JPH1118796A - 血液培養用培地および菌検出同定方法 - Google Patents
血液培養用培地および菌検出同定方法Info
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- JPH1118796A JPH1118796A JP23158597A JP23158597A JPH1118796A JP H1118796 A JPH1118796 A JP H1118796A JP 23158597 A JP23158597 A JP 23158597A JP 23158597 A JP23158597 A JP 23158597A JP H1118796 A JPH1118796 A JP H1118796A
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- G01R33/46—NMR spectroscopy
- G01R33/4625—Processing of acquired signals, e.g. elimination of phase errors, baseline fitting, chemometric analysis
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- C12Q1/045—Culture media therefor
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 検体、特に敗血症血液中の菌存在確認と同定
を、短時間で行うことを可能とする培養培地と検査方法
を提供する。 【解決手段】 炭素安定同位体13Cまたはフッ素を含む
炭素源を含有する血液培養用培地。この血液培養用培地
に検体を接種して培養し、該培地中に産生される物質の
核磁気共鳴ケミカルシフトチャートを測定し、該検体中
の菌存在確認と同定することを特徴とする検査方法であ
る。
を、短時間で行うことを可能とする培養培地と検査方法
を提供する。 【解決手段】 炭素安定同位体13Cまたはフッ素を含む
炭素源を含有する血液培養用培地。この血液培養用培地
に検体を接種して培養し、該培地中に産生される物質の
核磁気共鳴ケミカルシフトチャートを測定し、該検体中
の菌存在確認と同定することを特徴とする検査方法であ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血中の病原菌を検
出同定する方法とそれに用いられる培地に係わり、培養
した細菌が産生する物質の核磁気共鳴(以下、NMRと
略記)ケミカルシフトを分析することにより菌の検出と
同定を行う方法に関する。
出同定する方法とそれに用いられる培地に係わり、培養
した細菌が産生する物質の核磁気共鳴(以下、NMRと
略記)ケミカルシフトを分析することにより菌の検出と
同定を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】菌の検査は菌検出検査(存在確認)と菌
種同定検査に分かれる。菌検出検査はつぎのように行わ
れる。検体(通常は血液)を無菌処理された細菌培養ボ
トルに2〜5ml接種する。接種後ただちに孵卵器に入
れ、30〜37℃で培養する。菌の発育が認められるま
で14日間毎日1度観察を行う。菌の発育は、培地の濁
り、培地中の気泡の発生(細菌によるガスの産生)、培
地液のpHの変化(細菌による酸の生成)などによって
判断する。その後の菌の同定はつぎのように行われる。
敗血症血液検査においては、原因菌の存在が確認された
後、グラム染色および形態観察が行われる。グラム染色
により、グラム陰性またはグラム陽性がわかり、そのデ
ータと形態の特徴により、大まかな菌種の分類(グルー
ピング)が可能になる。つぎに、検体を一般的細菌が生
育する培地(非選択培地)に接種、培養する。数種の細
菌が存在する場合にはそれぞれの単一菌のコロニー(集
落)が得られるまで培養を繰り返す。各コロニーから菌
を採取し、その菌のみ生育する選択培地で培養し、その
菌の形態および生化学性状から菌種を同定する。
種同定検査に分かれる。菌検出検査はつぎのように行わ
れる。検体(通常は血液)を無菌処理された細菌培養ボ
トルに2〜5ml接種する。接種後ただちに孵卵器に入
れ、30〜37℃で培養する。菌の発育が認められるま
で14日間毎日1度観察を行う。菌の発育は、培地の濁
り、培地中の気泡の発生(細菌によるガスの産生)、培
地液のpHの変化(細菌による酸の生成)などによって
判断する。その後の菌の同定はつぎのように行われる。
敗血症血液検査においては、原因菌の存在が確認された
後、グラム染色および形態観察が行われる。グラム染色
により、グラム陰性またはグラム陽性がわかり、そのデ
ータと形態の特徴により、大まかな菌種の分類(グルー
ピング)が可能になる。つぎに、検体を一般的細菌が生
育する培地(非選択培地)に接種、培養する。数種の細
菌が存在する場合にはそれぞれの単一菌のコロニー(集
落)が得られるまで培養を繰り返す。各コロニーから菌
を採取し、その菌のみ生育する選択培地で培養し、その
菌の形態および生化学性状から菌種を同定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の菌検出法
は、検体の接種から菌の存在確認まで、毎日人間が観察
するため検査に人手がかかる欠点がある。また、従来技
術の菌種同定法は、つぎの欠点がある。 細菌培養を繰り返すために長い時間が必要である。 サンプルの調製に人手がかかるため同定の自動化が困
難である。 病原菌を扱う時間が長いため取扱者に汚染の危険があ
る。 目視による判断のため判断に個人差が生じる。 本発明はこれらの欠点を解決することを課題としてなさ
れたものである。
は、検体の接種から菌の存在確認まで、毎日人間が観察
するため検査に人手がかかる欠点がある。また、従来技
術の菌種同定法は、つぎの欠点がある。 細菌培養を繰り返すために長い時間が必要である。 サンプルの調製に人手がかかるため同定の自動化が困
難である。 病原菌を扱う時間が長いため取扱者に汚染の危険があ
る。 目視による判断のため判断に個人差が生じる。 本発明はこれらの欠点を解決することを課題としてなさ
れたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の血液培養用培地
は、炭素の少なくとも一部を安定同位体で標識した炭素
源を含有することを特徴としている。安定同位体で標識
した炭素源としては、 13Cで標識した糖が使用でき、例
としては1-13C-グルコースが好適である。本発明の血
液培養用培地の別の態様は、水酸基の少なくとも一部を
フッ素で置換した炭素源を含有することを特徴としてい
る。本発明の血液培養用培地において、培地成分中に動
物蛋白質を含む組成として良い。この動物蛋白質として
は、ウシ脳滲出液とウシ心臓滲出液から選択される少な
くとも1つが望ましい。本発明の血液培養用培地におい
て、培地成分中にペプトンを含む組成としても良い。本
発明の菌検出同定方法は、炭素の少なくとも一部を炭素
安定同位体で標識した炭素源を含有する血液培養用培地
により検体を培養した培養液のNMRケミカルシフトチ
ャートを測定し、該検体中の菌存在の確認と該菌の同定
を行うことを特徴としている。本発明による菌検出同定
方法の別な態様は、水酸基の少なくとも一部をフッ素で
置換した炭素源を含有する血液培養用培地により検体を
培養した培養液のNMRケミカルシフトチャートを測定
し、該検体中の菌存在の確認と該菌の同定を行うことを
特徴としている。本発明の菌検出同定方法は、敗血症原
因菌、特にそのうちの好気性菌に好適に適用できる。具
体的には、NMRケミカルシフトチャート上のエタノー
ル、乳酸、および酢酸のピークを検出して大腸菌を同定
する方法、エタノール、グルコン酸、乳酸および酢酸の
ピークを検出してブドウ球菌を同定する方法、エタノー
ルのピークを検出してキャンディダ菌を同定する方法、
或いは炭酸のピークを検出してシュードモナス菌を同定
する方法に好適に適用できる。本発明の菌検出同定方法
において、核磁気共鳴試料管中に前記血液培養用培地と
検体を入れて培養することが望ましい。
は、炭素の少なくとも一部を安定同位体で標識した炭素
源を含有することを特徴としている。安定同位体で標識
した炭素源としては、 13Cで標識した糖が使用でき、例
としては1-13C-グルコースが好適である。本発明の血
液培養用培地の別の態様は、水酸基の少なくとも一部を
フッ素で置換した炭素源を含有することを特徴としてい
る。本発明の血液培養用培地において、培地成分中に動
物蛋白質を含む組成として良い。この動物蛋白質として
は、ウシ脳滲出液とウシ心臓滲出液から選択される少な
くとも1つが望ましい。本発明の血液培養用培地におい
て、培地成分中にペプトンを含む組成としても良い。本
発明の菌検出同定方法は、炭素の少なくとも一部を炭素
安定同位体で標識した炭素源を含有する血液培養用培地
により検体を培養した培養液のNMRケミカルシフトチ
ャートを測定し、該検体中の菌存在の確認と該菌の同定
を行うことを特徴としている。本発明による菌検出同定
方法の別な態様は、水酸基の少なくとも一部をフッ素で
置換した炭素源を含有する血液培養用培地により検体を
培養した培養液のNMRケミカルシフトチャートを測定
し、該検体中の菌存在の確認と該菌の同定を行うことを
特徴としている。本発明の菌検出同定方法は、敗血症原
因菌、特にそのうちの好気性菌に好適に適用できる。具
体的には、NMRケミカルシフトチャート上のエタノー
ル、乳酸、および酢酸のピークを検出して大腸菌を同定
する方法、エタノール、グルコン酸、乳酸および酢酸の
ピークを検出してブドウ球菌を同定する方法、エタノー
ルのピークを検出してキャンディダ菌を同定する方法、
或いは炭酸のピークを検出してシュードモナス菌を同定
する方法に好適に適用できる。本発明の菌検出同定方法
において、核磁気共鳴試料管中に前記血液培養用培地と
検体を入れて培養することが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の血液培養用培地の一つの
態様は、炭素源の炭素の少なくとも一部を安定同位体炭
素(13C)で標識した培地であることを特徴とする。炭
素源とは、菌が生育するために摂取する有機物である。
炭素源としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類などのい
ずれの糖も使用することができる。単糖類としては、ヘ
キソースと総称されるグルコース、マンノース、ガラク
トース、フルクトース、または各種のデオキシ糖、アミ
ノ糖が使用できる。また、ペントースも使用できる。な
かでも、1-13C-グルコースが好適である。標識物質と
してD-グルコース-1-1 3Cを使用する場合、13C濃縮
度は高い方がNMR分析は容易であるが、必ずしも10
0%置換されている必要はない。標識グルコースや糖の
添加量は、培地の0.01〜10重量%で良く、好まし
くは、0.05〜5重量%であり、さらに好ましくは
0.1〜3重量%である。また、本発明の血液培養用培
地の別の態様は、糖等の水酸基の一部または全部をフッ
素で置換した炭素源を使用することを特徴とする。フッ
素は安定同位体炭素(13C)と同様に、NMR分析によ
って検出することができる。
態様は、炭素源の炭素の少なくとも一部を安定同位体炭
素(13C)で標識した培地であることを特徴とする。炭
素源とは、菌が生育するために摂取する有機物である。
炭素源としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類などのい
ずれの糖も使用することができる。単糖類としては、ヘ
キソースと総称されるグルコース、マンノース、ガラク
トース、フルクトース、または各種のデオキシ糖、アミ
ノ糖が使用できる。また、ペントースも使用できる。な
かでも、1-13C-グルコースが好適である。標識物質と
してD-グルコース-1-1 3Cを使用する場合、13C濃縮
度は高い方がNMR分析は容易であるが、必ずしも10
0%置換されている必要はない。標識グルコースや糖の
添加量は、培地の0.01〜10重量%で良く、好まし
くは、0.05〜5重量%であり、さらに好ましくは
0.1〜3重量%である。また、本発明の血液培養用培
地の別の態様は、糖等の水酸基の一部または全部をフッ
素で置換した炭素源を使用することを特徴とする。フッ
素は安定同位体炭素(13C)と同様に、NMR分析によ
って検出することができる。
【0006】血液培養用培地としては、培地1000m
l当たり、動物蛋白質3〜50g、あるいはウシ(また
はコウシ)脳滲出液3〜50gまたはウシ心臓滲出液3
〜50g、あるいはペプトン3〜30gを含有し、それ
に塩化ナトリウム0.1〜15g、リン酸二ナトリウム
0.1〜15g、13C標識グルコースを添加した培地
が好適に使用できる。この場合、13C標識グルコース
の添加量は0.01〜10重量%で良く、好ましくは
0.05〜5重量%であり、さらに好ましくは0.05
〜0.25重量%である。脳滲出液や心臓滲出液には、
蛋白質のほか、アミノ酸、ビタミン、ホルモン等が含ま
れている。このような栄養分を添加することにより、1
-13C-グルコースの添加量が少量であっても、培養速度
が速く、初期の菌が少数でも良く、1-13C-グルコース
が有効に消費される効果があり、したがって、高価な同
位体標識物質の使用量を節約できる経済効果が得られ
る。また、培地1000ml当たり、ペプトン3〜50
g、塩化ナトリウム0.1〜15gを含有するものに、
13C標識グルコースを添加した培地が使用できる。こ
の場合、13C標識グルコースの添加量は0.01〜1
0重量%で良く、好ましくは0.05〜5重量%であ
り、さらに好ましくは0.05〜0.25重量%であ
る。ペプトンとしては大豆ペプトン(ソイペプトン)が
好適に使用できる。ペプトンは蛋白質を加水分解して生
成する非結晶で、より小さな分子となったポリペプチド
とオリゴペプチドの混合物の総称であるが、かかるペプ
チドを添加することにより、1-13C-グルコースの添加
量が少量であっても、培養速度が速く、初期の菌が少数
でも良く、1-13C-グルコースが有効に消費される効果
があり、したがって、高価な同位体標識物質の使用量を
節約できる経済効果が得られる。
l当たり、動物蛋白質3〜50g、あるいはウシ(また
はコウシ)脳滲出液3〜50gまたはウシ心臓滲出液3
〜50g、あるいはペプトン3〜30gを含有し、それ
に塩化ナトリウム0.1〜15g、リン酸二ナトリウム
0.1〜15g、13C標識グルコースを添加した培地
が好適に使用できる。この場合、13C標識グルコース
の添加量は0.01〜10重量%で良く、好ましくは
0.05〜5重量%であり、さらに好ましくは0.05
〜0.25重量%である。脳滲出液や心臓滲出液には、
蛋白質のほか、アミノ酸、ビタミン、ホルモン等が含ま
れている。このような栄養分を添加することにより、1
-13C-グルコースの添加量が少量であっても、培養速度
が速く、初期の菌が少数でも良く、1-13C-グルコース
が有効に消費される効果があり、したがって、高価な同
位体標識物質の使用量を節約できる経済効果が得られ
る。また、培地1000ml当たり、ペプトン3〜50
g、塩化ナトリウム0.1〜15gを含有するものに、
13C標識グルコースを添加した培地が使用できる。こ
の場合、13C標識グルコースの添加量は0.01〜1
0重量%で良く、好ましくは0.05〜5重量%であ
り、さらに好ましくは0.05〜0.25重量%であ
る。ペプトンとしては大豆ペプトン(ソイペプトン)が
好適に使用できる。ペプトンは蛋白質を加水分解して生
成する非結晶で、より小さな分子となったポリペプチド
とオリゴペプチドの混合物の総称であるが、かかるペプ
チドを添加することにより、1-13C-グルコースの添加
量が少量であっても、培養速度が速く、初期の菌が少数
でも良く、1-13C-グルコースが有効に消費される効果
があり、したがって、高価な同位体標識物質の使用量を
節約できる経済効果が得られる。
【0007】検査の手順はつぎのようにする。培地を血
液培養試験管、ボトルまたは特殊NMRチューブに入
れ、滅菌処理する。検体をこの培地に接種し、細菌が生
育する温度雰囲気(たとえば30〜37℃)にて振とう
しながら培養する。振とうしながら培養することによ
り、好気性菌は生育し、嫌気性菌は生育しない条件を作
り出すことができる。培養はNMR試料管中で行うこと
ができる。通常使用されるNMR試料管は内径が小さい
から、気液接触または気液混合を十分にするために、試
料管を適宜の時間的間隔で上下反転すれば良い。NMR
試料管中で培養すれば、培養液の移し替えが不要である
から、作業効率が良いのみならず、作業安全上も好まし
い。検体接種後一定時間(たとえば8〜24時間)のあ
とに培養液の一定量(たとえば600〜1000マイク
ロリットル)をサンプリングし、NMRチューブに注入
する。特殊NMRチューブで培養した場合はこのサンプ
リングは不要である。内部標準液としてジオキサンを注
入する(たとえば10〜20μl)。サンプルの13C、
または19FケミカルシフトをNMR装置で測定する。N
MR装置の磁場強度はたとえば90〜270MHzで良
い。13C、または19Fケミカルシフトチャートから代謝
産物(有機酸、アルコールなど)の種類を確認し、代謝
物パターンデータベースと照会して、菌検出(菌の存在
確認)および菌種同定を行う。
液培養試験管、ボトルまたは特殊NMRチューブに入
れ、滅菌処理する。検体をこの培地に接種し、細菌が生
育する温度雰囲気(たとえば30〜37℃)にて振とう
しながら培養する。振とうしながら培養することによ
り、好気性菌は生育し、嫌気性菌は生育しない条件を作
り出すことができる。培養はNMR試料管中で行うこと
ができる。通常使用されるNMR試料管は内径が小さい
から、気液接触または気液混合を十分にするために、試
料管を適宜の時間的間隔で上下反転すれば良い。NMR
試料管中で培養すれば、培養液の移し替えが不要である
から、作業効率が良いのみならず、作業安全上も好まし
い。検体接種後一定時間(たとえば8〜24時間)のあ
とに培養液の一定量(たとえば600〜1000マイク
ロリットル)をサンプリングし、NMRチューブに注入
する。特殊NMRチューブで培養した場合はこのサンプ
リングは不要である。内部標準液としてジオキサンを注
入する(たとえば10〜20μl)。サンプルの13C、
または19FケミカルシフトをNMR装置で測定する。N
MR装置の磁場強度はたとえば90〜270MHzで良
い。13C、または19Fケミカルシフトチャートから代謝
産物(有機酸、アルコールなど)の種類を確認し、代謝
物パターンデータベースと照会して、菌検出(菌の存在
確認)および菌種同定を行う。
【0008】本発明の菌検出同定方法は、様々な検体に
適用することができるが、なかでも、敗血症原因菌を同
定する方法とその培地に好適である。血液から検出され
る細菌は敗血症の原因菌である可能性が高く、原因菌に
対応した投薬が非常に重要であるので、敗血症の診断、
治療に有用である。なお本発明で、敗血症血液検体と
は、敗血症である可能性が予想される血液検体であるこ
とは言うまでもない。
適用することができるが、なかでも、敗血症原因菌を同
定する方法とその培地に好適である。血液から検出され
る細菌は敗血症の原因菌である可能性が高く、原因菌に
対応した投薬が非常に重要であるので、敗血症の診断、
治療に有用である。なお本発明で、敗血症血液検体と
は、敗血症である可能性が予想される血液検体であるこ
とは言うまでもない。
【0009】菌は培地の炭素源(炭素安定同位で標識し
た炭素源、または水酸基をフッ素で置換した炭素源)を
摂取して、菌種ごとに異なる種類と量の有機酸、アルコ
ールなどの代謝物を産生する。菌、培地、代謝物からな
る混合物サンプルに含まれる代謝物は、NMR吸収測定
によれば容易正確に分析することができる。本発明によ
れば、血液中に含まれる生体成分や培地成分の影響を受
けることなく、菌存在の確認と同定が可能になる特徴が
ある。糖やグルコースは天然に存在する13Cを含むの
で、菌により産生される物質にも13Cが含まれ、そのN
MRケミカルシフトが検出されるが、13C存在比が非常
に小さいので分析感度は低く、短時間での測定では検出
されない。糖やグルコースの炭素を13Cで標識した炭素
源を用いれば、産生された物質に含まれる13Cが多くな
るのでNMR分析が高感度で容易迅速になる。水酸基O
Hをフッ素で置換した炭素源を使えば、菌による産生物
質にも19Fが含まれるので、19FをプローブとするNM
R分析は高感度で容易迅速に行うことができる。
た炭素源、または水酸基をフッ素で置換した炭素源)を
摂取して、菌種ごとに異なる種類と量の有機酸、アルコ
ールなどの代謝物を産生する。菌、培地、代謝物からな
る混合物サンプルに含まれる代謝物は、NMR吸収測定
によれば容易正確に分析することができる。本発明によ
れば、血液中に含まれる生体成分や培地成分の影響を受
けることなく、菌存在の確認と同定が可能になる特徴が
ある。糖やグルコースは天然に存在する13Cを含むの
で、菌により産生される物質にも13Cが含まれ、そのN
MRケミカルシフトが検出されるが、13C存在比が非常
に小さいので分析感度は低く、短時間での測定では検出
されない。糖やグルコースの炭素を13Cで標識した炭素
源を用いれば、産生された物質に含まれる13Cが多くな
るのでNMR分析が高感度で容易迅速になる。水酸基O
Hをフッ素で置換した炭素源を使えば、菌による産生物
質にも19Fが含まれるので、19FをプローブとするNM
R分析は高感度で容易迅速に行うことができる。
【0010】
(実施例1)単独の菌 試験用の菌として、つぎの4種類の菌株を使用した。Es
cherichia coli ATCC29522、Staphylococcus aureus AT
CC29213、Candida albicans ATCC90029、Pseudmonas ae
ruginosa ATCC28753 。これらの菌は、好気性菌であ
り、敗血症の代表的な原因菌である。滅菌処理したハー
トインフージョン培地(栄研化学製)に、滅菌処理した
D-グルコース-1-13C(米国ISOTEC社製、炭素
安定同位体濃縮度99%)を1重量%添加した。この培
地に上記の各菌を接種(105個/ml)し、35℃の
恒温槽中で、回転(150rpm)振とうしながら24
時間培養した。培養液784マイクロリットルを内径5
mmのNMRチューブに分取し、1,4-ジオキサン(純正
化学製、特級試薬)16マイクロリットルを加えた。こ
のサンプルの13C核磁気共鳴を測定した(機器:日本電
子(株)製NMRGSX-270、磁場強度270MH
z)。なお、測定シーケンスはプロトンコンプリートデ
カップリング法により行った。得られたケミカルシフト
チャートを図1〜4に示す。大腸菌 Escherichia coli
ATCC29522 を培養した培地のNMRケミカルシフトチャ
ートを図1に示す。大腸菌の場合には、エタノール(1
7.727 ppm)、乳酸(20.920 ppm)、酢酸(23.120 pp
m)のピークが現れることが特徴である。チャート中、9
2.980 ppm、96.632 ppm、および 96.815 ppmのピークは
グルコース、67.371 ppm は内部標準ジオキサンのピー
クである。なお、産生物質のケミカルチャートは分析条
件などにより若干位置が移動することがあり、なかでも
炭酸は培養液のpHでかなり移動することがある(以下
同じ)。ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC29213
を培養した培養液のNMRケミカルシフトチャートを
図2に示す。ブドウ球菌の場合には、エタノール(17.6
04 ppm)、グルコン酸(19.132 ppm)、乳酸(20.905 p
pm)、酢酸(22.906 ppm)のピークが現れることが特徴
である。92.995 ppm、および 96.815 ppm はグルコー
ス、67.371 ppm は内部標準ジオキサンのピークであ
る。キャンディダ菌 Candida albicans ATCC90029 を培
養した培養液のNMRケミカルシフトチャートを図3に
示す。キャンディダ菌の場合には、エタノール(17.727
ppm)のピークが現れることが特徴である。92.980 ppm
および 96.800 ppmはグルコース、67.371 ppm は内部
標準ジオキサンのピークである。シュードモナス菌 Pse
udmonas aeruginosa ATCC28753 を培養した培養液のN
MRケミカルシフトチャートを図4に示す。シュードモ
ナス菌の場合には、炭酸(161.037 ppm)のピークが現
れることに特徴がある。炭酸とは水に溶けた二酸化炭素
である。92.980 ppm、および96.800 ppmはグルコース、
67.356 ppm は内部標準ジオキサンのピークである。こ
のように、4種類の菌の代謝物のNMRケミカルシフト
はそれぞれ特徴があり、相互に区別することができるの
で、菌種の検出と判別が可能であることがわかる。
cherichia coli ATCC29522、Staphylococcus aureus AT
CC29213、Candida albicans ATCC90029、Pseudmonas ae
ruginosa ATCC28753 。これらの菌は、好気性菌であ
り、敗血症の代表的な原因菌である。滅菌処理したハー
トインフージョン培地(栄研化学製)に、滅菌処理した
D-グルコース-1-13C(米国ISOTEC社製、炭素
安定同位体濃縮度99%)を1重量%添加した。この培
地に上記の各菌を接種(105個/ml)し、35℃の
恒温槽中で、回転(150rpm)振とうしながら24
時間培養した。培養液784マイクロリットルを内径5
mmのNMRチューブに分取し、1,4-ジオキサン(純正
化学製、特級試薬)16マイクロリットルを加えた。こ
のサンプルの13C核磁気共鳴を測定した(機器:日本電
子(株)製NMRGSX-270、磁場強度270MH
z)。なお、測定シーケンスはプロトンコンプリートデ
カップリング法により行った。得られたケミカルシフト
チャートを図1〜4に示す。大腸菌 Escherichia coli
ATCC29522 を培養した培地のNMRケミカルシフトチャ
ートを図1に示す。大腸菌の場合には、エタノール(1
7.727 ppm)、乳酸(20.920 ppm)、酢酸(23.120 pp
m)のピークが現れることが特徴である。チャート中、9
2.980 ppm、96.632 ppm、および 96.815 ppmのピークは
グルコース、67.371 ppm は内部標準ジオキサンのピー
クである。なお、産生物質のケミカルチャートは分析条
件などにより若干位置が移動することがあり、なかでも
炭酸は培養液のpHでかなり移動することがある(以下
同じ)。ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC29213
を培養した培養液のNMRケミカルシフトチャートを
図2に示す。ブドウ球菌の場合には、エタノール(17.6
04 ppm)、グルコン酸(19.132 ppm)、乳酸(20.905 p
pm)、酢酸(22.906 ppm)のピークが現れることが特徴
である。92.995 ppm、および 96.815 ppm はグルコー
ス、67.371 ppm は内部標準ジオキサンのピークであ
る。キャンディダ菌 Candida albicans ATCC90029 を培
養した培養液のNMRケミカルシフトチャートを図3に
示す。キャンディダ菌の場合には、エタノール(17.727
ppm)のピークが現れることが特徴である。92.980 ppm
および 96.800 ppmはグルコース、67.371 ppm は内部
標準ジオキサンのピークである。シュードモナス菌 Pse
udmonas aeruginosa ATCC28753 を培養した培養液のN
MRケミカルシフトチャートを図4に示す。シュードモ
ナス菌の場合には、炭酸(161.037 ppm)のピークが現
れることに特徴がある。炭酸とは水に溶けた二酸化炭素
である。92.980 ppm、および96.800 ppmはグルコース、
67.356 ppm は内部標準ジオキサンのピークである。こ
のように、4種類の菌の代謝物のNMRケミカルシフト
はそれぞれ特徴があり、相互に区別することができるの
で、菌種の検出と判別が可能であることがわかる。
【0011】(実施例2)2種類の菌の混合 試験用の菌として、Escherichia coli ATCC29522 と Ps
eudmonas aeruginosaATCC28753 を使用した。これらの
菌は、上記したように好気性菌であり、敗血症の代表的
な原因菌である。滅菌処理したハートインフュージョン
培地(栄研化学製)に、滅菌処理したD-グルコース-1
-13C(米国ISOTEC社製、炭素安定同位体濃縮度
99%)を1重量%添加した。この培地に、Escherichi
a coli ATCC29522 (0.9×105個/ml)と Pseud
monas aeruginosa ATCC28753 (0.1×105個/m
l)を接種し、35℃の恒温槽中で、回転(150rp
m)振とうしながら24時間培養した。培養液784マ
イクロリットルを内径5mmのNMRチューブに分取
し、1,4-ジオキサン(純正化学製、特級試薬)16マイ
クロリットルを加えた。このサンプルの13C核磁気共鳴
を測定した(機器:日本電子(株)製NMRGSX-2
70、磁場強度270MHz)。なお、測定シーケンス
はプロトンコンプリートデカップリング法により行っ
た。得られたケミカルシフトチャートを図5に示す。1
7.711 ppm はエタノール、20.874 ppm は乳酸、22.586
ppm は酢酸のピークであり、実施例1から大腸菌の存在
が証明される。161.037 ppm は炭酸のピークであり、実
施例1からシュードモナス菌の存在が証明される。96.8
00 ppm はグルコース、67.371ppm のピークは内部標準
のジオキサンのピークである。以上のように、2種類の
菌を培養した培養液のNMRチャートと、実施例1のチ
ャートのパターンを対比すると、実施例2のサンプル中
には、Escherichia coli ATCC29522 菌と Pseudmonas a
eruginosa ATCC28753 菌の2種類が混在することが判定
できる。
eudmonas aeruginosaATCC28753 を使用した。これらの
菌は、上記したように好気性菌であり、敗血症の代表的
な原因菌である。滅菌処理したハートインフュージョン
培地(栄研化学製)に、滅菌処理したD-グルコース-1
-13C(米国ISOTEC社製、炭素安定同位体濃縮度
99%)を1重量%添加した。この培地に、Escherichi
a coli ATCC29522 (0.9×105個/ml)と Pseud
monas aeruginosa ATCC28753 (0.1×105個/m
l)を接種し、35℃の恒温槽中で、回転(150rp
m)振とうしながら24時間培養した。培養液784マ
イクロリットルを内径5mmのNMRチューブに分取
し、1,4-ジオキサン(純正化学製、特級試薬)16マイ
クロリットルを加えた。このサンプルの13C核磁気共鳴
を測定した(機器:日本電子(株)製NMRGSX-2
70、磁場強度270MHz)。なお、測定シーケンス
はプロトンコンプリートデカップリング法により行っ
た。得られたケミカルシフトチャートを図5に示す。1
7.711 ppm はエタノール、20.874 ppm は乳酸、22.586
ppm は酢酸のピークであり、実施例1から大腸菌の存在
が証明される。161.037 ppm は炭酸のピークであり、実
施例1からシュードモナス菌の存在が証明される。96.8
00 ppm はグルコース、67.371ppm のピークは内部標準
のジオキサンのピークである。以上のように、2種類の
菌を培養した培養液のNMRチャートと、実施例1のチ
ャートのパターンを対比すると、実施例2のサンプル中
には、Escherichia coli ATCC29522 菌と Pseudmonas a
eruginosa ATCC28753 菌の2種類が混在することが判定
できる。
【0012】(比較例1)嫌気性菌 嫌気性菌であるバクテロイデス菌 Bacteroides fragili
s を用いた他は、実施例1と同じにように、振とうしな
がら好気性雰囲気で培養した。培養液のケミカルシフト
チャートは図6であった。92.980 ppm および 96.800 p
pm はグルコース、97.371 ppm は内部標準ジオキサンの
ピークであり、それ以外にバクテロイデス菌を特徴付け
るピークは存在せず、嫌気性菌は確認できなかった。
s を用いた他は、実施例1と同じにように、振とうしな
がら好気性雰囲気で培養した。培養液のケミカルシフト
チャートは図6であった。92.980 ppm および 96.800 p
pm はグルコース、97.371 ppm は内部標準ジオキサンの
ピークであり、それ以外にバクテロイデス菌を特徴付け
るピークは存在せず、嫌気性菌は確認できなかった。
【0013】(実施例3)血液中の菌の培養 本実施例の目的は、本発明の安定同位体標識培地でヒト
新鮮血と菌を共存培養した場合にも、菌検出同定が可能
であることを証明することにある。血液は、健常人から
採取した新鮮血を使用した。菌株は、Escherichia coli
ATCC29522、Staphylococcus aureus ATCC29213、Staph
ylococcus epidermidis ATCC12228、Pseudmonas aerugi
nosa ATCC28753、Candida albicans ATCC90029 の5種
類を使用した。培地は、ブレインハートインフージョン
培地とした。同培地1000mlには、コウシ脳滲出液
12.5g、ウシ心臓滲出液5g、ペプトン10g、D
-グルコース-1-13C(米国ISOTEC社製、炭素安
定同位体濃縮度99%)1.5g(0.15重量%)、
塩化ナトリウム2.5g、リン酸二ナトリウム2.5g
を含有する。滅菌処理した培地9mlを含む試験管に、
ヒト新鮮血1mlを添加した。これに、上記の各菌を接
種(菌数は、102個/mlと105個/mlの2種類)
し、37℃恒温槽中で、70rpmで振とうしながら1
6時間培養した。ヒト新鮮血を添加したのみで菌を接種
しなかったもの(コントロール)についても、同じ条件
で培養した。16時間の培養後、培養液784μlを内
径5mmのNMR試料管に分取し、1,4−ジオキサン
16μlを加えた。このサンプルの13C核磁気共鳴
吸収を測定した(使用機器は前記と同じ)。測定シーケ
ンスはプロトンコンプリートデカップリング法にした。
新鮮血と菌を共存培養した場合にも、菌検出同定が可能
であることを証明することにある。血液は、健常人から
採取した新鮮血を使用した。菌株は、Escherichia coli
ATCC29522、Staphylococcus aureus ATCC29213、Staph
ylococcus epidermidis ATCC12228、Pseudmonas aerugi
nosa ATCC28753、Candida albicans ATCC90029 の5種
類を使用した。培地は、ブレインハートインフージョン
培地とした。同培地1000mlには、コウシ脳滲出液
12.5g、ウシ心臓滲出液5g、ペプトン10g、D
-グルコース-1-13C(米国ISOTEC社製、炭素安
定同位体濃縮度99%)1.5g(0.15重量%)、
塩化ナトリウム2.5g、リン酸二ナトリウム2.5g
を含有する。滅菌処理した培地9mlを含む試験管に、
ヒト新鮮血1mlを添加した。これに、上記の各菌を接
種(菌数は、102個/mlと105個/mlの2種類)
し、37℃恒温槽中で、70rpmで振とうしながら1
6時間培養した。ヒト新鮮血を添加したのみで菌を接種
しなかったもの(コントロール)についても、同じ条件
で培養した。16時間の培養後、培養液784μlを内
径5mmのNMR試料管に分取し、1,4−ジオキサン
16μlを加えた。このサンプルの13C核磁気共鳴
吸収を測定した(使用機器は前記と同じ)。測定シーケ
ンスはプロトンコンプリートデカップリング法にした。
【0014】図7はコントロール(培地のみ)のケミカ
ルシフトチャートである。図8は Escherichia coli AT
CC29522 のみを培地に接種し、培養した液のケミカルシ
フトチャートである(菌接種濃度が105個/mlの場
合)。17.824ppmにエタノール、21.033ppmに乳酸、23.1
56ppmに酢酸のピークが存在する。図9はヒト新鮮血の
み培養した場合のケミカルシフトである。この図9には
エタノール、乳酸、酢酸のピークは出現していない。図
10は、ヒト新鮮血と Escherichia coli とを共存した
状態で培養したときの培養液のケミカルシフトチャート
である。同図には、図8とほぼ同じ位置に、エタノー
ル、乳酸および酢酸のピークが出現した。以上により、
菌(Escherichia coli)とヒト新鮮血を共存させて培養
した場合にも、血液成分の影響を受けることはなく、Es
cherichia coli 単独で培養した場合と同じケミカルシ
フトチャートが得られることがわかる。すなわち本発明
によれば、ヒト血液中の菌の培養と検出同定が可能であ
ることが明らかになった。
ルシフトチャートである。図8は Escherichia coli AT
CC29522 のみを培地に接種し、培養した液のケミカルシ
フトチャートである(菌接種濃度が105個/mlの場
合)。17.824ppmにエタノール、21.033ppmに乳酸、23.1
56ppmに酢酸のピークが存在する。図9はヒト新鮮血の
み培養した場合のケミカルシフトである。この図9には
エタノール、乳酸、酢酸のピークは出現していない。図
10は、ヒト新鮮血と Escherichia coli とを共存した
状態で培養したときの培養液のケミカルシフトチャート
である。同図には、図8とほぼ同じ位置に、エタノー
ル、乳酸および酢酸のピークが出現した。以上により、
菌(Escherichia coli)とヒト新鮮血を共存させて培養
した場合にも、血液成分の影響を受けることはなく、Es
cherichia coli 単独で培養した場合と同じケミカルシ
フトチャートが得られることがわかる。すなわち本発明
によれば、ヒト血液中の菌の培養と検出同定が可能であ
ることが明らかになった。
【0015】図11は Staphylococcus aureus ATCC292
13 とヒト新鮮血を共存して培養した液、図12は Stap
hylococcus epidermidis ATCC12228 とヒト新鮮血を共
存して培養した液のNMRケミカルシフトチャートであ
る。Staphylococcus epidermidis とヒト新鮮血を共存
して培養した場合は、産生物質グルコン酸に隣接した位
置にピークが現われること、および産生物質のピークの
高さの違いから、Staphylococcus aureus とヒト新鮮血
を共存して培養した場合と区別することができる。図1
3は、Pseudmonas aeruginosa ATCC28753 とヒト新鮮血
を共存して培養した液、図14は Candida albicans AT
CC90029 とヒト新鮮血を共存して培養した液のNMRケ
ミカルシフトチャートである。実施例1で示したと同じ
ように、各菌のチャートは産生物質、あるいはピーク高
さの特徴から、それぞれ区別して判別することができ
る。以上図示したのは、培養のための接種菌の濃度が1
05個/mlの場合であるが、接種菌の濃度が102個/
mlの場合にも、培養と菌検出同定ができた。以上の実
施例により明らかなように、菌とヒト新鮮血を共存させ
て培養した場合、すなわち、ヒト血液中の菌を培養して
も、血液成分の影響を受けることなく、菌の検出同定が
可能であることが明かになった。
13 とヒト新鮮血を共存して培養した液、図12は Stap
hylococcus epidermidis ATCC12228 とヒト新鮮血を共
存して培養した液のNMRケミカルシフトチャートであ
る。Staphylococcus epidermidis とヒト新鮮血を共存
して培養した場合は、産生物質グルコン酸に隣接した位
置にピークが現われること、および産生物質のピークの
高さの違いから、Staphylococcus aureus とヒト新鮮血
を共存して培養した場合と区別することができる。図1
3は、Pseudmonas aeruginosa ATCC28753 とヒト新鮮血
を共存して培養した液、図14は Candida albicans AT
CC90029 とヒト新鮮血を共存して培養した液のNMRケ
ミカルシフトチャートである。実施例1で示したと同じ
ように、各菌のチャートは産生物質、あるいはピーク高
さの特徴から、それぞれ区別して判別することができ
る。以上図示したのは、培養のための接種菌の濃度が1
05個/mlの場合であるが、接種菌の濃度が102個/
mlの場合にも、培養と菌検出同定ができた。以上の実
施例により明らかなように、菌とヒト新鮮血を共存させ
て培養した場合、すなわち、ヒト血液中の菌を培養して
も、血液成分の影響を受けることなく、菌の検出同定が
可能であることが明かになった。
【0016】
【発明の効果】本発明による安定同位体で標識した炭素
源、または水酸基をフッ素で置換した炭素源を含有する
血液培養用培地を使用し、この培地で検体を培養した培
養液のNMRケミカルシフトを測定することにより、該
検体中の菌検出(菌存在の確認)とその菌の同定を行う
ことができる。本発明の方法は様々な検体に適用できる
が、特に、好気性菌の存在確認と同定、血液、なかでも
敗血症血液検体の検査に有効である。本発明によれば、
菌培養の回数が減るから培養設備のスペースを減少し、
検査システムを自動化により省力化することが可能であ
り、検査時間が短縮される。ケミカルシフトチャートで
客観的な判定が可能である。また、検査者の菌取り扱い
時間が短縮できるので病原菌に汚染される危険性が低減
できる。
源、または水酸基をフッ素で置換した炭素源を含有する
血液培養用培地を使用し、この培地で検体を培養した培
養液のNMRケミカルシフトを測定することにより、該
検体中の菌検出(菌存在の確認)とその菌の同定を行う
ことができる。本発明の方法は様々な検体に適用できる
が、特に、好気性菌の存在確認と同定、血液、なかでも
敗血症血液検体の検査に有効である。本発明によれば、
菌培養の回数が減るから培養設備のスペースを減少し、
検査システムを自動化により省力化することが可能であ
り、検査時間が短縮される。ケミカルシフトチャートで
客観的な判定が可能である。また、検査者の菌取り扱い
時間が短縮できるので病原菌に汚染される危険性が低減
できる。
【図1】 Escherichia coli の培養液の13C−NMR
ケミカルシフトチャートである。
ケミカルシフトチャートである。
【図2】 Staphylococcus aureus の培養液の13C−N
MRケミカルシフトチャートである。
MRケミカルシフトチャートである。
【図3】 Candida albicans の培養液の13C−NMR
ケミカルシフトチャートである。
ケミカルシフトチャートである。
【図4】 Pseudmonas aeruginosa の培養液の13C−N
MRケミカルシフトチャートである。
MRケミカルシフトチャートである。
【図5】 Escherichia coli と Stapylococcus epider
midis との混合物の培養液の13C−NMRケミカルシフ
トチャートである。
midis との混合物の培養液の13C−NMRケミカルシフ
トチャートである。
【図6】 Bacteroides fragilis の培養液の13C−N
MRケミカルシフトチャートである。
MRケミカルシフトチャートである。
【図7】 培地のみの13C−NMRケミカルシフトチャ
ートである。
ートである。
【図8】 Escherichia coli 培養液の13C−NMRケ
ミカルシフトチャートである。
ミカルシフトチャートである。
【図9】 ヒト新鮮血培養液の13C−NMRケミカルシ
フトチャート。
フトチャート。
【図10】 ヒト新鮮血とEscherichia coli の共存培
養液の13C−NMRケミカルシフトチャートである。
養液の13C−NMRケミカルシフトチャートである。
【図11】 ヒト新鮮血とStaphylococcus aureus の共
存培養液の13C−NMRケミカルシフトチャートであ
る。
存培養液の13C−NMRケミカルシフトチャートであ
る。
【図12】 ヒト新鮮血とStaphylococcus epidermidis
の共存培養液の13C−NMRケミカルシフトチャート
である。
の共存培養液の13C−NMRケミカルシフトチャート
である。
【図13】 ヒト新鮮血とPseudmonas aeruginosa の共
存培養液の13C−NMRケミカルシフトチャートであ
る。
存培養液の13C−NMRケミカルシフトチャートであ
る。
【図14】 ヒト新鮮血とCandida albicans の共存培
養液の13C−NMRケミカルシフトチャートである。
養液の13C−NMRケミカルシフトチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12Q 1/04 C12R 1:445) (C12Q 1/04 C12R 1:725) (C12Q 1/04 C12R 1:385) (72)発明者 瀬戸 治男 東京都八王子市上野町100−5 (72)発明者 降旗 一夫 東京都江東区南砂2−3−8−708
Claims (17)
- 【請求項1】 炭素の少なくとも一部を安定同位体で標
識した炭素源を含有することを特徴とする血液培養用培
地。 - 【請求項2】 水酸基の少なくとも一部をフッ素で置換
した炭素源を含有することを特徴とする血液培養用培
地。 - 【請求項3】 前記炭素源が、安定同位体で標識した糖
であることを特徴とする請求項1記載の血液培養用培
地。 - 【請求項4】 前記糖が、安定同位体で標識した1-13
C-グルコースであることを特徴とする請求項3記載の
血液培養用培地。 - 【請求項5】 培地成分として動物蛋白質を含むことを
特徴とする請求項1または2記載の血液培養用培地。 - 【請求項6】 培地成分としてウシ脳滲出液とウシ心臓
滲出液から選択される少なくとも1つを含むことを特徴
とする請求項1または2記載の血液培養用培地。 - 【請求項7】 培地成分としてペプトンを含むことを特
徴とする請求項1または2記載の血液培養用培地。 - 【請求項8】 炭素の少なくとも一部を炭素安定同位体
で標識した炭素源を含有する血液培養用培地により検体
を培養し、その培養液の核磁気共鳴ケミカルシフトチャ
ートを測定し、該検体中の菌存在の確認と該菌の同定を
行うことを特徴とする菌検出同定方法。 - 【請求項9】 水酸基の少なくとも一部をフッ素で置換
した炭素源を含有する血液培養用培地により検体を培養
し、その培養液の核磁気共鳴ケミカルシフトチャートを
測定し、該検体中の菌存在の確認と該菌の同定を行うこ
とを特徴とする菌検出同定方法。 - 【請求項10】 前記菌が敗血症原因菌であることを特
徴とする請求項8記載の菌検出同定方法。 - 【請求項11】 前記敗血症原因菌が好気性菌であるこ
とを特徴とする請求項10記載の菌検出同定方法。 - 【請求項12】 前記検体が敗血症原因菌の有無を調べ
るべき血液であることを特徴とする請求項8記載の菌検
出同定方法。 - 【請求項13】 核磁気共鳴ケミカルシフトチャート上
のエタノール、乳酸、および酢酸のピークを検出し、大
腸菌であることを同定することを特徴とする請求項8記
載の菌検出同定方法。 - 【請求項14】 核磁気共鳴ケミカルシフトチャート上
のエタノール、グルコン酸、乳酸および酢酸のピークを
検出し、ブドウ球菌であることを同定することを特徴と
する請求項8記載の菌検出同定方法。 - 【請求項15】 核磁気共鳴ケミカルシフトチャート上
のエタノールのピークを検出し、キャンディダ菌である
ことを同定することを特徴とする請求項8記載の菌検出
同定方法。 - 【請求項16】 核磁気共鳴ケミカルシフトチャート上
の炭酸のピークを検出し、シュードモナス菌であること
を同定することを特徴とする請求項8記載の菌検出同定
方法。 - 【請求項17】 核磁気共鳴試料管中に前記血液培養用
培地と検体を入れて培養することを特徴とする請求項8
または9記載の菌検出同定方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23158597A JPH1118796A (ja) | 1997-05-08 | 1997-08-27 | 血液培養用培地および菌検出同定方法 |
EP98303627A EP0877093A1 (en) | 1997-05-08 | 1998-05-08 | Medium for blood culture and method of detection and identification of microorganism |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-118472 | 1997-05-08 | ||
JP11847297 | 1997-05-08 | ||
JP23158597A JPH1118796A (ja) | 1997-05-08 | 1997-08-27 | 血液培養用培地および菌検出同定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1118796A true JPH1118796A (ja) | 1999-01-26 |
Family
ID=26456408
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23158597A Withdrawn JPH1118796A (ja) | 1997-05-08 | 1997-08-27 | 血液培養用培地および菌検出同定方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0877093A1 (ja) |
JP (1) | JPH1118796A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008058142A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Jeol Ltd | 細胞・微生物のnmr測定方法及びnmr用プローブ並びにnmr制御装置 |
-
1997
- 1997-08-27 JP JP23158597A patent/JPH1118796A/ja not_active Withdrawn
-
1998
- 1998-05-08 EP EP98303627A patent/EP0877093A1/en not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008058142A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Jeol Ltd | 細胞・微生物のnmr測定方法及びnmr用プローブ並びにnmr制御装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP0877093A1 (en) | 1998-11-11 |
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