JPH11203967A - ケーブルのシラン架橋方法及び装置 - Google Patents

ケーブルのシラン架橋方法及び装置

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JPH11203967A
JPH11203967A JP192298A JP192298A JPH11203967A JP H11203967 A JPH11203967 A JP H11203967A JP 192298 A JP192298 A JP 192298A JP 192298 A JP192298 A JP 192298A JP H11203967 A JPH11203967 A JP H11203967A
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JP
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cable
steam
layer side
drum
silane
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JP192298A
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Kunihiro Yamamoto
邦宏 山本
Hiroo Ito
裕夫 伊藤
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケーブルを蒸気中でシラン架橋処理する場合
に、1回の処理量を減らすことなく短時間で架橋処理を
行えるようにする。 【解決手段】 胴部5aに通気孔11を形成したドラム
5にシラン架橋すべきケーブル6を巻いて、加湿室7内
に設置する。胴部5a内に蒸気を供給して、ケーブル6
の内層側から外層側へ蒸気を強制的に貫流させる。内層
部と外層部をほぼ同じ速度で架橋できるので、架橋処理
時間を短縮できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケーブルのシラン
架橋方法と、それに用いるシラン架橋装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】シラン架橋ケーブルは、絶縁体を押出成
形する時に押出機内でポリエチレンにシラン化合物をグ
ラフト付加し、その後、水分下でシラングラフトポリエ
チレン同士を反応させて架橋することにより製造され
る。
【0003】従来、水分下で架橋する装置としては図6
のような装置が公知である。図6において、1は温水
槽、2は蓋、3は温水、4は温水発生装置、5はドラ
ム、6はドラム5に巻かれたシラン架橋すべきケーブル
である。この装置は、温水槽1内の温水3の温度を温水
発生装置4により一定に保ち、温水3中にドラム5に巻
かれたケーブル6を浸漬することにより、ケーブル6の
シラン架橋処理を行うものである。
【0004】しかしながら温水中で架橋処理を行うと、
シラン架橋反応によって生成されたメタノールが温水中
に溶解し、温水の水質がわるくなって、例えばCOD値
が著しく上昇するため、温水の処理に手間がかかり、温
水を処理するための設備が必要となり、ランニングコス
トが高くなるという問題がある。また温水の汚れがケー
ブル表面に付着することがあるので、架橋処理後にケー
ブル表面を洗浄しなければならないという問題や、特に
3層ケーブルの場合は温水中の油分等が外部導電層に浸
透して外部導電層の性能を低下させるという問題もあ
る。
【0005】そこで温水架橋処理の欠点を改善したもの
としては図7のような装置が公知である。図7におい
て、7は加湿室、8は加湿室7内に充満させた蒸気、9
は蒸気発生装置、10は排水溝、6はドラム5に巻かれ
たケーブルである。この装置は、蒸気を充満させた加湿
室7内でケーブル6のシラン架橋処理を行うものであ
る。ケーブル6は蒸気8の流通をよくするため、ドラム
5に乱巻きされている。この装置では、温水の処理設備
は必要なく、またケーブル表面への汚れが付着する問題
もない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら蒸気中で
架橋を行うと、蒸気が温水に比べ熱容量が低いこともあ
って、ドラムに巻かれたケーブルの内層と外層で熱履歴
に差ができると共に、水分の拡散の度合いも異なってく
るため、内層側のケーブルの方が外層側のケーブルより
架橋速度が遅く、ケーブル全体を架橋するのに温水架橋
処理の場合より時間がかかる。またケーブルを乱巻きし
ているため、次工程でケーブルを送り出す時にケーブル
が隙間に落ち込んで潰れたりして、外傷が発生しやす
い。
【0007】またケーブルを密巻きにし、ケーブルの巻
回層数を少なくして架橋処理する方法もあるが、この場
合はケーブルの層間に蒸気が入りにくいので、やはり架
橋処理に時間がかかってしまう。またケーブルを乱巻き
し、かつケーブルの巻回層数を少なくして(1回の処理
量を減らして)架橋処理時間を短縮するという方法もあ
るが、この方法では、ドラムを数多く保有しなければな
らないことや、加湿室の数を多くしなければならない等
の問題がある。
【0008】本発明の目的は、上記のような問題点に鑑
み、ケーブルを蒸気中でシラン架橋処理する場合に、処
理量を減らすことなく短時間で架橋処理を行うことので
きる方法と、それに用いる装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、加湿室内に、シラン架橋すべきケーブルを巻
回して収納したケーブル容器を設置し、前記ケーブルの
内層側から外層側へ又は外層側から内層側へ蒸気を強制
的に貫流させることを特徴とするものである。このよう
にすると、ケーブル容器内に巻かれたケーブルの内層部
と外層部をほぼ同じ速度で架橋することができるので、
架橋処理時間を短縮することができる。なおこの場合、
加湿室内の蒸気の温度は70℃以上、好ましくは80〜
90℃に保つことが好ましい。
【0010】また本発明によるケーブルのシラン架橋装
置は、シラン架橋すべきケーブルを巻回して収納するケ
ーブル容器と、このケーブル容器を設置する加湿室と、
この加湿室内に蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記ケ
ーブル容器に収納されたケーブルの内層側から外層側へ
又は外層側から内層側へ蒸気を強制的に貫流させる蒸気
貫流手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】本発明のシラン架橋装置においては、ケー
ブル容器は、胴部に多数の通気孔が形成されたドラムと
し、蒸気貫流手段は、前記通気孔以外に蒸気の逃げ道が
ないようにした胴部内に蒸気を送り込む装置とすること
が望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。 〔実施形態1〕図1ないし図3は本発明の一実施形態を
示す。図において、5はドラム、6はドラム5に巻かれ
たシラン架橋すべきケーブル、7は断熱材で覆われた加
湿室、9は蒸気発生装置である。ドラム5の胴部5aに
は多数の通気孔11が形成されている。蒸気発生装置9
で発生させた高温、高圧の蒸気はブロア12により配管
13A、13Bを通して加湿室7およびドラム5の胴部
5a内に供給されるようになっている。
【0013】胴部5aへの配管13Bは、図3に示すよ
うに、ドラム5の一方の鍔部5bの軸穴に固定されたノ
ズル14に接続されている。またドラム5の他方の鍔板
5cの軸穴は栓15により塞がれている。これにより胴
部5a内に供給された蒸気は通気孔11以外に逃げ道が
ない状態となる。
【0014】また、配管13Aを通して加湿室7に供給
される蒸気の流通抵抗は、配管13B、ドラムの胴部5
a内、通気孔11、ケーブル6の隙間を通って加湿室7
内に放出される蒸気の流通抵抗と同等かそれより大きく
なるように設定されている。具体的には、配管13Aに
絞り弁25(流量制御弁)を設けて、配管13Aの蒸気
流量を絞る構成とするのが簡単である。また配管13
A、13Bの両方に絞り弁を設けて、配管13Aの蒸気
流量が配管13Bの蒸気流量と同等以下になるように調
整してもよい。
【0015】これによりブロア12によって送り込まれ
た蒸気の多くは、配管13Bを通ってドラムの胴部5a
内に入り、図3に矢印で示すようにドラム5に巻かれた
ケーブル6の内層側から外層側へ強制的に貫流させられ
ることになる。その結果、ケーブル6が多層に密巻き
(整列巻きのことで多少の隙間はある)されていても、
内層部と外層部がほぼ同じ速度で架橋されるようになる
ので、ケーブル全体を架橋するのに要する時間を従来の
蒸気架橋処理の場合より大幅に短縮することが可能とな
る。
【0016】なお、加湿室7内の蒸気はフィルタ16を
通して蒸気発生装置9に戻り、加熱されて循環するよう
になっている。一方、加湿室7内で液化した水分は、排
水溝10を通ってタンク17に溜まり、ポンプ18によ
って蒸気発生装置9に戻るようになっている。
【0017】また加湿室7からはファン19により架橋
残渣(主にメタノール)を含んだ空気を排気している
が、検出器20で測定しているメタノールの濃度が20
0ppm以上になるとバーナー21を点火してメタノー
ルを燃焼させ、排気ガス中のメタノール濃度が常に20
0ppm未満になるように制御が行われる。
【0018】なお上記の実施形態では、加湿室7内の蒸
気をファン19によって排気するようにしたが、ファン
の代わりに排気弁を設けて排気することもできる。加湿
室内の圧力は大気圧より高くなっているので、排気弁に
よる排気も可能である。また上記の実施形態では、加湿
室内の蒸気の循環と排気の両方を行っているが、循環の
方は必要に応じて行えばよい。また排気は常時行う必要
はなく、加湿室内がクミルアルコール等で汚れたとき
に、それをセンサで検知して行うようにしてもよい。ま
た排気を間欠的に行う場合は、排気をしていない時に蒸
気を循環させるようにすると、架橋を効率的に行うこと
ができる。
【0019】また上記の実施形態では、配管13A、1
3Bの蒸気流量を絞り弁により調整する場合を説明した
が、図4に示すように配管13A、13Bにそれぞれブ
ロア12A、12Bを設けて、加湿室7とドラムの胴部
5aに別々に蒸気を供給するようにしてもよい。また加
湿室7に蒸気を供給する配管13Aをなくして、配管1
3Bでドラムの胴部5aのみに蒸気を供給するようにし
てもよい。この場合は全部の蒸気がケーブル6の内層側
から外層側へ貫流することになる。
【0020】〔実施形態2〕図5は本発明の他に実施形
態を示す。この実施形態は、加湿室(図示省略)内に設
置されたドラム5の両鍔部5a、5bの軸穴にそれぞれ
ブロア22を接続して、このブロア22により胴部5a
内の蒸気を吸引して加湿室内に放出するようにしたもの
である。このようにすると、加湿室内の蒸気がドラム5
に巻かれたケーブル6の外層側から内層側へ強制的に貫
流させられるため、ケーブル6の内層部と外層部をほぼ
同じ速度で架橋することができる。この実施形態の場合
は、蒸気発生装置で発生させた高温、高圧の蒸気をドラ
ムに供給せずに加湿室のみに供給することになる。
【0021】上記以外の構成は実施形態1と同様である
ので説明を省略する。なお図5におけるブロア22を逆
回転させれば、蒸気をケーブル6の内層側から外層側へ
強制的に貫流させることも可能である。
【0022】
【実施例】実施形態1の方法でケーブルのシラン架橋処
理を行った。絶縁体の組成は表1のとおりである。
【0023】
【表1】
【0024】絶縁体の厚さ2.1mm、導体断面積80
mm2 のOCケーブル6000mを、胴径1100m
m、胴長1200mm、鍔径2100mmの防水処理を
施したドラム5に密巻きし、これを加湿室7内に設置し
た。蒸気発生装置で80℃、RH100%の蒸気を発生
させ、ブロア12により風速2mで、加湿室7内が70
℃、RH80%に保たれるように供給した。蒸気は加湿
室7内とドラムの胴部5a内の両方に供給し、ケーブル
6の内層側から外層側へ強制的に貫流させた。この条件
で9時間の架橋処理を行った。この結果得られたケーブ
ルについて絶縁体の架橋度を測定したところ、外層部で
64.8%、内層部で64.3%と、ほぼ同レベルの架
橋度が得られた。
【0025】また比較のため、同一サイズ、同一組成の
ケーブルをドラムに密巻きしたものを、水温が70℃に
保たれた15m3 の温水槽に浸漬して架橋処理を行っ
た。その結果、前記実施例と同レベルの架橋度を得るの
に要した時間は9時間であった。前記実施例と比較する
と同レベルの架橋度を得るための架橋処理時間はほぼ同
じであるが、架橋処理を行う前の温水のCOD値が4p
pmであったものが、架橋処理後は110ppmとなっ
た。その後、同一サイズ、同一組成のケーブルを5本架
橋処理を行ったところ、COD値は500ppmに達し
た。この温水はこのままでは廃棄することができないの
で、温水処理設備による処理が必要であった。また温水
中の油分などでケーブル表面が汚れたため、架橋処理後
にケーブル表面の洗浄が必要であった。
【0026】また比較のため、同一サイズ、同一組成の
ケーブルを従来の加湿室で、70℃、RH80%の条件
で9時間の架橋処理を行った。この結果得られたケーブ
ルの架橋度を測定したところ、外層部のケーブルの架橋
度は64.8%、内層部の架橋度は58.7%であっ
た。また同じ条件で前記実施例と同レベルの架橋度を得
るためには18時間の架橋処理が必要であった。
【0027】このように前記実施例で架橋処理したケー
ブルは、温水架橋処理の場合とほぼ同じ時間で同じレベ
ルの架橋度が得られるにもかかわらず、温水処理のため
の大がかりな設備が必要なく、またケーブル性能や表面
性状を悪化させるおそれがない。またケーブルをドラム
に多層に密巻きしても、内層部と外層部のケーブルを実
質的に同じ速度で架橋することができるので、従来の蒸
気架橋処理に比べ処理時間が短くて済み、1回に処理量
を減らすことなく架橋処理を行うことができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ケ
ーブルの表面性状や性能を劣化させることなく、大がか
りな温水処理設備を必要とすることなく、また処理量を
減らすことなく、短時間でケーブルのシラン架橋処理を
行うことができるので、シラン架橋ケーブルの生産性向
上に顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるケーブルのシラン架橋装置の一
実施形態を示す斜視図。
【図2】 図1の装置のブロック図。
【図3】 図1の装置の要部の断面図。
【図4】 本発明の一実施形態の変形例を示すブロック
図。
【図5】 本発明の他の実施形態を示す要部の断面図。
【図6】 従来の温水架橋方法を示す説明図。
【図7】 従来の蒸気架橋方法を示す説明図。
【符号の説明】
5:ドラム 5a:胴部 5b、5c:鍔部 6:ケーブル 7:加湿室 9:蒸気発生装置 11:通気孔 12:ブロア 13A、13B:配管 16:フィルタ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加湿室内に、シラン架橋すべきケーブルを
    巻回して収納したケーブル容器を設置し、前記ケーブル
    の内層側から外層側へ又は外層側から内層側へ蒸気を強
    制的に貫流させることを特徴とするケーブルのシラン架
    橋方法。
  2. 【請求項2】シラン架橋すべきケーブルを巻回して収納
    するケーブル容器と、このケーブル容器を設置する加湿
    室と、この加湿室内に蒸気を供給する蒸気供給手段と、
    前記ケーブル容器に収納されたケーブルの内層側から外
    層側へ又は外層側から内層側へ蒸気を強制的に貫流させ
    る蒸気貫流手段とを備えていることを特徴とするケーブ
    ルのシラン架橋装置。
  3. 【請求項3】ケーブル容器が、胴部に多数の通気孔が形
    成されたドラムであり、蒸気貫流手段が、前記通気孔以
    外に蒸気の逃げ道がないようにした胴部内に蒸気を送り
    込む装置であることを特徴とする請求項2記載のケーブ
    ルのシラン架橋装置。
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