JPH11183488A - Beem測定装置 - Google Patents
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Abstract
までを一括して制御すると共に、MS接合やMIS接合
のBEEM電流をナノメートルの空間分解能で正確にか
つ容易に測定、評価する技術が求められている。 【解決手段】 試料ホルダに保持された半導体基板上
に、真空雰囲気下で直接もしくは中間層を介して金属膜
を形成するBEEM試料作製手段6と、金属膜から半導
体基板に流れるBEEM電流を真空雰囲気下で測定する
BEEM手段7と、金属膜を有する半導体基板を真空雰
囲気下でBEEM試料作製手段6からBEEM手段7ま
で搬送する搬送路1と、この搬送路1内において、試料
ホルダをBEEM用ホルダに固定すると同時に、金属膜
および半導体基板それぞれにBEEM電流測定用の電極
を電気的に接続させる手段とを具備するBEEM測定装
置である。BEEM試料作製手段7から搬送路1を介し
てBEEM手段7まで 1×10-7Pa以下の真空雰囲気に保
たれている。
Description
した試料のBEEM(弾道電子放射顕微鏡:Ballistic E
lectron Emission Microscopy)観察を、試料の作製から
真空を破ることなく、超高真空中で実施することを可能
にしたBEEM測定装置に関する。
絶縁体−半導体(MIS)接合は、大規模集積回路(U
LSI)の性能に影響する重要な構成要素であるばかり
でなく、シリコンカーバイド(SiC)やダイヤモンド
などの新しい半導体材料にとっても重要な研究テーマで
ある。
電位障壁いわゆるショットキー障壁が生じることが知ら
れている。このショットキー障壁は整流作用を有し、こ
の整流作用を示すMS接合いわゆるショットキー接合
は、ショットキーバリヤダイオードなどとして利用され
ており、半導体素子の基本となるものである。また、絶
縁体を介在させた金属と半導体との接合は、いわゆるM
IS接合に基く電位障壁高さを有しており、それに基づ
いてショットキーゲートトランジスタなどの機能素子に
適用されている。
れらが有する電位障壁を制御することが素子の設計、作
製上重要であるが、障壁の形成機構は統一的な理解がま
だなされておらず、現状のMS接合やMIS接合を有す
る電子素子は、それらの界面の総体的なポテンシャル障
壁を利用しているにすぎない。例えば、単に界面のショ
ットキー障壁などを制御するだけでなく、ナノレベルの
領域で障壁高さが異なる界面を存在させることができれ
ば、ナノレベルでの半導体素子の微細化、さらには新た
な機能素子への応用展開を図ることが可能となることが
予想される。
は、あくまでMS接合やMIS接合の測定接合領域内の
ショットキー障壁高さが同一であることを前提としてお
り、測定領域内で平均化された情報しか得られていな
い。これは従来の電気的・光学的な測定手法の空間分解
能に制約があるためである。このような従来のショット
キー障壁の測定結果では、到底ナノレベルの領域での界
面制御などを達成することはできないため、ナノメート
ルの空間分解能を備えた界面電子物性評価技術の確立が
強く望まれている。
て、最近、弾道電子放射顕微鏡(Ballistic Electron Em
ission Microscopy:BEEM)が注目されている。BE
EMは走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Micros
copy:STM)から派生した技術であり、MS接合界面
やMIS接合界面のショットキー障壁高さをナノメート
ルの空間分解能で評価することが可能な技術である。
TMチップ)tから金属膜Mの表面にトンネルした電子
のうち、一部は金属膜M中で散乱されることなく、エネ
ルギーを保ったまま界面に到達する。この電子を弾道電
子(Ballistic Electron)と呼ぶ。弾道電子の一部は、さ
らに界面の障壁をトンネルして半導体Sに侵入する。こ
の電子による電流は、BEEM電流と呼ばれ(ショット
キー電流もしくはコレクター電流とも呼ぶ)、弾道電子
のエネルギー、ショットキー障壁高さ、金属膜Mの膜
厚、表面のモホロジーなどの関数である。特に、弾道電
子が十分に界面に到達する条件では、BEEM電流はシ
ョットキー障壁高さ付近から急激に増加する。従って、
この立ち上がりを測定することによって、その場所での
ショットキー障壁高さを知ることができる。
BEEMはBEEM電流の測定のみに着目されており、
金属膜の成膜段階からの制御などについては考慮されて
いない。
Beam Epitaxy Method:MBE法)などの超高真空中で
成膜する際の基板温度や蒸着速度などを制御することが
可能な成膜方法で、清浄な半導体基板上に金属膜などを
成膜したとしても、BEEM観察を実施する以前に大気
雰囲気などを経ると、酸素、水、有機物などの不純物が
吸着する。これら不純物は表面・界面の測定や制御を妨
げるため、ナノメートルの領域で界面電子物性を正確に
測定、評価することができなくなる。
は、半導体基板および金属膜の双方に電極を取り付ける
必要がある。この電極の取り付けも界面電子物性の正確
な測定、評価を困難にさせている。
ポテンシャル障壁を制御することにより、均一なポテン
シャル障壁を有する界面を作製すると共に、ナノレベル
の領域でポテンシャル障壁の異なる界面を共存させるこ
とができれは、ナノレベルでの半導体素子の微細化、さ
らにはメゾスコピック素子などの新たな機能素子への応
用展開を図ることが可能となることが予想される。この
ようなナノレベルでの半導体素子の微細化や新たな機能
素子を実現する上で、MS接合やMIS接合の界面電子
物性をナノメートルの空間分解能で正確にかつ容易に測
定、評価することを可能にした技術が強く望まれてい
る。
になされたもので、BEEM測定用試料の作製からBE
EM観察までを一括して制御すると共に、MS接合やM
IS接合のBEEM電流をナノメートルの空間分解能で
正確にかつ容易に測定、評価することを可能にしたBE
EM測定装置を提供することを目的としている。
置は、請求項1に記載したように、試料ホルダに保持さ
れた半導体基板上に、真空雰囲気下で直接もしくは中間
層を介して金属膜を形成するBEEM試料作製手段と、
前記金属膜から前記半導体基板に流れるBEEM電流を
真空雰囲気下で測定するBEEM手段と、前記試料ホル
ダに保持された前記金属膜を有する半導体基板を、真空
雰囲気下で前記BEEM試料作製手段から前記BEEM
手段まで搬送する搬送路と、前記搬送路内において、前
記金属膜を有する半導体基板を保持する前記試料ホルダ
をBEEM用ホルダに固定すると同時に、前記金属膜お
よび前記半導体基板それぞれにBEEM電流測定用の電
極を電気的に接続させる手段とを具備し、前記BEEM
試料作製手段から前記搬送路を介して前記BEEM手段
までが 1×10-7Pa以下の真空雰囲気に保たれていること
を特徴としている。
BEEM用ホルダはさらに請求項2に記載したように、
前記試料ホルダを固定するバネ状部材と、前記半導体基
板に前記電極を接続するためのバネ弾性を有する第1の
電極部材と、前記金属膜に前記電極を接続するためのバ
ネ弾性を有する第2の電極部材とを具備することを特徴
としている。またさらに、前記電極を接続する手段は請
求項3に記載したように、前記試料ホルダが前記BEE
M用ホルダに固定されるまで、前記第2の電極部材を保
持するフックと、前記第2の電極部材を前記フックから
解放して、前記金属膜に前記電極を接続させる手段とを
具備することを特徴としている。
て、前記第2の電極部材は請求項4に記載したように、
AuまたはPtからなる接触部を有する前記電極を具備
し、かつ前記接触部を前記金属膜に5N以下の圧力で接触
させるバネ弾性を有することを特徴としている。本発明
のBEEM測定装置において、前記BEEM試料作製手
段としては例えば請求項5に記載したように、分子線エ
ピタキシー法による成膜装置が用いられる。
を介して接続されたBEEM試料作製手段とBEEM手
段とを有し、かつBEEM試料作製手段から搬送路を介
してBEEM手段までが 1×10-7Pa以下の真空雰囲気に
保たれている。さらに、従来BEEMの正確な測定、評
価を困難にさせていた半導体基板および金属膜の双方へ
の電極の取り付けについても、BEEM試料作製手段か
らBEEM手段への真空搬送経路で実施している。
れば、BEEM試料の作製からBEEM観察までを、酸
素、水、有機物などの表面・界面の測定や制御を妨げる
不純物を吸着させることなく、高真空雰囲気中で実施す
ることができる。従って、ナノメートルの空間分解能で
MS接合やMIS接合のBEEM電流、さらには界面電
子物性を正確にかつ容易に測定、評価することが可能と
なる。
態について説明する。
形態の要部構造を示す平面図である。同図に示すBEE
M測定装置は、超高真空雰囲気とすることが可能な試料
搬送路1を具備している。試料搬送路1は、主搬送路1
Aと副搬送路1Bとを有している。これら搬送路1A、
1Bはそれぞれ真空チャンバを有し、これら真空チャン
バ内に試料の搬送機構が配置されている。主搬送路1A
では例えばラックピニオン機構を有する搬送機構が用い
られる。
バルブ2を介して、ロードロック室3が設けられてい
る。ロードロック室3は大気開放可能とされており、こ
のロードロック室3から成膜・測定試料としての半導体
基板が搬入される。この半導体基板は、後に詳述する試
料ホルダに固定された状態で搬入される。
4、5を介して、BEEM試料作製手段としての超高真
空成膜装置6と、超高真空BEEM(UHV−BEE
M)装置7とが接続されている。UHV−BEEM装置
7は、具体的には副搬送路1Bを介して主搬送路1Aに
接続されており、副搬送路1BとUHV−BEEM装置
7との間にゲートバルブ5が介挿されている。搬送路1
A、1Bの真空チャンバと超高真空成膜装置6およびU
HV−BEEM装置7とは、振動の伝達を遮断するため
に、ベローズ管で結合されている。
置6およびUHV−BEEM装置7は、図示を省略した
イオンポンプのような真空排気装置を有しており、これ
らにより 1×10-7Pa以下の真空雰囲気が保たれている。
すなわち、ロードロック室3から成膜・測定試料として
の半導体基板が搬入され後は、超高真空成膜装置6によ
る金属膜などの成膜からUHV−BEEM装置7でのB
EEM観察までの全ての工程(搬送工程を含む)を、 1
×10-7Pa以下の超高真空中で実施することが可能とされ
ている。全工程の雰囲気が 1×10-7Paを超えると、雰囲
気中からの不純物の吸着によって、正確なBEEM観察
が困難となる。具体的な装置全体としての背圧として
は、例えば 2×10-8Pa程度に設定される。
真空中で成膜する際の基板温度や蒸着速度などの制御性
に優れた分子線エピタキシー(MBE)法を適用した成
膜装置が用いられる。なお、本発明のBEEM測定装置
におけるBEEM試料作製手段は、MBE成膜装置に限
られるものではなく、測定・評価試料に応じて種々の成
膜装置を適用することが可能である。
されている超高真空成膜装置6には、ロードロック室3
から搬入された半導体基板が第1の真空マグネットロー
ダ8によりセットされる。この際、図2に示すように、
成膜・測定試料としての半導体基板9は試料ホルダ10
に保持された状態で搬送される。
高融点金属からなるホルダ本体11と、半導体基板9を
上下から挟持する例えばアルミナからなる耐熱性絶縁部
材12、13と、これら耐熱性絶縁部材12、13を固
定するビス14とを有している。半導体基板9は、ホル
ダ本体11に接合固定された下側の耐熱性絶縁部材12
上に載置され、その上に上側の耐熱性絶縁部材13を配
置した後に、ビス14を締め付けることによって、ホル
ダ本体11とは絶縁された状態で試料ホルダ10に保持
されている。なお、図中15はチャッキング用の穴であ
る。
で半導体基板9上に金属膜などを成膜してBEEM測定
試料を作製するにあたって、半導体基板9を保持した試
料ホルダ10は図3に示すように、MBE用サセプタ1
6に固定した状態でMBE成膜装置(6)内にセットさ
れる。試料ホルダ10はMBE用サセプタ16に設置さ
れた板バネ17により固定されている。
略したが、Taなどの高融点金属からなるマスク材を有
しており、このマスク材により半導体基板9の所定の位
置に金属膜が成膜されてBEEM測定試料が作製され
る。図3は半導体基板9の所定の位置に、例えば直径
1.5mm程度の大きさを有する金属膜18が成膜された状
態を示している。
体基板9の所定の位置に少なくとも金属膜18を形成し
たものであり、この場合には金属−半導体(MS)接合
を有するBEEM測定試料となる。BEEM測定試料は
MS接合を有するものに限らず、金属−絶縁体−半導体
(MIS)接合を有するものであってもよい。MIS接
合を有するBEEM測定試料は、金属膜18の形成に先
立って、半導体基板9上に絶縁膜を中間層として成膜す
ることにより得られる。さらに、中間層は絶縁層に限ら
ず、半導体基板9とは異なる半導体や金属膜18とは異
なる金属であってもよい。このような中間層を有するB
EEM測定試料は、それぞれの界面に応じた試料として
使用される。
るものではなく、Au、Ag、Pt、Cu、Alなどの
各種の単体金属、あるいは合金などが使用される。ま
た、金属膜18の厚さは20nm以下とすることが好まし
い。金属膜18の厚さがあまり厚いと、中間層の存在の
有無にかかわらず、金属−半導体の接合界面に弾道電子
を注入した際に、半導体基板9に流れるBEEM電流
(ショットキー電流/コレクタ電流)が小さくなりす
ぎ、BEEM電流の測定および制御が困難となる。
導体基板9の初期表面を制御すると共に、金属膜18の
形成を原子レベルで制御することによって、実質的に均
一なポテンシャル障壁を有する界面とすることができ
る。例えば、単結晶半導体基板9の表面は、注意深く処
理することにより、表面準位密度の低減と原子レベルで
の表面平坦化が可能である。このような表面を有する半
導体基板9上に、例えば超高真空MBE法で金属膜18
を形成することによって、実質的に均一なポテンシャル
障壁を有する界面が得られる。MS接合界面に中間層を
介在させる場合についても同様である。
体、金属膜18とは異なる金属、または半導体基板9と
は異なる半導体を使用することができる。中間層には、
絶縁体や異種の金属または半導体からなる第3の物質を
積極的に介在させたもの以外に、金属膜18と半導体基
板9との反応層などを利用することもできる。このよう
な中間層の厚さは10nm以下とすることが好ましい。
設けてもよい。このような中間層の形状は、半導体基板
表面のテラスなどを利用することによって、所望のパタ
ーンに応じた形状とすることができる。すなわち、厚さ
10nm以下の中間層は、例えば単結晶半導体基板の平坦な
テラスを利用することによって、最大径が例えば 1〜10
0nm程度の島状体として形成することができる。あるい
は、ステップに沿って幅が例えば 1〜 100nm程度の帯状
体として形成することができる。特定のテラスのみを覆
うように、中間層を形成することも可能である。
高真空成膜装置6で半導体基板9上に金属膜18(中間
層を介在させる場合を含む)を形成したBEEM測定試
料は、真空雰囲気が維持された主搬送路1Aに引き出さ
れた後、主搬送路1AによりUHV−BEEM装置7側
に搬送される。BEEM測定試料の取り出しからUHV
−BEEM装置7側への搬送は超高真空中で実施され
る。
された状態の試料ホルダ10(BEEM測定試料を含
む)は、主搬送路1Aの副搬送路1B側の端部まで真空
雰囲気中を搬送される。この主搬送路1Aの副搬送路1
B側の端部において、試料ホルダ10は第2の真空マグ
ネットローダ19によりMBE用サセプタ16から引き
抜かれる。なお、試料ホルダ10のみを搬送するように
してもよい。
ットローダ20によりBEEM用ホルダが供給され、図
4に示すように、BEEM用ホルダ21にBEEM測定
試料(金属膜(含中間層)18を有する半導体基板9)
を保持する試料ホルダ10が固定される。
EEM用ホルダ21に差し込まれる。試料ホルダ10
は、図5に示すように、試料ホルダ10のホルダ本体1
1を受け台22と板バネなどからなるバネ状部材22と
の間に差し込むことによつて、BEEM用ホルダ21に
固定される。バネ状部材22を利用することにより、試
料ホルダ10のBEEM用ホルダ21への脱着が容易に
なる。
ルダ10の固定と同時に、BEEM測定試料の半導体基
板9および金属膜18の双方にBEEM電流測定用の電
極が電気的に接続される。すなわち、BEEM電流の測
定にあたっては、図6に示すように、半導体基板9に電
極24を接続(オーミック接続)させると共に、金属膜
18に電極24を接続させる必要がある。そして、探針
(STMチップ)26から金属膜18にトンネル電流を
流すことによって、BEEM電流が測定される。なお、
図中27は中間層を示している。
は、電極24、25の具体的な接続に図7に示すような
機構が用いられている。なお、図7はBEEM用ホルダ
21の要部とBEEM測定用試料としての半導体基板9
のみを示している。
4は、上方に向けてバネ弾性を示す電極部材24aを有
しており、試料ホルダ10をBEEM用ホルダ21に差
し込むと同時に、半導体基板9に第1の電極24が接続
(オーミック接続)される。第1の電極24の半導体基
板9との接触部24bは、例えばAuやPtのような表
面酸化しづらいと共に軟質な金属により構成されてい
る。このような接触部24bにより、半導体基板9と第
1の電極24との良好なオーミック接続が実現される。
下方に向けてバネ弾性を示す電極部材25aを有してい
る。ここで、図8に示すように、第2の電極25は試料
ホルダ10がBEEM用ホルダ21に固定されるまで、
フック28により保持されており、第1の電極24と第
2の電極25との間には半導体基板9の挿入空間が形成
されている。そして、試料ホルダ10をBEEM用ホル
ダ21に差し込むと同時に、第2の電極25はフック2
8から解放され、バネ弾性を有する電極部材25aによ
り金属膜18に第2の電極25が接続される。
触部25bは、例えばAuやPtのような表面酸化しづ
らいと共に軟質な金属により構成されていると共に、電
極部材25aによる金属膜18に対する接触部25bの
接触圧が5N以下に調整されている。このように、第2の
電極25の接触部をAuやPtなどで構成することによ
って、小さい接触圧で良好な電気的な接続を得ることが
可能となる。第2の電極25の接触圧が大きいと、例え
ば厚さが20nm以下というような金属膜18を破壊してし
まい、BEEM測定試料として機能しなくなってしう。
一方、接触部25bを硬質金属で構成すると、5N以下と
いうような接触圧では良好な電気的な接続を得ることが
できない。
それぞれBEEM用ホルダ21をBEEM装置に固定す
る翼部材29、30と電気的に接続されており、これら
翼部材29、30を介してBEEM装置側の電極と電気
的に接続される。
膜(含中間層)18を有する半導体基板9)を保持する
試料ホルダ10を、BEEM用ホルダ21に固定すると
同時に、半導体基板9および金属膜18の双方にBEE
M電流測定用の電極24、25を電気的に接続した後、
BEEM用ホルダ21はUHV−BEEM装置7の試料
準備室7aを介して、第4の真空マグネットローダ31
によりBEEM測定室7bに搬送される。ここで、UH
V−BEEM装置7はBEEM観察手段と共にSTM観
察手段を有している。
たように、探針(STMチップ)26から金属膜18に
トンネル電流を流すと、金属膜18の表面に到達した電
子のうち、金属膜18内で散乱されることなく界面に到
達した電子(弾道電子)の一部が金属−半導体界面の電
位障壁、いわゆるショットキー障壁を超えてBEEM電
流(ショットキー電流もしくはコレクタ電流)として半
導体基板9に流れる。弾道電子が十分に界面に到達する
条件では、探針26に印加した電圧に対してショットキ
ー障壁高さ付近からBEEM電流が急激に増加する。こ
のようなBEEM電流の変化(BEEMスペクトル)に
基づいて、その場所でのMS接合やMIS接合のショッ
トキー障壁高さを測定、評価する。
キー障壁高さを有している。このMIS接合に基くショ
ットキー障壁高さが弾道電子のエネルギーより小さい場
合にはBEEM電流が流れるが、それより大きい場合に
は中間層としての絶縁層(I)が弾道電子を散乱するこ
とによって、BEEM電流は流れない。一方、MS接合
はそれに基くショットキー障壁高さを有している。この
MS接合のショットキー障壁高さはMIS接合に比べて
十分に小さいため、MIS接合ではトンネルできない弾
道電子であっても、ショットキー障壁高さに応じたBE
EM電流として半導体基板9に流れる。このようなBE
EM電流の測定結果に基づいて、MS接合やMIS接合
のショットキー障壁高さをナノメートルの空間分解能で
測定、評価することができる。
いては、BEEM試料作製手段としての超高真空成膜装
置6とUHV−BEEM装置7とが、高真空雰囲気とす
ることが可能な試料搬送路1により接続されていると共
に、超高真空成膜装置6からUHV−BEEM装置7ま
でが 1×10-7Pa以下の真空雰囲気に保たれている。そし
て、ロードロック室3から成膜・測定試料としての半導
体基板9が搬入された後は、成膜からBEEM測定まで
の全工程が超高真空雰囲気中で実施される。従って、表
面・界面の測定や制御の妨げとなる雰囲気からの酸素、
水、有機物などの吸着は大幅に軽減され、これによって
MS接合やMIS接合のBEEM電流を正確に測定、評
価することが可能となる。
困難にさせていた半導体基板9および金属膜18の双方
への電極の取り付けについても、高真空雰囲気とするこ
とが可能な試料搬送路1で実施される。従って、電極の
接続に伴う工数を削減することができる上に、電極の接
続による試料表面や界面の汚染などを有効に防止するこ
とが可能となる。これもBEEM電流の測定、評価の正
確性の向上に大きく寄与する。
種試料のMS接合やMIS接合のBEEM電流を正確に
かつ容易に測定、評価することができ、これに基づいて
各界面のショットキー障壁高さ、さらには界面電子物性
をナノメートルの空間分解能で正確に測定、評価するこ
とが可能となる。また、このような本発明のBEEM測
定装置は、MS接合やMIS接合を有する超高集積素
子、またショットキー電流やショットキー障壁高さが異
なる複数の領域をナノレベルで複合した電子素子、さら
には新たな機能素子の開発などに大きく貢献する。
置の使用例について述べる。
対して 3°の角度で研磨した。このSi(111) 基板を試
料ホルダ10にセットした後、BEEM測定装置にロー
ドロック室3から搬入する。装置全体の背圧は 2×10-8
Pa以下とした。
膜装置6でSi(111) 基板の清浄な傾斜面(研磨面)上
にはCaF膜が約 1MLに相当する量で成膜され、次い
でCaF2 膜が平均として約 1MLに相当する量で成膜
される。これらCaF膜およびCaF2 膜の成膜は、S
i(111) 基板を約 700℃に加熱して実施した。次に、基
板温度を室温まで下げた後、Au膜が約50MLに相当す
る量で成膜される。
ルダ10に保持された状態でMBE成膜装置6から主搬
送路1Aに引き出され、主搬送路1Aの他方の端部側ま
で搬送される。ここで、試料ホルダ10がBEEM用ホ
ルダ21に固定されると同時に、Si(111) 基板および
Au膜の双方にBEEM電流測定用の電極が電気的に接
続される。
M装置7の試料準備室7aを介してBEEM測定室7b
に搬送され、ここでBEEM観察およびSTM観察が行
われる。各層の成膜からSTM、BEEM観察まで、 2
×10-8Pa以下の超高真空雰囲気中で実施される。
模式図(図9)およびBEEM像の模式図(図10)で
ある。図9から表面は40〜60nmの幅を持つテラスと 1.0
〜1.5nmの段差を持つステップからなっていることが分
かる。これらステップとテラスからなる表面のモホロジ
ーは、Si(111) 基板の傾斜面に起因するものであり、
Au膜を成膜した後も試料表面は基板形状を反映したも
のとなっている。
たテラスT1とテラスT2とでは表面のモホロジーが異
なっており、テラスT1はテラスT2に比べて表面の凹
凸が小さいことが分かる。また、図10のBEEM像の
模式図において、テラスT2は数pAのBEEM電流が検
出できる明るい領域に相当し、テラスT1はBEEM電
流がほとんど検出できない(あるいは非常に小さい)暗
い領域に相当する。
スT2上で得られた代表的なBEEM電流のチップ電圧
依存性、すなわちBEEMスペクトルである。図11中
SP1はテラスT1上のBEEMスペクトルであり、S
P2はテラスT2上のBEEMスペクトルである。
立上がり、その後チップ電圧に比例して増加している。
このことから、テラスT2では電位障壁高さが約0.75eV
であることが分かる。これはAu/Si(111) 接合で測
定されたショットキー障壁高さと同等の値である。一
方、SP1ではBEEM電流が 3.5eV付近から立上がる
が、その後飽和している。テラスT1では障壁高さが約
3.5eVと、ショットキー障壁よりはむしろAu/CaF
2 /SiというMIS構造に伴う障壁が形成されている
ことを示唆している。
F2 膜およびAu膜の成膜からSTM観察、BEEM観
察までを一括して超高真空雰囲気中で実施することによ
って、例えば図12に模式的に示すように、約 1MLの
CaF膜31および約 2MLのCaF2 膜32が介在さ
れたAu/Si接合、すなわちAu/CaF2 /Si接
合を有するテラスT1と、約 1MLのCaF膜31のみ
が介在されたAu/Si接合を有するテラスT2とが、
Si(111) 基板9上に形成されていることが確認され
た。なお、テラスT1上のみにCaF2 膜が形成されて
いることは、オージェ電子分光法によるCaとSiの分
布からも確認された。
障壁は0.75eVで、Au/Siのショットキー障壁の高さ
に近い値を持つ。一方、テラスT1では界面に約 1ML
のCaFと約 2MLのCaF2 が存在している。この約
2MLのCaF2 はもはや絶縁物としてのバンド構造を
持ち、界面に 3.5eVの電位障壁を形成していると考えら
れる。従って、図12に示したように、弾道電子のエネ
ルギーが 2eVの場合、テラスT2の界面はトンネルでき
るが、テラスT1の界面はトンネルできない。BEEM
像の明暗はこれらに基づくものである。
よびMS接合を有するテラスT2は、例えば40〜60nm程
度の幅を有する各テラスに応じて作り分けることができ
るため、MIS接合を有する素子領域とMS接合を有す
る素子領域とをナノレベルで制御できることを示唆して
いる。
測定装置によれば、BEEM測定用試料の作製からBE
EM観察までを一括して真空雰囲気中で制御することが
でき、これによりMS接合やMIS接合のBEEM電流
をナノメートルの空間分解能で正確にかつ容易に測定、
評価することが可能となる。このような本発明のBEE
M測定装置は半導体素子の超微細化、新たな機能素子の
開発などに大きく貢献するものである。
の要部構造を示す平面図である。
ルダの一構成例を示す図である。
固定した状態を示す平面図である。
M用ホルダの一構成例および図2に示す試料ホルダをB
EEM用ホルダに固定した状態を示す図である。
固定する際の一構成例を示す断面図である。
るための図である。
料に電極を接続する際の一構成例を示す断面図である。
試料の挿入状態を示す断面図である。
た試料のSTM像を模式的に示す図である。
像を模式的に示す図である。
した試料のBEEMスペクトルの測定結果を示す図であ
る。
した試料の構造および弾道電子の状態を模式的に示す図
である。
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 試料ホルダに保持された半導体基板上
に、真空雰囲気下で直接もしくは中間層を介して金属膜
を形成するBEEM試料作製手段と、 前記金属膜から前記半導体基板に流れるBEEM電流を
真空雰囲気下で測定するBEEM手段と、 前記試料ホルダに保持された前記金属膜を有する半導体
基板を、真空雰囲気下で前記BEEM試料作製手段から
前記BEEM手段まで搬送する搬送路と、 前記搬送路内において、前記金属膜を有する半導体基板
を保持する前記試料ホルダをBEEM用ホルダに固定す
ると同時に、前記金属膜および前記半導体基板それぞれ
にBEEM電流測定用の電極を電気的に接続させる手段
とを具備し、 前記BEEM試料作製手段から前記搬送路を介して前記
BEEM手段までが 1×10-7Pa以下の真空雰囲気に保た
れていることを特徴とするBEEM測定装置。 - 【請求項2】 請求項1記載のBEEM測定装置におい
て、 前記BEEM用ホルダは、前記試料ホルダを固定するバ
ネ状部材と、前記半導体基板に前記電極を接続するため
のバネ弾性を有する第1の電極部材と、前記金属膜に前
記電極を接続するためのバネ弾性を有する第2の電極部
材とを具備することを特徴とするBEEM測定装置。 - 【請求項3】 請求項2記載のBEEM測定装置におい
て、 前記電極を接続する手段は、前記試料ホルダが前記BE
EM用ホルダに固定されるまで、前記第2の電極部材を
保持するフックと、前記第2の電極部材を前記フックか
ら解放して、前記金属膜に前記電極を接続させる手段と
を具備することを特徴とするBEEM測定装置。 - 【請求項4】 請求項2記載のBEEM測定装置におい
て、 前記第2の電極部材は、AuまたはPtからなる接触部
を有する前記電極を具備し、かつ前記接触部を前記金属
膜に5N以下の圧力で接触させるバネ弾性を有することを
特徴とするBEEM測定装置。 - 【請求項5】 請求項1記載のBEEM測定装置におい
て、 前記BEEM試料作製手段は、分子線エピタキシー法に
よる成膜装置を有することを特徴とするBEEM測定装
置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP35755497A JP3816224B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | Beem測定装置 |
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JPH11183488A true JPH11183488A (ja) | 1999-07-09 |
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1997
- 1997-12-25 JP JP35755497A patent/JP3816224B2/ja not_active Expired - Fee Related
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角谷透: "UHV−BEEMによって観た金属−半導体界面のナノ構造", 創造科学技術推進事業 1996 創造科学技術研究報告会(東京)第3部 講演要旨集, JPNX006023838, 1996, pages 37 - 44, ISSN: 0000743803 * |
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