JPH11185681A - 熱拡散補給型電子源,電子線発生方法および電子線応用装置 - Google Patents

熱拡散補給型電子源,電子線発生方法および電子線応用装置

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JPH11185681A
JPH11185681A JP35567297A JP35567297A JPH11185681A JP H11185681 A JPH11185681 A JP H11185681A JP 35567297 A JP35567297 A JP 35567297A JP 35567297 A JP35567297 A JP 35567297A JP H11185681 A JPH11185681 A JP H11185681A
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JP
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needle
electrode
electron
source
heating
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JP35567297A
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English (en)
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Taku Oshima
卓 大嶋
Hidetoshi Nishiyama
英利 西山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単色性の強い拡散補給型電子源を得る。 【解決手段】針状電極をタングステンより低融点の材
料、或いは共有結合性結晶で形成し、その材料の融点を
Tm K(ケルビン)とした場合、針状電極動作時の加熱温度
を、それぞれ、0.4Tm〜0.6Tm Kあるいは0.5Tm〜0.7Tmと
することにより、低温でも安定な低仕事関数拡散材料の
補給を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子線源に係わり,
特に,エネルギ―の揃った電子放出をする、即ち単色性
が強く、かつ輝度の高い、電子顕微鏡などに好適な電子
源、及びこれを用いた電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡などの電子線応用機器におい
て、高輝度で安定な電子線を得る電子源として拡散補給
型電子源が用いられている。この拡散補給型電子源にお
いては,例えば、特開平2-27643号公報に記載されてい
るように、先端を針状に尖らせたタングステン(W)単
結晶ワイヤを電子放出体とし、この根本にZrO2の様な拡
散源となる材料を付着させ,千数百Kに加熱し,W表面
に拡散させ,針先端の(100)面にZr/O/W構造を形成して
低仕事関数化し,ここのみから電子放出させていた。こ
の場合,拡散原子の影響によりW単結晶先端は図2(a)
の様に(100)面のみが安定化した構造となっているた
め、電子放出範囲が狭く、輝度が高いという特徴があ
る。さらに、この(100)面上に吸着したZr/Oは,ほぼ1
分子層程度で安定しており,表面原子がイオン衝撃や蒸
発で失われても、拡散により常に一定量となる様に補給
される結果,長期間にわたり低ノイズでかつドリフトも
少ないという特徴がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ZrO2を用いた拡散補給
型電子源は、放出される電子線のエネルギー幅が最小で
も0.4eV程度あり、W(310)冷陰極電子源に比べて放出す
る電子のエネルギー幅が広く、電子線装置として用いる
場合に色収差が大きくなるという欠点があった。これ
は、ショットキー電子源では,熱電子放出が支配的とな
るためである。これを解決するには動作温度を下げる事
が有効であり,それに伴い上記拡散源材料は低仕事関数
のものを用いる必要がある。たとえば、Zrの代わりにSc
を用いると動作温度が1800Kから1500K程度に下げること
ができ、この結果、放出電子のエネルギー幅を0.3eV程
度に狭くできる。
【0004】しかし、この場合、動作温度を低温化した
ために電子放出体へ拡散材料が十分に供給されず、放出
電子線量が不安定になるという問題があった。また電子
を放出する(100)面も大きくなり、輝度が下がるという
問題もあった。
【0005】これらの原因は主として針母材であるWの
表面拡散が低温では不活発になる事にある。この事は針
先端の形状に顕著に現れてくる。W単結晶の針を、真空
中で表面原子が動ける程度の高温に保つと、図2(b)に示
されているように、低指数面で構成された多面体状の構
造が形成される。この表面に1800KでZrとOを拡散させる
と図2(a)のように面方位依存性が減り、W表面原子が再
移動し球状に近づく。しかし、より低温で拡散するScと
Oを用い、加熱温度を下げると、表面のW原子の拡散が
少なくなり、図2(b)のような多面体に近い形状に保たれ
る。この場合、電子放出面からSc, Oが蒸発などで失わ
れても拡散による供給が少ないため、長期にわたる安定
な電子放出は得られない。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決し、低温
で安定に動作する単色性が強く、輝度の高い電子源を得
るには、電子放出体として、所望の動作温度でも表面原
子の拡散が活発な材料を選べばよい。
【0007】金属や半導体などの単結晶は真空中で加熱
していくと材料により特定の温度T1から表面原子やス
テップの運動が活発となる。一方、温度が表面の融点T
2を越えると、殆どの表面原子が結晶の格子位置からの
束縛を離れて動き回るため、針先端の形状が保てなくな
る。これらのことに注目することにより、針状電極の最
適動作温度領域(T1−T2)を、バルクの融点に関連
付けて決定することが出来る。
【0008】すなわち、針状電極をタングステンより低
融点の材料で形成し、この材料の融点をTm K(ケルビン)
とした場合、針状電極動作時の針状電極加熱温度を0.4T
m〜0.6Tm Kとする。また、針状電極材料として、Si, Ge
等の共有結合性結晶を用いた場合は、針状電極動作の加
熱温度を0.5Tm〜0.7Tm Kとする。
【0009】本発明の熱拡散補給型電子源,電子線発生
方法および電子線応用装置は、以下の構成により上記課
題を解決する。
【0010】すなわち、本発明の請求項1に記載の第1
の発明は、先端を針状にした針状電極と,該針状電極を
加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散供
給する補給源とからなる熱拡散補給型電子源において、
前記針状電極はタングステンより低融点の材料からな
り、該材料の融点をTm K(ケルビン)としたとき、前記針
状電極動作時の加熱温度が0.4Tm〜0.6Tm Kであることを
特徴とする熱拡散補給型電子源である。
【0011】また、本発明の請求項2に記載の第2の発
明は、タングステンの融点より低い融点Tmを有する材料
からなり、先端が針状に形成された針状電極と,該針状
電極を加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱
拡散供給する補給源と,中央に開孔を有し、前記針状電
極の先端に対向配置されたアノード電極とを備え、前記
アノード電極には、前記針状電極に対して正となる電圧
を印加し、前記針状電極を0.4Tm〜0.6Tm Kの温度範囲内
に加熱することにより前記針状電極から電子線を取り出
すことを特徴とする電子線発生方法である。
【0012】また、本発明の請求項3に記載の第3の発
明は、タングステンの融点より低い融点Tmを有する材料
からなり、先端が針状に形成された針状電極と,該針状
電極を加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱
拡散供給する補給源と,中央に開孔を有し、前記針状電
極の先端に対向配置されたアノード電極とを備え、前記
アノード電極には、前記針状電極に対して正となる電圧
を印加し、前記針状電極を0.4Tm〜0.6Tm Kの温度範囲内
に加熱することにより前記針状電極から電子線を取り出
し、該電子線を電子レンズにより集束して所定位置に焦
点を結ぶ様構成されてなる電子線応用装置である。
【0013】また、本発明の請求項4に記載の第4の発
明は、前記針状電極が、Pt, Ta, Fe,Coのうち少なくと
も一つの元素を50at%以上含有することを特徴とする請
求項1記載の熱拡散補給型電子源である。
【0014】また、本発明の請求項5に記載の第5の発
明は、先端を針状にした針状電極と,該針状電極を加熱
する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散供給す
る補給源とからなる熱拡散補給型電子源において,前記
針状電極は共有結合性結晶からなり、該共有結合性結晶
の融点をTm K(ケルビン)としたとき、前記針状電極が0.
5Tm〜0.7Tm Kの温度範囲内で加熱されることを特徴とす
る熱拡散補給型電子源である。
【0015】また、本発明の請求項6に記載の第6の発
明は、前記共有結合性結晶が、Si,Geのいずれかである
ことを特徴とする請求項5記載の熱拡散補給型電子源で
ある。 また、本発明の請求項7に記載の第7の発明
は、融点Tmを有する共有結合性結晶からなり、先端が針
状に形成された針状電極と,該針状電極を加熱する発熱
体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散供給する補給源
と,中央に開孔を有し、前記針状電極の先端に対向配置
されたアノード電極とを備え、前記アノード電極には、
前記針状電極に対して正となる電圧を印加し、前記針状
電極を0.5Tm〜0.7TmKの温度範囲内に加熱することによ
り前記針状電極から電子線を取り出すことを特徴とする
電子線発生方法である。
【0016】また、本発明の請求項8に記載の第8の発
明は、融点Tmを有する共有結合性結晶からなり、先端が
針状に形成された針状電極と,該針状電極を加熱する発
熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散供給する補給
源と,中央に開孔を有し、前記針状電極の先端に対向配
置されたアノード電極とを備え、前記アノード電極に
は、前記針状電極に対して正となる電圧を印加し、前記
針状電極を0.5Tm〜0.7Tm Kの温度範囲内に加熱すること
により前記針状電極から電子線を取り出し、該電子線を
電子レンズにより集束して所定位置に焦点を結ぶ様構成
されてなる電子線応用装置である。
【0017】また、本発明の請求項9に記載の第9の発
明は、前記針状電極の先端が単結晶からなり、電子放出
を低指数方位とすることを特徴とする請求項1,4また
は5記載の熱拡散補給型電子源である。
【0018】また、本発明の請求項10に記載の第10
の発明は、前記低指数方位が<100>,<110> もしくは<111
>であることを特徴とする請求項9記載の熱拡散補給型
電子源である。
【0019】また、本発明の請求項11に記載の第11
の発明は、前記補給源がLi, Na, K,Rb, Cs等のアルカリ
金属あるいはBe, Mg, Ca, Sr, Ba等のアルカリ土類金属
のうち少なくとも1つの酸化物を1モル%以上含むこと
を特徴とする請求項1,4,5または9に記載の熱拡散
補給型電子源である。
【0020】また、本発明の請求項12に記載の第12
の発明は、前記補給源がLi, Na, K,Rb, Cs等のアルカリ
金属あるいはBe, Mg,Ca, Sr, Ba等のアルカリ土類金属
のうち少なくとも1つの硫化物を1モル%以上含むこと
を特徴とする請求項1,4,5または9記載の熱拡散補
給型電子源である。
【0021】また、本発明の請求項13に記載の第13
の発明は、前記補給源がCuOあるいはSc, Y, La, Gdの酸
化物或いは硫化物のうち少なくとも一つを1モル%以上
含むことを特徴とする請求項1,4,5または9記載の
熱拡散補給型電子源である。 また、本発明の請求項1
4に記載の第14の発明は、前記針状電極と,前記発熱
体と,前記補給源とを同一基板状に形成したことを特徴
とする請求項1,4,5,9,11,12または13記
載の熱拡散補給型電子源である。
【0022】また、本発明の請求項15に記載の第15
の発明は、基板上に、先端が針状のコーン形状に形成さ
れた電子放出体と,前記基板上であって、該電子放出体
の近傍に配設され、前記電子放出体へ吸着体を熱拡散供
給する補給源と,前記基板上に配設され前記電子放出体
を加熱する発熱体とからなり、前記電子放出体が、その
融点をTm(K)とした場合、0.5Tm〜0.7Tmの温度範囲に
加熱される熱拡散補給型電子源である。
【0023】また、本発明の請求項16に記載の第16
の発明は、前記基板が、Si単結晶であることを特徴と
する請求項15記載の熱拡散補給型電子源である。
【0024】また、本発明の請求項17に記載の第17
の発明は、前記針状電極を形成する材料は、キュリー点
が0.4Tm以上の強磁性体であり、前記加熱温度を該キュ
リー点以下としたことを特徴とする請求項1記載の熱拡
散補給型電子源である。
【0025】
【発明の実施の形態】(実施例1)本実施例を図1に示
す。電子放出体1として、Pt(100)単結晶の棒を電子
放出体加熱手段3であるWのヘアピン型フィラメントに
溶接し、電解エッチングにて先端を針状に形成し、これ
を真空中で、1250℃,30分間の加熱を行って先端を曲率
半径0.3〜0.6μm程度に鈍化したものを形成する。つい
で、この電子放出体1に、BaO粉末をコロジオン溶液な
どの粘結剤に混ぜたものを、塗布,焼結して拡散原子の
補給源2を形成する。Ptの仕事関数は5.3eV程度であ
り、加熱すると温度上昇と共に表面にBa-Oが拡散する。
【0026】ついで、この電子源の評価を行った。高真
空容器中で、加熱手段3からの熱電子を抑える目的で、
電子放出体1の先端のみが突き出るようにサプレッサ電
極(図示せず)で電子放出体1を覆い、この電子放出体
1の先端に、中央に開孔を有するアノード電極(図示せ
ず)を対向配置し、このアノード電極を接地し、サプレ
ッサ電極には数百Vの負の電圧を印加し、電子放出体1
には−2kVから−4kVの電圧を印加し、電子放出体加熱手
段3に通電して電子放出体1の温度を徐々に上げていく
と、電子放出体1の針先端から電子線4の放出が得られ
るが、電子放出体1の温度が818〜1227K(0.4〜0.6Tm)の
領域にあるとき、特に安定な電子放出が得られた。この
とき、電子放出体1の先端部の仕事関数が1.3〜1.7eV程
度に下がり、その結果、電子線4のエネルギー幅は、0.
2eV以下と単色性の強いものが得られた。また、電子放
出面も図2(a)の様に小さい(100)面となり、高輝度の電
子線源が得られる。この結果、収差を低減できるためよ
り高分解能の電子顕微鏡を製作することができる。
【0027】本実施例では、補給源2の拡散材料として
BaOを用いたが、SrO,CuO等を用いても同様の効果があ
る。また、これら以外の拡散材料でも本条件の温度域で
表面拡散し、仕事関数を低下させる材料であれば同様の
効果をもたらす。例えば、Li, Na,K, Rb, Cs等のアルカ
リ金属あるいはBe, Mg, Ca, Sr, Ba等のアルカリ土類金
属のうち少なくとも1つの酸化物或いは硫化物を1モル
%以上含む材料を用いても同様の効果がある。
【0028】また本実施例では、電子放出体1としてPt
を用いたが、これ以外に例えばTa,Mo, Zr, Ni, Pd, Re,
Au等、Wより融点の低い材料でその使用温度を、その
材料の融点Tm[K]の0.4〜0.6倍の温度範囲に設定すれば
同様の効果がある。
【0029】また、電子放出体1としてFe<100>を使っ
た場合、融点Tmは1808Kであり、そのキュリー点は1043K
=0.58 Tmである。従って、本発明による使用温度を、キ
ュリー点以下に設定することができる。すなわち、Feの
場合には723〜1043K(0.4Tm〜0.58Tm)の範囲で用いるこ
とで強磁性体から安定した電子放出が得られる。この結
果、スピンが偏った電子線が得られ、磁性体や局在電子
系の観測に有用である。 また、電子放出体1としてCo
を用いても、その融点Tm=1768Kに対し、キュリー点は13
88K=0.785Tmであるから、707〜1061K(0.4Tm〜0.6Tm)の
範囲で用いると同様の効果が得られる。
【0030】一般に、キュリー点が0.4Tm以上の強磁性
体を用い、使用温度を、0.4Tm以上で0.6Tm以下,かつキ
ュリー点以下に設定することにより同様の効果が得られ
る。この場合、必ずしも純物質である必要はなく、Fe,
Coを50at%以上含んだ合金でも或いはそれ以外の物質で
もキュリー点が0.4Tm以上であれば同様の効果がある。
(実施例2)次に、上記実施例1による電子源を搭載した
装置構成の例を図4に示す。熱拡散補給型電子源40の
電子放出体1の先端に対向配置されるアノード電極9に
は、引き出し電源8により、電子放出体1に対して正の
電圧が印加されている。さらに電子放出体1の先端は、
加速電源7により、接地電位に対し負の高い電圧が印加
されている。電子放出体1を囲んで配置されるサプレッ
サ電極41には、電源43により電子放出体1に対して
負の電圧が印加されている。
【0031】電子放出体1は、加熱電源6によるフイラ
メント3(図1参照)への通電で加熱される。電子放出体
1より引き出された電子4はアノード9の中心に設けら
れた開孔を通過し、走査偏向器19により偏向された
後、電子レンズ15により集束され、対物絞り14を通
過後、試料13上に焦点を結ぶ構成となっている。
【0032】このような構成をとることにより得られた
単色性の強い電子線を、電子顕微鏡などに利用すること
が出来る。
【0033】(実施例3)本発明を、基板上に形成され
た電子源に適用した実施例の断面図を図3(a)に、平
面図を図3(b)に示す。Si単結晶基板34をエッチング
により加工して高さ1から5μmのコーン型の電子放出
体31が形成されている。エッチング領域を限定するため
に基板34には全面に絶縁膜35が施され、電子放出体
31の部分のみエッチング除去されている。補給源32と
してCs2Oがマスク蒸着されている。またこの近傍の絶縁
膜35中には、ポリSiによる発熱体33が埋め込まれ、
これに絶縁膜35中にあけたコンタクト穴を介してポリ
Siの加熱用配線電極36が接続されている。
【0034】真空中で、電子放出体31から1mm程度
の距離に、電子放出体31に対向させて,接地されたア
ノードを配置し、基板34に−2kVを印加し、発熱体3
3に配線36を介して電流を加え、電子放出体31を84
2Kから1178K(0.5Tm〜0.7Tm)に加熱すると、Cs, O,およ
びSi原子が電子放出体31表面を拡散し、電子放出体3
1の先端を0.7〜1eV程度に低仕事関数化するため、放出
される電子のエネルギーが0.1〜0.2eV程度の単色性の強
い電子線4が得られる。
【0035】ここでは補給源32としてCs2Oを用いた
が、この他に、Na2O, K2O, Rb2O, Cs2O 等のアルカリ金
属酸化物或いはMgO, CaO, SrO, BaO等のアルカリ土類金
属酸化物を用いても電子放出体31の表面の仕事関数を
低減出来るため、同様の効果が得られる。
【0036】また、電子放出体31として単結晶Siを用い
たが、Ge,あるいはSiとGeの混合物でも、電子放出体
を、0.5Tm〜0.7Tmの加熱温度範囲で用いれば同様の効果
が得られる。また、Si上にエピタキシャル成長して単結
晶となる材料、例えば、NiSi2,CoSi2等を用いても同様
の効果が得られる。この場合、金属結合性があるため、
加熱温度は0.4Tm〜0.6Tmが適当となる。
【0037】また、電子放出体31として単結晶のみで
なく、ポリSiや蒸着したMo等の多結晶金属でもそれぞれ
0.5Tm〜0.7Tm、0.4Tm〜0.6Tmの温度範囲で用いれば同様
の効果がある。このような多結晶体は蒸着などの簡便な
方法で針状構造が得られるため、低コストで多量に形成
できると言う利点がある。この場合、電子放出体31は
多結晶体であるので先端の結晶方位は(100)と限らない
ため電子放出方向がばらつくが、電子放出体31とアノー
ドとの間の空間における電界分布の最適化,あるいは別
に偏向あるいは集束電極を設けることにより所望の方向
に電子線を導くことは容易である。
【0038】本実施例では、電子顕微鏡などのように電
子源が一個の場合について述べたが、基板上に図3の様
な電子源を、一次元或いは二次元に多数配列形成して用
いることも容易である。電流の安定性が高いこと、輝度
が高いこと、単色性が良いこと等の特徴があるため、た
とえば、複数の電子放出体をマトリクス状に配置して、
電子放出体に対向する電極に蛍光体を置けば、高輝度高
精細の平面ディスプレーが形成される。
【0039】また、各電子源上にアノード,電子レンズ
を配置すれば、マルチ電子ビームが容易に得られるの
で、電子線露光装置,電子顕微鏡等の大面積観察化に有
用である。
【0040】
【発明の効果】以上実施例を用いて説明して来たよう
に、本発明を用いることによって安定性が良く高輝度で
単色性の良い電子線を得ることができる。これを用い
て、高分解能の電子顕微鏡や、高性能の電子線応用装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の電子線源の側面図。
【図2】従来の電子線源の問題点の説明する電子線源の
斜視図。
【図3】本発明の実施例3の電子線源の断面及び平面模
式図。
【図4】本発明の実施例2の電子線応用装置の断面模式
図。
【符号の説明】
1:電子放出体、2:補給源、3:発熱体、31:Si電
子放出体、32:拡散材料補給源、33:ポリSi膜発熱
体、34:Si(100)基板、35:絶縁膜、36:加熱用
配線電極

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端を針状にした針状電極と,該針状電極
    を加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散
    供給する補給源とからなる熱拡散補給型電子源におい
    て、 前記針状電極はタングステンより低融点の材料からな
    り、該材料の融点をTm K(ケルビン)としたとき、前記針
    状電極動作時の加熱温度が0.4Tm〜0.6Tm Kであることを
    特徴とする熱拡散補給型電子源。
  2. 【請求項2】タングステンの融点より低い融点Tmを有す
    る材料からなり、先端が針状に形成された針状電極と,
    該針状電極を加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着
    体を熱拡散供給する補給源と,中央に開孔を有し、前記
    針状電極の先端に対向配置されたアノード電極とを備
    え、 前記アノード電極には、前記針状電極に対して正となる
    電圧を印加し、前記針状電極を0.4Tm〜0.6Tm Kの温度範
    囲内に加熱することにより前記針状電極から電子線を取
    り出すことを特徴とする電子線発生方法。
  3. 【請求項3】タングステンの融点より低い融点Tmを有す
    る材料からなり、先端が針状に形成された針状電極と,
    該針状電極を加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着
    体を熱拡散供給する補給源と,中央に開孔を有し、前記
    針状電極の先端に対向配置されたアノード電極とを備
    え、 前記アノード電極には、前記針状電極に対して正となる
    電圧を印加し、前記針状電極を0.4Tm〜0.6Tm Kの温度範
    囲内に加熱することにより前記針状電極から電子線を取
    り出し、該電子線を電子レンズにより集束して所定位置
    に焦点を結ぶ様構成されてなる電子線応用装置。
  4. 【請求項4】前記針状電極が、Pt, Ta, Fe, Coのうち少
    なくとも一つの元素を50at%以上含有することを特徴と
    する請求項1記載の熱拡散補給型電子源。
  5. 【請求項5】先端を針状にした針状電極と,該針状電極
    を加熱する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散
    供給する補給源とからなる熱拡散補給型電子源におい
    て,前記針状電極は共有結合性結晶からなり、該共有結
    合性結晶の融点をTm K(ケルビン)としたとき、前記針状
    電極が0.5Tm〜0.7Tm Kの温度範囲内で加熱されることを
    特徴とする熱拡散補給型電子源。
  6. 【請求項6】前記共有結合性結晶が、Si, Geのいずれか
    であることを特徴とする請求項5記載の熱拡散補給型電
    子源。
  7. 【請求項7】融点Tmを有する共有結合性結晶からなり、
    先端が針状に形成された針状電極と,該針状電極を加熱
    する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散供給す
    る補給源と,中央に開孔を有し、前記針状電極の先端に
    対向配置されたアノード電極とを備え、 前記アノード電極には、前記針状電極に対して正となる
    電圧を印加し、前記針状電極を0.5Tm〜0.7Tm Kの温度範
    囲内に加熱することにより前記針状電極から電子線を取
    り出すことを特徴とする電子線発生方法。
  8. 【請求項8】融点Tmを有する共有結合性結晶からなり、
    先端が針状に形成された針状電極と,該針状電極を加熱
    する発熱体と,前記針状電極への吸着体を熱拡散供給す
    る補給源と,中央に開孔を有し、前記針状電極の先端に
    対向配置されたアノード電極とを備え、 前記アノード電極には、前記針状電極に対して正となる
    電圧を印加し、前記針状電極を0.5Tm〜0.7Tm Kの温度範
    囲内に加熱することにより前記針状電極から電子線を取
    り出し、該電子線を電子レンズにより集束して所定位置
    に焦点を結ぶ様構成されてなる電子線応用装置。
  9. 【請求項9】前記針状電極の先端は単結晶からなり、電
    子放出を低指数方位とすることを特徴とする請求項1,
    4または5記載の熱拡散補給型電子源。
  10. 【請求項10】前記低指数方位が<100>,<110>もしくは<
    111>であることを特徴とする請求項9記載の熱拡散補給
    型電子源。
  11. 【請求項11】前記補給源がLi, Na, K, Rb, Cs等のア
    ルカリ金属あるいはBe, Mg, Ca, Sr, Ba等のアルカリ土
    類金属のうち少なくとも1つの酸化物を1モル%以上含
    むことを特徴とする請求項1,4,5または9に記載の
    熱拡散補給型電子源。
  12. 【請求項12】前記補給源がLi, Na, K, Rb, Cs等のア
    ルカリ金属あるいはBe, Mg,Ca, Sr, Ba等のアルカリ土
    類金属のうち少なくとも1つの硫化物を1モル%以上含
    むことを特徴とする請求項1,4,5または9記載の熱
    拡散補給型電子源。
  13. 【請求項13】前記補給源がCuOあるいはSc, Y, La, Gd
    の酸化物或いは硫化物のうち少なくとも一つを1モル%
    以上含むことを特徴とする請求項1,4,5または9記
    載の熱拡散補給型電子源。
  14. 【請求項14】前記針状電極と,前記発熱体と,前記補給
    源とを同一基板状に形成したことを特徴とする請求項
    1,4,5,9,11,12または13記載の熱拡散補
    給型電子源。
  15. 【請求項15】基板上に、先端が針状のコ−ン形状に形
    成された電子放出体と,前記基板上であって、該電子放
    出体の近傍に配設され、前記電子放出体へ吸着体を熱拡
    散供給する補給源と,前記基板上に配設され前記電子放
    出体を加熱する発熱体とからなり、前記電子放出体が、
    その融点をTm(K)とした場合、0.5Tm〜0.7Tmの温度範
    囲に加熱される熱拡散補給型電子源。
  16. 【請求項16】前記基板が、Si単結晶であることを特
    徴とする請求項15記載の熱拡散補給型電子源。
  17. 【請求項17】前記針状電極を形成する材料は、キュリ
    ー点が0.4Tm以上の強磁性体であり、前記加熱温度を該
    キュリー点以下としたことを特徴とする請求項1記載の
    熱拡散補給型電子源。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004070766A1 (ja) * 2003-02-03 2004-08-19 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha 電子源
JP2008098087A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Denki Kagaku Kogyo Kk 電子源

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