JPH11172302A - 金属射出成形用バインダーおよびこれを用いた成形法 - Google Patents
金属射出成形用バインダーおよびこれを用いた成形法Info
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- JPH11172302A JPH11172302A JP34169697A JP34169697A JPH11172302A JP H11172302 A JPH11172302 A JP H11172302A JP 34169697 A JP34169697 A JP 34169697A JP 34169697 A JP34169697 A JP 34169697A JP H11172302 A JPH11172302 A JP H11172302A
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- agar
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 金属粉末とバインダーとを混練して得られる
金属射出成形用組成物を射出成形してグリーン体とし、
このグリーン体を脱脂し、ついで焼結する金属射出成形
法において、焼結密度を向上できるようにする。 【解決手段】 アガロースの含有率が98重量%以上の
寒天を水に溶解したバインダー、またはアガロースの含
有率が98重量%以上の寒天とアルコール類とを水に溶
解したバインダー、もしくはこれらに水溶性高分子を加
えたバインダーを用いる。
金属射出成形用組成物を射出成形してグリーン体とし、
このグリーン体を脱脂し、ついで焼結する金属射出成形
法において、焼結密度を向上できるようにする。 【解決手段】 アガロースの含有率が98重量%以上の
寒天を水に溶解したバインダー、またはアガロースの含
有率が98重量%以上の寒天とアルコール類とを水に溶
解したバインダー、もしくはこれらに水溶性高分子を加
えたバインダーを用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属粉末から金
属製部品などを製造する金属射出成形法およびこれに用
いられるバインダーに関する。
属製部品などを製造する金属射出成形法およびこれに用
いられるバインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】金属射出成形法は、金属微粉末とバイン
ダーとを混練し、この混練物を射出成形機によって射出
成形し、所望の立体形状を有するグリーン体とする。つ
いで、このグリーン体を加熱し、バインダーの一部を分
解、除去して脱脂を行い、ついでこれを高温で加熱し、
焼結して金属部品等を得るものである。
ダーとを混練し、この混練物を射出成形機によって射出
成形し、所望の立体形状を有するグリーン体とする。つ
いで、このグリーン体を加熱し、バインダーの一部を分
解、除去して脱脂を行い、ついでこれを高温で加熱し、
焼結して金属部品等を得るものである。
【0003】このような金属射出成形法において使用さ
れるバインダーとしては、アクリル系樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体な
どの熱可塑性樹脂とワックスとの混合物が主に使用され
ている。すなわち、熱可塑性樹脂とワックスとの混合物
を加熱、溶解しておき、これに加熱した金属粉末を徐々
に添加し、温度約150〜200℃で混練する方法がと
られている。
れるバインダーとしては、アクリル系樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体な
どの熱可塑性樹脂とワックスとの混合物が主に使用され
ている。すなわち、熱可塑性樹脂とワックスとの混合物
を加熱、溶解しておき、これに加熱した金属粉末を徐々
に添加し、温度約150〜200℃で混練する方法がと
られている。
【0004】しかしながら、このようなバインダーを使
用する方法では、グリーン体を脱脂する際の脱脂温度が
高く、かつ脱脂時間が極めて長い欠点があり、全製造工
程時間の大部分がこの脱脂工程に費やされる不都合があ
る。このような不都合を解決するバインダーとして、寒
天などの天然多糖類の水溶液を使用し、これのゾル−ゲ
ル可逆反応を利用するものが知られている。このバイン
ダーでは、バインダー中の約80%以上が水であるた
め、脱脂は先のものに比べて極めて容易になるという利
点がある。
用する方法では、グリーン体を脱脂する際の脱脂温度が
高く、かつ脱脂時間が極めて長い欠点があり、全製造工
程時間の大部分がこの脱脂工程に費やされる不都合があ
る。このような不都合を解決するバインダーとして、寒
天などの天然多糖類の水溶液を使用し、これのゾル−ゲ
ル可逆反応を利用するものが知られている。このバイン
ダーでは、バインダー中の約80%以上が水であるた
め、脱脂は先のものに比べて極めて容易になるという利
点がある。
【0005】ところで、寒天は海草の抽出物であり天然
物であるので、不純物が比較的多く含まれている。例え
ば、通常の寒天には4重量%以下の灰分(日本工業規
格)が含まれている。このため、寒天水溶液系バインダ
ーを用いて金属射出成形を行うと、焼結の際に灰分が残
り、焼結を阻害するため焼結密度を高くすることができ
ない、また焼結体の機械的強度を高くすることができな
いという問題があった。
物であるので、不純物が比較的多く含まれている。例え
ば、通常の寒天には4重量%以下の灰分(日本工業規
格)が含まれている。このため、寒天水溶液系バインダ
ーを用いて金属射出成形を行うと、焼結の際に灰分が残
り、焼結を阻害するため焼結密度を高くすることができ
ない、また焼結体の機械的強度を高くすることができな
いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明におけ
る課題は、寒天水溶液系バインダーを用いた金属射出成
形において、焼結密度を向上できるようにすることにあ
る。
る課題は、寒天水溶液系バインダーを用いた金属射出成
形において、焼結密度を向上できるようにすることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、アガロー
スの含有率が98重量%以上の寒天を水に溶解したバイ
ンダー、またはアガロースの含有率が98重量%以上の
寒天とアルコール類とを水に溶解したバインダー、もし
くはこれらに水溶性高分子を加えたバインダー、および
このバインダーを用いた成形法によって解決される。
スの含有率が98重量%以上の寒天を水に溶解したバイ
ンダー、またはアガロースの含有率が98重量%以上の
寒天とアルコール類とを水に溶解したバインダー、もし
くはこれらに水溶性高分子を加えたバインダー、および
このバインダーを用いた成形法によって解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
寒天の主成分は下記化学式(I)で示されるアガロース
であり、それ以外の不純物は総称してアガロペクチンと
呼ばれる。アガロペクチンは、その構造においてアガロ
ースと同じ結合様式をしているが、部分的に硫酸エステ
ル、メトキシル、ピルビン酸などの基を多く含んでお
り、アガロペクチンの含有量が多いと焼結の際に残る灰
分も多くなる。
寒天の主成分は下記化学式(I)で示されるアガロース
であり、それ以外の不純物は総称してアガロペクチンと
呼ばれる。アガロペクチンは、その構造においてアガロ
ースと同じ結合様式をしているが、部分的に硫酸エステ
ル、メトキシル、ピルビン酸などの基を多く含んでお
り、アガロペクチンの含有量が多いと焼結の際に残る灰
分も多くなる。
【0009】
【化1】
【0010】本発明では、アガロースの含有率が98重
量%以上と高純度に精製された寒天が用いられる。アガ
ロースの含有率がこれより低いと、焼結密度を高くする
効果が不十分である。アガロースとアガロペクチンの物
性を比較すると、アガロースはゲル化力が強く、ゾル粘
度が高いのに対して、アガロペクチンはゲル化力が弱
く、ゾル粘度は分子量にもよるが概して低い。よって、
アガロースの含有率が高い寒天を用いることによって、
バインダーのゲル化力は増大し、ゾル粘性が上がる。ま
た特公平7−68566号公報に記載されているよう
に、寒天は、これを溶解させる水の水素イオン結合の状
態によって、あるいは寒天溶液中に存在する添加剤の種
類によって、ゾルやゲルの状態での物性が異なることが
知られており、例えば、水として磁気処理水を用いるこ
とによって、あるいはホウ酸ナトリウムを添加すること
によってゾルの粘性やゲルの強度を大きくすることがで
きる。
量%以上と高純度に精製された寒天が用いられる。アガ
ロースの含有率がこれより低いと、焼結密度を高くする
効果が不十分である。アガロースとアガロペクチンの物
性を比較すると、アガロースはゲル化力が強く、ゾル粘
度が高いのに対して、アガロペクチンはゲル化力が弱
く、ゾル粘度は分子量にもよるが概して低い。よって、
アガロースの含有率が高い寒天を用いることによって、
バインダーのゲル化力は増大し、ゾル粘性が上がる。ま
た特公平7−68566号公報に記載されているよう
に、寒天は、これを溶解させる水の水素イオン結合の状
態によって、あるいは寒天溶液中に存在する添加剤の種
類によって、ゾルやゲルの状態での物性が異なることが
知られており、例えば、水として磁気処理水を用いるこ
とによって、あるいはホウ酸ナトリウムを添加すること
によってゾルの粘性やゲルの強度を大きくすることがで
きる。
【0011】アルコール類としては、エタノール、メタ
ノール、イソプロピルアルコール、2,3−ジブロムプ
ロパノールなどの1種または2種以上を混合して用いら
れる。このアルコール類は、寒天のゲル状態におけるゲ
ル強度を高めるものである。水溶性高分子としては、ポ
リエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボ
キシメチルセルロースなどが挙げられるが、なかでもポ
リエチレングリコールが好適である。この水溶性高分子
は、バインダーのゲルに粘性を付与し、射出成形時にお
ける射出原料の流動性を向上させ、バインダーと金属粉
体との分離を改善する。
ノール、イソプロピルアルコール、2,3−ジブロムプ
ロパノールなどの1種または2種以上を混合して用いら
れる。このアルコール類は、寒天のゲル状態におけるゲ
ル強度を高めるものである。水溶性高分子としては、ポ
リエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボ
キシメチルセルロースなどが挙げられるが、なかでもポ
リエチレングリコールが好適である。この水溶性高分子
は、バインダーのゲルに粘性を付与し、射出成形時にお
ける射出原料の流動性を向上させ、バインダーと金属粉
体との分離を改善する。
【0012】本発明のバインダーは、水100部(重量
部、以下同様)に対して寒天15〜35部、好ましくは
20〜30部を溶解したもの、あるいはこれに水溶性高
分子5〜10部を溶解したもの、もしくは水100部に
対して寒天15〜35部、好ましくは20〜30部と、
アルコール類5〜30部とを溶解したものあるいはこれ
に更に水溶性高分子5〜10部を溶解したものであり、
これに防腐剤としての安息香酸、安息香酸ナトリウム、
射出成形時の滑剤としてのステアリン酸、エルカ酸、高
級脂肪酸の金属石ケン分散剤、界面活性剤などを必要に
応じて添加することができる。寒天を水に溶解させたバ
インダーは、90〜96℃でゾル状の粘性液体となり、
35〜45℃以下に冷却するとゲル化して体積を収縮し
ながら弾性のある固定化物質となる。
部、以下同様)に対して寒天15〜35部、好ましくは
20〜30部を溶解したもの、あるいはこれに水溶性高
分子5〜10部を溶解したもの、もしくは水100部に
対して寒天15〜35部、好ましくは20〜30部と、
アルコール類5〜30部とを溶解したものあるいはこれ
に更に水溶性高分子5〜10部を溶解したものであり、
これに防腐剤としての安息香酸、安息香酸ナトリウム、
射出成形時の滑剤としてのステアリン酸、エルカ酸、高
級脂肪酸の金属石ケン分散剤、界面活性剤などを必要に
応じて添加することができる。寒天を水に溶解させたバ
インダーは、90〜96℃でゾル状の粘性液体となり、
35〜45℃以下に冷却するとゲル化して体積を収縮し
ながら弾性のある固定化物質となる。
【0013】上記バインダーの組成において、寒天が1
5部未満では金属粉体を結合する効果が得られず、35
部を越えるとゾル状態での粘度が高くなりすぎて、混練
が困難となる。また、アルコール類が5部未満ではゲル
の強度を高める効果が不十分であり、30部を越えると
ゲルの強度が低下し始める。また、水溶性高分子が5部
未満では添加効果が得られず、10部を越えるとゾルの
粘度が高くなり、不都合となる。
5部未満では金属粉体を結合する効果が得られず、35
部を越えるとゾル状態での粘度が高くなりすぎて、混練
が困難となる。また、アルコール類が5部未満ではゲル
の強度を高める効果が不十分であり、30部を越えると
ゲルの強度が低下し始める。また、水溶性高分子が5部
未満では添加効果が得られず、10部を越えるとゾルの
粘度が高くなり、不都合となる。
【0014】このようなバインダーは、例えば90〜9
6℃に加温した温水に寒天、および必要に応じてアルコ
ール類、水溶性高分子、その他の添加物を加え、温度1
00〜120℃、蒸気圧1.0〜2.0atmの加圧下で
よく攪拌、混合して溶解することによって調製すること
ができる。
6℃に加温した温水に寒天、および必要に応じてアルコ
ール類、水溶性高分子、その他の添加物を加え、温度1
00〜120℃、蒸気圧1.0〜2.0atmの加圧下で
よく攪拌、混合して溶解することによって調製すること
ができる。
【0015】次に、このバインダーを用いた金属射出成
形法について説明する。原料となる金属粉末には、ガス
アトマイズ法、水アトマイズ法、高圧水アトマイズ法な
どによって得られた鉄、ステンレス鋼などの鋼、タング
ステン、チタン、ニッケルなどの粒径100μm以下、
好ましくは20μm以下の球状、真球状の微粉末が用い
られる。この金属粉末に対して上記バインダーを40〜
50体積%、好ましくは43〜47体積%の割合で加
え、混練する。混練温度は、100〜120℃とされ、
バインダーがゾル状態を示す温度で行われる。この際、
金属粉末を数回に分けて加えることが好ましい。
形法について説明する。原料となる金属粉末には、ガス
アトマイズ法、水アトマイズ法、高圧水アトマイズ法な
どによって得られた鉄、ステンレス鋼などの鋼、タング
ステン、チタン、ニッケルなどの粒径100μm以下、
好ましくは20μm以下の球状、真球状の微粉末が用い
られる。この金属粉末に対して上記バインダーを40〜
50体積%、好ましくは43〜47体積%の割合で加
え、混練する。混練温度は、100〜120℃とされ、
バインダーがゾル状態を示す温度で行われる。この際、
金属粉末を数回に分けて加えることが好ましい。
【0016】混練後、これを造粒してペレット状とした
のち、射出成形して、所望形状のグリーン体とする。射
出成形温度は、バインダーがゾル状態を保つ90〜96
℃とされる。射出成形後のグリーン体は常温まで冷やさ
れ、バインダーがゲル状となって、その形状が保持され
る。ついで、得られたグリーン体を脱脂し、バインダー
由来の水、アルコール類および寒天、水溶性高分子の一
部を除去する。この除去の際、水のみを除去して焼結へ
移行することもできる。
のち、射出成形して、所望形状のグリーン体とする。射
出成形温度は、バインダーがゾル状態を保つ90〜96
℃とされる。射出成形後のグリーン体は常温まで冷やさ
れ、バインダーがゲル状となって、その形状が保持され
る。ついで、得られたグリーン体を脱脂し、バインダー
由来の水、アルコール類および寒天、水溶性高分子の一
部を除去する。この除去の際、水のみを除去して焼結へ
移行することもできる。
【0017】この脱脂には、種々の方法があるが、グリ
ーン体を加熱し、常温より徐々に高めて100〜150
℃で水、アルコール類を除去し、さらに200〜400
℃に加熱して、寒天、水溶性高分子の一部を熱分解して
除去する方法や、グリーン体を凍結乾燥もしくは真空乾
燥し、バインダーがゲル状態を保ったまま、大部分の
水、アルコール類を除去し、ついで加熱して寒天、水溶
性高分子の一部を除去する方法などが好ましく、特に後
者の方法によれば、グリーン体の割れ、クラックを防止
できる点で望ましい。また、この脱脂を真空または不活
性ガス雰囲気下で行い、金属粉末の酸化を防止すること
が望ましい。この脱脂によって、グリーン体の含水率は
0.5〜1.0重量%となる。
ーン体を加熱し、常温より徐々に高めて100〜150
℃で水、アルコール類を除去し、さらに200〜400
℃に加熱して、寒天、水溶性高分子の一部を熱分解して
除去する方法や、グリーン体を凍結乾燥もしくは真空乾
燥し、バインダーがゲル状態を保ったまま、大部分の
水、アルコール類を除去し、ついで加熱して寒天、水溶
性高分子の一部を除去する方法などが好ましく、特に後
者の方法によれば、グリーン体の割れ、クラックを防止
できる点で望ましい。また、この脱脂を真空または不活
性ガス雰囲気下で行い、金属粉末の酸化を防止すること
が望ましい。この脱脂によって、グリーン体の含水率は
0.5〜1.0重量%となる。
【0018】ついで、この脱脂後のグリーン体を加熱炉
にて加熱して焼結し、所望形状の金属製品とする。加熱
は、真空または不活性ガス雰囲気下で温度1200〜1
500℃程度にまで昇温して行われる。
にて加熱して焼結し、所望形状の金属製品とする。加熱
は、真空または不活性ガス雰囲気下で温度1200〜1
500℃程度にまで昇温して行われる。
【0019】このようなバインダーおよびこのバインダ
ーを用いた金属射出成形法にあっては、寒天の水溶液を
主体としているので、脱脂時間が極めて短時間で済む。
また、アルコール類を添加した場合は、さらに脱脂時間
が短くなる効果が得られる。またアガロース含有率が9
8重量%以上の寒天は、不純物であるアガロペクチンの
含有量が2重量%以下と少なく、したがって焼結の際に
残る灰分が1%以下と少ない。よって金属射出成形にお
いて、この高純度の寒天をバインダーとして用いること
によって焼結密度を向上させることができる。
ーを用いた金属射出成形法にあっては、寒天の水溶液を
主体としているので、脱脂時間が極めて短時間で済む。
また、アルコール類を添加した場合は、さらに脱脂時間
が短くなる効果が得られる。またアガロース含有率が9
8重量%以上の寒天は、不純物であるアガロペクチンの
含有量が2重量%以下と少なく、したがって焼結の際に
残る灰分が1%以下と少ない。よって金属射出成形にお
いて、この高純度の寒天をバインダーとして用いること
によって焼結密度を向上させることができる。
【0020】以下、具体例を示し、本発明の作用、効果
を明確にする。なお、本発明は以下の具体例に限定され
るものではない。 (具体例) −バインダーの調製− 寒天と防腐剤を、下記表1に示す配合割合で温水(イオ
ン交換水)に溶解してバインダーA,B,Cをそれぞれ
調製した。寒天はアガロース含有率が98%のものを用
いた。比較例としてアガロース含有率が96%の寒天を
用い、下記表1の配合割合でバインダーDを調製した。
を明確にする。なお、本発明は以下の具体例に限定され
るものではない。 (具体例) −バインダーの調製− 寒天と防腐剤を、下記表1に示す配合割合で温水(イオ
ン交換水)に溶解してバインダーA,B,Cをそれぞれ
調製した。寒天はアガロース含有率が98%のものを用
いた。比較例としてアガロース含有率が96%の寒天を
用い、下記表1の配合割合でバインダーDを調製した。
【0021】−金属射出成形− ガスアトマイズ法によって得られた粒径45μm以下
(平均粒径25μm)の球状のチタン粉末を予め約90
〜100℃に加温し、これを、96℃に保温した上記バ
インダーA〜Dに3回に分けて添加した。チタン粉末と
バインダーとの配合割合は下記表1に示す通りとした。
そして、温度100〜120℃、蒸気圧1.0〜2.0
atmの加圧下で混練したのちペレット化し、これを射出
温度94℃、金型温度25℃で射出成形し、厚さ10m
m、幅15mm、長さ100mmの短冊状のグリーン体
を得た。ついで、このグリーン体を真空乾燥装置にい
れ、温度80℃、圧力1トール、時間10時間の条件で
真空乾燥し、含水率約0.5wt%まで水を除去し、つ
いで圧力10-5トールで常温から昇温速度1℃/時間で
400℃まで加熱して脱脂し、引きつづいて昇温速度5
℃/時間で1300℃まで昇温し、この温度を2時間保
持する焼結条件により焼結して、チタン製板状部材を製
造した。得られたチタン製板状部材の焼結密度を測定し
た結果を、下記表1に合わせて示す。
(平均粒径25μm)の球状のチタン粉末を予め約90
〜100℃に加温し、これを、96℃に保温した上記バ
インダーA〜Dに3回に分けて添加した。チタン粉末と
バインダーとの配合割合は下記表1に示す通りとした。
そして、温度100〜120℃、蒸気圧1.0〜2.0
atmの加圧下で混練したのちペレット化し、これを射出
温度94℃、金型温度25℃で射出成形し、厚さ10m
m、幅15mm、長さ100mmの短冊状のグリーン体
を得た。ついで、このグリーン体を真空乾燥装置にい
れ、温度80℃、圧力1トール、時間10時間の条件で
真空乾燥し、含水率約0.5wt%まで水を除去し、つ
いで圧力10-5トールで常温から昇温速度1℃/時間で
400℃まで加熱して脱脂し、引きつづいて昇温速度5
℃/時間で1300℃まで昇温し、この温度を2時間保
持する焼結条件により焼結して、チタン製板状部材を製
造した。得られたチタン製板状部材の焼結密度を測定し
た結果を、下記表1に合わせて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属射出成
形用バインダーおよびこのバインダーを用いた金属射出
成形法にあっては、アガロース含有率が98%以上の高
純度寒天を用いることにより、焼結の際に残る灰分を減
少させることができるので、成形品の焼結密度を高め、
また焼結体の機械的強度を向上させることができる。
形用バインダーおよびこのバインダーを用いた金属射出
成形法にあっては、アガロース含有率が98%以上の高
純度寒天を用いることにより、焼結の際に残る灰分を減
少させることができるので、成形品の焼結密度を高め、
また焼結体の機械的強度を向上させることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 アガロースの含有率が98重量%以上の
寒天と、水とからなる金属射出成形用バインダー。 - 【請求項2】 アガロースの含有率が98重量%以上の
寒天と、アルコール類と、水とからなる金属射出成形用
バインダー。 - 【請求項3】 請求項1または2のいずれか一項に記載
の金属射出成形用バインダーに水溶性高分子を添加して
なる金属射出成形用バインダー。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか一項に記載
の金属射出成形用バインダーと金属粉末とを混練し、こ
の混練物を射出成形してグリーン体とし、このグリーン
体から少なくとも水を除去したのち、焼結する金属射出
成形法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34169697A JPH11172302A (ja) | 1997-12-11 | 1997-12-11 | 金属射出成形用バインダーおよびこれを用いた成形法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34169697A JPH11172302A (ja) | 1997-12-11 | 1997-12-11 | 金属射出成形用バインダーおよびこれを用いた成形法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11172302A true JPH11172302A (ja) | 1999-06-29 |
Family
ID=18348073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34169697A Pending JPH11172302A (ja) | 1997-12-11 | 1997-12-11 | 金属射出成形用バインダーおよびこれを用いた成形法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11172302A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006118109A1 (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Nihon University | 多糖類複合材料 |
WO2022085672A1 (ja) * | 2020-10-19 | 2022-04-28 | ユニテックフーズ株式会社 | バインダジェット法を用いた三次元物体造形方法 |
-
1997
- 1997-12-11 JP JP34169697A patent/JPH11172302A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006118109A1 (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Nihon University | 多糖類複合材料 |
WO2022085672A1 (ja) * | 2020-10-19 | 2022-04-28 | ユニテックフーズ株式会社 | バインダジェット法を用いた三次元物体造形方法 |
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