JPH11179516A - 遠心力鋳造装置の回転金枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】遠心力鋳造機の回転金枠において、従来一体物
として形成されていた回転金枠を分割可能とすることを
課題とする。 【解決手段】回転金枠８の周囲に孔あきの金枠スリーブ
９を外ばめするとともに、この金枠スリーブ９の外周側
からその内周側へ冷却水１２を散水供給して前記回転金
枠８を冷却するようにした遠心力鋳造装置の回転金枠で
あって、前記回転金枠８の受口成形部８Ａが前記回転金
枠８の直管成形部８Ｂに対して着脱自在とされている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は遠心力鋳造装置の回
転金枠に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋳造装置の一種として、遠心力鋳造装置
がある。この遠心力鋳造装置は、図４に示すように、溶
湯を貯留可能な鋳込取鍋１を矢印Ａの方向に傾動させる
ことで、この鋳込取鍋１の注ぎ口２から溶湯を流出さ
せ、この流出された溶湯を、シュート３Ａ、トラフ３Ｂ
を介して軸周囲に回転する水平方向の回転金枠４に、こ
の回転金枠４を点線で示す位置から軸方向に移動させつ
つ奥方向から順に開口方向に流し込んで供給するように
したものである。

【０００３】上記回転金枠４の移動は、鋳造台車６によ
り行なわれ、回転金枠４の回転は鋳造台車６のローラ６
Ａによる水平方向の支持と、回転駆動装置６Ｂの軸心ま
わりの高速回転駆動によって行なわれ、この高速回転に
よる遠心力の作用によって鋳鉄管を鋳造することができ
るように構成されている。

【０００４】ところで、上記回転金枠４は、外部から冷
却する必要がある。これは、管の成形後はできるだけ早
く管を冷却硬化させ、また回転金枠４自身の熱による曲
がりを防止しさらに製品取り出し後次回の成形に備えた
内面の塗型コーティングの作業性確保のためである。

【０００５】このため従来では図４に示すように回転金
枠４を冷却スリーブ９Ａ内に設置し、回転金枠４と冷却
スリーブ９Ａとの間に高圧水Ｗを供給して冷却するロー
タリーウォータジャケット方式が一般的に採用されてい
た。

【０００６】なお、図中７は、回転金枠４から成形され
た管を引き出す引き出し機を示す。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ロータリ
ーウォータジャケット方式では、回転金枠４と冷却スリ
ーブ９Ａの間には高圧水Ｗが充満しているため、回転金
枠４は分割可能な構造とすることはできず、一体成形し
たものしか使用できない。

【０００８】回転金枠４を分割構造とした場合、継ぎ目
から高圧冷却水が内面に染み出し、鋳造時に水蒸気爆発
を起こし兼ねないからである。そのため従来では、管
種、口径に応じて受口から挿口まで一体成形された多く
の金型４を揃える必要があり、その保管管理が非常に面
倒となるばかりでなく、交換作業も非常に手間が掛かる
といった問題があった。

【０００９】また、回転金枠４を長時間反復使用した場
合、最も損傷し易いのは受口部４Ａで直管成形部４Ｂは
損傷し難い。そのため、損傷が受口成形部４Ａのみで直
管成形部４Ｂは使用に耐え得るような場合でも回転金枠
４全体を交換しなければならず、不経済となる上交換作
業にも非常に手間が掛かる問題もあった。

【００１０】本発明は、上記問題点を解消することを目
的としてなされたものであって、冷却水により回転金枠
を冷却するにも係わらず、水蒸気爆発の恐れなく回転金
枠の分割を可能とし、もって金型の管理等を容易とする
と共に経済的な回転金枠の使用ができる遠心力鋳造機の
回転金枠を提供することを目的としてなされたものであ
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、回転金枠の周囲に孔あきの金属スリーブを外
ばめするとともに、この金属スリーブの外周側からその
内周側へ冷却水を散水供給して前記回転金枠を冷却する
ようにした遠心力鋳造装置の回転金枠であって、前記回
転金枠の受口成形部が前記回転金枠の直管成形部に対し
て着脱自在としたものである。

【００１２】このような構成であると、回転金枠の受口
成形部を直管成形部から必要に応じて取り外し交換も可
能となる。また、冷却水は散水供給されるから、継ぎ目
には水圧がかかることはなく、冷却水の回転金枠内への
染み出しは発生しない。このため冷却水が回転金枠内に
侵入することが防止されて、その流入にもとづく問題点
の発生が解消されることになる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１〜図３において、８は回転金
枠、９は金属スリーブである。すなわち金属スリーブ９
は、多数の貫通孔１１を有するとともに、多数のセット
ボルト１０によって回転金枠８の外周に芯出し状態で固
定されている。

【００１４】そして、回転金枠８は受口成形部８Ａと直
管成形部８Ｂとの境目で分割可能とされ、図示例の場合
耐熱パッキン８Ｄを介してフランジ８Ｃ、８Ｃで接続さ
れている。

【００１５】これら回転金枠８および金属スリーブ９は
水平方向に配置され、全長にわたって横断面矩形状のカ
バー２１で覆われている。このカバー２１の内部におけ
る金属スリーブ９よりも上方の位置には、金属スリーブ
９の長さ方向に沿って、給水管２２が設けられている。

【００１６】この給水管２２は、カバー２１の外部に設
けられたポンプ２３から冷却水１２の供給を受け、その
長さ方向に沿った複数の位置に設けられた供給孔２４よ
り、下方の金属スリーブ９に向けて冷却水１２を散水す
ることができるように構成されている。

【００１７】カバー２１内における金属スリーブ９より
も下側の位置には、この金属スリーブ９から流下した水
１４を受け止めるための水受け部２５が設けられてい
る。２６はカバー２１の外部への排水管で、水受け部２
５に連通され、バルブ２７を介して外部へ排水可能とさ
れている。

【００１８】なお、図中２８、２９は散水された冷却水
１２が回転金枠８の両端面方向へ飛散するのを防止する
止水カバーを示し、必要に応じ設けられる。このような
構成において、ポンプ２３から給水管２２に供給された
冷却水１２は、供給孔２４より流下して金属スリーブ９
の上部に達し、その貫通孔１１を経て回転金枠８の外面
にシャワー状に散水供給され、この回転金枠８を冷却す
る。冷却後の水１５は、金属スリーブ９の貫通孔１１よ
り流下し、水受け部２４により受け止められる。この水
受け部２４に溜まった水１５は、排水管２６、バルブ２
７を経て外部に排出される。

【００１９】このとき、受口成形部８Ａと直管成形部８
Ｂとの接続部にも冷却水が降りかかるが、この冷却水は
大気下で散水によるものであるから、水圧は全く加わっ
ておらず、接続部がフランジ接合等で強力に接合されて
いるため接続部界面に浸透することはない。

【００２０】従って、分割接続部から回転金枠内に冷却
水が浸透することはない。このため、溶鉄の鋳込み後冷
却時に水蒸気爆発が発生したりすることを確実に防止で
きることになる。

【００２１】しかも、金属スリーブ９および給水管２２
をカバー２１で覆ったため、冷却水１２の飛散を防止す
ることも可能となる。また、止水カバー２８、２９を設
けた場合、回転金枠開口部への冷却水飛散も防止できる
ので、この冷却水による回転金枠の錆の発生なども防止
できる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明によると、回転金枠
の周囲に設けられた孔あきの金属スリーブの外周側から
その内周側へ冷却水を供給して前記回転金枠を冷却する
ようにした遠心力鋳造装置の回転金枠において、回転金
枠の受口成形部が前記回転金枠の直管成形部に対して着
脱自在としたため、損傷し易い受口成形部のみの交換修
理が可能となり、回転金枠修理が非常に容易となる。

【００２３】また、管種に応じた回転金枠管理も、直管
成形部が共通する複数の受口成形部のみを管理すれば良
いので、管理も非常に容易となるなどの効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の遠心力鋳造装置の回転金
枠の縦断面図である。

【図２】図１に示す遠心力鋳造装置の回転金枠の右側面
図である。

【図３】図１に示す遠心力鋳造装置の回転金枠の左側面
図である。

【図４】従来の遠心力鋳造装置の縦断面図である。

【符号の説明】

８ 回転金枠 ８Ａ 受口成形部 ８Ｂ 直管成形部 ８Ｃ フランジ ８Ｄ 耐熱パッキン ９ 金属スリーブ １０ セットボルト １１ 貫通孔 １２ 冷却水 ２１ カバー ２２ 給水管

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転金枠の周囲に孔あきの金属スリーブ
   を外ばめするとともに、この金属スリーブの外周側から
   その内周側へ冷却水を散水供給して前記回転金枠を冷却
   するようにした遠心力鋳造装置の回転金枠であって、前
   記回転金枠の受口成形部が前記回転金枠の直管成形部に
   対して着脱自在とされてなることを特徴とする遠心力鋳
   造装置の回転金枠。