解吸収を促進した生体内分解吸収性の骨固定材お
よびその製造法。
Description
が期待できる生体内分解吸収性の骨固定材およびその製
造方法に関するものである。
領域においては、骨折部の整復や胸部の支持に高強度の
人工材料が使用されている。この骨接合用のプレートと
かビスなどは骨折が治癒するまでの期間だけ機能し、治
癒後は骨の弱化を防ぐためにもできるだけ早期に抜き去
る必要がある。
とんどが金属または、セラミックスである。しかし、こ
れらは材料そのものの弾性率が高すぎて骨を変質させる
とか、金属イオンの溶出による生体損傷性などの問題が
ある。従って、骨と同程度の弾性率をもち、なおかつ生
体内分解吸収性である材料を骨接合に用いるならば、異
物が長期にわたって生体内に存在することで生じるさま
ざまな悪影響は解消されるであろう。
分解吸収性高分子であるポリ乳酸の骨固定材が臨床応用
されだした。
用いて骨固定材としての応用に関係しては古くから知ら
れている。例えば、特開昭59−97654号では、材
料の合成方法について開示されているが、高強度、高弾
性率をもつ成形体については何ら説明もされていない。
用いるうえで重要となる力学的性質の向上を目的とした
成形方法として特公平3−63901にて、ハイドロキ
シアパタイトを含有するポリ乳酸等の生体内分解吸収性
の高分子材料を成形した後、一軸延伸することにより強
度および弾性率を向上させている。また、類似した特許
としてWO88/05312号には射出成形したポリ乳
酸ロッドを高温で高倍率(7〜12倍)に一軸延伸し、
フィブリル化させることにより高強度、高弾性率が得ら
れることを開示している。また、溶融成形後の粘度平均
分子量20万以上のポリ乳酸の成形体を一軸延伸した骨
接合材(特開平1−198553号)が開示されてい
る。さらに、特開平9−135892には強度の異方性
を少なくさせるため、成形体中の分子鎖を一軸配向せず
に複数の基準軸に平行に配向させることを開示してい
る。
加水分解性を目的とされた骨固定材でしかなく力学的強
度と生体内での強度保持期間に問題が残されていた。特
に、骨修復後の分解吸収性において満足できるものでは
なく、初期強度保持率0に達した後の分解吸収性の促進
方法に関しては、記述が全くない。
修復されるが、一方で、生体内分解吸収性の骨接合材は
埋入初期から分子量の低下に伴って強度も低下し骨の治
療にとって理想的ではあるが、約4ヶ月までに初期強度
が0に達し、分子量も初期の約20万から数千〜数万に
低下した後、粒状の結晶が3〜5年も残存する(J.
E.Bergsma他,Biomaterials,1
6(4),267−274,1995)。そのため、例
えば骨内に使用された場合、あまりにも分解吸収が遅く
繊維組織が骨内をおおうため3〜5年でも埋入された骨
接合材の部位に骨が進入できず、半永久的に空洞のまま
である。これでは、骨が本来必要とする荷重をささえる
力学的強度が低下してしまう。これだけではなく、さら
に深刻なのは、さまざまな後期の合併症が惹起されるこ
とである(J.E.Bergsma他,Biomate
rials,16(1),25−32,1995)。
するため、本発明は以下の試みを行った。
の圧縮曲げ強度約20Kg/mm2以上が、骨が治癒す
るまでの最小限の期間約3ヶ月以上、保持させるために
は、生体内分解吸収性高分子であるポリ乳酸や乳酸/グ
リコール酸共重合体の分子量が10万以上で、さらに骨
親和性に優れたハイドロキシアパタイトとの複合体を用
い一軸方向に延伸する方法が用いられる。しかし、前述
したように初期強度と加水分解に伴う強度保持率に対し
ては一定の改善がみられるものの、埋入後約4ヶ月の初
期強度0に達した後の質量の完全分解消失に関しては全
く放置のままである。
後、すみやかに分解吸収を進行させることを発明の思想
とした。それは、生体内分解吸収性高分子であるポリ乳
酸系の脂肪族ポリエステルが生体内でも非酵素的に加水
分解を受けること、また、その加水分解時の雰囲気が酸
性化では加水分解が抑えられ、逆にアルカリ側では加水
分解が促進されることがわかったことに基づいている
(玄他,Degradation of high m
olecular weight Poly L−la
ctide in alkaline medium,
Biomaterials,16,833.843,1
995)。ポリ乳酸成形体は、約4ヶ月までは生体内で
加水分解を受けず分子量の低下があまりないが、その
後、水が内部まで深く浸透し、全体が加水分解を受けて
分子量が大きく低下する。この際、加水分解に従って局
所のペーハーが酸性側に傾くため、分子量低下が抑えら
れると同時に、加水分解が非晶領域から優先的に起こる
ので、結局、低分子量(1,000〜10,000)の
結晶のみが残存し、その分解をより遅くしてしまう。そ
こで、本発明者は約4ヶ月後に水の浸透が内部まで進行
した際、その局所でのペーハーをアルカリ側(pH7以
上)へと導くことにより、加水分解を促進させると考え
ることにより分解消失が可能となった。故に、本発明者
は、ハイドロキシアパタイトの表面にアルカリ性の無機
化合物、例えば、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、
水酸化マグネシウム等の水酸化物、また、塩化カルシウ
ム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛等の塩
化物、また、アルカリ金属塩、さらにアミンなどの塩基
性の有機物などを付着させることにより、本発明を完成
させた。塩化カルシウム等の塩化物は本来なら中性であ
るが市販の塩化物には数%の水酸化カルシウムが含まれ
ているため、その水溶液は強アルカリ性を呈するため、
それらも用いることができる。
に牛骨粉なども用いられ、あるいはこれらの混合物も用
いることが出来る。牛骨粉もアルカリ性を呈するためで
ある。
ルカリ性無機物でアルカリ処理したものを用いると良
い。また、超音波やハイパーサーミヤにより加温される
セラミックスを混合させ、加熱することにより分解を促
進させる方法なども利用できる。
としては、ポリ乳酸系の高分子が用いられるが、光学純
度95%以上のポリ−L−乳酸が用いられる。しかし、
この高分子は結晶化度が高いため、光学純度95%以下
で80%以上の高分子がより適している。初期強度およ
び弾性率は結晶化度と関連し、結晶化度が高い高分子を
用いると高強度、高弾性率の骨接合材が得られやすい
が、初期強度、弾性率は成形課程の分子配向や、結晶配
向化で目標値を得ることが可能なため、分解後のすみや
かな吸収、消失のためには結晶化度を出来るだけ抑えた
ほうが望ましい。
酸を95〜85%の割合で共重合体を合成した高分子を
出発原料として用いるのが好ましい。しかし、もちろん
L−乳酸とグリコール酸との共重合体を用いても何ら問
題はない。
度平均8万以上のポリマーを用いるのが適している。特
に、本発明では、その粘度平均分子量が10万〜50万
程度のものが好ましい。
とアルカリ処理したハイドロキシアパタイトから構成さ
れており、その組成比はポリ乳酸系高分子とハイドロキ
シアパタイトが99:1〜60:40重量%が好まし
く、特に80:20〜70:30が好適である。また、
ハイドロキシアパタイトとアルカリ性無機化合物との組
成比は99:1〜80:20重量%が好ましく、特に9
5:5〜90:10重量%が好適である。ここでアルカ
リ性無機化合物は、あらかじめハイドロキシアパタイト
と混ぜるか、あるいはアルカリ性無機化合物の水溶液に
ハイドロキシアパタイトを浸漬し、その表面にコーティ
ングするのが適している。
ルカリ性無機化合物を付着させたハイドロキシアパタイ
トをポリ乳酸に適当な組成比で混合したものを、押出し
成型機あるいは射出成型機を用いて、棒状、あるいはシ
ート状の所望の形状に成形する。次いで、その複合体を
一軸延伸、圧延、圧縮、あるいは高圧押出し成形するこ
とによって製造される。
を用いて成形できるが、初期圧縮曲げ強度が25Kg/
mm2〜35Kg/mm2の成形体を得るには、ラム押
出しや静水圧の固体高圧押出し成型法が好ましい。
は、ポリ乳酸系素材のガラス転移点(60℃付近)以
上、その融点(180℃付近)の温度範囲が好ましいが
特に80〜140℃の温度範囲が好適である。
れらは本発明の範囲を制限しない。
曲げ弾性率はJIS−Kに準拠した三点曲げ試験法によ
って測定した。
−ラクチドとD,L−ラクチドとの共重合体をオクチル
酸スズを重合触媒として真空下で開環重合することによ
り合成した。その共重合体の組成比はL−ラクチド/
D,L−ラクチド=100/0および85/15とし
た。これらのホモ重合体と共重合体の粘度平均分子量は
約36万であった。一方、ハイドロキシアパタイト(H
A)粉末(1200℃焼成、平均粒径3.5μm)を水
酸化カルシウム水溶液30%に浸漬した後、乾燥したア
ルカリ処理ハイドロキシアパタイトを作製した。上記2
種類のポリマーとアルカリ処理HA粉末をポリマー/H
A混合比、70:30重量%の混合物を一昼夜高温(1
20〜130℃)下で減圧乾燥した後、押出し成型機で
200℃にて直径約10mmの円柱状成型物を得た。次
いでこれら成型物を120℃の流動パラフィン中で3倍
延伸した。また、ホットプレスを用い140℃で約1/
5に圧縮変形した。さらに、上記成形物を内部にグリセ
リンを充填した静水圧押出し装置を用いて140℃の温
度で押出し倍率3倍に押出した。
1に示す。
とL−乳酸/DL−乳酸共重合体=85/15のポリマ
ーにアルカリ処理ハイドロキシアパタイトを混入させ
ず、実施例1の成形方法と同じく、3種類の成形方法で
成形物を作製した。
2に示す。
10mlの生理食塩水に浸漬し、37℃で長期間(約1
〜2年間)の加水分解に伴う成形物の重量変化を観察し
た。
実施例7〜12と同様、10mlの生理食塩水に浸漬
し、37℃で長期間(約1〜2年間)の加水分解に伴う
成形物の重量変化を観察した。
生体内分解吸収性の骨固定材は、いずれも生体内分解吸
収性ポリマーとアルカリ処理ハイドロキシアパタイト混
合物を分子配向操作(一軸延伸、圧縮変形、および静水
圧押出し)を施すことにより、圧縮曲げ強度が250M
Pa以上の高強度成形体が得られた。また、第3表の実
施例7〜12でわかるように、アルカリ処理ハイドロキ
シアパタイトの効果により成形体がすみやかに分解され
ることで、加水分解実験2年後ではその残存重量が0に
達し完全に消失していた。一方、第4表の比較例7〜1
2で示したように、アルカリ処理ハイドロキシアパタイ
トが混入されていない成形体では加水分解実験2年後で
も30%以上の残存重量が確認され、分解が極めて遅
く、その差が歴然としていることが明らかである。
収性の骨固定材は従来のポリ乳酸系骨固定材では得られ
なかった、初期強度と約6ヶ月後の分解吸収促進効果を
兼備した骨固定材であり、理想的な固定材により近づい
たものといえる。尚、本発明の生体内分解吸収性骨固定
材は、整形外科、口腔外科、または胸部外科、さらに動
物用等の骨治療のさまざまな領域において骨接合用のプ
レート、スクリュー、ビスあるいはピン等、さまざまの
形状として使用することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 初期圧縮曲げ強度が250MPa以上
で、生体内で少なくとも3ヶ月以上圧縮曲げ強度が20
0MPa以上保持され、その後、長くとも3年以内にそ
の質量が分解消失してしまう生体内分解吸収性の骨固定
材。 - 【請求項2】 生体内分解吸収性高分子にハイドロキシ
アパタイト、およびアルカリ性無機化合物を含有された
ことを特徴とする請求項1の生体内分解吸収性の骨固定
材。 - 【請求項3】 生体内分解吸収性高分子の分子鎖が長軸
方向、あるいは多軸方向に配向していることを特徴とす
る請求項2の生体内分解吸収性の骨固定材。 - 【請求項4】 生体内分解吸収性高分子がポリ乳酸から
なり、そのポリ乳酸の光学純度、即ちL体とDL体との
組成が100〜70%、または、ラクチド/グリコリド
共重合体であることを特徴とする特許請求項2の生体内
分解吸収性の骨固定材。 - 【請求項5】 生体内分解吸収性高分子とハイドロキシ
アパタイトとの組成が99:1〜60:40重量%であ
ることを特徴とする特許請求項2の生体内分解吸収性の
骨固定材。 - 【請求項6】 ハイドロキシアパタイトとアルカリ性無
機化合物との組成が99.9:0.01〜80:20重
量%であることを特徴とする特許請求項2の生体内分解
吸収性の骨固定材。 - 【請求項7】 生体内分解吸収性高分子、ハイドロキシ
アパタイト、およびアルカリ性無機化合物からなる溶融
成形体を延伸可能な温度で一軸延伸、押出し延伸、ある
いは圧延、圧縮配向することで高分子鎖を一軸あるいは
多軸配向させることを特徴とする請求項3の生体内分解
吸収性の骨固定材の製造方法。 - 【請求項8】 生体内分解吸収性高分子、ハイドロキシ
アパタイト、およびアルカリ性無機化合物からなる溶融
成形体を延伸可能な温度で一軸方向に高圧でラム押出
し、もしくは静水圧押出しし分子配向させることを特徴
とする請求項7の生体内分解吸収性の骨固定材の製造方
法。
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