JPH11178506A - 粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物の風味改良剤,風味改良方法及び風味の改良された飲食物 - Google Patents

粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物の風味改良剤,風味改良方法及び風味の改良された飲食物

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JPH11178506A
JPH11178506A JP9364736A JP36473697A JPH11178506A JP H11178506 A JPH11178506 A JP H11178506A JP 9364736 A JP9364736 A JP 9364736A JP 36473697 A JP36473697 A JP 36473697A JP H11178506 A JPH11178506 A JP H11178506A
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milk powder
milk
food
dihydrochalcone
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Hitomi Nishioka
仁美 西岡
Tomoko Honma
智子 本間
Hiroyuki Kono
宏行 河野
Tatsuya Urachi
達哉 裏地
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Nikken Chemical and Synthetic Industry Co Ltd
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Nikken Chemical and Synthetic Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類から調製され
る飲食物に添加することにより、粉乳類に由来する特有
の粉っぽい味、臭いを改良することを目的とする。ま
た、粉乳類から調製される飲食物のミルク風味を改良す
ることにより、牛乳らしい風味を付与することを目的と
する。 【解決手段】 ジヒドロカルコン類を含有することを
特徴とする、粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食
物の風味改良剤、ジヒドロカルコン類を添加すること
を特徴とする、粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲
食物の風味改良方法、ジヒドロカルコン類を、粉乳
類、或いは粉乳類から調製される飲食物に配合してな
る、風味の改良された飲食物、を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱脂粉乳や全粉乳
などの粉乳類、或いはそれらの粉乳類から調製される飲
食物の風味改良剤,風味改良方法及び風味の改良された
飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類は、日本
の食生活が洋風化していく中で、種々の飲食物に使用さ
れている。
【0003】例えば、飲料の分野においては、多種多様
な乳飲料が市販されていることはもちろん、コーヒーや
紅茶飲料などにも、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類が配
合されているものが多い。コーヒーにおいては、一部の
ブラックコーヒーを除き、ほとんどの場合、全粉乳、脱
脂粉乳、牛乳などが使用されている。また、紅茶飲料
も、市販の製品中約50%がミルクティーであり、粉乳
類が使用されたタイプが主流となっている。しかも、乳
製品を比較的多量に配合した製品が、高級イメージを背
景に市場を拡大しつつあるのが現状である。
【0004】また、食品、菓子の分野においても、スー
プ類、シチュー類、アイスクリーム,ラクトアイス,ア
イスミルク,氷菓などの冷菓類、カスタードクリーム,
バタークリームなどのクリーム類、キャンディー,タブ
レットなどの菓子類等、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類
を使用した製品は非常に多い。
【0005】しかし、粉乳類から調製される飲食物は、
例えば、飲料においては、長期間の品質保証に対して微
生物的に問題があることから、比較的強い条件で加熱殺
菌をする必要があり、タンパク質の変性による風味の劣
化が激しい。このため、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類
の配合量を極力抑えざるを得ない。従って、粉乳類の配
合量を落とすことなく、風味の良い飲食物が求められて
いる。
【0006】また、牛乳を配合した飲食物については、
コストダウンや低脂肪化などを図るために、牛乳の配合
量の全量又は一部を、牛乳より低カロリーで安価な、脱
脂粉乳や全粉乳などの粉乳類に置き換えることが多く、
この場合には牛乳に比べて風味の点で問題が生じる。例
えば、脱脂粉乳を原料として調製される還元脱脂乳や、
全粉乳などの粉乳類を原料として調製される還元乳は、
牛乳や低脂肪乳に比べて、粉っぽい味・臭いがあり、風
味の点で物足りないことが知られている。その原因は、
粉乳類の製造工程中での加熱変性や揮発性のフレーバー
の損失にあるといわれている。また、食品の場合も同様
に、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類の使用は、牛乳に比
べて、風味の点で問題がある。
【0007】このような粉乳類から調製される飲食物の
風味改良手段として、脱脂粉乳から調製される乳製品の
香味改良剤が報告されている(特公昭56−50946
号公報)。この香味改良剤は、脱脂粉乳の揮発性成分を
構成する炭素数6〜16個を有する飽和脂肪酸の混合物
からなるものであるが、必ずしも上記の問題点をすべて
満足するものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脱脂粉乳や
全粉乳などの粉乳類から調製される飲食物に添加するこ
とにより、該飲食物の粉乳類に由来する特有の粉っぽい
味、臭いを改良することを目的とするものである。
【0009】また、本発明は、脱脂粉乳や全粉乳などの
粉乳類から調製される飲食物のミルク風味を改良するこ
とにより、牛乳らしい風味を付与することを目的とする
ものである。
【0010】さらに、本発明は、粉乳類の他に牛乳や低
脂肪乳などの乳製品が配合されている飲食物に添加する
ことにより、牛乳や低脂肪乳などの乳製品のみを配合し
た場合の風味に近い風味を付与することを目的とするも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の実情に鑑み、本発
明者らは、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類から調製され
る飲食物の粉っぽい味や臭いの低減を図ることができ、
かつ、ミルク風味の改良を図ることができ、さらに牛乳
等が配合されている飲食物の場合には、その牛乳等の風
味に近づけることのできる物質を見出すべく、鋭意研究
を重ねた。その結果、全く予想外のことに、ジヒドロカ
ルコン類をごく少量、その甘味が発現しない程度の量を
添加することによって、風味が明らかに改善されること
を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。なお、ジヒドロカルコン類のうちのネオヘスペリジ
ンジヒドロカルコンは、香料として市販されているもの
であるが、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類から調製され
る飲食物の粉っぽい味や臭いの低減を図ることができる
ことや、ミルク風味の改良を図ることができることにつ
いては、全く知られていない。
【0012】すなわち、請求項1記載の本発明は、ジヒ
ドロカルコン類を含有することを特徴とする、粉乳類、
或いは粉乳類から調製される飲食物の風味改良剤を提供
するものである。
【0013】次に、請求項4記載の本発明は、ジヒドロ
カルコン類を添加することを特徴とする、粉乳類、或い
は粉乳類から調製される飲食物の風味改良方法を提供す
るものである。
【0014】さらに、請求項7記載の本発明は、ジヒド
ロカルコン類を、粉乳類、或いは粉乳類から調製される
飲食物に配合してなる、風味の改良された飲食物を提供
するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、請求項1記載の本発明につ
いて説明する。請求項1記載の本発明は、ジヒドロカル
コン類を含有することを特徴とする、粉乳類、或いは粉
乳類から調製される飲食物の風味改良剤である。
【0016】請求項1記載の本発明で用いられるジヒド
ロカルコン類とは、フラボノイド配糖体の一種であり、
具体的にはネオヘスペリジンジヒドロカルコン(以下、
NEDHCという。)、ナリンジンジヒドロカルコン
(以下、NADHCという。)などを挙げることができ
る。この他に、プルニンジヒドロカルコン、ヘスペレチ
ン−7−グルコシド−ジヒドロカルコンなどが挙げられ
る。
【0017】これらのジヒドロカルコン類は、柑橘類に
含まれる苦味物質であるネオヘスペリジン、ナリンジ
ン、プルニンなどを、それぞれアルカリ側にて開環し、
還元することにより、容易に得られる。
【0018】請求項1記載の本発明においては、ジヒド
ロカルコン類なら種類を問わず用いることができ、1種
類を単独で用いても、或いは2種類以上を組み合わせて
用いてもよい。但し、1種類を単独で用いる場合には、
NADHC或いはNEDHCを用いることが好ましく、
特にNADHCを用いると、優れた風味改善効果を得る
ことができるので、より好ましい。
【0019】また、2種類以上のジヒドロカルコン類を
組み合わせて用いる場合、特にNADHCとNEDHC
とを組み合わせて用いることが好ましい。この両者を併
用することにより、脱粉臭をより一層抑制することがで
きる。NADHCとNEDHCとを組み合わせ、混合物
として用いる場合、重量比が前者:後者=90:10乃
至50:50の範囲、好ましくは前者:後者=80:2
0乃至70:30の範囲とすると、特に顕著な風味改良
効果を得ることができる。
【0020】請求項1記載の本発明において、含有され
るジヒドロカルコン類の量は、ジヒドロカルコン類の種
類や対象となる飲食物の種類によって異なるが、ジヒド
ロカルコン類の甘味が発現しない範囲の量とすべきであ
る。具体的には、対象となる飲食物1重量部に対して、
通常、0.0001〜0.000003重量部(100
〜3ppm)、好ましくは、0.00003〜0.00
0005重量部(30〜5ppm)の範囲であり、この
範囲とすることにより、粉乳類から調製される飲食物の
風味の改良を図ることができる。これより少量では、何
ら効果を期待することができないし、この範囲以上にな
ると、ジヒドロカルコン類の甘味を感じられるようにな
り、逆に後味がくどくなり、逆効果となる。
【0021】請求項1記載の本発明の風味改良剤の形態
は、特に制限はない。例えば錠剤、顆粒剤、粉剤があ
り、これらの場合には賦形剤としてデキストリン,乳糖
などを用いることができる。また、液製剤とすることも
でき、この場合には分散剤として、エタノール,植物性
油脂,プロピレングリコールなどを用いることができ
る。
【0022】請求項1記載の本発明の風味改良剤の対象
となる飲食物は、粉乳類の他、これら粉乳類から調製さ
れる飲食物であれば、いずれでもよい。ここで粉乳類と
しては、脱脂粉乳や全粉乳などが挙げられる。特に脱脂
粉乳は加熱による風味の変化の他、脱脂による風味の変
化も認められるため、請求項1記載の本発明の風味改良
剤を適用することによる改善効果が著しい。また、これ
ら粉乳類から調製される飲食物として具体的には例え
ば、乳飲料;発酵乳;コーヒー、紅茶などの嗜好飲料;
スープ類、シチュー類、缶詰類などの加工食品;アイス
クリーム、ラクトアイス、アイスミルク、氷菓、ゼリー
などの冷菓類;カスタードクリーム、バタークリームな
どの各種クリームを使用したデザート類;チョコレー
ト、キャンディー、タブレット、クッキー、ビスケッ
ト、チューインガムなどの菓子類;牛乳羹、錦玉などの
和菓子類等が挙げられる。
【0023】請求項1記載の本発明の風味改良剤は、こ
れらの粉乳類などを比較的多量に配合した飲食物の場合
に、特に効果的である。この飲食物に配合される乳製品
として、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類以外に、牛乳や
低脂肪乳が配合されていてもよいことは勿論である。請
求項1記載の本発明の風味改良剤によれば、粉乳類など
の独特の風味を改良し、牛乳のみを配合した場合の風味
に近づけることができる。
【0024】次に、請求項2記載の本発明について説明
する。請求項2記載の本発明は、ジヒドロカルコン類を
添加することを特徴とする、、粉乳類、或いは粉乳類か
ら調製される飲食物の風味改良方法である。
【0025】請求項2記載の本発明においては、粉乳
類、或いは粉乳類から調製される飲食物にジヒドロカル
コン類を添加することを特徴とするものであり、ジヒド
ロカルコン類が添加されるのであれば、その添加形態は
如何なるものでもよい。典型的には、請求項1に記載し
たような風味改良剤の形で添加されるが、これに限定さ
れるものではない。なお、風味改良剤の形で添加する場
合、例えば錠剤、顆粒剤、粉剤のようなものであっても
良いし、液製剤のようなものであっても良い。
【0026】請求項2記載の本発明において、風味改良
の対象となる飲食物は、請求項1に記載したと同様に、
粉乳類の他、これら粉乳類から調製される飲食物であれ
ば、いずれでもよい。
【0027】請求項2記載の本発明において、ジヒドロ
カルコン類の添加方法についても、特に制限はなく、予
め他の原材料と混合した形で各種飲料、食品などに添加
してもよいし、或いは単独で添加配合してもよい。
【0028】また、請求項2記載の本発明においては、
ジヒドロカルコン類の添加時期についても、特に制限は
なく、対象となる飲食物の製造過程中或いは製造後に混
合添加すればよい。
【0029】請求項2記載の本発明においては、必要に
応じて、砂糖やブドウ糖などの甘味料、油脂、蛋白質な
どを併用しても差支えない。
【0030】請求項2記載の本発明においては、請求項
1記載の本発明と同様に、ジヒドロカルコン類なら種類
を問わず用いることができ、1種類を単独で用いても、
或いは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、
1種類を単独で用いる場合は、NADHC或いはNED
HCを用いることが好ましく、特にNADHCを用いる
と、優れた風味改善効果を得ることができることや、2
種類以上のジヒドロカルコン類を組み合わせて用いる場
合、特にNADHCとNEDHCとを組み合わせて用い
ることが好ましいことなど、さらにはNADHCとNE
DHCとの好適な配合割合なども、請求項1記載の本発
明と同様である。
【0031】また、請求項2記載の本発明において、添
加されるジヒドロカルコン類の量は、請求項1記載の本
発明に関する記載中で説明した通り、対象となる飲食物
1重量部に対して、通常、0.0001〜0.0000
03重量部(100〜3ppm)、好ましくは、0.0
0003〜0.000005重量部(30〜5ppm)
の範囲である。
【0032】さらに、請求項2記載の本発明において、
添加するジヒドロカルコン類の形態は、特に制限はな
い。例えば請求項1記載の本発明に関する記載中で説明
したと同様に、錠剤、顆粒剤、粉剤があり、これらの場
合には賦形剤としてデキストリン,乳糖などを用いるこ
とができる。また、液製剤とすることもでき、この場合
には分散剤として、エタノール,植物性油脂,プロピレ
ングリコールなどを用いることができる。
【0033】請求項2記載の本発明の方法は、粉乳類な
どを比較的多量に配合した飲食物の場合に、特に効果的
である。この飲食物に配合される乳製品として、脱脂粉
乳や全粉乳などの粉乳類以外に、牛乳や低脂肪乳が配合
されていてもよいことは勿論である。請求項2記載の本
発明の方法によれば、粉乳類などの独特の風味を改良
し、牛乳のみを配合した場合の風味に近づけることがで
きる。
【0034】続いて、請求項3記載の本発明について説
明する。請求項3記載の本発明は、ジヒドロカルコン類
を、粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物に配合
してなる、風味の改良された飲食物である。
【0035】請求項3記載の本発明は、ジヒドロカルコ
ン類を、粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物に
配合してなるものであり、ジヒドロカルコン類が配合さ
れているのであれば、その配合形態は如何なるものでも
よい。典型的には、請求項1に記載したような風味改良
剤の形で配合されたものが挙げられるが、これに限定さ
れるものではない。なお、風味改良剤の形で添加する場
合、例えば錠剤、顆粒剤、粉剤のようなものであっても
良いし、液製剤のようなものであっても良い。
【0036】この他は、上記請求項1記載の本発明や、
請求項2記載の本発明に関する記載中で説明したと同様
である。
【0037】また、請求項3記載の本発明の飲食物は、
粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物とジヒドロ
カルコン類の他に、必要に応じて粉乳以外の乳製品(例
えば牛乳や低脂肪乳など)、砂糖やブドウ糖などの甘味
料、油脂、蛋白質などを含んでいても差し支えない。
【0038】請求項3記載の本発明の飲食物は、粉乳類
などの独特の風味が改良されており、牛乳のみを配合し
た場合の風味に近づいているものである。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、実施例の官能試験は、社内味覚試験
に合格したパネラーを用いて行った。
【0040】実施例1〔脱脂粉乳より得られる還元牛乳
へのNADHC添加の効果〕 市販の脱脂粉乳50gに、全量が500gになるように
水を加え、加温溶解し、還元牛乳を調製した。これを二
分し、一方はそのまま何も加えず、基準サンプルとし
た。もう一方には、NADHCを0.0015重量%
(15ppm)添加混合し、NADHC添加サンプルと
した。
【0041】NADHC添加サンプルの風味について、
官能試験により、脱脂粉乳の独特の臭いの有無、後味の
雑味の有無、飲みやすさを評価した。官能試験は、10
名のパネラーの協力を得て行った。各パネラーに、NA
DHC添加サンプルと基準サンプルとを試飲してもら
い、上記評価項目について、NADHC添加サンプルが
基準サンプルに対して優れているか否かを、−3〜+3
の7段階の評点により表現してもらう方法で行った。結
果を第1表に示す。
【0042】
【表1】
【0043】第1表より、NADHC添加サンプルは、
無添加の基準サンプルと比較して、有意に脱粉臭(脱脂
粉乳独特の臭い)の低減を図ることができたことが分か
る。また、後味の雑味や飲みやすさについても、有意に
改善されたことが分かる。このことから、脱脂粉乳から
調製された飲食物にNADHCを添加することにより、
風味改良されることが明らかである。
【0044】実施例2〔全粉乳より得られる還元牛乳へ
のNEDHC添加の効果〕 市販の全粉乳50gに、全量が500gとなるように水
を加え、加温溶解して還元乳を調製した。これを二分し
て、一方はそのまま何も加えず、基準サンプルとした。
もう一方には、NEDHCを0.0005重量%(5p
pm)添加混合し、NEDHC添加サンプルとした。N
EDHC添加サンプルの風味について、脱粉臭を還元臭
に変えて評価したこと以外は実施例1と同様にして官能
試験を行った。結果を第2表に示す。
【0045】
【表2】
【0046】第2表より、NEDHC添加サンプルは、
無添加の基準サンプルと比較して、有意に還元臭(全粉
乳独特の臭い)の低減を図ることができたことが分か
る。また、後味の雑味や飲みやすさについても、有意に
改善されたことが分かる。このことから、全粉乳から調
製された飲食物にNADHCを添加することにより、風
味改良されることが明らかである。
【0047】実施例3〔一部還元乳に対するジヒドロカ
ルコン類の添加の効果〕 牛乳100%で何も添加しないものをサンプルA(コン
トロール)とした。このサンプルAの乳固形分の20%
を脱脂粉乳に置き換えた一部還元乳を調製し、サンプル
Bとした。さらに、その一部還元乳に対して、NADH
CとNEDHCの80:20(重量比)混合物を0.0
012重量%(12ppm)添加したものをサンプルC
とした。これらの3種類のサンプルA,B及びCについ
て、12名のパネラーで官能試験を行い、順位法により
風味を評価した。結果を第3表に示す。なお、第3表中
の数値は、順位の合計を示す。
【0048】
【表3】 〔注〕*は、それぞれの数値の間に5%の危険率で有意差があることを示す。
【0049】第3表をみると、一部還元乳(サンプル
B)の脱粉臭は、牛乳(サンプルA)と比べて有意に強
く、後味の雑味も有意に強いことが分かる。これに対
し、このような無添加の一部還元乳(サンプルB)と比
較して、一部還元乳に対してNADHCとNEDHCと
を配合したもの(サンプルC)は、脱脂粉乳臭及び後味
の雑味のいずれの点においても優れていることが分か
る。また、サンプルCは、牛乳(サンプルA)の脱粉臭
と比較しても遜色ない上、後味の雑味については、サン
プルAよりも有意に弱いことが分かる。このことから、
2種類のジヒドロカルコン類を添加することにより、一
部還元乳の脱脂粉乳臭を低減し、後味の雑味について
は、もとの牛乳よりも改善することができることが明ら
かである。
【0050】実施例4〔スープへのNEDHC添加の効
果〕 脱脂粉乳を使用した粉末スープ(味の素(株)製、ポタ
ージュスープ)に、NEDHC0.0003重量%(3
ppm)を添加したものを、NEDHC添加サンプルと
した。一方、同じ粉末スープに何も添加しないものを、
無添加サンプルとした。これらの2つのサンプルについ
て官能試験を行い、風味の比較を行った。官能試験は、
パネラー15名の協力を得て2点嗜好法により行った。
その結果を第4表に示す。
【0051】
【表4】
【0052】第4表によれば、NEDHCを添加したス
ープの風味は、無添加のスープの風味を上回ることが分
かる。このことから、脱脂粉乳を使用したスープにNE
DHCを添加すると、その風味が改善されることが明ら
かである。
【0053】実施例5〔バタークリームへのNADHC
添加の効果〕 砂糖12重量部、乳糖10重量部、脱脂粉乳20重量
部、水8重量部を、約60℃で加温溶解し、混合液を作
成した。次いで、この混合液に、マーガリン50重量
部、バニラエッセンス0.1重量部を混合し、スポンジ
ケーキやロールケーキなどに使用するバニラ味のバター
クリームを調製した。得られたバニラクリームを2分
し、一方にNADHCを0.01重量%(100pp
m)添加し(NADHC添加サンプル)、もう一方はそ
のままとした(無添加サンプル)。2つのサンプルの風
味を、実施例4と同様の官能試験により比較した。その
結果を第5表に示す。
【0054】
【表5】
【0055】第5表によれば、NADHCを添加したバ
タークリームの風味は、無添加のバタークリームの風味
を上回ることが分かる。このことから、脱脂粉乳から調
製されたバタークリームにNADHCを添加すると、そ
の風味が改善されることが明らかである。
【0056】実施例6〔ラクトアイスへのジヒドロカル
コン類の添加の効果〕 脱脂粉乳を10%配合し、常法によりラクトアイスを調
製した。このラクトアイスを2分し、一方に、NADH
CとNEDHCの50:50(重量比)混合物を0.0
05重量%(50ppm)添加し(NADHC+NED
HC添加サンプル)、もう一方はそのままとした(無添
加サンプル)。2つのサンプルの風味を、実施例4と同
様の官能試験により比較した。その結果を第6表に示
す。
【0057】
【表6】
【0058】第6表によれば、NADHCとNEDHC
との混合物を添加したラクトアイスの風味は、無添加の
ラクトアイスの風味を上回ることが分かる。このことか
ら、脱脂粉乳から調製されたラクトアイスにNADHC
とNEDHCとの混合物を添加すると、その風味が改善
されることが明らかである。
【0059】実施例7〔NADHCとNEDHCとの混
合物を添加した場合の重量比率による効果の差異〕 市販の脱脂粉乳120gに、全量が1000gになるよ
うに水を加え、加温溶解し、還元牛乳を調製した。ま
た、NADHCとNEDHCの重量比率を変えたジヒド
ロカルコン混合物を、第7表に示す比率で11種類調製
した。
【0060】上記の還元牛乳に、これらのジヒドロカル
コン類混合物を0.0005重量%(5ppm)添加混
合し、11種類のジヒドロカルコン類添加サンプル(サ
ンプル1〜11)を作成した。また、基準サンプルとし
てジヒドロカルコン類を添加しない還元牛乳も用意し
た。ジヒドロカルコン類添加サンプル(サンプル1〜1
1)のそれぞれについて、基準サンプルに対する官能試
験を行った。官能試験は、10名のパネラーの協力を得
て、−2〜+2の5段階の評点をつけてもらうことによ
り評価した。評点の平均値を第7表に示す。
【0061】
【表7】
【0062】第7表によれば、どの重量比率の混合物で
も脱粉臭が抑制されているが、中でもNADHCとNE
DHCの重量比率が90:10〜50:50の範囲のと
きに(サンプル2,3,4,5及び6)、脱粉臭の平均
値が+1.5以上となっており、抑制効果が高いことが
分かる。また、NADHCのみを添加する場合(サンプ
ル1)の方が、NEDHCのみを添加する場合(サンプ
ル11)よりも、風味改良効果が高いことが分かる。こ
のことから、NADHCとNEDHCの混合物を添加す
る場合、重量比率が90:10〜50:50とすると、
より高い風味改善効果を得ることができること、また、
NADHCはNEDHCよりも風味改善効果が高いこと
が明らかとなった。
【0063】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の風味改良剤によ
れば、脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類から調製される飲
食物に添加することにより、該飲食物の粉乳類に由来す
る特有の粉っぽい味、臭いを改良することができる。ま
た、請求項1記載の本発明の風味改良剤によれば、粉乳
類から調製される飲食物のミルク風味を改良することに
より、牛乳らしい風味を付与することができる。さら
に、粉乳類の他に牛乳や低脂肪乳などの乳製品が配合さ
れている飲食物に添加することにより、牛乳や低脂肪乳
などの乳製品のみを配合した場合の風味に近づけること
ができる。なお、請求項1記載の本発明の風味改良剤
は、ジヒドロカルコン類を極少量しか含有しないことか
ら、粉乳類から調製される飲食物の元来有する特徴を損
なうおそれがなく、上記の優れた効果を得ることができ
る。
【0064】次に、請求項4記載の本発明の風味改良方
法によれば、粉乳類から調製される飲食物に添加するこ
とにより、該飲食物の粉乳類に由来する特有の粉っぽい
味、臭いを改良することができる。また、請求項4記載
の本発明の風味改良方法によれば、粉乳類から調製され
る飲食物のミルク風味を改良することにより、牛乳らし
い風味を付与することができる。さらに、粉乳類の他に
牛乳や低脂肪乳などの乳製品が配合されている飲食物に
添加することにより、牛乳や低脂肪乳などの乳製品のみ
を配合した場合の風味に近づけることができる。なお、
請求項4記載の本発明の風味改良方法は、ジヒドロカル
コン類を極少量配合するだけであることから、粉乳類か
ら調製される飲食物の元来有する特徴を損なうおそれが
なく、上記の優れた効果を得ることができるものであ
る。
【0065】さらに、請求項7記載の本発明の飲食物
は、粉乳類から調製される飲食物の粉乳類に由来する特
有の粉っぽい味、臭いの改良された飲食物となってい
る。また、請求項7記載の本発明の飲食物は、粉乳類か
ら調製される飲食物のミルク風味が改良されており、牛
乳らしい風味の付与されたものとなっており、商品価値
の高いものである。なお、請求項7記載の本発明の飲食
物は、ジヒドロカルコン類を極少量しか含有しないこと
から、粉乳類から調製される飲食物の元来有する特徴を
損なうおそれのないものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11B 9/00 C11B 9/00 L (72)発明者 裏地 達哉 愛知県知多市北浜町24番12 日研化成株式 会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジヒドロカルコン類を含有することを特
    徴とする、粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物
    の風味改良剤。
  2. 【請求項2】 ジヒドロカルコン類の含有量が、飲食物
    1重量部に対して、0.0001〜0.000003重
    量部である請求項1記載の風味改良剤。
  3. 【請求項3】 ジヒドロカルコン類が、ナリンジンジヒ
    ドロカルコンとネオヘスペリジンジヒドロカルコンとの
    混合物であり、かつ、その重量比が前者:後者=90:
    10乃至50:50の範囲である請求項1記載の風味改
    良剤。
  4. 【請求項4】 ジヒドロカルコン類を添加することを特
    徴とする、粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物
    の風味改良方法。
  5. 【請求項5】 ジヒドロカルコン類の添加量が、飲食物
    1重量部に対して、0.0001〜0.000003重
    量部である請求項2記載の風味改良方法。
  6. 【請求項6】 ジヒドロカルコン類が、ナリンジンジヒ
    ドロカルコンとネオヘスペリジンジヒドロカルコンとの
    混合物であり、かつ、その重量比が前者:後者=90:
    10乃至50:50の範囲である請求項2記載の風味改
    良方法。
  7. 【請求項7】 ジヒドロカルコン類を、粉乳類、或いは
    粉乳類から調製される飲食物に配合してなる、風味の改
    良された飲食物。
JP9364736A 1997-12-22 1997-12-22 粉乳類、或いは粉乳類から調製される飲食物の風味改良剤,風味改良方法及び風味の改良された飲食物 Withdrawn JPH11178506A (ja)

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