JPH11186666A - 半導体装置、半導体発光装置、半導体レーザ装置、光モジュールおよび光システム - Google Patents
半導体装置、半導体発光装置、半導体レーザ装置、光モジュールおよび光システムInfo
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- JPH11186666A JPH11186666A JP35783397A JP35783397A JPH11186666A JP H11186666 A JPH11186666 A JP H11186666A JP 35783397 A JP35783397 A JP 35783397A JP 35783397 A JP35783397 A JP 35783397A JP H11186666 A JPH11186666 A JP H11186666A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明はより高抵抗性半導体領域を有する半導
体装置の要請に答えるものである。リーク電流の小さな
半導体発光装置を提供することであり、しきい電流値の
小さな半導体レーザ装置を提供することであり、低駆動
電流の半導体レーザ素子を搭載した集積化光素子を提供
することである。更には低駆動電流なる光モジュールを
提供することであり、低電流、低消費電力なる光伝送シ
ステムを提供することである。 【解決手段】電流注入領域と電極とを少なくとも有する
半導体装置であって、前記電流注入領域に隣接して半導
体層領域を有する半導体装置であって、前記半導体層領
域は塩素を含有し且つ遷移元素を含有しないすることを
特徴とするものである。また、半導体発光装置あるいは
半導体レーザ装置は電流注入領域と少なくともこの両側
部にこの電流注入領域に隣接して半導体層領域を有し、
この半導体層領域には塩素を含有し且つ遷移元素を含有
せしめない。
体装置の要請に答えるものである。リーク電流の小さな
半導体発光装置を提供することであり、しきい電流値の
小さな半導体レーザ装置を提供することであり、低駆動
電流の半導体レーザ素子を搭載した集積化光素子を提供
することである。更には低駆動電流なる光モジュールを
提供することであり、低電流、低消費電力なる光伝送シ
ステムを提供することである。 【解決手段】電流注入領域と電極とを少なくとも有する
半導体装置であって、前記電流注入領域に隣接して半導
体層領域を有する半導体装置であって、前記半導体層領
域は塩素を含有し且つ遷移元素を含有しないすることを
特徴とするものである。また、半導体発光装置あるいは
半導体レーザ装置は電流注入領域と少なくともこの両側
部にこの電流注入領域に隣接して半導体層領域を有し、
この半導体層領域には塩素を含有し且つ遷移元素を含有
せしめない。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は化合物半導体装置、
半導体発光装置、半導体レーザ装置、ならびに集積化光
素子に関するものである。更には本発明は光モジュー
ル、および光応用システムに関するものである。
半導体発光装置、半導体レーザ装置、ならびに集積化光
素子に関するものである。更には本発明は光モジュー
ル、および光応用システムに関するものである。
【従来の技術】半導体レーザ装置の低しきい値化を達成
するには、活性領域以外を流れるリーク電流の低減が必
須である。これを実現する構造の一つとして、活性領域
を含むメサストライプ領域の両側面を電流阻止効果のあ
る半絶縁性半導体層で埋込んだ半絶縁性埋込みヘテロ構
造(SI−BH:Semi-Insulating Buried Heterostruc
ture)が広く用いられている。図1に典型的なSI−B
H構造を有する半導体レーザ装置の構造図を示す。図1
はこのSI−BH構造を有する半導体レーザ装置の光軸
に垂直な面での断面図である。n型InP基板1上に活
性層2、p型InPクラッド層3、p型InGaAsコ
ンタクト層4がメサストライプ領域内に形成される。そ
して、この両側部をFeドープ半絶縁性InP層5で埋
込んでいる。そして、上部電極6と下部電極7が結晶体
の上下に形成されている。尚、この例では活性層2の下
部のInP基板の一部が第2のクラッドの役割をはたし
ている。このようなSI−BH構造を有する半導体レー
ザ装置としては、エレクトロニクスレターズ、28巻、
12号、1157〜1158頁に報告された例がある。
これは電界吸収型光変調器集積分布帰還型半導体レーザ
の例で、Feドープ半絶縁性InPを電流ブロック層と
して用いてInP基板上に作製している。又、アイ・イ
ー・イー・イー、フォトニクス テクノロジィー レタ
ーズ、第7巻、8号、第828頁より頁829頁(IE
EE,Photonics Technology L
etters,Vol.7,No.8、pp828―8
29(1995)にも見られる。
するには、活性領域以外を流れるリーク電流の低減が必
須である。これを実現する構造の一つとして、活性領域
を含むメサストライプ領域の両側面を電流阻止効果のあ
る半絶縁性半導体層で埋込んだ半絶縁性埋込みヘテロ構
造(SI−BH:Semi-Insulating Buried Heterostruc
ture)が広く用いられている。図1に典型的なSI−B
H構造を有する半導体レーザ装置の構造図を示す。図1
はこのSI−BH構造を有する半導体レーザ装置の光軸
に垂直な面での断面図である。n型InP基板1上に活
性層2、p型InPクラッド層3、p型InGaAsコ
ンタクト層4がメサストライプ領域内に形成される。そ
して、この両側部をFeドープ半絶縁性InP層5で埋
込んでいる。そして、上部電極6と下部電極7が結晶体
の上下に形成されている。尚、この例では活性層2の下
部のInP基板の一部が第2のクラッドの役割をはたし
ている。このようなSI−BH構造を有する半導体レー
ザ装置としては、エレクトロニクスレターズ、28巻、
12号、1157〜1158頁に報告された例がある。
これは電界吸収型光変調器集積分布帰還型半導体レーザ
の例で、Feドープ半絶縁性InPを電流ブロック層と
して用いてInP基板上に作製している。又、アイ・イ
ー・イー・イー、フォトニクス テクノロジィー レタ
ーズ、第7巻、8号、第828頁より頁829頁(IE
EE,Photonics Technology L
etters,Vol.7,No.8、pp828―8
29(1995)にも見られる。
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
には以下に示す問題があった。従来電流ブロック層を構
成するInPに半絶縁性をもたせるために、 深いアク
セプタとして機能するFe不純物のドーピングを行って
きた。これは深いアクセプタとして機能するFe不純物
がInP中に不可避的に生成する浅いドナー準位を補償
する為である。一方、光共振器を構成要素であるp型I
nPクラッド層の導電型不純物としてはZnが用いられ
てきた。しかし、こうした従来の構造の場合、例えば図
1の構造を参酌すれば、p型InPクラッド層3中の導
電型不純物のZn原子がFeドープ半絶縁性InP層5
中に深く浸透するという問題が発生した。この現象は大
きくは次の3つの難点を生み出し、半導体レーザ装置の
特性に甚大な悪影響を及ぼした。 (1)半絶縁InP層の電流阻止効力を減少せしめる。 (2)更に、電流阻止効力を減少だけにとどまらず、Z
n拡散層とn型InP基板で挟まれた薄いFeドープI
nP層に大きな寄生容量を発生させる。 (3)また、Znの減少したp型InP層の直列抵抗が
増大する。 このZnの拡散という現象は、ZnはInP中を拡散し
易いという点があり、さらにこのZnの拡散がInP中
で顕著に発生するという性質は、Feを含むInP中で
とりわけ顕著に現われることに起因する。この性質はZ
nとFeの相互拡散と呼ばれる。更に、本願発明は、一
般の半導体装置、例えばHBT等における高抵抗を要請
される領域への適用をも考えんとするものである。特
に、InP系材料による半導体装置に適用して有用であ
る。本願発明の第1の目的は、より高抵抗性半導体領域
を有する化合物半導体装置を提供することである。本願
発明の第2の目的は、リーク電流の小さな半導体発光装
置を提供することである。本願発明の第3の目的は、し
きい電流値の小さな半導体レーザ装置を提供することで
ある。本願発明の第4の目的は、しきい電流値の小さな
半導体レーザ装置と、光変調器あるいは導波路型レンズ
等の半導体光素子を集積形成した集積化光素子を提供す
ることである。本願発明の第5の目的は、低駆動電流な
る光モジュールを提供することにある。本願発明の第6
の目的は、低動作電流、低消費電力なる光伝送システム
あるいは光情報処理システム等の光応用システムを提供
することである。
には以下に示す問題があった。従来電流ブロック層を構
成するInPに半絶縁性をもたせるために、 深いアク
セプタとして機能するFe不純物のドーピングを行って
きた。これは深いアクセプタとして機能するFe不純物
がInP中に不可避的に生成する浅いドナー準位を補償
する為である。一方、光共振器を構成要素であるp型I
nPクラッド層の導電型不純物としてはZnが用いられ
てきた。しかし、こうした従来の構造の場合、例えば図
1の構造を参酌すれば、p型InPクラッド層3中の導
電型不純物のZn原子がFeドープ半絶縁性InP層5
中に深く浸透するという問題が発生した。この現象は大
きくは次の3つの難点を生み出し、半導体レーザ装置の
特性に甚大な悪影響を及ぼした。 (1)半絶縁InP層の電流阻止効力を減少せしめる。 (2)更に、電流阻止効力を減少だけにとどまらず、Z
n拡散層とn型InP基板で挟まれた薄いFeドープI
nP層に大きな寄生容量を発生させる。 (3)また、Znの減少したp型InP層の直列抵抗が
増大する。 このZnの拡散という現象は、ZnはInP中を拡散し
易いという点があり、さらにこのZnの拡散がInP中
で顕著に発生するという性質は、Feを含むInP中で
とりわけ顕著に現われることに起因する。この性質はZ
nとFeの相互拡散と呼ばれる。更に、本願発明は、一
般の半導体装置、例えばHBT等における高抵抗を要請
される領域への適用をも考えんとするものである。特
に、InP系材料による半導体装置に適用して有用であ
る。本願発明の第1の目的は、より高抵抗性半導体領域
を有する化合物半導体装置を提供することである。本願
発明の第2の目的は、リーク電流の小さな半導体発光装
置を提供することである。本願発明の第3の目的は、し
きい電流値の小さな半導体レーザ装置を提供することで
ある。本願発明の第4の目的は、しきい電流値の小さな
半導体レーザ装置と、光変調器あるいは導波路型レンズ
等の半導体光素子を集積形成した集積化光素子を提供す
ることである。本願発明の第5の目的は、低駆動電流な
る光モジュールを提供することにある。本願発明の第6
の目的は、低動作電流、低消費電力なる光伝送システム
あるいは光情報処理システム等の光応用システムを提供
することである。
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記の通りである。 (1)本願発明の第1の形態は、化合物半導体基材中の
所望領域に、半絶縁性半導体領域を少なくとも有し、こ
の半絶縁性半導体領域は塩素原子を含有し且つ遷移金属
原子を実質的に含有しないことを特徴とする化合物半導
体装置である。本構成によって本願発明の第1の目的が
達成される。 (2)本願発明の第2の形態は、電流注入領域と少なく
ともこの両側部にこの電流注入領域に隣接して半導体層
領域を有し、この半導体層領域は塩素を含有し且つ遷移
元素を含有しないすることを特徴とする半導体発光装置
である。本構成によって本願発明の第2の目的が達成さ
れる。 (3)本願発明の第3の形態は、化合物半導体レーザ装
置の形態である。低値を要請される半導体レーザ装置の
形態は、より効果が顕著に奏する形態である。即ち、本
形態は、化合物半導体基板に、第1導電型の第1のクラ
ッド層、活性層、および第2導電型の第2のクラッド領
域を少なくとも有するストライプ構造部、および光帰還
手段を少なくとも有し、且つ前記ストライプ構造部の光
の光軸に沿った両側面の少なくとも一部は半絶縁性の化
合物半導体層で埋め込まれ、この半絶縁性の化合物半導
体層の少なくとも一部が塩素原子を含有し且つ遷移金属
原子を含有しないことを特徴とする半導体レーザ装置で
ある。本構成によって本願発明の第3の目的が達成され
る。前記第2のクラッド領域は前記化合物半導体基板の
一部を用いることも可能である。又、この第2のクラッ
ド領域は前記化合物半導体基板と別異の半導体層を用い
ることが可能であり、より良好な効果を得ることが出来
る。 尚、上記半絶縁性半導体埋込み層がInPであることに
より達成される。これは、実質的なInPを意味し、通
例の不純物を含有することは当然有り得ることである。
又、本発明に係わる半導体装置、半導体発光装置、ある
いは半導体半導体レーザ装置などの構成に際して、結晶
成長用基板は、InP結晶の他、InP材料の成長を可
能ならしめる材料、あるいはInP材料を接着可能な材
料を用い得る。例えば、このような下地材料として、S
i,GaAs,SiO2、InGaAs,GaNなどを
挙げることが出来る。本願発明における化合物半導体と
しては、3―5族化合物半導体が代表的な例である。3
―5族化合物半導体の最も有用な例はAlXGa1-X-YI
nYAs(0≦X≦1、0≦Y≦1)で表わされる。ま
た、上記第4の目的は、上記半導体レーザ装置を集積し
た集積化光素子を製造することにより達成される。ま
た、上記第5の目的は、本発明の半導体レーザ装置ある
いは本発明の集積化光素子を搭載することを特徴とする
光モジュールを製造することにより達成される。また、
上記第6の目的は、上記半導体レーザ装置あるいは上記
集積化光素子を搭載することを特徴とする光応用システ
ムを製造することにより達成される。次いで、本発明の
基本となる絶縁性能力の高い半絶縁性半導体領域の作用
について、その代表例として半導体レーザ装置を用いて
説明する。本発明の半導体レーザ装置は、半絶縁性半導
体を得る為に深いアクセプタとして塩素原子を採用し
た。従来、深いアクセプタとして用いられてきたFeやTi
等のZn拡散を促進する遷移金属不純物を用いないことが
肝要である。尚、通例半絶縁性半導体を得る為に深いア
クセプタとして用いられる遷移元素としては、Fe,T
i,Cr,Coなどを挙げることが出来る。塩素原子は
Zn拡散を促進せず、且つ絶縁性確保に支障がない。従っ
て、半絶縁性半導体層の電流阻止効力が損なわれること
はない。半導体レーザ装置の前記ストライプ領域の両側
部に設ける埋め込み層として最適である。塩素を化合物
半導体層に添加するには、通例の有機金属気相成長法を
用いれば良い。例えば、塩素を化合物半導体層、例えば
InP中に添加するには、例えば有機金属気相成長法を用
いてInP埋込み層を成長させる場合であれば、原料ガス
に塩素を含む原料を添加すれば良い。塩素を含む原料と
して、四塩化炭素、トリクロロエタン、モノクロロエタ
ン、モノクロロメタン、および塩化水素のいずれを用い
た場合でも、塩素ドープ半絶縁性InPが得られた。ま
た、塩素を添加した埋込み成長では、ドライエッチング
法で形成した庇のないメサストライプの側部を平坦に埋
め込むことができる利点がある。庇のないメサストライ
プを平坦に埋め込む方法としては、成長温度を摂氏65
0度以上に高くする方法が一般に用いられているが、こ
の方法は不純物の成長等でレーザ特性に悪影響を及ぼ
す。これに対して、本明細書に開示する成長中に塩素原
子を含むガスを添加すると次の作用効果がある。塩素供
給原料ガスの分解により生じたHClのInPに対する
面方位依存性のあるエッチング作用により、メサストラ
イプ上端に現れる(111)B面での成長停止及び(3
11)B面での速い成長と(100)面での平坦化が起
こる。こうして、メサストライプの形成にドライエッチ
ング法を用いた場合のように埋め込み成長時のマスクに
ひさしがない場合でもマスク上に異常成長を起こさず、
メサストライプの側部を平坦に埋め込むことができる。
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記の通りである。 (1)本願発明の第1の形態は、化合物半導体基材中の
所望領域に、半絶縁性半導体領域を少なくとも有し、こ
の半絶縁性半導体領域は塩素原子を含有し且つ遷移金属
原子を実質的に含有しないことを特徴とする化合物半導
体装置である。本構成によって本願発明の第1の目的が
達成される。 (2)本願発明の第2の形態は、電流注入領域と少なく
ともこの両側部にこの電流注入領域に隣接して半導体層
領域を有し、この半導体層領域は塩素を含有し且つ遷移
元素を含有しないすることを特徴とする半導体発光装置
である。本構成によって本願発明の第2の目的が達成さ
れる。 (3)本願発明の第3の形態は、化合物半導体レーザ装
置の形態である。低値を要請される半導体レーザ装置の
形態は、より効果が顕著に奏する形態である。即ち、本
形態は、化合物半導体基板に、第1導電型の第1のクラ
ッド層、活性層、および第2導電型の第2のクラッド領
域を少なくとも有するストライプ構造部、および光帰還
手段を少なくとも有し、且つ前記ストライプ構造部の光
の光軸に沿った両側面の少なくとも一部は半絶縁性の化
合物半導体層で埋め込まれ、この半絶縁性の化合物半導
体層の少なくとも一部が塩素原子を含有し且つ遷移金属
原子を含有しないことを特徴とする半導体レーザ装置で
ある。本構成によって本願発明の第3の目的が達成され
る。前記第2のクラッド領域は前記化合物半導体基板の
一部を用いることも可能である。又、この第2のクラッ
ド領域は前記化合物半導体基板と別異の半導体層を用い
ることが可能であり、より良好な効果を得ることが出来
る。 尚、上記半絶縁性半導体埋込み層がInPであることに
より達成される。これは、実質的なInPを意味し、通
例の不純物を含有することは当然有り得ることである。
又、本発明に係わる半導体装置、半導体発光装置、ある
いは半導体半導体レーザ装置などの構成に際して、結晶
成長用基板は、InP結晶の他、InP材料の成長を可
能ならしめる材料、あるいはInP材料を接着可能な材
料を用い得る。例えば、このような下地材料として、S
i,GaAs,SiO2、InGaAs,GaNなどを
挙げることが出来る。本願発明における化合物半導体と
しては、3―5族化合物半導体が代表的な例である。3
―5族化合物半導体の最も有用な例はAlXGa1-X-YI
nYAs(0≦X≦1、0≦Y≦1)で表わされる。ま
た、上記第4の目的は、上記半導体レーザ装置を集積し
た集積化光素子を製造することにより達成される。ま
た、上記第5の目的は、本発明の半導体レーザ装置ある
いは本発明の集積化光素子を搭載することを特徴とする
光モジュールを製造することにより達成される。また、
上記第6の目的は、上記半導体レーザ装置あるいは上記
集積化光素子を搭載することを特徴とする光応用システ
ムを製造することにより達成される。次いで、本発明の
基本となる絶縁性能力の高い半絶縁性半導体領域の作用
について、その代表例として半導体レーザ装置を用いて
説明する。本発明の半導体レーザ装置は、半絶縁性半導
体を得る為に深いアクセプタとして塩素原子を採用し
た。従来、深いアクセプタとして用いられてきたFeやTi
等のZn拡散を促進する遷移金属不純物を用いないことが
肝要である。尚、通例半絶縁性半導体を得る為に深いア
クセプタとして用いられる遷移元素としては、Fe,T
i,Cr,Coなどを挙げることが出来る。塩素原子は
Zn拡散を促進せず、且つ絶縁性確保に支障がない。従っ
て、半絶縁性半導体層の電流阻止効力が損なわれること
はない。半導体レーザ装置の前記ストライプ領域の両側
部に設ける埋め込み層として最適である。塩素を化合物
半導体層に添加するには、通例の有機金属気相成長法を
用いれば良い。例えば、塩素を化合物半導体層、例えば
InP中に添加するには、例えば有機金属気相成長法を用
いてInP埋込み層を成長させる場合であれば、原料ガス
に塩素を含む原料を添加すれば良い。塩素を含む原料と
して、四塩化炭素、トリクロロエタン、モノクロロエタ
ン、モノクロロメタン、および塩化水素のいずれを用い
た場合でも、塩素ドープ半絶縁性InPが得られた。ま
た、塩素を添加した埋込み成長では、ドライエッチング
法で形成した庇のないメサストライプの側部を平坦に埋
め込むことができる利点がある。庇のないメサストライ
プを平坦に埋め込む方法としては、成長温度を摂氏65
0度以上に高くする方法が一般に用いられているが、こ
の方法は不純物の成長等でレーザ特性に悪影響を及ぼ
す。これに対して、本明細書に開示する成長中に塩素原
子を含むガスを添加すると次の作用効果がある。塩素供
給原料ガスの分解により生じたHClのInPに対する
面方位依存性のあるエッチング作用により、メサストラ
イプ上端に現れる(111)B面での成長停止及び(3
11)B面での速い成長と(100)面での平坦化が起
こる。こうして、メサストライプの形成にドライエッチ
ング法を用いた場合のように埋め込み成長時のマスクに
ひさしがない場合でもマスク上に異常成長を起こさず、
メサストライプの側部を平坦に埋め込むことができる。
【発明の実施の形態】前記の本発明の第1の目的は、半
導体基板上に、第一の導電型のクラッド層、活性層、及
び第二の導電型のクラッド層が順次積層されたメサスト
ライプ構造を有し、該メサストライプ構造の両側面に接
して形成された半絶縁性半導体埋込み層を有する半導体
レーザにおいて、上記半絶縁性半導体埋込み層が、塩素
原子を含有し且つ遷移金属原子を含有しないInPを用
いることにより達成される。また、上記半絶縁性半導体
埋込み層がInPであることにより達成される。図2にI
nPの比抵抗の塩素濃度依存性を示す。塩素濃度1×1
017atom/cm3以上で比抵抗が大きく上昇する。
この観点より、上述の半絶縁性半導体材料への塩素は、
1×1017atom/cm3以上を用いる。更には、3
×1017atom/cm3〜6×1017atom/cm3
が好ましい。3×1017atom/cm3以上では108
Ωcm以上の十分な絶縁性が得られる。一方、3×10
17atom/cm3以上になると材料の比抵抗自体はほ
とんど変化せず、製造方法として大きな利点はない。か
えって、塩素添加を行なおうとするに難点が発生し勝ち
となる。即ち、大量の塩素導入の為、塩素ガス供給量を
増量すると、成長中のHClによるエッチング効果によ
る成長速度が遅くなる傾向を生む。ここで特に重要なこ
とは、上記塩素を含有する半絶縁性半導体埋込み層に、
遷移元素、例えばFe、Tiなどの元素を実質的に含有
しないことである。なお、本明細書における遷移金属の
定義としては、原子番号21から29まで、39から4
7まで、57から79まで、89から111までの4つ
の系列である。また、上記第一の導電型がp型であり、
且つその導電型不純物がZnであることにより達成され
る。また、上記第二の導電型がp型であり、且つその導
電型不純物がZnであることにより達成される。尚、上
述の半絶縁性半導体埋込み層以外に、半導体レーザ装置
を構成する為の構成要素は、一般的な半導体レーザ装置
のそれに従って良い。例えば、発光に寄与する活性層領
域は、単一量子井戸層を設けた単一量子井戸構造、量子
井戸層と量子障壁層を繰り返し設けた多重量子井戸構
造、歪単一量子井戸構造、歪多重量子井戸構造、歪補償
単一量子井戸構造、歪補償多重量子井戸構造、あるいは
バルク状構造などを要求に応じて用いることが出来る。
尚、このいずれ構造の場合も、いわゆる光分離閉じ込め
層を量子井戸構造を挟んで設けることは任意である。歪
補償量子井戸構造とは次のごときものである。即ち、量
子井戸層、及び隣接する光分離閉じ込め層の一部または
この量子障壁層に格子歪を導入し、この量子井戸層に導
入した格子歪とは反対符号の格子歪を隣接する光分離閉
じ込め層の一部またはこの量子障壁層に設定しておくこ
とにより、該単一または多重量子井戸構造全体において
格子歪量が補償されている歪補償量子井戸構造を用い得
る。半導体レーザ装置とする場合の共振器長および共振
器の幅としては通例の知識に従って良い。また、レーザ
共振器の帰還手段も、一般的なファブリ・ペロー共振器
(Fabry-Perot resonator)で十分である。また、DF
B(Distributed Feedback),DBR(Distributed Br
agg Reflector)の各手段を必要に応じて用いることが
出来ることはいうまでもない。また、発光端面の保護の
一般的な各種手段も適用できることはいうまでもない。
実施例1 本発明の第1の実施例を図3を用いて詳細に説明する。
図3は本実施例の各製造工程を順次示した装置の断面図
である。各図は光の進行方向に垂直な断面図である。n
型InP基板1上に通例の有機金属気相成長法により、
n型InPバッファ層(厚さ0.3ミクロン)8、アン
ドープ多重量子井戸活性層2、p型InPクラッド層
(厚さ2.0ミクロン)3、p型InGaAsキャップ
層(厚さ0.2ミクロン)4を順次形成した。多重量子
井戸活性層2は、InGaAs井戸層(厚さ60nm)
5層を、InGaAsP障壁層(厚さ100nm、組成
波長1.15ミクロン)6層で挟んだものである。これ
らの各結晶層の結晶成長後、通常の熱CVD法とリソグ
ラフィ技術を用いてSiO2ストライプ(厚さ0.3ミク
ロン、幅1.5ミクロン)9を形成した(図3
(a))。このSiO2ストライプ9をマスクとしてメ
タンと水素の混合ガスの反応性イオンエッチングで3ミ
クロンの段差を形成した。エッチング深さは多重量子井
戸活性層2より深くまでエッチングすることを目的とし
て設定した(図3(b))。その後、酸素プラズマアッ
シングによりエッチング中にSiO2ストライプ9上に
堆積したポリマーを除去し、有機金属気相成長炉内に搬
入した。次に炉内を70Torr程度の減圧にし、成長
温度500℃にてフォスフィンガス、トリメチルインジ
ウム、およびモノクロロメタンを導入して塩素ドープ半
絶縁性InP電流狭窄層(成長厚さ3ミクロン)10を
成長した(図3(c))。塩素ドープ半絶縁性InP電
流狭窄層10中の塩素濃度は2×1017/cm3であ
り、比抵抗は2×108Ωcmであった。埋込み層中に
Fe等のZn拡散を促進する原子が含まれていないこと
を反映して、Znの埋込み層中への拡散長は0.1ミク
ロンと十分小さいものであった。InPのような化合物
半導体はSiO2ストライプ上には成長しないので、I
nP層により半導体露出面が選択的に埋め込まれる。但
し、SiO2ストライプ上にアモルファスまたは多結晶
状に半導体が析出することがあるが、本実施例のごとく
モノクロロメタンを添加することにより、そのような析
出を抑制することができ、また埋込み表面を平坦にする
ことができる。埋込み成長後、SiO2ストライプ9を
希フッ酸で除去し、上部電極6を形成し、基板裏面を研
磨により薄くした後、裏面に下部電極7を形成した。最
後に分割、壁開することにより、発光波長1.55ミク
ロンの半導体レーザを作製した(図3(d))。作製し
たレーザ素子は、次のような良好な特性を示した。 (1)室温、連続条件においてしきい値電流7mA、発
振効率0.5W/Aと低しきい値で且つ高効率な特性が
得られた。これは、Znの拡散による電流狭窄効果の低
下がないことに起因する。尚、従来のFeドープの特性
はしきい値電流12mA程度である。 (2)雰囲気温度50℃で、5mWでの一定光出力通電
試験を行った結果、推定寿命として20万時間の高信頼
特性にして長寿命が得られた。本発明では、寿命は従来
のFeドープ埋め込みレーザ装置の2倍程度を確保する
ことが出来る。これは、Znの拡散に伴う直列抵抗の増
加がない為、素子温度上昇が少ないことに起因する。こ
のことは、キャビティ長400μmの半導体レーザ装置
における素子抵抗を見ると、本発明のそれは5Ω程度
と、従来の10Ω程度より格段に低いことが要因であ
る。 (3)Zn拡散による活性層脇の寄生容量の増大がない
ことを反映して、従来方法で作製した素子に比較して、
応答特性に大きな改善が見られた。 本実施例では本発明を1.55μm帯の半導体レーザに
適用した場合について述べたが、1.3μm帯や他の波
長帯の半導体レーザにも適用可能である。また、本実施
例では塩素添加の原料として、モノクロロメタンを用い
た場合について述べたが、四塩化炭素、トリクロロエタ
ン、モノクロロエタン、および塩化水素を用いた場合で
も同様の効果が確認された。また、本発明の実施例で
は、n型基板上に形成した半導体レーザ装置について説
明したが、p型基板上に形成した半導体レーザ装置の場
合にも同様の効果があることは言うまでもない。また、
本発明は単体の半導体レーザ装置のみならず、光変調器
と半導体レーザ装置をモノリシック集積した光変調器集
積半導体レーザ装置や、導波路レンズと半導体レーザ装
置を集積したビーム拡大器集積半導体レーザ装置等の集
積化光素子に適用した場合にも同様の効果があることは
いうまでもない。特に電界吸収型光変調器集積半導体レ
ーザ装置に本発明を適用した場合には、活性層に隣接し
た寄生容量が増大しない。この為、変調帯域を大きく増
大することができ、3dB変調帯域は、従来のFeドー
プ埋め込み型素子の10GHzから20GHzに大きく
改善することができた。 実施例2 実施例2に光送信モジュールの例を説明する。図4はこ
の光送信モジュールの構造図で、半導体レーザ装置を搭
載した領域はその上部からみた平面を示している。本光
送信モジュールは、半導体レーザ装置11をヒートシン
ク12上に実装した後、光学レンズ13、後端面光出力
モニタ用のフォトダイオード14と光ファイバ15とを
通例の方法によって一体化している。半導体レーザ装置
11は実施例1に説明した構造のものを用いた。室温、
連続条件においてしきい値電流10mA、発振効率0.
20W/Aであった。また、ドーパント拡散の少ない素
子構造を反映して、85℃の高温においてもしきい値電
流25mA、発振効率0.13W/Aと良好な発振特性
を得た。 実施例3 本例は幹線系光通信システムの例である。図5は実施例
2の送信モジュール16を用いた幹線系光通信システム
構成例である。送信装置17は送信モジュール16とこ
のモジュールを駆動するための駆動系18とを有する。
送信モジュール16からの光信号が光ファイバ19を通
って受信装置内20の受光部21で検出される。本実施
例に係る光通信システムによれば100km以上の無中
継光伝送が容易に実現できる。これはチャーピングが著
しく低減される結果、ファイバの分散による信号劣化が
やはり著しく低減されることに基づくものである。 実施例4 図6はInP系HBTの断面図である。図7はこの装置
の上面図である。図7は主に電極の配置を示している。
まず、所定の基板上にInP系材料にて、サブ・コレク
タ層31、コレクタ層32を結晶成長する。尚、図6で
は装置の完成図を示しているので、結晶成長用基板は省
略されている。このコレクタ層上に、例えばSiN膜を
形成し、真性コレクタ領域に対応して、マスクをパター
ンニングする。このマスクを用いて外部コレクタ領域と
なる領域をエッチング除去する。次いで、このマスクの
SiN層を除去し、この上部にベース層33、エミッタ
層34を所定形状に結晶成長する。そして、エッミタ電
極36、コレクタ電極38、ベース電極37が形成さ
れ、InP系HBTが完成される。前記外部コレクタ領
域に有機金属気相成長法(MOCVD法)によってIn
Pになる外部コレクタ層を形成する。本発明において
は、この外部コレクタ領域に塩素元素を含有し且つ遷移
金属元素を含有しないInPを適用するものである。こ
の適用によって従来にもまして外部コレクタの高抵抗性
が実現される。 このInP系HBTの基本形は、例え
ば、96年春季応用物理学界講演会予稿集、電子デバイ
ス28p―M−14の「MOCVDにより選択再成長技
術を用いたInP系HBT」の報告にみられる。尚、こ
の文献では外部コレクタ領域にFe−InPを用いてい
る。尚、本実施例では、HBTの例を示したが、本発明
は、その他の化合物半導体装置、例えば、ショットキ−
接合を有した高抵抗部を必要とする化合物半導FET
(電界効果型トランジスタ)に適用可能なことはいうま
でもない。
導体基板上に、第一の導電型のクラッド層、活性層、及
び第二の導電型のクラッド層が順次積層されたメサスト
ライプ構造を有し、該メサストライプ構造の両側面に接
して形成された半絶縁性半導体埋込み層を有する半導体
レーザにおいて、上記半絶縁性半導体埋込み層が、塩素
原子を含有し且つ遷移金属原子を含有しないInPを用
いることにより達成される。また、上記半絶縁性半導体
埋込み層がInPであることにより達成される。図2にI
nPの比抵抗の塩素濃度依存性を示す。塩素濃度1×1
017atom/cm3以上で比抵抗が大きく上昇する。
この観点より、上述の半絶縁性半導体材料への塩素は、
1×1017atom/cm3以上を用いる。更には、3
×1017atom/cm3〜6×1017atom/cm3
が好ましい。3×1017atom/cm3以上では108
Ωcm以上の十分な絶縁性が得られる。一方、3×10
17atom/cm3以上になると材料の比抵抗自体はほ
とんど変化せず、製造方法として大きな利点はない。か
えって、塩素添加を行なおうとするに難点が発生し勝ち
となる。即ち、大量の塩素導入の為、塩素ガス供給量を
増量すると、成長中のHClによるエッチング効果によ
る成長速度が遅くなる傾向を生む。ここで特に重要なこ
とは、上記塩素を含有する半絶縁性半導体埋込み層に、
遷移元素、例えばFe、Tiなどの元素を実質的に含有
しないことである。なお、本明細書における遷移金属の
定義としては、原子番号21から29まで、39から4
7まで、57から79まで、89から111までの4つ
の系列である。また、上記第一の導電型がp型であり、
且つその導電型不純物がZnであることにより達成され
る。また、上記第二の導電型がp型であり、且つその導
電型不純物がZnであることにより達成される。尚、上
述の半絶縁性半導体埋込み層以外に、半導体レーザ装置
を構成する為の構成要素は、一般的な半導体レーザ装置
のそれに従って良い。例えば、発光に寄与する活性層領
域は、単一量子井戸層を設けた単一量子井戸構造、量子
井戸層と量子障壁層を繰り返し設けた多重量子井戸構
造、歪単一量子井戸構造、歪多重量子井戸構造、歪補償
単一量子井戸構造、歪補償多重量子井戸構造、あるいは
バルク状構造などを要求に応じて用いることが出来る。
尚、このいずれ構造の場合も、いわゆる光分離閉じ込め
層を量子井戸構造を挟んで設けることは任意である。歪
補償量子井戸構造とは次のごときものである。即ち、量
子井戸層、及び隣接する光分離閉じ込め層の一部または
この量子障壁層に格子歪を導入し、この量子井戸層に導
入した格子歪とは反対符号の格子歪を隣接する光分離閉
じ込め層の一部またはこの量子障壁層に設定しておくこ
とにより、該単一または多重量子井戸構造全体において
格子歪量が補償されている歪補償量子井戸構造を用い得
る。半導体レーザ装置とする場合の共振器長および共振
器の幅としては通例の知識に従って良い。また、レーザ
共振器の帰還手段も、一般的なファブリ・ペロー共振器
(Fabry-Perot resonator)で十分である。また、DF
B(Distributed Feedback),DBR(Distributed Br
agg Reflector)の各手段を必要に応じて用いることが
出来ることはいうまでもない。また、発光端面の保護の
一般的な各種手段も適用できることはいうまでもない。
実施例1 本発明の第1の実施例を図3を用いて詳細に説明する。
図3は本実施例の各製造工程を順次示した装置の断面図
である。各図は光の進行方向に垂直な断面図である。n
型InP基板1上に通例の有機金属気相成長法により、
n型InPバッファ層(厚さ0.3ミクロン)8、アン
ドープ多重量子井戸活性層2、p型InPクラッド層
(厚さ2.0ミクロン)3、p型InGaAsキャップ
層(厚さ0.2ミクロン)4を順次形成した。多重量子
井戸活性層2は、InGaAs井戸層(厚さ60nm)
5層を、InGaAsP障壁層(厚さ100nm、組成
波長1.15ミクロン)6層で挟んだものである。これ
らの各結晶層の結晶成長後、通常の熱CVD法とリソグ
ラフィ技術を用いてSiO2ストライプ(厚さ0.3ミク
ロン、幅1.5ミクロン)9を形成した(図3
(a))。このSiO2ストライプ9をマスクとしてメ
タンと水素の混合ガスの反応性イオンエッチングで3ミ
クロンの段差を形成した。エッチング深さは多重量子井
戸活性層2より深くまでエッチングすることを目的とし
て設定した(図3(b))。その後、酸素プラズマアッ
シングによりエッチング中にSiO2ストライプ9上に
堆積したポリマーを除去し、有機金属気相成長炉内に搬
入した。次に炉内を70Torr程度の減圧にし、成長
温度500℃にてフォスフィンガス、トリメチルインジ
ウム、およびモノクロロメタンを導入して塩素ドープ半
絶縁性InP電流狭窄層(成長厚さ3ミクロン)10を
成長した(図3(c))。塩素ドープ半絶縁性InP電
流狭窄層10中の塩素濃度は2×1017/cm3であ
り、比抵抗は2×108Ωcmであった。埋込み層中に
Fe等のZn拡散を促進する原子が含まれていないこと
を反映して、Znの埋込み層中への拡散長は0.1ミク
ロンと十分小さいものであった。InPのような化合物
半導体はSiO2ストライプ上には成長しないので、I
nP層により半導体露出面が選択的に埋め込まれる。但
し、SiO2ストライプ上にアモルファスまたは多結晶
状に半導体が析出することがあるが、本実施例のごとく
モノクロロメタンを添加することにより、そのような析
出を抑制することができ、また埋込み表面を平坦にする
ことができる。埋込み成長後、SiO2ストライプ9を
希フッ酸で除去し、上部電極6を形成し、基板裏面を研
磨により薄くした後、裏面に下部電極7を形成した。最
後に分割、壁開することにより、発光波長1.55ミク
ロンの半導体レーザを作製した(図3(d))。作製し
たレーザ素子は、次のような良好な特性を示した。 (1)室温、連続条件においてしきい値電流7mA、発
振効率0.5W/Aと低しきい値で且つ高効率な特性が
得られた。これは、Znの拡散による電流狭窄効果の低
下がないことに起因する。尚、従来のFeドープの特性
はしきい値電流12mA程度である。 (2)雰囲気温度50℃で、5mWでの一定光出力通電
試験を行った結果、推定寿命として20万時間の高信頼
特性にして長寿命が得られた。本発明では、寿命は従来
のFeドープ埋め込みレーザ装置の2倍程度を確保する
ことが出来る。これは、Znの拡散に伴う直列抵抗の増
加がない為、素子温度上昇が少ないことに起因する。こ
のことは、キャビティ長400μmの半導体レーザ装置
における素子抵抗を見ると、本発明のそれは5Ω程度
と、従来の10Ω程度より格段に低いことが要因であ
る。 (3)Zn拡散による活性層脇の寄生容量の増大がない
ことを反映して、従来方法で作製した素子に比較して、
応答特性に大きな改善が見られた。 本実施例では本発明を1.55μm帯の半導体レーザに
適用した場合について述べたが、1.3μm帯や他の波
長帯の半導体レーザにも適用可能である。また、本実施
例では塩素添加の原料として、モノクロロメタンを用い
た場合について述べたが、四塩化炭素、トリクロロエタ
ン、モノクロロエタン、および塩化水素を用いた場合で
も同様の効果が確認された。また、本発明の実施例で
は、n型基板上に形成した半導体レーザ装置について説
明したが、p型基板上に形成した半導体レーザ装置の場
合にも同様の効果があることは言うまでもない。また、
本発明は単体の半導体レーザ装置のみならず、光変調器
と半導体レーザ装置をモノリシック集積した光変調器集
積半導体レーザ装置や、導波路レンズと半導体レーザ装
置を集積したビーム拡大器集積半導体レーザ装置等の集
積化光素子に適用した場合にも同様の効果があることは
いうまでもない。特に電界吸収型光変調器集積半導体レ
ーザ装置に本発明を適用した場合には、活性層に隣接し
た寄生容量が増大しない。この為、変調帯域を大きく増
大することができ、3dB変調帯域は、従来のFeドー
プ埋め込み型素子の10GHzから20GHzに大きく
改善することができた。 実施例2 実施例2に光送信モジュールの例を説明する。図4はこ
の光送信モジュールの構造図で、半導体レーザ装置を搭
載した領域はその上部からみた平面を示している。本光
送信モジュールは、半導体レーザ装置11をヒートシン
ク12上に実装した後、光学レンズ13、後端面光出力
モニタ用のフォトダイオード14と光ファイバ15とを
通例の方法によって一体化している。半導体レーザ装置
11は実施例1に説明した構造のものを用いた。室温、
連続条件においてしきい値電流10mA、発振効率0.
20W/Aであった。また、ドーパント拡散の少ない素
子構造を反映して、85℃の高温においてもしきい値電
流25mA、発振効率0.13W/Aと良好な発振特性
を得た。 実施例3 本例は幹線系光通信システムの例である。図5は実施例
2の送信モジュール16を用いた幹線系光通信システム
構成例である。送信装置17は送信モジュール16とこ
のモジュールを駆動するための駆動系18とを有する。
送信モジュール16からの光信号が光ファイバ19を通
って受信装置内20の受光部21で検出される。本実施
例に係る光通信システムによれば100km以上の無中
継光伝送が容易に実現できる。これはチャーピングが著
しく低減される結果、ファイバの分散による信号劣化が
やはり著しく低減されることに基づくものである。 実施例4 図6はInP系HBTの断面図である。図7はこの装置
の上面図である。図7は主に電極の配置を示している。
まず、所定の基板上にInP系材料にて、サブ・コレク
タ層31、コレクタ層32を結晶成長する。尚、図6で
は装置の完成図を示しているので、結晶成長用基板は省
略されている。このコレクタ層上に、例えばSiN膜を
形成し、真性コレクタ領域に対応して、マスクをパター
ンニングする。このマスクを用いて外部コレクタ領域と
なる領域をエッチング除去する。次いで、このマスクの
SiN層を除去し、この上部にベース層33、エミッタ
層34を所定形状に結晶成長する。そして、エッミタ電
極36、コレクタ電極38、ベース電極37が形成さ
れ、InP系HBTが完成される。前記外部コレクタ領
域に有機金属気相成長法(MOCVD法)によってIn
Pになる外部コレクタ層を形成する。本発明において
は、この外部コレクタ領域に塩素元素を含有し且つ遷移
金属元素を含有しないInPを適用するものである。こ
の適用によって従来にもまして外部コレクタの高抵抗性
が実現される。 このInP系HBTの基本形は、例え
ば、96年春季応用物理学界講演会予稿集、電子デバイ
ス28p―M−14の「MOCVDにより選択再成長技
術を用いたInP系HBT」の報告にみられる。尚、こ
の文献では外部コレクタ領域にFe−InPを用いてい
る。尚、本実施例では、HBTの例を示したが、本発明
は、その他の化合物半導体装置、例えば、ショットキ−
接合を有した高抵抗部を必要とする化合物半導FET
(電界効果型トランジスタ)に適用可能なことはいうま
でもない。
【発明の効果】本発明によれば絶縁性確保に好適な半絶
縁性半導体領域を提供出来る。ドーパントの拡散に起因
する絶縁性低下を引き起こさない。本発明によれば低し
きい値電流なる半導体レーザ装置を提供することが出来
る。 本発明によればリーク電流の小さな半導体発光装
置を提供することが出来る。 本発明によれば低駆動電
流なる光集積回路装置を提供することが出来る。本発明
によれば低駆動電流なる光モジュールを提供することが
出来る。本発明によれば低動作電流なる光応用システム
を提供することが出来る。
縁性半導体領域を提供出来る。ドーパントの拡散に起因
する絶縁性低下を引き起こさない。本発明によれば低し
きい値電流なる半導体レーザ装置を提供することが出来
る。 本発明によればリーク電流の小さな半導体発光装
置を提供することが出来る。 本発明によれば低駆動電
流なる光集積回路装置を提供することが出来る。本発明
によれば低駆動電流なる光モジュールを提供することが
出来る。本発明によれば低動作電流なる光応用システム
を提供することが出来る。
【図1】従来技術を説明する半導体レーザ装置の光の進
行方向に垂直な断面図である。
行方向に垂直な断面図である。
【図2】図2はInP比抵抗の塩素濃度依存性をしめす
図である。
図である。
【図3】図3は本発明の実施例を説明する製造工程順に
示した半導体レーザ装置の断面図である。
示した半導体レーザ装置の断面図である。
【図4】本発明の光送信モジュールの例を説明する図で
ある。
ある。
【図5】本発明の幹線系光通信システムの例を説明する
図である。
図である。
【図6】本発明のInP系HBTの断面図である。
【図7】図6のInP系HBTの上面図である。
1…n型InP半導体基板、2…活性層、3…p型In
Pクラッド層、4…p型InGaAsキャップ層、5…
Feドープ半絶縁性InP電流狭窄層、6…上部電極、
7…下部電極、8…n型InPバッファ層、9…SiO
2ストライプ、10…塩素ドープ半絶縁性InP電流狭
窄層、11…半導体レーザ、12…ヒートシンク、13
…光学レンズ、14…フォトダイオード、15…光ファ
イバ、16…送信モジュール、17…送信装置、18…
駆動系、19…光ファイバ、20…受信装置、21…受
光部、31…サブ・コレクタ層、32…コレクタ層、3
3ベース層、34…エミッタ層、35…外部コレクタ
層、36…エミッタ電極、37…ベース電極、38…コ
レクタ電極。
Pクラッド層、4…p型InGaAsキャップ層、5…
Feドープ半絶縁性InP電流狭窄層、6…上部電極、
7…下部電極、8…n型InPバッファ層、9…SiO
2ストライプ、10…塩素ドープ半絶縁性InP電流狭
窄層、11…半導体レーザ、12…ヒートシンク、13
…光学レンズ、14…フォトダイオード、15…光ファ
イバ、16…送信モジュール、17…送信装置、18…
駆動系、19…光ファイバ、20…受信装置、21…受
光部、31…サブ・コレクタ層、32…コレクタ層、3
3ベース層、34…エミッタ層、35…外部コレクタ
層、36…エミッタ電極、37…ベース電極、38…コ
レクタ電極。
Claims (9)
- 【請求項1】 電流注入領域と電極とを少なくとも有す
る半導体装置であって、前記電流注入領域に隣接して半
導体層領域を有し、この半導体層領域は塩素を含有し且
つ遷移元素を含有しないすることを特徴とする半導体装
置。 - 【請求項2】 電流注入領域と少なくともこの両側部に
この電流注入領域に隣接して半導体層領域を有し、この
半導体層領域は塩素を含有し且つ遷移元素を含有しない
することを特徴とする半導体発光装置。 - 【請求項3】 第1の導電型のクラッド層、活性層、及
び第2の導電型のクラッド領域を少なくとも有するメサ
ストライプ構造と、このメサストライプ構造のレーザ光
の光軸に添った両側面側に形成された半絶縁性半導体埋
込み層を有する半導体レーザ装置において、前記半絶縁
性半導体埋込み層が塩素原子を含有し且つ遷移金属原子
を含有しないことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 【請求項4】 前記半絶縁性半導体埋込み層がInP系
材料なることを特徴とする請求項3に記載の半導体レー
ザ装置。 - 【請求項5】 前記第2の導電型のクラッド領域は結晶
成長用半導体基板と別体の半導体層なることを特徴とす
る請求項3および請求項4に記載の半導体レーザ装置。 - 【請求項6】 前記第1の導電型がp型であり、且つそ
の導電型不純物がZnであることを特徴とする請求項3よ
り請求項5に記載の半導体レーザ装置。 - 【請求項7】 請求項3より請求項6に記載の半導体レ
ーザ装置を構成要素に含むことを特徴とする集積化半導
体光素子。 - 【請求項8】 請求項3より請求項6に記載の半導体レ
ーザ装置あるいは請求項7記載の集積化半導体光素子を
搭載したことを特徴とする光モジュール。 - 【請求項9】 請求項3より請求項6に記載の半導体レ
ーザ装置、集積化光素子、あるいは光モジュールを搭載
したことを特徴とする光システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35783397A JPH11186666A (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 半導体装置、半導体発光装置、半導体レーザ装置、光モジュールおよび光システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35783397A JPH11186666A (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 半導体装置、半導体発光装置、半導体レーザ装置、光モジュールおよび光システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11186666A true JPH11186666A (ja) | 1999-07-09 |
Family
ID=18456167
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35783397A Pending JPH11186666A (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 半導体装置、半導体発光装置、半導体レーザ装置、光モジュールおよび光システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11186666A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7860140B2 (en) | 2008-06-30 | 2010-12-28 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Light-emitting device with double intermediate layers between mesa stripe and iron-doped current blocking layer |
US11961948B2 (en) | 2019-09-13 | 2024-04-16 | Sumitomo Electric Device Innovations, Inc. | Optical semiconductor device |
-
1997
- 1997-12-25 JP JP35783397A patent/JPH11186666A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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