JPH11178499A - パン類の品質改良組成物およびそれを用いたパン類の製造法 - Google Patents
パン類の品質改良組成物およびそれを用いたパン類の製造法Info
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Abstract
パンのボリュームの減少などの問題点を防止することが
できるパンの品質改良組成物を提供すること 【構成】穀類粉末を主原料とするパン類の製造法におい
て、当該製造工程中にマルトテトラオース・マルトペン
タオース生成酵素を含むパン類の品質改良組成物を添加
混合することを特徴とするパン類の製造法及び穀類粉末
にマルトテトラオース・マルトペンタオース生成酵素を
含むパン類の品質改良組成物を添加混合して調製してな
るパン生地。
Description
及びそれを用いたパン類の製造法に関する。より詳細に
はマルトテトラオース・マルトペンタオース生成酵素
(以下、G4・G5生成酵素ともいう)を含むことを特
徴とするパン類の品質改良組成物及びそれを用いたパン
類の製造法に関する。
パンの経時的な固化現象、食感等の物性の劣化を防止ま
たは遅延させるための試みがなされており、例えば、生
地の調製の段階で、脂肪酸モノグリセライド、レシチ
ン、ステアリル−2−乳酸エステルなどの乳化剤、ソル
ビット、砂糖などの糖類あるいはこれらを含んだ油脂、
キサンタンガム、プルランなどの増粘多糖類又はα化加
工澱粉などの各種の食品添加物を添加することが行われ
てきた。また、マルトトリオース、マルトテトラオース
等のマルトオリゴ糖を添加する方法も提案されている
(特開昭60-192538号公報、月刊フードケミカル 1997
年6月号41−48頁)。
検討されており、例えば、パン生地にα−アミラーゼを
添加してパンの固化を防止する試みが従来からなされ、
最近になって、パン焼き菓子の固化の進行を妨げるため
に耐酸性のα−アミラーゼと耐熱性のα−アミラーゼを
組み合わせて使用する方法(特公平7-110193号公報)
や、ラクトバチルス属の生産する新規エステラーゼをパ
ン若しくは菓子パンの製造に用いて固化を防止する方法
(特開平4-121186号公報)も開示されている。
方法のうちで、乳化剤等の食品添加物を添加する方法
は、最近の天然物思考に合致しないので、天然物である
酵素を添加して固化を防止する方法が試みられるつつあ
るが、しかし、現段階においては試行錯誤の段階であ
り、酵素を添加してパンの固化を防止する為のより好ま
しい方法を見い出す努力が続けられている。
によるパンの固化防止方法について種々研究を行ってい
るうちに、マルトテトラオース・マルトペンタオース生
成酵素をパン類製造において使用したところ、パン生地
を小麦粉などをまぶすことなく取り扱いやすくし、水分
の調整のための添加物を必要とせず、焼き上げたときの
パンの弾力、しなやかさの向上、および固化現象を防止
し、更に冷凍生地によるパンのボリュームの減少などの
問題点を防止することができるパンの品質改良組成物を
提供することが可能であることを知り、鋭意検討の結
果、本発明を完成した。
トペンタオース生成酵素を含むことを特徴とするパン類
の品質改良組成物、および穀類粉末を主原料とするパン
類の製造法において、当該製造工程中にマルトテトラオ
ース・マルトペンタオース生成酵素を含むパン類の品質
改良組成物を添加混合することを特徴とするパン類の製
造法に関する。
小麦粉を主原料とし、これに水等を加え更に油脂、糖
類、乳製品、卵、イーストフード、各種酵素類、各種乳
化剤等の原料を必要に応じて添加し、イーストの添加の
有無に拘らず、混捏工程を経て得られた一般的生地、餅
や饅頭生地やドーナッツ生地、パイ生地、ピザ生地、ホ
ットケーキ生地、スポンジケーキ生地、クレープ生地、
餃子生地等も包含し、これらを蒸したり、焼いたり或い
は油揚げしたものを包含する。更に上記原料の他に小麦
粉以外の穀物、例えばライ麦等を混入したものをも包含
する。
テトラオース・マルトペンタオース生成酵素とは、澱粉
に作用して主としてマルトテトラオース及びマルトペン
タオースの両方を生成する能力を有する酵素をいう。
生成酵素としては、例えば、本発明者等が土壌よりスク
リーニングして新たに見いだしたバチルス・エスピー
(Bacillus sp.)No.9668の生産するマルトテトラオー
ス・マルトペンタオース生成酵素及び公知のバシルス・
サーキュランス(Bacillus circulans)の生産するアミ
ラーゼG4,5〔特公昭60-36278号公報、Agric.Biol.C
hem.47(10),2193 〜2199,1983〕等が挙げられる。本発
明者等により新たに土壌よりスクリーニングした、マル
トテトラオース・マルトペンタオース生成酵素産生菌の
部分的同定結果及び該菌株によるマルトテトラオース・
マルトペンタオース生成酵素の生産方法、並びに該生成
酵素の澱粉に対する作用の確認方法は、以下の通りであ
る。 (1) 菌株の同定 1.形態的性質 桿菌 胞子形成能有り 2.生理学的性質 グラム陽性 好気的に生育 以上の性質より、本菌株は、バチルス属に属する菌株で
あることが明らかであり、バチルス・エスピー(Bacill
us sp.)No.9668とされ、工業技術院生命工学工業技術
研究所にFERM P-16531として寄託されている。 (2) 酵素の生産方法 可溶性澱粉1.2%、ポリペプトン0.5%、カツオ肉エキス
1.5%、リン酸二カリウム0.3%、硫酸マグネシウム(7
水和物)0.1%からなる培地100ml(pH8.0)を500ml容坂
口フラスコに入れ、120℃で10分殺菌した後、予め同培
地にて30℃で1日間前培養したバチルス・エスピー(Ba
cillus sp.)No.9668 FERM P-16531を接種し、30℃、
3日間、回転数140rpmで振盪培養を行い、除菌後マルト
テトラオース・マルトペンタオース生成酵素液を得た。 (3) 生成酵素の澱粉に対する作用の確認 5%可溶性澱粉溶液(10mMリン酸緩衝液pH7.0に可溶
性澱粉を溶解)に上記(2)で得られたマルトテトラオー
ス・マルトペンタオース生成酵素を基質1.0 gあたり50U
添加し、37℃で反応させ、時間経過による反応生成物の
確認を薄層クロマトグラフィー及びHPLCで行なった
結果、図1及び図2に示されるようにマルトテトラオー
ス及びマルトペンタオースが生成されていることを確認
した。
なマルトテトラオース・マルトペンタオース生成酵素単
独で形成されていても良いが、通常はマルトテトラオー
ス・マルトペンタオース生成酵素以外のパン類製造に必
要とされる各種の添加物や賦形剤を添加した組成物が使
用される。
粉末、イースト、イーストフード、食塩、砂糖、油脂な
どのほかにマルトテトラオース・マルトペンタオース生
成酵素の作用を妨げない範囲で脱脂粉乳、卵、多糖類、
調味料、香料、アスコルビン酸、膨張剤(炭酸水素アン
モニウム、炭酸水素ナトリウム等)、漂白剤(過硫酸ア
ンモニウム等)、乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル
等)、ステアロイル硫酸カルシウム、L−システイン塩
酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、果実、
コーヒー抽出物、香辛料等が添加されうる。
タオース生成酵素は、必ずしも高度に精製処理した高純
度品である必要はなく、培養液より菌体が除去されたの
みの粗酵素品であってもよく、或いは粗酵素品を部分精
製して得られる半精製品の何れであっても良い。
タオース生成酵素を含むパンの品質改良組成物の生地調
製時に添加する方法は、それらが生地中に均一に分散す
る方法であれば特に制限はない。例えば、小麦粉等のい
ずれかの原料と同時に加えてもよいし、予め、水に溶解
し加えてもよい。
添加量は、マルトテトラオース・マルトペンタオース生
成酵素活性として、小麦粉1gに対して0.01〜10単位が
使用され、好ましくは0.05〜3.0単位が使用される。
温することが好ましい。即ち、おおよそ30分以上、20〜
50℃で保温することが好ましく、パンの製造のような発
酵工程を有する場合、発酵工程がこれに該当する。即
ち、G4・G5生成酵素を添加されたパン類の生地中に
はマルトテトラオース及びマルトペンタオースが継続的
に供給されることとなり、且つ徐々にこれらオリゴ糖が
生成するためイーストの発酵を抑制しない利点がある。
よってマルトテトラオース及びマルトペンタオースを最
初から添加して調製する場合と比較して本発明の効果を
発揮することができる。
した澱粉が再結晶化し、老化するためであるが、本発明
の品質改良組成物中のマルトテトラオース・マルトペン
タオース生成酵素によりパン生地中の澱粉が適度に分解
されることによってパンの老化を防ぐことができる。
生地を製造した後は、通常の方法でパン類を製造するこ
とができる。又、パン類生地を冷凍する方法としては、
ミキシング後、成形後、最終プルーフ後に冷凍する場合
等がある。これらは解凍後それぞれ通常の方法で使用さ
れる。
ース生成酵素の酵素活性は、以下のようにして測定す
る。0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.0)に溶解した2%可溶性
澱粉0.5mlに、適量の酵素を加え、水で全量を1.0mlと
し、40℃で反応させる。この条件で、1分間に1マイク
ロモルのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量
を1単位とする。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
タオース生成酵素の製パン性への影響 以下に示す配合処方及び製造手順により、ノータイム法
によってワンローフ食パンを製造した。
ートニング添加」−「低速1分」−「中速4分」−「高
速4分」 (2) 捏上温度:27〜29℃ (3) 醗酵:27℃、30分 (4) 分割:生地重量450g (5) ベンチ:30分 (6) ホイロ:38℃、パンケース型上3.5cm (7) 焼成:230℃、25分
パンについて評価した。即ち、パンの容積及び比容積に
ついては菜種置換法(Rape seed Replacement method)
で測定し、パンのクラムの柔らかさについては以下の条
件下で、レオメーターで押し込み強度を測定することに
より求めた。 パンのクラムの柔らかさ測定法 試料:パンのクラム 厚さ2cm プランジャー:φ25 mm 円型平板プランジャー 押し込み強度:2cm/min 押し込み:パンのクラムの厚さが0.5 cmになるまで
押し込みそのときの応力を測定 パンの保存:20℃
ーザーで凍結し、-20℃で3ヶ月保存した後、解凍して3
8℃で最終ホイロを行い、焼成したパンについても同様
に評価した。
項目でマルトテトラオース・マルトペンタオース生成酵
素を添加したパン及びパン生地は添加しないときと比べ
勝っていた。
タオース生成酵素が添加されると、小麦粉澱粉中のα-
1,4-結合が開裂し、開裂によって生成した物質の大部分
はマルトテトラオース及びマルトペンタオースとなって
いる。その反応の際には他の物質(グルコースが6個以
上或いは3個以下)も生成される。このようにマルトテ
トラオース及びマルトペンタオースだけではなく、少量
のグルコースも生成されるのでイーストにとってはより
よい栄養源となる。つまり、イーストにとっては発酵可
能な物質が豊富に供給されることとなるため発酵が速や
かに進行する。更に、グルテン・マトリックスに結合し
ている澱粉(糖蛋白)も部分的に分解されて、グルテン
構造に微細孔を形成し、パン生地の伸長性を高めること
ができる。
トペンタオースは水と結合する力が強いのでパン生地を
冷凍する際にも有利に働く。即ち、パン生地に含まれて
いる水分が吸収されてしまうためグルテン・マトリック
スを破壊へと導く氷晶の形成が抑制されるのでパンのボ
リュームが損なわれることがない。
まぶすことなく取り扱いやすくし、水分の調整のための
添加物を必要とせず、焼き上げたときのパンの弾力、し
なやかさの向上、および固化現象を防止し、更に冷凍生
地によるパンのボリュームの減少などの問題点を防止
し、乳化剤を無添加或いは添加量の削減を果たすことが
できる。
せ、時間経過による反応生成物を薄層クロマトグラフィ
ーで確認したものである。
せ、時間経過による反応生成物をHPLCで確認したも
のである。
Claims (4)
- 【請求項1】マルトテトラオース・マルトペンタオース
生成酵素を含むことを特徴とするパン類の品質改良組成
物。 - 【請求項2】穀類粉末を主原料とするパン類の製造法に
おいて、当該製造工程中にマルトテトラオース・マルト
ペンタオース生成酵素を含むパン類の品質改良組成物を
添加混合することを特徴とするパン類の製造法。 - 【請求項3】穀類粉末にマルトテトラオース・マルトペ
ンタオース生成酵素を含むパン類の品質改良組成物を添
加混合して調製してなるパン生地。 - 【請求項4】パン生地が冷凍生地である請求項3記載の
パン生地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36710997A JP3766530B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | パン類の品質改良組成物およびそれを用いたパン類の製造法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11178499A true JPH11178499A (ja) | 1999-07-06 |
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JP (1) | JP3766530B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104273185A (zh) * | 2013-07-08 | 2015-01-14 | 镇江拜因诺生物科技有限公司 | 一种冷冻面团改良剂 |
-
1997
- 1997-12-24 JP JP36710997A patent/JP3766530B2/ja not_active Expired - Fee Related
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