JPH11180982A - 新規アデニン誘導体及びその医薬用途 - Google Patents

新規アデニン誘導体及びその医薬用途

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JPH11180982A
JPH11180982A JP35482197A JP35482197A JPH11180982A JP H11180982 A JPH11180982 A JP H11180982A JP 35482197 A JP35482197 A JP 35482197A JP 35482197 A JP35482197 A JP 35482197A JP H11180982 A JPH11180982 A JP H11180982A
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義明 磯部
Haruhisa Ogita
晴久 荻田
Masanori Tobe
雅則 戸辺
春雄 ▲高▼久
Haruo Takaku
Hiroyuki Matsui
広行 松井
Hideyuki Tomizawa
秀行 富澤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 種々のウイルス疾患、癌疾患、あるいはアレ
ルギー性疾患に対する治療の用途に適する新規なインタ
ーフェロン分泌誘発剤、タイプ2ヘルパーT細胞選択的
免疫応答抑制剤あるいは免疫応答調節剤の提供。 【解決手段】 一般式(I): (式中、R2 は CF3、CF3CF2又はClを表し;R8 は水酸
基、SH、アシルオキシ基、炭化水素基置換オキシカルボ
ニルオキシ基を表し;R9 は置換されていてもよい炭化
水素基を表す。)で示されるアデニン誘導体もしくはそ
の互変異性体又はそれらの塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、B型及びC型肝
炎、エイズなどのウイルス疾患、癌疾患、更には、喘息
やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の治療に対
しても有用なアデニン誘導体、並びにこのアデニン誘導
体を有効成分とする医薬組成物、具体的には、インター
フェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイプ2
ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギー剤
及び免疫応答調節剤に関する。
【0002】
【従来の技術】インターフェロンは感染防御や免疫調節
を担う最も重要な因子の一つであり、B型及びC型肝炎
治療剤、或いは癌免疫療法剤として既に実用化されてい
る。特にC型肝炎においては事実上唯一の治療薬となっ
ている。インターフェロンは分子量約2万のポリペプチ
ドであるため、注射剤投与のみが可能である。実際の治
療において、対象疾患の多くは慢性疾患であるため長期
の通院による生活上の制限や長期投与における治療効果
の減弱などが問題になっており、経口投与可能な誘発剤
が望まれている。
【0003】これまでインターフェロン誘発作用を持つ
物質としては、ウイルスや他の生物由来の二本鎖核酸、
ポリ(I):ポリ(C)やポリカルボキシレートなどの
高分子ポリマーが知られているが、二本鎖核酸や高分子
ポリマーは、抗原性や病原微生物による汚染の危険、生
物学的安定性等で問題がある上、高分子であるため経口
剤としての開発は困難である。低分子インターフェロン
誘発性化合物として、フルオレノン類、ピリミジノン
類、アントラキノン類など幾つかのものが検討されてき
たが(Mayer, G.D., et al.: Science, 1970, 169, 121
4 、Nichol, F.R., et al.: Antimicrob. Agents Chemo
ther., 1976, 9, 433 、Stringfellow, D.A., et al.:
Antimicrob. Agents Chemother., 1991, 15, 111)、治
療効果が低く、或いは毒性のため医薬品としての開発は
断念された(Reiter, M.A., et al.: J. Leukocyte Bio
l., 1994, 55, 234)。別の低分子インターフェロン誘発
性化合物として、イミダゾキノリン類も知られているが
(EP 145,340 A) 、これらは他のサイトカイン、特にT
NF−αやIL−6に対する誘発性も持ち、またインタ
ーフェロン誘発作用自体、更なる向上が望まれるもので
あった。
【0004】一方、喘息、アトピー性皮膚炎などのアレ
ルギー性疾患はタイプ2ヘルパーT細胞による異常な免
疫応答が原因となっている。従来、これらアレルギー性
疾患の治療に用いられてきた抗ヒスタミン薬や膜安定化
剤はタイプ2ヘルパーT細胞自体の機能を抑えるわけで
はなく、タイプ2ヘルパーT細胞が産生する種々のTh
2型サイトカインにより誘起されたアレルギー反応の下
流の一部(ヒスタミンなど)を抑えるのみであった。そ
のため、これら抗ヒスタミン薬や膜安定化剤などの薬剤
による臨床効果は必ずしも十分ではないものであった。
一方、臨床上著効を示すステロイドはタイプ2ヘルパー
T細胞自体の機能(免疫応答)を抑制する作用を有す
る。しかしながら、ステロイドは多面的な作用を有して
おり、その多面性が災いして、糖尿病、感染症、骨粗し
ょう症などの副作用となって現れるため、継続的な使用
には難点のある薬剤である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記状況に鑑み、本発
明の目的は、B型及びC型肝炎、エイズなどのウイルス
疾患、癌疾患、更には、喘息やアトピー性皮膚炎などの
アレルギー性疾患などの治療に対して有用で、経口投与
が可能でありかつ高いインターフェロン誘発作用及びタ
イプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制作用を示す低
分子化合物、並びに該化合物を有効成分とする医薬組成
物、具体的には、インターフェロン分泌誘発剤、抗ウイ
ルス剤、抗癌剤、タイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応
答抑制剤、抗アレルギー剤及び免疫応答調節剤を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる背景から、本発明
者らは低分子でかつ経口投与可能なインターフェロン誘
発剤を開発すべく鋭意検討した結果、特定構造を有する
アデニン誘導体が、際だったインターフェロン分泌誘発
性を有することを見いだし、加えて、これらの化合物は
タイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制作用、具体
的には、タイプ2ヘルパーT細胞が産生するTh2型サ
イトカインの産生抑制作用を有していることも併せて見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、一般式(I):
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R2 はトリフルオロメチル基、ペ
ンタフルオロエチル基又はクロロ基を表し;R8 は水酸
基、メルカプト基、炭素数18以下のアシルオキシ基、炭
素数19以下の炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ
基を表し;Rは炭素数14以下の炭化水素基を表し、
該炭化水素基中、アデニン骨格に直接結合しない−CH
2 −及びアデニン骨格に直接結合しない−CH3 のCH
2 はカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で
置き換えられていてもよく、=CH2 は=O又は=Sで
置き換えられていてもよく、またアデニン骨格に直接結
合しない−CH2 −のC−H、アデニン骨格に直接結合
しない−CH3 のC−H、アデニン骨格に直接結合しな
い>CH−のC−H、アデニン骨格に直接結合しない=
CH−のC−H、=CH2 のC−H及び≡CHのC−H
は、N、C−ハロゲン又はC−CNで置き換えられてい
てもよい。)で示されるアデニン誘導体もしくはその互
変異性体又はそれらの薬学的に許容される塩、並びに該
化合物を有効成分とする医薬組成物、具体的には、イン
ターフェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイ
プ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギ
ー剤及び免疫応答調節剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のアデニン誘導体を更に詳
細に説明すると、前記一般式(I)における炭化水素基
とは、直鎖又は分岐を有する鎖式炭化水素基、側鎖のな
い又は側鎖のある単環式炭化水素基、側鎖のない又は側
鎖のある多環式炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある
スピロ炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある環集合構
造の炭化水素基、あるいは、前記の環式炭化水素基が置
換した鎖式炭化水素基のいずれをも含む。また、飽和な
炭化水素基及び不飽和な炭化水素基のいずれをも含む
が、不飽和な炭化水素基において、C=C=Cのケチン
構造を含む基は除く。直鎖又は分岐を有する鎖式炭化水
素基としては、例えば、飽和な鎖式炭化水素基である、
炭素数1以上の直鎖のアルキル基、炭素数3以上の分岐
のアルキル基、不飽和な鎖式炭化水素基である、炭素数
2以上の直鎖のアルケニル基、炭素数3以上の分岐のア
ルケニル基、炭素数3以上の直鎖のアルキニル基、炭素
数4以上の分岐のアルキニル基、炭素数4以上の直鎖の
アルカジエニル基、炭素数5以上の分岐のアルカジエニ
ル基などを例示することができる。単環式炭化水素基と
しては、例えば、飽和な単環式炭化水素基である、炭素
数3以上の側鎖のないシクロアルキル基、総炭素数4以
上の側鎖のあるシクロアルキル基、不飽和な単環式炭化
水素基である、炭素数4以上の側鎖のないシクロアルケ
ニル基、総炭素数5以上の側鎖のあるシクロアルキニル
基、炭素数5以上の側鎖のないシクロアルカジエニル
基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルカジエニル
基などを例示することができる。芳香族炭化水素基とし
ては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、
9−アントリル基など総炭素数6〜14の側鎖のない芳
香族基、総炭素数7以上の側鎖のある芳香族基、更に
は、環集合構造の炭化水素基でもある、炭素数12のフ
ェニルフェニル基、総炭素数13以上の側鎖のあるフェ
ニルフェニル基を例示することができる。多環式炭化水
素基としては、炭素数6以上の側鎖のない縮合環式炭化
水素基、総炭素数7以上の側鎖のある縮合環式炭化水素
基、炭素数7以上の側鎖のない架橋環式炭化水素基、総
炭素数8以上の側鎖のある架橋環式炭化水素基、総炭素
数9以上の側鎖のないスピロ炭化水素基、総炭素数10
以上の側鎖のあるスピロ炭化水素基などを例示すること
ができる。なお、前記の側鎖のない縮合環式炭化水素基
において、縮合する環の一つがベンゼン環である場合、
その総炭素数が9以上となるものを挙げることができ、
前記の側鎖のある縮合環式炭化水素基において、縮合す
る環の一つがベンゼン環である場合、その総炭素数が1
0以上となるものを挙げることができる。環集合構造の
炭化水素基としては、総炭素数6以上の側鎖のないシク
ロアルキルシクロアルキル基、総炭素数7以上の側鎖の
あるシクロアルキルシクロアルキル基、総炭素数6以上
の側鎖のないシクロアルキリデンシクロアルキル基、総
炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキリデンシクロア
ルキル基などを例示することができる。なお、これら環
式炭化水素において、側鎖のあるとは、環上に鎖式炭化
水素基が置換していることを意味する。上述する環式炭
化水素基が置換した鎖式炭化水素基としては、総炭素数
7以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖のアルキ
ル基、総炭素数8以上の側鎖のある芳香族基で置換され
た直鎖のアルキル基、総炭素数9以上の側鎖のない芳香
族基で置換された分岐のアルキル基、総炭素数10以上
の側鎖のある芳香族基で置換された分岐のアルキル基、
総炭素数8以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖
のアルケニル基、総炭素数9以上の側鎖のある芳香族基
で置換された直鎖のアルケニル基、総炭素数9以上の側
鎖のない芳香族基で置換された分岐のアルケニル基、総
炭素数10以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐
のアルケニル基、総炭素数8以上の側鎖のない芳香族基
で置換された直鎖のアルキニル基、総炭素数9以上の側
鎖のある芳香族基で置換された直鎖のアルキニル基、総
炭素数10以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐
のアルキニル基、総炭素数11以上の側鎖のある芳香族
基で置換された分岐のアルキニル基、総炭素数10以上
の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖のアルカジエニ
ル基、総炭素数11以上の側鎖のある芳香族基で置換さ
れた直鎖のアルカジエニル基、総炭素数11以上の側鎖
のない芳香族基で置換された分岐のアルカジエニル基、
総炭素数12以上の側鎖のある芳香族基で置換された分
岐のアルカジエニル基、総炭素数4以上の側鎖のないシ
クロアルキル基で置換された直鎖のアルキル基、総炭素
数5以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直
鎖のアルキル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロア
ルキル基で置換された分岐のアルキル基、総炭素数7以
上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のア
ルキル基、総炭素数5以上の側鎖のないシクロアルキル
基で置換された直鎖のアルケニル基、総炭素数6以上の
側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルケ
ニル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキル基
で置換された分岐のアルケニル基、総炭素数7以上の側
鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のアルケニ
ル基、総炭素数5以上の側鎖のないシクロアルキル基で
置換された直鎖のアルキニル基、総炭素数6以上の側鎖
のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルキニル
基、総炭素数7以上の側鎖のないシクロアルキル基で置
換された分岐のアルキニル基、総炭素数8以上の側鎖の
あるシクロアルキル基で置換された分岐のアルキニル
基、総炭素数7以上の側鎖のないシクロアルキル基で置
換された直鎖のアルカジエニル基、総炭素数8以上の側
鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルカジ
エニル基、総炭素数8以上の側鎖のないシクロアルキル
基で置換された分岐のアルカジエニル基、総炭素数9以
上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のア
ルカジエニル基などを例示することができる。
【0011】なお、以下では、側鎖のない芳香族基、側
鎖のある芳香族基、及び、フェニルフェニル基又は側鎖
のあるフェニルフェニル基などを併せて、アリール基と
呼び、このアリール基で置換された直鎖又は分岐のアル
キル基をアラルキル基と呼ぶ。他の環式炭化水素基に関
しても、特に明記しない場合、環上に側鎖のないものと
あるものを併せて指す場合には、単にシクロアルキル基
等の名称を用いる。鎖式炭化水素基についても、直鎖の
ものと分岐のあるものを併せて指す場合には、単にアル
キル基等の名称を用いる。
【0012】該炭化水素基中、−CH2 −がカルボニル
基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられる
と、それぞれケトン、スルホン、エーテル又はチオエー
テルの構造が導入され、−CH3 の−CH2 −がカルボ
ニル基、−O−又は−S−で置き換わると、それぞれホ
ルミル基(アルデヒド)、水酸基又はメルカプト基に変
わり、あるいは、末端の=CH2 が=O又は=Sに置き
換わると、ケトン、チオケトンの構造が導入されること
を意味し、また、−CH2 −のC−HがNに変わると、
−NH−となり、>CH−のC−HがNに変わると、>
N−となり、=CH−のC−HがNに変わると、=N−
となり、末端の−CH3 のC−HがNに変わると、−N
2 が導入され、=CH2 のC−HがNに変わると、=
NHとなり、C≡CHのC−HがNに置換されると、C
≡N;シアノ基への変換となる。また、−CH3 、−C
2 −、=CH−、≡CH又は>CH−のC−HがC−
ハロゲン又はC−CNで置き換えられると、当該炭素上
へハロゲノ基又はシアノ基を置換することになる。な
お、炭素鎖中における−O−、−S−、Nへの置き換え
は、当該炭化水素基に対する、それぞれオキサ置換、チ
ア置換、アザ置換に当たり、例えば、炭化水素環の環の
骨格炭素で起こると、炭化水素環のそれぞれ含酸素複素
環、含硫黄複素環、含窒素複素環への変換となる。該炭
化水素基中、CH2 及びC−Hにおける置き換えは、そ
れぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の置き換えを
行った後、なお当該炭素上にCH2 又はC−Hが残存す
る際には、更に置き換えがなされてもよい。更には、前
記の置き換えにより、−CH2 −CH2 −の−CO−O
−;エステル構造や−CO−S−;チオエステル構造へ
の変換など、−CH2 −CH2 −CH2 −の−O−CO
−O−;炭酸エステル構造や−NH−CO−NH−;ウ
レア構造(ウレイレン基)への変換など、−CH2−C
3 の−CO−O−H;カルボン酸構造、−CO−NH
2 ;アミド構造や−SO2 −NH2 ;スルホンアミド構
造への変換などもなされる。なお、ハロゲンとは、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素を指すが、特には、フッ素、塩
素、臭素が好ましい。
【0013】従って、前記一般式(I)においてR9
表される炭素数14以下の炭化水素基としては、鎖式炭
化水素基及び環式炭化水素基など環構造を有する炭化水
素基のいずれをも選択でき、例えば、飽和鎖式炭化水素
基である直鎖又は分岐のアルキル基、不飽和鎖式炭化水
素基である直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐
のアルキニル基、直鎖又は分岐のアルカジエニル基な
ど、飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基、不
飽和な環式炭化水素基であるシクロアルケニル基、シク
ロアルキニル基、シクロアルカジエニル基など、芳香環
式炭化水素基であるアリール基、アラルキル基、アリー
ルアルケニル基などが挙げられる。
【0014】更に詳しくいえば、直鎖又は分岐のアルキ
ル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル
基、ペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、1
−メチルペンチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル
基、1−エチルペンチル基、オクチル基、ノニル基、デ
シル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチ
ル基、3−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3
−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、メチルヘ
キシル基、メチルヘプチル基、メチルオクチル基、メチ
ルノニル基、1, 1−ジメチルエチル基、1, 1−ジメ
チルプロピル基、2, 6−ジメチルヘプチル基、3, 7
−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基など、シ
クロアルキルアルキル基としては、シクロペンチルメチ
ル基、シクロヘキシルメチル基など、シクロアルキル基
としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ
ペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル
基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シク
ロオクチル基など、ビシクロアルキル基としては、ノル
ボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダ
マンチル基などが挙げられる。
【0015】直鎖又は分岐のアルケニル基としては、例
えばビニル基、アリル基、クロチル基(2−ブテニル
基)、イソプロペニル基(1−メチルビニル基)など、
シクロアルケニル基又はシクロアルカジエニル基として
は、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シ
クロヘキセニル基、シクロヘキサンジエニル基などが挙
げられる。直鎖又は分岐のアルキニル基としては、例え
ばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げら
れる。アリール基としては、例えばフェニル基、1−ナ
フチル基、2−ナフチル基、2−フェニルフェニル基、
3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、9
−アントリル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル
基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、エチル
メチルフェニル基、ジエチルフェニル基、プロピルフェ
ニル基、ブチルフェニル基などが挙げられる。
【0016】アラルキル基としては、例えばベンジル
基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、フ
ェネチル基(2−フェニルエチル基)、1−フェニルエ
チル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェ
ニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル
基、メチルフェネチル基、ジメチルベンジル基、ジメチ
ルフェネチル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジ
ル基、ジエチルベンジル基などが挙げられる。前記ベン
ジル基の環中のC−Hが窒素原子で置き換えられていて
もよく、また環上の水素原子はハロゲノ基(特にはクロ
ロ基、ブロモ基、フルオロ基)、トリフルオロメチル
基、ニトロ基、アミノ基などで置き換えられていてもよ
く、メチル基などの低級アルキル基等を環上の側鎖とし
て置換していてもよい。加えて、アラルキル基と類似し
ている、芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、
含窒素複素環により置換されたアルキル基及びその複素
環上に更に置換基又は側鎖を有するものも好ましいもの
となる。具体的には、置換ベンジル基の好ましい例とし
ては、例えば2−フルオロベンジル基、3−フルオロベ
ンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジ
ル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、
2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブ
ロモベンジル基、2−トリフルオロメチルベンジル基、
3−トリフルオロメチルベンジル基、4−トリフルオロ
メチルベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロ
ベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−アミノベンジ
ル基、3−アミノベンジル基、4−アミノベンジル基、
2,3−ジクロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジ
ル基、3,5−ジクロロベンジル基、4−アミノ−3−
クロロベンジル基、3−アミノ−4−クロロベンジル
基、4−アミノ−3−ブロモベンジル基、3−アミノ−
4−ブロモベンジル基、非置換又は置換ベンジル基のベ
ンゼン環中のC−Hが窒素原子で置き換えられたアザ置
換の基である、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメ
チル基、4−ピリジルメチル基などが挙げられる。ま
た、芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒
素複素環により置換されたアルキル基及びその環上に更
に置換基を有する基においては、該基を構成する芳香族
性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環と
して、一ヘテロ原子置換体である5員環のフラン環、チ
オフェン環、ピロール環、二ヘテロ原子置換体である5
員環のオキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール
環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピラゾー
ル環など、6員環のベンゼン環における一アザ置換体で
あるピリジン環、二アザ置換体である、ピリミジン環、
ピラジン環、ピリダジン環等、三アザ置換体であるトリ
アジン環類、これら単環のものが、更に前記の5員環又
はベンゼン環やそのアザ置換された6員環と縮合し縮合
二環系を形成するもの、例えば、ベンゾフラン環、ベン
ゾチオフェン環、ベンゾピロール環、ベンゾイミダゾー
ル環などの5員環と6員環が縮合するもの、6員環同士
が縮合した、ナフタレン環のアザ置換体にあたる、キノ
リン環、イソキノリン環、キノキサリン環等の種々のア
ザナフタレン環を挙げることができ、その他、環上に置
換するオキソ基とともに芳香族環と類した共役系を形成
する4−ピラン−4−オン構造等、あるいは、1,4
−ジチアナフタレン環等の系全体として芳香族環と類し
た共役系を形成する構造のものをも挙げることができ
る。これら芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素
環、含窒素複素環により置換されたアルキル基におい
て、非置換又は置換ベンジル基と類する構造、即ち、メ
チル基に前記芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素
環、含窒素複素環、特には単環のものが置換するもの
は、非置換又は置換ベンジル基と同じくより好ましいも
のとみなせ、加えて、置換ベンジル基において好ましい
置換基又は側鎖が、その環上に置換していてもよい。ア
リールアルケニル基としては、例えばスチリル基、メチ
ルスチリル基、エチルスチリル基、ジメチルスチリル
基、3−フェニル−2−プロペニル基などが挙げられ
る。
【0017】R9 で表される前記の炭化水素基中のCH
2 がカルボニル基、スルホニル基、O又はSで、又はC
−HがN、C−ハロゲン又はC−CNで置き換えられた
基としては、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステ
ル、チオエステル、アミド、炭酸エステル、カルバミン
酸エステル、スルホン、スルホンアミド、エーテル、チ
オエーテル、アミン、アルコール、チオール、ハロゲ
ン、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環などの
構造を一つ以上含む基が挙げられる。なお、含酸素複素
環、含硫黄複素環、含窒素複素環とは、環式炭化水素基
の環骨格の炭素がそれぞれ酸素、硫黄、窒素で置き換わ
るものを意味し、更には、これらヘテロ原子置換が二種
以上ある複素環であってもよい。前記の置換を有する炭
化水素基としては、例えば、ケトン構造のアセチルメチ
ル基、スルホン構造のメタンスルホニルメチル基、エー
テル構造のメトキシメチル基、メトキシエチル基、エト
キシエチル基、メトキシプロピル基、ブトキシエチル
基、エトキシエトキシエチル基、チオエーテル構造のメ
チルチオメチル基、アミン構造のメチルアミノメチル
基、ジメチルアミノメチル基、メチルアミノエチル基、
プロピルアミノメチル基、シクロペンチルアミノメチル
基、エステル構造のメトキシカルボニルメチル基、アセ
トキシメチル基、アミド構造のアセチルアミノメチル
基、アセチルアミノエチル基、含酸素複素環のテトラヒ
ドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリル
エチル基、エーテル構造のメトキシフェニル基、チオエ
ーテル構造のメチルチオフェニル基、ケトン構造のアセ
チルフェニル基、炭酸エステル構造のメトキシカルボニ
ルオキシフェニル基、エトキシカルボニルオキシフェニ
ル基、ジメトキシフェニル基、エステル構造のメトキシ
カルボニルフェニル基、アセトキシフェニル基、メチル
アミノカルボニルフェニル基、含酸素複素芳香環のフリ
ル基、含硫黄複素芳香環のチエニル基、含窒素複素芳香
環のピロリル基、ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、
オキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリ
ミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、テトラジニ
ル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリジルメチル
基、フェノキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、
アルコール構造の2−ヒドロキシエチル基、チオール構
造の2−メルカプトエチル基、アミン構造の2−アミノ
エチル基、2−クロロエチル基、2−ヒドロキシプロピ
ル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトプロ
ピル基、3−メルカプトプロピル基、2−アミノプロピ
ル基、3−アミノプロピル基、2−クロロプロピル基、
3−クロロプロピル基、2, 3−ジヒドロキシプロピル
基、2, 3−ジメルカプトプロピル基、2, 3−ジアミ
ノプロピル基、2−アミノ−3−ヒドロキシプロピル
基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒド
ロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロ
キシブチル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル
基、4−アミノブチル基、2−メルカプトブチル基、3
−メルカプトブチル基、4−メルカプトブチル基、2−
クロロブチル基、3−クロロブチル基、4−クロロブチ
ル基、2, 3−ジヒドロキシブチル基、2, 4−ジヒド
ロキシブチル基、3, 4−ジヒドロキシブチル基、2,
3−ジアミノブチル基、2, 4−ジアミノブチル基、
3, 4−ジアミノブチル基、2−アミノ−3−ヒドロキ
シブチル基、3−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、2
−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2−
ヒドロキシブチル基、3−アミノ−4−ヒドロキシブチ
ル基、4−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、2, 3,
4−トリヒドロキシブチル基、2, 3, 4−トリアミノ
ブチル基、2, 4−ジアミノ−3−ヒドロキシブチル
基、3−アミノ−2, 4−ジヒドロキシブチル基、2,
3−ジアミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−
2, 3−ジヒドロキシブチル基、3, 4−ジアミノ−2
−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−3,4−ジヒドロ
キシブチル基、アミノスルホニルフェニル基、ヒドロキ
シフェニル基、アミノフェニル基、メルカプトフェニル
基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフ
ェニル基、シアノフェニル基、ジヒドロキシフェニル
基、ジアミノフェニル基、ジフルオロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロフルオロ
フェニル基、トリフルオロフェニル基、トリクロロフェ
ニル基、フルオロメチルフェニル基、トリフルオロメチ
ルフェニル基、アミノメチルフェニル基、ヒドロキシメ
チルフェニル基、ヒドロキシエチルフェニル基、アミノ
ヒドロキシフェニル基、フルオロヒドロキシフェニル
基、クロロヒドロキシフェニル基、ヒドロキシカルボニ
ルフェニル基、アミノカルボニルフェニル基などが挙げ
られる。
【0018】R8 で表される炭素数18以下のアシルオキ
シ基は、上述の炭化水素基から選択される炭素数17以下
の炭化水素基又は水素がカルボニル基に置換してなるア
シル基がオキシ基に置換したものを意味し、例えばホル
ミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ
基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキ
サノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイ
ルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ
基、ウンデカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、
トリデカノイルオキシ基、テトラデカノイルオキシ基、
ペンタデカノイルオキシ基、ヘキサデカノイルオキシ
基、ヘプタデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキ
シ基、2, 2−ジメチルプロパノイルオキシ基、ベンゾ
イルオキシ基、メチルベンゾイルオキシ基、ジメチルベ
ンゾイルオキシ基、トリメチルベンゾイルオキシ基、エ
チルベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基
などが挙げられる。
【0019】R8 で表される炭素数19以下の炭化水素基
置換オキシカルボニルオキシ基は、上述した種々の炭化
水素基で炭素数19以下のものがオキシカルボニルオキシ
基に置換した基を意味し、例えばメトキシカルボニルオ
キシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカル
ボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基、ペンチ
ロキシカルボニルオキシ基、ヘキシロキシカルボニルオ
キシ基、ヘプチロキシカルボニルオキシ基、オクチロキ
シカルボニルオキシ基、イソプロピルオキシカルボニル
オキシ基、イソブチルオキシカルボニルオキシ基、t−
ブチルオキシカルボニルオキシ基、イソペンチルオキシ
カルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ
基などが挙げられる。
【0020】R8 がアシルオキシ基又は炭化水素基置換
オキシカルボニルオキシ基である化合物は、R8 が水酸
基である化合物のエステルに相当し、R8 が水酸基であ
る化合物の溶解性、吸収性、体内安定性の向上を目的と
したプロドラッグ化合物に相当するものである。即ち、
該エステルが生体内で代謝を受けると、活性本体である
8 が水酸基である化合物となる。
【0021】一般式(I)で示される化合物とその互変
異性体は化学的には等価であり、本発明のアデニン誘導
体は該互変異性体も含む。例えば、R8 が水酸基の場
合、一般式(I)で示される化合物は一般式(II):
【0022】
【化3】
【0023】(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式
(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)のヒドロキ
シ誘導体となるが、該誘導体の互変異性体として一般式
(III):
【0024】
【化4】
【0025】(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式
(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)のオキソ誘
導体がある。また、R8 がメルカプト基の場合、一般式
(I)で示される化合物は一般式(IV):
【0026】
【化5】
【0027】(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式
(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)のメルカプ
ト誘導体となるが、該誘導体の互変異性体として一般式
(V):
【0028】
【化6】
【0029】(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式
(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)のチオキソ
誘導体がある。
【0030】本発明のアデニン誘導体において、好まし
い態様の一例としては、R8 に水酸基を選択する、前記
一般式(II)で示される8−ヒドロキシアデニン誘導体
が挙げられる。但し、一般式(II)において、R8 にア
シルオキシ基又は炭化水素基置換オキシカルボニルオキ
シ基を選択する化合物、即ち、一般式(VI):
【0031】
【化7】
【0032】(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式
(I)のR2 及びR9 と同義の基を表し、R8'は、R8'
−CO−O−が一般式(I)のR8 におけるアシルオキ
シ基となる炭化水素基を表す。)又は一般式(VII) :
【0033】
【化8】
【0034】(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式
(I)のR2 及びR9 と同義の基を表し、R8'は、R8'
−O−CO−O−が一般式(I)のR8 における炭化水
素基置換オキシカルボニルオキシ基となる炭化水素基を
表す。)示される化合物は、前記一般式(II)で示され
る化合物のプロドラッグ化したものに相当するので、そ
の意味において遜色のない化合物と見なせる。
【0035】R9 について、その好ましい選択の一例を
上に述べたが、R9 において、非置換又は置換のベンジ
ル基を選択するとより好ましい。なお、R9 の置換のベ
ンジル基とは、該ベンゼン環の炭素が窒素で置き換わる
窒素置換のものをも含み、環上の置換基としては、側鎖
の鎖式炭化水素基及びそれから誘導される基として、先
に説明したCH2 がカルボニル基、スルホニル基、O又
はSで、又はC−HがN、C−ハロゲン又はC−CNで
置き換えにより誘導される種々の構造、具体的には、ケ
トン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、チオエステ
ル、アミド、炭酸エステル、カルバミン酸エステル、ス
ルホン、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、ア
ミン、アルコール、チオール、ハロゲンなどの構造を持
つものを含む。なかでも、上で例示した好ましい置換ベ
ンジル基において見出される、ハロゲノ基(特には、フ
ルオロ基、クロロ基、ブロモ基)、ハロゲノ置換アルキ
ル基はより好ましいものの一例である。
【0036】R9 に、非置換の、又は置換のベンジル基
を選択する好ましい態様の具体例としては、例えば、一
般式(II)又は一般式(IV)で示される化合物におい
て、R9 に、非置換の、又は一置換もしくは二置換のベ
ンジル基を選択する一般式(VIII)又は一般式(IX):
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】(式中、R2 はトリフルオロメチル基、ペ
ンタフルオロエチル基又はクロロ基を表し;Ra及びR
bは、それぞれ、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基又は
炭化水素基を表し、該炭化水素基中、−CH2 −及び−
CH3 のCH2 はカルボニル基、スルホニル基、−O−
又は−S−で置き換えられていてもよく、=CH2 は=
O又は=Sで置き換えられていてもよく、また−CH2
−のC−H、−CH3 のC−H、>CH−のC−H、=
CH−のC−H及び=CH2 のC−Hは、N、C−ハロ
ゲン又はC−CNで置き換えられていてもよい。)で示
される化合物が挙げられる。前記の一般式(VIII)又は一
般式(IX)において、そのベンジル基の4位、3位に存
在する置換基Ra、Rbは、好ましくは、水素原子、ア
ルキル基、ハロゲノ基、ハロゲノ置換アルキル基、アミ
ノ基などから選択され、共に水素原子を選択するか、R
bに水素原子を選択すると更に好ましい。
【0040】本発明のアデニン誘導体の製法を以下に詳
述する。前記一般式(I)において、R2 は、トリフル
オロメチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロ基のい
ずれかであるが、それに加えて、R8 の選択によって幾
つかの製法が挙げられる。下に、それら複数の合成法の
概要を述べる。
【0041】(1)R8 =OHあるいはSHの場合;前
記一般式(II)又は一般式(IV)で示される化合物 a.R2 がトリフルオロメチル基あるいはペンタフルオ
ロエチル基である誘導体の合成法概要(Scheme 1)
【0042】
【化11】
【0043】5−アミノイミダゾール−4−カルボキサ
ミドへ水酸化ナトリウム、水素化ナトリウムなどの塩基
存在下に、R9 を含む各種の置換ハライドR9 −X(X
は、ハロゲンを示す。)を用いて1位を置換して1−置
換−5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドへ導
く。溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどが用いられるが、塩基に応じて適宜選択すればよ
く、反応温度は室温から80℃位の範囲で行うことができ
る。この1−置換−5−アミノイミダゾール−4−カル
ボキサミドへR2 を含むR2 −COOEt、(R2 −C
O) 2 O又はR2 −COClを反応させると、2,9−
二置換ヒポキサンチン誘導体へ導くことができる。塩基
としてはナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド
などを用い、溶媒はメタノール、エタノールなどのアル
コールが用いられる。反応温度は室温から溶媒が還流す
る温度で行うことができるが、好ましくは加熱条件下で
行う。
【0044】この2,9−二置換ヒポキサンチン誘導体
にオキシ塩化リン、塩化スルホニル等のクロル化剤を反
応させて2,9−二置換−6−クロロプリンへ導く。溶
媒はクロロホルムなどが使用できるが、無溶媒でも可能
である。反応温度は室温から100 ℃位の範囲で行うこと
ができるが、好ましくは加熱条件下で行う。この2,9
−二置換−6−クロロプリンへアンモニアを反応させ
て、2,9−二置換アデニンへ導く。溶媒はエタノール
などのアルコールの他、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシドなどが使用できる。反応温度は室温から
120 ℃位の範囲で行うことができるが、好ましくは加熱
条件下で行う。塩基は必要に応じてトリエチルアミンな
どの第三級アミンを使用することができる。
【0045】この2,9−二置換アデニン誘導体を酢酸
ナトリウムなどの塩基存在下に臭素を反応させて2,9
−二置換−8−ブロモアデニン誘導体へ導く。溶媒は酢
酸、クロロホルムなどが使用でき、反応温度は室温から
100 ℃位の範囲で行うことができる。次いで、この2,
9−二置換−8−ブロモアデニン誘導体を塩酸と反応さ
せるとR8 がOHの化合物、2,9−二置換−8−ヒド
ロキシアデニン誘導体へ導くことができる。反応温度は
室温から100 ℃位の範囲で行うことができるが、好まし
くは加熱条件下すなわち約70〜約100 ℃の範囲で行う。
一方、2,9−二置換−8−ブロモアデニン誘導体をN
aSHと反応させるとR8 がSHの化合物、2,9−二
置換−8−メルカプトアデニン誘導体へ導くことができ
る。溶媒はメタノール、エタノールなどのアルコールが
使用でき、反応温度は室温から溶媒が還流する温度で行
うことができるが、好ましくは加熱条件下で行う。
【0046】b.2,9−二置換−8−ヒドロキシアデ
ニン誘導体あるいは2,9−二置換−8−メルカプトア
デニン誘導体の合成法別法1概要(Scheme 2)
【0047】
【化12】
【0048】5−アミノ−4−シアノイミダゾールにR
2 −CONH2 を反応させると2−置換アデニンへ導く
ことができる。溶媒は必要なく加熱溶融させて反応を行
い、反応温度は約 150〜約240 ℃の高温下に反応を行う
ことが好ましい。この2−置換アデニンへ前記a.と同
様にして9位の置換、8位のブロモ化、加水分解あるい
はNaSHとの反応を行えば、2,8,9位に置換基を
持つアデニン化合物へ導くことができる。
【0049】c.2,9−二置換−8−ヒドロキシアデ
ニン誘導体あるいは2,9−二置換−8−メルカプトア
デニン誘導体の合成法別法2概要(Scheme 3)
【0050】
【化13】
【0051】更に、一般に知られている他のプリン環形
成法を応用することもできる。例えば、R2 を含むアミ
ジンを出発原料としてマロノニトリルを反応させてピリ
ミジン誘導体とし、硝酸ナトリウムあるいは混酸を反応
させて該ピリミジンの5位にニトロ基を導入し、Pd/Cあ
るいはPt/C等で還元して該ニトロ基をアミノ基へと導
く。この2−置換トリアミノピリミジンへオルトエステ
ルを反応させて2−置換アデニンへ導くこともできる。
それ以降の操作は前記b.と同様である。
【0052】d.R2 がクロロ基である誘導体の合成法
概要(Scheme 4)
【0053】
【化14】
【0054】2,6−ジクロロプリンへアンモニアを反
応させて、2−クロロアデニンへ導く。溶媒はエタノー
ルなどのアルコールの他、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシドなどが使用できる。反応温度は室温か
ら120 ℃位の範囲で行うことができるが、好ましくは加
熱条件下で行う。塩基は必要に応じてトリエチルアミン
などの第三級アミンを使用することができる。この2−
クロロロアデニンへ前記a.と同様にして9位の置換、
8位のブロモ化、加水分解あるいはNaSHとの反応を
行えば、2 位にクロロ基を持つアデニン化合物へ導くこ
とができる。
【0055】(2)R8 =アシルオキシ基、アルコキシ
カルボニルオキシ基の場合;前記一般式(VI)又は一般
式(VII) で示される化合物 一般式(II)で示される化合物、即ち、前記(1)に述
べたR8 =OHである化合物をトリエチルアミン、ジイ
ソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなど
の塩基の存在下、R8 のクロリドに相当するアシルクロ
リド(R8'−CO−Cl)あるいはクロロギ酸エステル
(R8'−O−CO−Cl)と反応させることにより得る
ことができる。溶媒としてはテトラヒドロフラン、1,4-
ジオキサン、ジメチルホルムアミドなどが用いられる。
反応温度は室温から80℃位の範囲の温度で行うことがで
きる。
【0056】具体的には、一般式(I)で示され、その
2 、R8 、R9 にそれぞれ表1〜表8に示す基の組み
合わせを選択する化合物群は、下に述べる実施例1、
2、3の方法に準じて、中間原料として対応する9−置
換ベンジル−2−トリフルオロメチルヒポキサンチン又
は9−置換ベンジル−2−ペンタフルオロエチルヒポキ
サンチン、あるいは、9−置換ベンジル−2−クロロア
デニン等を作製し、以降は同様の操作を施し、製造する
ことができる。また、これら表1〜表8に示す化合物群
中、R9 において、非置換又は置換のベンジル基を選択
するものは、本発明においてより好ましい化合物に当た
る。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】以上のようにして得られる本発明のアデニ
ン誘導体は、ナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩、臭化
水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸
塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩などの薬学的に
許容される塩として用いることもできる。
【0066】本発明の医薬組成物、具体的には、インタ
ーフェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイプ
2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギー
剤及び免疫応答調節剤は、錠剤、カプセル剤、散剤など
の経口剤をはじめ、注射剤、外用剤など種々の剤形で使
用することができる。例えば、本発明のアデニン誘導体
とラクトース、澱粉などの賦形剤、ステアリン酸マグネ
シウム、タルクなどの滑沢剤、その他常用の添加剤を混
合し、錠剤とすることができる。本発明の医薬組成物の
用量は、患者の性別、年齢、体重、疾患の種類、症状な
どに応じて適宜定めるものであるが、経口投与する場
合、一般に、1日当たり約0.1 〜約100 mg/kg の範囲、
好ましくは約0.1 〜約10 mg/kgの範囲で、単回又は数回
に分けて投与することができる。あるいは、アレルギー
性皮膚炎などの患部が表皮に局在する場合には、経皮吸
収剤に適する態様の外用剤、例えば、軟膏剤等の形態で
使用することもできる。また、アレルギー性鼻炎などの
場合も、患部に直接投与するエアゾール剤として使用す
ることもできる。これら局所投与に用いる剤形における
用量は、用いる媒体に応じて適宜定めることができる。
【0067】例えば、外用剤として、アレルギー性皮膚
炎などに用いられる経皮吸収剤、具体的には、軟膏剤の
調製には下記する方法などが挙げられる。 水溶性軟膏剤 本発明の化合物1.0 g を小型攪拌混合機にとり、更に70
℃に加温した局方マクロゴール軟膏99.0 gを加え自然放
冷しながら約30分間混合し、本発明の化合物を有効成分
として1%含有する軟膏を調製できる。
【0068】脂溶性軟膏剤 本発明の化合物1.0 g を乳鉢にとり、更に流動パラフィ
ン18.5 gを加え約5 分間十分に研和し懸濁液とする。次
いで、この懸濁液と70℃に加熱した白色ワセリン72 g、
サラシミツロウ8.5 g を小型攪拌混合機にとり自然放冷
しながら約30分間混合し、本発明の化合物を有効成分と
して1%含有する軟膏を調製できる。
【0069】なお、本発明のアデニン誘導体を有効成分
とする抗アレルギー剤は、種々の要因によるアレルギー
疾患の症状を緩和する目的、あるいは症状が現れるのを
予防する目的で投与される医薬品である。具体的には、
前記のアレルギー疾患としては、アレルギー性皮膚炎、
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息(アトピー
性喘息、非アトピー性喘息)なども含まれ、これらの治
療剤又は予防剤として利用される。加えて、本発明のア
デニン誘導体を有効成分とする免疫応答調節剤は、当該
アデニン誘導体が、タイプ2ヘルパーT細胞選択的な免
疫応答、例えば、IL−4あるいはIL−5の産生抑制
剤であるとともに、タイプ1ヘルパーT細胞によるイン
ターフェロン産生促進剤であることを利用し、これらヘ
ルパーT細胞の関与する免疫応答を好ましい状態に調節
する薬剤である。例えば、前記のアレルギー疾患におい
ては、その症状を直接緩和するのみでなく、しばしば併
行しておこる各種のウイルス疾患を抑制することで、患
者の負担を軽減することを目的とした総合的な治療に利
用される。同様の不快な症状を表す、全身性エリテマト
ーデスなどの自己免疫疾患においても、タイプ2ヘルパ
ーT細胞選択的な免疫応答を抑制することで、その対症
療法に利用でき、特に、ヘルパーT細胞の関与する免疫
応答を好ましい状態に調節することで、全般的な症状の
軽減が図れる。
【0070】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものでは
ない。 (実施例1) 9−ベンジル−8−ヒドロキシ−2−ト
リフルオロメチルアデニン 5−アミノ−1−ベンジルイミダゾール−4−カルボキ
サミド2.57g 、ナトリウム2.74g 及びトリフルオロ酢酸
エチル5.07g を無水エタノール120ml に加え、3 時間還
流加熱した。溶媒を減圧留去し、水20mlを加えた後、濃
塩酸で中和した。析出した固体を濾取すると、9−ベン
ジル−2−トリフルオロメチルヒポキサンチンが2.53g
得られた。この9−ベンジル−2−トリフルオロメチル
ヒポキサンチン2.40g 、塩化チオニル3.6ml をDMF35
mlに加え、90℃で1時間還流加熱した。溶媒を減圧留去
し、エーテルで抽出した。5%炭酸水素ナトリウム水溶
液、食塩水の順に洗浄した後、溶媒を減圧留去した。水
とメタノールから結晶化させると、9−ベンジル−2−
トリフルオロメチル−6−クロロプリンが1.94g 得られ
た。この9−ベンジル−2−トリフルオロメチル−6−
クロロプリン1.72g、28%アンモニア水20ml及びブタノ
ール20mlをオートクレーブ中で7時間120 ℃で加熱し
た。溶媒を減圧留去すると、9−ベンジル−2−トリフ
ルオロメチルアデニンが1.21g 得られた。この9−ベン
ジル−2−トリフルオロメチルアデニン1.07g 、酢酸ナ
トリウム3.54g 及び臭素1.9ml を酢酸20mlに加え、50℃
で5時間加熱した。溶媒を減圧留去し、水20mlを加えた
後、析出した固体を濾取すると、9−ベンジル−8−ブ
ロモ−2−トリフルオロメチルアデニンが845mg 得られ
た。この9−ベンジル−8−ブロモ−2−トリフルオロ
メチルアデニン726mg を濃塩酸15mlに加え5時間還流加
熱した。放冷後、アンモニア水により中和し、析出した
結晶を濾取することで標記化合物を446mg 得た。
【0071】1H-NMR (DMSO-d6) δppm : 4.95 (2H,
s), 7.01 (2H, s), 7.23-7.35 (5H, m),10.69 (1H, s) MS (TOF) : 310 (M+1)
【0072】(実施例2) 9−ベンジル−8−ヒドロ
キシ−2−ペンタフルオロエチルアデニン トリフルオロ酢酸エチルに換え、ペンタフルオロプロピ
オン酸エチルを原料として、実施例1と同様の操作によ
り標記化合物を得た(収率23%)。
【0073】1H-NMR (DMSO-d6) δppm : 4.94 (2H,
s), 7.00 (2H, s), 7.24-7.32 (5H, m),10.62 (1H, s) MS (TOF) : 360 (M+1)
【0074】(実施例3) 9−ベンジル−8−ヒドロ
キシ−2−クロロアデニン 2,6−ジクロロプリン 1.75g及び28%アンモニア水を
イソブタノール20mlに加え、封管中100 ℃で9時間加熱
撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去し、固体をメタノー
ルで洗浄し、乾燥すると2−クロロアデニンが1.45g 得
られた。この2−クロロアデニン1.45g 及び炭酸カリウ
ム1.2gを80mlのDMFに加え、30分撹拌した。そこへ塩
化ベンジル1.2gを加え、室温で1 日撹拌した。溶媒を減
圧留去し、残渣へ水を加えた。1N塩酸で中和し、固体
を濾取し、水洗後、乾燥すると9−ベンジル−2−クロ
ロアデニン 1.93gが得られた。この9−ベンジル−2−
クロロアデニン330mg 、酢酸ナトリウム1.38g 及び臭素
1.28g を酢酸30mlに加え、80℃で5時間加熱撹拌した。
放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣へ水を加えた。水酸化
ナトリウム水溶液で中和し、固体を濾取した。カラムク
ロマトグラフによって精製して(ジクロロメタン:メタ
ノール=100:1 )、9−ベンジル−8−ブロモ−2−ク
ロロアデニン280mg を得た。この9−ベンジル−8−ブ
ロモ−2−クロロアデニン270mg を濃塩酸10mlに加え、
100 ℃で4時間撹拌した。放冷後、水を加え、水酸化ナ
トリウム水溶液で中和し、固体を濾取した。カラムクロ
マトグラフによって精製して(ジクロロメタン:メタノ
ール=20 :1 )、標記化合物76mgを得た。
【0075】1H-NMR(DMSO-d6)δ ppm: 4.90 (2H, s),
6.91 (2H, s), 7.25〜7.36 (5H, m),10.40 (1H, s) MS (DI): 275 (M+
【0076】(実施例4) インターフェロン誘導の活
性及び選択性 被験化合物を0.5%カルボキシメチルセルロース水溶液に
懸濁し、Balb/c雄性マウスに経口投与した。2時間後、
心臓より採血し、血漿を調製し、インターフェロン誘発
作用、他のサイトカインの誘導活性を調べた。血清中の
インターフェロンは、J. A. Armstrong, Methods in En
zymology 78, 381-387に記載の方法に準じて測定した。
即ち、2.5 ×104 個/50μl のマウス繊維芽細胞 L929
を 96 穴の培養プレートで24時間培養後、50μl の希
釈した血漿を添加し、更に24時間培養した。培養液を
除去した後、水泡性口内炎ウイルスを 100μl ずつ添加
し、ウイルス感染後44時間でのインターフェロン(I
FN)による細胞変性抑制効果をクリスタルバイオレッ
ト染色により確認した。定量は、色素を2%デオキシコ
ール酸ナトリウム水溶液で溶解し、595 nmの吸収を測定
することで行った。血漿中のTNF−αの定量は、ジェ
ンザイム社のEIAキットを使用して行った。表9及び
表10に結果を示す。
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】表9及び表10に示されるように、本発明
のアデニン誘導体は高いインターフェロン誘導活性を有
する。一方、TNF−αに対する誘導は低い水準であっ
た。
【0080】(実施例5) ヒト末梢血単核細胞(PBM
C)におけるインターフェロン誘導作用 健常ボランティアの末梢血をヘパリン加採血し、Lympho
prepTM(NYCOMED PHARMA AS )を用いた密度勾配遠心分
離により単核細胞(PBMC)を調製した。PBMCを無血清 R
PMI 1640培地で2回洗浄した後、10%(v/v) ウシ胎仔血
清添加 RPMI 1640培地で1×106 個/ml に調製し、ジメ
チルスルホキシド(終濃度0.1 v/v %)に溶解した被験
化合物の存在下で5%CO2 インキュベータ内で37℃に
て24時間培養した。なお、対照には被験化合物を含まな
い0.1 %ジメチルスルホキシドを用いた。培養上清を無
菌濾過により回収し、インターフェロン誘導活性の測定
実験に供するまで−20℃以下で凍結保存した。培養上清
中のヒトインターフェロン−α(IFN−α)の定量は
アマシャム社の高感度ELISA systemを使用した。陽性対
照としては、EP 145,340 A記載の化合物 R-837(4−ア
ミノ−1−イソブチル−1−イミダゾ[4,5−c]
キノリン)を用いた。表11に結果を示す。
【0081】
【表11】
【0082】表11に示されるように、本発明のアデニ
ン誘導体はヒト末梢血単核細胞においても高いインター
フェロン誘導活性を有する。
【0083】(実施例6) 脾臓細胞を用いるTh2型
サイトカイン産生抑制作用 1)マウス感作脾細胞の調製 7週齢の雄BALB/cマウスに10μg のオボアルブミン(O
VA)を吸着させた4mg の水酸化アルミニウムゲル(10
0 μl)を腹腔内投与により免疫し、14日後同剤で追
加免疫した。追加免疫7日後に脾臓を摘出し、非働化牛
胎児血清(10 v/v%)、2-メルカプトエタノール(50μ
M)、ペニシリンG(100U/ml )及びストレプトマイシ
ン(100 μg/ml)を含むRPMI-1640 に懸濁し、細胞浮遊
液を調製した。
【0084】2)抗原刺激によるサイトカインの産生 脾細胞浮遊液(5 x 106 cells / 200 μl / well)にO
VA(0.5mg/ml)及び被験化合物のジメチルスルホキシ
ド溶液1/1000量(v/v) を添加し、37℃、5%CO2 存在
下で培養した。3日後の培養上清中のサイトカインをEL
ISA 法により定量した。その際、Th1型サイトカイン
としてインターフェロン−γ(IFN−γ)を、Th2
型サイトカインとしてインターロイキン−4(IL-4)及
びインターロイキン−5(IL-5)をそれぞれマウスIF
N−γ ELISA kit(アマシャム)、マウスIL-4 ELISA k
it(アマシャム)、マウスIL-5 ELISA Minikit(エンド
ジェン)で定量した。
【0085】被験化合物による細胞毒性の有無は、前記
3日間培養した脾細胞の3−(4,5−ジメチルチアゾ
ール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェ
ニル)−2−(4−スルホフェニル)−2−テトラゾ
リウム塩(MTS)の生物還元能を指標にした。MTS
の生物還元能は、Cell titer 96 AQueous kit (プロメ
ガ)を用いて測定した。表12に抑制率の結果を示す。
【0086】
【表12】
【0087】表12に示されるように、本発明のアデニ
ン誘導体はタイプ2ヘルパーT細胞側のサイトカインの
産生を選択的に阻害する活性を有する。また、各濃度に
おいてMTS活性値は化合物非添加の場合と変わらず、
毒性はなかった。
【0088】(実施例7) 好酸球浸潤抑制作用 8週齢の雄BALB/cマウスに100 μg のOVAを吸着させ
た1.6mg の水酸化アルミニウムゲル(200 μl )を背部
皮下投与により免疫し、7日後同剤で追加免疫した。追
加免疫7日後に200 μl の生理食塩水に溶解した10μg
のOVAを腹腔内投与した。腹腔内投与2日後に生理食
塩水で腹腔浸潤細胞を回収した。回収した全細胞数及び
好酸球数は、それぞれチュルク液及びヒンケルマン液に
よる染色にて算定した。被験化合物はOVA腹腔投与2
時間前に経口投与した。
【0089】
【表13】
【0090】表13に示されるように、本発明のアデニ
ン誘導体は腹腔への浸潤好酸球の割合を低下させる活性
を有する。
【0091】(実施例8) 製剤例 常法により次の組成からなる錠剤を作成した。 実施例1の化合物 100mg ラクトース 120mg 馬れいしょ澱粉 30mg ヒドロキシプロピルセルロース 5mg カルボキシメチルセルロースナトリウム 7 mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
【0092】
【発明の効果】本発明のアデニン誘導体は選択的かつ際
だったインターフェロン分泌誘発性を有する。本発明の
アデニン誘導体は、生体内でインターフェロンの分泌を
促進するので、インターフェロンが有効な疾患、例えば
B型及びC型肝炎、エイズなどのウイルス疾患、癌疾患
などの治療剤として有用である。加えて、本発明のアデ
ニン誘導体は、タイプ2ヘルパーT細胞が産生するTh
2型サイトカイン、具体的にはインターロイキン−5及
びインターロイキン−4の産生を選択的に抑制するの
で、これらTh2型サイトカインによるアレルギー性疾
患の症状緩和目的あるいは予防目的の治療剤としても有
用である。更に、本発明のアデニン誘導体は低分子化合
物であるので、経口投与が可能であり、これら長期投与
が必要な疾患の治療に適する薬剤になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/52 AED A61K 31/52 AED (72)発明者 戸辺 雅則 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内 (72)発明者 ▲高▼久 春雄 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内 (72)発明者 松井 広行 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内 (72)発明者 富澤 秀行 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R2 はトリフルオロメチル基、ペンタフルオロ
    エチル基又はクロロ基を表し;R8 は水酸基、メルカプ
    ト基、炭素数18以下のアシルオキシ基、炭素数19以下の
    炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ基を表し;R9
    は炭素数14以下の炭化水素基を表し、該炭化水素基中、
    アデニン骨格に直接結合しない−CH2 −及びアデニン
    骨格に直接結合しない−CH3 のCH2 はカルボニル
    基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられて
    いてもよく、=CH2 は=O又は=Sで置き換えられて
    いてもよく、またアデニン骨格に直接結合しない−CH
    2 −のC−H、アデニン骨格に直接結合しない−CH3
    のC−H、アデニン骨格に直接結合しない>CH−のC
    −H、アデニン骨格に直接結合しない=CH−のC−
    H、=CH2 のC−H及び≡CHのC−Hは、N、C−
    ハロゲン又はC−CNで置き換えられていてもよい。)
    で示されるアデニン誘導体もしくはその互変異性体又は
    それらの薬学的に許容される塩。
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)において、R8 が水酸
    基であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)において、R9 が非置
    換又は置換のベンジル基であることを特徴とする請求項
    1又は2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化
    合物を有効成分とする医薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化
    合物を有効成分とするインターフェロン分泌誘発剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化
    合物を有効成分とする抗ウイルス剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化
    合物を有効成分とする抗癌剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化
    合物を有効成分とするタイプ2ヘルパーT細胞選択的免
    疫応答抑制剤。
  9. 【請求項9】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化
    合物を有効成分とする抗アレルギー剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    化合物を有効成分とする免疫応答調節剤。
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