JPH11191722A - 横2重モードsawフィルタ - Google Patents

横2重モードsawフィルタ

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JPH11191722A
JPH11191722A JP29261098A JP29261098A JPH11191722A JP H11191722 A JPH11191722 A JP H11191722A JP 29261098 A JP29261098 A JP 29261098A JP 29261098 A JP29261098 A JP 29261098A JP H11191722 A JPH11191722 A JP H11191722A
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JP
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electrode
saw filter
dual mode
width
interdigital
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JP29261098A
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Michiaki Takagi
道明 高木
Satoshi Hayashi
智 林
Takashi Yamazaki
隆 山崎
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Original Assignee
Seiko Epson Corp
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  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば水晶基板を用いた横2重モードSAW
フィルタの広帯域幅化と小型化を図り、 PHS、GS
M等の携帯電話用途に対して優れた中間周波フィルタを
提供すること。 【解決手段】 2つSAW共振子のIDTを結合し一体
化するに際して、共用する負極性側の給電導体パターン
(バスバー)を、幅方向に2つ以上の複数の位置をとっ
て周期的に弾性表面波の伝搬方向Xに繰り返すように配
置することにより、利用する2つの固有振動モードのう
ち、基本波対称モードS0の周波数を低下せしめてフィ
ルタの通過帯域幅を広げたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波を利用し
て構成される共振子型SAWフィルタにおいて、SAW
共振子を2つ横に平行配置して得られる2個の独立した
横モードを利用して、フィルタの広帯域化を実現した横
2重モードSAWフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の共振子型の横2重モードSAWフ
ィルタとしては、横に2個のSAW共振子を平行配置し
た、いわゆる横2重モードSAWフィルタ(別名では、
高周波狭帯域多重モード・フィルタ)が有名である(特
公平2−16613号公報)。この方式を用いて周波数
温度特性が優れた、約30度から45度の回転Y板であ
る水晶STカットX伝搬基板にてフィルタを構成する
と、素子の平面サイズが2mm×6.5mmで、2段従
属接続フィルタの3dB帯域幅が比帯域幅で表現して約
700ppm、かつ挿入損失5dBの優れた特性が得ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述の横2重モ
ードSAWフィルタの従来技術を使用しては、近年著し
い発展を見せているGSM方式とかPHS方式の携帯電
話に用いられる中間周波フィルタ(IFフィルタ)にお
いて要求される、1)900から1000ppmの比帯
域幅をもち、2)かつ容器の平面サイズ3.8×3.8
mm以内のものが、前記水晶STカットでは満足できる
性能では実現できなかった。
【0004】実現できない原因を分析するとまず、1)
の課題である比帯域幅については、前述の従来技術にお
いて妥当なフィルタインピーダンスZ0が得られる1個
のSAW共振子の幅寸法7から9波長において、前記の
比帯域幅を決定している2つの独立な固有モードS0
(基本波対称モード)とA0(基本波斜対称モード)の
周波数差が700ppm程度で、これ以上に大きくなら
ないことによる。つぎに2)の課題であるサイズについ
ては、前記の容器平面サイズ内に素子を収納する場合に
は、素子サイズが2×3mm程度となり、1個のSAW
共振子を構成するすだれ状電極(以降、省略してIDT
(Interdigital Transducer)と略記する)の正負電極を
1対とした電極指対数M対と片側の反射器導体本数Nの
和 M+Nを約200本以下にすることが必要となる。
このため、横2重モードSAWフィルタを構成するSA
W共振子の共振振幅の励振強度および変位伝達係数が減
少して、前記SAWフィルタの伝送特性がただでさえ劣
化することになる。
【0005】さらに、第3の課題として、前記の伝送特
性の内の一特性である挿入損失を改善するために、反射
器導体本数の不足分を補う目的で、電極膜厚みを厚くす
ることが考えられるが、これによって縦及び横高次モー
ドスプリアスのレベルが増加することになる。
【0006】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るもので、その目的は、水晶STカットのような周波数
温度特性が優れ、かつ材料のQ値が優れた基板を用い
て、従来に無く通過帯域幅の広帯域化と小型化をはか
り、周波数安定度に優れかつS/Nが良いIFフィルタ
を市場に提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1)本発明の横2重モ
ードSAWフィルタは、圧電体平板上に、少なくとも1
個のすだれ状電極と、前記すだれ状電極が発生する弾性
表面波をその両側において反射するための、1対の反射
器を有した2個のSAW共振子を、前記弾性表面波の伝
搬方向Xに対して相隣接してほぼ平行に配置した横2重
モードSAWフィルタにおいて、前記2個のSAW共振
子が有するすだれ状電極の負極側の給電導体を、一体に
して共用し、かつ前記の伝搬方向Xに直交する幅方向に
折れる座標位置を複数とって矩形波状をなして形成し、
これによって前記すだれ状電極の交差電極指幅WCが複
数の寸法をとりX方向にそって交互に変化していること
を特徴とする。
【0008】(2)前記(1)において、前記すだれ状
電極が有する負極側の給電導体のX方向座標位置が、2
つのY座標(Y1,Y2)を交互にとるようにしたこと
を特徴とする。
【0009】(3)前記(1)において、前記共用する
だれ状電極の負極側の給電導体について、幅方向に横断
する部位(113、114)のX方向電極幅が、弾性表
面波の波長をλとして、λ/4の奇数倍であることを特
徴とする。
【0010】(4)前記(1)において、前記2つのS
AW共振子の有する電極指交差幅が、幅方向について重
複する領域の寸法WC12が、弾性表面波の波長をλとし
て、2λ以上から5λ以下の範囲であることを特徴とす
る。
【0011】(5)前記(1)において、前記横2重モ
ードSAWフィルタの伝送特性が、横モードに属する基
本波対称モードS0と基本波斜対称モードA0とから合
成されていることを特徴とする。
【0012】(6)前記(1)において、前記圧電体平
板が水晶であって、30〜45度回転Y板のSTカット
X伝搬方位であることを特徴とする。
【0013】(7)前記(1)において、前記圧電体平
板が水晶であって、30〜45度回転Y板のSTカット
であり、かつ前記すだれ状電極の幅の合計(WCT=W
1+WC2+WC12+G1+G2)が、弾性表面波の波長
をλとして、12λから20λの範囲したことを特徴と
する。
【0014】(8)前記(1)において、前記1個のS
AW共振子が有するすだれ状電極の対数が120対から
60対の範囲かつ片側反射器の導体本数が80本から1
40本の範囲内であることを特徴とする。
【0015】(9)前記(1)において、前記2個のS
AW共振子が有するすだれ状電極の負極側の給電導体
を、幅方向中央において2つに分離して、これによって
入出力側端子対間を電気的に絶縁したことを特徴とす
る。
【0016】(10)前記(1)において、前記2個の
SAW共振子が有するすだれ状電極の負極側の給電導体
が、前記の伝搬方向Xに直交する幅方向に折れる座標位
置を偶数回とって矩形波状をなして形成し、これによっ
て前記すだれ状電極の交差電極指幅WCAの変化が、前
記X軸方向の中央線に対して線対称であることを特徴と
する。
【0017】(11)前記(1)において、前記すだれ
状電極の正負極性の電極指が交差する幅WCAが、前記
2個のSAW共振子の幅方向中央線を越えないように、
いずれか一方の極性の電極指パターンを細い導体なしの
部位を設けて分割分離したことを特徴とする。
【0018】(12)前記(1)において、前記2個の
SAW共振子が有するすだれ状電極の正負極性の電極指
が交差する幅WCAが形成する電極総面積が相互に等し
くかつ、前記対称モードS0と斜対称モードA0に関す
る相互の電極総面積もほぼ等しいことを特徴とする。
【0019】(13)前記(1)において、前記2個の
SAW共振子が有するすだれ状電極の負極側の給電導体
が、前記の伝搬方向Xに直交する幅方向に折れる座標位
置を偶数回とって矩形波状をなして形成し、これによっ
て前記すだれ状電極の交差電極指幅WCAの変化が、前
記X軸方向の中央線に対して線対称となし、前記すだれ
状電極の正負極性の電極指が交差する幅WCAが、前記
2個のSAW共振子の幅方向中央線を越えないように、
電極指パターンを細い導体なしの部位を設けて分割分離
し、前記2個のSAW共振子が有するすだれ状電極の正
負極性の電極指が交差する幅WCAが形成する電極総面
積が相互に等しくかつ、前記対称モードS0と斜対称モ
ードA0に関する相互の電極総面積もほぼ等しくしたこ
とを合わせ有することを特徴とする。
【0020】(14)前記(1)から(13)のいずれ
かにおいて、前記横多重モードSAWフィルタを2段縦
属接続したことを特徴とする。
【0021】(15)本発明の横2重モードSAWフィ
ルタは、圧電体平板上に、少なくとも1個のすだれ状電
極と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面波をその両
側において反射するための、1対の反射器を有した2個
のSAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方向Xに対し
て相隣接してほぼ平行に配置した横2重モードSAWフ
ィルタにおいて、前記2個のSAW共振子が有する交差
電極指幅WCでもって形成されるすだれ状電極及び反射
器領域の幅方向の外側に、空間長Gを隔てて、横1次対
称モードS1の振動変位を漏洩させて減衰させるように
構成した、同一極性のみからなる電極指群で形成される
幅BPのグレイティング状の電極領域を設けたことを特
徴とする。
【0022】(16)前記(1)および(10)におい
て、前記空間長Gが弾性表面波の2波長から3波長であ
り、かつ前記グレイティング状の電極領域の幅BPが3
波長から4波長であることを特徴とする。
【0023】(17)前記(15)において、前記グレ
イティング状の電極領域を形成する電極指群の端部を短
絡して電流を供給する給電導体の内側が、前記弾性表面
波の伝搬方向X軸方向にそってテーパ状の形状をなした
ことを特徴とする。
【0024】(18)前記(17)において、前記グレ
イティング状の電極領域を形成する電極指群の端部を短
絡して電流を供給する給電導体の内側が、前記弾性表面
波の伝搬方向X軸方向にそって2度から3度のテーパ状
の形状をなしたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に関して、具体的な実施例
を説明する前に理論的な解説を行ない、本発明の理解を
助けることにする。
【0026】水晶、タンタル酸リチウム、PZT、四ほ
う酸リチウム等の圧電体材料から平板を切り出して、そ
の表面を鏡面研磨した後、レイリー型、ラム型、リーキ
ー型、BGS波等の弾性表面波の位相伝搬方向に対して
直交して、例えば金属アルミニウムからなる多数の平行
導体の電極指を周期的に配置したIDTを形成し、さら
には、その両側に一対の反射器を多数のストリップ導体
を平行にかつ周期的に配置して構成し、1ポート型のS
AW共振子を形成する。
【0027】前記のSAW共振子において、前記IDT
を構成する際の要点として、正電極と負電極を1対とし
てM対としたときに、IDTの電極指全体でのトータル
反射係数Гを次式(1)の通り定義した上で、10>Г
>0.8とすれば、振動エネルギーが共振子の中央に集
中した、いわゆるエネルギー閉込型SAW共振子(参考
文献:エネルギー閉じ込め弾性表面波共振子,信学技法
US87−36,pp9−16(1987.9.))を
実現できることが知られている。
【0028】
【数1】 Г = 4MbH/λ (1) 但し、ここでMは前記IDTの対数、bは電極1本当た
りの弾性表面波の反射係数、Hは前記導体の膜厚、λは
弾性表面波の波長である。
【0029】例えば、STカット水晶板で前記アルミニ
ウム導体で形成されたIDTであれば、b=0.25
5、H/λ=0.03としてM=80対とすれば、図1
の1ポートSAW共振子を構成できる。このときΓ=
2.448程度となる。従って、M=80対程の1ポー
ト型SAW共振子を本発明の横2重モードSAWフィル
タに使用し、素子サイズの小型化をはかることが可能で
あると考えられる(発明が解決しようとする課題
2))。
【0030】さらに、本発明の横2重モードSAWフィ
ルタにおける発明が解決しようとする課題1)を解決す
るに当たっては以下に述べる理論を用いて、いわゆる横
モードとよばれるモードの振動変位とその共振周波数を
算出し、フィルタの設計を行ったのでこの内容を順に説
明する。前記横モードは、SAW共振子の幅方向(弾性
表面波の伝搬方向Xに対して直交するY軸方向のこと)
の長さに依存して存在する固有振動モードであり、前記
幅方向の長さとはIDTのもつ電極指交差幅WCを指す
ことが一般的である。この電極指交差幅WCとは、正極
性と負極性の電極指が相互に重なる配置となる幅方向の
寸法である。
【0031】次に、前記のSAW共振子の幅方向(Y軸
とする)について、SAW共振子の振動変位を簡便に計
算するための方法として、筆者等はすでにこれら横モー
ドを支配する微分方程式を導いて公開している(高木,
桃崎,他:”常温に動的及び静的零温度係数をもつKカ
ット水晶SAW共振子”,電気学会 電子回路技術委員
会 第25回EMシンポジウム,pp79−80,(1
996))。あらためて、この方程式を記述すると式
(2)となる。
【0032】
【数2】 aω0 2(Y)V(Y),YY+{ω2−ω0 2(Y)}V(Y)=0 (2) ここで、ωは角周波数、ω0(Y)は該当する領域の素
子角周波数、aは幅方向の実効的せん断剛性定数、V
(Y)は幅方向の弾性表面波変位の振幅、Yは弾性表面
波の波長で規格化したY座標である。また、ω0(Y)
は座標Yにおける弾性表面波の速度を角周波数に換算し
た量であり、周波数ポテンシャル関数と呼ぶことにす
る。この周波数ポテンシャル関数はSAW共振子の動作
点近傍においては、弾性表面波の伝搬路に存在するアル
ミニウム金属導体膜の厚みH(Y)の関数により変化す
る。もっと一般的には、アルミニウム金属の質量m
(Y)の関数で変化することが確認されている。従っ
て、SAW共振子の主要部を構成するすだれ状電極部に
おいては、すだれ状電極のもつ質量m(Y)によりω0
(Y)はほぼ決定される。すなわち、ω0(m(Y))
である。前記の水晶ST−カットの場合には、膜厚みが
薄いために、前記のω0(Y)はmに対してほぼ比例し
て直線的に降下する。
【0033】ここで計算を簡単にするために式(2)に
おいて、基準となる周波数ω00 2で割ると、
【0034】
【数3】 aQ2(Y)V(Y),YY+{Ω2−Q2(Y)}V(Y)=0 (3) ここで、Ω=ω/ω00は規格化周波数、Q(m(Y))
はポテンシャル関数となる。
【0035】変位振幅V(Y)求める方法は、たとえ
ば、次の様に逐次積分にて計算することができる。
【0036】
【数4】 式(4)のV(Y,Ω)は規格化周波数の関数である
が、現実に起きる変位振幅は、エネルギーの最小原理で
ある次式により与えられるΩにおいて得られる。
【0037】
【数5】 以上の式(1)から(5)が本発明に用いた計算の基本
式であり、これらを用いて、後述の具体的実施例になる
横2重モードSAWフィルタの設計を行い、試作品を製
作して測定してみたので、これらを順に説明する。
【0038】(実施例1)以下、本発明の実施の形態を
図1から順を追って説明する。図1は本発明の横多重モ
ードSAWフィルタの一種である横2重モードSAWフ
ィルタに使用される電極パターンを、平面図で表した実
施例1である。なお、126は+X軸方向、前記+Xに
直交する軸は、+Y方向を示す。
【0039】図1中の各部位の名称は、100は圧電体
平板、101は横2重モードSAWフィルタのすだれ状
電極の全体、すなわち全IDT、102と103は各
々、横2重モードSAWフィルタの反射器1と反射器2
である。前記全IDT(101)の部分である、破線で
囲まれた104は、SAW共振子1(SAWR#1)の
入力IDTのみからなる領域であり、106はまた、
SAW共振子2(SAWR#2)の出力IDTのみから
なる領域である。さらに、破線で囲まれた105の領域
は、前記104と106のSAW共振子1とSAW共振
子2のIDTが交差して存在する重複領域である。10
7は前記入力IDTの正極側の電極指の一つ、108は
負極側の電極指の一つである(入出力信号は当然、高周
波交流信号であるが、ここでは便宜上、一方を正極、他
方を負極と呼んでいる。)。また、109は前記出力I
DTの正極側の電極指の一つ、110は負極側の電極指
の一つである。111と112は入力または出力の正極
端子(パッド)である。113と114等のパターンは
115と116,116と117等のパターン間を幅方
向(Y)に接続するためのものである。前記115と1
16,117は、前記2つのSAW共振子1の入力ID
TとSAW共振子2の出力IDTの負極性側の電極指群
の端部を接続する給電導体を共用して一体にパターン形
成したものである。このように構成することで、給電導
体は、弾性表面波の伝搬方向Xに直交する幅方向に折れ
る座標位置を複数とって矩形波状をなして形成されるこ
とになる。これによってIDTの交差電極指幅が複数の
寸法をとり、X方向にそって交互に変化することにな
る。そして、パターン115,117が第1のY座標Y
1をとり、パターン116が第2のY座標Y2をとるこ
とになる。
【0040】118は117と119と120のパッド
間を接続するための導体パターン、123もパッド12
1と122間を接続するための導体パターンである。1
19と120、121、122は前記入出力IDTの負
極側の電位を与えるパッドである。124と125等は
反射器2の導体ストリップであって、弾性表面波を反射
する役目を果たす。前記124と125はこの場合にお
いて、相互に接続されていないが、接続された場合であ
ってもかまわない。127の矢印の領域は、2つの反射
器1と反射器2の一部と全IDT101の部分から成
り、全体でSAW共振子1を構成する。また129の矢
印の領域は、2つの反射器1と反射器2の一部と全ID
T101の部分から成り、全体でSAW共振子2を構成
する。さらに128の矢印の領域は、前記SAW共振子
1とSAW共振子2のIDTが交差する重複領域を示
す。
【0041】100の圧電体平板は、水晶、タンタル酸
リチウム、四ほう酸リチウム等の圧電性を有する単結晶
およびZnO等の圧電性薄膜を形成した基板等からな
る。前記の100上に形成された前記の2個のSAW共
振子127、128、129を構成するIDTならびに
反射器等は、アルミニウムおよび金等の導電性を有する
金属膜を蒸着、スパッタ等の手段により薄膜形成した
後、フォトリソグラフィ技術によりパターン形成して作
られる。前記IDTと反射器の電極指群は、利用する弾
性表面波(レーリー波及びリーキー波等)の位相進行方
向(長手方向+X)に対して直交して、平行かつ周期的
に多数配置される。一実施例として図示した102と1
03の反射器は、振動モードを選択的に励起するための
電極パターンを形成したものであり、一例として基本波
対称モードS0用である。
【0042】(実施例2)次に図2は、前述の図1の横
2重モードSAWフィルタを2段縦属接続した一実施例
である。図中の各部位の名称は、200が圧電体平板、
細かい破線で囲まれた201は第1の横2重モードSA
Wフィルタ(SAWF#1)、202は第2の横2重モ
ードSAWフィルタ(SAWF#2)である。205と
206、207、208は、入力または出力端側の負極
電位を与えるパッド、203と204は、入力または出
力端子側の正極電位を与えるパッドである。また、21
0と211は、第1と第2の横2重モードSAWフィル
タ201、202間の負極間を接続する導体パターンで
ある。さらに、209は第1と第2の横2重モードSA
Wフィルタ201、202間の正極間を接続する導体パ
ターンである。
【0043】つぎに、本発明の図1と図2に用いられて
いる全IDT(図1の101)の構成につき図3を用い
て詳細な説明を行う。図中の破線で囲まれた300は、
前記図1の101の一部に対応している。前記300の
全体は、細かい破線で囲まれた5つの領域の合成からな
り、それらは301のIDT1、304のIDT2、3
15のIDT12、2つの結合領域302と303とか
らなる。IDT1の負極の電極指の一つである310
は、第1の給電導体パターン308に接続し、さらに3
09の幅方向(Y軸方向)に横断するクロスバスバーを
介して第2の負極性側給電導体307に接続している。
前記309の幅方向(Y軸方向)に横断するクロスバス
バー部位(図1の113,114に相当)のX方向の寸
法は、スプリアス共振を発生させない寸法である、1/
4λ(λは弾性表面波の波長)の奇数倍の値をとる。つ
いでながら、図1の123と118および図2の210
と211も同様な理由から1/4λ(λは弾性表面波の
波長)の奇数倍の値をとる。領域302と315と30
3全体で、図1の128の重複領域をカバーする。30
5は入力IDT(IDT1)の正極性側の給電導体、3
06は出力IDT(IDT2)の正極性側給電導体であ
る。各部位の幅寸法は、301がWC1、302がG1
315がWC12、303がG2、304がWC2である。
また同図の中央に配置した階段状特性312で表される
特性図は、前記IDTの各領域がもつ規格化周波数ポテ
ンシャル関数PYM(Y)を示すものである。前記PY
M(Y)はIDTのX軸方向全体にわたって平均して得
られたものである点に注意を要する。これが可能な理由
は、反射器間にて無限回の弾性表面波の反射が繰り返さ
れる共振子を扱っているからである。前記作用のところ
で説明した式(3)中のQ(Y)とPYM(Y)の関係
は次式で与えられる。
【0044】
【数6】 Q(Y)=ω00{1/η+(1−1/η)PYM(Y)} (6) ただし、これから具体的に説明する30から45度回転
Y板である水晶STカットX伝搬基板においては、ηと
して0.99から0.95の値をとる。この条件下で、
前記規格化周波数ポテンシャル関数PYM(Y)がどの
ようにして与えられたかについて、次に説明する。まず
最初にWC1とWC2、WC12で表される電極指の周期的
配列で構成された領域は、電極指のつくる周期的格子構
造により弾性表面波が摂動を受け、自由表面の伝搬速度
VsからVmに速度が低下する。従ってVmに対応して
前述の領域の角周波数ω00(=2πVm/(2PT))
が決定されている。PTは電極指の配列周期長である。
この角周波数に対応するPYMが1であることは式
(6)から容易に理解できる。また、自由表面に対する
PYMはPYM=0であり、この場合の角周波数はω00
(1/η)( >ω00)となる。図3中のBBで示され
る給電導体部は、全面被覆としてFEM解析で得られる
弾性表面波速度から、前記の自由表面の速度Vsより5
00から1000ppmとやや小さいものとされてい
る。従って、PYM=0.1程度に対応する(0.00
1=1/0.99−1)×PYM)。領域Aは、領域W
1の電極指本数の1/4が弾性表面波の伝搬路と交差
しているから、約0.25の速度降下とみなす。従って
PYM=0.25である。最後に領域G1とG2で表され
る結合領域のPYMについては、まずd部は伝搬路の電
極指の平均本数が電極指群(310と311)が存在す
る領域と307の給電導体が存在する領域が、X軸方向
に周期的に配置されているから、PYM=(1+0.
1)/2=0.55となる。またb部は同様に考えて、
PYM=(1+0.25)/2=0.62である。以上
の規格化周波数ポテンシャル関数PYM(Y)によって
発生する横モードの変位V(Y)は、図3の最下部に図
示した313のS0モード(基本波対称モード)と31
4のA0モード(基本波斜対称モード)である。
【0045】つぎに、本発明の構成により得られる特性
につき図4から図10を用いて説明する。前記の特性
は、水晶STカット(30から45度の回転Yカット)
X伝搬方位についての具体的設計例である。最初に図1
0において、SAW共振子の等価定数とIDT対数の関
係を示す。前記SAW共振子の周波数として250MH
z とした。前記周波数にて、水晶で製作可能と思われ
る最小の素子サイズである約2×3mmに収納するため
には、IDTの対数Mと片側の反射器Nの和が200以
内である必要がある。この条件のもとに、1個のSAW
共振子のQ値(共振先鋭度)(曲線1000)と等価直
列共振抵抗R1(曲線1001)の特性を図10に示し
た。IDTの対数Mが40から120の範囲において、
約1万以上のQ値が、また、R1はMが60から120
対の範囲において100Ω程度が得られる。ただし、1
個のSAW共振子の電極指交差幅(WCT/2、ここで
WCT=WC1+G1+WC12+G2+WC2)として、8
±1波長を用いた。本発明には、前記の電極指交差幅の
2倍が、図3の全IDT幅WCT(=WC1+G1+WC
12+G2+WC2)と等しくとる。従って前記全IDT幅
が14から18波長でかつ、対数M60から120対、
従って反射器の導体本数は140から80本とすれば、
本発明の目的とする特性が得られる。
【0046】つぎに、図4と図5は本発明の横2重モー
ドSAWフィルタが有する固有振動モードS0とA0の
周波数と図3中の寸法WC12との関係を示す特性であ
る。図中、横軸はWC12を動作状態での弾性表面波の波
長単位λで、縦軸は周波数変化率Δf/fであり、pp
m単位(10-6)で表した。図中の0ppmは、SAW
共振子の電極指交差幅が無限大の共振周波数に対応する
状態である。まず図4の曲線400はS0モードの共振
周波数である。図示の通り、共振周波数は点QのWC12
=0の800ppmから、WC12が増大するに従い点P
の値である360ppm(401)に向かって減少して
いる。この現象の詳しい解釈については、図8と図9を
用いて後述する。一方、図5はA0モードの共振周波数
(500)である。WC12により、大きくは変化してな
いことがわかる。この現象は、A0モードの共振周波数
が前記WCTにより決定されることから理解できる。図
4と図5からS0とA0モードの共振周波数差がおよそ
1000ppmであれば、目的のPHSとかGSM用途
のIFフィルタが実現できるから、WC12=2λ以上で
良いことになる。WC12の上限値は、SAW共振子1と
2から決定されるフィルタインピーダンスが400から
500Ωとすることから決まり、5波長以下であればよ
かった。ちなみに、図3中の寸法G1とG2は1波長程度
を用いた。
【0047】つぎに、図6は本発明の横2重モードSA
Wフィルタの入力端子側(図1の111)からみたS11
反射特性である。図6の横軸は周波数変化率、縦軸はS
11の値の相対値である。S11の値がピークをとる周波数
が、低い側から基本波対称モードS0と基本波斜対称モ
ードA0である。S0とA0間の周波数差は1080p
pmとなっている。さらに、図7は図1のフィルタの伝
送特性であり、縦軸のSbは挿入損失の振幅特性であ
る。Sbのもつ3dB通過帯域幅はおよそ1500pp
mとなっており、これを図2の2段縦属接続の場合にお
いては、およそ1000ppmの通過帯域幅となった。
ただし、通過地域が傾斜しているが、これは、前記S0
とA0モードの共振振幅が異なることによって発生す
る。
【0048】次に、図2の本発明の構造を用いると通過
帯域幅が広がることにつき、図8と図9をもちいて解説
を行う。図8は、図4のP点に対応する一様な構造をと
るIDTについて、規格化周波数ポテンシャル関数PY
M(Y)とS0モードの変位V(Y)の関係を示してい
る。図中の破線で囲まれたIDT800は、正負電極指
群とこれを接続する給電導体805と804からなる。
前記IDTがつくる周波数ポテンシャル関数PYM
(Y)は、図8の下部の特性809であり、図上段のI
DTに対応している。前記IDTの電極指交差部位は一
様に+X軸方向に配置されているため、この部分におい
て809の周波数ポテンシャル値はPYM=1と一定と
なる。この状態にて得られるS0モード変位V(Y)
は、中段の曲線806のようになめらかな中トツな関数
となっている。この場合のY軸方向の弾性表面波の波数
kは相対的に小さく、従って近似的にΔf/f=a’k
2の関係にあるS0モードの共振周波数は相対的に小さ
い値となる(図4中のP点)。ただし、前記a’は前述
の式(2)中のaに比例する。つぎに、図4中のQ点に
対応する構成が図9である。900の破線に囲まれたI
DTは、2つのSAW共振子のIDT部を結合した状態
であり、正極性の給電導体905と電極指901と91
1等が第一のSAW共振子のIDTであり、正極性の給
電導体904と電極指902と904等で第2のSAW
共振子のIDTである。負極性の給電導体906は一体
に形成され共用されている。前記の結合したIDTのも
つ周波数ポテンシャル関数PYM(Y)は、今度は下段
にある階段関数909となる。負極性の給電導体906
の近傍の周波数ポテンシャル関数、は図3と同様な理由
により下段のb,d領域のように与えられる。この場合
に与えられるS0モードの変位関数V(Y)は、中段の
907のように2つの幅の小さいS0モードが中央1波
長(2b+d)において結合した変位状態をとる。従っ
てY軸方向(908)に伝搬する弾性表面波の波数kは
相対的に大きな値となり、前述と同様なΔf/f=a’
2の関係から共振周波数は相対的に大きくなる。以上
が図3のQ点がP点より大きな理由である。
【0049】さて、以上に基づき試作してみると、発明
が解決しようとする課題2)の小型化に際して、課題の
1)である、フィルタの通過帯域幅の広帯域化を実現す
ることができた。その一方で、更に検討を行った結果、
改善が望まれる幾つかの課題が存在することが判明し
た。これらを列挙すると、a)フィルタを構成する基本
波斜対称モードA0のQ値低下。b)高次インハーモニ
ックモードを原因とするスプリアスの発生。C)フィル
タ特性において、帯域外減衰量の増加(40dB)であ
った。まず、これらの原因と対策を概観してみる。
【0050】まず、前述のa)の原因を究明した結果、
原因はIDTの電極指上に発生する正負電荷が短絡して
発生するジュール熱により、フィルタを構成する共振子
のQ値を低下させたことにあった。Q値の程度は、前記
のS0モードが8000〜10000、A0モードが約
4000である(各モードは図6参照)。
【0051】前記A0モードのみがQ値低下となった理
由は、図3の重複領域である315の電極指領域におい
て前記A0モードが図3の314の変位状態をとる結
果、変位に比例した電荷が電極指上に発生し、短絡電流
が流れることによって内部のエネルギー損失が発生した
ことにある。これに対してS0モード(図3の313)
は、重複領域315において同極性であり、短絡電流は
流れず内部損失を発生しない。従ってこの対策は、前記
S0とA0モードに対して、可能な限り発生電荷の短絡
現象を生じないようにすることである。また、S0とA
0モードの共振振幅を同一として、フィルタの通過帯域
特性を平坦化するためには、前記モードの電極面積を同
一にして、集積電荷総量を等価にすることが必要であ
る。
【0052】つぎに、b)の原因を究明した結果はつぎ
の通りである。本発明の横2重モードSAWフィルタの
挿入損失を3、4dB程度とするためには、構成する各
モードのQ値を12000程度にすることが望ましい。
そこで、反射器及びIDTにおける各電極指の反射係数
を増加させる目的で、電極膜厚みを増加することが知ら
れているが、これを行った際に、スプリアスである横1
次対称モードS1のレベルが増大した。また、図1の1
15、116、117等に示される負極側(接地)の給
電導体の形状によっては、縦基本波斜対称モードLA0
が発生する。これらスプリアスに対する対策としては、
モードLA0に関しては、前記給電導体によって形成さ
れる電極指交差幅WC(X)をフィルタの長手方向Xの中央
に関して線対称とすることである。またモードS1に関
しては、パワーフローベクトルに関する事実を応用して
前記S1モードを抑圧する方策を考案した。
【0053】つぎに、前記C)の原因究明をした結果、
入力側のIDTと出力側のIDTの電極指群が相互に重
なる部位が存在し、これによって部分的にトランスバー
サルフィルタを形成して、入力側から出力側に共振現象
に寄与しない弾性波がリークする結果、帯域外減衰量が
40dB程度に悪化するためである。従ってこの対策
は、IDTの励振領域が重ならないようにすることであ
る。以上簡単に問題を説明したが、以下に具体的実施例
を上げて、さらに詳細な説明を行う。
【0054】まず最初、図11は、縦基本波斜対称スプ
リアスモードLA0を抑圧するためと、入力側と出力側
の端子対間を電気的に絶縁するための構成をとった本発
明の横2重モードSAWフィルタの他の実施例である。
図11は、図2と同様に2ポール型のSAWフィルタを
2段従属接続したものである。図中の各部位の名称は、
1100は水晶等からなる圧電体平板、1101と11
02は各々第1と第2のSAWフィルタ、1103は入
力側と出力側を合わせたIDT全体、104と105は
共通の反射器、1106は第1のSAWフィルタの正極
側入力端子、1107は負極側の入力端子、1108と
1109は第1のSAWフィルタの出力側の負極側の端
子、1113は正極側端子、1110と1111は図1
で一体であった負極側の給電導体をその中央で狭間隙で
もって2つに分割したものである。また、1114はY
軸、1115はX軸である。第2のSAWフィルタ11
02は第1と同一のため説明を省略する。図11の要点
は、前述の負極側の給電導体が2つに分割していること
と、IDTの有する電極指交差幅WC(X)が前記のX軸方
向の中央線(Y軸1114に相当する)に関して線対称
であることである。これについては、図12にさらに詳
述した。図12中の横軸1203は、図11のX軸と同
一である。縦軸は入力側のIDTがもつ電極指交差幅WC
(X)(1202)の相対値である。階段状の関数120
0が本発明の縦基本波斜対称モードLA0からなるスプ
リアスが発生しない場合であり、1201は前記LA0
モードからなるスプリアスが発生する場合である。関数
1200はIDTの全長Xを4つに等分して、偶数回
(この場合2回)のWC変化点を有している。前記縦モ
ードスプリアスLA0は、図16の本発明によるフィル
タ伝送特性図中の1601で示されるものである。
【0055】つぎに図13は、本発明の横2重モードS
AWフィルタを構成するS0とA0モードの共振先鋭
度、即ちQAとQS値を向上しかつ等価とするための電極
パターンの一実施例であって全体の半分を示した。図中
の1301は幅寸法の中央に配置したX軸、1302は
Y軸である。1303、1304の領域は、電極指13
10等を1301のX軸に近接して右手前にて、細いス
ペースにて分割している部位である。同様に領域130
5にても、正極性側に接続した電極指1309は分離さ
れている。従って分離した電極指部位1312は、正極
1309に接続した状態より、分離している分だけ前記
A0モードの正電荷を短絡せずエネルギー損失を軽減で
きる。薄く塗った領域1305と1306は、各々入力
側と出力側のIDTの有効な電極指交差幅WCA(X)が
形成する総面積であり(特にWCでなくWCAと特記し
た)、1305と1306は面積が等しい。このように
することにより、前記S0とAOの集積する総電荷量が
等しくなり、フィルタの通過特性が平坦となる。また図
13の1303と1305の配置構成をとれば、入力と
出力側IDTの電極指交差幅WCAが重なることがない
ため、図16の1604の帯域外減衰量は−40dBか
ら−60dB近くに減少する。
【0056】次に図14に前記S1モードスプリアス
(図16の1602の点線)を抑圧するための構成を示
す。図中の1400はX軸、1401はY軸。破線内1
402は本発明のグレイティング状の電極領域からな
る、前記S1モードの変位を漏洩させるための領域であ
り、これはIDTの電極指領域1411の左に空間長G
を隔てて最大幅BPにわたって、IDT1411と同一
の電極周期長(弾性表面波の波長λ=2PTとほぼ同
一)を有する電極指群にて構成されている。前記の幅B
PはX軸方向にテーパ形状をなして変化する寸法を持た
せることができる。1403は前記電極指群の端部を短
絡するための給電導体、1404と1405等は電極
指、1406のδは前記X軸1400方向と、1403
の内側端部の線との成す角でチルト角と呼ぶ。1407
は反射器であり、反射器の左端部は、前記グレイティン
グ状電極領域の右端部にほぼ一致する。同図中段の14
08(破線)は、前記1402のグレイティング状電極
指群領域が存在しない場合の、前記S1モードの変位状
態V(Y)と、前記グレイティング状電極領域が存在す
る場合の前記S1モードの変位状態V‘(Y)1409
(実線)を図示したものである。さらに、同図下段の階
段状の関数1401は、図14のIDT部位のY軸上の
領域が有する平均的周波数ポテンシャル関数PYM
(Y)を図示したものである。
【0057】つぎに、図14の構成によって前記S1モ
ードが抑圧される様子を図15、図17を用いて説明す
ることができる。まず図15は前記図14の構成が有す
る各振動モードである横基本波対称モードS0(150
1)、横基本波斜対称モードA0(1502)、横1次
対称モードS1(1503)が示す、前記幅BPを変化
させた場合の周波数変化(Δf/f(ppm))の様子
である。これら特性は、前述の理論式(4)、(5)に
よって計算したものである。図15で見られるように、
前記S0とA0モードは前記幅BPを変化させてもほと
んど変化しない。一方前記S1モードは空間長Gをパラ
メータとして、BPが2λ以上において、周波数の降下
現象が発生している。この現象は空間長Gが小さい程、
周波数降下現象が始まるBP寸法が小さくなる。これ
は、Gが小さい程S1モードの変位が外側1402の領
域にリークし、振動変位が1409のように広がる結
果、Y軸方向の波数kが減少し周波数が降下することを
示している。前記図14の1402領域にリークした振
動エネルギーは弾性表面波としてX軸方向に伝搬する
が、反射器1407がカバーする領域からはずれるた
め、反射されずにリークし失われる結果、S1モードの
Q値は減少する。このようにしてS1モードの抑圧が行
われる。前記BPとG寸法範囲としては、できるだけB
P寸法を小さくすることが素子の小型化に望ましい点
と、S0及びA0モードの振動が損なわれないことを考
えて、Gの範囲を2波長(λ)から3波長範囲、BPの
範囲が3波長から4波長範囲が良い。また前記チルト角
δは、本来圧電体平板が有する弾性表面波エネルギーの
最大伝搬方向を示すパワーフロー角に対するズレ角であ
って、図17に前記チルト角δに対する1個のSAW共
振子が示すQ値の関係を示した。図中横軸はチルト角
(度)、縦軸はQ値である。チルト角δが2〜3程度で
あれば、δ=0に対してQ値を半減できる。この効果は
振動変位がチルト角を有する給電導体(図14の140
3)に達する前記S1モードのみに有効である。以上の
S1モード抑圧対策を施した結果、本発明の横2重モー
ドSAWフィルタにおける前記S1モードの抑圧効果
は、従来の−20dBから−40dB程度に抑圧可能で
ある。図16の1602と1603にその様子を示し
た。
【0058】以上、本発明の横2重モードSAWフィル
タの構成および特性につき説明した。構成例は水晶ST
カットで示したが、他のカットである16度回転Y板で
あるLSTカットとか、9.6度回転Y板であるKカッ
トでもよく、さらにまた水晶以外の圧電気材料であって
も適合できることをつけくわえる。
【0059】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、例え
ば水晶基板を用いて横2重モードSAWフィルタの小型
化をはかるに際して、前記SAWフィルタを構成する2
つのSAW共振子のIDTを一体化する場合に、共用す
る負極性側の給電導体を、素子の幅方向Yに対して2つ
以上の複数位置をとって弾性表面波の伝搬方向Xに交互
に周期的に繰り返すことにより、フィルタの特性を合成
する2つの独立な共振モードである基本波対称モードS
0、基本波斜対称モードA0間の周波数差を従来より大
幅に広げることができるため、横2重モードSAWフィ
ルタの通過帯域幅を30%広げることができ、 PHS
等のチャンネル間の周波数幅が大きい通信装置用途の中
間周波フィルタを市場に提供できる。さらにまた、ID
Tの対数Mを60から120対と少なく設計することに
より、従来と比較して素子平面積が半分と小型で良好な
前記フィルタが実現できる。またこの際に、電極膜厚み
とか幅寸法を増加させることによって発生する縦横の高
次モードスプリアスを、IDT交差幅の対称性とか、振
動変位をリークさせるグレイティング状の電極領域を構
成することによって抑圧できるため、フィルタの帯域外
減衰量に優れた前記フィルタが実現でき、特性が優れて
小型な通信装置の実現に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の横2重モードSAWフィルタの一実
施例が有する導体パターンを示す平面図。
【図2】 本発明の2段縦属接続をした横2重モードS
AWフィルタの一実施例が示す図。
【図3】 本発明の横2重モードSAWフィルタのID
Tの一実施例が示す平面図。
【図4】 本発明の図1が示す特性図。
【図5】 本発明の図1が示す他の特性図。
【図6】 本発明の図1が示す他の特性図。
【図7】 本発明の図1が示す特性図。
【図8】 従来一様構造のIDTに関する概説図。
【図9】 従来の横2重モードSAWフィルタのIDT
に関する概説図。
【図10】 本発明の構成要素であるSAW共振子の特
性図。
【図11】 基本波縦斜対称スプリアスモードLA0を
抑圧することを目的とした、本発明の横2重モードSA
Wフィルタの他の実施例が有する導体パターンを示す平
面図。
【図12】 本発明の図11が有する電極指交差幅WC
を示す図。
【図13】 本発明の横2重モードSAWフィルタのI
DTが示す導体パターンの一実施例が示す平面図。
【図14】 横高次スプリアス抑圧を目的とした、本発
明の横2重モードSAWフィルタの他の実施例が有する
導体パターンを示す平面図。
【図15】 本発明の図14が示す特性図。
【図16】 本発明の図11及び図14が示すフィルタ
の伝送特性図。
【図17】 本発明の図14が示す共振子のQ値特性
図。
【符号の説明】
100 圧電体平板 101 IDT 102 反射器1 103 反射器2 104,106 入力および出力IDT 105 重複領域

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体平板上に、少なくとも1個のすだ
    れ状電極と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面波を
    その両側において反射するための、1対の反射器を有し
    た2個のSAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方向X
    に対して相隣接してほぼ平行に配置した横2重モードS
    AWフィルタにおいて、 前記2個のSAW共振子が有するすだれ状電極の負極側
    の給電導体を、一体にして共用し、かつ前記の伝搬方向
    Xに直交する幅方向に折れる座標位置を複数とって矩形
    波状をなして形成し、これによって前記すだれ状電極の
    交差電極指幅WCが複数の寸法をとりX方向にそって交
    互に変化していることを特徴とする横2重モードSAW
    フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記すだれ状電極が有する負極側の給電
    導体のY方向の座標位置が、2つのY座標(Y1,Y
    2)を交互にとるようにしたことを特徴とする請求項1
    記載の横2重モードSAWフィルタ。
  3. 【請求項3】 前記共用するすだれ状電極の負極側の給
    電導体について、幅方向に横断する部位(113,11
    4)のX方向電極幅が、弾性表面波の波長をλとして、
    λ/4の奇数倍であることを特徴とする請求項1記載の
    横2重モードSAWフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記すだれ状電極の幅方向に重複する領
    域の寸法WC12が、弾性表面波の波長をλとして、2λ
    以上から5λ以下の範囲であることを特徴とする請求項
    1記載の横2重モードSAWフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記横2重モードSAWフィルタの伝送
    特性が、横モードに属する基本波対称モードS0と基本
    波斜対称モードA0とから合成されていることを特徴と
    する請求項1記載の横2重モードSAWフィルタ。
  6. 【請求項6】 前記圧電体平板が水晶であって、30〜
    45度回転Y板のSTカットX伝搬方位であることを特
    徴とする請求項1記載の横多重モードSAWフィルタ。
  7. 【請求項7】 前記圧電体平板が水晶であって、30〜
    45度回転Y板のSTカットであり、かつ前記すだれ状
    電極の幅の合計(WCT=WC1+WC2+WC12+G1
    2)が、弾性表面波の波長をλとして、12λから2
    0λの範囲したことを特徴とする請求項1記載の横2重
    モードSAWフィルタ。
  8. 【請求項8】 前記1個のSAW共振子が有するすだれ
    状電極の対数が120対から60対の範囲かつ片側反射
    器の導体本数が80本から140本の範囲内であること
    を特徴とする請求項1記載の横2重モードSAWフィル
    タ。
  9. 【請求項9】 前記2個のSAW共振子が有するすだれ
    状電極の負極側の給電導体を、幅方向中央において2つ
    に分離して、これによって入出力側端子対間を電気的に
    絶縁したことを特徴とする請求項1記載の横2重モード
    SAWフィルタ。
  10. 【請求項10】 前記2個のSAW共振子が有するすだ
    れ状電極の負極側の給電導体が、前記の伝搬方向Xに直
    交する幅方向に折れる座標位置を偶数回とって矩形波状
    をなして形成し、これによって前記すだれ状電極の交差
    電極指幅WCの変化が、前記X軸方向の中央線に対して
    線対称であることを特徴とする請求項1記載の横2重モ
    ードSAWフィルタ。
  11. 【請求項11】 前記すだれ状電極の正負極性の電極指
    が交差する幅WCAが、前記2個のSAW共振子の幅方
    向中央線を越えないように、いずれか一方の極性の電極
    指パターンを細い導体なしの部位を設けて分割分離した
    ことを特徴とする請求項1記載の横2重モードSAWフ
    ィルタ。
  12. 【請求項12】 前記2個のSAW共振子が有するすだ
    れ状電極の正負極性の電極指が交差する幅WCAが形成
    する電極総面積が相互に等しくかつ、前記基本波対称モ
    ードS0と基本波斜対称モードA0に関する相互の電極
    総面積もほぼ等しいことを特徴とする請求項1記載記載
    の横2重モードSAWフィルタ。
  13. 【請求項13】 前記2個のSAW共振子が有するすだ
    れ状電極の負極側の給電導体が、前記の伝搬方向Xに直
    交する幅方向に折れる座標位置を偶数回とって矩形波状
    をなして形成し、これによって前記すだれ状電極の交差
    電極指幅WCAの変化が、前記X軸方向の中央線に対し
    て線対称となし、 前記すだれ状電極の正負極性の電極指が交差する幅WC
    Aが、前記2個のSAW共振子の幅方向中央線を越えな
    いように、電極指パターンを細い導体なしの部位を設け
    て分割分離し、 前記2個のSAW共振子が有するすだれ状電極の正負極
    性の電極指が交差する幅WCAが形成する電極総面積が
    相互に等しくかつ、前記基本波対称モードS0と基本波
    斜対称モードA0に関する相互の電極総面積もほぼ等し
    たことを合わせ有することを特徴とする請求項1記載の
    横2重モードSAWフィルタ。
  14. 【請求項14】 前記横2重モードSAWフィルタを2
    段縦属接続したことを特徴とする請求項1から13のい
    ずれかに記載の横2重モードSAWフィルタ。
  15. 【請求項15】 圧電体平板上に、少なくとも1個のす
    だれ状電極と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面波
    をその両側において反射するための、1対の反射器を有
    した2個のSAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方向
    Xに対して相隣接してほぼ平行に配置した横2重モード
    SAWフィルタにおいて、 前記2個のSAW共振子が有する交差電極指幅WCでも
    って形成されるすだれ状電極及び反射器領域の幅方向の
    外側に、空間長Gを隔てて、横1次対称モードS1の振
    動変位を漏洩させて減衰させるように構成した、同一極
    性のみからなる電極指群で形成される幅BPのグレイテ
    ィング状の電極領域を設けたことを特徴とする横2重モ
    ードSAWフィルタ。
  16. 【請求項16】 前記空間長Gが弾性表面波の2波長か
    ら3波長であり、かつ前記グレイティング状の電極領域
    の幅BPが3波長から4波長であることを特徴とする請
    求項15記載の横2重モードSAWフィルタ。
  17. 【請求項17】 前記グレイティング状の電極領域を形
    成する電極指群の端部を短絡して電流を供給する給電導
    体の内側が、前記弾性表面波の伝搬方向X軸方向にそっ
    てテーパ状の形状をなしたことを特徴とする請求項15
    記載の横2重モードSAWフィルタ。
  18. 【請求項18】 前記グレイティング状の電極領域を形
    成する電極指群の端部を短絡して電流を供給する給電導
    体の内側が、前記弾性表面波の伝搬方向X軸方向にそっ
    て2度から3度のテーパ状の形状をなしたことを特徴と
    する請求項17記載の横2重モードSAWフィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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