JPH11193357A - 粉体塗料組成物 - Google Patents

粉体塗料組成物

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JPH11193357A
JPH11193357A JP4727198A JP4727198A JPH11193357A JP H11193357 A JPH11193357 A JP H11193357A JP 4727198 A JP4727198 A JP 4727198A JP 4727198 A JP4727198 A JP 4727198A JP H11193357 A JPH11193357 A JP H11193357A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗面状態、密着性、耐水性、硬化性、耐腐食
性、風味保持性などに優れ、かつ高度の加工性を有する
塗膜を形成できる粉体塗料組成物を得る。 【解決手段】 (A)軟化点が50〜140℃及びエポ
キシ当量が180〜4,000の、ビスフェノール型又
はノボラック型のエポキシ樹脂、(B)芳香族ジカルボ
ン酸を80〜100モル%の割合で含有する酸成分とエ
チレングリコールを88〜100モル%の割合で含有す
るアルコール成分とを反応させてなる水酸基含有ポリエ
ステル樹脂に、多塩基酸を付加反応させて得られる、数
平均分子量1,000〜4,000、酸価120〜20
0mgKOH/g及び軟化点50〜140℃の高酸価ポ
リエステル樹脂及び(C)硬化触媒を含有することを特
徴とする粉体塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短時間焼付けにお
ける硬化性に優れた粉体塗料組成物、及び該粉体塗料組
成物による缶内外面、缶蓋加工部の塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
食用缶や飲料缶などの金属缶には、金属の溶出や缶の腐
食を防止するために缶用塗料が塗装されている。使用さ
れる塗料としては、エポキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂な
どの樹脂を溶剤に溶解ないしは分散させた液体塗料が一
般的である。
【0003】近年、これらの液体塗料に含まれる有機溶
剤が塗装時に大気中に揮散し、大気汚染の原因となる問
題や、缶内面においては該有機溶剤が塗膜中に残留し、
これが加熱殺菌処理によって缶内容物に移行するという
衛生面における問題を有していることから、無公害、無
溶剤型塗料への移行が急速に進められている。
【0004】また、従来公知の粉体は、一般に、食品缶
及び飲料缶内面用として衛生上不適切な材料が使用され
ており、さらに、製缶ライン速度上及びその他工程上必
要な短時間焼付けでは、良好なる滑らかな塗面、耐食
性、製缶加工性が得られないことから、食品及び飲料に
直接接触する缶内面用塗料に適した短時間焼付けで硬化
する粉体塗料の開発が望まれている。
【0005】そこで、本発明者らは、短時間の焼付けで
も、塗面状態、密着性、加工性、耐水性、硬化性、耐腐
食性、風味保持性等に優れた塗膜を形成できる缶用塗料
組成物として、先に、ビスフェノール型エポキシ樹脂
と、硬化剤としての無水トリメリット酸残基を2個以上
有する低分子量の有機酸成分と、硬化触媒である塩化コ
リンとを含有する缶用粉体塗料組成物を提案した(特開
平8−3514号公報参照)。この提案の組成物におい
ては、エポキシ樹脂との短時間での反応性を向上させる
ために、硬化剤として低分子量、高酸価のものが使用さ
れている。この硬化剤によって反応性は向上するが、こ
の硬化剤は経時によって変性して反応性が低下しやす
く、その一部が未反応物として塗膜中に残存すると、そ
の塗膜が缶内面用塗膜である場合には、該未反応物は低
分子量であるので缶内容物中に抽出されやすく風味保持
性が低下するという問題があった。
【0006】また、本発明者らは、同様の目的で、先
に、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、硬化剤としての
無水トリメリット酸残基を2個以上有する低分子量の有
機酸成分又は高酸価のポリエステル樹脂と、硬化触媒で
ある有機カルボン酸金属塩とを含有する缶用粉体塗料組
成物を提案した(特開平8−92505号公報参照)。
この組成物において、硬化剤として低分子量の有機酸成
分を使用する場合には、上記と同様に塗料の経時によっ
て得られる塗膜の風味保持性が低下するという問題があ
った。一方、硬化剤として高酸価のポリエステル樹脂は
分岐度の大きいポリエステル樹脂であり、高度の加工性
の確保が困難であるという問題があった。
【0007】そこで、本発明者らは、塗面状態、密着
性、耐水性、硬化性、耐腐食性、風味保持性などの性能
に優れ、高度の加工性を有する塗膜を形成できる缶用粉
体塗料組成物を開発すべく鋭意研究を行った結果、今
回、硬化剤として、エチレングリコールをアルコール成
分の主体とする、特定の高酸価のポリエステル樹脂を用
い、これを特定のエポキシ樹脂と組合わせることによ
り、上記目的を達成できることを見出し本発明を完成す
るに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(A)軟化点が50〜140℃及びエポキシ当量が18
0〜4,000の、ビスフェノール型エポキシ樹脂及び
ノボラック型エポキシ樹脂から選ばれるエポキシ樹脂、
(B)芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%の割合
で含有する酸成分とエチレングリコールを88〜100
モル%の割合で含有するアルコール成分とを、カルボキ
シル基に対して水酸基が過剰となる条件で反応させてな
る水酸基含有ポリエステル樹脂に、多塩基酸を付加反応
させて得られる、数平均分子量1,000〜4,00
0、酸価120〜200mgKOH/g及び軟化点50
〜140℃の高酸価ポリエステル樹脂及び(C)硬化触
媒を含有し、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基/ポリ
エステル樹脂(B)中のカルボキシル基のモル比が2/
1〜1/2であることを特徴とする粉体塗料組成物を提
供するものである。
【0009】さらに本発明は、上記粉体塗料組成物を缶
の内面又は外面に塗装し、焼き付けることを特徴とする
缶の塗装方法、並びに上記粉体塗料組成物を缶蓋加工部
に塗装し、焼き付けることを特徴とする缶蓋加工部の補
修塗装方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の粉体塗料組成物に
おける各成分についてさらに説明する。
【0011】エポキシ樹脂(A) 本発明組成物において、(A)成分のエポキシ樹脂とし
ては、軟化点が50〜140℃、好ましくは80〜13
0℃で、エポキシ当量が180〜4,000、好ましく
は200〜3,500であるエポキシ樹脂であって、か
つビスフェノール型エポキシ樹脂及びノボラック型エポ
キシ樹脂から選ばれるものが使用される。上記エポキシ
樹脂の軟化点が50℃未満では貯蔵中に粉体塗料がブロ
ッキングしやすくなり、一方、140℃を超えると、塗
料化時に混練不良を起したり、粉体塗料の加熱硬化時の
熱流動性が悪くなって平滑な塗膜が得られ難くなる。ま
た、エポキシ樹脂のエポキシ当量が180未満では粉体
塗料の貯蔵中の耐ブロッキング性が悪くなり、一方、
4,000を超えると、粉体塗料の加熱硬化時の熱流動
性が悪くなったり、得られる塗膜の耐腐食性が悪くなっ
たりするので好ましくない。
【0012】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例
えば、エピハロヒドリン、ビスフェノール類および必要
に応じて飽和脂肪族モノカルボン酸、二塩基酸、重合脂
肪酸などの変性剤を常法に従い反応させて得ることがで
きる。原料として用いられる上記エピハロヒドリンとし
ては、特にエピクロルヒドリンが好ましい。また、ビス
フェノール類としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン[略称、ビスフェノールF]、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[略称、ビスフ
ェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン[略称、ビスフェノールB]、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−
ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロ
パン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オ
キシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス
(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシ
ベンゾフェノンなどを挙げることができる。缶内面用と
しては、これらのうち、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールFが衛生性の点から好ましい。
【0013】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造
に際して、必要に応じて用いられる変性剤としては、重
合性脂肪酸であるダイマー酸が得られる塗膜の加工性に
点から好ましい。ダイマー酸は、乾性油又は半乾性油か
ら得られる精製植物油脂肪酸等の高級不飽和脂肪酸を二
量化したものであり、該不飽和脂肪酸としては、主とし
てC18の不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸、リノレン
酸、オレイン酸などが挙げられる。ダイマー酸は上記不
飽和脂肪酸の二量体を主体とするものであるが、場合に
より、三量体等の他のオリゴマーやモノマー脂肪酸を含
有していてもよい。
【0014】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のう
ち、変性剤で変性されていない樹脂の市販品としては、
例えば、エピコート#1001、同#1002、同#1
003、同#1004、同#1007(以上、いずれも
油化シェルエポキシ社製、商品名)、エピクロン#10
50、同#3050、同#4050、同#7050(以
上、いずれも大日本インキ化学工業社製、商品名)、エ
ポトートYDF−2004(東都化成社製、商品名)な
どを挙げることができる。
【0015】一方、エポキシ樹脂(A)として使用でき
るノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、分子内に多数のエポキシ基を有するフ
ェノールグリオキザール型エポキシ樹脂など、各種のノ
ボラック型エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0016】上記ノボラック型エポキシ樹脂の市販品と
しては、フェノールノボラック型として、EPPN−2
01(日本化薬(株)製、商品名)などが挙げられ、ク
レゾールノボラック型としては、エピコート#180S
65、同#180H65(以上、いずれも油化シェルエ
ポキシ社製、商品名)、EOCN−102S、同−10
3S、同−104S(以上、いずれも日本化薬(株)
製、商品名)、エポトートYDCN−701、同−70
2、同−703、同−704(以上、いずれも東都化成
社製、商品名)などを挙げることができる。
【0017】高酸価ポリエステル樹脂(B) 本発明組成物において、(B)成分の高酸価ポリエステ
ル樹脂は、上記エポキシ樹脂(A)の硬化剤として働く
ものであり、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%
の割合で含有する酸成分とエチレングリコールを88〜
100モル%の割合で含有するアルコール成分とをカル
ボキシル基に対して水酸基が過剰となる条件で反応させ
てなるポリエステル樹脂に、多塩基酸を付加反応させて
得られる高酸価ポリエステル樹脂である。
【0018】上記アルコール成分と反応させる酸成分と
して用いられる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、
無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等、及びこ
れらの酸の低級アルキルエステル化物を挙げることがで
きる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用す
ることができる。
【0019】酸成分として、芳香族ジカルボン酸に加え
て、必要に応じて他の酸を併用することができ、併用で
きる酸としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイ
ン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などの芳香族以外のジカル
ボン酸;安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香
酸などの一塩基酸;無水トリメリット酸、無水ピロメリ
ット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピ
ロメリット酸などの3価以上の多塩基酸、これらの酸の
低級アルキルエステル化物などを挙げることができる。
上記酸成分中の芳香族ジカルボン酸の割合は80モル%
以上であることが必要であり、芳香族ジカルボン酸の割
合が80モル%未満となると、一般に生成する樹脂が軟
質化しやすくなり樹脂(a)の軟化点と塗膜性能とのバ
ランスをとることが困難となる。
【0020】上記酸成分と反応させるアルコール成分と
してエチレングリコールと併用できるアルコールとして
は、例えば、ジエチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレング
リコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2
−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2
−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ヘキサ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキ
サンジオール、エステルジオール204(ユニオンカー
バイド社、製品)などの脂肪族ジオール;1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、グ
リセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビト
ールなどの3価以上の多価アルコールなどを挙げること
ができる。
【0021】上記アルコール成分中のエチレングリコー
ルの量が88モル%未満となると、得られる塗膜は、缶
内面に使用した際に風味保持性が悪くなる。また上記ア
ルコール成分中の3価以上の多価アルコールの量が12
モル%を超えると樹脂の分岐が多くなり、分子量分布が
広がって低分子量成分が多くなることから得られる塗膜
成分が水によって抽出されやすくなり風味保持性が悪く
なる。
【0022】上記酸成分とアルコール成分とを、アルコ
ール成分過剰にて常法により直接エステル化法又はエス
テル交換法により反応させることによって水酸基含有ポ
リエステル樹脂を作成することができる。この反応は、
加圧又は減圧操作、あるいは不活性ガスを流入させて反
応を促進させることもできる。さらに反応の際にジ−n
−ブチル錫オキサイドなどの有機金属触媒などをエステ
ル化触媒として使用することができる。また工業的に
は、通常、直接エステル化法が有利に使用され、加圧せ
ずに反応を行う際にはエステル交換法が有利に使用され
るが、条件などに応じ適宜行うことができる。
【0023】上記酸成分とアルコール成分とを反応させ
て得られる水酸基含有ポリエステル樹脂は、通常、水酸
基価40〜170mgKOH/g、好ましくは50〜1
50mgKOH/gで、酸価7mgKOH/g以下、好
ましくは5mgKOH/g以下であることが好適であ
る。
【0024】上記のようにして得られる水酸基含有ポリ
エステル樹脂に多塩基酸を、多塩基酸過剰の条件にてエ
ステル化反応させて、水酸基含有ポリエステル樹脂中の
水酸基をカルボキシル基末端に変換させることによって
高酸価ポリエステル樹脂(B)を得ることができる。
【0025】上記水酸基含有ポリエステル樹脂に反応さ
せる多塩基酸としては、前記水酸基含有ポリエステル樹
脂の製造に用いることができる酸成分として挙げた2価
以上のカルボン酸、カルボン酸無水物を使用することが
でき、なかでも無水トリメリット酸、トリメリット酸が
好適である。
【0026】高酸価ポリエステル樹脂(B)は、数平均
分子量1,000〜4,000、好ましくは1,400
〜2,500、酸価120〜200mgKOH/g、好
ましくは130〜195mgKOH/g、軟化点50〜
140℃、好ましくは80〜130℃のポリエステル樹
脂である。この性状のポリエステル樹脂(B)が得られ
るように、前記酸成分とアルコール成分から得られる水
酸基含有ポリエステル樹脂と多塩基酸との配合比、各成
分の種類などが適宜選択される。
【0027】高酸価ポリエステル樹脂(B)の数平均分
子量が1,000未満となると、得られる塗膜の加工性
が低下し、一方、数平均分子量が4,000を超える
と、得られる塗膜の耐水性、耐食性が低下する。また、
酸価が120mgKOH/g未満となると硬化性が低下
し塗膜強度が不十分となり、一方、酸価が200mgK
OH/gを超えると塗膜の硬化が速く、加熱硬化時にお
ける塗膜の溶融、流動性が低下し塗面状態が劣化する。
また、軟化点が、50℃未満となると貯蔵時にブロッキ
ングしやすくなり、一方、140℃を超えると塗料化時
に混練不良を起こしたり、加熱硬化時において高酸価ポ
リエステル樹脂(B)が溶融されにくくなり硬化性が劣
ったり塗面平滑性が低下しやすくなるという問題があ
る。
【0028】硬化触媒(C) 硬化触媒(C)としては、本発明粉体塗料組成物の加熱
硬化時において、前記エポキシ樹脂(A)と上記ポリエ
ステル樹脂(B)との反応を促進できるものであればよ
く、例えば、塩化コリン、有機カルボン酸金属塩、イミ
ダゾール化合物などを挙げることができる。
【0029】上記塩化コリンは、化学式[HOCH2
2 N(CH3 3 + ・Cl- で表される化合物であ
る。上記有機カルボン酸金属塩としては、炭素原子数5
〜24の脂肪酸の金属塩が好ましく、具体例として、2
−エチルヘキサン酸錫、ラウリン酸錫、ジブチル錫ジオ
クチレート、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキ
サン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムなどを挙げることが
できる。イミダゾール化合物としては、例えば、イミダ
ゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾ
ール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソ
プロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、
2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾ
ール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1
−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、
1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・ト
リメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダ
ゾリウム・トリメリテート、1−シアノエチル−2−フ
ェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダ
ゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾ
リル−(1)]−エチルS−トリアジン、2,4−ジア
ミノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−
エチルS−トリアジン、1−ドデシル−2−メチル−3
−ベンジルイミダゾリウム・クロライド、1,3−ジベ
ンジル−2−メチルイミダゾリウム・クロライドなどを
挙げることができる。上記硬化触媒のうち、塩化コリ
ン、2−エチルヘキサン酸錫が特に好適である。
【0030】本発明粉体塗料組成物における前記エポキ
シ樹脂(A)と前記ポリエステル樹脂(B)との配合割
合は、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基/ポリエステ
ル樹脂(B)中のカルボキシル基のモル比が2/1〜1
/2、好ましくは1.4/1〜1/1.2となる範囲で
ある。上記配合割合が上記範囲から外れると硬化性が不
十分となり、缶体への密着性、加工性、耐水性、耐腐食
性、風味保持性などが低下するので好ましくない。
【0031】本発明粉体塗料組成物において、硬化触媒
(C)の配合割合は、特に制限されるものではないが、
通常、前記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル樹脂
(B)との総和100重量部に対して、0.01〜5重
量部、さらには0.1〜2.0重量部であることが、触
媒効果、得られる塗膜の平滑性、耐水性などの点から好
ましい。
【0032】本発明粉体塗料組成物は、前記エポキシ樹
脂(A)、前記高酸価ポリエステル樹脂(B)及び硬化
触媒(C)のみからなっていてもよいが、必要に応じ
て、公知の塗面改良剤、固形ワックス類、着色顔料、体
質顔料、軟化点が50〜140℃の改質樹脂などを含有
してもよい。体質顔料として、シリカ微粉末又は酸化ア
ルミニウム微粉末を配合すると、塗料粉末の流動性が良
くなるので有利である。シリカ微粉末及び酸化アルミニ
ウム微粉末は、それぞれ単独で、又は混合して配合する
ことができ、その配合量は、両者の合計量が、樹脂
(A)と樹脂(B)との和100重量部に対して、0.
1〜5.0重量部の範囲であることが好ましい。
【0033】本発明粉体塗料組成物を得るためには、本
発明組成物を形成する各成分を、例えば、通常のニーダ
ーやエクストルーダーなどのよって、増粘、ゲル化現象
の起らない温度、時間条件(通常、50〜160℃で3
〜60秒)にて溶融、混練し、冷却後、粉砕し、分級機
にかければよく、これによって所望の粒度分布の粉体塗
料を得ることができる。粉体塗料の粒径は、通常、1〜
80μm程度であることが好ましい。
【0034】本発明粉体塗料組成物を塗布する缶を形成
する金属素材としては、例えば、無処理鋼板、錫メッキ
鋼板、亜鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、鋼板、燐酸
塩処理鋼板、クロム酸処理鋼板、無処理アルミニウム
板、クロム酸処理アルミニウム板などが挙げられる。金
属素材への本発明組成物の塗装は、例えば静電塗装によ
って行うことができ、塗装後、通常、約160〜350
℃の温度で約7〜180秒間焼付け乾燥することによっ
て硬化塗膜を形成することができる。
【0035】本発明粉体塗料組成物は、缶内面及び缶外
面の塗装に使用される。缶内面及び缶外面への塗装とし
ては、例えば、2ピース缶や3ピース缶の内面及び外面
への塗装、缶胴や蓋を形成するシート状金属板への塗
装、塗膜を形成したシート状金属板を切断し、缶蓋とし
て加工した缶蓋加工部の補修塗装などを挙げることがで
きる。
【0036】本発明粉体塗料組成物において、エポキシ
樹脂(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びノボラック型エポ
キシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を使用する
ことによって衛生性に問題のない材料とすることがで
き、缶内面塗装性、加工性が良好なことから2ピース缶
内面塗装にも適した組成物とすることができる。
【0037】本発明粉体塗料組成物は、硬化塗膜厚が、
缶内面及び缶外面の一般部においては通常、2〜20μ
m、缶蓋加工部の補修塗装においては、通常、15〜5
0μmの範囲となるように塗装される。
【0038】
【実施例】実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
【0039】以下、「部」及び「%」はいずれも重量基
準によるものとする。
【0040】高酸価ポリエステル樹脂(B)の製造 製造例1〜11 後記表1に示すアルコール成分を、撹拌装置、加熱装
置、温度計、窒素ガス導入管、分溜装置及び溜出液貯槽
を備えたステンレス製耐圧反応容器に仕込み、撹拌しな
がら160℃まで昇温し内容物を溶液状態とした。
【0041】この反応容器内に後記表1に示すテレフタ
ル酸量の1/2量のテレフタル酸及び反応触媒であるジ
ブチル錫オキサイドを仕込み、反応器を密閉し、加圧用
窒素ガスを導入して2kg/cm2 に加圧した。反応器
内の温度が上昇するに従い反応器内の圧力も上昇する
が、240℃に達する時点で圧力が3.5kg/cm2
になるよう窒素ガスを導入しながら反応器内の圧力を調
整した。分溜装置頂部の温度が150℃を超えないよう
に反応器内の温度、圧力を調整するとともに、生成する
縮合水を溜出液貯槽に溜めながら、反応を続行した。温
度が240℃に達してから1.5時間後、縮合水の溜出
量が理論値の90%を超えたところで冷却し、180℃
になったところで系の圧力を放出した。
【0042】次いで、反応器中へ後記表1に示す残量の
テレフタル酸及びその他の酸成分を仕込み、分溜装置頂
部の温度が100℃を超えないようにして、窒素ガス気
流により生成する縮合水を系外に除去しながら徐々に2
40℃まで昇温し、その温度でエステル化反応を続行し
た。反応の途中で適時、反応物サンプルを採取し、ピリ
ジンを溶媒として1/10規定のアルコール性KOH溶
液で滴定する方法により反応物の酸価を測定し、この値
が所定の範囲内に入った後、180℃に内容物を冷却し
てポリエステル樹脂(a)を得た。ついで、180℃に
保持したポリエステル樹脂(a)中に後記表1に示す量
の無水トリメリット酸を添加して180℃にて2時間撹
拌を行って付加反応させて各高酸価ポリエステル樹脂
(B)を得た。製造例7のポリエステル樹脂は、反応の
途中でゲル化した。製造例8〜11で得られた高酸価ポ
リエステル樹脂は比較用の樹脂である。
【0043】各樹脂(B)の数平均分子量、酸価、軟化
点を後記表1に示す。表1における各成分の配合量は、
モル量による表示とする。
【0044】
【表1】
【0045】粉体塗料の製造 実施例1 エピコート1004(商品名、油化シェルエポキシ
(株)製、数平均分子量約1400、エポキシ当量約9
20のビスフェノールA型エポキシ樹脂、融点約97
℃、後記表2及び3中において「E1004」と略記す
る)70部、31.5部の製造例1で得たポリエステル
樹脂B−1、塩化コリン0.5部及びモダフロー(米
国、モンサント社製、粉末状表面調整剤)1.0部をド
ライブレンドした後、ブスコニーダーPR46(ブス社
製)で溶融混練し、冷却、粗粉砕した。得られた粗粉砕
物103部に対してアルミニウムオキサイドC(独国、
デグサ社製、酸化アルミニウム微粉末)0.5部をドラ
イブレンドし、粉砕機及び分級機を用いて粒径1〜30
μm、平均粒径約15μmの粉体塗料を得た。
【0046】実施例2〜21及び比較例1〜12 実施例1において、原料配合を後記表2に示すとおりと
する以外は実施例1と同様に行なって粒径1〜30μ
m、平均粒径約15μmの各粉体塗料を得た。
【0047】後記表2中における(註)は下記のとおり
の意味を有する。
【0048】(*1)YD6020:東都化成(株)
製、商品名「エポトートYD6020」、数平均分子量
7000、エポキシ当量3500、融点120℃のビス
フェノール型エポキシ樹脂。
【0049】(*2)YDCN704:東都化成(株)
製、商品名「エポトートYDCN704」、数平均分子
量約1300、エポキシ当量206、融点約94℃のノ
ボラック型エポキシ樹脂。
【0050】試験方法 実施例1〜21及び比較例1〜12で得られた各粉体塗
料について、缶の缶胴内面部及び缶蓋加工部内面補修用
としての適応性について試験するため下記方法(1)及
び(2)に従って塗装板を作成した。
【0051】塗装板の作成方法(1) 実施例1〜21及び比較例1〜12で得られた各粉体塗
料を#25ブリキ板に乾燥塗膜厚が約20μmとなるよ
うに静電塗装し、225℃で60秒間焼き付けて硬化さ
せ各塗装板を作成した。
【0052】実施例1〜21及び比較例1〜12で得た
各粉体塗料について、缶蓋加工部の補修塗装用としての
適応性について試験するため下記方法(2)に従って塗
装板を作成した。
【0053】塗装板の作成方法(2) 化成処理されたアルミニウム板上に、エポキシ・フェノ
ール樹脂系缶用塗料を、乾燥膜厚が約6μmとなるよう
に塗装し、295℃で20秒間焼付けて被塗物を得た。
この被塗物に実施例1〜21及び比較例1〜12で得ら
れた各粉体塗料を乾燥塗膜厚が約20μmとなるように
静電塗装し、225℃で60秒間焼き付けて硬化させ各
塗装板を作成した。
【0054】上記塗装板の作成方法(1)で得た各塗装
板において、塗面状態、ゲル分率、加工性、耐水性、密
着性1、耐水試験後の密着性1及び耐内容物染着性につ
いて下記方法に従って試験を行った。
【0055】塗面状態:塗装板の塗面を目視観察し、下
記の基準によって評価した。 ○:塗面全面が滑らかで、発泡なども認められない △:塗面全面に僅かに凹凸がみられ、小さい発泡が認め
られる ×:塗面全面に僅かに凹凸がみられ、大きい発泡が認め
られる。
【0056】ゲル分率:フラスコ内に、重量W2 の塗装
板を入れ、メチルエチルケトン/塗装板の塗装面積=1
00cc/100cm2 となるようにメチルエチルケト
ンを入れ、加熱還流下で1時間抽出を行った後、塗装板
を取出し120℃で30分間乾燥させ室温まで冷却後、
重量W3 を測定した。塗装板に塗料を塗装する前のブリ
キ板の重量をW1 とし、ゲル分率(%)は下記式によっ
て求めた。 ゲル分率(%)={(W3 −W1 )/(W2 −W1 )}
×100 加工性:塗装板の下部に塗膜面を外側にして180度折
曲げ部を設け、特殊ハゼ折り型デュポン衝撃試験機を用
いて、この折曲げ部に接触面が平らな重さ1kgの鉄の
錘を高さ50cmから落下させた時に生ずる折曲げ部分
の塗膜の亀裂の長さを測定し、以下の基準で評価した。 ◎:5mm未満 ○:5mm以上で10mm未満 △:10mm以上で20mm未満 ×:20mm以上。
【0057】耐水性:塗装板をオートクレーブ中、12
5℃の脱イオン水に35分間浸漬し引上げた後、塗膜の
白化状態を観察し以下の基準により評価した。 ◎:塗膜に全く白化が認められない ○:塗膜に僅かな白化が認められる △:塗膜にかなりの白化が認められる ×:塗膜に著しい白化が認められる。
【0058】密着性1:塗装板の塗膜にナイフを使用し
て約1.5mmの幅で縦、横それぞれ11本の切り目を
ゴバン目に入れ、24mm幅のセロハン粘着テープを密
着させ、強く剥離した時のゴバン目部の塗膜を観察し、
以下の基準により評価した。 ◎:全く剥離が認められない ○:僅かな剥離が認められる △:かなりの剥離が認められる ×:著しい剥離が認められる。
【0059】耐水試験後の密着性1:塗装板をオートク
レーブ中、125℃の脱イオン水に35分間浸漬し引上
げた後、塗膜にナイフを使用して約1.5mmの幅で
縦、横それぞれ11本の切り目をゴバン目に入れ、24
mm幅のセロハン粘着テープを密着させ、強く剥離した
時のゴバン目部の塗膜を観察した。評価は上記密着性試
験の評価基準にて行った。
【0060】耐内容物染着性:密栓できる耐熱ガラス瓶
に、サントリー(株)製、缶入りの「コーンポタージ
ュ」を詰め、この中に塗装板を浸漬し、130℃で60
分間加圧殺菌処理を行い、その後55℃で2ケ月間保存
し、開栓して塗装板を水洗し、塗膜の染着状態を観察し
た。以下の基準により評価した。
【0061】 ◎:塗膜に染着が認められない ○:染着が僅かに認められる △:染着がかなり認められる ×:著しい染着が認められる。
【0062】前記塗装板の作成方法(2)で得た各塗装
板において、密着性2及び耐水試験後の密着性2につい
て試験を行った。上記密着性2の試験は、前記密着性1
と同様の試験方法に従って行い、上記耐水試験後の密着
性2の試験は、前記耐水試験後の密着性1と同様の試験
方法に従って行った。
【0063】耐腐食性及び風味保持性試験のための缶胴
の作成 内容量250ccのスチール製2ピース缶の内面に、実
施例1〜21及び比較例1〜12で得られた各粉体塗料
を乾燥膜厚が約15μmとなるように静電塗装し、22
5℃で60秒間焼き付けて硬化させ2ピース缶の缶胴を
作成した。得られた缶胴を用いて下記の耐腐食性及び風
味保持性の試験を行った。
【0064】耐腐食性:上記それぞれの缶胴を用い、1
0%パインジュースを98℃でホットパック充填巻き締
めし、37℃で6ケ月間保存後、開缶し、内面の腐食の
状態を観察し、以下の基準により評価した。 ○:腐食が認められない △:腐食が僅かに認められる ×:腐食が著しい。
【0065】風味保持性:上記それぞれの缶胴を用い、
水道水を活性炭で処理した水を250cc充填し、巻き
締めを行い、125℃で30分間殺菌処理後、37℃で
6ケ月間保存した後、風味試験を実施し、以下の基準に
より評価した。 ○:全く変化が認められない △:僅かに変化が認められる ×:著しい変化が認められる。
【0066】また、各実施例及び比較例で得られた粉体
塗料について、粉体流動性及び粉体貯蔵性の試験を下記
方法に基づいて行った。
【0067】粉体流動性:温度20℃、湿度60%RH
の条件下で、粉体塗料の安息角を測定した。評価は下記
基準に従って行った。 ○:安息角が45度以下である △:安息角が45度を超え、50度以下である ×:安息角が50度を超える。
【0068】粉体貯蔵性:粉体塗料を40℃の雰囲気下
に7日間貯蔵した後、取出して状態を調査した。 ○:固まりが全く認められない △:粉体塗料が融着しているが、指でほぐれる ×:粉体塗料が融着しており指でほぐれない。
【0069】これらの試験結果を下記表2〜4に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【発明の効果】本発明粉体塗料組成物は、低温短時間焼
付けにおける硬化性に優れ、基材上へ塗面状態、密着
性、高度の加工性、耐水性、硬化性、耐腐食性、風味保
持性等の優れた塗膜を形成することができるものであ
る。本発明塗料組成物は、エポキシ樹脂と組合わせる硬
化剤として、アルコール成分がエチレングリコールを主
体とする分岐の少ない高酸価ポリエステル樹脂を使用し
ており、硬化性と塗膜性能とを両立できるものである。
【0074】また、本発明組成物は、残留溶剤がほとん
どなく、材料を選択することによって缶内面塗膜として
食品、飲料に直接接触しても衛生上問題のない塗膜を形
成することができる。さらに、本発明組成物は、缶蓋加
工部の補修塗装においても、硬化時の発泡がなく、塗膜
性能の優れた塗膜を形成することができる。
【0075】また、本発明組成物は粉体塗料であるた
め、塗装時に有機溶剤の揮散による大気汚染の問題がな
いという効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08G 59/42 C08G 59/42 C09D 7/12 C09D 7/12 Z 163/00 163/00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)軟化点が50〜140℃及びエポ
    キシ当量が180〜4,000の、ビスフェノール型エ
    ポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂から選ばれる
    エポキシ樹脂、(B)芳香族ジカルボン酸を80〜10
    0モル%の割合で含有する酸成分とエチレングリコール
    を88〜100モル%の割合で含有するアルコール成分
    とを、カルボキシル基に対して水酸基が過剰となる条件
    で反応させてなる水酸基含有ポリエステル樹脂に、多塩
    基酸を付加反応させて得られる、数平均分子量1,00
    0〜4,000、酸価120〜200mgKOH/g及
    び軟化点50〜140℃の高酸価ポリエステル樹脂及び
    (C)硬化触媒を含有し、エポキシ樹脂(A)中のエポ
    キシ基/ポリエステル樹脂(B)中のカルボキシル基の
    モル比が2/1〜1/2であることを特徴とする粉体塗
    料組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、酸化アルミニウム微粉末を含有
    することを特徴とする請求項1記載の粉体塗料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の粉体塗料組成物を缶の内
    面又は外面に塗装し、焼き付けることを特徴とする缶の
    塗装方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の粉体塗料組成物を缶蓋加
    工部に塗装し、焼き付けることを特徴とする缶蓋加工部
    の補修塗装方法。
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