JPH11193798A - 送風装置 - Google Patents

送風装置

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JPH11193798A
JPH11193798A JP9359593A JP35959397A JPH11193798A JP H11193798 A JPH11193798 A JP H11193798A JP 9359593 A JP9359593 A JP 9359593A JP 35959397 A JP35959397 A JP 35959397A JP H11193798 A JPH11193798 A JP H11193798A
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slit
annular wall
air
blower
width
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JP9359593A
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Hiroyasu Fujinaka
広康 藤中
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • F04D29/661Combating cavitation, whirls, noise, vibration or the like; Balancing especially adapted for elastic fluid pumps
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 送風装置のP−Q特性の向上と静音化を実現
する。 【解決手段】 ファン1の翼先端から間隔をあけて環状
壁2を形成し、前記環状壁2には前記の翼先端と対向す
る部分に環状壁2の内周部と外周部を連通するスリット
6を形成し、ファンの回転に伴って前記スリット6から
空気を環状壁2の内周部に吸い込む送風装置であって、
前記スリット隙間の幅wを半径方向及び周方向に変化さ
せることにより、スリット6から環状壁内周部に流入す
る空気の流量が、全周に亘って略等しくなるようにした
ことを特徴とする。この構成により、翼先端において正
圧側から背圧側に流れる漏れ渦が抑制され、P−Q特性
が改善されると同時に、スリット6を設けた環状壁で発
生する騒音を抑えることができるため、送風装置の低騒
音化が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は送風装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、機器の小形化、電子化により、電
気回路の高密度実装が盛んに使用されるようになってき
た。これに伴い電子機器の発熱密度も増加するため、機
器冷却用に送風装置が使用されている。
【0003】従来の送風装置は図15に示すように、軸
流ファン1の翼先端から間隔をあけて環状壁2が形成さ
れており、モータ部3に通電した送風状態では、軸流フ
ァン1が軸4を中心に回転し、吸引側から吐出側に向か
う空気流5が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
送風状態においては、翼先端の背圧側において空気流の
速度が速くなり、これが圧力エネルギーに変換される翼
後縁側に翼間二次流れの影響による低エネルギー領域が
発生する。この部分は損失も大きく流れの剥離が生じ易
く、空気流がブレード面より離脱してしまい、その離脱
領域には渦発生が起き、これにより乱流騒音を増加さ
せ、騒音レベルならびに静圧−風量特性(以下、P−Q
特性と称す)の悪化をまねく問題がある。
【0005】この現象は、特に吐出流側に流動抵抗(シ
ステムインピーダンス)がかかった場合、翼先端の漏れ
渦の発生が大きくなり、ファンとして失速状態を呈する
状態に陥る場合に頻繁に見られる。
【0006】このようなファンの特性の改善を目的とし
て、ファンの外周に設けられた環状壁の形状を工夫した
ものとしては、本発明と同一出願人の特願平8−174
042、特願平9−151450、及び特願平9−26
0738号公報に記載の送風装置を提案している。
【0007】また、特表平6−508319号公報や米
国特許5292088に記載の送風装置のように、軸流
ファンの外周に複数のリング体を間隔を開けて配置する
ことにより、リング体の隙間から流入した空気の渦が流
体流量を増加させるものが記載されている。
【0008】あるいは、米国特許5407324に記載
の送風装置のように、軸流ファンの外周を取り巻く環状
板(プレート)の内周部を風の方向に沿って傾斜させ、
この環状板を複数積み重ねて形成し、環状壁内周と外周
との空気の流動を可能にする方法が記載されている。
【0009】上記の何れもが、ファン外周から空気を吸
い込むことにより、ファンの特性を改善するものであ
る。
【0010】しかし、パーソナルコンピュータ、ワーク
ステーション等に使用される60mm×60mmから92mm
×92mm程度の外形形状が矩形型の送風装置は、コスト
ダウンのため、形状、寸法等の共通化が図られており、
外形形状を円形にする様な大幅な変更は望ましくない。
【0011】このような外周形状が円形以外の送風装置
において、特性の改善を目的として、本発明と同一出願
人の、特願平9−151450、及び特願平9−260
738号公報には環状壁にスリットを設けると共に、ス
リットの隙間の幅を変化させることにより、特性の改善
を図る方法が示されている。
【0012】図16から図18は特願平9−15145
0号公報の送風装置を示す。図16(b)に示すよう
に、積層された環状板7aから7dの幅は軸流ファン1
の軸方向の幅と同一または軸流ファン1の軸方向の幅と
はぼ同一に設定されている。また、各スリット6の隙間
の幅wを各部の流入抵抗が等しくなるように連続的に変
化させている。
【0013】図18はスリット6の隙間の幅wが全周に
亘って一定の場合を模式的に表したものである。軸流フ
ァン1が矢印9方向に回転駆動されることによって翼先
端背圧側には負の圧力が発生し、スリット外との気圧差
により各スリット6から内側に向かって空気流の流れ込
み5が発生する。スリット6の隙間の幅wを適切な値に
設定する事により、各スリット6から流れ込む空気流5
は層流となり、翼先端において正圧側から背圧側に流れ
る漏れ渦10が抑制され、背圧面での空気流の離脱が無
くなる。
【0014】しかしながら、この場合には、4辺部7s
のスリットは、他の部分7rのスリットより空気の流入
抵抗が小さくなるため、他の部分より空気の流入量が大
となり、この部分の空気流が乱流となり易いと同時に、
ファンには流量の大きな部分と小さな部分が生じ、翼の
振動を引き起こし、あるいは空気流が下流側のスリット
から逆流し、上流側のスリットに再び吸い込まれるディ
スクサーキュレーション12も発生し易くP−Q特性の
悪化、ならびに騒音増加の原因となる。
【0015】これに対して図17は、スリット6の隙間
の幅wを各部の流入抵抗が等しくなるように連続的に変
化させた場合を示している。この場合には、4辺部7s
のスリットも、他の部分7rのスリットと空気の流入抵
抗が等しくなり、空気の流入量が全周に亘って等しくな
るために、翼の振動、ディスクサーキュレーション等を
抑え、P−Q特性の悪化、ならびに騒音増加がない。
【0016】しかしながら、上記技術は、スリット6の
隙間の幅wは、半径方向に一定な状態を想定したもので
あり、環状板7aから7dの半径方向断面は、必然的に
矩形状の断面形状になってしまう。この構成により、P
−Q特性については、上記に示した効果により、大幅な
改善があるものの、騒音に関しては、スリットを設けた
環状壁そのものが新たな騒音発生源となっており、特に
低圧時のような、従来の送風装置でも大きな失速を生じ
ない使用条件では、騒音がかえって高くなってしまうこ
とがあった。
【0017】本発明は、上記のような環状壁に内周部と
外周部を連通するスリットを形成し、ファンの回転に伴
って前記スリットから空気を環状壁の内周部に吸い込む
送風装置において、スリット部の形状の更なる改善を図
り、特に騒音を低減することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の送風装置は、上
記のような環状壁にスリットを有する送風装置におい
て、ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁を形成し、
前記環状壁には前記の翼先端と対向する部分に環状壁の
内周部と外周部を連通するスリットを形成し、ファンの
回転に伴って前記スリットから空気を環状壁の内周部に
吸い込む送風装置であって、前記スリット隙間の幅w
(l)を半径方向及び周方向に変化させることにより、
スリットから環状壁内周部に流入する空気の流量が、全
周に亘って略等しくなるようにしたことを特徴とする。
この構成により、翼先端において正圧側から背圧側に流
れる漏れ渦が抑制され、P−Q特性が改善されると同時
に、スリットを設けた環状壁で発生する騒音を抑えるこ
とができるため、送風装置の低騒音化が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁を形成し、
前記環状壁には前記の翼先端と対向する部分に環状壁の
内周部と外周部を連通するスリットを形成し、ファンの
回転に伴って前記スリットから空気を環状壁の内周部に
吸い込む送風装置であって、前記環状壁の内周から外周
までの空気の流れ方向長さをL、前記スリットの内周か
らの距離lでのスリットの隙間の幅をw(l)とした場
合に、(数1)またはその近似条件を満足するように前
記スリットの隙間の幅w(l)半径方向及び周方向に変
化させることにより、スリットから環状壁内周部に流入
する空気の流量が、全周に亘って略等しくなるようにし
たもので、送風装置のP−Q特性の向上、低騒音化を実
現できる。
【0020】本発明の請求項2に記載の発明は、ファン
の翼先端から間隔をあけて環状壁を形成し、前記環状壁
には前記の翼先端と対向する部分に環状壁の内周部と外
周部を連通するスリットを形成し、ファンの回転に伴っ
て前記スリットから空気を環状壁の内周部に吸い込む送
風装置であって、前記環状壁の内周から外周までの空気
の流れ方向長さをL、前記スリットの内周からの距離l
でのスリットの隙間の幅をw(l)、回転軸方向のスリ
ット本数をnとした場合に、(数2)またはその近似条
件を満足するように、前記スリットの本数を変化させ、
同時に隙間の幅w(l)を半径方向及び周方向に変化さ
せることにより、スリットから環状壁内周部に流入する
空気の流量が、全周に亘って略等しくなるようにしたも
ので、送風装置のP−Q特性の向上、低騒音化を実現で
きる。
【0021】本発明の請求項3に記載の発明は、スリッ
トの空気の流入方向の角度が、ファン回転軸に対する鉛
直面から傾きを持って形成されたもので送風装置の効率
を改善できる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1から図14に基
づいて説明する。
【0023】(実施例1)図1(a)から(d)は実施
例1の送風装置を示す。
【0024】図1の(a)から(d)に示すように、ハ
ウジング13は、モータ部が固定される軸受支持部とし
てのボス部11と、送風装置の取り付け基準となるベー
ス部14を有し、前記ベース部14の上部に、薄肉のリ
ング体の4辺の直線状にカットした形状の環状板7aか
ら7eを、スペーサ8を介して縦に連結した形状となっ
ており、積層された環状板7aから7eは軸流ファン1
の回転軸方向の幅に対応する部分に取り付けられてお
り、これら全てが樹脂で一体に形成されている。
【0025】また、各スリット6の隙間は、環状板の断
面形状が紡錘形になるように環状壁内周側より外周側の
ほうが幅広に形成され、さらに、各スリット6の隙間の
幅を周方向にも変化させることにより各部の流入抵抗が
全周に亘って等しくなるようにしている。
【0026】ここで、本発明の送風装置の特徴を明確に
するために、先行技術の送風装置と比較して説明する。
【0027】図2(a)から(d)は、先行技術(特願
平9−151450号公報)記載のように、スリットの
隙間の幅が半径方向に変化しない場合を示している。
【0028】図2の送風装置は、スリット6の隙間の幅
wが半径方向に一定なことを除いて、図1に示す本実施
例の送風装置と全く同様である。
【0029】図4は先行技術の送風装置の図2(b)の
x−x’断面での空気流の流れを示した図である。
【0030】図4に示すとおり、環状壁外周から内周に
流れ込む空気流5は環状壁外周部に一度衝突するような
形でスリット6内に流入する。スリット6の隙間の幅w
を適切に設定することにより、スリット6に流入した空
気流5は、スリット6の整流効果により環状壁内周に流
れ込む際には、層流状態で流入するため、P−Q特性の
改善効果については、十分な効果が得られるものの、空
気流5が環状壁外周部に衝突する際に発生する空気流の
乱れ21により、この部分から騒音が発生する状態とな
っている。
【0031】図3は本実施例の図1(b)のx−x’断
面での空気の流れを示している。図3に示すとおり、環
状壁外周から流れ込む空気流5は、紡錘形の環状板7a
から7eに沿って環状壁内周に導かれる形になるため、
空気流5がスリット6内に流入する際に発生する空気流
の乱れは最小限に抑えられる。この構成により、P−Q
特性が改善されると同時に、スリット6部で発生する騒
音が最小限に抑えられ、送風装置の低騒音化が可能とな
る。
【0032】ここで、各部スリット6の流入抵抗を等し
くする条件について、例をあげて説明する。
【0033】図5は、各スリット6内の空気の速度分布
を模式的に示した図である。なお、スリット6内の空気
の流れは層流と仮定し、空気の慣性力、空気の圧縮等は
無視する。
【0034】図5においてLは環状壁の内周から外周ま
での空気の流れ方向長さ、 w(l)は前記スリットの
内周からの距離lの位置でのスリットの隙間の幅、p
(l)は同位置での圧力、uは空気の流速、Qは単位時
間当たりに単位スリットから流入する空気の量を表して
いる。スリット6内の速度uの分布は図5に示す様に放
物線状の分布となり、単位時間当たりに単位スリットか
ら流入する空気の量Qは、
【0035】
【数3】
【0036】と表される。ここでηは空気の粘度であ
る。ここで、スリット6の流れ方向の長さをL、スリッ
ト内外の気圧差を△Pとすると、
【0037】
【数4】
【0038】と書き換えられる。△P はファンの回転
によるもの、ηは空気の粘度であり各部で一定であるの
で、Qを一定にする条件は、(数1)である。従って、
この式に従いスリット6の隙間の幅を最適化することに
より、空気の流入量が全周に亘って等しくなるために、
翼の振動等を抑え、P−Q特性の悪化、ならびに騒音増
加がないようにできることが分かる。
【0039】以上の最適化条件は、空気の慣性力、空気
の圧縮等は無視した状態での条件であるので、実際の最
適化条件は、この条件から僅かにずれたところに存在す
る。しかしながら、スリット部の流れは層流状態になる
ような状態、言い換えれば、空気の慣性力が、粘性力に
対して小さい状態に設定したものであるため、このずれ
は僅かなものであり、上記の最適化条件により求めた形
状を基に、試作実験あるいは、コンピュータを用いた流
体解析等を行い、若干の修正を加えることにより更に最
適な形状を求めることが可能である。
【0040】次に、上記の条件を基に最適化を行った送
風装置の実特性の測定結果を示す。図6(a),(b)
は、従来の環状壁にスリットがない送風装置と、スリッ
トの隙間の幅が全周に亘って一定な送風装置と、先行技
術(特願平9−151450号公報)記載のように、ス
リットの隙間の幅wを周方向にのみ変化させた送風装
置、及び本発明の周方向及び半径方向ともに変化させた
送風装置の特性を試作実験により比較したものである。
【0041】これらの送風装置は現在量産されている送
風装置の部品を使用し、ハウジングのみ切削品で試作し
同一条件での測定を行ったものであり、送風装置のサイ
ズ、ファンのサイズ及び形状、ファンを駆動するモータ
の特性はいずれも同一である。
【0042】図6(a)はこれらの送風装置のファンを
同一回転数で駆動した場合のP−Q特性を比較した図で
ある。
【0043】従来の環状壁にスリットがない送風装置で
は、ある程度の静圧が加わった状態になると風量が極端
に落ち込み失速状態に陥っている。またスリットの隙間
の幅が一定の場合は、従来の送風装置に比較して失速状
態は改善されているものの、失速を完全に無くすまでは
至っていない。それに対してスリットの隙間の幅を周方
向にのみ変化させた場合及び、周方向及び半径方向とも
に変化させた場合では、この失速状態がほぼ完全に回避
されていることが分かる。
【0044】図6(b)はこれらの送風装置のファンを
同一回転数で駆動した場合の風量−騒音特性を比較した
図である。
【0045】従来の環状壁にスリットがない送風装置
は、ファンの失速に伴い、騒音が増加する領域が存在す
るが、その他3種類のスリットを設けた送風装置にはこ
のような、大きな変化を示す領域はなく全域に亘って、
安定した特性を示している。しかしながら、スリット幅
が一定の場合、あるいは、周方向にのみ変化させた場合
は、周方向及び半径方向ともに変化させた場合に比較し
て全体的に騒音が高く、静圧が小さい領域においては、
従来の送風装置よりかえって騒音が高くなってしまって
いる。一方スリット幅を周方向及び半径方向ともに変化
させた場合は、全域に亘って低い値を示しており、ほと
んどの領域で従来の送風装置より低い騒音を示してい
る。
【0046】以上は、ファンを同一回転数で駆動したと
きの特性を示したものであるが、実使用上は、一定の送
風条件、つまり静圧及び風量を等しくする条件で使用さ
れる機会が多く、このような同一送風条件において、本
発明の送風装置は、ファン回転数を低くすることができ
るため、従来の環状壁にスリットがない送風装置との騒
音差は更に広がり、同時にモータ部での消費電力も低減
され、低騒音でかつ低消費電力な送風装置となる。
【0047】なお、上記実施例は、環状壁2の外周形状
が、円形の4辺部が平面状にカットされた形状を示して
いるが、図7のような多角形状、あるいは図8のような
楕円形状の形状等、その他いずれの外周形状においても
同様の条件で最適化を行うことにより、P−Q特性に優
れ、低騒音な送風装置が提供できることは言うまでもな
い。
【0048】また図には示さないが、環状壁の外周形状
が円形の場合は、スリットの隙間の幅を半径方向にのみ
変化させ、スリットの空気の流入を円滑にする形状にす
ることにより、同様の効果が得られる。
【0049】また上記実施例では、環状板7aから7e
の断面形状が紡錘形になるようにしているが、図9
(a)のように台形状の形状とする、あるいは、図9
(b)のように三角形状とするといった方法も可能であ
る。空気流5の流入を円滑にするという観点では、上記
実施例で示したような紡錘形の形状が優れているが、台
形あるいは三角形とした場合でも、先行技術のスリット
の隙間の幅wが半径方向に変化しない場合に比較して、
騒音が低減されると共に、紡錘形の形状にした場合と比
較して形状が単純なため、量産が容易で、生産性に優れ
た形状である。
【0050】あるいは、図9(c)に示すようにスリッ
トの隙間の幅が中間部分で最小になるように環状板7a
から7eの断面形状を翼形に成形した場合は、形状が複
雑になってしまうために、環状板7aから7eとハウジ
ング13を樹脂射出成形等の工法で一体に成形すること
は困難であり、量産には適さないが、環状壁外周部での
空気流の円滑な流入と合わせて、環状壁内周部分でもフ
ァン1の広い範囲に空気流が流入する形となり、ファン
1での空気流の状態が均一化されるために、ファン1で
の空気流の離脱が抑制され、特性は更に向上する。
【0051】(実施例2)図10は実施例2を示す。
【0052】上記実施例1ではハウジングの成形方法等
については特に述べなかったが、本実施例は、ハウジン
グの成形方法と、その成形方法に合わせた最適化の例を
示す。
【0053】図10(a)から(c)は本実施例の送風
装置のハウジングを示している。図10(a)から
(c)においてハウジング13は、モータ部が固定され
る軸受支持部としてのボス部11と、送風装置の取り付
け基準となるベース部14とを有し、前記ベース部14
の上部に、薄肉のリング体の4辺の直線状にカットした
形状の環状板7aから7eを、スペーサ8を介して縦に
連結した形状となっており、これら全てが樹脂射出成形
で一体に成形されている。
【0054】各スリット6aから6dの隙間は、環状板
7aから7eの断面形状が紡錘形になるように環状壁2
内周側より外周側のほうが幅広に形成され、各スリット
6aから6eの隙間の幅wを周方向にも変化させること
により、各部の流入抵抗が等しくなるようにしているこ
とは実施例1と同様であるが、本実施例では、さらに、
各スリット6aから6eはファン1回転軸に対する鉛直
面から、若干の傾きを持って成形され、各スリットによ
りこの傾きを変化させていることが異なっている。
【0055】図11は、本実施例のハウジング13を成
形する金型の構造を模式的に示した図である。
【0056】図11に示すとおり、金型は上下金型1
5,16と2個のスライドコア17,18という比較的
単純な構成である。このような金型構成は、従来の環状
壁にスリットを設けていない送風装置のハウジングを成
形する方法としても、非常に一般的な構成であり、量産
性に優れた形状である。
【0057】このような金型構成で成形するため、図1
0(b)に示すとおり4角部分のスペーサ8aは半径方
向上に成形されているが、4辺部分のスペーサ8bは半
径方向に対して傾きをもって成形されている。このよう
にスペーサ8bを傾けると、スペーサ8bが環状壁2外
周から内周に流れる空気流の妨げとなり特性が悪化する
ものの、環状壁2の半径方向の寸法Lがもっとも小さい
4辺部に配置することにより、スペーサ8bを傾けたこ
とによる影響を小さくしている。
【0058】また、上記スライドコア17,18はハウ
ジングの中心軸と垂直な平面状を正対してスライドする
が、ハウジング13のスリット6aから6dが外周側ほ
ど広くなっているのを利用して、図12に示すように、
スリット6aの上面19と下面20の角度を変えること
により、この面に対して傾いたスリット6aと6dを成
形することを可能にしている。
【0059】このように、スリット6aから6dの角度
をファン回転軸に対する鉛直面から、若干の傾きを持た
せることは以下のような効果がある。
【0060】図13(a),(b)はスリット部での空
気流5の流れを示している。図13(a)に示すよう
に、通常の送風状態においてスリット6aから6dから
流入した空気流5aは、ファン1によりほぼ軸方向の空
気流5bに変換される形となるが、この時空気流5の向
きを変えるにはある程度のエネルギーが必要となるた
め、角度の変化が少ないように、スリット6aから6d
の内周側が空気流の吐出方向に傾いている状態が、効率
的に優れている。またスリット6aから6dを傾けるこ
とにより、環状壁2の内周と外周との寸法Lに比較し
て、空気流5の流れ方向の寸法L’が長くなり、スリッ
ト6aから6dの隙間の幅wを同一に設定した場合、ス
リット6aから6dが傾いていない場合よりも、空気流
5を層流にする効果が高い。
【0061】さらに、本実施例では風上流側のスリット
6aから6bは上記に示したように内周側が空気流の吐
出方向に傾いているが、風下流側のスリット6dは逆に
外周側が空気流の吐出方向に向きに傾けて形成してい
る。これは、各スリット6aから6dの角度を変えるこ
とにより広い範囲の空気を環状壁2内周に導入し風量を
増大することを目的としている。
【0062】また、図13(b)に示すように、静圧が
高い状態で使用された場合、風下流側のスリット6dか
ら空気が逆流し、風上流側のスリット6aから6cへ再
び吸い込まれるディスクサーキュレーション12が発生
し、効率が低下するが、風下流側のスリット6dを外周
側を上流側とは逆に空気流5の吐出方向に傾けたため、
風下流側スリット6dから風上流側のスリット6a,6
b,6cへの流路が長くなり、ディスクサーキュレーシ
ョン12を抑制する効果もある。
【0063】以上の構成により、形状は若干複雑になる
が、従来の送風装置の製造方法、設備に僅かな修正を加
えるだけで、量産性に優れ、P−Q特性に優れ、かつ低
騒音で、効率も高い送風装置が提供できる。
【0064】(実施例3)上記実施例は、各部のスリッ
ト6の本数は全周に亘って一定であるが、スリット6の
本数も合わせて変化させることにより同様の最適化が可
能である。
【0065】図14(a)から(c)は本実施例の送風
装置のハウジングを示す。図14(a)において、本実
施例ではスリット6の本数が4辺部とその他の部分で異
ならせている。
【0066】このようにスリットの本数が変化する場合
においては、スリット1本のみの流入抵抗ではなく、複
数本のスリットから流入する空気の流量が全周に亘って
等しくなるようにすればよい。
【0067】スリット1本あたりの空気の流入量は実施
例1と同様(数4)と表されるので、その部分のスリッ
ト本数をn本とすると、その部分から流れ込む空気の流
量の総和ΣQは
【0068】
【数5】
【0069】と表される。△P はファンの回転による
もの、ηは空気の粘度であり各部で一定であるので、Σ
Qを一定にする条件は、(数2)である。従ってこの式
に従って、スリット6の隙間の幅、及び本数を変化させ
ることにより、空気の流入量が全周に亘って等しくなる
ために、翼の振動、ディスクサーキュレーション等を抑
え、P−Q特性の悪化、ならびに騒音増加がない、高風
量で、かつ低騒音な送風装置が提供できる。
【0070】
【発明の効果】上記実施例の記載から明らかなように、
請求項1,2記載の発明によれば、ファンの翼先端から
間隔をあけて環状壁を形成すると共に、この環状壁には
前記の翼先端と対向する部分に環状壁の内周部と外周部
を連通するスリットを形成し、前記スリットから環状壁
内周部に流入する空気の流量が、全周に亘って等しくな
るように前記スリットの隙間の幅を変化させたため、フ
ァンの背圧側での空気流の剥離および渦発生を抑制する
ことにより送風状態を改善すると同時に、翼の振動、デ
ィスクサーキュレーション等を抑えることができ、従来
の送風装置に比べてP−Q特性の改善、ならびに騒音の
減少を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施例1の送風装置の側面図 (b)同正面図 (c)同断面図 (d)同x−x’断面詳細図
【図2】(a)先行技術(特開平9−151450号公
報)の送風装置の側面図 (b)同正面図 (c)同断面図 (d)同x−x’断面詳細図
【図3】本発明の実施例1の送風装置のスリット部の空
気の流れを示した図
【図4】先行技術(特開平9−151450号公報)の
送風装置のスリット部の空気の流れを示した図
【図5】本発明の実施例1の送風装置のスリット内部の
空気の流れを示した図
【図6】(a)本発明の実施例1の送風装置の特性を従
来の送風装置と比較したP−Q特性図 (b)同風量−騒音特性図
【図7】(a)ハウジング外形を多角形にした場合の側
面図 (b)同正面図
【図8】(a)ハウジング外形を楕円状にした場合の側
面図 (b)同正面図
【図9】本発明の実施例1の他の実施例の環状板形状を
示した図
【図10】(a)本発明の実施例2の送風装置のハウジ
ングの側面図 (b)同正面図 (c)同x−x’断面詳細図
【図11】(a)本発明の実施例2の送風装置のハウジ
ングを成形する金型の構造を示す半断面斜視図 (b)同上面図
【図12】本発明の実施例2の送風装置のハウジングを
成形する金型の構造図
【図13】本発明の実施例2の送風装置のスリット付近
の空気流の流れを示した図
【図14】(a)本発明の実施例3の送風装置のハウジ
ングの側面図 (b)同正面図 (c)同x−x’断面詳細図 (d)同z−z’断面詳細図
【図15】従来の送風装置の断面図
【図16】(a)先行技術(特開平9−151450号
公報)の送風装置の正面図 (b)同側面図 (c)同断面図
【図17】スリットの効果を示した説明図
【図18】スリットの効果を示した説明図
【符号の説明】
1 ファン 2 環状壁 3 モータ部 4 軸 5 空気流 6 スリット 7a,7b,7c,7d,7e 環状板 8 スペーサ 9 ファン回転方向 10 翼端漏れ渦 11 ボス部 12 ディスクサーキュレーション 13 ハウジング 14 ベース部 15 上金型 16 下金型 17, 18 スライドコア 19 上面 20 下面 21 空気流の乱れ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁を
    形成し、前記環状壁には前記の翼先端と対向する部分に
    環状壁の内周部と外周部を連通するスリットを形成し、
    ファンの回転に伴って前記スリットから空気を環状壁の
    内周部に吸い込む送風装置であって、前記環状壁の内周
    から外周までの空気の流れ方向長さをL、前記スリット
    の内周からの距離lでのスリットの隙間の幅をw(l)
    とした場合に、 【数1】 またはその近似条件を満足するように、前記スリットの
    隙間の幅w(l)を半径方向及び周方向に変化させるこ
    とにより、スリットから環状壁内周部に流入する空気の
    流量が、全周に亘って略等しくなるようにした送風装
    置。
  2. 【請求項2】ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁を
    形成し、前記環状壁には前記の翼先端と対向する部分に
    環状壁の内周部と外周部を連通するスリットを形成し、
    ファンの回転に伴って前記スリットから空気を環状壁の
    内周部に吸い込む送風装置であって、前記環状壁の内周
    から外周までの空気の流れ方向長さをL、前記スリット
    の内周からの距離lでのスリットの隙間の幅をw
    (l)、回転軸方向のスリット本数をnとした場合に、 【数2】 またはその近似条件を満足するように、前記スリットの
    本数を変化させ、同時に隙間の幅w(l)を半径方向及
    び周方向に変化させることにより、スリットから環状壁
    内周部に流入する空気の流量が、全周に亘って略等しく
    なるようにした送風装置。
  3. 【請求項3】スリットの空気の流入方向の角度が、ファ
    ン回転軸に対する鉛直面から傾きを持って形成されたこ
    とを特徴とする請求項1及び2いずれか1項に記載の送
    風装置。
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