JPH11192037A - アコヤガイの養殖方法 - Google Patents
アコヤガイの養殖方法Info
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- JPH11192037A JPH11192037A JP30144698A JP30144698A JPH11192037A JP H11192037 A JPH11192037 A JP H11192037A JP 30144698 A JP30144698 A JP 30144698A JP 30144698 A JP30144698 A JP 30144698A JP H11192037 A JPH11192037 A JP H11192037A
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- Japan
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- japan
- pearl
- natural
- pearl oysters
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Abstract
(57)【要約】
【課題】悪い環境水域においても繁殖可能な強靭な体力
と体質を持ったアコヤガイを良好に養殖することができ
る養殖方法を提供する。 【解決手段】日本の環境水域において中国産天然雄アコ
ヤガイの精子を人工採取すると共に、日本産天然雌アコ
ヤガイの卵子を人工採取し、人工採取した該卵子と精子
を合わせて人工交配させる。或は、日本の環境水域にお
いて日本産天然雄アコヤガイの精子を人工採取すると共
に、中国産天然雌アコヤガイの卵子を人工採取し、人工
採取した該卵子と精子を合わせて人工交配させる。人工
交配によって生まれた幼生を日本の環境水域で養育し稚
貝を養殖する。
と体質を持ったアコヤガイを良好に養殖することができ
る養殖方法を提供する。 【解決手段】日本の環境水域において中国産天然雄アコ
ヤガイの精子を人工採取すると共に、日本産天然雌アコ
ヤガイの卵子を人工採取し、人工採取した該卵子と精子
を合わせて人工交配させる。或は、日本の環境水域にお
いて日本産天然雄アコヤガイの精子を人工採取すると共
に、中国産天然雌アコヤガイの卵子を人工採取し、人工
採取した該卵子と精子を合わせて人工交配させる。人工
交配によって生まれた幼生を日本の環境水域で養育し稚
貝を養殖する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真珠養殖の母貝と
して使用されるアコヤガイの養殖方法に関する。
して使用されるアコヤガイの養殖方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真珠養殖の母貝として使用されるアコヤ
ガイは、現在、日本内真珠養殖の主要産地である三重県
志摩地方、愛媛県宇和島地方、熊本県天草地方におい
て、自然繁殖により、或は日本産アコヤガイの人工交配
からなる稚貝を養殖して、大量に生産されている。
ガイは、現在、日本内真珠養殖の主要産地である三重県
志摩地方、愛媛県宇和島地方、熊本県天草地方におい
て、自然繁殖により、或は日本産アコヤガイの人工交配
からなる稚貝を養殖して、大量に生産されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように生産された
アコヤガイは、日本産アコヤガイを人工交配したアコヤ
ガイ、自然繁殖した天然アコヤガイを問わず、近年、大
量死するケースが多く発生し、生産地によっては、貝の
死亡率が50〜60%に達する場合もある。このため、
関係研究機関などにおいて、その死因究明が行われ、慢
性的な感染症を起こすウイルス説、植物プランクトンに
よる中毒症説、栄養障害説、ふぐ養殖用ホルマリン等に
よる海水汚染説、赤潮影響説、等の原因が指摘されてい
る。
アコヤガイは、日本産アコヤガイを人工交配したアコヤ
ガイ、自然繁殖した天然アコヤガイを問わず、近年、大
量死するケースが多く発生し、生産地によっては、貝の
死亡率が50〜60%に達する場合もある。このため、
関係研究機関などにおいて、その死因究明が行われ、慢
性的な感染症を起こすウイルス説、植物プランクトンに
よる中毒症説、栄養障害説、ふぐ養殖用ホルマリン等に
よる海水汚染説、赤潮影響説、等の原因が指摘されてい
る。
【0004】しかし、現時点においては、上記原因は推
定に過ぎず、アコヤガイの大量死防止の有力手段は未だ
未解決の状態にあり、現在の日本のような悪い環境水域
においても、アコヤガイを良好に繁殖させることができ
る養殖方法の開発が強く求められている。
定に過ぎず、アコヤガイの大量死防止の有力手段は未だ
未解決の状態にあり、現在の日本のような悪い環境水域
においても、アコヤガイを良好に繁殖させることができ
る養殖方法の開発が強く求められている。
【0005】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、悪い環境水域においても繁殖可能な強靭な体力と体
質を持ったアコヤガイを良好に養殖することができる養
殖方法を提供することを目的とする。
で、悪い環境水域においても繁殖可能な強靭な体力と体
質を持ったアコヤガイを良好に養殖することができる養
殖方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究・
考察の結果、自然繁殖した日本産天然アコヤガイと言え
ども、長い歴史の間、人工交配を繰り返し、湾や海に戻
ったものであり、体質・体力共に衰え、加えて、近年の
産業廃棄物の増加や汚水の海への流出、工事現場や採石
場などからの泥水の流出等により、汚染が進んだ海で
は、波静かにして清浄な海水域を好むアコヤガイにとっ
て、繁殖できる可能性はあるにしても、ひ弱な体質で免
疫性に欠けるため、核入れを目的とする母貝にいたらず
にへい死するものと判断するに至った。
考察の結果、自然繁殖した日本産天然アコヤガイと言え
ども、長い歴史の間、人工交配を繰り返し、湾や海に戻
ったものであり、体質・体力共に衰え、加えて、近年の
産業廃棄物の増加や汚水の海への流出、工事現場や採石
場などからの泥水の流出等により、汚染が進んだ海で
は、波静かにして清浄な海水域を好むアコヤガイにとっ
て、繁殖できる可能性はあるにしても、ひ弱な体質で免
疫性に欠けるため、核入れを目的とする母貝にいたらず
にへい死するものと判断するに至った。
【0007】そこで、日本の養殖環境水域より遥かに自
然環境の過酷な中国南部の海で自然繁殖した中国産天然
アコヤガイを用いて、日本の環境水域でそれらと日本産
天然アコヤガイを人工交配させ、稚貝を養殖することに
より、体力・体質共に優れ、日本の海で養殖が可能なア
コヤガイを得ることができるという結論に至った。
然環境の過酷な中国南部の海で自然繁殖した中国産天然
アコヤガイを用いて、日本の環境水域でそれらと日本産
天然アコヤガイを人工交配させ、稚貝を養殖することに
より、体力・体質共に優れ、日本の海で養殖が可能なア
コヤガイを得ることができるという結論に至った。
【0008】上記目的を達成する本発明の養殖方法は、
日本の環境水域において、中国産天然雄アコヤガイと日
本産雌天然アコヤガイ又は中国産天然雌アコヤガイと日
本産雄天然アコヤガイの卵子と精子を人工採取し、人工
採取した卵子と精子を合わせて人工交配させ、人工交配
によって生まれた幼生を日本の環境水域で養育し稚貝を
養殖することを特徴とする。
日本の環境水域において、中国産天然雄アコヤガイと日
本産雌天然アコヤガイ又は中国産天然雌アコヤガイと日
本産雄天然アコヤガイの卵子と精子を人工採取し、人工
採取した卵子と精子を合わせて人工交配させ、人工交配
によって生まれた幼生を日本の環境水域で養育し稚貝を
養殖することを特徴とする。
【0009】中国産天然雌アコヤガイ又は日本産天然雌
アコヤガイの卵子の人工採取は、日本の環境水域の海水
を入れた水槽内で貝を飼育し、卵子を成熟させて行なわ
れ、それらを入れた卵子容器に、日本産天然雄アコヤガ
イ又は中国産天然雄アコヤガイから人工採取した精子を
移し、人工交配を行なう。
アコヤガイの卵子の人工採取は、日本の環境水域の海水
を入れた水槽内で貝を飼育し、卵子を成熟させて行なわ
れ、それらを入れた卵子容器に、日本産天然雄アコヤガ
イ又は中国産天然雄アコヤガイから人工採取した精子を
移し、人工交配を行なう。
【0010】人工交配によって生まれた貝の幼生群から
良品グループを抽出し、日本の環境水域の海水を入れた
水槽内でプランクトンを与えて所定期間養育し、稚貝を
養殖する。
良品グループを抽出し、日本の環境水域の海水を入れた
水槽内でプランクトンを与えて所定期間養育し、稚貝を
養殖する。
【0011】中国産天然アコヤガイの稚貝は、そのまま
日本の環境水域で養殖した場合、水温などの環境の変化
により死亡率が高くなり、また、一般に中国産天然アコ
ヤガイは日本産アコヤガイより小形のため、真珠養殖用
の核入れ作業の際、貝を麻酔状態にする抑制処理が難し
いなどの問題がある。
日本の環境水域で養殖した場合、水温などの環境の変化
により死亡率が高くなり、また、一般に中国産天然アコ
ヤガイは日本産アコヤガイより小形のため、真珠養殖用
の核入れ作業の際、貝を麻酔状態にする抑制処理が難し
いなどの問題がある。
【0012】しかしながら、中国産天然アコヤガイと日
本産天然アコヤガイを、日本の環境水域で人工交配して
誕生させたアコヤガイの稚貝は、過酷な中国南部の海で
自然繁殖した親の強靭な体力と体質を受け継ぎ、日本の
悪化した環境水域においても、高い生存率で繁殖するこ
とができる。
本産天然アコヤガイを、日本の環境水域で人工交配して
誕生させたアコヤガイの稚貝は、過酷な中国南部の海で
自然繁殖した親の強靭な体力と体質を受け継ぎ、日本の
悪化した環境水域においても、高い生存率で繁殖するこ
とができる。
【0013】また、中国産天然アコヤガイは、日本産ア
コヤガイに比べ少し小形であり、それらの人工交配によ
って得たアコヤガイもその傾向を示すが、その差は僅か
であって、貝の中に核を挿入する作業は、日本産アコヤ
ガイと同様に可能であり、真珠養殖の母貝として充分に
使用できるものである。
コヤガイに比べ少し小形であり、それらの人工交配によ
って得たアコヤガイもその傾向を示すが、その差は僅か
であって、貝の中に核を挿入する作業は、日本産アコヤ
ガイと同様に可能であり、真珠養殖の母貝として充分に
使用できるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を説明す
ると、ここでは、中国産天然雄アコヤガイと日本産天然
雌アコヤガイを人工交配させ、人工交配によって生まれ
た幼生を日本の環境水域で養育し稚貝を養殖する。
ると、ここでは、中国産天然雄アコヤガイと日本産天然
雌アコヤガイを人工交配させ、人工交配によって生まれ
た幼生を日本の環境水域で養育し稚貝を養殖する。
【0015】後記の表1は、中国産天然アコヤガイ、日
本産天然アコヤガイの評価(良否)を示したものであ
る。アコヤガイの良否は、貝の全体重量に対する貝肉の
割合で評価し、貝肉割合が60%以上なら優、50〜5
9%なら良、49%以下なら可として評価する。表1は
無作為にサンプリングした各産地の貝の評価(優、良、
可)の割合を示している。
本産天然アコヤガイの評価(良否)を示したものであ
る。アコヤガイの良否は、貝の全体重量に対する貝肉の
割合で評価し、貝肉割合が60%以上なら優、50〜5
9%なら良、49%以下なら可として評価する。表1は
無作為にサンプリングした各産地の貝の評価(優、良、
可)の割合を示している。
【0016】後記の表2は、中国産天然アコヤガイ、日
本産天然アコヤガイの健康度を示す内臓の強さを4段階
の評価で示したものである。アコヤガイの内臓の強弱は
貝の内臓のグリコーゲンの量を測定して4段階で評価
し、グリコーゲンの多いものから順に、つまり内臓の強
いものから順に4、3、2、1と評価する。
本産天然アコヤガイの健康度を示す内臓の強さを4段階
の評価で示したものである。アコヤガイの内臓の強弱は
貝の内臓のグリコーゲンの量を測定して4段階で評価
し、グリコーゲンの多いものから順に、つまり内臓の強
いものから順に4、3、2、1と評価する。
【0017】この表1、表2から、中国産天然アコヤガ
イは、日本産天然アコヤガイに比べ、遥かに貝肉の割合
が高い「優」のものが多く、また、内臓の強く健康度が
高いものが多く、体力・体質共に日本産天然アコヤガイ
より優れていることが明解に分かる。なお、中国産天然
アコヤガイは、主に中華人民共和国海南島付近の近海で
採取された貝である。
イは、日本産天然アコヤガイに比べ、遥かに貝肉の割合
が高い「優」のものが多く、また、内臓の強く健康度が
高いものが多く、体力・体質共に日本産天然アコヤガイ
より優れていることが明解に分かる。なお、中国産天然
アコヤガイは、主に中華人民共和国海南島付近の近海で
採取された貝である。
【0018】このような体力・体質共に高い中国産天然
アコヤガイと日本産天然アコヤガイを人工交配させ、そ
の幼生及び稚貝を日本の環境水域で養育することによ
り、日本の環境水域でも生きられる強靭な体力と体質を
持つアコヤガイを養殖することができる。
アコヤガイと日本産天然アコヤガイを人工交配させ、そ
の幼生及び稚貝を日本の環境水域で養育することによ
り、日本の環境水域でも生きられる強靭な体力と体質を
持つアコヤガイを養殖することができる。
【0019】人工交配を行う場合、まず、採卵する日本
産天然雌アコヤガイを、水温18〜24°Cの日本の環
境水域の海水を入れた水槽に入れ、15日間飼育し、卵
を成熟させる。そして、熟成した日本産天然アコヤガイ
から卵を人工採卵し、採取した卵をアンモニアを入れた
容器に入れ、約20分間静置する。一方、中国産天然雄
アコヤガイから精子を人工採取し、その精子を前記卵容
器に移し、人工交配させる。
産天然雌アコヤガイを、水温18〜24°Cの日本の環
境水域の海水を入れた水槽に入れ、15日間飼育し、卵
を成熟させる。そして、熟成した日本産天然アコヤガイ
から卵を人工採卵し、採取した卵をアンモニアを入れた
容器に入れ、約20分間静置する。一方、中国産天然雄
アコヤガイから精子を人工採取し、その精子を前記卵容
器に移し、人工交配させる。
【0020】次に、約24時間後、顕微鏡下において誕
生した幼生を観察し、D形形状を示す良品の幼生が約3
0〜50%存在する人工交配良品グループを抽出し、そ
れらを、日本環境水域の海水を約2000L入れた水槽
に1000万個〜1500万個入れ、1日2食のプラン
クトンを与え、約50日間養育し、稚貝を養殖する。幼
生は誕生後、約25日程で水槽内の付着ネット等に付着
して1〜2mmの稚貝となり、成長する。
生した幼生を観察し、D形形状を示す良品の幼生が約3
0〜50%存在する人工交配良品グループを抽出し、そ
れらを、日本環境水域の海水を約2000L入れた水槽
に1000万個〜1500万個入れ、1日2食のプラン
クトンを与え、約50日間養育し、稚貝を養殖する。幼
生は誕生後、約25日程で水槽内の付着ネット等に付着
して1〜2mmの稚貝となり、成長する。
【0021】このように養殖されたアコヤガイの稚貝
は、従来と同じように、各地の稚貝養殖場に送られ、そ
こで、所定期間、真珠養殖の母貝となる大きさまで養殖
されるが、試験的に愛媛県と三重県の複数の稚貝養殖地
にこれらの稚貝を送り、平成9年の3月から10月まで
の約7ケ月間、それらを養育して母貝を養殖した。そし
て、それれら母貝のアコヤガイをランダムに1000個
抜き取り、それらの死亡率を日本産アコヤガイとの比較
により調査した結果を表3に示す。
は、従来と同じように、各地の稚貝養殖場に送られ、そ
こで、所定期間、真珠養殖の母貝となる大きさまで養殖
されるが、試験的に愛媛県と三重県の複数の稚貝養殖地
にこれらの稚貝を送り、平成9年の3月から10月まで
の約7ケ月間、それらを養育して母貝を養殖した。そし
て、それれら母貝のアコヤガイをランダムに1000個
抜き取り、それらの死亡率を日本産アコヤガイとの比較
により調査した結果を表3に示す。
【0022】この表3から、日本産天然アコヤガイ及び
人工交配の日本産アコヤガイは各養殖地でその死亡率が
48%〜58%であるのに対し、日本産天然雌アコヤガ
イと中国産天然雄アコヤガイを人工交配させて得たアコ
ヤガイの死亡率は、どの養殖地においても2%であっ
た。
人工交配の日本産アコヤガイは各養殖地でその死亡率が
48%〜58%であるのに対し、日本産天然雌アコヤガ
イと中国産天然雄アコヤガイを人工交配させて得たアコ
ヤガイの死亡率は、どの養殖地においても2%であっ
た。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】この平成9年の3月から10月までの試験
養殖期間においては、各養殖地で赤潮の発生や台風の通
過等があったが、そのような悪条件が重なったにも関ら
ず、人工交配のアコヤガイの死亡率が2%であったこと
から、日本産天然アコヤガイと中国産天然アコヤガイを
人工交配させ、その幼生及び稚貝を日本の環境水域で養
育することにより、日本の環境水域でも生きられる強靭
な体力と体質を持つアコヤガイを養殖することができる
ことが証明された。
養殖期間においては、各養殖地で赤潮の発生や台風の通
過等があったが、そのような悪条件が重なったにも関ら
ず、人工交配のアコヤガイの死亡率が2%であったこと
から、日本産天然アコヤガイと中国産天然アコヤガイを
人工交配させ、その幼生及び稚貝を日本の環境水域で養
育することにより、日本の環境水域でも生きられる強靭
な体力と体質を持つアコヤガイを養殖することができる
ことが証明された。
【0027】更に、上記のように人工交配して得た稚貝
を養殖して育てたアコヤガイの評価を行ったところ、
「優」が75%あり、また、グリコーゲン評価値は、サ
ンプリング10個について4段階が6個、3段階が4
個、2段階以下が0個であり、体力・体質共に優れた母
貝であった。
を養殖して育てたアコヤガイの評価を行ったところ、
「優」が75%あり、また、グリコーゲン評価値は、サ
ンプリング10個について4段階が6個、3段階が4
個、2段階以下が0個であり、体力・体質共に優れた母
貝であった。
【0028】下記の表4に、日本産天然アコヤガイと中
国産天然アコヤガイを上記と同様に人工交配させ誕生さ
せた稚貝を、平成9年12月から平成10年9月の間、
愛媛県の明浜、小池、北灘、内海の各漁場で養殖し、約
2か月毎に複数個をサンプリングして、上記交配種の稚
貝の生理状態(カン重、グリ、肝色、肝霜、肉/殻、乾
/肉、カン/肉、色)を測定した結果(平均値)を示
す。
国産天然アコヤガイを上記と同様に人工交配させ誕生さ
せた稚貝を、平成9年12月から平成10年9月の間、
愛媛県の明浜、小池、北灘、内海の各漁場で養殖し、約
2か月毎に複数個をサンプリングして、上記交配種の稚
貝の生理状態(カン重、グリ、肝色、肝霜、肉/殻、乾
/肉、カン/肉、色)を測定した結果(平均値)を示
す。
【0029】
【表4】
【0030】ここで、 「カン重」…杆晶体重量(g)のこと、生肉重量を測定
した後、ピンセットで胃の表面の表皮を切り開いて取り
出し濾紙の上に並べた後、測定する、杆晶体は貝の生理
状態を示す指標、 「グリ」 …外套膜上に見られるグリコーゲンの量を目
視で5段階評価する、外套膜のグリコーゲンは貝の栄養
状態を示す指標、 「肝色」 …肝臓を切り開き、その色を目視で3段階に
評価する、肝臓の色は貝の健康状態の指標となる、段階
1はミルクティー又は赤色系、段階2は茶褐色、段階3
は緑黒色又は黒褐色、段階3が正常、 「肝霜」 …肝臓内に蓄積されたグリコーゲンの網目模
様の状態を目視して3段階に評価する、貝の栄養状態を
示す指標である、段階3が正常、段階1は白い網目模様
が確認できない、又はごく僅かなもの、萎縮しているも
の、段階2は網目模様が少ないもの、段階3は網目模様
が明瞭かつ多いもの、 「肉/殻」…生肉と貝殻の重量比(%)のこと、貝殻の
重さを100としたとき肉の重さが何%になるか、肉の
充実度を見ている、 「乾/肉」…乾燥肉と生肉の重量比(%)のこと、肉を
乾燥した時に何%残ったかで、肉の充実度を見ている、 「カン/肉」…杆晶体と肉の重量比(%)のこと、杆晶
体の重さが肉の重さの何%になるかを見て、貝の生理状
態を把握する、 「色」 …貝柱の色のこと、赤色変化の状態をみる、
段階3が正常、段階1は貝柱が明らかに赤くなっている
もの、段階2は貝柱がやや赤みを帯びているもの、段階
3は正常な貝柱の色(白又は薄い黄色)。
した後、ピンセットで胃の表面の表皮を切り開いて取り
出し濾紙の上に並べた後、測定する、杆晶体は貝の生理
状態を示す指標、 「グリ」 …外套膜上に見られるグリコーゲンの量を目
視で5段階評価する、外套膜のグリコーゲンは貝の栄養
状態を示す指標、 「肝色」 …肝臓を切り開き、その色を目視で3段階に
評価する、肝臓の色は貝の健康状態の指標となる、段階
1はミルクティー又は赤色系、段階2は茶褐色、段階3
は緑黒色又は黒褐色、段階3が正常、 「肝霜」 …肝臓内に蓄積されたグリコーゲンの網目模
様の状態を目視して3段階に評価する、貝の栄養状態を
示す指標である、段階3が正常、段階1は白い網目模様
が確認できない、又はごく僅かなもの、萎縮しているも
の、段階2は網目模様が少ないもの、段階3は網目模様
が明瞭かつ多いもの、 「肉/殻」…生肉と貝殻の重量比(%)のこと、貝殻の
重さを100としたとき肉の重さが何%になるか、肉の
充実度を見ている、 「乾/肉」…乾燥肉と生肉の重量比(%)のこと、肉を
乾燥した時に何%残ったかで、肉の充実度を見ている、 「カン/肉」…杆晶体と肉の重量比(%)のこと、杆晶
体の重さが肉の重さの何%になるかを見て、貝の生理状
態を把握する、 「色」 …貝柱の色のこと、赤色変化の状態をみる、
段階3が正常、段階1は貝柱が明らかに赤くなっている
もの、段階2は貝柱がやや赤みを帯びているもの、段階
3は正常な貝柱の色(白又は薄い黄色)。
【0031】このサンプリング測定結果から、上記交配
種の稚貝の生理状態の数値は、全てにおいて日本産アコ
ヤガイより高い値を示し、特にグリコーゲンの蓄積量は
良好であり、肉と貝殻の重量比も高い数値であり、乾燥
肉と生肉の重量比も充実していることがわかる。このよ
うな良好な生理状態の稚貝は、強健な素質を有し、日本
の環境水域においても、正常な活動を行ない得る貝に成
長していることが分かるなお、中国産天然アコヤガイ
は、日本産アコヤガイに比べ少し小形であり、それらの
人工交配によって得たアコヤガイもその傾向を示すが、
その差は僅かであって貝の中に核を挿入する作業は、日
本産アコヤガイと同様に可能であり、真珠養殖の母貝と
して充分に使用できるものである。
種の稚貝の生理状態の数値は、全てにおいて日本産アコ
ヤガイより高い値を示し、特にグリコーゲンの蓄積量は
良好であり、肉と貝殻の重量比も高い数値であり、乾燥
肉と生肉の重量比も充実していることがわかる。このよ
うな良好な生理状態の稚貝は、強健な素質を有し、日本
の環境水域においても、正常な活動を行ない得る貝に成
長していることが分かるなお、中国産天然アコヤガイ
は、日本産アコヤガイに比べ少し小形であり、それらの
人工交配によって得たアコヤガイもその傾向を示すが、
その差は僅かであって貝の中に核を挿入する作業は、日
本産アコヤガイと同様に可能であり、真珠養殖の母貝と
して充分に使用できるものである。
【0032】また、上記実施例では、中国産天然雄アコ
ヤガイと日本産天然雌アコヤガイを人工交配させ、人工
交配によって生まれた幼生を日本の環境水域で養育し稚
貝を養殖したが、日本の環境水域において、日本産天然
雄アコヤガイの精子を人工採取すると共に、中国産天然
雌アコヤガイの卵子を人工採取し、人工採取した卵子と
精子を合わせて人工交配させ、人工交配によって生まれ
た幼生を上記と同様に日本の環境水域で養育し稚貝を養
殖しても、上記と同様に、日本の環境水域で生きられる
強靭な体力と体質を持つアコヤガイを養殖することがで
きる。
ヤガイと日本産天然雌アコヤガイを人工交配させ、人工
交配によって生まれた幼生を日本の環境水域で養育し稚
貝を養殖したが、日本の環境水域において、日本産天然
雄アコヤガイの精子を人工採取すると共に、中国産天然
雌アコヤガイの卵子を人工採取し、人工採取した卵子と
精子を合わせて人工交配させ、人工交配によって生まれ
た幼生を上記と同様に日本の環境水域で養育し稚貝を養
殖しても、上記と同様に、日本の環境水域で生きられる
強靭な体力と体質を持つアコヤガイを養殖することがで
きる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアコヤガ
イの養殖方法によれば、日本の環境水域において、中国
産天然雄アコヤガイと日本産天然雌アコヤガイ、又は中
国産天然雌アコヤガイと日本産天然雄アコヤガイを人工
交配させ、人工交配によって生まれた幼生を日本の環境
水域で養育し稚貝を養殖するため、強靭な体力・体質を
持ったアコヤガイの稚貝を養殖することができ、現在の
日本の悪い環境水域においても繁殖を可能とし、真珠養
殖用の母貝として充分に養殖・生産することができる。
イの養殖方法によれば、日本の環境水域において、中国
産天然雄アコヤガイと日本産天然雌アコヤガイ、又は中
国産天然雌アコヤガイと日本産天然雄アコヤガイを人工
交配させ、人工交配によって生まれた幼生を日本の環境
水域で養育し稚貝を養殖するため、強靭な体力・体質を
持ったアコヤガイの稚貝を養殖することができ、現在の
日本の悪い環境水域においても繁殖を可能とし、真珠養
殖用の母貝として充分に養殖・生産することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 日本の環境水域において中国産天然雄ア
コヤガイの精子を人工採取すると共に、日本産天然雌ア
コヤガイの卵子を人工採取し、人工採取した該卵子と精
子を合わせて人工交配させ、人工交配によって生まれた
幼生を日本の環境水域で養育し稚貝を養殖することを特
徴とするアコヤガイの養殖方法。 - 【請求項2】 日本の環境水域において日本産天然雄ア
コヤガイの精子を人工採取すると共に、中国産天然雌ア
コヤガイの卵子を人工採取し、人工採取した該卵子と精
子を合わせて人工交配させ、人工交配によって生まれた
幼生を日本の環境水域で養育し稚貝を養殖することを特
徴とするアコヤガイの養殖方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10301446A JP3013247B2 (ja) | 1997-10-28 | 1998-10-22 | アコヤガイの養殖方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31268997 | 1997-10-28 | ||
JP9-312689 | 1997-10-28 | ||
JP10301446A JP3013247B2 (ja) | 1997-10-28 | 1998-10-22 | アコヤガイの養殖方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11192037A true JPH11192037A (ja) | 1999-07-21 |
JP3013247B2 JP3013247B2 (ja) | 2000-02-28 |
Family
ID=26562690
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10301446A Expired - Lifetime JP3013247B2 (ja) | 1997-10-28 | 1998-10-22 | アコヤガイの養殖方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3013247B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102524134A (zh) * | 2012-02-15 | 2012-07-04 | 中国水产科学研究院淡水渔业研究中心 | 一种三角帆蚌人工催产及授精的方法 |
CN102960272A (zh) * | 2012-11-09 | 2013-03-13 | 中国水产科学研究院南海水产研究所 | 一种合浦珠母贝数量性状基因聚合育种方法 |
CN102960271A (zh) * | 2012-11-09 | 2013-03-13 | 中国水产科学研究院南海水产研究所 | 一种合浦珠母贝群组旋转交配育种方法 |
JP2016034234A (ja) * | 2014-08-01 | 2016-03-17 | 木更津漁業協同組合 | アサリの人工受精方法 |
CN115708506A (zh) * | 2022-11-14 | 2023-02-24 | 海南大学 | 一种马氏珠母贝精子低温保存方法 |
-
1998
- 1998-10-22 JP JP10301446A patent/JP3013247B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102524134A (zh) * | 2012-02-15 | 2012-07-04 | 中国水产科学研究院淡水渔业研究中心 | 一种三角帆蚌人工催产及授精的方法 |
CN102960272A (zh) * | 2012-11-09 | 2013-03-13 | 中国水产科学研究院南海水产研究所 | 一种合浦珠母贝数量性状基因聚合育种方法 |
CN102960271A (zh) * | 2012-11-09 | 2013-03-13 | 中国水产科学研究院南海水产研究所 | 一种合浦珠母贝群组旋转交配育种方法 |
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CN115708506A (zh) * | 2022-11-14 | 2023-02-24 | 海南大学 | 一种马氏珠母贝精子低温保存方法 |
CN115708506B (zh) * | 2022-11-14 | 2024-01-26 | 海南大学 | 一种马氏珠母贝精子低温保存方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3013247B2 (ja) | 2000-02-28 |
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