JPH11188792A - 表示を施した熱可塑性樹脂シートおよびその表示方法 - Google Patents

表示を施した熱可塑性樹脂シートおよびその表示方法

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JPH11188792A
JPH11188792A JP36743297A JP36743297A JPH11188792A JP H11188792 A JPH11188792 A JP H11188792A JP 36743297 A JP36743297 A JP 36743297A JP 36743297 A JP36743297 A JP 36743297A JP H11188792 A JPH11188792 A JP H11188792A
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thermoplastic resin
sheet
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resin sheet
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JP36743297A
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Akio Totsuka
明夫 戸塚
Shigeru Nakayama
茂 中山
Toshiteru Kawashima
敏照 川島
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示像面と非表示像面との段差がほとんどな
く、かつソフトな印象を与える表示を施した熱可塑性樹
脂シートおよびその表示方法を提供する。 【解決手段】 表示像面と非表示像面の表面粗さに差を
つけることにより表示像を描出したことを特徴とする表
示を施した熱可塑性樹脂シート、および加熱した表示像
型3をシート表面に接触させて接触部分8aの熱可塑性
樹脂を溶融または軟化させることにより、非表示像面9
と表面粗さが異なる表示像面8を形成する表示方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木製パレットの上
敷、トラックの荷台の上敷、シートパレットおよびバル
ク輸送時のティアシート等、主に物品の輸送の際に用い
られる熱可塑性樹脂シートに関するものである。さらに
詳しくは、着色を行わず、見る角度によっては目立たな
い、いわゆる隠し表示を施した熱可塑性樹脂シートおよ
びその表示方法に係るものである。本発明の表示を施し
た熱可塑性樹脂シートは、表示部分に印刷箔や塗料等を
用いないので、印象がソフトでかつ衛生的であるため
に、食品分野において好適に用いられる。また、表示に
よる段差がないので積載物等が転倒し難く、安全性にも
優れている。
【0002】
【従来の技術】現在、スチール製あるいはアルミニウム
製などの金属容器、ガラス容器、プラスチック容器、そ
の他各種の箱および袋物など、多くの分野で多種多様な
容器が大量に使用されており、これらの容器の梱包や搬
送などの荷役作業時に作業性の向上や製品の保護を目的
として種々の熱可塑性樹脂シートが用いられている。こ
のような熱可塑性樹脂シートは、通常、表面に表示を施
してシートの分別を行っているが、最近では商品の多様
化に伴い、自社商品を他社の商品群から識別するため
に、視覚的形象を付与するための商標をはじめ製造年
号、形式番号、製造社名等の各種の表示をシートに施す
ようになり、種々の印刷技術や加工技術が採用されてい
る。
【0003】例えば、印刷箔を用いるホットスタンプ法
がある。図2(A)はホットスタンプ装置の略示側面図
である。熱盤1に取り付けられた型板2に、印刷版3a
をボンディングテープまたはシリコーン混合物で接着
し、印刷版3aと熱可塑性樹脂シート4との間に離型
層、顔料層および接着層からなる印刷箔5を介在させ、
ヒータ1aにより加熱した熱盤1を矢印の方向に下降さ
せてシート表面を押圧し、シート表面に表示を転写す
る。図2(B)は、上記において表示を熱可塑性樹脂シ
ート4上に転写する状態を示す部分拡大縦断面図であ
る。熱可塑性樹脂シート4は、印刷版3aに形成した転
写用の型で押圧された部分のみが溶融して、凹面を形成
する。このようなホットスタンプ法においては、印刷版
3aと熱可塑性樹脂シート4の間に印刷箔5を介在さ
せ、加熱状態にある印刷版3aの熱を薄い印刷箔5を介
してシート4の表面に伝達することにより、シート4の
表面に印刷版3aの凸部に対応する部分を凹部として転
写する。なお、6はスライドテーブル、および7は昇降
ハンドルである。このような箔押し印刷においては、印
刷すべき表示に対して一般に大きめの印刷箔が使用され
るため、常に印刷箔に無駄が生ずることに加え、熱盤1
を上昇させる際に印刷箔の剥離状態にばらつきが生じ表
示の輪郭が不明瞭になるなど、印刷表示の乱れが発生し
やすい。また、印刷表示部分は、擦過や衝撃などに対し
て非常に弱く、損傷が発生しやすい。さらに、印刷箔自
体が高価であり、印刷表示の要望は近年増大する傾向に
あるので、印刷箔を使用しない方法が開発されればコス
ト低減の点できわめて有利である。
【0004】上記の問題を解決するために、表面が熱可
塑性樹脂からなる物品に意匠を刻設する方法として、刻
設すべき意匠に対応した転写用意匠を凹凸状に形成した
型を加熱し、前記型の加熱温度より高い融点を有する樹
脂フィルムを介在させた状態で、前記物品の表面に対し
て加熱された前記型を押圧する方法(特開平6−134
857号)が提案されている。この方法は刻設によって
立体的な意匠を施すと共に、樹脂フィルムにより表面を
平滑にし、意匠を施した部分をより一層目立たせるもの
である。
【0005】また、前記の印刷箔を用いる転写印刷によ
る方法においては、完全な転写を行うために確実に押圧
を行うことが必要である。このような印刷における押圧
時間は一般的に0.5〜2.0秒であって、押圧により転
写印刷された表示部が溝となる。このように印刷された
表示部や前記の刻設された意匠は、シート表面に段差を
生じ、比較的軽い積載物等がシート表面を移動する際
に、段差部分が障害となって積載物が転倒する懸念があ
る。
【0006】他の印刷方法として、あらかじめシート本
体の表面に特定の表面粗さの絞模様を形成しておき、そ
の面の任意の位置に光沢のある透明塗料を塗工して鏡面
状の文字あるいは意匠の表示部を設ける方法(特開平6
−9804号公報)がある。例えば光沢のある紫外線硬
化型塗料を、RIテスターまたはシルクスクリーン方式
により印刷して所望の文字あるいは意匠の表示部を鏡面
状に設けることにより、その部分の絞模様の粗い面が平
滑になって光沢度が向上し、シート本体と文字や意匠な
どの表示部との差を顕著に表すことができる。しかしな
がらこの方法においては、塗料を塗工した後さらに乾燥
する工程が必要であり製造上煩雑であることに加え、前
記の印刷箔を用いる方法と同様に擦過や衝撃などによる
意匠等の損傷を免れない。また、シートの上に塗料を被
覆するので、文字あるいは意匠の表示部は塗料の厚さだ
け盛り上がることになり段差が生じる。
【0007】近年、食品分野において熱可塑性樹脂シー
トの利用が増加しているが、食品関連の用途において
は、印刷に使用する顔料が食品衛生上安全性の高いもの
に限定されることに加え、埃、汚れ等の異物の混入を極
力防ぐ必要がある。そのため、剥離したり顔料層が損傷
して脱落する可能性のある印刷箔、フィルムまたは塗料
等の使用は好ましくない。さらに各種容器がシート上で
転倒したり、外部へ落下する等の荷崩れも避けなければ
ならない。
【0008】また、ソフトな視覚的印象を与えたい場合
や、特に強調する必要のない表示をシート上に施したい
場合があるが、このような場合に上記のような通常の印
刷方法を用いると、表示が明瞭すぎる懸念がある。識別
可能でありしかも顕著な印象を与えない印刷を通常の印
刷方法を利用した簡単な手段で施すことは従来困難であ
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解決するものであり、表示像面と
表示像以外のシート表面(以下「非表示像面」という)
との段差がほとんどなく、表面粗さの違いにより識別が
可能な表示を施した熱可塑性樹脂シートおよびその表示
を容易かつ安価に施す方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、印刷箔や樹
脂フィルム等の転写用の介在物や塗料等を使用しなくて
も、表示像面と非表示像面の表面粗さに差をつけること
により表示像の認識が可能であることを見出した。ここ
でいう表示像とは、文字、意匠および商標等を表した形
象を指す。本発明の熱可塑性樹脂シートに表示を施す方
法は、表示像面の表面粗さと非表示像面の表面粗さに差
を設けるだけであるので、表示像面と非表示像面との境
界には、積載物の摺動の障害になるような大きな段差は
生じない。このような表示を施すには、施すべき表示に
対応する表示像型を加熱し、印刷箔や樹脂フィルム等の
転写用の介在物を挟むことなく、熱可塑性樹脂シートの
表面に直接接触させて、表示像型に接触する部分の熱可
塑性樹脂を溶融または軟化させることにより、非表示像
面の粗さと異なる表面粗さを有する表示像をシート表面
に形成する。熱可塑性樹脂シートの表面が滑らかでなく
粗面である場合には、表示像型の表面を滑らかな鏡面と
し、逆にシート表面が鏡面である場合には、表示像型の
表面を粗面にする。
【0011】他の方法としては、シートの製造工程にお
いて前記表示を施すこともできる。この場合には、冷却
ロールに表示像型を形成しておき、溶融状態の熱可塑性
樹脂シートを冷却ロールで冷却固化すると同時に表示を
施す。この方法においては、シート表面に施された表示
像面と非表示像面の表面粗さに差を設けるため、表示像
面と非表示像面に対応する冷却ロール上の表面を互いに
異なる粗さに形成しておく。すなわち、熱可塑性樹脂シ
ートの表面が粗面である場合には、冷却ロールの表示像
型の表面を鏡面とし、逆にシート表面が鏡面である場合
には、表示像型の表面を粗面とする。シートに施した表
示像面と非表示像面に段差を生じないようにするため
に、冷却ロール上の表示像型は、凹凸状にせず平坦に形
成しなければならない。
【0012】上記いずれの方法においても、シートに施
された表示像面と非表示像面の表面粗さに差が生じ、鏡
面と粗面との光沢の差により識別が可能な表示像が形成
される。このようにして施された表示は、見る角度によ
って明瞭度が異なり、正面から一見しただけでは識別し
難いが、斜め方向から見ることにより容易に判読するこ
とができる。したがって、強調する必要のない事項の表
示や、食品関連の用途などソフトな視覚的印象を与える
表示を施したい場合などに有用である。
【0013】すなわち、本発明の第1は、表示像面と非
表示像面の表面粗さに差をつけることにより表示像を描
出したことを特徴とする表示を施した熱可塑性樹脂シー
トに関するものである。また、本発明の第2は、加熱し
た表示像型を少なくとも表面が熱可塑性樹脂からなるシ
ートの表面に接触させて、接触部分の熱可塑性樹脂を溶
融または軟化させることにより、非表示像面と表面粗さ
が異なる表示像面を形成することを特徴とする熱可塑性
樹脂シートの表示方法に関するものである。
【0014】容器の梱包や搬送などの荷役作業時に作業
性の向上や製品の保護を目的として用いられる熱可塑性
樹脂シートは、通常は多段積みを行う際の積載物の摺動
を円滑にするためにシートの表裏面の摩擦係数が異なる
ことが好ましい。そのため、片面または両面の全部もし
くは一部を、エンボス加工、サンドブラストなどの方法
で粗面化したり、エチレン−酢酸ビニル共重合体、合成
ゴムなどの防滑材を貼合もしくは積層して摩擦係数を変
化させる方法が用いられ、少なくとも片面は滑らかでな
いものが多い。また、前記熱可塑性樹脂シートの表面
は、一方向の曲げ剛性などの機械的強度を向上させるた
め、あるいは容器底面との接触面積を調整し、ティアシ
ート上で容器を配列化する際に方向性を与えるために、
シート成形時に細かい凹凸加工を施す場合もある。この
ように滑らかでないシート表面に表示を施す場合には、
表示像型の表面を鏡面にする。表示を施すべき熱可塑性
樹脂シートに加熱された型を押圧することにより、表示
像に相当するシート表面の熱可塑性樹脂を溶融または軟
化させて平滑にし、表示像面と非表示像面との表面粗
さ、すなわち光沢に差をつける。
【0015】これに対し、用途によってはシートの表面
が平滑であるほうが好ましい場合もあり、このようなシ
ートに表示を施す場合には、上記の場合とは逆に、表示
像型の表面を粗面化しておき、粗面化した型でシート表
面の熱可塑性樹脂を溶融または軟化させることにより、
鏡面であるシート表面のうち表示像面のみが粗面になり
表面粗さに差が形成される。
【0016】冷却ロールに表示像型を形成して、溶融状
態の熱可塑性樹脂シートを冷却固化すると同時に表示を
施す場合も同様である。すなわち表面が滑らかでないシ
ートを形成する場合には、表示像型の表面を鏡面とした
冷却ロールで、また表面が平滑なシートを形成する場合
には、表示像型の表面を粗面とした冷却ロールで、それ
ぞれ熱可塑性樹脂を冷却固化してシートを製造すると同
時に表示を施す。
【0017】熱可塑性樹脂シートに表示を施す本発明の
方法においては、表示像面と非表示像面に段差が生じな
いようにすることが重要である。加熱した表示像型をシ
ート表面に接触させ、熱可塑性樹脂を溶融または軟化さ
せることにより表示を施す本発明の方法においては、押
圧の際の表示像型とシート表面との距離によって、シー
ト表面に形成される表示像の深さ、すなわち表示像面と
非表示像面との段差が決定される。距離が小さいと、表
示像型はシート表面に押し込まれて表示像は溝になり、
表示像面と非表示像面に段差を生ずる。この段差が大き
いとシート表面に積載された物品の円滑な摺動の妨げに
なるので、段差は小さいことが必要であり、好ましくは
80μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0018】本発明の方法においては、シート表面の熱
可塑性樹脂を溶融または軟化させ、表示像面と非表示像
面との表面粗さに差を設けることが主要な目的であり、
従来のように、シート中に転写用の型を形成した印刷版
を深く押し込み印刷箔等を確実に転写させることは必要
でない。したがって、表示像型がシート表面に接触し、
熱可塑性樹脂を溶融または軟化させることが可能な範囲
で、型とシート表面との距離を設定すればよい。また、
本発明においては、塗料を用いないので、塗料の隆起に
より段差を生じることもない。本発明の表示を施した熱
可塑性樹脂シートにおいては、上記の段差をほとんど生
じることなく表示を施すことが可能である。接触時間は
できるだけ短い方がよく、表示像型の加熱温度はシート
表面を形成する熱可塑性樹脂を溶融または軟化させるに
必要な温度範囲でよい。接触時間が長すぎたり加熱温度
が高すぎると、表示像面と非表示像面との境界部に溶融
または軟化した樹脂による隆起部を生じるため好ましく
ない。また冷却ロールによって表示を施す方法において
は、冷却ロールに形成した表示像型の表面とそれ以外の
ロール表面との間に段差を設けないようにすることによ
り、シート表面に施された表示像面と非表示像面とに段
差のないシートを得ることができる。表示像型の押圧時
間は、冷却ロールの回転速度その他の製造条件との関連
で決定する。
【0019】本発明の熱可塑性樹脂シートに用いる材質
は、熱可塑性樹脂からなるものであれば単層構造でも多
層構造でもよい。また、紙の表面に熱可塑性樹脂フィル
ムを接合したものや、紙の表面に熱可塑性樹脂塗料をコ
ーティングしたものでもよく、少なくとも表示を施すべ
き表面が熱可塑性樹脂からなるものであればよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1(A)は熱可塑性樹脂からな
るシートの粗面化された表面に表示を施すために本発明
で用いる装置の略示側面図であり、図1(B)は本発明
により表示を施した熱可塑性樹脂シートの部分平面図で
ある。図1(A)に示す方法は、図2に示した従来のホ
ットスタンプ法を応用したものである。図2(A)に示
したと同様に、熱盤1に取り付けた型板2に、表示像型
3をボンディングテープまたはシリコーン混合物で接着
し、ヒータ1aにより加熱した熱盤1を矢印の方向に下
降させて表示を施すべき熱可塑性樹脂シート4に接触さ
せる。従来の方法では、転写用の型を形成した印刷版3
aと熱可塑性樹脂シート4との間に印刷箔や樹脂フィル
ム等の転写用の介在物を挟んで押圧し、転写することに
より表示を施すが、本発明においてはこのような介在物
を必要としない。なお、型板2に表示像型3を固定する
方法は、上記のテープや接着剤による接着に限定され
ず、ねじ付けその他の方法も適宜採用することができ
る。
【0021】表示像型3の加圧面は鏡面であり、シート
表面に接触することにより熱可塑性樹脂シート4の表面
を溶融させて鏡面にするので、図2(B)においては表
示像面8は非表示像面9よりも表面粗さが小さく光沢に
優れている。また、表示像の深さは、表示像型3と、ス
ライドテーブル6上に載置された熱可塑性樹脂シート4
との距離によって決定される。すなわち表示像型3の下
降する距離は一定であるので、表示像型3とシート4と
の距離が小さければ表示像型3はシート4中に深く押し
入るため、表示像面8と非表示像面9との段差が大きく
なる。逆に距離を大きくして、表示像型3とシート4の
表面が軽微に接触する程度の距離に設定することによ
り、段差をほとんど消滅させることができる。ここで、
表示像型3と熱可塑性樹脂シート4との距離は昇降ハン
ドル7により調節する。
【0022】上記の操作において、接触時間および熱盤
1の加熱温度は重要である。接触時間はできるだけ短い
ことが望ましく、本発明の方法においては通常0.1〜
0.5秒である。加熱温度は熱可塑性樹脂シート4の原
料として用いる熱可塑性樹脂によって異なり、その樹脂
の融点または軟化点以上の温度に加熱する必要がある
が、あまり高すぎると表示像が深く形成されたり、表示
像の周囲に溶融した樹脂による隆起部が生じるため好ま
しくない。したがって上記樹脂の融点または軟化点から
それより15℃高い温度、好ましくは10℃高い温度ま
での範囲で加熱を行う。
【0023】図1(C)は、図1(A)において熱可塑
性樹脂シート4上に表示が施される状態をより具体的に
示す部分拡大縦断面図である。加熱された表示像型3が
熱可塑性樹脂シート4の表面に接触すると、シート表面
の接触部分8aが溶融し、その部分のみ表面粗さが変化
する。図2(B)に示す従来の方法では、完全な転写を
行うために確実に押圧する必要があり、印刷版3aと熱
可塑性樹脂シート4との距離は小さく設定され、印刷版
3aはシート4中に深く押し込まれる。その結果、シー
ト表面に付与された表示像が溝となるため、シート上に
積載された物品等の摺動を妨げる段差が生ずる。これに
対し、本発明では表示像型3により接触部分8aの熱可
塑性樹脂を溶融または軟化させて平滑にし、非表示面9
と異なる表面粗さに変えるだけでよく、印刷箔5を転写
する必要がないので、表示像型3はシート4と軽微に接
触する程度の距離に設定する。したがって段差はほとん
ど生ずることがなく、シート4上に積載された物品の摺
動は円滑に行われる。しかも、接触部分8aは光沢を有
する鏡面に変化し、非表示像面9の表面粗さとの間に顕
著な差を生ずる。この方法により、正面からみると見え
難く、斜め方向から見ると識別可能な表示を容易に熱可
塑性樹脂シートに施すことが可能である。
【0024】また、図3は熱可塑性樹脂シートに施され
た表示像面と非表示像面の部分拡大縦断面図である。図
3(A)は、本発明の表示方法を用いた場合であり、非
表示像面9と表示像面8との段差10はきわめて小さ
い。しかしながら、従来のように印刷箔を用いて表示を
施す場合や、本発明の方法において、シート表面に表示
像型を接触させる際に、型を深く押し込みすぎたり、加
熱温度が高すぎる場合には、図3(B)に示すように、
段差が大きくなると共に隆起部11が生ずる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。 <実施例1>ポリプロピレンを原料とした熱可塑性樹脂
シート4のエンボス面を上にして、図1に示したように
印刷箔を用いることなく押圧し、熱可塑性樹脂シート4
の表面に表示を施した。熱可塑性樹脂シート4をスライ
ドテーブル6上に静置し、表示像型3の加熱温度を15
0℃、接触時間を0.1秒に設定し、昇降ハンドル7に
より表示像型3と熱可塑性樹脂シート4の距離を調整し
た。表示像型3の加圧面は鏡面であるので、熱可塑性樹
脂シート4の表面に接触させ、表面の熱可塑性樹脂を溶
融または軟化させることにより表示像面は平滑になり、
非表示像面の表面粗さと異なる状態になった。このとき
の段差を測定した結果を表1に示す。
【0026】<実施例2〜4>実施例2においては接触
時間を0.5秒、実施例3においては加熱温度を140
℃、実施例4においては接触時間を0.5秒および加熱
温度を140℃とした以外は、実施例1と同様に表示を
施した。各実施例の段差の測定結果を表1に示す。
【0027】<比較例1>ポリプロピレンを原料とした
熱可塑性樹脂シート4のエンボス面を上にして、図2に
示した従来の方法により印刷箔5を用いて押圧し、熱可
塑性樹脂シート4の表面に表示を施した。熱可塑性樹脂
シート4をスライドテーブル6上に静置し、印刷版3a
の温度を170℃、押圧時間を0.5秒に設定した。印
刷版3aと熱可塑性樹脂シート4との距離を昇降ハンド
ル7によって調製したが、印刷箔の完全な転写を行うた
めには、実施例1〜4の場合よりもこの距離を著しく小
さくしなければならなかった。段差の測定結果を表1に
示す。
【0028】<比較例2>印刷箔を用いず、比較例1と
同様に加熱温度を170℃とした。接触時間は比較例1
よりも短く、0.1秒に設定した。段差の測定結果を表
1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】<粗さの測定>実施例1において表示を施
した熱可塑性樹脂シートの表示像面とエンボス面である
非表示像面の表面粗さを、JIS B 0601−199
4の試験方法に従って測定した。表面粗さを示す各種パ
ラメータの測定結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】図4は、上記実施例1のシートにおけるシ
ート表面の粗さ曲線を示すグラフであり、図4(A)は
表示像面、(B)は非表示像面の状態を示す。なお、他
の実施例における表面粗さについても、表2および図4
と同様の結果が得られた。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法により熱可塑性樹脂シート
に表示を施す場合には、印刷箔や樹脂フィルム等の転写
用の介在物や塗料等を使用しないので、顔料等が剥がれ
落ちることがなく、食品関連の用途に用いても衛生上問
題がない。また表示像面と非表示像面の表面粗さを変え
ることにより、表面光沢に差を生じさせて表示を識別す
るので、見る角度によって表示の明瞭度が異なる。した
がって、強調する必要のない事項の表示や、食品関連の
用途などソフトな視覚的印象を与える表示を施したい場
合などに有用である。また、本発明の方法は、シートの
表面を溶融または軟化させるのみであるから、シート表
面に積載物の摺動を妨げるような大きな段差は生じな
い。さらに、印刷箔等を用いない点は、コスト削減の上
からきわめて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明で用いる装置の略示側面
図、図1(B)は本発明の表示を施した熱可塑性樹脂シ
ートの部分平面図、および図1(C)は本発明の方法を
用いてシート上に表示を施す状態を示す部分拡大縦断面
図である。
【図2】図2(A)はホットスタンプ装置の略示側面図
であり、図2(B)は図2(A)に示す装置を用いて熱
可塑性樹脂シート上に表示を転写する状態を示す部分拡
大縦断面図である。
【図3】表示像面および非表示像面の部分拡大縦断面図
であり、図3(A)は本発明の方法を用いた場合、図3
(B)は本発明以外の方法を用いた場合を示す。
【図4】実施例1におけるシート表面の粗さ曲線を示す
グラフであり、図4(A)は表示像面、図4(B)は非
表示像面の粗さ曲線を示す。
【符号の説明】
1 熱盤 1a ヒータ 2 型板 3 表示像型 3a 印刷版 4 熱可塑性樹脂シート 5 印刷箔 6 スライドテーブル 7 昇降ハンドル 8 表示像面 8a 接触部分 9 非表示像面 10 段差 11 隆起部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表示像面と非表示像面の表面粗さに差を
    つけることにより表示像を描出したことを特徴とする表
    示を施した熱可塑性樹脂シート。
  2. 【請求項2】 加熱した表示像型を少なくとも表面が熱
    可塑性樹脂からなるシートの表面に接触させて、接触部
    分の熱可塑性樹脂を溶融または軟化させることにより、
    非表示像面と表面粗さが異なる表示像面を形成すること
    を特徴とする熱可塑性樹脂シートの表示方法。
JP36743297A 1997-12-25 1997-12-25 表示を施した熱可塑性樹脂シートおよびその表示方法 Pending JPH11188792A (ja)

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JP (1) JPH11188792A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007030186A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Toppan Printing Co Ltd 液体容器用表面光沢基材の加工方法および液体容器用表面光沢基材
JP2008049690A (ja) * 2006-07-27 2008-03-06 Toppan Printing Co Ltd 液体容器用表面光沢基材の加工方法および液体容器用表面光沢基材

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