JPH11189834A - 高強度トロリ線およびその製造方法 - Google Patents
高強度トロリ線およびその製造方法Info
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- JPH11189834A JPH11189834A JP3584098A JP3584098A JPH11189834A JP H11189834 A JPH11189834 A JP H11189834A JP 3584098 A JP3584098 A JP 3584098A JP 3584098 A JP3584098 A JP 3584098A JP H11189834 A JPH11189834 A JP H11189834A
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- alloy
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 新幹線の高速化に十分対応できる、強度、導
電率、耐摩耗性に優れるトロリ線およびその低コストな
製造方法を提供する。 【解決手段】 Pを0.005〜0.5wt%含有し、さ
らにCo:0.10〜1.0wt%、Mn:0.10〜
1.0wt%、Ni:0.22〜1.0wt%のうちの少な
くとも1種を含有し、残部が銅と不可避不純物からなる
高強度トロリ線。銅溶湯に合金元素を添加して銅合金溶
湯を溶製し、この銅合金溶湯を連続鋳造圧延法によりト
ロリ線に製造する方法において、前記銅合金溶湯の溶製
を、銅溶湯にPを添加して脱酸したのち、P以外の合金
元素を添加して行う前記高強度トロリ線の製造方法。 【効果】 本発明のトロリ線は強度、導電率、耐摩耗性
に優れ新幹線の高速化に十分対応できる。本発明の製造
方法によれば、生産性に優れる連続鋳造圧延法でも、合
金元素を高歩留まりで添加できるので、低コストで製造
できる。
電率、耐摩耗性に優れるトロリ線およびその低コストな
製造方法を提供する。 【解決手段】 Pを0.005〜0.5wt%含有し、さ
らにCo:0.10〜1.0wt%、Mn:0.10〜
1.0wt%、Ni:0.22〜1.0wt%のうちの少な
くとも1種を含有し、残部が銅と不可避不純物からなる
高強度トロリ線。銅溶湯に合金元素を添加して銅合金溶
湯を溶製し、この銅合金溶湯を連続鋳造圧延法によりト
ロリ線に製造する方法において、前記銅合金溶湯の溶製
を、銅溶湯にPを添加して脱酸したのち、P以外の合金
元素を添加して行う前記高強度トロリ線の製造方法。 【効果】 本発明のトロリ線は強度、導電率、耐摩耗性
に優れ新幹線の高速化に十分対応できる。本発明の製造
方法によれば、生産性に優れる連続鋳造圧延法でも、合
金元素を高歩留まりで添加できるので、低コストで製造
できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強度、導電率、耐
摩耗性に優れ、新幹線の高速化に十分対応できるトロリ
線およびその製造方法に関する。
摩耗性に優れ、新幹線の高速化に十分対応できるトロリ
線およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電車用トロリ線には、主に、タフピッチ
銅やCu−0.3wt%Sn合金が用いられてきたが、近
年の新幹線の高速化によりトロリ線の架線張力が高ま
り、それに伴いトロリ線用として種々の高強度銅合金が
開発された。しかし、例えば、高濃度のCu−Sn系合
金は、所望強度となるまでSnを添加すると導電率が著
しく低下して使用中に高温に発熱して異常磨耗を起こす
という問題がある。Cu−Cr−Zr系合金は、Crと
Zrは析出強化特性に劣るため、時効処理後、冷間加工
して強度を上げる必要があり、この冷間加工による強化
分は使用中の温度上昇で低下してしまう。例えば、時効
処理後冷間加工して550N/mm 2 以上の引張強さに
しても、使用中の温度上昇で引張強さは530N/mm
2 以下に低下してしまう。これでは、300km/h以
上で走行する過酷な使用環境の高速新幹線には使用でき
ない。またCu−Cr−Zr系合金を、従来のシャフト
炉溶解から、保持炉溶製、鋳造、圧延までを連続して行
う連続鋳造圧延法で製造しようとすると、CrやZrは
活性なためこれら合金元素は溶湯移送中に酸化してしま
い良好な性能を安定して得られないという問題がある。
このため、Cu−Cr−Zr系合金は、保持炉のシール
が容易な水冷鋳造法によりビレットを鋳造し、これを熱
間押出し、または再加熱後熱間圧延する方法で製造され
ている。しかし、前記押出法は、長さがビレットサイズ
で決まってしまうため長尺材が製造できず、銀ろう付け
や溶接により長尺材を得ても、低強度の接合部分が巻取
工程或いは架線時に変形して品質が安定しないという問
題がある。また熱間圧延法は、鋳塊の再加熱を要し、ま
た圧延材は先後端での熱履歴の違いからCrやZrの析
出量が変わったりするため圧延後溶体化処理を要するな
ど、工程数が多くコスト高になるという問題がある。
銅やCu−0.3wt%Sn合金が用いられてきたが、近
年の新幹線の高速化によりトロリ線の架線張力が高ま
り、それに伴いトロリ線用として種々の高強度銅合金が
開発された。しかし、例えば、高濃度のCu−Sn系合
金は、所望強度となるまでSnを添加すると導電率が著
しく低下して使用中に高温に発熱して異常磨耗を起こす
という問題がある。Cu−Cr−Zr系合金は、Crと
Zrは析出強化特性に劣るため、時効処理後、冷間加工
して強度を上げる必要があり、この冷間加工による強化
分は使用中の温度上昇で低下してしまう。例えば、時効
処理後冷間加工して550N/mm 2 以上の引張強さに
しても、使用中の温度上昇で引張強さは530N/mm
2 以下に低下してしまう。これでは、300km/h以
上で走行する過酷な使用環境の高速新幹線には使用でき
ない。またCu−Cr−Zr系合金を、従来のシャフト
炉溶解から、保持炉溶製、鋳造、圧延までを連続して行
う連続鋳造圧延法で製造しようとすると、CrやZrは
活性なためこれら合金元素は溶湯移送中に酸化してしま
い良好な性能を安定して得られないという問題がある。
このため、Cu−Cr−Zr系合金は、保持炉のシール
が容易な水冷鋳造法によりビレットを鋳造し、これを熱
間押出し、または再加熱後熱間圧延する方法で製造され
ている。しかし、前記押出法は、長さがビレットサイズ
で決まってしまうため長尺材が製造できず、銀ろう付け
や溶接により長尺材を得ても、低強度の接合部分が巻取
工程或いは架線時に変形して品質が安定しないという問
題がある。また熱間圧延法は、鋳塊の再加熱を要し、ま
た圧延材は先後端での熱履歴の違いからCrやZrの析
出量が変わったりするため圧延後溶体化処理を要するな
ど、工程数が多くコスト高になるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、強度、導電
率、耐摩耗性に優れ、新幹線の高速化に十分対応できる
トロリ線およびその低コストな製造方法の提供を目的と
する。
率、耐摩耗性に優れ、新幹線の高速化に十分対応できる
トロリ線およびその低コストな製造方法の提供を目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Pを0.005〜0.5wt%含有し、さらにCo:0.
10〜1.0wt%、Mn:0.10〜1.0wt%、N
i:0.22〜1.0wt%のうちの少なくとも1種を含
有し、残部が銅と不可避不純物からなることを特徴とす
る高強度トロリ線である。
Pを0.005〜0.5wt%含有し、さらにCo:0.
10〜1.0wt%、Mn:0.10〜1.0wt%、N
i:0.22〜1.0wt%のうちの少なくとも1種を含
有し、残部が銅と不可避不純物からなることを特徴とす
る高強度トロリ線である。
【0005】請求項2記載の発明は、Pを0.005〜
0.5wt%含有し、Co:0.10〜1.0wt%、M
n:0.10〜1.0wt%、Ni:0.22〜1.0wt
%のうちの少なくとも1種を含有し、さらにSn、M
g、Zn、Agのうちの少なくとも1種を合計で0.0
5〜1wt%含有し、残部が銅と不可避不純物からなるこ
とを特徴とする高強度トロリ線である。
0.5wt%含有し、Co:0.10〜1.0wt%、M
n:0.10〜1.0wt%、Ni:0.22〜1.0wt
%のうちの少なくとも1種を含有し、さらにSn、M
g、Zn、Agのうちの少なくとも1種を合計で0.0
5〜1wt%含有し、残部が銅と不可避不純物からなるこ
とを特徴とする高強度トロリ線である。
【0006】請求項3記載の発明は、銅溶湯に合金元素
を添加して銅合金溶湯を溶製し、この銅合金溶湯を連続
鋳造圧延法によりトロリ線に製造する方法において、前
記銅合金溶湯の溶製を、Pを添加して銅溶湯を脱酸した
のち、他の合金元素を添加して行うことを特徴とする請
求項1記載の高強度トロリ線の製造方法である。
を添加して銅合金溶湯を溶製し、この銅合金溶湯を連続
鋳造圧延法によりトロリ線に製造する方法において、前
記銅合金溶湯の溶製を、Pを添加して銅溶湯を脱酸した
のち、他の合金元素を添加して行うことを特徴とする請
求項1記載の高強度トロリ線の製造方法である。
【0007】請求項4記載の発明は、銅溶湯に合金元素
を添加して銅合金溶湯を溶製し、この銅合金溶湯を連続
鋳造圧延法によりトロリ線に製造する方法において、前
記銅合金溶湯の溶製を、Pを添加して銅溶湯を脱酸した
のち、他の合金元素を添加して行うことを特徴とする請
求項2記載の高強度トロリ線の製造方法である。
を添加して銅合金溶湯を溶製し、この銅合金溶湯を連続
鋳造圧延法によりトロリ線に製造する方法において、前
記銅合金溶湯の溶製を、Pを添加して銅溶湯を脱酸した
のち、他の合金元素を添加して行うことを特徴とする請
求項2記載の高強度トロリ線の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】請求項1記載のトロリ線は、時効
硬化型銅合金からなり、時効処理を施すと、Pを含むC
o、Mn、Niなどの化合物相が母相に半整合的に析出
する。この化合物相は剛性と析出歪みが大きいため、従
来のCu−Fe系、Cu−Cr系、Cu−Cr−Zr系
などの合金よりも高い時効硬化特性を示す。
硬化型銅合金からなり、時効処理を施すと、Pを含むC
o、Mn、Niなどの化合物相が母相に半整合的に析出
する。この化合物相は剛性と析出歪みが大きいため、従
来のCu−Fe系、Cu−Cr系、Cu−Cr−Zr系
などの合金よりも高い時効硬化特性を示す。
【0009】この発明において、Pは脱酸効果があり、
銅溶湯中または表面に存在する酸素を除去して、他の合
金元素が酸化消費するのを抑制する。またCo、Mn、
Niは、いずれも時効処理によりPと化合物相を形成し
て強度向上に寄与する。この発明において、Pの含有量
を0.005〜0.5wt%に規定する理由は、0.00
5wt%未満では、脱酸力が不足して他の合金元素が酸化
消費してしまうばかりか、Pを含むCo、Mn、Niな
どの化合物相が十分に形成されず時効硬化特性が低下し
てしまうためであり、またPが0.5wt%を超えると、
溶製中にCo、Mn、NiがPと晶出物を形成して消費
されてしまい、時効硬化しなくなるためである。この晶
出物は鋳造機のスパウト開口部に付着して鋳造性を悪化
させる。
銅溶湯中または表面に存在する酸素を除去して、他の合
金元素が酸化消費するのを抑制する。またCo、Mn、
Niは、いずれも時効処理によりPと化合物相を形成し
て強度向上に寄与する。この発明において、Pの含有量
を0.005〜0.5wt%に規定する理由は、0.00
5wt%未満では、脱酸力が不足して他の合金元素が酸化
消費してしまうばかりか、Pを含むCo、Mn、Niな
どの化合物相が十分に形成されず時効硬化特性が低下し
てしまうためであり、またPが0.5wt%を超えると、
溶製中にCo、Mn、NiがPと晶出物を形成して消費
されてしまい、時効硬化しなくなるためである。この晶
出物は鋳造機のスパウト開口部に付着して鋳造性を悪化
させる。
【0010】この発明で、Coを0.10〜1.0wt
%、Mnを0.10〜1.0wt%、Niを0.22〜
1.0wt%にそれぞれ規定する理由は、前記規定値未満
では、いずれの元素の場合も析出強化を示す十分な析出
相が形成されず、規定値を超えるといずれの元素の場合
も鋳塊強度が高くなって熱間加工性が低下し、さらに時
効処理時にPと化合しないで母相中に固溶する量が増え
て導電性が低下するためである。Co、Mn、Niを2
種以上添加すると、各元素はPとの結合力が強いため時
効処理時に複雑なP化合物を形成し、単独で添加する場
合より強度が向上する。
%、Mnを0.10〜1.0wt%、Niを0.22〜
1.0wt%にそれぞれ規定する理由は、前記規定値未満
では、いずれの元素の場合も析出強化を示す十分な析出
相が形成されず、規定値を超えるといずれの元素の場合
も鋳塊強度が高くなって熱間加工性が低下し、さらに時
効処理時にPと化合しないで母相中に固溶する量が増え
て導電性が低下するためである。Co、Mn、Niを2
種以上添加すると、各元素はPとの結合力が強いため時
効処理時に複雑なP化合物を形成し、単独で添加する場
合より強度が向上する。
【0011】請求項2記載のトロリ線は、請求項1記載
の銅合金に、Sn、Mg、Zn、Agの1種以上を添加
した銅合金からなるトロリ線である。前記Sn、Mg、
Zn、Agは、強度の他、耐アーク磨耗性と耐食性を向
上させる。この発明で、前記Sn、Mg、Zn、Agの
添加量を合計で0.05〜1.0wt%に規定する理由
は、0.05wt%未満ではその効果が十分に得られず、
1.0wt%を超えると導電性や熱間圧延性などが低下す
るためである。
の銅合金に、Sn、Mg、Zn、Agの1種以上を添加
した銅合金からなるトロリ線である。前記Sn、Mg、
Zn、Agは、強度の他、耐アーク磨耗性と耐食性を向
上させる。この発明で、前記Sn、Mg、Zn、Agの
添加量を合計で0.05〜1.0wt%に規定する理由
は、0.05wt%未満ではその効果が十分に得られず、
1.0wt%を超えると導電性や熱間圧延性などが低下す
るためである。
【0012】請求項3または4記載の発明は、請求項1
記載のトロリ線の製造方法である。この発明は、銅溶湯
をPを添加して脱酸したのち、Coなどの他の合金元素
を添加して、他の合金元素の添加歩留まりを高めた製造
方法で、Pの添加箇所は、保持炉内から鋳造機に到るま
でのどこであっても差し支えない。また、上記方法にて
溶湯に合金元素を添加する場合、比較的高濃度の合金元
素を添加した溶湯を作製し、シャフト炉などにて製造し
た合金元素を添加していない溶湯とブレンドすることに
よって所定濃度の溶湯にすることも可能である。
記載のトロリ線の製造方法である。この発明は、銅溶湯
をPを添加して脱酸したのち、Coなどの他の合金元素
を添加して、他の合金元素の添加歩留まりを高めた製造
方法で、Pの添加箇所は、保持炉内から鋳造機に到るま
でのどこであっても差し支えない。また、上記方法にて
溶湯に合金元素を添加する場合、比較的高濃度の合金元
素を添加した溶湯を作製し、シャフト炉などにて製造し
た合金元素を添加していない溶湯とブレンドすることに
よって所定濃度の溶湯にすることも可能である。
【0013】この発明では、ワイヤロッドを、ベルトホ
イル式やツインベルト式などの連続鋳造圧延法により製
造するのが、コスト的にもまた長尺材が得られる点から
も望ましい。得られるワイヤロッドは圧延、伸線により
トロリ線形状に加工し、その後、時効処理して、強度お
よび導電率を向上させる。必要に応じて、仕上伸線を行
って、形状安定化と一層の強度向上が図られる。前記時
効処理は、通常、450〜500℃で0.5〜4時間加
熱する条件で行われる。
イル式やツインベルト式などの連続鋳造圧延法により製
造するのが、コスト的にもまた長尺材が得られる点から
も望ましい。得られるワイヤロッドは圧延、伸線により
トロリ線形状に加工し、その後、時効処理して、強度お
よび導電率を向上させる。必要に応じて、仕上伸線を行
って、形状安定化と一層の強度向上が図られる。前記時
効処理は、通常、450〜500℃で0.5〜4時間加
熱する条件で行われる。
【0014】本発明のトロリ線は、水冷鋳造法でビレッ
トを鋳造し、これを熱間押出しまたは熱間圧延してワイ
ヤロッドとする方法でも製造できる。但し、この方法で
は、前述のように、コスト高となりまた長尺材が得られ
ない。
トを鋳造し、これを熱間押出しまたは熱間圧延してワイ
ヤロッドとする方法でも製造できる。但し、この方法で
は、前述のように、コスト高となりまた長尺材が得られ
ない。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)シャフト炉により電気銅を溶解し、この銅
溶湯を、予めリン銅母合金を入れた保持炉内に転湯し、
攪拌し、次いで所定の元素を本発明の規定値内で添加し
て銅合金溶湯を溶製した。高融点のCo、Mn、Niは
母合金を用いて添加し、低融点のMg、Sn、Zn、A
gは単体で添加した。次に、前記銅合金溶湯をベルトホ
イル式連続鋳造圧延法により種々径のワイヤロッドに加
工し、これらのワイヤロッドに950℃で1時間加熱後
水焼入れする溶体化処理を施した。ワイヤロッドの径
は、のちにトロリ線に加工したときの減面率が30、5
0、70%になるように決めた。
る。 (実施例1)シャフト炉により電気銅を溶解し、この銅
溶湯を、予めリン銅母合金を入れた保持炉内に転湯し、
攪拌し、次いで所定の元素を本発明の規定値内で添加し
て銅合金溶湯を溶製した。高融点のCo、Mn、Niは
母合金を用いて添加し、低融点のMg、Sn、Zn、A
gは単体で添加した。次に、前記銅合金溶湯をベルトホ
イル式連続鋳造圧延法により種々径のワイヤロッドに加
工し、これらのワイヤロッドに950℃で1時間加熱後
水焼入れする溶体化処理を施した。ワイヤロッドの径
は、のちにトロリ線に加工したときの減面率が30、5
0、70%になるように決めた。
【0016】(比較例1)合金元素の添加量を本発明の
規定値外とした他は、実施例1と同じ方法により溶体化
処理したワイヤロッドを製造した。一部の高濃度合金
は、変形抵抗が高いため圧延できず製造を中止した。
規定値外とした他は、実施例1と同じ方法により溶体化
処理したワイヤロッドを製造した。一部の高濃度合金
は、変形抵抗が高いため圧延できず製造を中止した。
【0017】(比較例2)Cu−0.52wt%Cr−
0.22wt%Zr合金を水冷鋳造法によりビレットと
し、これを熱間水中押出しにより27mmφのワイヤロ
ッドに加工し、このワイヤロッドに950℃で1時間加
熱後水焼き入れする溶体化処理を施した。Cr、Zrは
活性で溶製中にスラグが多量に浮上するため保持炉を不
活性ガスでシールして添加した。Cr、Zrは母合金で
添加した。
0.22wt%Zr合金を水冷鋳造法によりビレットと
し、これを熱間水中押出しにより27mmφのワイヤロ
ッドに加工し、このワイヤロッドに950℃で1時間加
熱後水焼き入れする溶体化処理を施した。Cr、Zrは
活性で溶製中にスラグが多量に浮上するため保持炉を不
活性ガスでシールして添加した。Cr、Zrは母合金で
添加した。
【0018】得られた各々のワイヤロッドを圧延および
伸線加工により断面積366mm2のトロリ線に加工し
た。ワイヤロッドの径により圧延および伸線での加工率
(断面減少率)は30、50、70%になった。次いで
このトロリ線に450℃で3時間の時効処理を施した。
伸線加工により断面積366mm2のトロリ線に加工し
た。ワイヤロッドの径により圧延および伸線での加工率
(断面減少率)は30、50、70%になった。次いで
このトロリ線に450℃で3時間の時効処理を施した。
【0019】得られたトロリ線について、引張強さ、導
電率、耐摩耗性を試験した。引張強さが規格値の550
N/mm2 を超えるトロリ線については、400℃で1
時間加熱後にも引張強さを試験し、使用中における強度
低下について評価した。耐摩耗性試験は、回転円筒の外
面に環状に巻付けた長さ1mのトロリ線にブロイメット
製の摺板を当接させ、回転円筒を1000r.p.m.の速度
で6万回回転させたのち、トロリ線の磨耗量を測定して
行った。トロリ線と摺板との接触圧力は1.75kgと
し、トロリ線と摺板との間には20A(15V)の電流
を流しスパークの飛ぶ状態とした。分析値を表1、2
に、試験結果を表3、4、5に示す。なお、耐摩耗性
は、比較例の No.13(Cu−0.31wt% Sn合金)の
加工率30%のときの磨耗量を100とした相対値で示
した。
電率、耐摩耗性を試験した。引張強さが規格値の550
N/mm2 を超えるトロリ線については、400℃で1
時間加熱後にも引張強さを試験し、使用中における強度
低下について評価した。耐摩耗性試験は、回転円筒の外
面に環状に巻付けた長さ1mのトロリ線にブロイメット
製の摺板を当接させ、回転円筒を1000r.p.m.の速度
で6万回回転させたのち、トロリ線の磨耗量を測定して
行った。トロリ線と摺板との接触圧力は1.75kgと
し、トロリ線と摺板との間には20A(15V)の電流
を流しスパークの飛ぶ状態とした。分析値を表1、2
に、試験結果を表3、4、5に示す。なお、耐摩耗性
は、比較例の No.13(Cu−0.31wt% Sn合金)の
加工率30%のときの磨耗量を100とした相対値で示
した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】 (注)加熱前、加熱後、No.1〜6 は請求項1の発明、 No.7〜12は請求項2の発明、No.16,18,20,21は製造不可。
【0023】
【表4】 (注)加熱前、加熱後、No.1〜6 は請求項1の発明、 No.7〜12は請求項2の発明、No.16,18,20,21は製造不可。
【0024】
【表5】 (注)加熱前、加熱後、No.1〜6 は請求項1の発明、 No.7〜12は請求項2の発明、No.16,18,20,21は製造不可。
【0025】表3、4、5より明らかなように、本発明
例(No.1〜12)はいずれも、規定値(引張強さ550N
/mm2 、導電率65%IACS)を満足した。400
℃で1時間加熱後の引張強さも規定値以上で、使用中の
温度上昇に十分対応できることが実証された。また摩耗
量はいずれも少なく、特にSn、Mg、Zn、またはA
gを添加したNo.7〜12は少なかった。これに対し、比較
例の(No.13〜15,17,19) は、導電率は満足するものの、
引張強さは、No14の加工率70%のものしか満足してい
ない。このトロリ線は400℃で1時間加熱後の引張強
さが520N/mm2 に低下し、また磨耗量も多く、実
用性に劣った。本発明例のトロリ線については、応力腐
食割れ性試験や大気暴露下での異常腐食試験などにより
耐食性を調べたが、いずれも実用上全く問題がなく、中
でも、Sn、Mg、Zn、またはAgを添加したNo.7〜
12は優れた耐食性を示した。
例(No.1〜12)はいずれも、規定値(引張強さ550N
/mm2 、導電率65%IACS)を満足した。400
℃で1時間加熱後の引張強さも規定値以上で、使用中の
温度上昇に十分対応できることが実証された。また摩耗
量はいずれも少なく、特にSn、Mg、Zn、またはA
gを添加したNo.7〜12は少なかった。これに対し、比較
例の(No.13〜15,17,19) は、導電率は満足するものの、
引張強さは、No14の加工率70%のものしか満足してい
ない。このトロリ線は400℃で1時間加熱後の引張強
さが520N/mm2 に低下し、また磨耗量も多く、実
用性に劣った。本発明例のトロリ線については、応力腐
食割れ性試験や大気暴露下での異常腐食試験などにより
耐食性を調べたが、いずれも実用上全く問題がなく、中
でも、Sn、Mg、Zn、またはAgを添加したNo.7〜
12は優れた耐食性を示した。
【0026】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明のトロリ線
は、新幹線の高速化に十分対応できる強度、導電率、耐
摩耗性を有し、しかも、本発明の製造方法によれば、生
産性に優れる連続鋳造圧延法でも、合金元素を高歩留ま
りで添加できるので、低コストで製造できる。依って、
工業上顕著な効果を奏する。
は、新幹線の高速化に十分対応できる強度、導電率、耐
摩耗性を有し、しかも、本発明の製造方法によれば、生
産性に優れる連続鋳造圧延法でも、合金元素を高歩留ま
りで添加できるので、低コストで製造できる。依って、
工業上顕著な効果を奏する。
Claims (4)
- 【請求項1】 Pを0.005〜0.5wt%含有し、さ
らにCo:0.10〜1.0wt%、Mn:0.10〜
1.0wt%、Ni:0.22〜1.0wt%のうちの少な
くとも1種を含有し、残部が銅と不可避不純物からなる
ことを特徴とする高強度トロリ線。 - 【請求項2】 Pを0.005〜0.5wt%含有し、C
o:0.10〜1.0wt%、Mn:0.10〜1.0wt
%、Ni:0.22〜1.0wt%のうちの少なくとも1
種を含有し、さらにSn、Mg、Zn、Agのうちの少
なくとも1種を合計で0.05〜1wt%含有し、残部が
銅と不可避不純物からなることを特徴とする高強度トロ
リ線。 - 【請求項3】 銅溶湯に合金元素を添加して銅合金溶湯
を溶製し、この銅合金溶湯を連続鋳造圧延法によりトロ
リ線に製造する方法において、前記銅合金溶湯の溶製
を、Pを添加して銅溶湯を脱酸したのち、他の合金元素
を添加して行うことを特徴とする請求項1記載の高強度
トロリ線の製造方法。 - 【請求項4】 銅溶湯に合金元素を添加して銅合金溶湯
を溶製し、この銅合金溶湯を連続鋳造圧延法によりトロ
リ線に製造する方法において、前記銅合金溶湯の溶製
を、Pを添加して銅溶湯を脱酸したのち、他の合金元素
を添加して行うことを特徴とする請求項2記載の高強度
トロリ線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3584098A JPH11189834A (ja) | 1997-10-23 | 1998-02-18 | 高強度トロリ線およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29019597 | 1997-10-23 | ||
JP9-290195 | 1997-10-23 | ||
JP3584098A JPH11189834A (ja) | 1997-10-23 | 1998-02-18 | 高強度トロリ線およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11189834A true JPH11189834A (ja) | 1999-07-13 |
Family
ID=26374839
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3584098A Pending JPH11189834A (ja) | 1997-10-23 | 1998-02-18 | 高強度トロリ線およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11189834A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1998
- 1998-02-18 JP JP3584098A patent/JPH11189834A/ja active Pending
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