JPH1117972A - コンピュータによる画像処理方法及び画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カメラにフィルターを装着した場合と極
めて近似する画像を得ることができる画像処理方法を提
供する。 【解決手段】 予め記憶された撮像手段1 の特性の関数
からその逆関数を演算する手順、該逆関数を用いて撮影
時の物体3 の色情報を演算し、前記撮影時の物体3 の色
情報とデジタルフィルター2 のフィルター特性関数から
デジタルフィルターを介した物体3 の色情報を演算する
手順、及び該デジタルフィルター2 を介した物体の色情
報ｘ’と前記物体3 を撮影した前記撮像手段1 の特性を
示す論理関数を用いることにより出力を演算する手順か
らなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータによ
る画像処理方法及び画像処理プログラムを記録したコン
ピュータ読取可能な記録媒体に関する。さらに詳しく
は、デジタルカメラ等において、カメラにカラーコンペ
ンセーティングフィルターを装着したときと同様の色の
補正を実現可能な画像処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、カメラの使用者は所望の色のバラ
ンスをとるため、使用するカメラのレンズに所定の特性
を有するカラーコンペンセーティングフィルター（以
下、単に「ＣＣフィルター」という）を予め装着して撮
影を行っている。

【０００３】このようにＣＣフィルター12を介して物体
を撮影した場合、図３（イ）に示すように、まずＣＣフ
ィルター12のフィルター特性によって、色情報ｘの物体
3 をＣＣフィルター12を介した色情報ｘ’は、 ｘ’＝ＦＦ（ｘ） （ここで、関数ＦＦはフィルター特性を関数化したもの
を示す）で表現される。

【０００４】次に、ＣＣフィルター12によって変更され
た物体3 の色情報ｘ’をカメラ10に通して得られる出力
（画像）ｙは、 ｙ＝ＦＣ（ｘ’） （ここで、関数ＦＣはカメラ毎に異なるカメラ特性を関
数化したものを示す）で表現される。

【０００５】一方、近年では、デジタルカメラ1 で撮影
した出力（画像）に画像処理（仮想フィルター2 がある
と仮定して数式処理すること）を行い、図３（イ）のカ
メラ10におけるＣＣフィルター12を擬似的に実現する方
法が用いられている。この方法を用いると、図３（ロ）
に示すように、色情報ｘの物体はまずデジタルカメラ1
で撮影されるため、撮影によって得られる出力ｙは、 ｙ＝ＦＣ（ｘ） で表現される。

【０００６】次に、撮影によって得られた出力ｙは仮想
フィルター2 を通しているので、仮想フィルター2 を介
した出力ｙ’は、 ｙ’＝ｆｆ（ｙ） （ここで、関数ｆｆは仮想フィルター2 を関数で示した
論理的フィルター特性を関数化したものを示す）で表現
される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のように、デジタ
ルカメラで撮影された出力に対して論理的フィルター特
性を加味する方法では、カメラのようにフィルターを介
した物体の色情報ｘ’に対してカメラ特性を考慮すると
いう順序とは逆の順序となる。従って、デジタルカメラ
に論理的フィルター特性を加味することは、カメラにＣ
Ｃフィルターを装着したときとは異なる出力しか得られ
ないという問題がある。

【０００８】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたもので、デジタルカメラで撮影された画
像に対して、カメラにフィルターを装着した場合と極め
て近似する画像を得ることができる画像処理方法を提供
することを課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明に係るコンピュータによる画像処理方
法は、予め記憶された撮像手段1 の特性の関数からその
逆関数を演算する手順、該逆関数を用いて撮影時の物体
3 の色情報を演算し、前記撮影時の物体3 の色情報とデ
ジタルフィルター2 のフィルター特性関数からデジタル
フィルター2 を介した物体3 の色情報を演算する手順、
及び該デジタルフィルター2 を介した物体の色情報ｘ’
と前記物体3 を撮影した前記撮像手段1 の論理関数とを
用いることにより出力を演算する手順からなることを特
徴とする。ここで、色情報とは光量及び分光分布（波
長）等の色に関する情報を意味する。

【００１０】このように撮像手段1 の特性の逆関数を用
いて撮影時の物体3 の色情報を演算することにより、実
際にカメラにフィルターを装着して撮影したときと略同
じ手順を経ることとなり、従って実際にカメラにフィル
ターを装着して撮影したときと極めて近似した画像を得
ることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面に基づいて説明する。図１は本発明に係る画像処
理方法の一実施の形態のブロック図を示し、図２は本発
明に係る画像処理方法のフローチャートを示す。

【００１２】図１において、1 は撮像装置としてのデジ
タルカメラ、2 はデジタルカメラ1に装着すると仮定さ
れたデジタルフィルターを示し、3 は撮影されるべき物
体を示す。

【００１３】次に、撮影された物体の画像処理につい
て、図１〜図２を用いて説明する。まず、物体3 をカメ
ラ特性関数がＦＣで示されるデジタルカメラで撮影する
（図２のＳ１参照）。ここでカメラ特性関数とは、カメ
ラ特性を関数化したものを意味する。

【００１４】次に、撮影するために使用したデジタルカ
メラのカメラ特性関数ＦＣの論理関数ｆｃの逆関数ｆｃ
^-1を逆関数演算手段4 において求め、前記逆関数をｙ
（ｙ＝ＦＣ（ｘ））に適用して撮影時の物体3 の論理的
色情報ｘ₁ を次式（１）に基づいて求める（図２のＳ２
参照）。 ｘ₁ ＝ｆｃ^-1（ｙ） ・・・（１）

【００１５】ここで、カメラ特性を示すカメラ特性関数
ＦＣの擬似的な論理関数ｆｃは、グレーチャート等をデ
ジタルカメラで撮影し、理論値を計算することにより求
められる。また、論理関数ｆｃはデジタルカメラの種類
毎に予めメモり等の記憶手段に記憶されており、デジタ
ルカメラの種類に応じた論理関数を選択して逆関数演算
手段4 に読み込むことにより逆関数が求められる。ま
た、色情報とは、光量、分光分布（光の波長）等の色に
関する情報を意味する。

【００１６】前式（１）によって論理的色情報ｘ₁ が求
められた後、物体3 の論理的色情報ｘ₁ に対してデジタ
ルフィルター2 のフィルター特性を示すデジタルフィル
ター関数ｆｆを用いて次式（２）の処理を行い、仮想的
なフィルターであるデジタルフィルター2 を使用した状
態の色情報ｘ’を計算する（図２のＳ３参照）。 ｘ’＝ｆｆ（ｘ₁ ） ・・・（２）

【００１７】ここで、デジタルフィルター関数ｆｆは、
所望のフィルターのデータシートから理論値を計算する
ことにより求められる。

【００１８】最後に、デジタルフィルター関数ｆｆによ
って求められた色情報ｘ’に対して、デジタルフィルタ
ーを介して物体3 を撮影した状態を関数で示すことに相
当する次式（３）の計算を撮影状態演算手段5 を用いて
行い、出力ｙ’を求める（図２のＳ４参照）。 ｙ’＝ｆｃ（ｘ’）・・・（３）

【００１９】この出力ｙ’をディスプレイ等の表示装置
に出力すれば、作業者は目でデジタルフィルターのかか
り具合を確認することができる。

【００２０】このように、一度デジタルカメラで撮影し
た後の出力から物体の論理的色情報を計算し、計算され
た該論理的色情報に所望のフィルターのフィルター特性
を示す関数を計算することにより、実際にカメラにフィ
ルターを装着して撮影したときと極めて近似した出力、
即ち画像を得ることができる。

【００２１】更にデジタルカメラのカメラ特性を関数と
して記憶し、前記フィルターを通過させられた物体の色
情報に前記関数を適用することにより、実際のカメラに
フィルターを装着した状態と極めて近似した色の補正が
行われた出力（画像）を得ることができる。従って、作
業者が一般の人である場合にも、プロのカメラマンがＣ
Ｃフィルターを用いて撮影することと同様の結果を、画
像処理を行うことによって擬似的に得ることができる。

【００２２】上述の実施の形態においては、予めデジタ
ルカメラで撮影された画像に対して画像処理を行った
が、本発明の画像処理方法はデジタルカメラで撮影され
た画像に限定されることなく、例えば予め撮影されたフ
ィルムをスキャナーで読み込んだ画像等にも適用可能で
ある。

【００２３】また、上述の実施の形態において、カメラ
特性関数は予め記憶されていたが、カメラ特性関数は、
撮影毎に計算されて記憶されてもよい。

【００２４】更に、論理的フィルター特性関数を選択す
る際、作業者側で適宜変更するだけで種々のフィルター
をかけることに相当する画像処理を行うことができる。

【００２５】

【発明の効果】本発明に係る画像処理方法によれば、撮
像手段の特性の逆関数を用いて撮影時の物体の色情報を
演算することにより、実際にカメラにフィルターを装着
して撮影したときと略同じ手順を経ることとなり、従っ
て実際にカメラにフィルターを装着して撮影したときと
極めて近似した画像を得ることができる。

【００２６】従って、一般の人でも画像処理を行うこと
によってプロのカメラマンがＣＣフィルターを用いて物
体を撮影することと同様の結果を得ることができる効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の画像処理方法の一実施の形態を示すブ
ロック図。

【図２】本発明の画像処理方法を示すフローチャート。

【図３】（イ）〜（ロ）は従来の画像処理方法を示すブ
ロック図。

【符号の説明】

１ デジタルカメラ ２ デジタルフィルター ３ 物体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 予め記憶された撮像手段(1) の特性の関
   数からその逆関数を演算する手順、該逆関数を用いて撮
   影時の物体(3) の色情報を演算し、前記撮影時の物体
   (3) の色情報とデジタルフィルター(2) のフィルター特
   性関数からデジタルフィルター(2) を介した物体(3) の
   色情報を演算する手順、及び該デジタルフィルター(2)
   を介した物体の色情報ｘ’と前記物体(3) を撮影した前
   記撮像手段(1) の特性を示す論理関数とを用いることに
   より出力を演算する手順からなることを特徴とするコン
   ピュータによる画像処理方法。
2. 【請求項２】 撮像手段(1) で撮影された物体(3) の出
   力ｙと予め記憶された撮像手段(1) の特性を関数化した
   ものの逆関数ｆｃ^-1とを用いて、撮影時の物体の色情報
   ｘ₁ を式ｘ₁ ＝ｆｃ^-1（ｙ）で演算して得る手順、演算
   された該撮影時の物体の色情報ｘ₁ と予め記憶されたデ
   ジタルフィルター(2) のフィルター特性関数ｆｆとを用
   いてデジタルフィルター(2) を介した後の物体の色情報
   ｘ’をｘ’＝ｆｆ（ｘ₁ ）で演算して得る手順、及び前
   記デジタルフィルター(2) を介した物体の色情報ｘ’と
   前記物体(3) を撮影した撮像手段(1) の特性を示す論理
   関数ｆｆを用いることにより出力ｙ’を式ｙ’＝ｆｃ
   （ｘ’）で演算して得る手順をコンピュータに実行させ
   るプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒
   体。