JPH11173531A - 電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法 - Google Patents

電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法

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JPH11173531A
JPH11173531A JP9343491A JP34349197A JPH11173531A JP H11173531 A JPH11173531 A JP H11173531A JP 9343491 A JP9343491 A JP 9343491A JP 34349197 A JP34349197 A JP 34349197A JP H11173531 A JPH11173531 A JP H11173531A
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善利 関口
Kunio Sasaki
邦夫 佐々木
Kazunori Nakamura
和範 中村
Shiro Sakata
詞郎 坂田
Hiroshi Kosaka
浩史 小坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炉の停止や温度低下を招くことなく正確な溶融
スラグ層厚を検出する。 【解決手段】炉本体1の底部にベースメタルMを収容す
るとともに、炉本体1の天壁から昇降自在に垂下された
複数の電極8A,8BとベースメタルMとの間にはプラ
ズマアークを形成して、ベースメタルM上に投入された
灰Aを加熱溶融し、この溶融スラグMSをオーバーフロ
ーさせて排出する電気式灰溶融炉の溶融スラグの厚さを
検出するに際して、一定時間ごとに陰電極8Aと陽電極
8B間の稼動プラズマ電圧を検出し、データ処理装置2
2により、設定電圧と検出電圧と変動幅を求め、予め計
測された電圧変動幅と溶融スラグの層厚の関係から、溶
融スラグMSの層厚を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極を有して底部
に収容した導電体と間でアークまたはプラズマアークを
形成する電気式灰溶融炉において、ベースメタル上の溶
融スラグの厚さを検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼却炉から排出される焼却灰をプラズマ
式やアーク式の灰溶融炉で溶融処理する場合、炉底部に
メタル溶融層(ベースメタルという)を形成して導電体
および熱媒体として利用しており、このベースメタル上
で焼却灰を加熱溶融して溶融スラグ層を形成し、オーバ
ーフロー形式で出滓口から取り出している。その時、焼
却灰に含まれる金属類がベースメタルに溶け込み、ベー
スメタルの湯面レベルが灰の処理量の増加とともに上昇
してくる。ベースメタルが上昇すると、溶融スラグ層が
薄くなり、外乱による溶融スラグ表面の変動で、電気抵
抗が大きく変化してプラズマアークまたはアークによる
安定した運転が困難になるとともに、溶融スラグ層の滞
留時間が短く完全に溶融していない灰を排出するおそれ
がある。
【0003】そのため、ベースメタルの湯面レベルが高
くなると、灰の滞留時間を長くして完全に溶融させるた
めに、灰の供給量を減少させる灰の供給制御やスラグの
排出作業を行う必要がある。
【0004】このスラグ層の厚さを検知する方法とし
て、従来では灰の溶融量(稼動時間)からおおよそのス
ラグ層厚を推定したり、またベースメタルとスラグの電
気抵抗値を計測することにより行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、稼動時間から
スラグ層厚を推定する場合には、極めておおよその値で
しかなく、正確な灰供給制御やメタル排出時期の割り出
しをおこなえない。また電気抵抗値を利用する場合に
は、炉の運転を一旦停止してセンサー等を直接炉内に挿
入する必要があり、溶融スラグやベースメタルの温度低
下を招くとともに運転効率を低下させる要因となる。
【0006】本発明のうち請求項1記載の発明は、上記
問題点を解決して、炉の停止や温度低下を招くことなく
正確な溶融スラグ層厚を検出できる電気式灰溶融炉のス
ラグ厚さ検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1記載の発明は、炉本体の底部にベー
スメタルを収容するとともに、炉本体の天壁から昇降自
在に垂下された複数の電極とベースメタルとの間にアー
クまたはプラズマアークを形成して、ベースメタル上に
投入された灰を加熱溶融し、この溶融スラグをオーバー
フローさせて排出する電気式灰溶融炉の溶融スラグの厚
さを検出するに際して、一定時間ごとにアーク電圧また
はプラズマ電圧を検出して、設定電圧と検出電圧と変動
幅を求め、予め計測された電圧変動幅と溶融スラグの層
厚の関係から、溶融スラグの層厚を推定するものであ
る。
【0008】上記構成によれば、一定時間毎に電極間の
稼動アークまたは稼動プラズマ電圧を計測して電圧変動
率を求めることにより、容易に溶融スラグの層厚を正確
に推定することができ、正確なベースメタルの排出時期
を知ることができるとともに、灰供給制御を正確に行う
ことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】ここで、本発明に係るプラズマ灰
溶融炉の実施の形態を図1および図2に基づいて説明す
る。
【0010】1は底部にベースメタルMを収容する溶融
室2が形成された炉本体で、一端側の側壁に灰投入口3
が形成されて灰ホッパ4と灰プッシャー5が設けられて
おり、他端側の側壁に溶融スラグMSを排出する排滓口
6が形成されている。またこの炉本体1の天壁に形成さ
れた一対のトーチ挿入孔7A,7Bには、陰電極トーチ
8Aと陽電極トーチ8Bがトーチ昇降装置(図示せず)
を介してそれぞれ垂下されており、これら電極トーチ8
A,8Bに直流電源装置9が接続されている。また図示
しない炉壁のガス供給口と各電極トーチ8A,8Bのガ
ス供給孔から溶融室2内に作動ガス(たとえば窒素ガ
ス)が供給されてベースメタルとの間にプラズマアーク
を形成するように構成される。10は側壁に形成された
排ガス排出口である。
【0011】前記排滓口6には、排滓溝が形成されたス
ラグ排出堰11が設けられるとともに、スラグ排出堰1
1に対向してスラグの凝固を防止する予熱バーナー12
が配置されている。そして、排滓口6の下部には、溶融
スラグMSを水冷して水砕スラグを生成する冷却水槽1
3aとスラグ排出コンベヤ13bからなるスラグ冷却装
置13が配置されている。
【0012】前記炉本体1は、ベースメタルMを排出す
る炉傾動装置14を介してメタル排出口と兼用される排
滓口6側が下方になるように傾動自在に配置されてお
り、炉傾動装置14は、排滓口6側で水平軸14aを介
して底壁を回動自在に支持する支持台14bと、灰投入
口3側で底壁を押し上げ自在に配置された傾動ジャッキ
14cとで構成されている。
【0013】21は両電極トーチ8A,8B間で稼動電
圧(プラズマ電圧)を測定する測定手段ある電流計で、
この計測値はコンピュータの演算手段であるデータ処理
装置22に出力され、一定時間毎に計測された実測稼動
電圧と、設定された電圧との変動率を演算し、予め計測
された電圧変動幅と溶融スラグMSの層厚の関係から、
溶融スラグMSの層厚を推定し、この変動幅から溶融ス
ラグMSの層厚がメタル排出限となった時に、表示手段
であるメタル排出表示ランプ23を点灯させて作業員に
知らせるように構成される。もちろん、表示手段は制御
用CRTでの表示や告知ブザーであってもよい。
【0014】このデータ処理装置22では、たとえば5
秒間隔毎に電圧値が検出され、1時間平均の稼動電圧の
変動率が演算されており、計算方法は下記の通りであ
る。
【0015】
【数1】
【0016】上記構成において、直流電源装置9から両
電極トーチ8A,8Bに電圧が印加されて電極トーチ8
A,8BとベースメタルMとの間にプラズマアークが発
生され、ホッパ4の灰Aが灰プッシャー5により溶融室
2に所定量ずつ投入されて溶融される。そしてベースメ
タル上に溶融スラグMS層が形成され、スラグ排出堰1
1の排滓溝11aのレベルを超えるとオーバーフローし
て排滓口6からスラグ冷却装置13の冷却水槽13aに
滴下排出されて水砕スラグWSが生成される。この時、
直流電源装置9から供給された電流は、陽電極トーチ8
Bからプラズマアーク、溶融スラグMS、ベースメタル
Mを通り、ベースメタルMから溶融スラグMS、プラズ
マアークを介して陰電極トーチ8Aに到達する。
【0017】この運転時には、直流電源装置9から一定
の設定電流が供給され、電圧は一定時間毎に電極トーチ
8A,8Bの高さを調節してほぼ一定の設定電圧になる
ように制御されている。たとえば運転コストを考慮し
て、設定電流=980Aを給電し、5分間隔で検出した
実測稼動電圧と設定電圧=150Vとを比較して設定電
圧になるように電極トーチ8A,8Bの高さを制御して
いる。
【0018】前記実測稼動電圧(プラズマ電圧)は、設
定電圧を中心に変動しており、実測電圧の変動幅と溶融
スラグMSの層厚との間には相関関係があることを発明
者は見出しており、運転する灰溶融炉の特性に対応し
て、予め実験により得られた実測電圧の変動幅と溶融ス
ラグMSの層厚との関係から、溶融スラグMSの層厚を
推定してベースメタルMの排出時期を告知している。
【0019】すなわち、図2はこのプラズマ式灰溶融炉
を連続運転した時の電圧変動割合を示すもので、この炉
では、電圧変動幅が8%となった時に、溶融スラグMS
の層厚は約70mmとなり、層厚の限界値であることが
わかっており、電圧変動幅が8%となった時にベースメ
タルMの排出時期を告知して、炉傾動装置14により炉
本体1を一定角度傾動しベースメタルMを排出してい
る。この結果、ベースメタルMの排出量を測定した結
果、ほぼ一定量で排出量から換算した溶融スラグMSの
層厚は、ほぼ70mmであったのが確認された。
【0020】上記実施の形態によれば、一定時間毎に電
極8A,8B間の稼動電圧(プラズマ電圧)を計測して
電圧変動率を求めることにより、予め実験された稼動電
圧と溶融スラグMSの層厚の関係から、溶融スラグMS
の実層厚を正確に推定することができ、正確なベースメ
タルMの排出時期を知ることができる。したがって、従
来のように推定される溶融スラグMSの層厚が不正確で
あったり、炉の運転を停止する必要がない。
【0021】なお、上記実施の形態では、本発明により
推定できる溶融スラグMSの層厚を、ベースメタルMの
排出にのみ使用したが、灰の投入量の制御に使用しても
よい。すなわち、溶融スラグMSの層厚か薄くなると、
スラグ層の溶融不完全の灰が排出されることがあり、こ
の場合には灰の投入量を減少させて溶融室2内の滞留時
間を長くすることにより、完全に溶融された溶融スラグ
MSのみを排出することができる。
【0022】また、2本の電極トーチを使用したプラズ
マ式灰溶融炉を示したが、3本以上の電極トーチを使用
してもよく、また一方の電極を底部に配置してベースメ
タルと導通させ、他方の電極トーチとベースメタルとの
間にアークまたはプラズマアークを形成してもよい。
【0023】さらに、プラズマ式灰溶融炉を示したが、
アーク式灰溶融炉であっても同様である。
【0024】
【発明の効果】以上に述べたごとく本発明の請求項1記
載の発明によれば、一定時間毎に電極間の稼動アークま
たは稼動プラズマ電圧を計測して電圧変動率を求めるこ
とにより、容易に溶融スラグの層厚を正確に推定するこ
とができ、正確なベースメタルの排出時期を知ることが
できるとともに、灰供給制御を正確に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ式灰溶融炉の実施の形態
を示す構成図である。
【図2】同灰溶融炉における稼動電圧の変動割合を示す
グラフである。
【符号の説明】
M ベースメタル MS 溶融スラグ A 灰 1 炉本体 8A 陰電極トーチ 8B 陽電極トーチ 9 直流電源装置 14 炉傾動装置 14a 傾動ジャッキ 21 電圧計 22 データ処理装置 23 メタル排出告知ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01B 7/06 B09B 3/00 303L (72)発明者 中村 和範 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 坂田 詞郎 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 小坂 浩史 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉本体の底部にベースメタルを収容すると
    ともに、炉本体の天壁から昇降自在に垂下された複数の
    電極とベースメタルとの間にアークまたはプラズマアー
    クを形成して、ベースメタル上に投入された灰を加熱溶
    融し、この溶融スラグをオーバーフローさせて排出する
    電気式灰溶融炉の溶融スラグの厚さを検出するに際し
    て、 一定時間ごとにアーク電圧またはプラズマ電圧を検出し
    て、設定電圧と検出電圧と変動幅を求め、 予め計測された電圧変動幅と溶融スラグの層厚の関係か
    ら、溶融スラグの層厚を推定することを特徴とする電気
    式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
  2. 【請求項2】一定の設定アーク電流または設定プラズマ
    電流を供給するとともに、アーク電圧またはプラズマ電
    圧を一定時間ごとに計測して一定の設定電圧になるよう
    に電極の高さを制御することを特徴とする請求項1記載
    の電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
  3. 【請求項3】アークまたはプラズマアークが不安定とな
    る溶融スラグの層厚限の電圧変動幅を設定しておき、 電圧変動幅が設定値を越えた時に、ベースメタルの排出
    作業を行うことを特徴とする請求項1または2記載の電
    気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
  4. 【請求項4】電圧変動幅により推定される溶融スラグの
    層厚が薄くなると、灰の供給量を減少させるように制御
    して、溶融室内での灰の滞留時間を増加させることを特
    徴とする請求項1または2記載の電気式灰溶融炉のスラ
    グ厚さ検出方法。
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