JPH11206262A - 小魚の自動分級装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】選別孔を持ったコンベアを傾斜させて設け、そ
の上へ被選別魚を流し、小さい魚を選別孔を通して落下
させ、大きい魚はコンベア上を滑落させて行う分級装置
において、コンベアの傾斜角が大き過ぎれば魚体の滑落
速度が過大となって小さい魚が排除できず、傾斜角を小
さくすれば滑落が滞ってしまう不具合を解消することを
課題とするものである。 【解決手段】傾斜して設けたコンベアベルトに底付きの
選別孔を設け、そのコンベアベルトを下方から上方へと
移送させると共に、前記コンベアベルトの進行方向と交
叉する方向に加振する加振手段を備え、ベルトコンベア
の振動によってコンベアの見かけ上の摩擦係数を減じ
て、傾斜角が小さくても滑落し易くしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は煮干しとされた小魚
（しらす魚など）を、魚長を基準にして数種に分級する
ための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、しらす干しの品質を向上させる手
段として、魚体の大きさを揃えることが必要とされてい
た。そこで、従来は網状のコンベアベルトを持つベルト
コンベアの上にしらす魚を載せ、前記網状のコンベアベ
ルトを加振機によって振動させて、網を通るものと通ら
ないものとに分級していた。従来の分級方法では、被選
別魚が網の目に詰まってしまい、その除去に大きく人手
を要すると共に、魚体が崩れて魚屑を作ってしまう不具
合があった。出願人は先にこのような不具合を解消する
ための手段として、前記網製のコンベアベルトに代え、
分級したい魚体の限度の長さを一辺とする四角形の底付
きの孔を設けたものを提案した（平成９年５月８日提出
の特許願）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うな構成ではコンベアの上に魚体を供給し、自重で落下
させるためには、コンベアの角度を急にせねばならず、
その結果、コンベアベルト上を滑り落ちる速度が速くな
り過ぎて、四角形の孔に落ちるべき小さい魚も慣性で孔
を飛び越してしまい分級精度が低下することがあったの
で、分級する魚の性状に応じて傾斜角に微妙な調整を必
要とした。また、小さい魚体や崩れた魚体、あるいはひ
ろくその他の夾雑物が、一旦、四角形の孔に落ちてしま
うと、孔の底に付着してそこから排除しにくゝなった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記した課題は、傾斜し
て設けたコンベアベルトに底付きの選別孔を設け、その
コンベアベルトを下方から上方へと移送させると共に、
前記コンベアベルトの進行方向と交叉する方向に加振す
る加振手段を備えることによって解決する。また、前記
コンベアベルトは幅方向に伸びる支軸によって支持され
た複数の選別板によって構成され、各選別板は支軸によ
って進行方向の前側で支持するのが好ましい。さらに、
前記コンベアベルトの下側に位置してコンベアベルトの
進行方向と交叉する方向に伸びる叩き棒を設けることも
好ましい。

【０００５】

【作用】請求項１ コンベアベルトは魚体が流れる方向と交叉する方向に振
動し、魚体とコンベアベルトとの間が、静摩擦係数より
小さい摩擦係数となるので、傾斜角が小さくても傾斜に
従って低い方向へ滑落する。 請求項２ 選別板はコンベアベルトが上昇方向から下降方向へ転じ
るとき、支軸を軸として回動するため、付着した魚体や
ごみ類が慣性で選別板から離れる。 請求項３ 選別板は下降行程で叩き棒に接触して衝撃を受け、付着
した魚体やごみ類が慣性で選別板から離れる。

【０００６】

【実施例】以下、本願に係る発明を図示の実施例によっ
て説明する。図１中、１０は本願発明の実施である小魚
の自動分級装置であり、上下方向に配置された３段の選
別コンベア２０、２０と、選別コンベア２０へしらす干
し１２、すなわち、しらす魚を茹でて太陽光により天日
干ししたもの、を供給する送込みコンベア１１とを有す
る。そして、送込みコンベア１１によってしらす干し１
２が供給されると、それを大、中、小、屑の４種に分級
し、それぞれを下方に並べられた４個の選別箱１３、１
３の中へ落下させる。

【０００７】上記３段の選別コンベア２０は大同小異の
構成となっているので、最下段の選別コンベア２０を抽
出してその構成を説明する。図２において、２１は台枠
であり、台枠２１の上には軽量形鋼の溝形鋼を溶接組み
立てしたフレーム２２が約２０゜の角度で傾斜して支持
されている。フレーム２２は図４で示すように、軽量形
鋼の溝形鋼からなる長手部材２２ａを連結部材２２ｂに
よって溶接連結して四角形の枠としたものである。フレ
ーム２２の上方の一端には減速機付きの電動機からなる
コンベアモータ２３と駆動輪２４とが支持され、下方の
端部には従動輪２５がそれぞれ軸受を介して回動可能に
支持されている。前記コンベアモータ２３と駆動輪２４
とはフレーム２２の外側でチェーンによって連結されて
いる。２６は前記駆動輪２４と従動輪２５との間に捲回
された移送チェーン２６である。３５は後述する選別板
３０の支持フレームであり、駆動輪２４と従動輪２５へ
同心に設けた支持ドラム３６と協働して選別板３０の下
面を支承する。よって、コンベアモータ２３が運転され
ると駆動輪２４が回転し、移送チェーン２６がしらす魚
１２を下方から上方へと移送を開始する。

【０００８】前記移送チェーン２６には外方へ突出する
支持腕２７、２７が等間隔で多数設けられている。支持
腕２７には、図３〜図５で示すように、しらす干し１２
を選別するための選別板３０が支持されている。選別板
３０は図５で示すように、短冊形をした厚さ０．３ｍｍ
の合成樹脂の薄板を成形して、短辺の中央部に位置して
枡目状に多数配置された一辺が約１０ｍｍ深さ約７ｍｍ
の略四角形の凹部３１を設けたもので、長辺の縁部には
細長い平坦部３２が残されている。そして、数段に設け
る場合は下段は枡目が小さくなる。前記凹部３１は抜き
勾配なしに成形されており、選別板３０の裏面には表面
と逆の形、すわなち略四角形の突部が形成されている。
隣接する突部の間には格子状をなす幅が約３ｍｍの十字
溝３３が形成されている。

【０００９】３４は選別板３０を前記支持腕２７へ取付
けるための取付ロッドである。取付ロッド３４は直径が
約２．３ｍｍのステンレス線からなり、図５で示すよう
に、大略前記十字溝３３に沿った形状に屈曲して作られ
ており、前記十字溝３３の形状との僅かな誤差を利用し
て弾性的に緩く嵌め込まれている。取付ロッド３４の端
部は外方へ向けて屈曲され選別板３０の外方において前
記支持腕２７に設けた支持孔へ回動可能に遊合されてい
る。その結果、選別板３０は一端が支持腕２７によって
支持され、他端が隣接する選別板３０の平坦部３２に重
なることゝなって、支持腕２７に支持された取付ロッド
３４の端部を軸に回動可能に支持されている。

【００１０】４０は前記選別板３０からなるコンベアベ
ルトを進行方向と直交する方向へ振動させるための加振
機である。加振機４０は図３、図４で示すように、前記
フレーム２２の外側に支持されたクランク機構４１と、
それを駆動する減速機付きの電動機４２を有する。４３
は前記クランク機構４１の一部をなす連結杆であり、連
結杆４３はフレーム２２に支持された揺動腕４４へ連結
されている。４４ａは前記揺動腕４４の先端部に連結さ
れた振動棒、４４ｂは振動棒４４ａの支軸４４ｃを支持
するための軸受である。振動棒４４ａは図３で示すよう
に、選別板３０からなるコンベアベルトの上側のみを加
振し、下側は放置されている。かくて、電動機４２が１
回転すると、揺動腕４４が１往復する。この実施例で
は、揺動腕４４およびその先端に取り付けた振動棒４４
ａには、電動機４２の回転によって振幅が約５ｍｍで毎
秒５〜１０回程度の往復動が与えられる。

【００１１】一方、前記取付ロッド３４の中央部には、
図６（ｃ）で示すように、中央部が一側へ折り曲がって
前記十字溝３３から大きく突出し、その頂部が波形に屈
曲されて係合凹部３４ａが形成されている。そして、選
別板３０を支持腕２７へ取り付けると、係合凹部３４ａ
が前記揺動腕４４の先端部に連結された振動棒４４ａに
係合する。かくて、振動棒４４ａが振動すると、取付ロ
ッド３４を介して選別板３０がコンベアの幅方向に振動
する。

【００１２】図７中の４５は、フレーム２２の上部下面
に対称に配置された叩き板であり、フレーム２２の左右
両側に配置され、それらの間に叩き棒４６を支持してい
る。叩き棒４６は選別板３０に設けた凹部３１の中にし
らす干し１２や、崩れたしらす干し、あるいは魚鱗など
の屑が残らないよう衝撃を与えるべく設けられている。

【００１３】選別コンベア２０の選別板３０は以上のよ
うにして、移送チェーン２６に支持されており、しらす
魚を選別する上面は上側の一端が取付ロッド３４を介し
て支持腕２７に支持され、下側の他端が隣接する選別板
３０の平坦部２３によって支持されるため、その表面は
概ね平坦な傾斜面をなし、その状態を維持したまゝ移送
チェーン２６によって下方から上方へと移動する。

【００１４】選別板３０が移送チェーン２６に伴われて
移動し、上側の駆動輪２４に達すると、図７で示すよう
に、取付ロッド３４が駆動輪２４に沿って円弧形の軌跡
を辿るため、隣接する選別板３０に支持されていた他端
が外れ、図中（ａ）で示す位置へ反時計方向に回動し、
下方の支持ドラム３６によって受け止められる。平坦部
２３が支持ドラム３６によって支持された状態で取付ロ
ッド３４がさらに進行すると、同図（ｂ）で示すよう
に、選別板３０の表裏が反転し、自重によって角度αだ
け一気に時計方向へ回動し、その過程において、凹部３
１に入っていた比較的小さいしらす魚や鱗などが下方へ
払い出される他、選別板３０が右端の叩き棒４６へ衝突
し、ついで数段の叩き棒４６に次々と衝突し角度δだけ
回動して、その衝撃で残ったしらす魚などを確実に排出
させる。

【００１５】かくて、選別コンベア２０の選別板３０が
下方から上方へ向けて移送され、送込みコンベア１１か
ら最上段の選別コンベア２０へ被選別魚たるしらす干し
１２が投入される。しらす干し１２は選別板３０の上方
から下方へ滑り落ち大きな魚を入れる第１の選別箱１３
の中へ落下し、凹部３１の大きさより小さいものは凹部
３１の中へ入り、上方へ移送されて次段の選別コンベア
２０上へ落下する。また、凹部３１の大きさより大きい
ものはそのまゝ下方へ滑落し選別コンベア２０の下方端
から中段の選別コンベア２０へ落下する。中段以下の選
別コンベア２０も同様にして、一部を選別箱１３の中へ
落下させ、残部を次の選別コンベア２０へ落下させて分
級を進行させ、送り込まれたしらす魚は大中小の３種に
分級され、ごみその他の夾雑物も分別される。

【００１６】各段の選別コンベア２０において、投入さ
れたしらす干しは、加振機４０による振動を受け、少な
い摩擦により緩い斜面を比較的低速で滑らかに滑落す
る。よって前記凹部３１より小さい魚長のしらす干し１
２はその中へ落ち、大きいものはその上を滑って下方の
選別箱１３へ落下していく。

【００１７】

【発明の効果】請求項１によれば、コンベアベルトを振
動させることで、魚体との間の摩擦力が減じるから、ベ
ルトコンベアの傾斜角を緩いものとしても魚体の滑落に
支障がない。また、その結果として魚体の滑落速度が遅
くなるので、分級作業による魚体の損傷が少なくて済
む。請求項２によれば、選別板に付着した魚体や夾雑物
は、コンベアベルトが進行方向を転じるとき高速で回動
するため、振り飛ばされて容易に剥離する。請求項３に
よれば、選別板に付着した魚体や夾雑物は、選別板が叩
き棒に打ち付けられる都度、衝撃で振り落とされる。な
どの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の一実施例である、小魚の自動分級装
置の側面図である。

【図２】その要部を拡大し且つ縦断して示す拡大側面図
である。

【図３】図２、図４中のＩＩＩ−ＩＩＩ断面図である。

【図４】図３中の矢視ＩＶ図であり、右半分は破断して
示してある。

【図５】図２中の要部を拡大して示す拡大側面図であ
る。

【図６】選別板３０を示すもので、（ａ）は一部を截断
して示す平面図、（ｂ）はそのＢ−Ｂ断面図、（ｃ）は
そのＣ−Ｃ断面図である。

【図７】選別板３４の動作を示す作動図である。

【符号の説明】

１０・・・・自動分級装置 １１・・・・
送込みコンベア １２・・・・しらす干し １３・・・・
選別箱 ２０・・・・選別コンベア ２１・・・・
台枠 ２２・・・・フレーム ２３・・・・
コンベアモータ ２４・・・・駆動輪 ２５・・・・
従動輪 ２６・・・・移送チェーン ２７・・・・
支持腕 ３０・・・・選別板 ３１・・・・
凹部 ３２・・・・平坦部 ３３・・・・
十字溝 ３４・・・・取付ロッド ３４ａ・・・
係合凹部 ３５・・・・支持フレーム ３６・・・・
支持ドラム ４０・・・・加振機 ４１・・・・
クランク機構 ４２・・・・電動機 ４３・・・・
連結杆 ４４・・・・揺動腕 ４４ａ・・・
揺動軸 ４４ｂ・・・軸受 ４５・・・・
叩き板 ４６・・・・叩き棒

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜して設けたコンベアベルトに底付きの
   選別孔を設け、そのコンベアベルトを下方から上方へと
   移送させると共に、前記コンベアベルトの進行方向と交
   叉する方向に加振する加振手段を備えてなる小魚の自動
   分級装置。
2. 【請求項２】請求項１において、前記コンベアベルトは
   幅方向に伸びる支軸によって支持された複数の選別板に
   よって構成され、各選別板は支軸によって進行方向の前
   側で支持されている小魚の自動分級装置。
3. 【請求項３】請求項２において、前記コンベアベルトの
   下側に位置してコンベアベルトの進行方向と交叉する方
   向に伸びる叩き棒を設けてなる小魚の自動分級装置。