JPH11200046A - 巻き取り式成膜装置 - Google Patents

巻き取り式成膜装置

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JPH11200046A
JPH11200046A JP412998A JP412998A JPH11200046A JP H11200046 A JPH11200046 A JP H11200046A JP 412998 A JP412998 A JP 412998A JP 412998 A JP412998 A JP 412998A JP H11200046 A JPH11200046 A JP H11200046A
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JP
Japan
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film substrate
film
evaporation source
film forming
forming apparatus
Prior art date
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JP412998A
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Tatsuya Sato
達哉 佐藤
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜特性、膜厚の均一化を高精度に達成できる
ようにするとともに、成膜の高速化を同時に達成するこ
とができるようにする。 【解決手段】 蒸発物質を放射状に蒸発させる円筒状の
蒸発源6の周囲に熱電子発生部材14を配置し、熱電子
発生部材14を囲むように円筒状のグリッド16を配置
し、蒸発源6に対してフィルム基板8を円筒状に対向さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空状態下でロー
ル状の基板の表面に連続的に薄膜を形成する巻き取り式
成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の成膜装置としては、例えば特開
平4−228570号公報に記載の巻取式薄膜形成装置
が知られている。この装置は、図15に示すように、活
性ガスもしくは活性ガスと不活性ガスの混合ガスが導入
される真空槽内において、ロール状のフィルム基板10
0をキャンロール102の外周面の一部分に沿わせなが
ら巻き取る構成となっている。フィルム基板100の巻
き取り動作がなされる一方で、蒸発源104から出た蒸
発粒子が主にフィラメント106から放出される熱電子
でイオン化され、導入されたガスと反応しながらグリッ
ド108を通過し、グリッド108からキャンロール1
02に向かう電界作用で加速され、フィルム基板100
の表面に衝突して付着する。
【0003】上記構成によれば、蒸着手法としてのCV
D法の利点である「強い反応性」と、PVD法の利点で
ある「高真空中での成膜による緻密性」を同時に得るこ
とができる。また、この装置によって得られる薄膜は、
上述のように主にフィルム基板への高速粒子の衝突によ
り形成されるので、フィルム基板への密着性に優れ、結
晶性も良好である。通常、薄膜の密度はバルクのそれよ
り小さいとされているが、バルクの密度に極めて近い密
度が得られることも上記成膜手法(CVD法+PVD
法)の大きな特徴である。また、蒸発物質がイオン化
し、高いエネルギーを電気的に有するので、反応性及び
結晶化を必要とする成膜を、反応温度、結晶化温度とい
う熱エネルギーを与えずに実現でき、このため、耐熱性
のないプラスチックフィルムを基板として使用できる利
点も有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、蒸
発源104に対して、フィルム基板100がキャンロー
ル102の外周面の一部に沿った湾曲凸面として対向す
るため、フィルム基板10に対する蒸発粒子の到達距離
がフィルム基板100の湾曲凸面の場所によって異な
る。このため、フィルム基板100に到達するまでの反
応空間内の蒸発粒子と活性ガスとの混合比が均一になり
にくい。この混合比の不均一性は、フィルム基板100
の湾曲凸面上における膜厚の不均一をもたらすととも
に、膜特性の低下をもたらす。この問題に対処するため
に、上記従来技術では、図15に示すように、フィルム
基板100の湾曲凸面の周長、すなわち成膜範囲を、蒸
発粒子と活性ガスとの混合比が不均一とならない反応空
間に露出する長さに限定するとともに、混合比の均一性
を高めるために反応空間を遮蔽板110,110によっ
て限定していた。成膜面積が少ないため、フィルム基板
100の巻き取り速度を上げることはできず、成膜の高
速化には対応できないという問題があった。
【0005】そこで、本発明は、CVD法、PVD法の
利点を享受した膜厚の均一性、所望の膜特性を得ながら
成膜の高速化を図ることができる巻き取り式成膜装置の
提供を、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】真空状態下では蒸発源か
ら出る蒸発粒子の飛散においては上下方向の関係は存在
せず、電気的特性により開口部の設けられている方向へ
飛散させることが可能である。かかる認識の下、請求項
1記載の発明では、活性ガスもしくは活性ガスと不活性
ガスの混合ガスを導入可能な真空槽と、上記真空槽内に
おいて、蒸発物質を放射状に蒸発させるための円筒状の
蒸発源と、上記真空槽内において、上記蒸発源の中心軸
と同軸の仮想円筒面のほぼ全周に亘る状態にフィルム基
板を該蒸発源に対向させるためのガイド部材と、上記蒸
発源にフィルム基板を円筒状に対向させた状態で該フィ
ルム基板を走行させるフィルム基板巻き取り装置と、上
記蒸発源とフィルム基板との間に配備され、該蒸発源の
周囲に熱電子を発生する熱電子発生部材と、上記熱電子
発生部材とフィルム基板との間に配備され、上記蒸発源
の中心軸と同軸の円筒面の概略形状を有し、上記蒸発物
質を通過させうるグリッドと、上記真空槽内に所定の電
位状態を形成するための電源手段とを有し、上記グリッ
ドは上記熱電子発生部材に対して正電位となるように設
定されている、という構成を採っている。
【0007】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
構成において、上記蒸発源が上記仮想円筒面と同軸心の
円筒状に形成されている、という構成を採っている。
【0008】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
構成において、上記ガイド部材は、上記仮想円筒面の軸
方向に間隔をおいて対向配置された回転可能な一対の円
環もしくは円盤である、という構成を取っている。
【0009】請求項4記載の発明では、請求項1又は2
記載の構成において、上記ガイド部材は、位置可変な複
数の駆動ローラと、これらの駆動ローラに掛け渡された
無端ベルトとから構成されている、という構成を採って
いる。
【0010】請求項5記載の発明では、請求項1又は2
記載の構成において、上記ガイド部材は、位置可変な複
数のローラから構成されている、という構成を採ってい
る。
【0011】請求項6記載の発明では、請求項1又は2
記載の構成において、上記ガイド部材は、位置可変で且
つ上記フィルム基板を冷却可能な複数の冷却用ローラ
と、位置可変で且つ上記フィルム基板の張力を調整可能
な複数の張力設定ローラとから構成されている、という
構成を採っている。
【0012】請求項7記載の発明では、請求項1,2,
3,4,5又は6記載の構成において、上記グリッドと
フィルム基板との間に、放電安定化用シールドを配備す
る、という構成を採っている。
【0013】請求項8記載の発明では、請求項1,2,
3,4,5,6又は7記載の構成において、上記蒸発源
から出る蒸発粒子の飛行経路を限定するコリメータを配
備する、という構成を採っている。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図1に示すように、巻き取り式成膜装置2は、図示
しない排気系に接続された真空槽4と、この真空槽4内
において蒸発物質を放射状に蒸発させるための円筒状の
蒸発源6と、この蒸発源6にフィルム基板8を円筒状に
対向させるための一対のガイド部材10,10と、フィ
ルム基板8を走行させるフィルム基板巻き取り装置12
と、蒸発源6とフィルム基板8との間において蒸発源6
の周囲を囲むように間欠的に配置された複数の熱電子発
生部材14と、この熱電子発生部材14とフィルム基板
8との間に配置された円筒状のグリッド16と、後述す
る電源手段等から構成されている。
【0015】真空槽4は、遮蔽板18により成膜室20
と、巻き取り装置設置室22とに区画されており、成膜
室20にはガス供給管24が接続されている。化合物薄
膜を形成する場合にはこのガス供給管24によって真空
槽4内には活性ガスもしくは活性ガスと不活性ガスの混
合ガスが導入される。フィルム基板巻き取り装置12
は、繰り出しローラ26と、テンションローラ28,2
8と、図示しない駆動源により駆動される巻き取りロー
ラ30とから構成されている。
【0016】図2に示すように、一対のガイド部材1
0,10はそれぞれ円盤状に形成されており、真空槽4
の側板に固定された軸32に回転可能に支持されてい
る。ガイド部材10,10はフィルム基板8の幅方向の
端部のみを支持する。従って、蒸発源6に対向するフィ
ルム基板8の表面のうち、ガイド部材10に支持される
両端部を除いた範囲が成膜面となる。軸32は蒸発源6
の軸線上に位置しており、フィルム基板8がガイド部材
10の周面に沿うことにより、フィルム基板8は蒸発源
6の中心軸と同軸の仮想円筒面のほぼ全周に亘る状態と
なり、蒸発源6に対してこれを囲むように円筒状に対向
する。
【0017】図3に示すように、蒸発源6の周面には多
数の吹き出し口6aが形成されており、内部に収容され
た蒸発物質は、蒸発源6が後述する通電により加熱され
たときは、蒸発源6の径方向全方向、すなわち放射状
(等方的)に蒸発する。なお、蒸発源6は、蒸着膜の分
布を基に予め上記仮想円筒面内での蒸発量が均一になる
ように、開口面積の分布、すなわち吹き出し口6aの個
数や大きさを調節してある。熱電子発生部材14は、棒
状の端子14a,14aと、端子14a,14a間に平
行に配されたタングステン等からなる複数のフィラメン
ト14bとから構成されており、蒸発源6から放射状に
出る蒸発粒子の広がりをカバーすべく、すなわち、フィ
ラメント14bから放射される熱電子が蒸発粒子に衝突
する機会が蒸発源6の周囲で均一になるように、本実施
例では蒸発源6の周囲に6個配置されている。熱電子発
生部材14の配置個数はこれに限定される趣旨ではな
く、上記熱電子の衝突機会の均一化を実現できればよ
い。また、フィラメント14bの配設態様は網目状でも
よく、これも上記熱電子の衝突機会の均一化の観点から
適宜に決定されるものである。グリッド16は、蒸発粒
子が通過できるように金属線で網目状に形成されてい
る。
【0018】上記蒸発源6、熱電子発生部材14、グリ
ッド16はそれぞれ、図示しない支持体を兼ねる電極に
より上記仮想円筒面内に支持されており、これらの電極
はいずれも真空槽4との電気的な絶縁性を保つ状態で真
空槽4の外部に引き出されている。図1に示すように、
仮想円筒面の下端にはフィルム基板8が存在しない空間
部があり、ここから巻き取り装置設置室22に蒸発粒子
が侵入して堆積する恐れがあるが、これを防止するため
に、図3に示すような防着板34が図示しない支持部材
を介して該空間部を遮蔽するように設けられている。
【0019】図4は、上記各構成要素と電源手段との接
続関係を示す図である。本実施例においては、電源手段
として、交流の蒸発用電源36、直流電源38、直流電
源40が設けられている。蒸発源6は一対の電極を介し
て蒸発用電源36に接続されており、熱電子発生部材1
4は一対の電極を介して直流電源38に接続されてい
る。直流電源40の正極側は電極を介してグリッド16
に接続されており、負極側は電極を介してガイド部材1
0に接続されている。すなわち、グリッド16の電位は
ガイド部材10の電位に対して正電位となるように設定
されている。実際には、これらの電気的接続には図示し
ない種々のスイッチ類が含まれており、これらのスイッ
チ類の操作により成膜プロセスが実行されるようになっ
ている。なお、図4において示した接地は、必ずしも必
要ではない。
【0020】次に、巻き取り式成膜装置2による成膜
(化合物薄膜形成)について説明する。蒸発源6に収容
される蒸発物質を構成する母材、ガス供給管24から真
空槽4内に導入されるガスの種類は、どのような薄膜を
形成するかによって適宜に定められる。例えば、Al2
3 の薄膜を形成する場合には、蒸発物質としてAl
を、不活性ガスとしてArを、活性ガスとして酸素を選
択できる。また、In23 の薄膜を形成する場合に
は、蒸発物質としてInを、導入ガスとして酸素を選択
することができる。真空槽4内は予め、10~5〜10~6
Torrの圧力にされ、必要に応じて、活性ガス、ある
いは活性ガスと不活性ガスの混合ガスが10~4〜10~2
Torrの圧力で導入される。本実施例では活性ガスと
して酸素を導入した例を示す。
【0021】電源手段が作動されると、図5に示すよう
に、蒸発源6がジュール熱により加熱され、内部の蒸発
物質が蒸発して蒸発粒子が矢印で示すようにフィルム基
板8へ向かって放射状に飛散する。また、熱電子発生部
材14のフィラメント14bに電流がながされると、フ
ィラメント14bはジュール熱により加熱され、熱電子
を放射する。蒸発粒子の一部及び活性ガスとしての酸素
は、フィラメント14bより放出された熱電子との衝突
によって正イオンにイオン化され、プラズマ状態とな
る。一部イオン化された蒸発粒子は酸素と反応しつつフ
ィルム基板8へ向けて飛行し、グリッド16を通過す
る。グリッド16を通過した蒸発粒子中、未だイオン化
されていない部分はイオン化された酸素との衝突によっ
て正イオン化され、蒸発粒子のイオン化率がフィルム基
板8へ向けて段階的に高められていく。このように正イ
オンにイオン化された蒸発粒子は、電位差に基づくグリ
ッド16からフィルム基板8に向かう電界の作用により
加速され、大きな運動エネルギーをもってフィルム基板
8の表面に衝突し、付着する。このため、フィルム基板
8の表面には非常に緻密で密着性の良い薄膜が形成され
る。
【0022】熱電子は、最終的にはその大部分がグリッ
ド16に吸収される。熱電子の一部はグリッド16を通
過するが、グリッド16とフィルム基板8との間の上記
電界作用により減速されるので、仮にフィルム基板8に
到達してもフィルム基板8を加熱するには到らない。
【0023】グリッド16とフィルム基板8は共に円筒
状であるので、グリッド16からフィルム基板8に向か
う電界の方向は、フィルム基板8の成膜面のどの位置に
おいても垂直となる。イオン化された蒸発粒子は電界の
作用によって方向性を付与されるので、イオン化された
蒸発粒子のフィルム基板8に対する入射方向、すなわち
衝突方向はすべての位置において垂直となる。このた
め、膜の配向や結晶性を高精度に均一化できる。また、
蒸発粒子は蒸発源6から放射状に出るので、フィルム基
板8に到達するまでの反応空間内における蒸発粒子と活
性ガスとしての酸素との比は均一となる。このため、全
ての範囲において均一な反応が得られ、図5に示すフィ
ルム基板8の成膜範囲Aの全てに亘って膜組成に起因す
る膜特性及び膜厚を均一にすることができる。このよう
に所望の膜特性及び膜厚を得ることができる成膜範囲A
は、従来の凸面露出構成に比べて極めて広くなるので、
成膜の大幅な高速化が可能となる。
【0024】成膜されたフィルム基板8は巻き取りロー
ラ30によって連続的に巻き取られ、成膜工程が連続的
に行われる。本実施例ではガイド部材10を回転可能と
してフィルム基板8の走行が円滑になされるようにした
が、ガイド部材10は固定してもよい。この場合には、
フィルム基板8と接触するガイド部材10の外周面にフ
ッ素系樹脂(例えばPTFE)等の摩擦係数の小さい材
料をコーティングして摺動抵抗を少なくすればよい。こ
の摺動抵抗を低減させる構成は、フィルム基板8の擦り
傷の発生防止だけでなく、成膜に悪影響を及ぼす静電気
の発生を抑制する観点からも意義を有する。本実施例の
ようにガイド部材10を回転可能とした場合には、フィ
ルム基板8の送り速度をガイド部材10の回転数で制御
できるので、フィルム基板8の定速走行を安定に行うこ
とができる。
【0025】上記実施例では蒸発源6の形状を円筒状と
して単体で設ける構成としたが、これに限定される趣旨
ではなく、微小平面蒸発源や点蒸発源を、上記放射蒸発
と同様の蒸発状態が得られるように並列配置して全体と
して円筒状に形成してもよい。また、蒸発源6の中に蒸
発物質を収納する構成としたが、蒸発源6自体が蒸発母
材で形成され、蒸発源6自体が消費される構成としても
よい。なお、本実施例における「円筒状」とは、厳密な
円筒形状のみでなく、上記放射蒸発を発現させうる角柱
等の他の近似形状も包含する意味である。
【0026】次に、図6及び図7に基づいて他の実施例
を説明する。なお、上記実施例と同一部分は同一符号で
示し、その構成上及び機能上の説明は適宜省略する(以
下、同じ)。本実施例におけるガイド部材42は、グリ
ッド16の周囲に概ね円を形成するように配置された複
数の駆動ローラ44と、各駆動ローラ44の外側に掛け
渡された可撓性を有する無端ベルト46とから構成され
ている。従って、無端ベルト46の外面によってフィル
ム基板8の端部が支持されることになる。
【0027】各駆動ローラ44は例えば上下方向に変位
可能に設けられており、蒸発粒子量の等しい面が変化し
てもこれに追随してフィルム基板8の対向面を変形させ
ることができるようになっている。すなわち、上記実施
例では蒸発源6が円筒状であるために蒸発粒子量の等し
い面が円筒面として存在したが、蒸発源6の形状又は構
成によっては蒸発粒子量の等しい面が変化し、上記実施
例と同様にフィルム基板8の成膜範囲の全てにおいて均
一な膜特性及び膜厚を得るためにはフィルム基板8の形
状もこれに追随して変化する必要がある。本実施例の構
成によれば、各駆動ローラ44の位置を変化させること
によって無端ベルト46の輪郭がフレキシブルに変化す
るので、蒸発粒子量の等しい面の変化に対してフィルム
基板8を高精度に追随変化させることができる。
【0028】本実施例においてはフィルム基板8は無端
ベルト46の移動によって送られるので、その移動速度
に対応して繰り出しローラ26と巻き取りローラ30の
回転速度が設定されている。なお、各駆動ローラ44は
その全てが駆動源に対する接続構成を有しているが、全
てを駆動化する必要はなく、一部は単なるローラとして
存在させてもよい。図6において、符号48は平坦な防
着板を示す。
【0029】次に、図8及び図9に基づいて他の実施例
を説明する。本実施例におけるガイド部材50は、グリ
ッド16の周囲に概ね円を形成するように配置された位
置可変(本実施例では上下方向に変位可能)な複数のロ
ーラ52から構成されている。フィルム基板8は各ロー
ラ52によって直接支持されている。各ローラ52はフ
ィルム基板8の幅方向全体に亘る長さを有しており、端
部のみでは支持できない広幅のフィルム基板8に対応で
きるようになっている。広幅のフィルム基板8であって
も「しなり」やいわゆる「腰折れ」を来すことなく走行
させることができる。本実施例の構成においても、各ロ
ーラ52が位置可変であるので、蒸発粒子量の等しい面
が経時的に変化してもローラ52の配置をその形状に合
わせ込むことにより、上記実施例と同様の理由で膜特
性、膜厚を均一にできる。なお、本実施例におけるロー
ラ52は、成膜空間における露出面積が大きいため、膜
がローラ52に直接堆積しないように、各ローラ52の
内方側を遮蔽するように樋状の防着板54が設けられて
いる。
【0030】次に、図10に基づいて他の実施例を説明
する。なお、真空槽4等は省略している。本実施例にお
けるガイド部材56は、位置可変で且つフィルム基板8
を冷却可能な複数の冷却用ローラ58と、位置可変で且
つフィルム基板8の張力を調整可能な複数の張力設定ロ
ーラ60とから構成されている。フィルム基板8を冷却
する必要がある場合にも対応できるものである。冷却用
ローラ58及び張力設定ローラ60は、図8及び図9で
示したローラ52と同様に、フィルム基板8の幅方向全
体に亘る長さを有している。冷却用ローラ58の冷却構
成としては、ローラ内に冷媒を導入する公知の水冷方式
等を採用することができる。なお、冷却用ローラ58間
の隙間を通って張力設定ローラ60に直接膜が堆積しな
いように、各冷却用ローラ58間には、フィルム基板8
の幅方向全体に亘る長さを有する防着板62が配置され
ている。本実施例の場合にも、冷却用ローラ58及び張
力設定ローラ60が位置可変であるので、蒸発粒子量の
等しい面が経時的に変化しても冷却用ローラ58及び張
力設定ローラ60の配置をその形状に合わせ込むことに
より、上記実施例と同様の理由で膜特性、膜厚を均一に
できる。
【0031】次に、図11及び図12に基づいて他の実
施例を説明する。本実施例では、図1で示した実施例の
構成に加えて、グリッド16よフィルム基板8との間
に、円筒状の放電安定化用シールド64が設けられてい
る。広幅で絶縁性のフィルム基板8に成膜する場合に
は、放電がフィルム基板8の電位の影響を受ける懸念が
あり、これを防止するためのものである。放電安定化用
シールド64はフィルム基板8の内方に位置するため、
グリッド16と同様に蒸発粒子を通過させうるものでな
ければならず、かかる観点から、グリッド16と同様に
金属線素材により円筒状且つ網目状に形成されている。
放電安定化用シールド64の円筒形状により、フィルム
基板8の成膜範囲の全体に亘って安定した放電状態が得
られる。図12に示すように、放電安定化用シールド6
4は直流電源40の負極側に接続されている。
【0032】広幅のフィルム基板8の場合には、上記各
実施例のように、フィルム基板8の幅の長さの円筒状の
蒸発源6を使用することで幅方向の膜厚分布の均一化が
図られるが、蒸発源6の円筒面上の各蒸発点からフィル
ム基板8に到達するまでの距離の差が大きいため、蒸発
粒子と導入ガスとの反応の進行度合いが異なり、膜組
成、すなわち膜特性については所望の範囲に収めること
が困難となる懸念がある。すなわち、図13に示すよう
に、蒸発源6から出た蒸発粒子が垂直に飛行してフィル
ム基板8に到達した場合には、実線F1 で示すように最
短距離となるが、角度をもって飛行した場合には、二点
鎖線F2 で示すようにF1 に比べてその飛行経路は長く
なる。また、グリッド16からフィルム基板8に向かう
電界作用によって蒸発粒子は方向性を付与されうるが、
初期の飛行経路が斜めになっていた場合には、二点鎖線
3 で示すようにやはりF1 に比べてその飛行経路は長
くなる。飛行経路の長さが異なると、導入ガスとの反応
時間が異なることになり、結果、膜組成の変化、ひいて
は膜特性の変化が部分的に生じることになる。
【0033】これに対処するためには、上記各実施例に
おいて、蒸発源6にコリメータ66を付加すればよい。
コリメータ66は図14に示すように、内径が蒸発源6
の外径より大きい複数枚の円板68から構成されてお
り、両端の円板68は蒸発源6に突片68aを介して固
定されている。内方の残りの円板68は、図13に示す
ように、蒸発源6の軸方向に延びる複数のリブ68bに
よって一体化されている。円板68の内径を蒸発源6の
外径より大きくしたのは、蒸発源6の吹き出し口6aの
吹き出し機能を阻害しないようにするためである。
【0034】図13に示すように、蒸発源6から出た蒸
発粒子は、コリメータ66の各円板68によって整流化
されるとともに、飛行初期において強制的に方向付けら
れる。フィルム基板8に対して垂直に飛行するように方
向付けられた蒸発粒子は、そのま最短距離でフィルム基
板8に到達する確率が極めて高くなり、これによって膜
組成のバラツキを抑制することができる。蒸発源6にコ
リメータ66を付加せずに、グリッド16の形状をコリ
メータ機能が得られるようにしてもよい。コリメータ機
能を付加すれば、成膜の高速化と膜特性の高精度の均一
化を同時に達成することができる。
【0035】なお、上記各実施例においては、真空槽4
内に活性ガスもしくは活性ガスと不活性ガスの混合ガス
を導入する化合物薄膜形成について説明したが、導入ガ
スを用いない薄膜形成の場合にも、成膜の高速化と膜特
性及び膜厚の均一化を同時に達成することができる。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、円筒状の
蒸発源から蒸発物質を放射状に蒸発させ、これを円筒状
に対向するフィルム基板に蒸着する構成としたので、膜
特性、膜厚の均一化を高精度に達成できるとともに、成
膜の高速化をも達成することができる。例えば、酸化イ
ンジウム、酸化スズ、酸化亜鉛のような透明導電薄膜を
ロールフィルム上に作製する場合に有利である。また、
成膜の高速化による量産により、製造コストの低減を図
ることができる。
【0037】請求項2記載の発明によれば、ガイド部材
を回転可能な一対の円環もしくは円盤で構成したので、
請求項1の効果に加え、ガイド部材の回転数で制御でき
るので、フィルム基板の定速走行を安定に行うことがで
きる。
【0038】請求項3記載の発明によれば、ガイド部材
を、位置可変な複数の駆動ローラと、無端ベルトとで構
成したので、請求項1の効果に加え、蒸発粒子量の等し
い面が変化しても均一な膜特性及び膜厚を得ることがで
きる。
【0039】請求項4記載の発明によれば、ガイド部材
を、位置可変な複数のローラから構成したので、請求項
1の効果に加え、蒸発粒子量の等しい面が変化しても均
一な膜特性及び膜厚を得ることができる。
【0040】請求項5記載の発明によれば、ガイド部材
を、位置可変な複数の冷却用ローラと、位置可変な複数
の張力設定ローラとで構成したので、請求項1の効果に
加え、蒸発粒子量の等しい面が変化しても均一な膜特性
及び膜厚を得ることができるとともにフィルム基板を冷
却できる。
【0041】請求項6記載の発明によれば、放電安定化
用シールドを配備する構成としたので、請求項1,2,
3,4又は5の効果に加え、放電にフィルム基板の電位
の影響を及ぼさないようにすることができ、放電の安定
化を図ることができる。
【0042】請求項7記載の発明によれば、蒸発源から
出る蒸発粒子の飛行経路を限定するコリメータを配備す
る構成としたので、請求項1,2,3,4,5又は6の
効果に加え、膜特性及び膜厚の均一化をより高精度に達
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る巻き取り式成膜装置の
概要断面図である。
【図2】図1で示した巻き取り式成膜装置のガイド部材
を中心とした要部斜視図である。
【図3】図1で示した巻き取り式成膜装置のガイド部材
間に配置される蒸発源等の分解斜視図である。
【図4】図1で示した巻き取り式成膜装置の蒸発源等と
電源手段との接続関係を示す図である。
【図5】図1で示した巻き取り式成膜装置の成膜状況を
示す図である。
【図6】他の実施例に係る巻き取り式成膜装置の概要断
面図である。
【図7】図6で示した、巻き取り式成膜装置のガイド部
材を示す斜視図である。
【図8】他の実施例に係る巻き取り式成膜装置の概要断
面図である。
【図9】図8で示した巻き取り式成膜装置のガイド部材
を示す斜視図である。
【図10】他の実施例に係る巻き取り式成膜装置のガイ
ド部材周辺の側面図である。
【図11】他の実施例に係る巻き取り式成膜装置の概要
断面図である。
【図12】図11で示した巻き取り式成膜装置の蒸発源
等と電源手段との接続関係を示す図である。
【図13】蒸発源にコリメータを付加した場合の概要断
面図である。
【図14】図13で示したコリメータの斜視図である。
【図15】従来例における要部の概略構成図である。
【符号の説明】
4 真空槽 6 蒸発源 8 フィルム基板 10 ガイド部材 12 フィルム基板巻き取り装置 14 熱電子発生部材 16 グリッド 36 電源手段としての蒸発用電源 38 電源手段としての直流電源 40 電源手段としての直流電源 42,50、56 ガイド部材 44 駆動ローラ 46 無端ベルト 52 ローラ 58 冷却用ローラ 60 張力設定ローラ 64 放電安定化用シールド 66 コリメータ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性ガスもしくは活性ガスと不活性ガスの
    混合ガスを導入可能な真空槽と、 上記真空槽内において、蒸発物質を放射状に蒸発させる
    ための円筒状の蒸発源と、 上記真空槽内において、上記蒸発源の中心軸と同軸の仮
    想円筒面のほぼ全周に亘る状態にフィルム基板を該蒸発
    源に対向させるためのガイド部材と、 上記蒸発源にフィルム基板を円筒状に対向させた状態で
    該フィルム基板を走行させるフィルム基板巻き取り装置
    と、 上記蒸発源とフィルム基板との間に配備され、該蒸発源
    の周囲に熱電子を発生する熱電子発生部材と、 上記熱電子発生部材とフィルム基板との間に配備され、
    上記蒸発源の中心軸と同軸の円筒面の概略形状を有し、
    上記蒸発物質を通過させうるグリッドと、 上記真空槽内に所定の電位状態を形成するための電源手
    段とを有し、 上記グリッドは上記熱電子発生部材に対して正電位とな
    るように設定されていることを特徴とする巻き取り式成
    膜装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の巻き取り式成膜装置におい
    て、 上記ガイド部材は、上記仮想円筒面の軸方向に間隔をお
    いて対向配置された回転可能な一対の円環もしくは円盤
    であることを特徴とする巻き取り式成膜装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の巻き取り式成膜装置におい
    て、 上記ガイド部材は、位置可変な複数の駆動ローラと、こ
    れらの駆動ローラに掛け渡された無端ベルトとから構成
    されていることを特徴とする巻き取り式成膜装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の巻き取り式成膜装置におい
    て、 上記ガイド部材は、位置可変な複数のローラから構成さ
    れていることを特徴とする巻き取り式成膜装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の巻き取り式成膜装置におい
    て、 上記ガイド部材は、位置可変で且つ上記フィルム基板を
    冷却可能な複数の冷却用ローラと、位置可変で且つ上記
    フィルム基板の張力を調整可能な複数の張力設定ローラ
    とから構成されていることを特徴とする巻き取り式成膜
    装置。
  6. 【請求項6】請求項1,2,3,4又は5記載の巻き取
    り式成膜装置において、 上記グリッドとフィルム基板との間に、放電安定化用シ
    ールドを配備したことを特徴とする巻き取り式成膜装
    置。
  7. 【請求項7】請求項1,2,3,4,5又は6記載の巻
    き取り式成膜装置において、 上記蒸発源から出る蒸発粒子の飛行経路を限定するコリ
    メータを配備したことを特徴とする巻き取り式成膜装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007035623A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Sandvik Intellectual Property Ab プラズマ活性を向上させる装置
JP2020094267A (ja) * 2018-12-12 2020-06-18 安徽金美新材料科技有限公司 両面連続往復真空コーティング装置

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