JP2008058142A - 細胞・微生物のnmr測定方法及びnmr用プローブ並びにnmr制御装置 - Google Patents

細胞・微生物のnmr測定方法及びnmr用プローブ並びにnmr制御装置 Download PDF

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【課題】本発明は細胞・微生物のNMR測定方法及びNMR用プローブに関し、生きた細胞、微生物等の試料等を含んだ培養液を均一な状態にすることができる細胞・微生物のNMR測定方法及びNMR用プローブを提供することを目的としている。
【解決手段】核磁気共鳴装置用プローブ50内に形成されるものであって、培養液の中に生きた細胞又は微生物を入れた試料管51と、該試料管51の周囲に該試料管51と固着されるロータであって、その底面に風切溝が形成されたロータ33と、該ロータ33の下部に設けられたステータであって、その内部に斜め方向のノズルが形成されたステータ32と、該ステータ32のノズルにエアーを注入するエアー注入部と、を有して構成される。このような構成にすると、エアーのオン/オフ制御により試料管を良好に撹拌することができ、生きた細胞又は微生物の正確なNMR測定が可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は細胞・微生物のNMR測定方法及びNMR用プローブ並びにNMR制御装置に関する。
図6は従来のNMR装置の一例の構成を示す図である。図において、1は直流磁場を発生する超伝導磁石で、該磁石1内にはNMRプローブ50が配置されている。該NMRプローブ50の上部にはコンプレッサ2からの加圧空気を吹き付けて試料管51を回転させる試料管回転機構52が取り付けられている。4は高周波発振器で、該発振器から発生した観測核の共鳴周波数を持つ高周波は、観測制御回路5によって制御されるゲート6を介して高周波パルスとしてNMRプローブ50へ送られ、照射コイルを介して試料に照射される。
該高周波パルス照射に伴って試料から発生するFID信号は、NMRプローブ50内の検出コイルによって検出され、前記観測制御回路5によって制御される復調回路8及びA/D変換器9を介してデータ処理装置10へ送られる。10aはデータ処理装置によるフーリエ変換処理によって得られたNMRスペクトルを記録するためのレコーダである。
図7は従来の核磁気共鳴装置用プローブを使用して生きた細胞又は微生物を測定する構成例を示す図である。図6と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11は培養槽、12は該培養槽11内に貯留された培養液であり、その中には細胞等の試料が含まれている。51はNMR用試料管、12は培養液及び試料であり、培養槽11内の培養液及び試料(以下試料液という)12と同じものである。測定する場合、このNMR用試料管51が核磁気共鳴装置(NMR装置)内に入れられることになる。13は試料管51と培養槽11内の試料液12の循環を行わせるサーキュレータである。該サーキュレータ13としては、例えば循環用ポンプが用いられる。即ち、培養槽11内の試料液12をNMR用試料管51に供給すると共に、NMR用試料管51内の試料液12を培養槽11に戻す。
15は培養槽11内に栄養分を補給するための栄養分補給ライン、15aは栄養分を貯留する栄養分貯留槽である。16は培養槽11及びNMR用試料管51内に空気(以下、エアーともいう)、酸素等のガスを供給するガス供給ライン、16aはガスを貯留するガス貯留槽である。17はドレインラインであり、試料の循環系統にトラブル等が生じ、NMR用試料管51内の試料液12が溢れたような場合に、この溢れた試料液を培養槽11内にバイパスするためのものである。
このように構成された核磁気共鳴装置用プローブにおいて、培養槽11内の試料液12は、サーキュレータ13によりNMR用試料管51に送り込まれる。一方、それまでNMR用試料管51に貯留されていた試料液12は、サーキュレータ13により培養槽11に戻される。このようにして、NMR用試料管51の試料液12が撹拌される。
図8は従来の核磁気共鳴装置用プローブを使用した他の構成例を示す図である。図において、1は強磁界を発生させる超伝導マグネット(磁石)、50はNMRプローブ、51はNMR用試料管、21は該NMR用試料管51内に貯留されている試料液である。22はNMR用試料管51内にエアーを供給するエアー供給ライン、22aはエアーを貯留するエアー貯留槽である。エアー供給ライン22は、その先端が試料液21の底部まで届いている。
このように構成された核磁気共鳴装置用プローブにおいて、エアー貯留槽22a内に貯留されたエアーをエアー供給ライン22から送出し、試料液21内底部でバブリングさせる。この結果、試料液21は撹拌されることになる。
従来のこの種の装置としては、核磁気共鳴装置におけるロータとステータより構成される試料回転機構において、ロータの底面にスパイラル溝を設けた円錐台部分を設け、この円錐台部分に噴射口からエアーを吹き付けることで、円錐台部分を回転せしめ、該円錐台部分を回転させることで、ロータを回転させる装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、核磁気共鳴装置において、被測定試料の磁場を均一にするための試料回転装置で、コンプレッサで圧縮したエアー又は高圧ガスを、直接タービンに吹き当てずに、タービンの周囲で渦が発生するよう吹き出し、該渦と共にタービンが回転するようにした装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
実開昭57−170350号公報(第2頁第16行〜第3頁第8行、第2図) 実開昭59−15959号公報(第3頁第10行〜第4頁第10行、第2図)
培養液中の生きた細胞、微生物等の生命を維持するためには、濃度を高くすることができない。特に細胞は、時間と共に底に沈殿する傾向がある。NMR装置で、生きた細胞、微生物等の活動状況をリアルタイムで観測する時、濃度を高くできない場合はNMR信号の強度の低下を招き、長時間の積算を必要とする。その結果、細胞の沈殿を生じ正確な測定が不可能となるという問題がある。また、生体を自然状態においてリアルタイムで測定するため、測定時間はできるだけ短いことが望まれる。
従来、生きた細胞、微生物等の活動状況等を観測するためには、顕微鏡等による目視観察、分光分析、熱分析又は生成物を抽出してガスクロマトグラフ、質量分析装置、NMR装置等で解析するのが普通であった。しかしながら、これらの方式では、リアルタイムの観測、解析が困難であり、解析するに当たっては試料の生きた細胞、微生物等を自然の水溶液状態で観測することが不可能であった。従って、NMR法のように非破壊的・非侵襲的に測定することが望まれる。
また、従来もNMR装置を使用してある特定の細胞、微生物等の活動状況等の観測をする装置もあったが、従来は試料管径が10mmφ以下であり、以下のような問題があった。
1)図7に示す装置では、測定する試料はNMRプローブ内の試料管及び離れた位置にある培養槽の間の長い距離を細いパイプ(例えば内径2mmφ以下)を通して循環させることになり、それにより生きた細胞、微生物等の試料に大きなストレスを与えるおそれがある。また、試料の生命活動に最適な環境を維持、継続させることが困難である。更に、設備が大がかりとなり、操作が煩雑でトラブルを起こしやすいという問題があった。
2)図8に示す装置では、細胞の環境を変化させ可能性がある。また、培養液にエアーの微小バブルの混入を招きNMR観測時磁場の均一性を損ない、高分解能、高感度スペクトルの測定を困難にするという問題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、生きた細胞、微生物等の試料等を含んだ培養液を均一な状態にすることができ、かつ安定してNMR測定を行なうことができる細胞・微生物のNMR測定方法及びNMR用プローブを提供することを目的としている。
本発明では、500MHz型超伝導マグネット以上でも使用できる、NMRプローブ用の試料管は20mmφ以上の大口径の試料管の使用を可能とする高感度NMRプローブを開発し、NMR測定時間の短縮を図る。また、試料管内で生きた細胞、微生物等の試料が沈殿しないように、また試料の栄養分を均一にいきわたるように培養液を試料管内部に一切の異物を挿入することなく、撹拌する機能を持たせる。
20mmφ以上の大口径試料管(従来は5〜10mmφが標準)が使用できる高磁場用NMRプローブ(500MHz以上)を開発し、NMR信号の感度向上を図ることにより測定時間の短縮を実現した。また、上記プローブでは、20mmφ以上の試料管を回転させて試料の撹拌を行なう。撹拌効果は、回転が速ければよいのではなく、試料管形状、生きた細胞の種類により適した回転数があるため、2Hz〜10Hz程度の低速の範囲で任意の回転数で安定して回転できることが不可欠である。また、回転数が高すぎると遠心力により細胞、微生物等の試料は試料管壁に押しつけられ、死滅するおそれがある。
上記目的で、10Hz以下の低速で安定した回転を確保するため、本発明では回転子(ロータ)底面に風切り用の細かい溝(風切溝)を多数彫る方法を用いて、そこに下から斜め上方向にエアーを吹き付けて回転させる方式とした。従来のロータでは、平らな底面を下から斜め上方向にエアーを吹き付けて回転させる方式で、10mmφ以下の試料管での分解能向上を目的としており、回転数が15Hz前後で安定に回転できたが、低速での回転は不安定であった。特に、20mmφ以上の試料管では著しく不安定であった。
また、培養液中の生きた細胞がNMR測定中に撹拌効率を高めるため、試料管の回転数を一定周波数まで上げる→急激に回転を止めるというモードを用いる。この結果、NMR信号の取り込み時間中と回転停止時間を同期させると安定したNMR測定が可能となる。
(1)請求項1記載の発明は、培養液の中に細胞又は微生物を入れた試料管をエアーの力で回転させて細胞・微生物をNMR測定する細胞・微生物のNMR測定方法であって、所定の周期でエアーのオン/オフ制御を行ない、エアーオンの時には前記試料管を回転させ、エアーオフの時には前記試料管の回転を停止した状態で細胞又は微生物のNMR測定を行なうことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、前記エアーのオン/オフ制御を交互に繰り返して試料管を撹拌することにより、細胞又は微生物試料が沈殿しないように培養液中に浮遊させることを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、前記回転機構は、前記試料管の周囲に配置され該試料管と固着されるロータであって、その底面に風切溝が形成されたロータと、該ロータの下部に設けられたステータであって、その内部に斜め方向のノズルが形成されたステータと、該ステータのノズルにエアーを注入するエアー注入部とで構成されたことを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、培養液の中に細胞又は微生物を入れた試料管をエアーの力で回転させる回転機構を備え、該回転機構にエアーを注入するエアー注入部からエアーのオン/オフを行なって前記回転機構を作動させ、エアーのオンの時には前記エアー注入部からのエアーの力により試料管を回転させ、エアーのオフの時には前記試料管内部の細胞又は微生物のNMR測定を行なうように構成されたことを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、培養液の中に細胞又は微生物を入れた試料管をエアーの力で回転させて細胞・微生物をNMR測定するためのNMR制御装置であって、所定の周期でエアーをオン/オフし、エアーオンの時には前記試料管を回転させ、エアーオフの時には前記試料管の回転を停止させるように制御することを特徴とする。
(1)請求項1記載の発明によれば、エアーをオン/オフすることにより試料管を撹拌するので、試料管の中の生きた細胞又は微生物が良好な状態に保たれ、試料管の回転を止めた状態で生きた細胞又は微生物のNMR測定を正確に行なうことができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、試料管中の生きた細胞又は微生物が培養液中に浮遊した状態でNMR測定を行なうので、生きた細胞又は微生物のNMR測定を正確に行なうことができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、底面に風切溝が形成されたロータとステータとを組み合わせ、これらロータの回転をエアーの力で行なうことにより、試料管の任意の周波数での回転を良好に行なうことができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、エアーのオン/オフ制御を行なって試料管を撹拌することにより、試料管中の生きた細胞又は微生物を良好な状態に保つことができる。従って、生きた細胞又は微生物を正確にNMR測定することができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、エアーがオンの時には試料管を回転させ、エアーがオフの時には前記試料管の回転を停止させるような制御を行なうことで、試料管内の細胞又は微生物を良好に撹拌することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明装置の一実施の形態例を示す構成図である。図6と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、1は直流磁場を発生する超伝導磁石で、該磁石1内にはNMRプローブ50が配置されている。該NMRプローブ50の上部には、コンプレッサ2からの加圧空気を吹き付けて試料管51を回転させる試料管回転機構52が取り付けられている。
4は高周波発振器で、該発振器4から発生した観測核の共鳴周波数をもつ高周波は、観測制御回路5によって制御されるゲート6を介して高周波パルスとしてNMRプローブ50へ送られ、照射コイルを介して試料に照射される。該高周波パルス照射に伴って試料から発生するFID信号は、NMRプローブ50内の検出コイルによって検出され、前記観測制御回路5によって制御される復調回路8及びA/D変換器9を介してデータ処理装置10へ送られる。10aは該データ処理装置10によるフーリエ変換処理によって得られたNMRスペクトルを記録するためのレコーダである。試料管51の回転をオン/オフさせるエアーオン/オフスイッチ55は、観測制御回路5によって制御される。
図2はNMRプローブ50及びエアーオン/オフスイッチ55の部分の形態例を示す構成図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、1はNMR装置用超伝導マグネット、50はNMRプローブ、51は該NMRプローブ50内に配置されたNMR用試料管、21はNMR用試料管51内に貯留された試料液である。該試料液21中には、例えば生きた細胞と培養液が含まれている。或いは、微生物と培養液であってもよい。
33はNMR用試料管51を回転させるための試料管回転用ロータ(以下単にロータという)である。該ロータ33はNMR用試料管51の周囲を囲むように取り付けられており、かつNMR用試料管51と固着されている。従って、ロータ33が回転すると、該ロータ33に固着されたNMR用試料管51も回転するようになっている。32はロータ33を下方から支える試料管回転用ステータ(以下単にステータという)である。38は該ステータ32内に形成された複数のエアーノズルである。該エアーノズル38は、ステータ32に穿たれているものである。また、該エアーノズル38は、図に示すようにステータ32内で斜め上方向に穿たれている。37はステータ32を支持する支持部である。
34はステータ32に穿たれたエアーノズル38にエアーを注入するエアー供給ラインである。該エアー供給ライン34内を搬送されるエアーは、所定の圧力を有している。55はエアー供給ライン34に供給されるエアーをオン/オフするエアーオン/オフスイッチである。該エアーオン/オフスイッチ55はエアーオン/オフ信号によりそのオン/オフが制御される。このように構成された装置の動作を説明すると、以下の通りである。
本発明は、試料管内の生きた細胞又は微生物が含まれる試料液を良好に撹拌するために、エアーを一定周期でオン/オフして試料管の回転と停止を繰り返し、良好な試料管の撹拌状態を作りだし、エアーオフの時に試料管内の生きた細胞又は微生物のNMR測定を行なうようにしたものである。
先ずエアーオン/オフスイッチ55がオンの場合について考える。エアー供給ライン34から供給されるエアーは、ステータ32内に穿たれたエアーノズル38に注入される。この結果、エアーノズル38からは、そのノズルから何れも同一方向に向いた斜め上向きのエアーが噴射される。このエアーがロータ33の底面に吹き付けられ、ロータ33を浮上させると共に、ロータ33を一定方向に回転させる。
以下、ロータ33が回転する仕組みについて説明する。図3はロータ33の風切溝を示す図である。図において、40はロータ33の底面に設けられた(形成された)風切溝である。この風切溝40は、ロータ33の底面を彫ることで形成することができる。この風切溝40にステータ32内に穿たれたエアーノズル38から斜め上方向のエアーが図中矢印Aで示す方向に吹き付けられる。この結果、ロータ33は図の矢印Bで示す向きに回転することになる。ここで、エアーの圧力が所定圧以上あると、ロータ33はその圧力でステータ32からわずかに(例えば0.1mm)浮上する。そして、ロータ33の底面は浮上することにより、摩擦が小さくなり、滑らかに回転することになる。この時の、ロータ33の回転周波数は、例えば3Hzから10Hz程度が好適である。回転周波数を上げすぎると、遠心力の作用により細胞が一定方向に集まり、NMR測定にとって好ましくない。
図4はステータの上面を示す図である。32aはステータ32の上面に穿たれたエアーノズル穴である。このエアーノズル穴32aは、図2に示すように、その風向きが斜め上方向(図中の矢印C方向)となるように形成されている。従って、このエアーノズル穴32aからは、斜め上方向に向けた所定圧のエアーが噴射される。この噴射されたエアーが図3に示すロータ33底面の風切溝40に吹き付けられることにより、ロータ33は図3の矢印B方向に力を受け回転することになる。かつエアーの圧力で、前述したように、ロータ33はステータ32からわずかに浮上した状態で回転する。
ロータ33が前述した仕組みにより回転すると、このロータ33と一体に固着されているNMR用試料管51も回転する。
次に、エアーオン/オフスイッチ55をオフにした場合について説明する。エアーオン/オフ信号をオフにすると、エアーオン/オフスイッチ55からはエアーが出なくなる。この結果、ステータ32のエアーノズル32aから噴射されていたエアーが噴射されなくなるので、ロータ33は回転を停止する。そして、その底面がステータ32と接触することになる。即ち、ロータ33がステータ32の上に載置されることになる。
このように、エアーのオン/オフを繰り返すことにより、NMR用試料管51を撹拌することになる。そして、エアーがオフになった時に、NMR用試料管51をNMR測定するようにする。図5は試料管オン/オフ制御のタイムチャートである。(a)はNMR信号取込時間を、(b)はエアーのオン/オフを、(c)はNMR用試料管51の回転数をそれぞれ示している。図において、横軸は時間を示している。
図(b)に示すように、時刻t0でエアーをオンにすると、(c)に示すようにNMR用試料管51の回転周波数は除々に増大していく。そして、時刻t1でエアーの回転をオフにすると、NMR用試料管51の回転周波数は急激に減少して0になる。試料管の回転を止めて数十秒たつと、細胞が試料管の底に沈殿してしまう。底に沈殿してしまうと、NMR検出コイルの検出領域外になるので好ましくない。そこで、試料管の回転を止めてから数十秒の間にNMRの測定を行なうことで、浮遊状態で感度よくNMR測定を行なうことが可能となる。このNMR用試料管51が停止している期間ΔTの間に(a)に示すようにNMR信号の取り込みを行う。
このように、本発明によれば、エアー注入部をオン/オフさせることにより、ロータを回転/停止させる制御を行なうことができ、試料管内の試料液を良好に撹拌することができる。また、本発明によれば、ステータに穿たれたノズルからロータ底面に斜め上方向のエアーを噴射させることにより、ロータが回転し、試料管を回転させることができる。
また、本発明によれば、エアーオフ時に試料管の内部状態をほぼ静止した状態で核磁気共鳴(NMR)信号を取り込むことができ、正確なNMR測定が可能となる。更に、本発明によれば、ロータ底面に常に斜め上方向のエアー圧がかかるようにして、ロータをステータからわずかに浮上させた状態で回転を行わせることができる。
本発明では、500MHz以上の高磁場NMRプローブ用の試料管として20mmφ以上の大口径の試料管を使用することにより、従来測定が不可能であった非常に微量(数ナノモル)の試料の測定が可能となる。また、試料の撹拌のためにNMRプローブ内の試料管及び離れた位置にある培養槽の間の長い距離を細いパイプ(内径約2mmφ以下)を通して循環させることが不要となった(図7参照)。更に、試料管内に直接エアーでバブリングする必要がなくなり、NMR信号分解能の低下が無くなった(図8参照)。
上述の実施の形態例では、ロータの底面に風切溝を設けてエアー抵抗を作り、ロータを回転させる場合について説明した。しかしながら、本願発明はこれに限るものではなく、細かい溝を多数彫った板をロータの底面に貼り付ける方法で、そこに下から斜め上方向にエアーを吹き付けて回転させる方式としてもよい。
また、上述の実施の形態例では、エアーを一定周期でオン/オフ制御する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、試料によって予め決められた不規則な周期でオン/オフするようにしてもよい。
以上、説明した本発明の効果を列挙すると、以下のようになる。
1)エアーを一定周期でオン/オフする制御を行なうことにより、試料管内の試料液を良好に撹拌することができ、正確なNMR測定を行なうことが可能となる。
2)試料管の回転を適当なタイミングでオン/オフすることを繰り返すことにより、生きた細胞、微生物等の試料が沈殿しないように撹拌する効果がより大きくなる。
3)20mmφ以上の試料管を任意の適した回転数で回転することにより、生きた細胞、微生物等の試料が沈殿しないように撹拌することが可能となった。
4)20mmφ以上の大口径試料管を使用することにより、測定試料の量を大幅に増加させることができるため、感度を大幅に改善させることができる。この場合、測定する試料の種類にもよるが、現在標準の5mmφ型NMRプローブに比較して15倍以上の検出感度の向上が図れる。また、試料管が大口径であるため、内部に直接細胞、微生物等の試料に必要な栄養分、酸素等のガスの供給機能、細胞、微生物等の試料の活性化を促すための任意波長の光を照射する機能を容易に組み込めるようになった。
5)測定試料量が大量であることにより、細胞、微生物等の生命活動の維持が容易となる。
6)回転用ロータに底面に風切溝を彫ることにより、20mmφ以上の試料管の回転を2,3Hz〜10数Hzまでの範囲で安定して回転させることが可能となった。
本発明装置の一実施の形態例を示す構成図である。 NMRプローブ及びエアーオン/オフスイッチの部分を示す図である。 ロータの底面の風切溝を示す図である。 ステータの上面を示す図である。 試料管オン/オフ制御のタイムチャートである。 従来のNMR装置の一例の構成例を示す図である。 従来の核磁気共鳴装置用プローブを使用して生きた細胞又は微生物を測定する構成例を示す図である。 従来の核磁気共鳴装置用プローブを使用した他の構成例を示す図である。
符号の説明
1 NMR装置用超伝導マグネット
21 試料液
32 ステータ
33 ロータ
34 エアー供給ライン
37 支持部
38 エアーノズル
50 NMRプローブ
51 NMR用試料管
55 エアーオン/オフスイッチ

Claims (5)

  1. 培養液の中に細胞又は微生物を入れた試料管をエアーの力で回転させて細胞・微生物をNMR測定する細胞・微生物のNMR測定方法であって、
    所定の周期でエアーのオン/オフ制御を行ない、
    エアーオンの時には前記試料管を回転させ、エアーオフの時には前記試料管の回転を停止した状態で細胞又は微生物のNMR測定を行なう、
    ことを特徴とする細胞・微生物のNMR測定方法。
  2. 前記エアーのオン/オフ制御を交互に繰り返して試料管を撹拌することにより、細胞又は微生物試料が沈殿しないように培養液中に浮遊させることを特徴とする請求項1記載の細胞・微生物のNMR測定方法。
  3. 前記回転機構は、前記試料管の周囲に配置され該試料管と固着されるロータであって、その底面に風切溝が形成されたロータと、該ロータの下部に設けられたステータであって、その内部に斜め方向のノズルが形成されたステータと、該ステータのノズルにエアーを注入するエアー注入部とで構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の細胞・微生物のNMR測定方法。
  4. 培養液の中に細胞又は微生物を入れた試料管をエアーの力で回転させる回転機構を備え、
    該回転機構にエアーを注入するエアー注入部からエアーのオン/オフを行なって前記回転機構を作動させ、エアーのオンの時には前記エアー注入部からのエアーの力により試料管を回転させ、エアーのオフの時には前記試料管内部の細胞又は微生物のNMR測定を行なうように構成されたことを特徴とするNMR用プローブ。
  5. 培養液の中に細胞又は微生物を入れた試料管をエアーの力で回転させて細胞・微生物をNMR測定するためのNMR制御装置であって、
    所定の周期でエアーをオン/オフし、
    エアーオンの時には前記試料管を回転させ、エアーオフの時には前記試料管の回転を停止させるように制御することを特徴とするNMR制御装置。
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