JPH11183424A - 酸素電極用陰極 - Google Patents

酸素電極用陰極

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JPH11183424A
JPH11183424A JP9353744A JP35374497A JPH11183424A JP H11183424 A JPH11183424 A JP H11183424A JP 9353744 A JP9353744 A JP 9353744A JP 35374497 A JP35374497 A JP 35374497A JP H11183424 A JPH11183424 A JP H11183424A
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oxygen electrode
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Hiromasa Yamamoto
博将 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間安定に使用することが出来る酸素電極
を構成することが可能な、酸素電極用陰極を提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートなどの熱可
塑性樹脂等からなる支持体2内に、その一部が該支持体
の表面とほぼ同一面を形成するように露出した状態で白
金等の貴金属電極1が固定され、接続端子1bを通じて
持体外部と電気的に接続できる酸素電極用陰極におい
て、該貴金属電極露出部分1a近傍の支持体表面に該貴
金属電極の露出部分1aから所定の間隔を置いて所定の
空容積を有する小室3が設けられてた酸素電極用陰極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸素電極用陰極に関
する。詳しくは、本発明は長期安定性に優れた酸素電極
を構成することが可能な酸素電極用陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】酸素透過性膜を透過する酸素の量を検知
用電極を用いて測定する酸素電極は、発酵プロセスの制
御、水質用の環境計測、医療分野における計測など非常
に多岐にわたる利用がなされている。近年においては、
その酸素透過性膜の外表面において酸素を消費または生
産する酵素反応と組み合わせた、酵素電極も開発されて
いる。
【0003】酸素電極は使用する原理から分類すると、
ポーラログラフ式、ガルバニ電池式、濃淡電池式等があ
り、各用途に応じて使い分けられている。これらのうち
ポーラログラフ式のものは、検知部となる一部の壁が酸
素透過性膜で構成された電極容器内に、電極として検知
極となる陰極、対極となる陽極、および電解質溶液を基
本的に有し、検知極に一定の電位を印加した場合に、酸
素透過膜を透過する酸素の量に応じて流れる電流を測定
することにより、気体又は液体中の酸素分圧(酸素濃
度)を求める形式のものである。
【0004】上記の酸素電極の検知極となる陰極として
は、電極面積の規定および機械的強度の付与のため、貴
金属電極をガラス・樹脂などの支持体中に固定したもの
が多用される。公知技術の例としては、特公平1−32
943、特開昭62−64942などが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、貴金属
を支持体中に固定した陰極を用いてポーラログラフ式酸
素電極を構成した場合、該酸素電極は長期間使用すると
酸素応答時間が遅延し測定の再現性が低下するという問
題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記酸素電
極において長期間使用した場合に酸素応答時間が遅延し
測定の再現性が低下するのは、酸素電極用陰極の貴金属
電極表面近傍の電解質溶液の局所的な変質によるのでは
ないかと考え、このような電解質溶液の局所的な変質を
防止する方法について種々検討を行った。その結果、支
持体表面に露出した貴金属電極表面の近傍に電解質溶液
を保持する小室を設けた場合には上記電解質溶液の局所
的な変質が起こらない場合があるという知見を得た。そ
して更に検討を行ったところ、上記小室に保持される電
解質溶液の量及び該小室と上記貴金属電極表面との距離
(間隔)には各酸素電極用陰極に応じた最適値が存在す
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、支持体内に、その一部が
該支持体の表面とほぼ同一面を形成するように露出した
状態で貴金属電極が固定され、支持体外部と電気的に接
続できる酸素電極用陰極において、該貴金属電極の露出
部分近傍の支持体表面に該貴金属電極の露出部分から所
定の間隔を置いて所定の空容積を有する小室が設けられ
ていることを特徴とする酸素電極用陰極である。
【0008】上記酸素電極用陰極において、貴金属電極
の露出部分と小室の間隔が約0.03〜0.5mmのも
ので、且つ該小室の空容積が約0.2〜0.7μlのも
のは、酸素電極に組み込んで使用した場合に、貴金属電
極に電圧を印加してから酸素分圧(酸素濃度)の測定が
可能になるまでの時間(以下、電流値安定化時間と表記
する)も短く、長期安定性にも優れるという特徴を有す
る。また、上記態様を含めた本発明の酸素電極用陰極の
うち支持体が熱可塑性樹脂からなるものは、絶縁性樹脂
で被覆された貴金属棒を金型内に挿入し、次いで該金型
内に溶融した熱可塑性樹脂を導入してインサート成形す
ることにより、精度良く量産できるという特徴を有す
る。
【0009】また、他の本発明は、一部の壁が酸素透過
性膜により構成された電極ハウジングの内部に陰極、陽
極及び電解質溶液が内蔵されたポーラログラフ式酸素電
極において、陰極が上記本発明の酸素電極用陰極である
ことを特徴とするポーラログラフ式酸素電極である。
【0010】本発明の酸素電極では、陰極の支持体表面
に露出した貴金属電極の近傍の支持体表面上に設けられ
る小室に電解質溶液が保持されるのであるが、該小室の
位置(貴金属電極露出部からの間隔)及び空容積(保持
される電解質溶液量)が該小室から貴金属電極露出部
への電解質溶液の拡散とハウジング内に保持されている
電解質溶液と該小室内の電解質溶液の拡散による入れ替
えとのバランスが適度に保たれるように設定されている
ため、電流値安定化時間を長くすることなく電解質溶液
の局所的な変質が防止され、結果として長期間使用して
も酸素応答時間が遅延せずに、信頼性の高い測定が可能
になるものと思われる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の酸素
電極用陰極及び本発明の酸素電極を詳細に説明するが、
本発明はこれらの添付図面に何ら限定されるものではな
い。
【0012】まず、図1及び図2を用いて本発明の酸素
電極用陰極について説明する。
【0013】図1は、本発明において採用される酸素電
極用陰極の断面図である。図1において符号1は検知極
となる貴金属電極であり、その一部(貴金属電極露出部
分1a)は支持体2の表面とほぼ同一面を形成するよう
にして露出している。ここで、貴金属電極露出部分の露
出面積は一般的には160μm2〜4mm2程度である。
【0014】該貴金属電極1の材質としては、金、白
金、イリジウム等が使用できるが、硬度が適度で加工が
しやすいという観点から、金を用いるのが好適である。
【0015】貴金属電極1の形状はその露出部分の露出
面が平面若しくは曲面であるものであり、且つ支持体外
部と電気的に接続するための導線が接続できる部分(接
続端子1b)を有するものであればその形状は特に制限
されず任意の形状を取りうるが、本発明の酸素電極用陰
極を製造する際の生産性を勘案すると、図1に示すよう
な棒状であるのが好適である。即ち、貴金属電極が棒状
である場合には後述するインサート成形をする際に位置
ずれが起こりにくく精度の良い成形が可能となる。そし
て得られた酸素電極用陰極は、図1に示すように該接続
端子1bが支持体外部に突き出た態様となるため、支持
体外部と電気的に接続するための導線を接続する際の操
作性も良好である。
【0016】図1中、2は該貴金属電極を固定するため
の支持体であり、その貴金属電極露出部分1aの近傍の
表面に小室3が設けられている。上記支持体2は、上記
小室3を有し、貴金属電極1を固定できるものであれば
その形状は特に限定されないが、支持体2は該支持体2
に固定された貴金属電極の露出面が酸素透過性膜と接す
るようして酸素電極に組み込まれるため、酸素透過性膜
を傷つけることのないように、少なくともその酸素透過
性膜と接する可能性のある部分はゆるやかな曲面を有す
る形状であるのが好ましい。
【0017】また、上記支持体2の材質は電気絶縁性を
有するものであれば特に限定されず、ガラス、熱可塑性
樹脂および熱硬化性樹脂等、ポーラログラフ式酸素電極
の陰極において貴金属電極支持体として使用されている
公知の材料が使用できるが、成形精度および量産性の観
点から熱可塑性樹脂を用いるのが好適である。熱可塑性
樹脂としては公知の熱可塑性樹脂の中から適宜選択して
使用することができるが、良好な電気絶縁性、低吸水性
および低酸素透過性を有する樹脂が好ましい。
【0018】電気絶縁性については、酸素電極のノイズ
を減少させ充分な感度を得るために、37℃の水中にお
ける体積抵抗率が1010Ω・cm以上、さらに好ましく
は1011Ω・cm以上を有する樹脂が適する。低吸水性
については、酸素電極の印加直後の電気化学的な安定性
およびその後の経時変化を抑制して充分な測定精度を得
るために、飽和吸水率が14%以下、さらに好ましくは
飽和吸水率が11%以下の樹脂が適する。低酸素透過性
については、酸素電極の印加直後の電気化学的な安定性
およびその後の経時変化を抑制して充分な測定精度を得
るために、相対湿度50%のときの酸素透過度が5cm
3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以下、さらに好ましく
は3cm3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以下の樹脂が
適する。これらの条件を満たし好適に使用できる熱可塑
性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート等が挙げられる。
【0019】本発明の酸電極用陰極における最大の特徴
は、支持体2の貴金属電極露出部分1aの近傍の表面に
該貴金属電極露出部分1aから所定の間隔wを置いて所
定の空容積を有する小室3が設けらている点にある。電
極ハウジング内の空隙部に封入されている電解質溶液
(後述する図3の8参照)は該小室3を経由して拡散に
より貴金属電極露出部分1aへ供給されるのであるが、
小室3と電極ハウジング内の空隙部との間では常に拡散
による電解質溶液の均質化が行われている。そして前記
間隔wと小室3の空容積とを予め決められた所定の範囲
とすることにより電解質溶液の上記貴金属電極露出部分
1aへの拡散と上記均質化のバランスが適度に保たれ
る。その結果、電流値安定化時間を長くすることなく電
解質溶液の局所的な変質(導電性の低下等)を防止する
ことができ、本発明の酸素電極用陰極を用いた酸素電極
は、長期安定性が優れたものとなる。
【0020】このように、上記小室3と貴金属電極露出
部分1aとの間隔w及び小室3の空容積は上記バランス
保持機能を発揮して本発明の効果を得る上で重要であ
る。本発明者等の検討によれば、空容積が大きく該小室
3に保持される電解質溶液量が多くなりすぎたり上記間
隔wが短すぎて貴金属電極露出部への電解質溶液の拡散
量が多くなりすぎる場合には、(恐らく酸素を含んだ電
解質溶液が貴金属面近くに滞留し易くなって検知極であ
る貴金属面に常に酸素が供給されるためと思われるが)
電流値安定化時間が長くなったり酸素電極の測定精度が
低下する傾向があること、また逆に小室3の空容積が小
さすぎたり上記間隔wが長すぎたりする場合には(電解
質溶液の局所的な変質が起こるためと思われるが)酸素
応答時間が遅延し、測定の再現性が低下する傾向がある
ことが明らかとなっている。
【0021】上記間隔w及び小室3の空容積は、これら
知見に基づいて使用する電解質溶液の種類や酸素透過膜
と接する貴金属電極や支持体部分の形状等に応じて適宜
決定すればよいが、一般的には、上記間隔wは約0.0
3〜0.5mm、より好ましくは約0.04〜0.3m
mであり、小室3の空容積は約0.2〜0.7μlの範
囲であるのが好適である。ここで、上記間隔wとは、貴
金属電極露出部1a周縁と小室3周縁との最近接距離を
意味し、小室3の空容積とは該小室3に保持し得る電解
質溶液の最大量(μl)で評価されるものである。
【0022】小室3の形状は上記条件を満足するもので
あれば特に限定されず、その数も特に限定されないが、
電解質溶液の拡散効率の点から1〜4個の小室を、貴金
属電極露出部の周縁と各小室の周縁との最近接距離が
0.03〜0.5mm、より好ましくは0.04〜0.
3mmであるように、貴金属電極露出部を取り巻くよう
に配置するのが好適である。代表的な小室3の配置を図
2に示す。なお、一般に使用される電解質溶液はその粘
度が比較的高いため、小室3が電極ハウジング内の空隙
部と連通していても前記バランス保持機能を発揮する
が、比較的低い粘度の電解質溶液を使用する場合には両
者は連通していないことが望ましい。
【0023】本発明の酸素電極用陰極を製造する方法は
特に制限されず、あらかじめ貴金属電極を固定させた支
持体の表面を削って通液用溝部を形成する方法、あらか
じめ通液用溝部が形成された支持体に貴金属電極を後か
ら装着する方法、及び貴金属電極と通液用溝部を有する
支持体を一体成形する方法の何れの方法を採用しても良
い。
【0024】これら製造方法の中でも、通液用溝部の成
形精度および量産性等の観点から、小室3が形成できる
ような凸部(以下、金型凸部ともいう)を設けた金型内
に検知極となる貴金属電極を予めセットしておき、溶融
した熱可塑性樹脂を注入して一体成形する、いわゆるイ
ンサート成形を採用するのが好適である。このとき、貴
金属電極としては、相対湿度90%の雰囲気下で20〜
65℃の温度変化サイクルを繰り返しながら直流100
Vの電圧を7日間印加したときの体積抵抗率が1.0×
1011Ω・cm以上を示すエポキシ系樹脂、不飽和ポリ
エステル系樹脂、ポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂がそ
の側面に13〜27μmの厚さで塗布された貴金属棒を
用いると、該貴金属棒と支持体との密着性が向上するの
で特に好適である。
【0025】上記インサート成形における成形条件は、
支持体となる熱可塑性樹脂の種類に応じて、通常採用さ
れる条件の中から最適な条件を適宜決定すればよい。
【0026】本発明の酸素電極用陰極は、一部の壁が酸
素透過性膜で構成された電極ハウジング(電極容器)内
に対極となる陽極と共に内蔵させ、更に該電極ハウジン
グ内に電解質溶液を封入することにより気体又は液体中
の酸素分圧(酸素濃度)を測定するためのポーラログラ
フ式酸素電極を構成することが出来る。また、上記構成
のポーラログラフ式酸素電極において、酸素透過膜の外
表面にグルコースオキシダーゼ、ウリカーゼなどの酵素
を固定化することにより、酵素センサーを構成し、発酵
プロセスの制御、水質などの環境計測、医療分野におけ
る計測、酵素センサーなどへ応用することが可能であ
る。なお、このとき固定化される酵素及びその固定方法
は特に限定されず、従来の酵素センサーで一般的に使用
されている酵素及び固定化方法が何等制限なく使用でき
る。
【0027】以下、本発明の酸素電極用陰極の用途の応
用例として該陰極を用いて構成したポーラログラフ式酸
素電極(以下、本発明の酸素電極ともいう)について、
図3を用いて更に詳しく説明する。
【0028】図3は、本発明の酸素電極の代表的な構造
を示す断面図である。図3において符号4は電極ハウジ
ングでありその一部は酸素透過性膜7で構成されてい
る。また、該電極ハウジング4の中には、本発明の酸素
電極用陰極5及び対極となる陽極6が内蔵されており、
更にその空隙部には電解質溶液8が封入されている。な
お、該電解質溶液8はその大部分は電極ハウジング4と
酸素電極用陰極5の間の空隙部に存在しているが、その
一部は小室3内部、及び酸素電極用陰極5と酸素透過性
膜7との界面に存在している。また、本発明の酸素電極
に内蔵される本発明の酸素電極用陰極5と陽極6とは電
源9及び電流計10を介在して電気的に接続している。
【0029】本発明における電極ハウジング4は、検知
部の壁が酸素透過性膜7で構成され、電解質溶液を封入
できる容器であれば特に限定されるものではないが、図
3に示すように、筒状の容器の先端部を酸素透過性膜で
構成した構造が一般的である。
【0030】上記電極ハウジング4を構成する酸素透過
性膜7以外の部分の材質としては、中に封入する電解質
溶液に対して耐性を有する公知の材質の中から適宜選択
することができる。このような材質としては、たとえ
ば、ガラス、セラミックスなどの無機物、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリア
セタール、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂等の合成樹脂
等が挙げられる。
【0031】また、酸素透過性膜7の材質は、液体を透
過せず且つ酸素を透過しうる能力を有するものであれば
特に制限されないが、相対湿度50%のときの酸素透過
度が10cm3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以上、さ
らに好ましくは17cm3・cm・m-2・24hr-1・atm
-1以上の樹脂が適する。これらの条件を満たす樹脂の例
としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフ
ッ素樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポ
リメチルペンテン等が一般的に挙げられる。これらのう
ち、酸素透過性が高く、かつ柔軟性のある膜が得られる
フッ素樹脂が特に好適である。
【0032】上記酸素透過性膜の厚さには特に制限はな
いが、透過した酸素を定電位電解電流で検知する上から
1〜100μmとすることが好ましく、膜の取り扱いや
すさも加味すると特に10〜50μmとすることが好ま
しい。
【0033】本発明において、酸素分圧(酸素濃度)測
定のためには、検知極となる陰極が固定された酸素電極
用陰極5の他に、対極となる陽極6が必要である。すな
わち、測定系は電気化学的反応により酸素を電気分解す
るための電極である陰極の他に、上記電気化学反応を進
行させるための回路を構成する陽極を必要とする。陽極
は公知の電極の中から選択して適宜使用することができ
るが、簡便性や生成する化合物の有害性などの見地か
ら、銀電極が好適に使用される。
【0034】また、本発明における酸素分圧(酸素濃
度)測定のための他の構造及び使用の態様は、公知の態
様が特に制限なく採用される。例えば、検知極は電流計
を介して対極と電気的に接続される。
【0035】上記した電極ハウジング内に封入される電
解質溶液8としては、通常のポーラログラフ式酸素電極
で使用される塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化ナト
リウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩を含む水溶液電
解質溶液を何ら制限無く使用することができる。
【0036】本発明の酸素電極を用いて気体または液体
試料中の酸素分圧(酸素濃度)を測定する方法は従来の
ポーラログラフ式酸素電極を用いた測定方法と変わる点
は特になく、例えば次のようにして行うことが出来る。
即ち、まず、上記のようにして構成した酸素電極の陰極
へ、対極に対して−0.8Vを印加し、両電極間に流れ
る電流値が一定になるまで待機した後に、該酸素電極の
酸素透過性膜外表面に酸素分圧(酸素濃度)が既知の液
体または気体を接触させ、系に流れた電流値を電流計で
計測して基準とする。次に、酸素分圧(酸素濃度)を測
定しようとする気体および液体を同様に該酸素透過性膜
外表面に接触させ、その時の電流値を計測する。これを
前出の基準と比較することにより、酸素分圧(酸素濃
度)の測定を行うことが出来る。
【0037】
【実施例】以下に本発明を更に具体的に説明するために
実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0038】実施例1 直径1mmの金棒に熱硬化型エポキシ樹脂を15μmの
厚さに塗布したものを下記小室部を与えるような金型凸
部を有する金型内に挿入し、次いで該金型内に溶融した
ポリエチレンテレフタレートを圧入した後冷却して、外
径6.5mmで支持体全長27mmである図1に示すよ
うな形状の酸素電極用陰極を製作した。なお、この酸素
電極用陰極における小室部の形状及び配置は図2−dに
示すものと同様であり、各小室と貴金属電極露出部との
間隔(w)は何れも0.2mmであり、各小室の空容積
は何れも0.37μlである。
【0039】次に、これらの酸素電極用陰極を用いて図
2に示す構造の酸素電極を構成した。即ち、内径10m
mの電極ハウジングの中に酸素電極用陰極と対極となる
径1mmの銀線を設置するとともに、酸素透過性膜とし
て厚さ約25μmのポリテトラフルオロエチレンフィル
ムを配置し、さらに、電極ハウジング内に表1に示す組
成の電解質溶液を封入した。
【0040】
【表1】
【0041】この様にして作製した酸素電極を10本用
意し、各酸素電極の陰極へ、対極に対して−0.8Vを
印加し、両電極間に流れる電流値が一定になるまでに要
した時間(電流値安定化時間)を測定してその平均値を
求めた。また、温度20℃にて、酸素電極の窒素気流中
における定常電流値を基準として、当該酸素電極を大気
中から窒素気流中に移した後の電流値を経時的に測定
し、その変化量が定常電流値に達するまでの変化量の9
0%に達するまでの時間を求め、その平均値を初期の酸
素応答時間とした。さらに、37℃で3週間にわたり、
各酸素電極の検知極へ、対極に対して−0.8Vを印加
した後、上記のようにして3週間後の酸素応答時間を測
定した。その結果、電流値安定化時間は13分であり、
初期の酸素応答時間は6.7秒であり、3週間後の酸素
応答時間は9.4秒であった。
【0042】実施例2〜5 金型凸部の位置及び大きさが異なる金型を用いる以外は
実施例1と同様にして、表2に示す貴金属電極露出部と
の間隔(w)及び空容積を有する酸素電極用陰極を作製
し、各酸素電極用陰極について実施例1と同様に酸素電
極を組み立て、それぞれの酸素電極について電流値安定
化時間、初期の酸素応答時間及び3週間後の酸素応答時
間を測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】比較例1 金型凸部がない金型を用いる以外は実施例1と同様にし
て、小室のない酸素電極用陰極を作製し、各酸素電極用
陰極について実施例1と同様に酸素電極を組み立て、そ
れぞれの酸素電極について電流値安定化時間、初期の酸
素応答時間及び3週間後の酸素応答時間を測定した。そ
の結果を表2に示す。
【0045】比較例2〜5 金型凸部の位置及び大きさが異なる金型を用いる以外は
実施例1と同様にして、表2に示す貴金属電極露出部と
の間隔(w)及び空容積を有する酸素電極用陰極を作製
し、各酸素電極用陰極について実施例1と同様に酸素電
極を組み立て、それぞれの酸素電極について電流値安定
化時間、初期の酸素応答時間及び3週間後の酸素応答時
間を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【発明の効果】本発明の酸素電極用陰極を用いて構成さ
れた酸素電極は、電流値安定化時間が短く、しかも長期
間使用しても酸素応答時間の遅延が生じず、高い再現性
の測定を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸素電極用陰極の断面図である。
【図2】 本発明の代表的な酸素電極用陰極の上視図で
ある。
【図3】 本発明の酸素電極の断面図である。
【符号の説明】
1・・・貴金属電極 1a・・貴金属電極露出部分 1b・・接続端子 2・・・支持体 3・・・小室 4・・・電極ハウジング 5・・・本発明の酸素電極用陰極 6・・・陽極 7・・・酸素透過性膜 8・・・電解質溶液 9・・・電源 10・・電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 肥川 勇二 東京都日野市日野320番地の11 株式会社 エイアンドティー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体内に、その一部が該支持体の表面
    とほぼ同一面を形成するように露出した状態で貴金属電
    極が固定され、支持体外部と電気的に接続できる酸素電
    極用陰極において、該貴金属電極の露出部分近傍の支持
    体表面に該貴金属電極の露出部分から所定の間隔を置い
    て所定の空容積を有する小室が設けられていることを特
    徴とする酸素電極用陰極。
  2. 【請求項2】 支持体が熱可塑性樹脂からなる請求項1
    記載の酸素電極用陰極。
  3. 【請求項3】 絶縁性樹脂で被覆された貴金属棒を金型
    内に挿入し、次いで該金型内に溶融した熱可塑性樹脂を
    導入してインサート成形することを特徴とする請求項2
    記載の酸素電極用陰極の製造方法。
  4. 【請求項4】 一部の壁が酸素透過性膜により構成され
    た電極ハウジングの内部に陰極、陽極及び電解質溶液が
    内蔵されたポーラログラフ式酸素電極において、陰極が
    請求項1又は請求項2記載の酸素電極用陰極であること
    を特徴とするポーラログラフ式酸素電極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009069025A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Dkk Toa Corp 隔膜式過酸化水素電極

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